説明

歯ブラシ

【課題】山型の形状のブラシ部を備えた歯ブラシの毛の強度のばらつきを歯ブラシ全体として小さくすることができる歯ブラシを提供する。
【解決手段】歯ブラシ10は、ヘッド部12の植毛面20が、先端に向かうに伴って上昇する第1傾斜面20aとその第1傾斜面20aに続いて先端に向かうに伴って下降する第2傾斜面20bとの連なりによって山型に形成され、ヘッド部12に植毛された複数の毛束22の先端が、第1傾斜面20aおよび第2傾斜面20bの連なりに沿って山型とされていることから、ヘッド部12の形状が山型でない場合に比べて、ブラシ部14の形状が山型となるように植毛された毛束22の長い毛束と短い毛束との長さの差が小さくなるので、毛24の強度のばらつきを歯ブラシ10全体として小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の口腔内の清掃を行うための歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯ブラシは、複数本の毛を束ねた毛束と毛束が植毛されたヘッド部、歯ブラシを把持するための把持部、およびそのヘッド部と把持部との間を連結する断面積が小さいネック部で構成されている。毛束を植毛する方法としては、たとえば、毛束の一端を加熱して溶融し、その加熱溶融した側の端部をヘッド部に設けた植毛穴へ挿入し、ヘッド部に溶着する方法や、特許文献1に示すような、複数の毛を束ねた毛束を2つ折りにして、折り目部分を、平線によってヘッド部の植毛穴に固定する方法などがある。上記特許文献1に示す植毛方法は、折り目の位置を調節することにより、毛束の一端と他端との間に段差をつけて二段植毛状態とすることができるとともに、植毛する前に毛先加工をしておくことで各毛先の形状の自由度を高くすることができる。
【0003】
歯ブラシは、歯面に付着した歯垢を除去するなど口腔内の清掃を行うことを主たる目的として使用される。歯垢の除去に大きな影響を与えるのがブラシ部の形状、特に、ヘッド部に植毛された複数の毛束の先端を結ぶ面の形状である。生産されている歯ブラシの複数の毛束の先端を結ぶ面の形状を大別すると、歯ブラシを側面側から見た形状が、直線型、凸彎型、凹彎型などがある。これらのブラシ部の複数の毛束の先端を結ぶ面の形状には改善すべき点があり、直線型の場合、凸曲面や凹部を有する臼歯および前歯や歯間部などとの接触が悪く、清掃力が劣る。また、凸彎型、凹彎型の場合、舌側の歯面と頬側の歯面のうち一方は清掃しやすいが、もう一方は清掃しにくい。
【0004】
これらの改善すべき点を改善した形状のブラシ部を備えた歯ブラシとして、例えば、特許文献2に示すような、歯ブラシのヘッド部の長さ方向における毛束列上端部の側面形状が、全体として中央部の毛束の上端部を頂点部分とする三角形状となるような山型の形状のブラシ部を備えた歯ブラシが提案されている。この歯ブラシを使用すれば、歯冠と歯冠との間の歯間部や歯冠の付け根部分である歯頸部などの、歯ブラシの毛束が到達しにくく磨きにくい部位を確実に磨くことができ、高い清掃効果を得ることができる。また、特許文献3に示すような、側面形状が、富士山のような山型の形状のブラシ部を備えた歯ブラシが提案されている。この歯ブラシを使用すれば、通常の磨き方で正常歯列だけでなく不正歯列の人にも、あるいは矯正治療中で装置を装着している人でも、歯肉が腫れている人でも口腔内の歯面、歯間部、歯頸部、咬合面、歯周ポケット内の清掃を痛がらずに1本の歯ブラシで効率的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−154900号公報
【特許文献2】特開2006−239045号公報
【特許文献3】実用新案登録第3143239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの山型形状のブラシ部を備えた歯ブラシは、接触時間が最も長い一番標高の高い部分つまり山型の頂点部分の毛の長さが最も長いため剛性が弱くなるので、曲がりくせがつきやすく、ブラシ部の形状が山型以外の形状である歯ブラシと比較して、使用可能期間が短かった。
【0007】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、山型の形状のブラシ部を備えた歯ブラシの毛の強度のばらつきを歯ブラシ全体として小さく、より好ましくは毛の強度を歯ブラシ全体として均一にすることができる歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、(a)複数の毛束が植毛されたヘッド部が先端に設けられ且つ把持部が基端に設けられた長手状の歯ブラシであって、(b)前記ヘッド部の植毛面は、先端に向かうに伴って上昇する第1傾斜面と該第1傾斜面に続いて先端に向かうに伴って下降する第2傾斜面との連なりによって山型に形成され、前記ヘッド部に植毛された複数の毛束の先端は、前記第1傾斜面および第2傾斜面の連なりに沿って山型とされていることにある。
【発明の効果】
【0009】
このように、前記第1発明によれば、前記ヘッド部の植毛面は、先端に向かうに伴って上昇する第1傾斜面と該第1傾斜面に続いて先端に向かうに伴って下降する第2傾斜面との連なりによって山型に形成され、前記ヘッド部に植毛された複数の毛束の先端は、前記第1傾斜面および第2傾斜面の連なりに沿って山型とされているものである。このようにすれば、ヘッド部の形状が山型でない場合に比べて、ブラシ部の形状が山型となるように植毛された毛束の長い毛束と短い毛束との長さの差が小さくなるので、毛の強度のばらつきを歯ブラシ全体として小さくすることができる。
【0010】
ここで、好適には、前記ヘッド部に植毛された複数の毛束の先端は、前記植毛面と平行とされている。このようにすれば、全体として毛の長さが同じになるので、毛の硬さも同じになり、毛の強度を全体として均一にすることができる。
【0011】
また、好適には、前記ヘッド部は、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との境界部分が最大高さとされ、該境界部分から前記長手方向に離れるほど低くされている。このようにすれば、ヘッド部の形状が山型でない場合に比べて、ブラシ部の形状が山型となるように植毛された毛束の長い毛束と短い毛束との長さの差が小さくなるので、毛の強度のばらつきを歯ブラシ全体として小さくすることができる。また、植毛後に毛をカットしなくとも山型の形状のブラシ部を形成することができるので、二段植毛を適用することができる。
【0012】
また、好適には、前記複数の毛束は、植毛長さ又は径が異なる2種類の毛を含む束からそれぞれ構成されている。このようにすれば、1種類の毛では毛先が接しにくいような歯間部や歯頸部などに毛先が到達しやすくなるので、口腔内をより清潔に清掃することができる。
【0013】
また、好適には、前記複数の毛束は、相互に植毛長さ又は径が異なる2種類の毛のうちの一方の毛の束および他方の毛の束からそれぞれ構成されている。このようにすれば、1種類の毛では毛先が接しにくいような歯間部や歯頸部などに毛先が到達しやすくなるので、口腔内をより清潔に清掃することができる。
【0014】
また、好適には、前記複数の毛束は、先端に向かうほど小径となるように形成された長毛と、該長毛よりも短く且つ先端形状が球面又は平面となるように形成された短毛とから構成されている。このようにすれば、長毛と短毛の長さの違いによって長毛が歯周ポケットを清掃するのと同時に、短毛が歯頸部を清掃することができるとともに、長毛と短毛の先端形状の違いによって長毛が歯周ポケットの清掃に適し、短毛が歯頸部の清掃に適するので、効率良く短時間で口腔内を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の歯ブラシを示す側面図である。
【図2】図1の実施例の歯ブラシのブラシ部を拡大して示した側面図である。
【図3】図2の歯ブラシのブラシ部のIII −III 視断面図である。
【図4】図1の実施例の歯ブラシのヘッド部に毛束を植毛する方法を説明するためにブラシ部の一部を拡大して示した拡大断面図である。
【図5】図1の実施例の歯ブラシの毛束を構成する毛の一端側である長毛を示す図である。
【図6】図1の実施例の歯ブラシの毛束を構成する毛の他端側である短毛を示す図である。
【図7】図1の実施例の歯ブラシの他の態様を示す歯ブラシのブラシ部の側面図であり、図2に相当する図である。
【図8】図7の態様の歯ブラシのヘッド部に毛束が植毛された状態を示すためにブラシ部の一部を拡大して示した拡大断面図であって、図4に対応する図である。
【図9】図1の実施例の歯ブラシの他の態様を示す歯ブラシのブラシ部の側面図であり、図2に相当する図である。
【図10】図1の実施例の歯ブラシの他の態様を示す歯ブラシのブラシ部の視断面図であり、図3に相当する図である。
【図11】図1の実施例の歯ブラシの他の態様を示す歯ブラシのブラシ部の視断面図であり、図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、歯ブラシ10の側面図であり、図2は図1の歯ブラシ10のブラシ部14を拡大して示した側面図であり、図3は図2のIII −III 視断面図である。歯ブラシ10は、複数本の毛24を束ねた複数の毛束22と複数の毛束22が植毛面20に植毛されたヘッド部12とからなるブラシ部14、歯ブラシ10を把持するための把持部18、およびヘッド部12と把持部18とを連結する小断面積のネック部16で構成されている。ヘッド部12は、複数の毛束22を植毛するための植毛面20を有し、図2に示すようにその植毛面20は歯ブラシ10の長手方向においてネック部16側からヘッド部12の先端に向うに伴って上昇する第1傾斜面20aと第1傾斜面20aに続いてヘッド部12の先端に向かうに伴って下降する第2傾斜面20bとから山型に形成されており、第1傾斜面20aと第2傾斜面20bとの境目に第1傾斜面20aと第2傾斜面20bとの連なりによって山型が形成されている。また、図3に示すように植毛面20は歯ブラシ10の幅方向においてヘッド部12の厚みおよび毛束22の長さが均一となるように形成されている。本実施例において、ヘッド部12の植毛面20の第1傾斜面20aおよび第2傾斜面20bには、歯ブラシ10の長手方向において図4に示すような形状の植毛穴26が各5列形成されており、各植毛穴26に1束ずつ毛束22を植毛することにより、ヘッド部12と複数の毛束22とからなるブラシ部14が形成されている。
【0018】
毛束22は、両端の形状が異なる毛24を複数本束ねて形成されており、その毛24の一端側は、先端に向かうほど小径となるような加工がされ、他端側は、何も加工されておらず、半球面又は平坦面の端面に形成されている。複数の毛束22は、歯ブラシ10全体を通して同一形状の毛24から形成されており、図4を用いて説明する方法によってヘッド部12に植毛されることで、ヘッド部12に植毛された複数の毛束22の先端を結ぶ面pは、植毛面20を形成する第1傾斜面20aと第2傾斜面20bと平行となり、複数の毛束22の先端の山型は第1傾斜面20aと第2傾斜面20bとの連なりによって形成される山型に沿った形状となるので、ブラシ部14の形状がヘッド部12の山型と同様の形状となる。
【0019】
図4は、図1の歯ブラシ10のヘッド部12に毛束22を植毛する方法を説明するためにブラシ部14の一部を拡大して示した拡大断面図である。毛束22は、2つ折りに折り畳んだ状態で植毛され、毛束22の折り目22aは、毛束22の両端から折り目22aまでの長さが所望の長さになるような位置で毛束22を2つ折りに折り畳むことによって形成されている。毛束22は、折り目22aから毛束22の一端までの長さと他端までの長さが異なる二段植毛状態にて植毛されており、本実施例では、長さが長い方がヘッド部12の植毛面20の第1傾斜面20aと第2傾斜面20bとの境目側となるような状態で折り目22aが植毛穴26に挿入されている。挿入後に、金属片や合成樹脂片などからなる平線から切断した矩形片28を折り目22aに向けて押入することで、毛束22が植毛穴26内に固定されることにより、毛束22は植毛される。毛束22を構成する毛24は、折り目22aからの長さが長い方を長毛24a、短い方を短毛24bとすると、長毛24aに前述で説明した先端に向かうほど小径となるような加工がされている。複数の毛束22は、各毛束22の同じ位置に折り目22aが形成されており、1種類の毛24で毛束22が構成されているので、各長毛24aの折り目22aからの長さは同じであり、同様に、各短毛24bの折り目22aからの長さも同じである。
【0020】
植毛穴26は、折り畳んだ毛束22に対応する形状でヘッド部12に複数形成されている。すなわち、植毛穴26の形状は、毛束22を構成する毛24の太さや本数および矩形片28の形状に合わせて形成される。矩形片28は、直方体形状をしており、毛束22が植毛穴26から抜けないように、矩形片28の図4における図面手前側および奥側の面を植毛穴26の内周面と面接触させ、図面下側の面で折り目22aを開口側から押さえるように押入される。
【0021】
図5は、図4の歯ブラシ10の毛束22を構成する毛24の長毛24aを示す図である。長毛24aへ行った先端に向かうほど小径となるような加工は、毛束22を植毛穴26に植毛する前に、アルカリなどの薬剤に各毛24の一端を浸すことで行われるものである。
【0022】
図6は、図4の歯ブラシ10の毛束22を構成する毛24の短毛24bを示す図である。短毛24bは、毛に何も加工をしていない状態である。すなわち、短毛24bの断面形状は先端からの距離に関わらず同じであり、先端は毛の長さを切り揃えたときの切り口のままである。
【0023】
上述のように、本実施例の歯ブラシ10によれば、ヘッド部12の植毛面20は、先端に向かうに伴って上昇する第1傾斜面20aとその第1傾斜面20aに続いて先端に向かうに伴って下降する第2傾斜面20bとの連なりによって山型に形成され、ヘッド部12に植毛された複数の毛束22の先端は、第1傾斜面20aおよび第2傾斜面20bの連なりに沿って山型とされているものである。このようにすれば、ヘッド部12の形状が山型でない場合に比べて、ブラシ部14の形状が山型となるように植毛された毛束22の長い毛束と短い毛束との長さの差が小さくなるので、毛24の強度のばらつきを歯ブラシ10全体として小さくすることができる。
【0024】
また、本実施例の歯ブラシ10によれば、ヘッド部12に植毛された複数の毛束22の先端pは、植毛面20と平行とされている。このようにすれば、全体として各長毛24aまたは各短毛24bの長さが同じになるので、各長毛24aまたは各短毛24bの硬さも同じになり、各長毛24aまたは各短毛24bの強度を歯ブラシ10全体として均一にすることができる。
【0025】
また、本実施例の歯ブラシ10によれば、ヘッド部12は、第1傾斜面20aと第2傾斜面20bとの境界部分が最大高さとされ、その境界部分から長手方向に離れるほど低くされている。このようにすれば、ヘッド部12の形状が山型でない場合に比べて、ブラシ部14の形状が山型となるように植毛された毛束22の長い毛束と短い毛束との長さの差が小さくなるので、毛24の強度のばらつきを歯ブラシ10全体として小さくすることができる。また、植毛後に毛24をカットしなくとも山型の形状のブラシ部14を形成することができるので、二段植毛を適用することができる。
【0026】
また、本実施例の歯ブラシ10によれば、複数の毛束22は、植毛長さ又は径が異なる長毛24aおよび短毛24bの2種類の毛を含む束からそれぞれ構成されている。このようにすれば、1種類の毛では毛先が接しにくいような歯間部や歯頸部などに毛先が到達しやすくなるので、口腔内をより清潔に清掃することができる。
【0027】
また、本実施例の歯ブラシ10によれば、複数の毛束22は、相互に植毛長さ又は径が異なる長毛24aおよび短毛24bの2種類の毛のうちの一方の毛の束および他方の毛の束からそれぞれ構成されている。このようにすれば、1種類の毛では毛先が接しにくいような歯間部や歯頸部などに毛先が到達しやすくなるので、口腔内をより清潔に清掃することができる。
【0028】
また、本実施例の歯ブラシ10によれば、複数の毛束22は、先端に向かうほど小径となるように形成された長毛24aと、その長毛24aよりも短く且つ先端形状が球面又は平面となるように形成された短毛24bとから構成されている。このようにすれば、長毛24aと短毛24bの長さの違いによって長毛24aが歯周ポケットを清掃するのと同時に、短毛24bが歯頸部を清掃することができるとともに、長毛24aと短毛24bの先端形状の違いによって長毛24aが歯周ポケットの清掃に適し、短毛24bが歯頸部の清掃に適するので、効率良く短時間で口腔内を清掃することができる。
【0029】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の実施例の説明において、実施例相互に共通する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0030】
図7は、本発明の他の実施例における歯ブラシ30を示す図であって、前述の実施例1の図2に対応する図である。図7において、本実施例のブラシ部32は、前述の実施例1における折り目22aから毛束22の端までの長さが長い方が、ヘッド部12の植毛面20の第1傾斜面20aと第2傾斜面20bとの境目側となるような状態で折り目22aが植毛穴26に挿入されていたブラシ部14に代えて、毛束22を90°回転させて、長い方が歯ブラシ30の側面側であって、図7における歯ブラシ30のブラシ部32の図面手前側となるように植毛される。その他の部分は同様に構成されている。
【0031】
図8は、図7の歯ブラシ30のヘッド部12に毛束22が植毛された状態を示すためにブラシ部32の一部を拡大して示した拡大断面図であって、前述の実施例1における図4に対応する図である。
【0032】
本実施例の歯ブラシ30において、ブラシ部32は前述の実施例と同様に第1傾斜面20aおよび第2傾斜面20bから形成される植毛面20を有し、ヘッド部12に植毛された複数の毛束22の先端を結ぶ面pが山型に形成されているので、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0033】
図9は、本発明の他の実施例における歯ブラシ40を示す図であって、前述の実施例1の図2に対応する図である。図9において、本実施例のブラシ部44のヘッド部42は、前述の実施例1における植毛面20のヘッド部12の厚み方向裏側の面がネック部16からヘッド部12の先端へ向ってまっすぐ伸びるように形成されたヘッド部12に代えて、植毛面20のヘッド部42の厚み方向裏側の面が、ヘッド部42の厚みがネック部16側からヘッド部42の先端まで略均一の厚みに形成されたものである。その他の部分は同様に構成されている。
【0034】
本実施例の歯ブラシ40において、ブラシ部44は前述の実施例と同様に第1傾斜面20aおよび第2傾斜面20bから形成される植毛面20を有し、ヘッド部42に植毛された複数の毛束22の先端を結ぶ面pが山型に形成されているので、前述の実施例と同様の効果が得られる。更に、ヘッド部42は実施例1および実施例2のヘッド部12に比べて厚みが薄いので、ひけによる凹みがなくより軽量に山型のヘッド部を有する歯ブラシを製造することができる。
【実施例4】
【0035】
図10は、本発明の他の実施例における歯ブラシ50を示す図であって、前述の実施例1の図3に対応する図である。図10において、本実施例のブラシ部52は、前述の実施例1における毛束22の長さが歯ブラシ10の幅方向において均一となるように毛束22が植毛されたブラシ部14に代えて、歯ブラシ50の幅方向において両端から中心に向うに伴って毛束の長さが長くなるように毛束が植毛された山型形状のものである。その他の部分は同様に構成されている。
【0036】
本実施例の歯ブラシ50において、ブラシ部52は前述の実施例と同様に第1傾斜面20aおよび第2傾斜面20bから形成される植毛面20を有し、ヘッド部12に植毛された複数の毛束22の先端を結ぶ面pが山型に形成されているので、前述の実施例と同様の効果が得られる。更に、幅方向においてもヘッド部12に植毛された複数の毛束の先端を結ぶ面は山型に形成されているので、歯ブラシの毛先が到達しにくく磨きにくい部位をより確実に磨くことができ、口腔内をより清潔に清掃することができる。
【実施例5】
【0037】
図11は、本発明の他の実施例における歯ブラシ60を示す図であって、前述の実施例1の図3に対応する図である。図11において、本実施例のブラシ部64のヘッド部62は、前述の実施例1におけるヘッド部12の厚みが歯ブラシ10の幅方向において均一となるように形成された植毛面20を有するブラシ部14のヘッド部12に代えて、歯ブラシ60の幅方向においてヘッド部62の一端から他端に向うに伴って上昇する第1幅方向傾斜面66aa(第3幅方向傾斜面66ba)と第1幅方向傾斜面66aa(第3幅方向傾斜面66ba)に続いてヘッド部62の他端に向かうに伴って下降する第2幅方向傾斜面66ab(第4幅方向傾斜面66bb)とから山型に形成されており、第1幅方向傾斜面66aa(第3幅方向傾斜面66ba)と第2幅方向傾斜面66ab(第4幅方向傾斜面66bb)との境目に第1幅方向傾斜面66aa(第3幅方向傾斜面66ba)と第2幅方向傾斜面66ab(第4幅方向傾斜面66bb)との連なりによって山型が形成されている植毛面66を有するものである。その他の部分は同様に構成されている。なお、以下において前述の実施例の第1傾斜面20aに相当する植毛面66の第1幅方向傾斜面66aaおよび第2幅方向傾斜面66abからなるものを第1傾斜面66aとし、前述の実施例の第2傾斜面20bに相当する植毛面66の第3幅方向傾斜面66baおよび第4幅方向傾斜面66bbからなるものを第2傾斜面66bとする。
【0038】
本実施例の歯ブラシ60において、ブラシ部64は前述の実施例と同様に第1傾斜面66aおよび第2傾斜面66bから形成される植毛面66を有し、ヘッド部62に植毛された複数の毛束の先端を結ぶ面pが歯ブラシ60の長手方向において山型に形成されているので、前述の実施例と同様の効果が得られる。更に、幅方向においてもヘッド部62に植毛された複数の毛束の先端を結ぶ面は山型に形成されているので、歯ブラシ60の毛先が到達しにくく磨きにくい部位をより確実に磨くことができ、口腔内をより清潔に清掃することができる。また、幅方向においてヘッド部の形状が山型でない実施例4の歯ブラシ50に比べて、ブラシ部64の形状が幅方向において山型となるように植毛された毛束22の長い毛束と短い毛束との長さの差が小さくなるので、毛24の強度のばらつきを歯ブラシ10全体として小さくすることができる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施される。
【0040】
例えば、前述の実施例の歯ブラシ10、30、40、50、60において、ヘッド部12、42、62の植毛面20、66の第1傾斜面20a、66aおよび第2傾斜面20b、66bには、歯ブラシ10、30、40、50、60の長手方向において植毛穴26が各5列形成されていたが、列の数はその数に限られず、また、第1傾斜面20a、66aと第2傾斜面20b、66bとの植毛穴26の列数が同数でなくてもよい。
【0041】
また、前述の実施例の歯ブラシ10、30、40、50、60のヘッド部12、42、62の植毛面20、66は、先端に向かうに伴って上昇する第1傾斜面20a、66aと第1傾斜面20a、66aに続いて先端に向うに伴って下降する第2傾斜面20b、66bとの連なりによって山型に形成されているが、それらの傾斜面の角度は自由に定めることができる。また、それらの傾斜面は直線状の面に限られず、カーブ状の凸面または凹面であってもよい。また、その山型は、たとえば、第1傾斜面20a、66aと第2傾斜面20b、66bとの間に平坦面が設けられた富士山型であってもよい。
【0042】
また、前述の実施例の歯ブラシ10、30、40、50、60のヘッド部12、42、62の植毛面20、66は、歯ブラシ10、30、40、50、60の長手方向において山型に形成されていたが、幅方向において山型に形成されてもよい。
【0043】
また、前述の実施例の歯ブラシ10、30、40、50、60の植毛方法は、前述の図4を用いて説明した方法に限られず、例えば、毛束22を折り畳むことなく、毛束22の一端を加熱して溶融し、その加熱溶融した側の端部をヘッド部12、42、62に設けた植毛穴26へ挿入し、ヘッド部12、42、62に溶着するような方法であってもよい。
【0044】
また、前述の実施例の歯ブラシ10、30、40、50、60の毛束22は、折り目22aから毛束22の一端までの長さと他端までの長さが異なる二段植毛状態にて植毛されていたが、折り目22aから毛束22の一端までの長さと他端までの長さを同じとする状態で植毛されてもよい。
【0045】
また、前述の実施例の歯ブラシ10、30、40、50、60の毛束22の毛24の長毛24aは、先端に向かうほど小径となるような形状に加工をし、短毛24bは、何も加工をしていなかったが、長毛24aが歯周ポケットを清掃し、短毛24bが歯頸部を清掃するように植毛されていれば、それ以外の形状に加工されていてもよい。
【0046】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【符号の説明】
【0047】
10、30、40、50、60:歯ブラシ
12、42、62:ヘッド部
18:把持部
20、66:植毛面
20a、66a:第1傾斜面
20b、66b:第2傾斜面
22:毛束
24:毛
24a:長毛
24b:短毛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の毛束が植毛されたヘッド部が先端に設けられ且つ把持部が基端に設けられた長手状の歯ブラシであって、
前記ヘッド部の植毛面は、先端に向かうに伴って上昇する第1傾斜面と該第1傾斜面に続いて先端に向かうに伴って下降する第2傾斜面との連なりによって山型に形成され、
前記ヘッド部に植毛された複数の毛束の先端は、前記第1傾斜面および第2傾斜面の連なりに沿って山型とされていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記ヘッド部に植毛された複数の毛束の先端は、前記植毛面と平行とされていることを特徴とする請求項1の歯ブラシ。
【請求項3】
前記ヘッド部は、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との境界部分が最大高さとされ、該境界部分から前記長手方向に離れるほど低くされていることを特徴とする請求項1の歯ブラシ。
【請求項4】
前記複数の毛束は、植毛長さ又は径が異なる2種類の毛を含む束からそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の歯ブラシ。
【請求項5】
前記複数の毛束は、相互に植毛長さ又は径が異なる2種類の毛のうちの一方の毛の束および他方の毛の束からそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の歯ブラシ。
【請求項6】
前記複数の毛束は、先端に向かうほど小径となるように形成された長毛と、該長毛よりも短く且つ先端形状が球面又は平面となるように形成された短毛とから構成されていることを特徴とする請求項4又は5の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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