説明

歯ブラシ

【課題】歯先端部に屈曲部分を有することを肉眼では確認しにくく、未使用であるのに使用後の歯ブラシであるかのような印象を与える虞がなく、またブリッスルの歯間や歯肉溝への挿入性や歯面の清掃性に優れた歯ブラシを提供すること。
【解決手段】植毛台21に、複数本のブリッスルを束ねた毛束が複数植設されている歯ブラシであって、ブリッスルは、先端に向かって断面積が漸次減少するテーパー部52を有しており、前記毛束を構成するブリッスル中に先端屈曲ブリッスル5を含み、該先端屈曲ブリッスル5は、先端51からの長さが80μmまでの範囲内に、屈曲角度θが40度以内の屈曲部54を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは、植毛台に、複数本のブリッスルを束ねた毛束が複数植設された構成を有している。
従来の歯ブラシとして、植毛台表面から突出するブリッスルの先端側をカールさせたものが知られている。
例えば、特許文献1には、合成モノフィラメントを束ねた毛束が植毛台に植設されている歯ブラシであって、合成モノフィラメントとして先端にカール形状を備えたものを用いており、そのカール部の長さが刷毛全長の20%以内である歯ブラシが記載されている。また、特許文献2にも、先端部にカール部を有する歯ブラシが記載されている。
他方、特許文献3には、植毛台表面から突出するブリッスルをその突出方向の中央部付近で屈曲させてある歯ブラシが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−189252号公報
【特許文献2】実開昭61−126823号公報
【特許文献3】実開昭62−119841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載の歯ブラシのように、刷毛先端にカール形状を有するものは、ソフトな使用感が得られる一方で、カール部分が歯面に当たると応力によりブリッスルが更に曲がりブリッスルの先端が歯面に当たりにくく、歯間の刷掃性が落ちる場合がある。特に先端をテーパー状とした場合には、断面積が小さい分だけより曲がりやすくなる。また、歯ブラシは使用によってブリッスルの先端領域が外側に開くように曲がるため、カール形状のブリッスルは、未使用の状態であっても使用後の歯ブラシのような印象を与える虞がある。また、短時間しか使用していないものであっても、長期に亘って使用したもののような印象を与え、まだ充分に使用できる状態で無駄に捨てられる虞もある。
他方、引用文献3に記載の歯ブラシは、歯ブラシの毛を、歯を挟むように、ブラシ台(植毛台)の内側方向に折り曲げているため、特定の磨き方を求められたり、毛の先端を思う方向に挿入しずらいといった問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、ブリッスルの先端部に屈曲部分を有することを肉眼では確認しにくく、未使用であるのに使用後の歯ブラシであるかのような印象を与える虞がなく、またブリッスルの歯間や歯肉溝への挿入性や掻き出し性、歯面の清掃性に優れた歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、植毛台に、複数本のブリッスルを束ねた毛束が複数植設されている歯ブラシであって、前記ブリッスルは、先端に向かって断面積が漸次減少するテーパー部を有しており、前記毛束を構成するブリッスル中に先端屈曲ブリッスルを含み、前記先端屈曲ブリッスルは、前記先端からの長さが80μmまでの範囲内に、屈曲角度が40度以内の屈曲部を有する歯ブラシを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の歯ブラシは、ブリッスルの先端部に屈曲部分を有することを肉眼では確認しにくく、未使用であるのに使用後の歯ブラシであるかのような印象を与える虞がなく、またブリッスルの歯間や歯肉溝への挿入性や掻き出し性、歯面の清掃性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の歯ブラシの一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の歯ブラシの植毛台に設ける植毛穴の配置の一例を示す図である。
【図3】図1に示す歯ブラシの一本のブリッスルを拡大して示す図であり、(a)は、1本のブリッスルの全体を示す図、(b)は(a)の円形部分の拡大図、(c)は(b)の円形部分の拡大図である。
【図4】実施例における先端屈曲ブリッスルの先端部を示す顕微鏡写真である。
【図5】実施例及び比較例で用いたブリッスルの顕微鏡写真(図4より低倍率)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態である歯ブラシ1は、図1に示すように、植毛台21に、複数本のブリッスルを束ねた毛束22が複数植設されてなるブラシ部2、使用時に使用者が持つ部分である柄部3、及びブラシ部2と柄部3とを連結する首部4を有している。植毛台21には、複数の植毛穴23が、例えば図2に示す配置で形成されている。図2中、X方向は、植毛台21の長手方向(歯ブラシ1の長手方向に対応する方向)であり、Y方向は、植毛台21の幅方向(長手方向に直交する方向)である。
【0010】
歯ブラシ1に植設された毛束22は、該毛束22を構成するブリッスルとして、図3に示す先端屈曲ブリッスル5を含んでいる。
先端屈曲ブリッスル5は、図3(a)及び(b)に示すように、先端51に向かって断面積が漸次減少するテーパー部52を有している。本実施形態における先端屈曲ブリッスル5は、植毛台21側に直径及び断面積が所定の長さに亘って均一な非テーパー部53を有しているが、先端屈曲ブリッスル5は、その全体がテーパー部52からなるものであっても良い。
【0011】
テーパー部52は、先端51からの長さL2が、ブリッスルの植毛台表面21aからの高さLの40〜80%であることが好ましく、40〜60%であることがより好ましい。ブリッスルの植毛台表面21aからの高さLは、例えば10〜15mmとすることができ、歯肉にソフトな感触を与える点、歯間等への挿入性から好ましくは12〜14mm、更に好ましくは12.5〜13.5mmである。テーパー部52は、ブリッスルの先端を研削又は研磨する機械的な処理工程を含む方法のほか、ブリッスルを構成する樹脂を溶解することが可能な溶剤によりブリッスルの先端を処理する化学処理の工程を含む方法、ブリッスルの先端を研削又は研磨する機械的な処理工程の後に化学処理の工程を備える方法などによって形成することが可能であり、歯肉への感触をよりソフトにする点から、化学処理による工程を含む方法により形成することが好ましい。歯ブラシ1における毛束22を構成するブリッスルは、全てテーパー部を有している。
ブリッスルを構成する樹脂を溶解可能な溶剤としては、例えばブリッスルがポリエステルを含有する場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液、ブリッスルがポリアミドを含有する場合には、塩化カルシウムとメタノールの混合液、オレイルアルコール、エチレングリコールおよび塩化亜鉛水溶液等を挙げることができる。
【0012】
また、先端屈曲ブリッスル5は、図3(b)及び(c)に示すように、テーパー部52における、先端51からの長さが80μmまでの範囲内に屈曲部54を有している。「先端からの長さ」は、図3(c)に示すように、ブリッスル5の横断面の中心を通る中心線に沿って測定する。ブリッスルの先端51から屈曲部54までの長さL3は、80μm以内であるが、より好ましくは2〜60μmであり、更に好ましくは5〜50μmである。
【0013】
また、屈曲部54は、屈曲角度が40度以内である。屈曲部54の屈曲角度θは、屈曲部54におけるブリッスルの屈曲角度であり、より好ましくは、2〜40度であり、更に好ましくは10〜38度である。屈曲部54におけるブリッスルの屈曲角度θは、図3(c)に示すように、屈曲部54より先端51側の部分の中心線と、屈曲部54より植毛台21側の部分の中心線の延長線とがなす角度である。先端屈曲ブリッスル5は、屈曲部54を介してストレート部57との間に所定の角度をなすものであれば、屈曲部54よりも先端側がうねっていても良いが、略直線状であるものが好ましい。
屈曲部分56の先端51と、ブリッスル5のストレート部57の横断面の中心を通る中心線55との間の長さである屈曲範囲L4は、肉眼で気づきにくい点、歯肉溝への挿入性の点から50μm未満であることが好ましく、より好ましくは2〜40μmであり、更に好ましくは5〜30μmである。
【0014】
歯ブラシ1における、毛束22を構成するブリッスル(先端屈曲ブリッスル5を含む)は、合成樹脂からなる。ブリッスルの合成樹脂としては従来ブリッスルに用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ナイロン(登録商標)、ナイロン6等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0015】
本実施形態の歯ブラシ1においては、前述したように、先細り形状のテーパー部52における、先端51からの長さが80μmまでの範囲内に屈曲部54を設けてあるので、先端部に屈曲部分(屈曲部より先端側の部分)56を有することを肉眼では確認しにくい。そのため、未使用であるのに使用後の歯ブラシであるかのような印象を使用者等に与える虞がない。また、屈曲部分56が肉眼では確認できない程度に微小であるため、ブリッスル5の屈曲部分56を含む先端部分(例えば先端51から1〜3mm程度の部分)を、歯間や歯肉溝(歯周ポケット)に容易に挿入させることができる。
【0016】
また、屈曲部54の前記屈曲角度θが40度以内であるため、歯間や歯肉溝に挿入したブリッスル5の前記屈曲部54及び屈曲部分56の先端51を、歯間や歯肉溝における歯面に当てやすい。また、屈曲部54は、屈曲した形状により剛性があるため、先端をカールしたブリッスルとは異なり、屈曲部54やそれより先端51側の部分が、歯面等にあたっても屈曲部分(屈曲部より先端側の部分)56の長さが増大したり、ブリッスルの特に屈曲部分56を更に曲げることが防止される。そのため、屈曲部分56の先端51による掻き出し性、ブリッスルの先端の歯面への接触性が向上され、歯肉溝、歯間への挿入性、刷掃感が得られるとともに、歯肉への当たりがソフトであり、ソフト感と刷掃感の両方を得ることができる。
【0017】
植毛台21に植設される毛束22は、それを構成するブリッスルの総てが上述したような先端屈曲ブリッスル5であっても良いが、1つの毛束におけるブリッスル中の先端屈曲ブリッスル5の割合は、歯ブラシを構成する毛束の平均において10〜80%であることが好ましく、より好ましくは10〜50%である。先端屈曲ブリッスル5の毛束22中の割合を10%以上とすることにより、先端までストレートなブリッスルと混在することで、歯間や歯肉溝に毛束を挿入可能にしつつ、挿入方向と歯間や歯肉溝の両壁にブリッスル先端が当たるようにすることができる。同割合を80%以下とすることにより、先端までストレートなブリッスルを混在させつつ、先端屈曲ブリッスル5による刷掃感、歯肉への当たりをソフトにすることができる。先端屈曲ブリッスル5以外のブリッスルとしては、先端側にテーパー部52を有するが、該テーパー部52に屈曲部54を有しないもの等を用いることができる。
【0018】
植毛台21に植設される毛束2を構成するブリッスル、特に前述した先端屈曲ブリッスル5は、植毛台の表面21aにおける断面積は歯肉への当たりをソフトにしつつ、ブリッスルの弾力性を得る観点から0.018〜0.038mm2であることが好ましく、0.023〜0.031mm2であることが更に好ましい。ブリッスルの横断面が円形の場合には、植毛台の表面21aにおける直径が150〜220μmであることが好ましく、170〜200μmであることが更に好ましい。なお、ブリッスルの植毛台の表面21aにおける断面積又は直径は、植毛台の表面21aと植設された毛束2を構成するブリッスルの中心軸とが直交しない場合には、植毛台の表面21aと毛束2とが接触する高さ範囲におけるブリッスルの軸方向に直交する断面積又は直径の平均値とする。
【0019】
毛束の植設方法としては、各種公知の方法を用いることができ、例えば、(1)毛束を平線で2つ折りにして打ち込む方法や、(2)毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成した後、その溶融塊を配置した金型内に溶融樹脂を注入して植毛台を射出形成する方法、(3)植毛孔(貫通孔)を有する植毛基部の該植毛孔に毛束を挿入する挿入工程、該植毛孔から突出する毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成する熱加工工程及び該溶融塊を被覆する被覆工程を経て、毛束が植設された状態の植毛台や歯ブラシを得る方法等を用いることができる。
【0020】
毛束の植設方法は、毛束を構成するブリッスルの先端51の位置を容易に揃えることができ、ブリッスルの植毛穴における充填率を高くする観点等から、融着植毛〔上記(2)や(3)の方法も含まれる〕であることが好ましく、特に上記(3)の方法が好ましい。上記(3)の方法の具体例としては、特開平9−182632号公報や特開2003−310353号公報に記載の方法等が挙げられる。特開2003−310353号公報の記載の方法においては、毛束の片端部を、レーザービーム等の非接触熱源で加熱して、溶融塊を形成すると共にその溶融塊と植毛孔の開口周縁部とを融着させている。溶融塊の被覆は、植毛台の背面側を形成させる熱可塑性樹脂等で行う。
【0021】
上記(3)の方法の好ましい実施態様では、毛束の片端部に溶融塊を形成する前に、植毛基部の植毛孔(貫通孔)における、植毛台表面21a側の一端開口部とは反対側の他端開口部から毛束を挿入する。挿入された毛束は、一端開口部に隣接して設けられた毛束収容用の凹部内に挿入され、該凹部の底部に当接して、植毛第表面21aから毛束先端までの長さが設計値に調整される。
【0022】
ブリッスル5の先端部に屈曲部分(屈曲部より先端側の部分)56を形成するには、例えば、先端側にテーパー部52を有するブリッスルを、その先端の位置を揃えて毛束とし、その毛束を、ブリッスルの先端側に向かって移動させ、該毛束の先端部分を壁に衝突させる。衝突させる壁の材質は、ステンレス等の金属やプラスティック等の硬質材であることが好ましいが、それに限定されるものではない。毛束を、壁に衝突させる速度や荷重、衝突させる壁の材質等は、前述した屈曲部が所定の位置に生じるように、適宜に選択する。また、毛束の壁に対する衝突は、常温で行うことができるが、高温の雰囲気下に行っても良く、また、好ましくは湿度が40〜70%で行い、さらに好ましくは湿度40〜60%で行う。なお、上記(3)の植毛方法により毛束を植毛する場合には、植毛孔及び毛束収容用の凹部に毛束を挿入する際に、毛束を所定の強度で毛束収容用の凹部の底部に当接させることにより、屈曲部を形成することもできる。
【0023】
以上、本発明の歯ブラシを、その好ましい実施形態について説明したが、本発明の歯ブラシは、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変形することができる。例えば、植毛台21に植設するブリッスルの植毛台表面21aからの高さは略均一でもよく、また、部分的に該高さの低いブリッスルを設けてもよい。また、前述した実施形態においては、植毛穴は、平面視形状が円形であったが、円形のものに代えて、長円状、楕円状、五角形状等とすることもできる。また、毛束は、植毛穴に密着して植設できる、種々の形状のものを用いることができる。ブリッスルの断面形状は、円形であることが好ましいが、円形のものに代えて又は円形のものと併用して、楕円形のもの等他の断面形状のものを用いることもできる。歯ブラシ本体(植毛台21、首部4及び柄部3)は、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂等の合成樹脂から形成することができる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例の記載によって何ら制限されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
ポリブチレンテレフタレート製のテーパーブリッスル(テーパー部の長さL2:約7mm、化学処理によってテーパー部を形成)を束ねて毛束22となし、該毛束22のブリッスル先端側を硬質材からなる壁に衝突させた。
得られた先端屈曲ブリッスルの先端部分の顕微鏡写真を図4に示した。図4には、ブリッスルの屈曲角度θを求めるための中央線等を併せて示してある。また、得られた先端屈曲ブリッスルを、図4より低倍率で撮影した顕微鏡写真を図5(a)に示した。
【0026】
図4に示す先端屈曲ブリッスルは、ブリッスルの先端51から屈曲部54までの長さL3が34μm、屈曲範囲L4が21μm、屈曲部54の屈曲角度θが37.5度であった。個々の毛束には、屈曲部54が生じたブリッスルが20〜60%の割合で生じていた。
このようにして得た先端屈曲ブリッスルを含む毛束を融着植毛の方法により歯ブラシの植毛台に植設し、実施例1の歯ブラシを得た。実施例1の歯ブラシにおける植毛台をその表面に垂直な方向から見たとき、先端屈曲ブリッスルの折曲部分56はランダムな方向を向いていた。
【0027】
〔比較例1〕
ブリッスルの先端51から長さ約1.6mmまでの範囲がカール部となっており、ストレート部分からカール部の先端までの長さが約1.5mmのテーパーブリッスル〔図5(b)参照〕を用いた以外は実施例と同じである。カール部は、ブリッスルの先端を加熱することにより形成した。
〔比較例2〕
ブリッスルの先端51から屈曲部54までの長さL3が約1.2mm、屈曲範囲L4が0.6mm、屈曲角度が約30度の屈曲部54を形成したテーパーブリッスル〔図5(c)参照〕を用いた以外は実施例1と同じである。
〔比較例3〕
ブリッスルの先端51から屈曲部54までの長さL3が約1.5mm、屈曲範囲L4が1.0mm、屈曲角度が約50度の屈曲部54を形成したテーパーブリッスル〔図5(d)参照〕を用いた以外は実施例1と同じである。
〔比較例4〕
屈曲部やカール部のない、先端までストレートなテーパーブリッスルを用いた以外は実施例1と同じである〔図5(e)参照〕。
【0028】
〔評価〕
実施例1、比較例1〜4の歯ブラシについて、被験者5人により以下の評価を行い、最も人数の多い評価を採用した。
1.先端折曲部分の視認性
歯ブラシを、目から20cm離れた位置から肉眼で目視にて観察してもらい、屈曲部又はカール部の存在を確認できるか否かを評価した。
○:屈曲部又はカール部の存在を確認できない。
×:屈曲部又はカール部があることがわかる。
【0029】
2.ブリッスルの歯肉溝への挿入性(入り易さ)、掻き出し性
◎:挿入性、掻き出し性ともに良い。
○:挿入性が良い。掻き出し性は良くも悪くもない。
×:歯肉溝へ挿入しにくい・挿入できない
【0030】
3.ブリッスルの歯間の掻き出し性
○:掻き出し性がよい
△:掻き出し性がややよい
×:歯間の刷掃性が悪い
4.歯肉への感触
○:ソフトな感触
×:少し刺激を感じる
【0031】
〔結果〕
実施例及び比較例の歯ブラシの評価結果を表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示す結果から、実施例1の歯ブラシは、歯肉溝への挿入性だけでなく、歯肉溝の掻き出し性が良好で、しかも歯間の掻き出し性、歯肉への感触がソフトな評価が得られた。比較例1〜3は、歯肉への感触はソフトであるが、歯肉溝に挿入することが困難であり、比較例1、3については歯の平滑面に対する刷掃性は良好であるものの、歯間の掻き出し性が困難な評価であった。比較例4は、歯肉溝、歯間への挿入性は良好であるが、やや刺激を感じる評価であった。
【符号の説明】
【0034】
1 歯ブラシ
2 ブラシ部
21 植毛台
21a 植毛台表面
22 ブリッスルを束ねた毛束
23 植毛穴
3 柄部
4 首部
5 先端屈曲ブリッスル
51 先端
52 テーパー部
53 非テーパー部
54 屈曲部
56 先端部の屈曲部分
57 ストレート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛台に、複数本のブリッスルを束ねた毛束が複数植設されている歯ブラシであって、
前記ブリッスルは、先端に向かって断面積が漸次減少するテーパー部を有しており、
前記毛束を構成するブリッスル中に先端屈曲ブリッスルを含み、
前記先端屈曲ブリッスルは、前記先端からの長さが80μmまでの範囲内に、屈曲角度が40度以内の屈曲部を有する歯ブラシ。
【請求項2】
前記毛束を構成するブリッスル中の前記先端屈曲ブリッスルの割合は、歯ブラシ中の全毛束の平均が10〜80%である請求項1記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記毛束は、融着植毛により植設されている請求項1又は2記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記先端屈曲ブリッスルは、前記植毛台表面における直径が150〜220μmである請求項1〜3の何れかに記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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