説明

歯ブラシ

【課題】
【解決手段】 ブラシ、より詳細には歯ブラシが、接合部(3)を通じて相互接続される上部(1)及び下部(2)を備える。液状又はペースト状の薬剤、より詳細には歯磨き粉のための貯蔵室(6)が下部(2)に提供され、ブラシヘッド(4)が上部(1)に配置される。チャネル(11)が貯蔵室(6)とブラシヘッド(4)との間に延び、貯蔵室(6)からブラシヘッド(4)への当該チャネル(11)は常に開いている。上部(1)及び下部(2)が接合部(3)を介して相互接続される耐屈曲性壁部分(16、17)を有する。貯蔵室(6)の壁部分(13)を形成する弾性壁部分(13)が耐屈曲性壁部分(16、17)の間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ、より詳細には歯ブラシであって、接合部を通じて相互接続される上部及び下部を備え、液状又はペースト状の薬剤、より詳細には歯磨き粉のための貯蔵室が下部に提供され、ブラシヘッドが上部に配置され、チャネルが貯蔵室とブラシヘッドとの間に延びる、ブラシに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
このような歯ブラシは、欧州特許第933044A号から既知である。この歯ブラシの欠点は、相対的に多くの部品から成り、それによって、製造に費用がかさむことである。
したがって、本発明の目的は少ない部品から成り、それによって、製造するのがより単純で、安価な歯ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、上述の種類の歯ブラシにより、材料がブラシヘッドから貯蔵室へと流れるのを防ぐデバイスがチャネルに設置され、上部及び下部が接合部を介して相互接続される耐屈曲性壁部分を有し、貯蔵室の壁部分を形成する弾性壁部分が耐屈曲性壁部分の間に配置されることによって解決される。このようなデバイスは、非常に簡単に取り付けることができる。
【0004】
本発明の好ましい一実施の形態は、上部の反対側にある貯蔵室は、上部の方向にのみ動くことができる基部によって画定されること、貯蔵室からブラシヘッドへのチャネルは常に開いていること、チャネルの断面が次第に小さくなることであって、それによってブラシヘッド方向における基部の運動抵抗よりも大きい流動抵抗を生成する、小さくなることを特徴とする。このように、薬剤の貯蔵室への逆流が阻害される。
【0005】
ポンププロセスは、欧州特許第933044A号より既知であるように、下部に対して上部を枢動させることによって実行される。下部に対して上部を枢動させることによって、貯蔵室が弾性壁部分領域において小さくなり、それによって、薬剤がチャネルを通じてブラシヘッドに押し出される。
【0006】
貯蔵室をブラシヘッドに接続するチャネルが最適な大きさであれば、バルブ又は同様の固定具は全く必要とされない。チャネルは、使用する薬剤の所望の粘度で、ポンププロセス後に下部に対して上部の曲げを元に戻したとき又は延ばしたときに薬剤の過度の逆流を防ぐのに十分な流動抵抗が存在するだけの狭さのチャネルのみを少なくとも部分的に有しなければならない。
【0007】
代替的に、バルブを上部に取り付けることも可能である。
【0008】
上部を曲げから戻したときに貯蔵室の容量が再び増加するため、適切な手段によって容量を補正しなければならない。例えば、上部の反対側の貯蔵室を、もしそうでなければ薬剤がチャネルから再び吸い戻されるために上部方向にのみ動作可能である基部によって画定することによって補正する。
【0009】
信頼のできるポンプ効果を確実にするために、上部及び下部は、接合部を介して相互接続される耐屈曲性壁部分を備え、当該耐屈曲性壁部分の間には弾性壁部分が配置される。
【0010】
構造が単純で製造が簡単である本発明の一実施の形態では、耐屈曲性壁部分及び接合部は一体型部品から形成される。したがって、耐屈曲性壁部分及び接合部は、単一の射出成形プロセスにおいて製造することができ、接合部は、既知の方法、例えば、フィルムヒンジとして実行することができる。
【0011】
本発明の好ましい一実施の形態では、チャネルは、耐屈曲性壁部分及び弾性壁部分によって直接画定される。すなわち、耐屈曲性壁部分と弾性壁部分との間にさらなる保護層又は分離層が存在せず、これによって製造がさらに単純化される。
【0012】
特に好ましい一実施の形態では、耐屈曲性壁部分を有する上部及び下部は、一体型部品から形成されるとともに、貯蔵室又はチャネルを画定する。
【0013】
下部、上部、また接合部が一体型部品から形成される場合、最も単純な実施の形態では、ブラシ全体が、動作可能な基部及びブラシヘッド上の毛束以外は、単一の部品から形成することができ、当該単一の部品には弾性壁部分のみ取り付ける必要があり、これは第2の射出成形プロセスによって、簡単に実行することができる。
【0014】
接合部の幅は、特に上部及び下部の直径及び長さによって決まり、さらに、当然横方向の曲げに関する接合部の所望の安定性によって決まる。本発明において、接合部の幅が下部の直径の1/6から1/2、好ましくは約1/3であり、且つ/又は、接合部の幅が上部の直径の1/5から2/3、好ましくは約1/2であることが好ましい。こうした大きさは、同様のブラシの通常の大きさで、十分な接合部の安定性とブラシの機能性を保証する。
【0015】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図面を参照しつつ、以下の、本発明の好ましい例示的な実施形態から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるブラシの断面図である。
【図2】後ろから見た、接合部領域のブラシの中心部を示す図である。
【図3】側面から見た、接合部領域のブラシの中心部を示す図である。
【図4】上から見た、接合部領域のブラシの中心部を示す図である。
【図5】ポンププロセスのために曲げられている時のブラシを示す図である。
【図6】ポンププロセスのために曲げられている時のブラシの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明によるブラシは、接合部3を介して相互接続する上部1及び下部2を備える。上部1及び下部2は硬く耐屈曲性の材料、たとえばポリプロピレンから成り、好ましくは、フィルムヒンジの形態で形成することができる接合部3を有して一体形成される。毛束5を備えるブラシヘッド4が上部1の上端に位置し、毛束5の数及び長さは、それぞれの場合において所望の意図された用途によって決まる。
【0018】
下部2は円筒形であり、基部又はピストン7によって上部1の反対側において画定されている貯蔵室6を内包する。基部7は理想的には、下部2の壁の内側表面8上に摺動する部分であり、例えば、内側表面8上の適切な形状のリブ及び/又はつめ9等によって、上部1に向かって矢印10の方向にのみ動作可能であり、リブ及び又はつめ9によって他の方向へのいかなる動作も妨げられる。
【0019】
上部1は、ブラシヘッド4に向かって細くなり、貯蔵室6からブラシヘッドに延びて端部18で最も断面が小さくなるチャネル11を画定する。所望の場合には、小型の弾性のあるチューブ12の形態でチャネル11の先端に延長部分を提供することもできる。それは、一方では追加でチャネル11に関する流動抵抗を調整するためであり、他方では、毛束5の先端に向かって薬剤を搬送することができるようにするためである。ともに折りたたむのに十分な弾性がある場合、小型チューブは、バルブに類似した機能を有することができる。
【0020】
弾性壁部分13は、硬く耐屈曲性の上部1及び下部2の間に、接合部3領域に位置し、一方では、当該弾性壁部分は、上部1の耐屈曲性壁部分16のエッジ14、及び下部2の耐屈曲性壁部分17のエッジ15と隣接し、他方では、接合部13と隣接する。例えば熱可塑性エラストマーから成る弾性壁部分13は、既知の射出成形プロセスによって壁部分16及び17上に直接成形することができ、したがって分離不能に壁部分に接続することができる。
【0021】
ある特定の分量の薬剤、例えば歯磨き粉を貯蔵室6からブラシヘッド4又は毛束5に搬送するために、図5及び図6に示すように上部1は下部2に対して曲げられる。この場合、上部1は接合部3において下部2に対して曲がり、弾性壁部分13と並び、エッジ14と隣接する耐屈曲性の硬い部分16も、貯蔵室6に向かって、ある程度押す。基部7は下方に動くことができないため、薬剤はチャネル11及び小型のチューブ12を通じて、毛束5へ又は毛束5の間へと押し出される。上部1が解放されると、上部1は弾性壁部分13によって最初の位置に戻り、それによって弾性壁部分13は同時に外側に向かって動き、したがって貯蔵室6の容量が増加する。チャネル11の流動抵抗、図示する例示的な実施形態においてはまず第一にブラシヘッド4領域における流動抵抗が非常に大きいため、薬剤はチャネル11を通じて吸い戻されない。逆に、基部7の流動抵抗及び運動抵抗は互いに調整されて、基部7は矢印10の方向に少し吸い込まれる。
【0022】
図1、図3、及び図6では図示されていないが、接合部3と隣接する上部1及び下部2の耐屈曲性壁部分は、ほぼ壁部分の壁の厚さだけ互いにオフセットである。この構成は、本発明によるブラシのポンプ効果を向上させる。しかしながら、壁部分が、図面に示すよりも互いに大きく又は小さくオフセットであることもまた考えられる。壁部分が接合部3領域において互いに同一平面をなすよう位置合わせすることもまた可能である。
【0023】
図示される例示的な実施形態では、チャネル11の流動抵抗はまず第一に、ブラシヘッド4領域の流動抵抗によって決定される。当然、例えばバルブ等の、チャネル11における流動抵抗に影響を与える手段を、代替的に又は追加でチャネル11の他の場所に加えることも可能である。
【0024】
例えばチャネルが空の新しいブラシに初めて薬剤を注入する時に問題が発生した場合、薬剤がチャネル11に吸い戻されないが、基部7が矢印の方向へ吸い戻されるほどチャネル11の逆流抵抗が大きくなるまで、基部7を押してチャネル11を充填することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ、より詳細には歯ブラシであって、接合部(3)を通じて相互接続される上部(1)及び下部(2)を備え、液状又はペースト状の薬剤、より詳細には歯磨き粉のための貯蔵室(6)が前記下部(2)に提供され、ブラシヘッド(4)が前記上部(1)に配置され、チャネル(11)が前記貯蔵室(6)と前記ブラシヘッド(4)との間に延びるブラシであって、前記材料が前記ブラシヘッド(4)から前記貯蔵室(6)へと流れるのを阻害する又は防ぐデバイスが前記チャネル(11)に設置され、前記上部(1)及び前記下部(2)が前記接合部(3)を介して相互接続される耐屈曲性壁部分(16、17)を有し、前記貯蔵室(6)の壁部分(13)を形成する弾性壁部分(13)が前記耐屈曲性壁部分(16、17)の間に配置されることを特徴とする、ブラシ。
【請求項2】
前記上部(1)の反対側にある前記貯蔵室(6)は、前記上部(1)の方向にのみ動くことができる基部(7)によって画定されることを特徴とする、請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記貯蔵室(6)から前記ブラシヘッド(4)への前記チャネル(11)は常に開いていること、且つ、前記チャネルの断面が次第に小さくなることであって、それによって前記ブラシヘッド(4)の方向における前記基部の運動抵抗よりも大きい流動抵抗を生成する、小さくなることを特徴とする、請求項2に記載のブラシ。
【請求項4】
前記耐屈曲性壁部分(16、17)及び前記接合部(3)は、一体型部品から形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項5】
前記チャネル(11)は、前記弾性壁部分(13)によって直接画定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項6】
前記耐屈曲性壁部分(17)を有する前記下部(2)は、一体型部品から形成されるとともに前記貯蔵室(6)を画定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項7】
前記耐屈曲性壁部分(16)を有する前記上部(1)は、一体型部品から形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項8】
前記耐屈曲性壁部分(16、17)、前記接合部(3)、及び前記弾性壁部分(13)は、射出成形プロセスによって分離不能に相互接続されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項9】
前記耐屈曲性壁部分(16、17)は、接合部(3)領域において、互いにほぼ位置合わせされていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項10】
前記上部(1)の前記耐屈曲性壁部分(16)は、前記接合部(3)領域において、前記下部(2)の前記耐屈曲性壁部分(17)に対して、前記下部(2)の縦軸方向にオフセットであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項11】
前記上部(1)の前記耐屈曲性壁部分(16)は、前記接合部(3)領域において、前記下部(2)の前記耐屈曲性壁部分(17)に対して、ほぼ前記壁部分(16、17)の壁の厚さだけ前記ブラシの中心に向かってオフセットであることを特徴とする、請求項10に記載のブラシ。
【請求項12】
前記接合部(3)の幅が前記下部(2)の直径の1/6から1/2、好ましくは約1/3であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項13】
前記接合部(3)の幅が前記上部(1)の直径の1/5から2/3、好ましくは約1/2であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のブラシ。
【請求項14】
バルブ(11)が前記チャネルに配置されることを特徴とする、請求項1、2、又は4〜13のいずれか一項に記載のブラシ。

【図1】
image rotate

【図2.4】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−505742(P2013−505742A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530051(P2012−530051)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000352
【国際公開番号】WO2011/035359
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512079381)
【氏名又は名称原語表記】Rene Habinger
【住所又は居所原語表記】Hernalsergurtel 34/22, A−1090 Vienna Austria
【Fターム(参考)】