説明

歯周病確定装置

歯周病確定装置

【課題】
白血球の浸潤(遊走)をもとに歯周病の確定を行うことを課題のひとつとする。
また白血球や微生物の定量計測により歯周病の診断に役立てる。

【解決手段】
主に規格化位相差顕微鏡装置にて行う。
また各歯周病診断の手段を使用することにより前記課題を解決する。
特に白血球残骸(速度のひとつ)による診断が特徴のひとつである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周病の診断などに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来には、このような技術は、なかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の診断では、歯周病の確定診断が全くできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1〔請求項1の手段〕
請求項1の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)へ遊走(分泌)する新好中球の遊走速度(分泌速度)であるNvax(t)値を求めるNvax手段を有する事を特徴とする。


2〔請求項2の手段〕
請求項2の歯周病確定装置は、
旧好中球の生成速度であるOvax(t)値を求めるOvax手段を有する事を特徴とする。

3〔請求項3の手段〕
請求項3の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)へ遊走(分泌)する新好中球の遊走個数(分泌個数)であるRefNx(t)値を求めるRefNx手段を有する事を特徴とする。

4〔請求項4の手段〕
請求項4の歯周病確定装置は、
旧好中球の生成個数であるRefOx(t)値を求めるRefOx手段を有する事を特徴とする。

5〔請求項5の手段〕
請求項5の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)での新好中球数であるNpocx(t)値を求めるNpocx手段を有する事を特徴とする。

6〔請求項6の手段〕
請求項6の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)での旧好中球数であるOpocx(t)値を求めるOpocx手段を有する事を特徴とする。

7〔請求項7の手段〕
請求項7の歯周病確定装置は、
旧好中球または新好中球の劣化時定数によるタイムスケール手段を有する事を特徴とする。

8〔請求項8の手段〕
請求項8のRefNx手段は、
a因子手段、b因子手段、c因子手段のいづれかまたはその組み合わせを備えることを特徴とする。

9〔請求項9の手段〕
請求項9の歯周病確定装置は、少なくとも定量化規格化位相差顕微鏡装置を備える事を特徴とする。

10〔請求項10の手段〕
請求項10の歯周病確定装置は、
採取定量化手段を備えることを特徴とする。

【発明の効果】
【0005】
1〔請求項1の作用および効果〕
請求項1の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)へ遊走(分泌)する新好中球の遊走速度(分泌速度)であるNvax(t)値を求めるNvax手段を有する事を特徴とするので、
新好中球の歯周ポケット(内)への遊走速度(分泌速度)がわかる。

2〔請求項2の作用および効果〕
請求項2の歯周病確定装置は、
旧好中球の生成速度であるOvax(t)値を求めるOvax手段を有する事を特徴とするので、
旧好中球の生成速度がわかる。

3〔請求項3の作用および効果〕
請求項3の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)へ遊走(分泌)する新好中球の遊走個数(分泌個数)であるRefNx(t)値を求めるRefNx手段を有する事を特徴とするので、
新好中球の歯周ポケット(内)への遊走個数(分泌個数)がわかる。

4〔請求項4の作用および効果〕
請求項4の歯周病確定装置は、
旧好中球の生成個数であるRefOx(t)値を求めるRefOx手段を有する事を特徴とするので、
旧好中球の生成個数がわかる。

5〔請求項5の作用および効果〕
請求項5の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)での新好中球数であるNpocx(t)値を求めるNpocx手段を有する事を特徴とするので
歯周ポケット(内)での新好中球数がわかる。

6〔請求項6の作用および効果〕
請求項6の歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)での旧好中球数であるOpocx(t)値を求めるOpocx手段を有する事を特徴とするので
歯周ポケット(内)での旧好中球数がわかる。

7〔請求項7の作用および効果〕
請求項7の歯周病確定装置は、
旧好中球または新好中球の劣化時定数によるタイムスケール手段を有する事を特徴とするので
感染などの起きた時間がわかる。

8〔請求項8の作用および効果〕
請求項8のRefNx手段は、
a因子手段、b因子手段、c因子手段を備えることを特徴とするので、抗原因子、防御因子、サイトカイン因子などがわかる。

9〔請求項9の作用および効果〕
請求項9の歯周病確定装置は、
微生物や生体組織などの観察物の長さ、大きさ、太さ、容量、個数、密度などの定量化ができる。

10〔請求項10の作用および効果〕
請求項10の歯周病確定装置は、
定量的なサンプリングができるので、定量的な計測ができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の歯周病確定装置を、図1〜図128に示す実施例または変形例に基づき説明する。
【0007】
〔実施例の構成〕
図1において歯周病確定装置は、
Nvcx手段, RefNx手段, Npocx手段、Ovcx手段, RefOx手段, Opocx手段
のいづれかまたはその組み合わせを少なくとも備える。
【0008】
[動作]
a因子の値を代入する。すると
Nvcx, RefNx, Npocx
Ovcx, RefOx, Opocx
が判明する。
【0009】
具体的には、以下のごとくである。
【0010】
Part1
歯周病の発症 治癒 の判別など歯周病確定
Part101 従来の診断基準の刷新の必要性
1――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1.臨床家として最も困っている歯周病診断の現状

現在の所、歯周病の始まりと治癒の判断、つまり歯周病の確定診断に対する基準は明確に提示されていないのが現状である。 すなわち明確な診断ができていないので、その処置(治療、予防、メインテナンスなど)も非常に曖昧となっており、歯周病でもないのに歯周外科をほどこすなどのオーバートリートメントや歯周病が進行しているのに気がつかなく歯周病が悪化してゆくなどのアンダートリートメント、さらには保険システムの申請の曖昧性(たとえば歯周病でないのに歯周病で申請する事になるなど)も生じており、非常に大きな経済的、社会的、および人道的問題を生じているが、その事実すら浮かび上がってきていないのが現状と思われる。
現在歯周病の明確な判定基準がないので、その為、一例として国際分類にしたがっての診断に落ち着いてしまっている。 参考文献1) 1999 International Workshop for a Classification of Periodontal Diseases and Conditions〈The American Academy of Periodontology〉

こういった現状により、日常の臨床は、つねに混乱の中にあるといってもよい、歯周炎Periodontitis、と歯肉炎Gingivitisとでは、根本的に治療、予防方針がちがうし、また歯周炎が治癒しているかいなかも不明であれば、切るべきか、切らないべきかも判断に迷うのである。 一例としてポケットが深ければ、切るという従来の診断では、治療のために外科手術をするという事になるが、実際は、予防的に手術をする場合も含まれているわけである。ここで治療目的に外科手術をするのか、予防目的に外科手術をするのかでは、自ずと患者の選択がちがってくるのは容易に想像がつく。治癒しているかいないかの判断ができていない現状では、患者の認識では治療目的で外科手術をするという認識でしかない。予防的な手術はしないという患者の要望は、現在のところ聞き入られられないのと同じである。すなわち患者にとって治療目的な外科手術は、受けいられやすいが、予防目的の外科手術は受けいられにくいのが一般的であるからである。
また、エンドレスの治療が続いていくといった奇妙な現象も起こりがちなのである。この場合、歯科医院での治療をキャンセルしたり、歯科医院からのリコール、定期検診を無視したりする患者において、中にはなにも病状の悪化がみられない場合などにおいては、歯科医に不信感をもつ患者がいる可能性は大きい。 さらに患者側の立場からすれば、主治医を選ぶ時の選択基準が曖昧な情報を元にしなければならないということである。セカンドオピニオンも曖昧なのである。あなたの主治医の歯周予防、処置は、いったいどの程度なのでしょうか??? 真の腕は???

このような問題を解消するためには、歯周病(Periodontitis)の有無、程度、治癒などの確定診断が必要である。

【0011】
Part2
Part201
2−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2.従来の診断方法を列挙、その長短所

今現在、一般的に知られ使用されている歯周病診断は次に記す項目などがある。
1 ポケットの深さ
2 アタッチメントレベル
3 歯槽骨の吸収 歯槽骨レベル
4 動揺度
5 出血
6 排膿、滲出液の有無、量
7 歯肉の退縮
8 ステップリングの消失
9 歯間乳頭の発赤・膨張
10 歯肉炎指数
11 口臭
12 嫌気性菌の培養(特に歯周病菌の培養)
13 黒色色素生産性数(BPB)
14 ポッケット内の微生物数、総細菌数、細菌叢(スピロヘータ、運動性桿菌の割合など)
15 スピロヘーター数
などがある。
1〜8は、目視レベルでの診断であり、またすでに歯周炎症(Periodontitis)が起きてしまっている状態、つまり炎症の開始かなり後の所見でしかない。さらに5,6,8以外は、治療後も痕跡としてのこる場合が多い。
また、う蝕、う蝕巣の菌、咬合・補綴物・悪癖などの関係から見て、それらの炎症の原因が真に歯周病によるものであるかは断定できない。
11は炎症の開始とは無関係の場合がほとんどで、さらに消化器、呼吸器、鼻腔の臭い、心理臭があり、歯周病のみの判定とはならない。結果的に口臭は、慢性歯周炎症(chronic Periodontitis)がひどい場合は、ほとんどすべてで口臭が存在するという程度である。
12〜15では培養や顕微鏡を使用し、原因となる菌類に対して言及しているが、それらの有・無・多・少は診ることが可能だが、果たしてその結果、歯周病が始まっているかは判断ができない。
なぜなら、菌類が多く存在していても生体自身の、上皮の新陳代謝、免疫、抗体などの防御力が勝っていれば炎症は始まらないからである。ただ、リスクは高いとは言える。

一方、炎症性細胞浸潤に的を絞って病理学的に歯周炎を診断しようとする以下の試みなどがある。
1 白血球の個数 バイアス問題あり。
2 好中球の個数 バイアス問題あり。
3 多形核白血球の遊走能、貪食能、殺菌能、H2O2産生能、補体レセプター、Fcレセプターの機能計測
4 マクロファージの個数
5 リンパ球の有・無・個数
6 好中球・単球の遊走能
などがあるが、白血球の個数による評価の不安定性、そして生理的Migarationという言葉さえできあがっていき、そしていつのまにか白血球による診断は、どこかへと消え去っていった。
【0012】
Part3 & Part4
Part301

[経緯] 代表症例
そのような中で、新旧白血球をほぼ観察されない状態へ処置できた症例などを発端として種々な事実が浮上してきた。

material method
material
規格化位相差顕微鏡 DIN40倍対物に1/3インチCCD(S-Video,720×480)の組み合わせ
探針 No9など、 カバーグラス、 スライドグラス

method
1 縁上プラークを綿球などで除去する。
2 探針(No9など)、キュレットなどで液相も含む縁下プラークを採取する。
3 バッドに水を出しピンセットで水を摘まんでスライドガラスにのせる。
(スポイトにて3μl〜5μl程度の水をのせても良い。)
さらにスポイトにて水を定量のせ、深さ一定の窓つきカバーグラスを使用するとさらによい。なおピンセットでも同一のピンセットにて同一量の水を定量しても良い。
4 カバーグラスをのせ、圧接する。
5 規格化位相差顕微鏡で観察する。
以上非常に簡単な操作で誰でも、簡単にできる作業である。

症例1:検査時に、白血球の破壊産物のみが計測された症例 (Type1→2→3(5))
(図表のType数字は、ローマ数字であるが、ここではアラビア数字で記載。後も同様である。)
(後述の式群により明らかになるが、白血球の残骸が最も厳しい評価となる。)
症例1は、検査時に、白血球の破壊産物のみが計測され、その他「(新)好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」は計測されなかった。
この症例では、検査(図41〜図45)後の約1ヶ月半後に「P急発症状(歯周病の一病態)」が発症した。これは、ポケット量内単発(複)感染が生じているリスク状態であったものが、防御因子であるb因子(バリア因子)の減少または、微生物の数の上昇または、病原性の上昇、すなわちa因子の上昇によりポケット量外単発(複)感染を生じた可能性を示唆していると考えられる症例である。
(図7のType2からType3への移行型、当初Type1も起こしていたかもしれない。)

ここで、劣化時定数の項に記載の残骸の計測における特徴的な診断を参照すると、
程度の大きい歯周病であれば、生きた状態の「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」特に好中球を比較的容易に計測することが可能である。しかし、程度の小さい歯周病であれば、生きた状態の「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」、特に好中球においても、その濃度は小さく、「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」を容易に計測することができない場合が生じる。
歯周ポケットに現れた「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」は、歯周ポケット内で死滅し、歯周ポケット内で残骸となって残る。(図7の類型1、Type1、グラフ1など)
このため、程度の小さい歯周病に感染している状態であっても、歯周ポケット内に多くの「好中球」「リンパ球」「形質細胞」の残骸、即ち「白血球の破壊産物」が蓄積される。このように歯周病に感染すると、歯周ポケット内には多くの「白血球の破壊産物」が蓄積されていく。(図7の類型4グラフ4、類型2グラフ2、 参照)このため、歯周病に感染した患者の歯周ポケットからは、多くの「白血球の破壊産物」が採取される。(図80 〜図93などの症例写真)
さらに厳密には、縁下(根面)プラークの表層には、抗原に引き寄せられた白血球が層をなしている場合が多いので、縁下歯垢表層には、小さな歯周病でも、歯周ポケット液相より多い新好中球や、さらに多くの「好中球」「リンパ球」「形質細胞」の残骸、即ち「白血球の破壊産物」が蓄積され、さらに高感度にて計測ができる場合がある。このような状態の場合さらに非常に厳しい診断基準となる。
( 図96〜図104などの症例写真 )
すなわち歯周病に感染した場合、歯周病の程度が低い場合であっても、このようにして採取物中に多くの「白血球の破壊産物」が蓄積されるから、採取した採取物から容易に「白血球の破壊産物」を計測することが可能となり、その結果、容易に程度の小さい歯周病までも判断することができるのである。
このようにして、白血球とくに好中球の残骸を計測、観察することは、既存の診断技術では判断不可能であった「初期の歯周病」、「完全に治癒していない歯周病」までも判断することのできる優れた手法であることが判ると思う。これは、歯周病の判定に関して最も厳しい判定基準であることを意味している。もちろん生理的Migrationの議論があるとしても、白血球が見つからなければ最高の処置である事を示唆する最も厳格な基準となる。もちろん感度問題、そして検査における陰性問題は、常に検討する事は必要であるが、、、




症例2:明らかに歯周病に感染していた症例の治癒過程 (Type5(3)→2→1→異常なし)
症例2は、「P急発症状(歯周病の一病態)」を発症しており、治療を行ったものであり、
治療および予防処置を行い、その約2ヶ月後に検査(図46〜図47)を行った。この処置開始後約2ヶ月後の検査時(図46〜図47)には、白血球の破壊産物が観察されたため、その後さらに続いて予防処置を行い、さらに約3ヶ月後に既存の検査手法で一応の確認をするとともに、白血球の破壊産物が観察されなくなったことを確認した。(図48〜図50)
これは、P急発すなわちポケット量外単発感染(もしくはポケット量外単発複感染)を処置して、量的または/と回数的にポケット量内単発複感染が減少してゆく症例と考えられる。
{ 図7のType5(またはType3)を起こし、Type2へ移行し、その後にType1へ移行していった例と考えられる。)

症例3:歯周病の履歴、病痕が無い症例の一部、異常所見なし
症例3は、見るからに健康な歯肉(臨床所見上健全)の患者であり、歯周病の履歴、病痕(ポケット深さ3mm以内、歯槽骨吸収が無い)が無く、既存の検査手法での歯周病はみあたらず、本検査を実施しても「(新)好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」「白血球の破壊産物」は計測されなかった。(図51〜図54)


症例4:歯周病の治癒後、半年以上に亘り歯周病の予防処置を施している症例(Type1または2→異常なし)
症例4は、既存の検査手法での歯周病の兆候みられず、検査を実施しても「(新)好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」「白血球の破壊産物」は計測されなかった。
初診時における症例写真 図55〜図56 図7のType1または2を生じており、
処置中における症例写真 図57〜図60 異常所見なしとなる。
処置後における症例写真 図61〜図64 ほぼ異常所見なし。
処置後における症例写真 図65〜図69 異常所見なし。


症例5 常に好中球が存在する症例 Type2
これは、歯周病羅漢している症例であり、良く見かけるもので特に説明は不要とおもわれる。
図70 〜図75 Type2主体と思われる。
図76 〜図79 Type2主体と思われる。

症例6 たびたび旧好中球が見られる症例
白血球の残骸が見られる症例は、多々あり、その長期経過は、不明である。しかし持続的なポケット内感染があるならポケット内が劣化した好中球で溢れてしまう事になるが、そのような所見は予防患者の中には見当たらない。(図80〜図93)
などを考慮すれば、後述の式の第1項に属する食事中の抗原物質すなわちa因子の一種、第2項に属する唾液のサイトカインの一種、さらにまた先天的あるいは後天的な問題としての窓因子、gate因子としての新しい歯周病の一病態、などの可能性が高く、生理的Migrationの存在は、非常に薄い。さらにまた純粋なType4といえる症例は、未発見である。
このように歯周病を完全にコントロールした症例においては、好中球の残骸すら見られない場合がある。もちろん観察系の感度問題はあるが、従来言われていたような好中球の存在は認められないのが現状である。機会があれば、この処置方法を開示したいと思っている。
従来では、生きた新好中球の存在を観察感度以下にしたり、さらに厳しい判断基準である旧好中球(好中球の残骸)の観察が見られない状況にできていなかっただけであったのではないかと思われる。さらに生理的Migrationの存在を示唆する文献などは、高度に歯周病を予防した処置をなして実験をしていなかったこと、歯周病に羅漢していない症例での計測というものの基準に問題があった、すなわち一見健全に見える歯周組織でも歯周病菌などの感染性微生物に感染していないという事ではないと言うことである。
すなわち感染が歯周組織で生じているか否かを、新しい基準として処置を行った歯周組織こそが、健全な歯周組織である。という新しい認識にたって全てを見ていく事により、白血球診断が妥当である事に気づくのである。
若い人々など一般的に歯周病羅漢の無いと思われる歯周組織にあっても、感染性微生物に対する診査と感染に対しての処置を行わないと歯周病でない健全な歯周組織とはいえないということでもある。
唾液のサイトカインにも反応したり、食事中の抗原物質にさえも反応する、すばらしい応答性をもっているなら、なおのこと歯周病の良い診断基準となる事を裏付けている。
またgate因子の主な機構である上皮細胞間のゆるみが生じれば、それは前記先天的または後天的な問題(病気の一種)である可能性は高く、それをもって新しい歯周病の一種とすればよいのである。

などなど第3項もしくは生理的Migrationには、いくつかの興味深い点があり、将来の課題であるが、高度に歯周病を制御した場合の症例がいくつも出ており、本診査の妥当性が日一日と証明されていくのが確認される。是非高度に制御、処置された症例で、本診査方法を確認して見てほしい。
するとこの診査がいかに合理的であるか、さらにこの関数が歯周病そのものであるという事が実感できると思う。


Part401 新旧白血球をほぼ観察されない状態へ処置できた事より判ったこと

そこで前述のごとく従来における白血球の診断への試みにおいては、その(バイアスのかかった)個数により大まかに歯周病の程度の酷さが判明するのではないかというような判断や、生理的Migrationの存在(バイアスの存在)が歯周病の判断に不向きであるような意見により白血球診断が主流となっていないのが現状である。また白血球診断の基本となる関数は存在しなかった。(存在すれば、前述の問題がもっと合理的に分析できていたわけである。)
しかし日常的に(規格化)位相差顕微鏡を使用した観察、計測において、前述の症例を始めとして歯周病を高度に処置した患者、または歯周病に羅漢していないと思われる患者の一部において好中球の残骸すら見られない場合がある。もちろん観察系の感度問題はあるが、従来言われていたような新しい白血球の存在は認められないのが現状である。
従来では、生きた新好中球の存在を観察感度以下にしたり、さらに厳しい判断基準である旧好中球(好中球の残骸)の観察が見られない状況に歯周病を治癒、予防などの処置が、できていなかっただけではないかと思われる。
こうした経緯から鑑みて、歯周病すなわち主に微生物の感染を、白血球の浸潤で判断する事が最も合理的な診断となると考えた。(ここで、主に微生物の感染としたのは、後述のごとく生理的?Migrationを第3項に包含したり、さらに第1項に食事抗原、第2項に唾液中のサイトカイン(ケモカイン)を包含するなどにより、それを歯周病の病態、老化時防御などの生理の一つ一つとすれば微生物感染以外の病態、生態が明らかになっていくかもしれないが、それをも本関数は合理的に表現している。)

さらにまた生きている白血球の計測した時点での(バイアスを有する)(絶対)数ではなく、白血球の(分泌または浸潤)速度(個数/時間)を指標にすれば、生理的Migrationがあったとしても、診断の評価には問題が無いしまた、前述の(新しいまたは生きている)白血球の(バイアスを有する)(絶対)数での評価では感染の診断は不明だが、白血球の速度すなわち時間的な変化では、感染の診断評価が可能となる事実へとたどり着いたのである。
ここでの速度とは、複数の観察時間における白血球の数による速度を始めとして、拡散によるタイムラグを利用した連円サンプリングによる速度、そして白血球の劣化時定数による時間による速度などでもよいのである。
白血球の劣化時定数による時を採用すれば、一回の計測において、速度が判明するので、臨床上大変便利である。さらに劣化具合により様々な時間を提供してくれる。これは、すなわち前記の古い白血球の観察も実は、速度を表しているとういことなのである。

ここで歯周ポケットという不均一な容量性解放拡散場での白血球の(時間的)状態を、後述のごとく白血球のポケット場への浸潤(遊走)(図1)と、ポケット拡散を、モデル化(浸潤モデル図1とそして、拘束条件付きポケット拡散場モデル図2〜図6)して、それをさらに浸潤(遊走)式と拡散式などからなる関数とし感染の各因子(a,b,c因子など)を求めたり、サンプリング条件や評価条件を導き出すことが必要と感じた。
そこで早速前述の目的のために白血球のポケットへの浸潤を白血球の浸潤(遊走)、そしてポケット内拡散をモデル化(図1、そして図2〜図6)して、それをさらに関数化した。(図13〜図35) ここで、図1におけるモデルにおいて、血管内から歯周組織、歯周組織から歯周ポケットの2層は、たたみ込んで一層として表現した。これらを分離し考えて、さらに詳細な分類へと進化させることは将来の仕事とした。これは、歯肉炎と歯周炎の真の区別を意味する。
1 歯周組織から歯周ポケット内への白血球浸潤を後述の4行式(速度空間と個数空間)にて表現。
2 浸潤した白血球のポケット内動態(液相)をポケットモデルを構築し関数化して近似表現。
3 最後に白血球に対して抑制的に働く因子や、促進因子などを加味した本診断精度を上昇(影響)させる因子を記述。さらにプラーク相(層)、バイオゾーンを付加的モデルとした。(図5,図6)
によりin vitroからのアプローチとした。 さらにクラスター化を重要な性質として付加した。
また平行してin vivoからのアプローチとして本関数に基づく臨床簡単解にもとづく症例および、症例分析をおこなった。これは、前記タイムスケールにより白血球の速度を求め、歯周炎の有無、経過を予測診断した最初の具体例である。
サンプリング条件の抽出。
そして前記モデル、式から非常に簡単な全(相または層)サンプリングから部分相または層)サンプリングまでのサンプリング条件を把握できた。
1 前記No9の探針にて縁下プラーク相と液相を十把一絡げにて(全)サンプリングすることにおける古い白血球の最も簡単なサンプリングと計測でも合理的に歯周病の診断を表現していることが、本モデルにて理解できる。
観察時間における白血球の数による計測では、直接Nvax(t)、RefNx(t)などが求まる。
3 さらに連円探針による階層サンプリングでは、ここの円中の採取された試料の新旧好中球数の比率を計測することができる。この連円の階層比率は、本関数の簡単解を導き出す。連円探針の円が5つなら5カ所従属変数の値を得ることができ、速度も4つ得ることができるのである。(図120)
4 さらにここで劣化時定数による多段階なタイムスケールは、定性的サンプリングにおいても、定量化を実現できるのである。すなわちスライドグラスとカバーグラスの間に存在する試料の厚みが一定と近似できる条件ならば、試料厚さが不明であっても観察視野におけるタイムスケールにより分類された新旧白血球の相対的数により炎症の定量ができるのである。
(ここで、劣化時定数は、生きている白血球の核の劣化などを指標としても良いし、また核バーストや細胞質バーストした後の死滅した時点での時間や、死滅後の白血球の劣化時間を採用しても良い。これらは、言い方を変えると白血球の生物時計でもある。そして将来的には、さらに他の生物時計や炭素14Cなどのような劣化指標が見つかるかもしれない。
さらにここで、前記複数の時間とは、どのような単位でもよい。すなわち秒単位でも良いし、また日単位などでも良い。)

そして前記の各式をシミュレーションし、その従属変数変動パターンにより単複持感染モデル1、単複持感染モデル2、単複持感染モデル3、Old LeukocytoによるTime Scale 旧好中球による時間定規、新好中球による時間規定などを表現し、その後に類型をグラフ1、2、3、4、5としてシミュレーションを行った。これらをin vitro Scale(論理尺度)として、により歯周病を定義、分類、分析した。なお現在のところ、不明な変数は、とりあえずなにがしかの値を代入した。将来的には、こらら変数を確定してゆくことが必要と思われる。などなど厳密な証明は、将来の仕事となるが、位相差顕微鏡を使用した臨床家なら、前記症例1から症例6などにあてはめたごとくをはじめとして、このシミュレーション結果(グラフ1、2、3、4、5)に心当たりがあると思う。
ここで分類のみの表現は、実態を捉えられずに、その表現型をもってでしか表現できない場合の代替的なものであるが、ここであえて分類を登場させたのは、関数の独立変数であるax(t)、bx(t)、cx(t)などを予測するためのスケールとして利用するため、そしてまた従来の歯周病の分類をこの関数につなぐための道標(インターフェイス)ためである。

ここで歯周病の実態を本関数式により表現した場合、ここでまず病態に対して知りたいのはNvax(t) で表された白血球分泌速度だが、臨床診断では、その積分値であるRefNx(t)、RefOx(t)、そしてポケット拡散したNpocx(t)、Opocx(t)である。そして別の見方をするとNvax(t)の蓄積増幅されたものが、Opocx(t)であり、Nvax(t)の特殊な速度評価であることが非常に重要であり、前記Old Leukocyteの評価症例を説明していることが重要な点である。
そしてこの速度Nvax(t)こそが、歯周病の源であり、病理学的に白血球診断において、前述の各値と合わせて最も観察したい値なのであるが、このNvax(t)を始めとして、歯周病そのものであろう関数、変数、定数を説明し、Nvax(t)や、サイトカインFeed back loopを考慮した積分値であるRefNx(t) における 臨床的な簡単解を表1に示し、臨床的に必要最小限の診断からはじまる。 そして、その後の段階にて原因であるa因子、防御因子であるb因子、そしてPFBの原因であるc因子の評価、診断があり、その診断により処置が行われて行くのである。

写真症例集表

症例1 症例1:検査時に、白血球の破壊産物のみ
検査時の症例写真 図41〜図45 症例写真1

症例2 症例2:明らかに歯周病に感染していた症例の治癒過程
処置後約2ヶ月後の症例写真 図46〜図47 症例写真2−1
さらに約2ヶ月後の症例写真 図48〜図50 症例写真2−2

症例3 症例3:歯周病の履歴、病痕が無い症例の一部
図51〜図54 における症例写真3−1

症例4 症例4:歯周病の治癒後、半年以上に亘り歯周病の予防処置を施している症例
図55〜図56 における症例写真4−1
図57〜図60 における症例写真4−2
図61〜図64 における症例写真4−3
図65〜図69 における症例写真4−4

症例5 症例5 常に好中球が存在する症例
図70〜図75 における症例写真5−1
図76〜図79 における症例写真5−1

症例6 症例6 たびたび旧好中球が見られる症例
図80〜図93 における症例写真6−1

症例7 症例7 バイオゾーン、プラーク相(層)、液相、 (参照として血中像)
図94〜図95 における症例写真7−1 バイオゾーン
図96〜図104 における症例写真7−2 プラーク相(層)
図105 における症例写真7−3 液相
図106 における症例写真7−4 血中像

症例8 症例8 クラスター化した好中球
図107〜図109 における症例写真8−1

症例9 症例9 膿瘍形成症例
図110〜図114 における症例写真9−1
図115〜図119 における症例写真9−2

症例10 症例10 t1x バースト像
図37

【0013】
Part5
Part501 何を求めたいのか?

変数一覧 (図9から図35)
独立変数 [ ]内は、単位 1ポケット内に限定。
xは、第x感染を示す正の整数。
t 時間 [分]

v 白血球の分泌速度 走化速度 [個/分]
0から限界速度までの範囲をとるわけだが、ここでは、
血管外遊出の移動速度28μm/min(分)を参考として、
窓を出る時間あたりの個数を速度として定義した。
28/17=1.65個/分 ここで、ポケット内での好中球径を参考として17
μmとした。これは、血管内での計測値より、やや大きい値である。

wx 開いた窓の数 (主に上皮間の隙間 window)[個]
wx(t) = Kw・( a・bx(t) ) Kwは、窓の開口係数
v・wが好中球のポケット内浸潤における、1ポケット内の総合された速度となる。
ここでは個々の窓は、開くか閉じるのAll or Nothingで定義したが、研究レベルでは、連続値を採用しても良い。臨床では、本定義で十分と思われる。

g 窓のゲート因子 ( gate ) [無]
0 ≦ g ≦1 ここでは開く(1)か閉じる(0)かの2値化にて設定。
ax、c以外における遊走すなわち生理的Migrationが存在するなら、窓が自立的に開くであろう現象を定義する因子。
さらにax、cの項にも変数としてg因子が作用するかは、将来の仕事。
唾液中にメッセンジャーがあるとすれば、それはcに入る。
抗原性食物は、もちろんaxに入る。これも歯周病のひとつ
もし存在すれば、上記条件におけるc,axの2つも歯周病の病態の分類となるであろう。

ax 外因性遊走因子 ( 抗原 antigen ) [無]
好中球を走化させる抗原を表す。本来は、ax(t)となるが、ここでは定数とした。
さらに厳密には、 aは、主に微生物による抗原、そして食物中の抗原なども含め
a = ΣAn n = 1 からm mは、正の整数。 であろう。この内訳は、処置フローの次のステップである微生物の定量により明らかになって行く。このax因子の減少がNFBとなり、炎症の終焉teに向かってゆく。

bx(t) バリア因子(主に上皮細胞によるバリア barrier ) [無]
抗原に対してのバリアで、0の時は抗原通過0、1の時は全て通過
もちろん厳密には、全か無ではなく、連続値を採用するが、現在の臨床のレベルでは、全か無でよいように思われる。(研究上では、連続値が妥当と思われる。)
bx(t) = Φ(t - TSx)・Φ(tex + TSx - t)
感染開始時間 TSx [分] 抗原が組織内に進入した時間を表す。
感染終了時間 tex [分] 抗原が組織内から消滅した時間を表す。


LI 白血球抑制因子Leukocyte Inhibitor ここでLIは、全ての白血球抑制因子のグループ名である。
Li Leukocyte inhibitor: 白血球への直接的な白血球阻害因子として定義し、iは小文字で表現する。トレポネーマなどは、阻害因子として予測されるが、ここでは、予測因子として扱い、その値は、1を代入するか、または省略する。
一例としてNva1(t) = v1・Kw・( a1・b1(t)・Li )の位置やcに乗じた形c・Liなどが予測される。
Pi physiological inhibitorまたはpharmacological inhibitor:
pharmacological inhibitorの具体的一例は、マクロライド抗生剤のそれである。
Wi Window inhibitor : 窓が開かない様に作用する inhibitorである。
Mi Migration inhibitor : 白血球の浸潤(遊走)阻害の inhibitorである。

c 内因性遊走因子係数 ( cytokine、chemokineなどのメッセンジャー因子 )[無]
( PFB因子 または accelerator )
サイトカイン、ケモカインなどのケミカルメッセンジャーの総合値に比例する値で、
好中球の分泌個数を増大させる係数として定義する。
ここではポジティブフィードバック因子のみを取り上げる。
さらに厳密には、cは、白血球自身が放出するサイトカイン、組織由来のサイトカイン、唾液中のサイトカイン、またはそれらケモカインなどの総量からなり、 c = ΣCn n = 1 からm mは、正の整数。 であろう。 ここでは、主に感染性炎症のケモカインということで、一括処理している。 将来的には、精密に分析する必要があると思われる。

劣化時定数 t1x、t2x、t3x、 とくにt1x [分]
好中球(白血球)が、劣化または崩壊する時間を表す。
劣化した旧好中球(好中球の残骸)について説明すると、
程度の大きい歯周病であれば、生きた状態の「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」特に好中球を比較的容易に計測することが可能である。しかし、程度の小さい歯周病であれば、生きた状態の「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」、特に好中球においても、その濃度は小さく、「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」を容易に計測することができない場合が生じる。
歯周ポケットに現れた「好中球」「マクロファージ」「リンパ球」「形質細胞」は、歯周ポケット内で死滅し、歯周ポケット内で残骸となって残る。
このため、程度の小さい歯周病に感染している状態であっても、歯周ポケット内に多くの「好中球」「リンパ球」「形質細胞」の残骸、即ち「白血球の破壊産物」が蓄積される。このように歯周病に感染すると、歯周ポケット内には多くの「白血球の破壊産物」が蓄積されていく。()グラフ 参照)このため、歯周病に感染した患者の歯周ポケットからは、多くの「白血球の破壊産物」が採取される。
すなわち歯周病に感染した場合、歯周病の程度が低い場合であっても、このようにして採取物中に多くの「白血球の破壊産物」が蓄積されるから、採取した採取物から容易に「白血球の
破壊産物」を計測することが可能となり、その結果、容易に程度の小さい歯周病までも判断することができるのである。
このようにして、白血球とくに好中球の残骸を計測、観察することは、既存の診断技術では判断不可能であった「初期の歯周病」、「完全に治癒していない歯周病」までも判断することのできる優れた手法であることが判ると思う。これは、歯周病の判定に関して最も厳しい判定基準であることを意味している。もちろん生理的Migarationの議論があるとしても、見つからなければ最高の処置である事を示唆する最も厳格な基準となる。もちろん感度問題、そして検査における陰性問題は、常に検討する事は必要であるが、、、
一例として図37などのごとく定義しても良い。また14Cなどのように劣化時間を連続的に定義できれば、さらに細かに感染時期を特定できるばかりか、時系列ごとの好中球の比率により試料の厚みを気にせずに感染時期などの時系列の判断を可能とするのである。感染のタイムスケールを表す。(図9,図10は臨床近似スケール、図11、図12は理想的なスケール) のごとく感染の生じた時期を示すTime Scaleとして使用できる。ここでは、形態を指標とした時間を使用したが、形態的な時間においては、図9、図10、図37、図38のごとく現状においては、粗い予測でしかないのがわかるし、またバーストした後の核の残骸における劣化時間を時間単位や日単位にて計測できるとさらに良いことがわかる。現状において、t2xと特にt3xは、正確な時間は不明であり、その時間に影響を与える環境因子の存在の有無も不明であるが、バースト直後の核と、時間の経過した核では崩壊程度が違うことは明らかである。しかし前記のごとく、核中のなんらかの物質により正確な時間の特定が望まれる。さらに言えば顕微鏡観察においては、分光可能な物質でのタイムスケールが望まれる。
t1xまでの時点・・・新しい好中球、すなわち細胞質内の顆粒などが活発に動いて見える段階。
t2xまでの時点・・・細胞質がバーストをおこす段階。
t2x以後の時点・・・細胞質が完全にバーストした段階
t3xまでの時点・・・さらに崩壊がすすみ残骸のみの段階、核と細胞膜の残骸で核の画像が目立つ
このことからも詳細に歯周病の病態を時系列的にも表現できる優れた手法である。(図37、図38)先にも述べたように白血球、特に好中球の残骸には、だれも興味を示さなかったが、非常に重要な意義を有しているのである。また病態の開始時期近くまたは小さなポケット容量内における単発感染のような歯周病の始まり的な感染様態のような時期、顕微鏡での新好中球発見の確率と旧好中球の発見の確率を考えれば、病態の詳細な分析は、残骸に頼るしかないのである事が前述のごとく判る。これらは、前記速度による評価の優位性のひとつでもある。
ところでこの劣化時定数は、環境により変化すると考えられる。特にt1に影響が大きいと思われる。それは、サンプルした好中球を顕微鏡下にて経時観察していくと、明らかに単独で存在する好中球より塊(クラスター化)した好中球の方が長時間存在していると思われる画像の存在か理解できる。(症例8など、図107〜図109における症例写真)ここで劣化時定数txx、とくにt1は、クラスター化により変化すると思われるので、好中球の分泌量に比例する値を採用した。もちろんなんら変化しなければ、定数をあたえても良いが、従来の研究からも好中球の生存時間は、かなり幅があり数時間から数日となっている。この主原因が、好中球のクラスター化である可能性は大きい。次に外部環境因子である好中球への攻撃因子である。これらスピロヘータなどの攻撃、浸透圧変化などの攻撃因子により白血球が攻撃されている画像が顕微鏡にて観察される場合がある。クラスター化した好中球集団は、一個の好中球がバーストしさえすれば、クラスター化した好中球の周囲には、好中球の細胞成分が主だった環境を作ることになるわけである。これにより細菌や浸透圧といった好中球攻撃因子を低下させる事ができる。(図107〜図109)これらは、間接的に閉鎖膿瘍での切開、ドレナージの必要性を示唆しているし、またどの程度の時間であれば、切開しなくとも抗生剤などの薬物療法で良いかも予測する基本量となるであろう。歯科においては、さらに歯肉膿瘍や歯槽膿瘍の定義を与える事を示唆している現象である。ここでもまた病態の具体的な値による定義づけができる事を意味している。
具体的な一症例9は、膿瘍中には、旧白血球(白血球の残骸)しか観察できず(図110〜図114)、歯周ポケットからは、新好中球などの新白血球が観察された症例(図115〜図119)である。
さらに詳細には、図37のt01xにおいて判明するように新好中球にもタイムスケールがあるという事である。すなわち核の劣化パターンに図37上写真と下写真における2つ程度の劣化パターンが存在しているのである。(さらに図36も参照)これは、浸透圧の濃度勾配の違いなのか、細菌などの攻撃因子の違いなのか、核の構造に起因するものなのかなどは、不明である。

Kc 崩壊遅延定数 [無]
好中球の崩壊は、クラスター化などにより遅延する。その遅延を表現するための定数
変数とした方が精度が良いが、将来の仕事である。ゆえにシミュレーションでは1としてある。

ポケット容量 PoCap [個]
ポケット内の飽和好中球数で表現した。後述のシミュレーションによるグラフかからポケットが有する有限で解放された空間は、歯周病の独特な振る舞いにユニークにドラマチックに寄与している。シミュレーションの半分程度も消費していても臨床的な近似までしか表現できていないのである。もっとも臨床的には、この程度のFIFOモデルで良いのかもしれないが...
以上特に歯周病の診断に必要であるが、いままで想像もつかなかった値、量として白血球劣化時定数txxとポケット容量PoCapがあったのである。



従属変数 歯周病の分類 それから求まる類型


Nvax(t) 抗原axによる、窓からの新好中球分泌速度 [個数/分]
v・wx(t)

Ovax(t) 旧好中球の生成速度
v・Kw・(ax・Φ(t - TSX - tx)Φ(tex + TSX + tx - t))


RefNx(t) 窓からの新好中球分泌量 (基準値)ポケット容量を考慮しない時の値。
【数1】


第1項 抗原などの外因性遊走因子による走化
第2項 サイトカイン、ケモカインなどの内因性遊走因子による走化
pは、位相

未知の第3項 生理的Migration
【数2】


RefOx(t) 旧好中球の生成量 (基準値)ポケット容量を考慮しない時の値。
【数3】


ポケット容量を考慮した時の値
ポケットモデルが単FIFOモデル集合体の場合
Npocx(t) 新好中球量 FIFOの先端またはポケット開口部


Opocx(t) 旧好中球量 FIFOの先端またはポケット開口部


そしてシミュレーション例を図9から図36に記載する。顕微鏡を使用している臨床家は、これらの結果に日常の経験を見いだすことであろう。


ここでポケットモデルについて少し説明しておこう。
本モデルは、白血球遊走因子による走化関数と歯周ポケットのモデルとからなる。
ここで、拘束力を有する拡散系の最も単純なモデルとして歯周ポケットのモデルを以下に示す。
FIFO(コンピュータなどで使用されるバッファまたはメモリの事)と同様な構造を歯周ポケットのモデルとして採用した。ここで、一本のパイプで表現したモデルを単FIFOモデル、そのモデルをポケット全周に対して一列に適用したモデルを単FIFOモデル集合体、さらに単FIFOモデルを複数列ポケット内縁から外縁にしたがい上部へ段階的に全周にもうけたモデルを複FIFOモデル(集合体)、そしてわき出し口である窓に偏りをもうけた単FIFOモデル集合シンクモデルと定義した。これらは、条件つき一次拡散モデルとも言える。将来的には、窓が局在した横方向へも自由度のある拡散場を表現する必要があるかもしれない。

1 単FIFOモデル
一本のパイプで表現したモデル 図2
図のごとくポケット底をシミュレートした、窓(湧き出し口)を一つ、そして出口であるポケット開口部を一つ有している。

2 単FIFOモデル集合体 図3
単FIFOモデルモデルをポケット全周に対して一列に適用したモデルを単FIFOモデル集合体とした。

3 複FIFOモデル(集合体) 図4
単FIFOモデルを複数列ポケット内縁から外縁にしたがい上部へ段階的に全周にもうけたモデルを複FIFOモデル(集合体)した。

4 単FIFOモデル集合体シンクモデル 図3
単FIFOモデルは、窓がポケット底に均一に存在するモデルであるが、実際には窓となっているわき出し口は、偏りがある事が予想される。この偏りを考慮したモデルである。
本モデルは、この単FIFOモデル集合シンクモデルを採用した。 変数の取り方によっては、単FIFOモデル集合体といってもよい。後述の比重や付着性を加味すると、この2つのモデルの中間的なモデルといってもよいかもしれない。


複FIFOモデル集合シンクモデルも考えられるが、前記理由から、単FIFOモデル集合シンクモデルを採用した。ここで複FIFOモデルや単FIFOモデル集合体における感染の場所の偏りは、感染原因である外来性遊走因子(a因子)の嫌気度などの性質の違いからくる攻撃パターンの違いを反映している可能性がある。またサイトカイン(c因子)などの偏りもまた病態の具体的分類に有用な情報をあたえるであろう。さらにまた、この偏りが垂直性骨吸収と水平性骨吸収に関連づけられるか否かは、将来の課題であるが、ここでも従来の抽象的な分類(類型)(classification)ではなく、少なくとも具体的な値としての病態の分類(類型)への糸口となるのは言うまでもない。
ここでFIFOモデルによるポケット内の状態をまず、前述のパーツ群を使用し、歯周病を関数化し、考えられる類型1、2、3、4、5をシミュレーションしたのが、図7におけるグラフ1、グラフ2、グラフ3、グラフ4、グラフ5である。
これは、MathCadで書かれているので、変数、定数をその時々の最新値に更新したり、式自体のバージョンアップに大変便利なソフトである。
縁下プラーク(抗原)による蓄積層の形成の影響 (バイオゾーンと液相との違い。)
ここで縁下根面プラークの表面は、抗原に引き寄せられた白血球が層をなして、小さな歯周病でも、多くの白血球や白血球の残骸がプラーク層(相)(特に表面)に蓄積(付着)されている場合がある。これは、歯周ポケット内での液状成分である液相(炎症により粘ちょう度が違う)の採取と縁下プラークの採取との違いで判明する。(図105における液相症例写真と図96〜図104におけるプラーク相(層)症例写真) ここで注意が必要なのは、白血球の遊走付着度(プラークの白血球毒素や阻害因子を含め)の存在有無と程度による白血球破壊と白血球付着阻害と、付着パターンである。付着パターンにおいては、写真のごとく白血球はプラークの表面に薄く層をなすということであり、内部にはあまり進入できない事である。これはプラークがバイオフィルムたる由縁でもある。つまりサンプリングの時ぶ厚いプラーク層をざくざくと採取すると、白血球がほとんど見られない事がある事である。白血球の大きさの2〜3倍程度、すなわち20μmから60μm程度以上のプラーク層は、感度を下げてしまう事に注意しないといけない。この場合は、クリーニングや洗浄などを行い、一週間などの一定期間後に薄いプラークとして再検査すればよい。(もちろんクリーニングによってa因子が減少する事、フローラの変化による付着度の変化などがあると予測されるので注意が必要である。)

この蓄積層は横方向に薄い蓄積層を採用した複FIFOブランチモデル(図5)などを採用する。本症例でNo9の探針にて縁下プラークを採取した場合、小さな歯周病においても、この蓄積層での増幅を利用し、高感度にて診断ができるのである。さらにこのブランチ(縁下プラーク)とFIFOモデル部分(ポケット内容物)の同時サンプリングは、ブランチへの白血球の蓄積による遅延効果によりdN/dtやdO/dtを同時にみれる事を意味しているので1来院日での検査でも速度(空間)での検査が可能である。
一方大きな歯周病であれば、ポケット内部の白血球主体となるサンプリングとなる。(小さな歯周病においては、ポケット内の滲出液を採取しても白血球密度が低く観察が困難である。)またこの蓄積層は、白血球が老朽化して、微生物などにの環境因子にて分解されるか、または白血球と抗原間での付着性が低下していくと歯肉溝外に押し出されるなどがおき、ポケット内の単FIFOモデル(特に単FIFOモデル集合シンクモデル)に旧好中球への劣化割合を考慮した値をとる事が予測される。すなわち、この付着層は、FIFOモデルによるポケット内の白血球(特に好中球)を求めて、その何%かを旧好中球として計算すれば良いことになる。
もちろん前述のごとくある一定以上の歯周病の場合は、FIFOモデルに限りなくちかづいていくのである。そしてこの蓄積層の影響は、臨床においては前述のごとく大まかに予測すればよいと思われるが、将来的にはさらに厳密なモデル、関数の整備をするのは、大変有意義な事と思われる。
さらにまたこの蓄積層は、好中球の観察感度を上昇させるので、縁下プラークを採取した歯周病診断は、さらに厳しい診断基準となるのが理解できる。
一方、内縁上皮側の不良肉芽などの感染バイオゾーン中は、血中または結合組織中の白血球画像(図106)と同様類似な映像を得ることができ、新白血球ばかりである。 図94〜図95における症例写真
これは、FIFOモデルを支持する特徴の症例でもある。(図6)
ここでもサンプリングの注意点がある。つまり内縁上皮側の不良肉芽などの感染バイオゾーンを掻爬ぎみに採取すれば、新好中球が採取できるが、それはポケット内の動向ではなく、Nvax(t)やRefNx(t)を示唆する値となることである。 また図120の連円探針、図121の縦溝探針などを使用すれば、Npocx(t)が反映される。

ここで、位相差顕微鏡を使用した場合、定量サンプリング、定量検鏡が成されれば、さらに診断精度が上昇するであろう事に気づくであろう。(希釈しているなら定量希釈も必要)
つまり可能なら定量化規格化(位相差)顕微鏡装置の使用がさらに良いのである。



関数の説明

日本での歯周病の慣用表現である歯槽膿漏
日本では、歯周病を一般的に「歯槽膿漏」という。これは白血球、特に好中球の歯槽(歯周ポケット)からの漏れという意味を持っており、病態をもって表現した慣用表現である。奇しくも本関数は、「歯槽膿漏」が歯周病の根本(源)表現しているとしている。
すなわち以下の4行式が「歯槽膿漏」といっていい。
【数4】


この4つの式こそが歯周病の根本(源)である「歯槽膿漏」といっていいのである。
この4行式は、湧き出し口または窓の部分での好中球の状態(値)を示している。
図122写真の歯周探針(円探針)、図123の歯周スポイトを使用するとこの式の値が採取される。
さらに上皮の障壁の程度も重要と思われるが、その変数(生体環境および、aなどの抗原、cなどの内部遊走因子などにより変化すると予測される。)g(gate因子)とすると、a・gやc・gなどで表現されると思われるが、今回は1として表現をしなかった。(第3項も同様である。)これは将来の仕事と思われる。 さらにまたこれらは、1次近似式であるが、ジグモイド曲線の適用が妥当かもしれない。これも将来の仕事であろう。
そして後続の式がポケット内での動態である。(単FIFOモデル集合体)
【数5】


この式は、ポケット内での新旧好中球の数や、おおよその分布などの状態を示している。
(ここでもさらに詳細な拡散場の式は、将来の仕事であろう。)
この歯周病の関数(まさにこれは歯周病そのものといって良いという可能性が非常に高いというのが、経験をつんだ歯科医師なら一目瞭然に感動してもらえると信じている。)は、臨床レベルにおいてたった2つの変数であるNvax、とPoCap、そして現状の臨床レベルでは、定数として扱っても良いtxxのたった3つの値を知るだけで、歯周病を申し分なく実現している可能性が非常に高いと言うことである。
そして、詳細に原因を診断するためには、RefNXをもとめるたった3つの変数a、bとcの個々の調査をすればよいという事も表現している。そして実際、フローチャート のごとく微生物検査をおこないaの原因をもとめ、そして生体の防御因子の問題がないかを問診、診査して、攻撃因子であるaを除去してゆき、防御因子であるbを補足したり、強化したりしているのである。もちろん後述の処置方法で上げるように抗生剤によるc因子の減少も臨床では実践されているのである。

さらに想像もつかなかった量が歯周病の診断に必要であった、その値、量とは、この白血球劣化時定数txとポケット容量PoCapである。このような具体的な形にて歯周病の一部となったのは、これが初めてではないだろうか???
( txxは、臨床レベルでは定数で近似し研究レベルでは、変数として扱い、誤差率などから臨床でも変数あつかいしないといけないかもしれない。)
ここでc因子の記述と抑制因子の記述について述べる。
c因子は、図1のモデルのごとくPFB(ポジティブフィードバックループ)を形成する。しかし前記の式は、c因子を定数として近似しており、近似的にPFBを表現しているにすぎない。ここで、PFBを数式で表現すると煩雑になり、かつ不安定な式となりやすく、見にくい式となりやすい。さらにサイトカインネットワークの記述、inhibitorやacceleratorなどの調整因子の記述などでは、数値解析手法を採用した方が便利で、明確である。 将来的な展望の一つとして、PFB、サイトカインネットワーク、inhibitor、accelerator、あるいは、そのほかの調整因子の記述は、While loopなどにて以下のごとく記載するのが合理的と考える。

【数6】

ここで、hとkは、調整因子。 Whileの後のバー右にPFBが簡単に記載ができる。さらにその後の行にてサイトカインネットワークなども簡単に記述できる。そして、inhibitorなども容易にモデルの記載位置を反映して挿入ができる。
臨床的に特に知りたい事象
前記 変数、定数の中から臨床的に特に知りたい事象を以下に記載説明する。これが歯周病の診断であり歯周病の評価、分類、類型となる。

1 感染の有無 と 程度
感染の成立による白血球の浸潤
わたしたちが、最も知りたい事、それは、感染が成立しているか否かである。式では、好中球の浸潤(個数)や浸潤速度 RefNx(t) > 0、Nvax(t) > 0 という事である。(ちなみに表1の臨床簡単解より感染停止や感染所見の有無、状態などが診断できる。)感染が成立していれば、まず好中球の浸潤が見られるという厳然たる事実がある。さらにRefNx(t) > 0、Nvax(t) > 0がより大きければ大きいほど程度が酷いということになる。ポケットレベルにおいては、Npocx(t)/Opocx(t)が大きければ大きいほど炎症が酷いということである。
このアプローチへの最も簡単な手段は、前述の全相サンプリングによる旧好中球の数であるOpocx(t)がどれほど少ないかである。(これも速度評価のひとつである。)そして次に新好中球の有無である。Npocx(t)が存在すれば、炎症ありとするなどである。そして次に前述の新旧好中球の比率Npocx(t)/Opocx(t)である。そして臨床簡単解や類型、そして厳密解へとさらに精度を上げても良い。

感染=白血球の浸潤か? 生理的Migration(バイアス)は存在するか?
しかしながら歯周組織特有の謎である生理的Migration(バイアス)の存在有無の議論がある。もしあれば、第3項に式を付加するだけである。そして前述速度における評価によりキャンセルしても良いのである。
しかし臨床においては、(リスク)検査の原則である疑わしければ黒とせよ!に従えば、たとえ生理的Migrationによる好中球や好中球の残骸が見られたとしても、歯周病とすればよい。また症例集より感度問題は、存在するが、前述のごとく白血球の残骸も観察されない症例がある事からも第3項の存在は、疑問的である。唾液中のサイトカインは、第2項であろうし、食事中の抗原は、第1項に含まれ、これらは、新しい歯周病のカテゴリーの一つとなってゆくとすればよい。(下記分類へと進めば良い)
さらに具体的に本方法での計測感度においてではあるが、少なくとも本方法でのサンプリング、計測においては、白血球の残骸すら見あたらない状態を確保できる場合が多々ある。ゆえにこのサンプリング、計測条件における位相差顕微鏡での観察、計測においては、生理的Migrationは、考慮しなくてもよいと言える。しかし将来的には興味深い課題なので以下に今後の方針を記載する。

α 先天的機能における歯周生理、または先天的問題における歯周病
β 後天的機能における歯周生理、または後天的問題における歯周病
γ 抗原への遊走 歯周ポケット内の微生物、微生物の産生物、抗原性食物など
γが本論文で取り上げている典型的な歯周病として白血球の浸潤による歯周病診断を表現している項である。αとβは、第3項にて表現可能であるが、前述のごとく第3項は今回は取り扱わない。

すなわち前記歯周病の新しい病態または歯周組織の生理として1つの分類とし、重要な類型の一つとして生理的Migrationの症例が確認されていくのかもしれない。もちろんわたしも、この論文が発表される時には、さらに分析を進めている事であろう。




2 第1項 外因性遊走因子(抗原など)とバリア因子による特徴的感染時期、特に感染の終了

A 外因性遊走因子 抗原 ax(t)
axを求めるのが、厳密解の一つであることは言うまでもない。
axの値( 厳密にはΣax(t) )により、Nvax(t)、RefNx(t)が変化する。
axの質 抗体の質、病原性によりNvax(t)、RefNx(t)が変化する。

B バリア因子 bx(t)
bx(t) バリア因子(主に上皮細胞によるバリア barrier ) [無]
抗原に対してのバリアで、0の時は抗原通過0、1の時は全て通過
bx(t) = Φ(t - TSx)・Φ(tex + TSx - t)
感染開始時間 TSx [分] 抗原が組織内に進入した時間を表す。
感染終了時間 tex [分] 抗原が組織内から消滅した時間を表す。
実際の臨床において、一つの厳密解texは、得ることができないか、もしくは非常に困難であるので、
RefNx(t) = 0 と RefOx(t) = 0 などにて感染終了を判断する。(簡単解参照)

3 第2項 内因性遊走因子 c または cx(t)
PFBにより発振を形成している場合の診断に特に有用である。
具体的には、抗原axが消失したにかかわらず、白血球が遊走しっぱなしになる場合、この第2項のcをいかに小さくするかが処置の鍵となる。一例としては、マクロライド系抗生剤による白血球抑制である。

4 感染の類型 (図7)
ax(t)とbx(t)の相互作用によりNvax(t)、RefNx(t)が変化する。この変化パターンによって以下の基本類型と、さらにax(t)の量と質、 bx(t)の質により種々な動態を示す。
類型: 単発感染、複感染、持続感染、複合感染 の各類型に分類される。
ポケット容量付加類型:
ポケット量内単発感染 1 ポケット量外単発感染 5(−1)
ポケット量内複感染 2 ポケット量外複感染 3
ポケット量内持続感染 4 ポケット量外持続感染 5(−2)
ポケット量内複合感染 前記複合型 ポケット量外複合感染 前記複合型
の各類型に分類される。さらに分泌速度Nvax(t)またはdN/dtにより急性と慢性を区別する。(ここでも図7などは、ローマ数字であるが、本文中では表現不可能なので、アラビア数字とした。 他も同様である。)
ここで、ポケット量内複合感染、ポケット量外複合感染は、好中球の観察では、3や5などの他のポケット外感染と区別ができないので類型なしとした。 5の1と2の区別は、好中球レベルでは現在同じで区別できていない。

5 劣化時定数
グラフ にシミュレートしたように、Time Scaleを形成でき、感染の時系列を予測することができる。 また白血球残骸の計測は、前述のごとく高感度である。

ここで、本関数は、積分方程式なので、微分すれば解けることになるが、厳密解にはa因子を始めとして厳密に値を求めないと解ききれないのはいうまでもない。これを臨床データから推測する簡単解をまとめると、表1のごとくなる。 これは言い換えると歯周病の評価を本関数を強く意識して詳しく記載すると、表1のごとくになる。という事を表しており、臨床面からのアプローチとシミュレーションそして実験面からのアプローチを本研究では提唱したい。ということを表現している。
表1
歯周病の評価基準 臨床的簡単解(特に規格化位相差顕微鏡による)

Old Leukocyteの個数をOとし、New Leukocyte の個数をNとする。
O = Opocx N = Npocx
1個数空間での判断
α 異常所見なし(感染所見みられず)
N = 0 & O = 0 (N=0ならdN/dt = 0) (O=0ならdO/dt = 0)
β 異常所見あり(感染所見)
N > 0 ほぼ現在異常所見
O > 0 過去に高感度で異常所見

2速度空間での判断 好中球分泌速度Nvax(t)値による(個数/時間) 規格時間計測が望ましい
α 異常所見なし(感染所見みられず)
dO/dt = 0 (O>0) ( O > 0 洗浄して再検査して O = 0 )
β 異常所見あり(感染所見) 急性、慢性の閾値(dN/dt値)がどこかに存在する
dN/dt > 0 (N>0) ( N > 0 洗浄して再検査して N > 0 )当然!
O > 0 洗浄して再検査して O > 0 洗浄直後から検査までの時間において dO/dt>0
γ 異常所見 不定 不定所見
Old Leukocyte(O>0)ポケット量内感染 ポケット量外感染
dO/dt>0 では、 感染上昇傾向、 感染下降傾向 観察残骸時間ほど遅延あり
dO/dt <0 では、 感染下降傾向、 感染上昇傾向 観察残骸時間ほど遅延あり
New Leukocyte (N>0)
dN/dt < 0 では、感染傾向不定 (感染停止で劣化による場合含む) 現在[Nvax(t)不定]
分泌速度<劣化速度ならdN/dt < 0だがNvax(t)>0 となる場合がある。
dN/dt = 0 (N > 0) では、 感染傾向不定 現在[Nvax(t)≧0]
分泌速度=劣化速度、ポケットオーバーフローは、感染上昇傾向

3 dv/dt 加速度空間での判断 この段落3の中だけでv = Nvax(t)とする。
感染の上昇、下降傾向(推移)、感染の行く末(上昇または下降)、リスク、推移をあらわす量
α 異常所見なし(感染所見みられず)
不定
β 異常所見あり(感染所見) 急性、慢性の閾値(dv/dt値)がどこかに存在する
dv/dt > 0 感染の上昇傾向
γ 異常所見 不定 不定所見
dv/dt < 0 感染の下降傾向
dv/dt = 0 v = 0 N = 0 の時だけ、異常所見なしなので結局dv/dt値だけでは不定(必要条件)


1は最低1回計測、2は最低2回計測、3は最低3回計測

注意
(Oには蓄積効果がある。遅延と高感度) 旧好中球の残骸があれば、劣化時定数以前での感染あり
(微分係数の計測は、規格時間計測を使用するのが良い。) 残骸の計測は蓄積により高感度

【0014】
Part6
601 歯周病 Part6-1 関数式の証明原点

関数式より判断した臨床的簡単解の臨床的判断例

1 個数空間での判断
α 異常所見なし(感染所見みられず)
N = 0 & O = 0 (N=0ならdN/dt = 0) (O=0ならdO/dt = 0)
症例2,症例3、症例4などに対応。

が観察された症例が一例でもあれば、臨床的な歯周病の確定診断(治癒)に対して関数式が大凡証明できたとしてもよい原点であろう。 この状態を歯周病の処置における最高のレベルと評価しても良い。(もちろん、様々な抗原、サイトカインさらには、第3項の有無などの診断所見が多々報告される事を期待している。)

βの N > 0 や O > 0は、日常にて頻繁に観察できる。 症例5など

2速度空間での判断 好中球分泌速度値Nvax(t)による(個数/時間) 規格時間計測が望ましい
α 異常所見なし(感染所見みられず)
dO/dt = 0 (O>0) ( O > 0 洗浄して再検査して O = 0 )
これは、症例2も数学的に等価と考える。(症例2も同様の状態)

β 異常所見あり(感染所見) 急性、慢性の閾値(dN/dt値)がどこかに存在する
dN/dt > 0 (N>0) ( N > 0 洗浄して再検査して N > 0 )当然!
O > 0 洗浄して再検査して O > 0 洗浄直後から検査までの時間において dO/dt>0
症例1も数学的に等価(同様の状態)と考える。 症例6など

γ 異常所見 不定 不定所見 (将来の仕事 被験者での検証。)
Old Leukocyte(O>0)ポケット量内感染 ポケット量外感染
dO/dt>0 では、 感染上昇傾向、 感染下降傾向 観察残骸時間ほど遅延あり
dO/dt <0 では、 感染下降傾向、 感染上昇傾向 観察残骸時間ほど遅延あり
New Leukocyte (N>0)
dN/dt < 0 では、感染傾向不定 (感染停止で劣化による場合含む) 現在[Nvax(t)不定]
分泌速度<劣化速度ならdN/dt < 0だがNvax(t)>0 となる場合がある。
dN/dt = 0 (N > 0) では、 感染傾向不定 現在[Nvax(t)≧0]
分泌速度=劣化速度、ポケットオーバーフローは、感染上昇傾向

さらに厳密解の証明は、
真にこの関数を生体にて証明するためには、無菌動物に抗原を接種したり、患者の新旧白血球数a,b,c因子(人のb因子は、計測が非常に困難)、ポケット容量などを計測確認するのだが、この関数は、白血球遊走から求めたものなので、このレベル以上の探求を要求しなければ、特に実験は不要であろう。(ここで、このレベル以上とは、a因子、b因子、c因子の値までを厳密に計測、記述するレベルを言う。)
しかし将来的には高度なフローラコントロールのために必要な段階となってくると思われるので、この関数式をさらに高度に進化させていくことを広く世に問いたい。この式は、MathCadにて記述したので、要望があれば、MathCadの形態にて配布も考えている。

ここで当医院での症例を臨床的簡単解に対応させて開示する。

Part6-1-1個数空間での評価(判断)
ただし旧好中球を伴う評価は、個数空間ではあるが速度を反映している。

1 初診時において 全 99人中

N > 0 & O > 0 症例 新旧白血球がみれれる症例 39人 39%

N > 0 & O = 0 症例 新好中球のみが見られた症例 0人 ただし急性症状の患者を除く。
現在の所Newのみは、急性症状の時しか観察されていない。

N = 0 & O > 0 症例 Oldのみが見られた症例 53人 54%

N = 0 & O = 0 症例 新旧好中球が見られなかった症例 7人 7%
ただし当医院にて無処置にて、さらに複数検査で確認できたのは、
2人のみの 2% である。


2 処置後 (抗生剤療法、スケーリング、クリーニングなどの処置後)
N = 0 & O = 0 症例 新旧好中球が見られなかった症例 40人 43.5%
(40/92=0.435)

ただし、クリーニングなどの処置の継続がないとN = 0 & O = 0 状態は継続できないのがほとんどである。

【0015】
Part7
701 歯周病 Part7-1 臨床診断そして処置

[本方法の使用方法]
初診時
規格化位相差顕微鏡にて、フローチャート1のごとく診断してゆく。
ここで顕微鏡検査はこの関数式における
α a因子の一部や間接的なa因子,
β New Leukocyte Nvax, RefNx, Npocx (N)
γ Old Leukocyte Ovax, RefOx, Opocx (O)
を見ることができる便利な道具であるが、本システムを使用しなければ、時間や位相が違う現象画像を同時に見るので、個々の時間や位相について分離し、診断しなければならなかったので従来は解読不可能であったが、しかし、本システムを使用し、そして簡単なステップである前記症例における「液相やプラーク相でのOpocxと、液相やプラーク層でのNpocxにおいての診断」から始めたとしても、誰でも簡単に(速度において)歯周病を、ある程度診断することができるのである。 そして、そこから順次高度な診断へとステップアップしていけばよい。
また位相差顕微鏡が規格化された事により、誰でも、何処でも、同じ視野分解能比を得た同画質で評価できる。また白血球の寸法、密度などが算出できる。これにより歯周病の状態が把握できる。そして、次の段階にて培養やPCR、LAMPなどによりa因子を同定し、これを減少または除去してゆく。

そしてこのルーチンを(他の病態因子と共に連携し)繰り返すと(他の歯周病に連携する病態因子が無い時)自然に歯周病が治癒、予防できる。 さらに病態レベルでの処置フローを発表していきたいと思っている。 (歯周病は、歯周病のみの研究で解決出来ないので、これは病態の解消における大きなパズルの一部でしかないが、歯周病のルーチンの部分は、必要最低限書かれていると思われる。)
また言い換えれば、以下の種々な処置をはじめとする種々な処置の位相が判明してくる。

ここで主要な処置との対応を簡単に説明する。
抗生剤療法
この関数から判明する最も利用価値の高い抗生剤は、ジスロマックであるという可能性を示唆している。それは、a因子へのMICそして、ほどほどのwi因子によるPFBループの切断が同時にでき、さらに好中球へのファゴサイトデリバリによる組織移行性が、歯周病に対して非常に有効であることが、この関数から読み取れるからである。特に好中球が劣化するとき(バーストする時特に)にジスロマックは、好中球から放出される。その動態が類型(単発感染、持続感染などのグラフなど参照)からも明らかである。またこれらのメカニズムは、臨床において、薬剤投与の仕方が従来の抗生剤と違い真の力を発揮するには本関数の理解が大前提である事を強く示唆している。さらにT. forsythensisなどのようにジスロマック長期投与にても駆逐が非常に困難なまたは不可能な歯周病菌は、補足的に他の種類の抗生剤を使用しないといけない。さらにまたそれらの注意点は薬剤耐性菌への予防となる点も非常に重要である。など種々の注意点を熟知して投与を行う必要がある事を示唆している。これらの機序を理解すれば、すばらしい歯周病治療薬として末長く使用されるであろう。

外科療法
さらにまた、最も有用な処置方法として外科的処置、すなわちポケットの減少、掻爬によるa因子やc因子の減少、b因子の再構築による強化、がある。これは、a因子の減少、ポケット容量の減少による新好中球の相対的増加という事が判る。さらにポケット内洗浄やPTCが有効であることも判る。
ポケット内清掃 { 機械的清掃(PTCなど) 化学的清掃 次亜塩素酸、ポリフェノールなど }
ポケット内清掃は、a因子やc因子の減少、b因子の強化、旧好中球の除去による好中球の効果上昇、ができるので、感染が減少する事が式から判明する。
など診断、処置が具体的に明確となり、的確な歯周病診断、そしてそれにつづく処置が可能となる。
さらにオーバートリートメントやアンダートリートメントがなくなるので、飲まなくてはならない抗生剤を飲んだり、飲まなくてはいけない抗生剤を飲まないでいくことがなくなるなどである。

さらに本診断精度を上昇(影響)させる因子
1 ポケット清掃:
新旧好中球などの量は、清掃にも影響するかもしれない。清掃は、ポケットの深いところは、影響なしとしてもよいかもしれない。またProfessional Care は、サンプリングを考慮して行われるので影響にいれない。などを加味してさらに精度を上げても良い。

2 核の左方移動:
図39のごとく好中球の核の左方移動も精度をあげることができる。言うまでもないが、左方移動が多ければ多いほど、感染はひどい傾向にある。

3 マクロファージ、リンパ球、形質細胞、肥満細胞など炎症性細胞浸潤:
図40のごとく、マクロファージ、リンパ球、形質細胞、肥満細胞などの質(ポケット内の白血球図94〜図105などと血液中の白血球写真(図106) との違いなどで、血液中に近ければ、バイオゾーン中やポケット内遊走直後などの情報が得られる。)、量、存在などにても歯周病の確定診断(開始しているか)の判定に加えても良い。 (補足的に肥満細胞の存在も考慮にいれても良い)。これらの出現は、歯周病の発症後の場合がほとんどと考えられる。もっともこの事は、歯周病の発症点は、予測が困難という事を示唆しているが。

4 小さな上皮細胞:
これは歯周病菌などの進入を示すものである。これもまた歯周病の発症後の場合と考えられる。 またこの所見は、特にNecrotizing periodontal diseasesには、良い指標となるであろう。

5 免疫抑制菌、白血球阻害因子などの存在:
とくにトレポネーマの存在が、上記白血球浸潤に対して影響を与えている可能性が高いので、白血球の量に重みをつけて精度を上げても良い。 さらに白血球毒素の遊離も考慮(重み)にいれるとさらに良い。(PGなど)

6 白血球抑制剤などや抗生剤について:
マクロライド系の抗生剤投与などにおける白血球抑制剤は、著しく影響を与えるので注意が必要である。すなわち抗生剤の投与から3ヶ月とかなどある程度期間をおいての検査が必要となる。

7 歯肉溝滲出液のフロー:
新旧白血球のポケット外への漏出への影響を関数式に挿入して、さらに精度を上げても良い。

8 好中球破壊因子:
好中球を破壊する微生物群などあるが、これも式に追加すれば、問題ないし、現状においては臨床的には問題がないように思われる。

【0016】
Part8
801 歯周病 Part8-1 効果 メリット


[本方法の効果]
これにより、歯周病の発症、治癒が明確になり、治療、予防の診断、処置が大幅に改善される。
また歯周関連の研究の大前提、基礎として必要な工程と考える。
この評価は、患者にも理解しやすい。いまこの論文を読んでいるあなたの主治医の腕も一目瞭然となる。

以上、歯周病の確定診断は、歯周病の治療、予防に飛躍的進化をもたらすのはいうまでも無い。
言い換えるなら全世界の歯科医に対して歯周病の確定診断の導入を呼びかけるのが意義のひとつである。そしてこの基準に基づいた的確な治療、予防を呼びかけることにより、確実な歯周病への対応が可能となり、歯周病による歯周組織や歯牙の損失を最小限にとどめる効果を実感していただければと考える。(各種歯周の研究、後述生理的Migrationの研究などにも必須の検査でもある。)
そこでこの診断にもとづく治療、フローラコントロール、予防なども発表したいと思っている。(表 参照)

そしてこの診断は、当医院での診断のひとつに過ぎなく、さらにう蝕菌、歯周病菌の相互作用も含めう蝕、歯周病の治療、フローラコントロール、予防を統括的に捉えるために最低限必要な検査体系、それに基づく治療、予防プログラムも発表していきたいとおもう。(図8参照) このことにより、従来の診断、治療、予防を細菌、組織、病理学的に基づく、新しい体系に導きたい。当医院において実証、進化中のこの体系の紹介により、全世界において、飛躍的に歯牙の保存が可能になると考える。
最後に本診断は、歯種培地の診断と密接に連携している。同時に投稿した歯周培地による微生物の同定、phase分析、空間分析、院内感染分析などの情報との連携でさらに歯周病の治癒が促進されるのである。いつか機会があれば、我が歯科医院でのう蝕、歯周病、咬合の3つの基本病態を合理的に、相互的に解決するための診断、処置を統合化した処置ナビゲーションを発表したいところである。

さらに将来に向けて、
歯周病は、ポケットという開放形での感染、防御としての希有なモデルを提供してくれる。そしてまた歯周病の1病態である膿瘍は、閉鎖系での感染防御モデルをを我々にしめしている。このような系をシンプルに評価する動的分析、評価、シミュレーションは、細胞組織の相互作用に対して新知見を提供していると思われるし、白血球関連の病態、生化学的分析には、動的なネットワーク分析が必須と思われるので、本関数は、その原点、コアとなってゆくことを期待している。
そしてさらに、将来の仕事は、New Old両白血球量と、a,b,c因子、ポケット容量、劣化時定数、クラスター化などの厳密な値を計測し代入してゆくことで厳密解(高精度化)を得ることである。

[次回予定]
さらに好中球増加因子、減少因子、Nvaxの増減因子、など各因子の増減、上限などの詳細は、次回に説明したい。さらにまたこの白血球診断に最適な規格化位相差顕微鏡を使用した計測方法など、臨床における各種処置の評価への使用なども次回に説明したい。


【0017】
[効果]
歯周病の有無、治癒、感染、などがわかり、処置への診断が容易にできる。
歯周病の確定診断ができる。
歯周病に関係する主要な因子が把握できる。
それらにより的確な処置が行える。
【0018】
[変形例]
上記実施例または変形例は単独で実施しても良いし、また組み合わせて実施しても良い。また他の用途に使用しても良い。また上記手段に関しても、術者や製造者が取捨選択し使用、製造するなど単独あるいはどのような組み合わせの構成をなしてもよい。
【0019】
上記実施例または変形例は、全てハードウェアにて製作しても良いし、またソフトウェアで置き換え可能な部分は、置き換えても良い。
具体的な一例として、 歯周病確定装置は、
前記Nvcx(t), RefNx(t), Npocx(t)、Ovcx(t), RefOx(t), Opocx(t),a因子手段,b因子手段,c因子手段などをPC上の仮想空間などにて実現したNvcx手段, RefNx手段, Npocx手段、Ovcx手段, RefOx手段, Opocx手段、a因子手段、b因子手段、c因子手段のいづれかまたは、その組み合わせを少なくとも備えても良い。
【実施例1】
【0020】
第1実施例の歯周病確定装置は、少なくとも定量化規格化位相差顕微鏡装置を備える。
【0021】
[第1実施例の形態]
第1実施例は、定量化規格化位相差顕微鏡装置による定量化サンプリングにより
Nvcx, RefNx, Npocx
Ovcx, RefOx, Opocx

臨床簡単解、歯周病の分類(類型)などを求める事を実施の形態とする。
【0022】
[構成]
図124における定量化規格化位相差顕微鏡装置は、
定量計測手段を備える事を特徴とする。
【0023】
ここで定量計測手段は、少なくとも
【0024】
試料画像に対する電子格子情報を得るための指標となる指標手段を試料ステージ手段に備え、さらに被計測物である試料を保持する試料保持手段を有する事を特徴とする前記試料ステージ手段(望ましくは、X一方向、X−Yにおける2方向、またはX−Y−Zの3方向などに位置を可変できるステージが望ましい。)と、

前記試料ステージ(手段)に備えられている指標(手段)を検出し、その指標に基づき試料映像に電子格子を描画(生成)するための電子格子情報などを検出する指標検出手段

前記電子格子情報(主に試料映像に対する電子格子の絶対的位置情報または相対的位置情報)に従い、試料映像に対して特定の大きさ、形の電子格子を発生させる電子格子手段

前記試料ステージ(手段)に保持された前記試料を撮影する試料撮像手段

前記試料映像を撮影し画像表示する(画素)ブロック画像手段

前記電子格子と前記試料画像を重ね合わせるための重ね合わせ手段(オーバーラップ手段)
とを備える事を特徴とする。
【0025】
実施例1においては、
試料ステージの指標を検出する指標検出手段は、少なくとも、
試料ステージに描かれた(印記された)指標手段と、
指標を撮影する指標撮像手段(ここではCCDカメラ)と、
指標撮像手段からの映像を(画素)ブロック画像にする(画素)ブロック画像手段
(キャプチャー手段(A/D変換手段)を使用)と、
前記(画素)ブロック画像に映っている指標の座標(指標が写っている画素またはブロック画像における特定の画素または特定のブロック画像)を検出する既知の座標検出手段(この情報は、電子格子の相対位置情報や絶対位置情報となる。)と、
を備える。
【0026】
指標手段は、光点、描画点、穴、線、面、格子(必要に応じて補正格子を含む。)などからなり、それら指標は、指標撮像素子が撮像した映像において、背景画と指標を分離できる指標であればどのような物でも良い。そして指標は、カラーであってもモノクロであってもよい。カラーの場合は、複数の指標を容易に分離して使用できる利点がある。またモノクロの場合は、高分解能を得られやすい。
そして指標は、光点の様に電磁波を輻射する能動的な指標であっても良いし、また描画点のような自身からは何も輻射しない受動的な指標であっても良い。受動的な指標は、普遍的にて保守が簡単である。また能動的指標は、外乱に強い場合が多く、さらに特殊な信号、一例として、信号を搬送することができるので、一例としてステージがある閾値以上動いた場合、格子映像が定まった場合、大きな移動範囲を連続的に計測する中継として使用したり、など毎に信号を送り、動作を制御するのに使用しても良い。
ここでは、試料ステージに印記した点を使用した。
【0027】
指標撮像手段は、CCDカメラを使用した。CMOSでもビジコン、サチコンなど撮像手段ならどのような物でも良い。そしてその映像を(画素)ブロック画像手段が、(画素)ブロック画像にする。具体的な一例としては、キャプチャー手段(A/D変換手段)を使用し、後述の一例として720×480ドットの(画素)ブロック画像とする。
【0028】
前記(画素)ブロック画像の映像に映っている指標の座標を検出する既知の座標検出手段は、前記カメラ映像に存在する指標(光点)を検出する既知の(指標)光点追跡手段(装置)などで指標の座標値を検出する。
この時、既知の光点追跡手段(装置)の1ブロックは、指標撮像手段における映像画素(A/D変換後の最終データとしての画像)3画素以上を1ブロックとして設定し、少なくとも最終収束ブロックにおいては、分解能と視野の関係において、のぞましくは4ブロックまたは、9ブロック程度の構成を採用し、このブロックに対する特定の位置座標、ここでは一例としてブロック中の重心位置の座標を位置座標として使用する。その座標を後述電子格子の計測範囲格子の格子座標に対応させた。
【0029】
この時、この(指標)座標は、既知のキャプチャー手段(A/D変換手段)により変換された画素(A/D変換後の最終データとしての画像)またはドットの集合画像の位置座標を採用した。一例として720×480ドットのキャプチャーなら、(x、y)による2次元直交座標を使用し、原点(0,0)から(720,480)の最高点までの画素の座標である。この時、前記ブロックの重心位置を、この座標値に対応させた。もちろん重心でなくてもよく、一例としてブロックを構成するいづれかの画素の座標値にしてもよい。
【0030】
ここで、試料映像を画像表示する(画素)ブロック画像手段は、
一例として顕微鏡対物レンズ(ここでは、DIN規格40倍、10倍、20倍、100倍、80倍、60倍のいづれかの対物レンズ)とCCDカメラ(ここでは、1/3インチCCD)などの規格化された試料撮像手段からの試料映像を表示手段にて表示できる映像とする。
規格化されていない試料撮像手段を使用しても良いが、互換性のある前記規格化された試料撮像手段がお薦めで効果的である。なおここでは、特に断りのない場合は、40倍の対物レンズ+1/3インチCCDを使用する。
【0031】
そして試料撮像手段からの映像を(画素)ブロック画像手段が、同一のキャプチャー手段(A/D変換手段)を使用し、キャプチャー(A/D変換)した画像も同様に720×480ドットの画像とした。そして、
試料映像の視野は、125μm×92μmにて、約0.174μm×約0.192μmの画素ピッチを採用した。(DIN40倍の対物レンズ+1/3インチCCDを使用時)
【0032】
そして指標映像の視野は、ズームレンズにて調整し、12500μm×9200μmに設定した。(一つの指標における移動許容範囲)
この12.5mm×9.2mmは、電子格子の範囲となる。(指標映像の視野範囲でもある。)汎用カバーグラスの18mm×18mmの半分強の面積をカバーしている。
ここで、この範囲を広げるために3カ所程度に指標をおくと良い。一例として、赤、青、緑の指標を間隔25mm程度で印記するなどである。
【0033】
ここでは試料撮像手段と指標撮像手段との両者の違いは、レンズなど光学系の違いのみとした。またここでは、試料撮像手段と指標撮像手段は、同一平面にたいしてその撮像素子面が平行に設置されている。もちろん2つの撮像手段の位置関係が既知であれば、どのような位置関係でも良い。
【0034】
そして電子格子を電子格子手段が発生させる。
具体的には、まず格子間隔すなわち格子の1辺を、ここでは50μmとした。もちろん任意の大きさの格子を発生させても良い。
【0035】
そして、一例としてx方向には、原点からXn= n・{G/(F/Hr)}として、原点から順次、格子線を描画してゆく。Gは、格子の一辺の大きさ、Fは視野長、Hrは、水平方向解像度。Ynの場合は、Hrは、Vr(垂直方向解像度)である。nは、正の整数で、n本目の格子線を表す。
一例としXn=50/(125/720)=288(ドット)など間隔に線を記憶手段などに既知の線分描画手段などにて描画する。
同様に、y方向には、一例としてYn= n・{G/(F/Vr)}とし、一例としてYn=50/(92/480)=261(ドット)間隔に線を記憶手段などに既知の線分描画手段などにて描画する。
ここで使用する記憶手段は、試料画像と同じ解像度を有する同じ配列の画素またはブロック画像を有する記憶手段を使用した。もちろん重ね合わせ手段(オーバーラップ手段)を兼用するということで、試料画像と同じ記憶手段に描画してもよい。さらに違う解像度の場合は、両者を整合する画像整合手段や解像度整合手段(解像度調整手段)を使用してもよい。
ここで、あらかじめ試料の基準位置と指標の基準位置を整合させて試料映像と指標映像の原点あわせを行っておく。具体的な一例としては、図125のごとく原点(0,0)を定めてその原点時に指標が位置するときに、スライドグラスの左端に視野中央が位置するように指標または指標撮像手段をX−Y方向に移動させて調整する。これは設計時に定め、製造時に前記一例のごとく決められた原点に製造されていればよい。
【0036】
この場合、記憶手段は、主記憶でも良いが、画像ボードなどの描画様記憶手段であってもよいし、オーバーレイ用の記憶手段でも良い。
そしてその前記電子格子を重ね合わせ手段(オーバーラップ手段)が前記試料画像に重ね合わせて表示手段に表示する。
重ね合わせ手段(オーバーラップ手段)は、
前記(画素)ブロック画像手段からの試料映像と前記電子格子手段からの電子格子を重ね合わせる。そして重ね合わせた映像を記憶手段に記憶したり、表示手段に表示したりする。
【0037】
ここで、表示手段も同様な解像度の表示手段を使用してもよいが、より高解像度の表示手段を使用してもよい。その時は、表示手段の解像度と試料画像の解像度、および電子格子画像の解像度を整合する画像整合手段を使用する。これらは、既知のGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)にて実現してもよい。さらに試料画像と指標画像は、前記倍率が違う場合においても、また同じ場合においても、その比率は一定に設定できるが、表示画像と、前記2画像(試料画像と指標画像)は、比率が変動する場合がある。これらを調整する(解像度)調整手段を重ね合わせ手段(オーバーラップ手段)が備えても良い。
【0038】
この時、試料ステージを移動させ指標映像の指標の座標を1ドットx方向に移動させると、試料映像の格子は、x方向に100ドット移動する。(試料ステージがx方向に17μm程度移動する。)
同様に指標映像の指標が1ドットy方向にずれると、試料映像の格子は、y方向に100ドット移動する。(y方向に20μm程度移動する。)
【0039】
[変形例]
もちろん指標映像の総画素数を増やせば、増やすほどスムーズに格子は移動する。この一例においては、試料撮像手段の10000倍程度の画素を有すると最大限スムーズに格子は、移動する。一方指標映像の倍率を上げてもスムーズに移動するが、同一画素数の撮像素子を採用すれば、視野(格子範囲)が狭くなる。
【0040】
ここでこの断続的な動きを、画素を増加せずにでも対応できるように
電子格子補正手段を使用しても良い。
【0041】
電子格子補正手段は、一例として指標映像を構成する(画素)ブロック画像のブロックまたは画素のピッチとやや違うピッチを有する(補正)格子または(補正)線群を試料ステージの指標に近接または指標と重ねて備える。(カラー撮像手段であれば、色を変えて指標と補正格子を分離しても良い。)
これは、一例として(画素)ブロック画像において10画素または10ブロックの長さに対して、映像にして9画素または9ブロック分(に対する実)の長さの補正格子または補正線群9本(一例として黒5本、白4本、両端は、背景色)を試料ステージに補正格子として印記しておく。すると、1画素または1ブロック指標が移動する間に、(画素)ブロック画像の10画素または10ブロックの個々の画素または個々のブロックに順次、補正格子からの映像値が移り変わってゆく。
【0042】
この条件においては、指標が1画素(1ブロック)動くうちに、すなわち約1/10画素づつまたは約1/10ブロックづつ指標が動く毎に、補正格子の映像の振幅値において、1画素または1ブロック毎にピーク値が(画素の振幅値の中央を0とすると、−ピークとプラスピークが交互に1画素または1ブロックづつ移動していく。)動いてゆく。このピーク値の移動量をもって電子格子の移動量とすれば、1/10毎程度のなめらかな移動量を得ることができる。すなわち、補正格子と画素(ブロック画像)との間に生じるピーク値の1移動量は、この条件にて指標画素の1/10程度の移動量に相当し、この移動量を補正格子手段が移動情報として電子格子手段に伝達し、電子格子を動かすのである。具体的には、指標画素の1移動量は、ここでは、17.5μmで、補正格子手段を使用した時の1移動量は、1.75μmである。かなり電子格子の移動がスムーズとなるのが判る。
前記例では10画素程度であるが、もちろん補正格子は、連続に視野いっぱいに印記してもよいなど、その描画本数に制限はない。またS/N比が許される限度まで補正格子の分解能を上げても良いのはいうまでもない。
【0043】
この電子格子補正手段を使用して、電子格子手段(電子格子の形や大きさを決める事が出来る。)が上記ピーク値を記憶手段上にてつなぎ大きな格子を描画しても良い。これは、電子格子補正手段が相対的な指標検出手段となり、相対的な座標検出(位置検出)を行う事例である。すなわち試料映像に対する電子格子の相対的位置情報を生成する事である。
一例として前記条件の場合、指標画像にて10画素で1本の線が出現し、この時前記指標撮像手段と試料撮像手段の倍率の違いが100対1であるので、175μm格子が試料映像に描かれることになるので、もし50μmの格子を電子格子手段に指示がだされていれば、50/175=0.286の倍率(縮小倍率)をかけて50μmの格子を試料画像に描画する。(この場合は、相対位置情報の提供となる場合が多い。)
この場合、格子の番号や格子の座標などの(絶対)位置情報が不要なら(絶対)位置を検出する指標は不要であるので、試料ステージに(絶対)位置検出用の指標を印記しなくても良い。
【0044】
ここで位置情報が必要なら、前記指標により同様に決定してもよいし、また補正格子に空間周波数の変化する補正格子を使用し(絶対)位置情報を得ても良い。この場合、電子格子補正手段が(絶対)位置を検出するタイプの指標検出手段となる。
【0045】
なおy方向も同様に設定すればよいが、正方画素で等間隔サンプリングなら同じとなる。また正方画素(等間隔サンプリング)でない場合は、縦横比を修正する縦横比修正手段にて縦横比を修正し表示手段では、正方格子としても良い。
【0046】
ここで、指標座標は、指標座標補正手段によりレンズの歪みを補正した座標を使用するのが望ましい。これは既知のレンズ補正手段を少なくとも備える。
【0047】
[動作]
図125のごとく、
一例として歯周ポケットから試料を定量採取可能な定量採取手段である縦溝探針(図121)、連円探針(図120)、単円探針(図122)、歯周スポイト(図123)あるいは定性採取のNo9の探針などを使用し、歯垢(プラーク相またはプラーク層)や液状成分(液相)などの試料をスライドグラスに採取して、必要なら水にて希釈し(常に一定量にて希釈するのが望ましい。)、そして必要ならカバーグラスにて試料を圧接し、試料ステージに載せる。そして試料撮像手段にて試料を撮影する。
そして電源をONにすると、
図127上図のごとく表示手段に試料映像が映し出される。
【0048】
さらに電子格子をONにすると、図127下図や図128のごとく試料画像と同じ尺度の大きさの電子格子が電子的に映像に描画される。試料の長ささが50μmなら格子の一辺と同じ長さに写る。
【0049】
そして試料ステージを動かすと、それに伴い試料の観察位置が動く。それとともに指標位置も同様に動き、それに従い電子格子も前記条件に従い動く。 一例としてはXμm、X軸に動くと、電子格子は、Xμm(条件によっては断続的にである。)、X軸に動く。Y軸も同様である。これは術者には、カバーグラスやスライドグラスに格子が描画されているのと同じ様に格子と試料中の微生物などが観察される。
【0050】
そして、格子の中の白血球を手動にて個数を数えメモしたり、または計測範囲設定手段が前記指標座標値に指定された格子内にて、既知の自動個数計測手段を使用し自動的に個数を数えてもよい。またただ眺めるだけでも良い。 必要なら大きさ、長さ、体積などを電子格子を使用して計測しても良い。
【0051】
[効果]
白血球などの構造物の大きさ、長さ、形などが計測(2次元計測または2次元定量計測)できる。
【0052】
すなわち2次元定量計測や2次元定性計測ができる。
【0053】
ここで、前記のDIN40倍対物レンズ+1/3インチCCDなどによる規格化試料撮像手段を使用すれば、映像が規格化されているので、どこで、だれが計測しても互換性がある。これにより医師間における診断誤差が極めて少なくなる。
【0054】
また従来は、スライドグラスやカバーグラスに格子がインキされていた。この場合、スライドグラスやカバーグラスにいちいちインキしないといけないので大変(手間)である。また非常に高価であったが、本発明により従来の安価なスライドグラスやカバーグラスを使用できる。 さらにまた格子の形、大きさは、どのような形、大きさにも設定できる。一例としては、3角形以上の多角形格子などである。
【0055】
[変形例]
上記実施例では、試料の調整を特に行っていないが、
歯垢をスライドグラスに採取して、一定量の希釈液、一例として生食、リン酸緩衝液、(人工)唾液、(人工)組織液または水3μl〜6μl程度、一例として水3μlにて希釈し(常に一定量にて希釈するのが望ましい。)、そしてカバーグラスにて試料を圧接するとさらに良い。
【0056】
また、試料が歯肉溝内の液相(流動、半流動成分を含む)を連円探針(図120)などにて採取した場合は、希釈する必要がない場合がある。その場合は、希釈液を気にすることはない。
【0057】
さらに上記実施例では、一般的なスライドグラス、カバーグラスを使用したが、特殊なスライドグラス、カバーグラスを使用しても良い。
【0058】
具体的な一例としては、深さ一定スライドグラスである。これを使用し、前記格子の単位格子あたりの白血球など指標の数と、この深さによって単位体積あたりの指標物の数(白血球数)などが計算してもよい。 (圧接条件が同一になりやすい利点もある。)
【0059】
また上記実施例では、電子格子を使用したが、図128のごとく格子に前記座標位置を表示する座標提示手段を備えて、表示画像に座標を表示しても良い。この例では、x座標値の最大値は、720/2.88=250であり、y座標値の最大値は、480/2.61=183である。座標位置の表示は、格子のどこでもよいし、また表示文字は透過色を使用してもよいし、また非透過色を使用してもよい。また画面の隅など画面のどこに表示してもよいし、またセカンドモニターに表示してもい。
【0060】
この場合、座標提示手段をONにすると現在の格子の座標が示される。(一例として図128や図127下図)
【0061】
そして座標提示手段をOFFにすると座標値が消え、そして電子格子をOFFにすると電子格子が消え、試料映像のみとなる。(図127上図)
【0062】
前記Nvcx, RefNx, Npocx、Ovcx, RefOx, OpocxなどをPC上にて実現したNvcx手段, RefNx手段, Npocx手段、Ovcx手段, RefOx手段, Opocx手段のいづれかまたは、その組み合わせを備えても良い。
[効果]
白血球が定量でき、その値を元に
Nvcx(t), RefNx(t), Npocx(t)
Ovcx(t), RefOx(t), Opocx(t)

臨床簡単解を求める事ができる。
そして、それらの値から歯周病の有無、類型、酷さ、感染、治癒などが定量的に判明する。



【実施例2】
【0063】
第2実施例の定量化規格化(位相差)顕微鏡装置は、少なくとも3次元定量計測手段をを備える。
【0064】
[第2実施例の形態]
第3実施例は、定量化規格化(位相差)顕微鏡装置による3次元定量計測を実施の形態とする。
【0065】
[構成]
実施例1の構成に加え
3次元(定量)計測手段は、少なくとも深さ手段を備える。
【0066】
さらに試料が希釈されている場合は、
希釈率手段を備える。
希釈されていない場合は、不要である。
【0067】
ここで深さ手段は、
1 深さ一定スライドグラス、深さ一定カバーグラス、深さが既知のスライドグラス、深さが既知のカバーグラスによる既知の深さを記憶または入力記憶する手段を使用する深さ手段の場合。ここで深さ既知のスライドグラスには、格子位置に対して深さが既知となっているものを含む、すなわち場所により深さが異なっても、その位置が特定できるものである。
2 深さ、すなわち試料の厚さを計測する厚さ計を少なくとも備える深さ手段の場合。

以上1,2の各手段におけるいづれかまたはその組み合わせなどにより実現される。
【0068】
具体的な一例において、前記深さ手段の1の場合の一例として前記深さ一定カバーグラスなどを使用し深さが既知となっている場合などは、深さ手段に、この深さ値をキーボードなどにて入力しておく。具体的な一例としては、15μmなどである。
【0069】
そして、この格子の辺は、前記電子格子手段から既知となっている。ここでは、一例として50μmである。ここで、いくつの格子中の指標物を計測するかは、統計的な母集団推定にしたがうのが良い。
よって、単位体積あたりの白血球の数がわかる。
【0070】
[動作]
実施例1の装置と同じく電源をONにして、実施例1と同じ動作を行い、さらに次の動作を追加する。 すなわち具体的な追加動作一例として
図128において、
1格子(50μ×50μm)における白血球数は、8個である。
次に深さ手段にキーボードなどにて深さ入力する。ここでは15μmを入力する。
【0071】
ここで、試料が希釈されている場合は、希釈率手段が希釈率を計算するが、ここでは希釈しておらず、1を入力するか、もしくは希釈率手段を使用しない。
【0072】
以上の結果、単位体積あたりの数、すなわち密度が算出され、表示手段などにて表示される。すなわち
深さ手段からの深さ値と電子格子手段からの格子寸法にて前記の例においては、密度は
密度手段が 2.13×10−4(個/μm)と計算し、それを表示手段が
2.13×10個/ mm
と表示するなどである。
さらに血液中の白血球を計測すると、正常値は4,000〜8,000個/ mmなので、50μm辺の格子で深さ15μmの6面体中においては、1.5〜3×10−1個見える事になる。これは、10視野見ると1.5〜3個の白血球が観察される事である。この程度の数であると統計学的サンプルを行う必要があるのはいうまでもない。(後述の母集団推定手段の採用が望ましい。)このように血液中の白血球密度を計測することもできる。
【0073】
試料が希釈されていない場合は、希釈率手段を使用しなくても定量ができるのは言うまでもない。特にプラーク相(層)は、希釈が必要である場合がほとんどであり、液相は、採取料が少ないとき、特に希釈が必要な場合が多い。
【0074】
[効果]
これらは、3次元定量計測や3次元定性計測などができる事を意味している。
すなわち具体的な一例として単位体積あたりの白血球の数がわかる。微生物や構造物、組織なども同様に単位体積あたりの数がわかる。
また定性採取のNo9の探針の採取量を計測でき、結果として定量計測とできる。
【0075】
[変形例]
前記深さ手段は、深さ一定カバーグラスによるものであったが、各種厚さ計(レーザー、静電容量、差動トランスなど)を使用して試料の厚さを計測し自動入力や手動入力する深さ手段を使用してもよい。
この前記深さ手段の2の場合の一例として、カバーグラスもスライドグラスも最も安価で汎用的な極々一般的なカバーグラスや汎用的な極々一般的なスライドグラスを使用できる。
【0076】
具体的な一例としては、
カバーグラスをスライドグラスに載せて厚み計測手段にて厚みを計測し、試料を挟んで厚みを計測し、その差分を厚みにするなどである。この場合、前記厚み計測手段がUSBなどにてコンピュータに接続されている場合は、自動に深さ手段に深さが記憶されている。またこの場合、試料ひとつひとつに厚さが計測される。
【0077】
さらに厚み計測手段が試料ステージ上などに設置されている場合、電子格子上にて厚さ計測ができるので、電子格子と厚さとの計測データ(行列)が使用できる。この場合、カバーグラスの「」しなり」「たわみ」などにてカバーグラスの面内に厚さ変動があっても精度良く深さが計測される。これは深さ一定スライドグラスのみでも定量化は可能だが深さ一定スライドグラスを使用した場合に使用しても有効で、さらに精度が上昇する。
これらも3次元定量計測手段の一例である。
【0078】
前記Nvcx, RefNx, Npocx、Ovcx, RefOx, OpocxなどをPC上にて実現したNvcx手段, RefNx手段, Npocx手段、Ovcx手段, RefOx手段, Opocx手段のいづれかまたは、その組み合わせを備えても良い。
[効果]
白血球が定量でき、その値を元に
Nvcx(t), RefNx(t), Npocx(t)
Ovcx(t), RefOx(t), Opocx(t)

臨床簡単解を求める事ができる。
そして、それらの値から歯周病の有無、類型、酷さ、感染、治癒などが定量的に判明する。


【0079】
[総合変形例]
上記実施例にいづれかまたはその組み合わせを、加えあるいは、変形し、
【0080】
電子格子に番号を表示する番号表示手段を備えても良い。前記ブロックに番号(ここでは、座標値)を対応させておき、その番号を記憶手段に記憶し、番号表示手段のスイッチにて表示、非表示する。
番号表示手段をONにすると、格子毎に番号が表示される。(図128)
【0081】
電子格子に長さ値を表示する長さ表示手段を採用しても良い。格子毎や、前記スケールに長さ値を対応させた数値が記憶手段に記憶されており、長さ表示手段のスイッチにて長さ値が表示される。
長さ表示手段をONにすると、長さ値(長さスケール)が表示され、試料の長さを計測できる。
【0082】
ここで前記電子格子に番号を表示する番号表示手段からの番号をランダムに表示し、その番号毎にサンプリング(計測)をしてゆく、無作為抽出手段を備えても良い。(図128)この時、計測する格子番号に対応する計測範囲設定手段に伝達され計測値が記憶される。
【0083】
さらにまた、前記無作為抽出を行う毎に、ヒストグラムや平均、偏差、サンプリング数、信頼度のいづれかひとつ、またはその組み合わせを表示する母集団推定手段を備えても良い。これは、最低限必要なサンプリングを認知でき、サンプリング(計測)を最低限にて中止する事ができ合理的である。(図128)
【0084】
試料ステージの位置は、マグネスケールや作動トランスや位置検出が行えるステッピングモーターなど既存の位置検出手段を使用して電子格子の位置情報としても良い。その場合は、本発明よりほとんどが高価で、機構が複雑になりやすくまた大がかりとなりやすいが代用はできる。
【0085】
また試料にレーザーを照射し、そのスペックルの速度を積分し、位置を検出するレーザースペックルによる位置検出手段を使用し電子格子の位置情報としても良い。この場合は、指標や指標撮像手段そして指標検出手段は不要となる。
本発明の実施例1は、これらの位置検出(手段)による電子格子位置あわせのための手段をのぞく一例である。
【0086】
前記実施例に採取定量手段を使用してもよい。
具体的には、
1 連円探針(連ドーナッツ状探針)(図120)
2 縦溝探針(図121)
3 歯周ポケット用スポイト(図123)
のいづれかまたは、その組み合わせを使用する。
【0087】
1を使用すれば、歯周ポケット内の液状成分(流動、半流動成分)すなわち液相、内縁上皮のバイオゾーン(組織相または組織層)、歯根面の縁下プラーク(プラーク層またはプラーク相)のいづれかまたはその組み合わせにて試料を定量採取できるので、それらの前述診断が定量的にできる。またポケット底からポケット開口部までの深部の試料と浅部の試料を、円内の試料のみを断続的に採取し断続的サンプリングしたり、または、円内と連続した円の表面に連続する試料を採取し連続的にサンプリングできる。
【0088】
2を使用すれば、歯周ポケット内の液状成分(流動成分、半流動成分を含む)すなわち液相、内縁上皮のバイオゾーン(組織相または組織層)、歯根面の縁下プラーク(プラーク層またはプラーク相)のいづれかまたはその組み合わせにて試料を定量採取できるので、それらの前述診断が定量的にできる。またポケット底からポケット開口部までの深部の試料と浅部の試料を連続的にサンプリングできる。
【0089】
3を使用すれば、歯周ポケット内の液状成分(流動成分、半流動成分を含む)すなわち液相を定量採取できるので、それらの前述診断が定量的にできる。またポケット底からポケット開口部までの特定の部位の液相をスポット的に採取できる。また連続吸引においては、連続した試料が、断続吸引においては断続した試料が採取できる。
【0090】
また規格化試料撮像手段一例として、
映像伝達手段がデジタルの場合、すなわちCCD1画素毎を直接A/D変換して得られた信号を使用する場合は、DIN規格対物レンズ40倍に約7μmドットCCD画素(ピッチ)を使用したCCDの画素(ピッチ)で規格化しても良い。また、
少なくとも映像伝達手段が既存のアナログビデオ信号を使用する場合においては、DIN規格対物レンズ40倍に後述の最終的なサンプリング画素で規格化した規格化試料撮像手段を使用しても良いし、前記1/3インチCCDとDIN規格対物レンズ40倍とでの規格でもよい。この2つは、幅を持たせて同じ規格としても良い。さらにCCDの画素とキャプチャーのサンプリング条件、ビデオ信号の処理タイミングなどを全て考慮したサンプリング画素で規格化した場合は、以下のごとくである。
【0091】
ここで、キャプチャーした画像における1画素の条件として0.175μm画素ピッチ(前記CCD画素では7μm程度で40倍DIN規格レンズ使用時)の画像とした場合、この画素条件にて480iDV規格を採用すると、40倍DIN規格の対物レンズの場合、視野が126μm×84μm程度である。さらにPAL規格の720×512でゆくと、126μm×90μm程度である。ちなみに本顕微鏡視野(40倍DIN規格の対物レンズ)は、125μm×92μmにて、0.174μm×0.19μmの画素ピッチを採用した。垂直画素がやや大きいのは、CCDの画素の大きさとCCDの画素数と480iDV規格の480ライン(キャプチャーボードのサンプリング条件)あるいは、NTSC規格などに制限されているからである。また少なくとも水平(x方向)にての規格としても良い。もちろん前記条件を満たすCCDの画素ピッチ、伝送系の帯域などが必要なのは言うまでもない。
【0092】
ここでこの規格にさらに詳細な規格として、CCDカメラからの出力信号をS−Video(以上)出力やデジタル出力によりハイビジョンやDVD規格である480iと同等とした規格化試料撮像手段として使用しても良い。この場合全世界規模で医師間の診断誤差が減少する。
【0093】
一般的なアナログ版の位相差顕微鏡の規格は、DIN規格40倍の有限焦点対物レンズにS−Video出力の1/3インチCCDカメラが最適と思われる。水平解像度は、480以上で、さらに512本以上で、525本が最ものぞましい。(720×480以上の分解能をカメラが有する事が好ましい。 さらに可能なら720×512以上、そして525本が最も望ましい。)
ここでキャプチャーボードは、720×480から720×525画素でのサンプリングが最適と思われる。もちろん、さらに高分解能、広い視野が確保できる条件は、多々存在するが、最も広く普及しているビデオ規格に対応できる規格が上記の40倍DIN対物レンズ+1/3CCD+S−Video+720×480キャプチャー規格である。ゆえにもっとも多くの人々が、同一の画像にて診断、意見交換ができるので価値がある。
【0094】
将来的にはさらに高分解能、高視野の規格の策定が望まれる事は言うまでもない。
【0095】
前記電子格子手段の描画画像は、4角形を採用したが、多角形や不定形の格子でも良い。
被計測物に形状を合わせた特定形状の格子でもよい。一例として歯肉溝に浸潤した白血球なら多くは丸いので、丸の格子でも良い。
この場合は、指標物の形状に設定できるので、誤差の少ないサンプリングなどができる。
【0096】
この定量化規格化(位相差)顕微鏡装置は、どのような試料、指標に適用してもよい。
【0097】
本発明の実施例または変形例は、全てハードウェアにて製作しても良いし、またソフトウェアで置き換え可能な部分は、置き換えても良い。
【0098】
本発明の実施例または変形例は単独で実施しても良いし、また組み合わせて実施しても良い。また他の用途に使用しても良い。また上記手段に関しても、術者や製造者が取捨選択し使用、製造するなど単独あるいはどのような組み合わせの構成をなしてもよい。

一例として、本発明である定量化規格化(位相差)顕微鏡装置において定量計測手段の変形一例の一つである画像認識手段(画像認識手段は、少なくとも画像の大きさ、形による相関を求める相関手段を備える。)を選択し、さらに蛍光手段または分光手段を組み込むなどして、組み合わせるなどである。
ここでの画像認識手段は、一種の定量計測手段である。すなわち、本発明である定量化規格化(位相差)顕微鏡装置は、少なくとも画像認識手段(定量計測手段の一つ)を備え、さらに蛍光手段、分光手段、運動分析手段などの性状手段を組み込む事を特徴とするので、微生物などの観察物の大きさ、形、性状(分光特性、蛍光特性、運動特性など)にて、試料画像中の微生物などの観察物を特定する事ができる。
【0099】
この組み合わせの具体的一例では、
プレボテラ インターメディアの大きさを計測すると短桿菌形状にて、
成熟した株にて
長さ 1.7μm前後から2.3μm前後 (未熟な時1μ前後)
幅 3.5μm前後から4.6μm前後 (未熟な時1μ前後)
にて前記大きさの短桿菌形状の空間フィルターなどにて相関などを計算する相関手段と
紫外線波長300nmから400nm未満程度にて試料を励起し、試料画像においては、可視光線のみを表示する蛍光手段とを備える。ここでプレボテラ インターメディアは、赤色の発光(蛍光)をする。
そして前記採取定量手段などにて口腔内から採取された試料を前記定量化規格化(位相差)顕微鏡装置により試料画像Aとする、ここで、さらに前記波長にて試料を照射励起し、その画像を試料画像Bとする。そしてその画像Aを画像認識手段が前記大きさの短桿菌(領域または形)による相関係数にて相関性ありとした短桿菌領域を、つぎに画像Bに重ね、かさなった画像Bの領域を画像認識手段が赤色フィルター処理手段にて前記画像Aの短桿菌領域を選択表示してゆく。(選択表示とは、一例として条件に一致した画像を特定の形状にて囲み線で囲んだり、色をつけたりすることなどである。ここでは、特定の形状は、前記サイズでの短桿菌形状である。) ここで、使用する画像は、Bのみでも選択可能だが、背景画像などとの分離などで画像Aを使用するほうが見やすいので、ここでは画像Aと画像Bを使用した。
すると、かなりの確率にてプレボテラ インターメディアのみの画像を見ることができる。
この時、この画像が確認されている短桿菌赤色部分を、画像認識手段が、位相差顕微像に切り替えたり、位相差顕微像に蛍光像を重ねたり、背景画像から抽出して、観察しても良い。さらにまたこの赤色の発光強度の強弱を計測して、プレボテラ インターメディアの活動指数としてもよい。
【0100】
また他例として、本発明である定量化規格化(位相差)顕微鏡装置に画像認識手段と分光手段とを組み込み組み合わせてもよい。画像認識手段は、一種の定量計測手段である。(画像認識手段は、少なくとも画像の大きさ、形などによる相関を求める相関手段を備える。)
ここで分光手段の使用波長を約1038cmー1または、約1033cmー1などとし、この波長のみ吸収される吸収画像B(前記プレボテラ インターメディアと処理は同様)とストレプトコッカスミュータンスと大きさ(1μmの球状)、形(約1μm球状で約0.5μm程度間隔の連鎖形状もしくは数珠状による連鎖球菌形状)における画像Aの相関とで、前記プレボテラインターメディアの時と同じく画像認識手段が、試料画像A(位相差顕微鏡画像)をマーキングや選択するなどする。するとこのマーキングまたは選択表示された部分が、かなりの確率にてストレプトコッカス ミュータンスである。画像の使用は、プレボテラ インターメディア同様、画像Bのみでもよいが、画像Aを併用するのが望ましい。
【0101】
また他のストレプトコッカス属の波長である約1018cmー1を使用して、他のストレプトコッカス属を選択表示しても良い。すなわち、
ストレプトコッカス サリバリウスの場合は、約1048cm−1、
ストレプトコッカス サングイスの場合は、約1018cmー1
をそれぞれ使用し特定しても良い。また、
ストレプトコッカス ミィテスのように2峰性のピークの場合は、約1038cmー1と約1024cmー1を同等に抽出することにより分離しても良い。また1024cmー1ピークが1038cmー1ピークに対して同等ならストレプトコッカス ミィテスとしたり、1038cmー1ピークを赤、約1024cmー1ピークを青で識別して、黄色をストレプトコッカス ミィテス、赤をストレプトコッカスミュータンスとして識別しても良い。
ここで、cm−1は、IRの波長を使用してもよいし、ラマン散乱(シフト)の対応波長を使用しても良いのは言うまでもない公知の事実である。
【0102】
R(赤)を1018cm−1、G(緑)を1038cm−1、B(青)を1080cm−1に適用してカラーマッピングしても良い。
R(赤)を1080cm−1、G(緑)を1038cm−1、B(青)を1018cm−1に適用してカラーマッピングしても良い。
R(赤)を1038cm−1、G(緑)を1018cm−1、B(青)を1080cm−1に適用してカラーマッピングしても良い。さらに1024cm−1をいづれかの波長に代えて組み合わせてもよいなど、4つの波数をどのように組み合わせても良い。
など、いづれの組み合わせでも良い。
またこれらの3刺激値は、シャープなδ関数でも良いし、広がりのある関数でも良い。
広がりのある関数の場合は、なめらかに移行的に表示波長が変化する。
【0103】
また試料の保持条件からくる水分量により変動する場合があるので、既知の検量手段による水分補正手段にて水分による変動を補正しても良い。
【0104】
ここで、運動性微生物は、運動分析手段にて特定の運動にて抽出しても良い。
一例として、移動速度を既知の速度分析手段にて分析し、前述画像認識手段が、運動性微生物の形と大きさを分析し、運動性微生物をマーキングまたは選択表示するなどである。
【0105】
もちろん前記プレボテラ属やストレプトコッカス属の定量計測において、さらに第2の定量計測として前記計測範囲格子や深さ一定カバーグラス手段などとともに使用し、密度を計測しても良い。
【0106】
他の用途に使用に使用する例としては、指標検出手段により試料ステージの位置を検出できるので、これをオブジェクトマーカーとして利用してもよいなどである。また他の例としては、計測対象を微生物ではなく金属組織、有機化合物、無機化合物などどのような物質に使用しても良いなどである。
【0107】
さらに前記Nvcx, RefNx, Npocx、Ovcx, RefOx, OpocxなどをPC上にて実現したNvcx手段, RefNx手段, Npocx手段、Ovcx手段, RefOx手段, Opocx手段のいづれかまたは、その組み合わせを備えても良い。
[効果]
白血球が定量でき、その値を元に
Nvcx(t), RefNx(t), Npocx(t)
Ovcx(t), RefOx(t), Opocx(t)

臨床簡単解を求める事ができる。
そして、それらの値から歯周病の有無、類型、酷さ、感染、治癒などが定量的に判明する。
【0108】
上記実施例または変形例は、全てハードウェアにて製作しても良いし、またソフトウェアで置き換え可能な部分は、置き換えても良い。
【0109】
上記実施例または変形例は単独で実施しても良いし、また組み合わせて実施しても良い。また他の用途に使用しても良い。また上記手段に関しても、術者や製造者が取捨選択し使用、製造するなど単独あるいはどのような組み合わせの構成をなしてもよい。

【産業上の利用可能性】
【0110】
歯周病の正確な診断ができるので、歯周病に対する的確な処置ができる。

【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】白血球浸潤フローの一例。
【図2】FIFO様モデルの一例。
【図3】FIFO様モデルの窓 窓枠の一例。
【図4】複FIFO様モデルの一例。
【図5】複FIFOブランチモデルの一例。
【図6】複FIFOブランチモデル+BioZoneの一例。
【図7】歯周病類型の一覧一例。
【図8】白血球浸潤 診断フローチャート手段の一例。
【図9】OldLeukoTimeScaleの一例。
【図10】OldLeukoTimeScale グラフの一例。
【図11】OldLeukoTimeScale 理想の一例。
【図12】OldLeukoTimeScale グラフ 理想の一例。
【図13】単復持感染モデル0−1の一例。
【図14】単復持感染モデル0−2の一例。
【図15】単復持感染モデル0−3の一例。
【図16】単復持感染モデル 123の一例。
【図17】単復持感染モデル 複合の一例。
【図18】単復持感染モデル Nr Orの一例。
【図19】単復持感染モデル Nr NPocAllの一例。
【図20】単復持感染モデル1−1の一例。
【図21】単復持感染モデル1−2の一例。
【図22】単復持感染モデル1−3の一例。
【図23】単復持感染モデル 123の一例。
【図24】単復持感染モデル 複合の一例。
【図25】単復持感染モデル 合計数 合計速度の一例。
【図26】単復持感染モデル 合成 複合 Orの一例。
【図27】単復持感染モデル Nrの一例。
【図28】単復持感染モデル2−1の一例。
【図29】単復持感染モデル2−2の一例。
【図30】単復持感染モデル2−3の一例。
【図31】単復持感染モデル 123の一例。
【図32】単復持感染モデル 複合の一例。
【図33】単復持感染モデル 合計数 合計速度の一例。
【図34】単復持感染モデル 合成 複合 Orの一例。
【図35】単復持感染モデル Nrの一例。
【図36】NewLeuko 劣化 + OldLeuko 75%の一例。
【図37】好中球劣化時間 原画 小 75%の一例。
【図38】t3x t2xとの比較図の一例。
【図39】Leuko 分葉 75%の一例。
【図41】症例1の一例。
【図42】症例1の一例。
【図43】症例1の一例。
【図44】症例1の一例。
【図45】症例1の一例。
【図46】症例2の一例。
【図47】症例2の一例。
【図48】症例2の一例。
【図49】症例2の一例。
【図50】症例2の一例。
【図51】症例3の一例。
【図52】症例3の一例。
【図53】症例3の一例。
【図54】症例3の一例。
【図55】症例4の1の一例。
【図56】症例4の1の一例。
【図57】症例4の2の一例。
【図58】症例4の2の一例。
【図59】症例4の2の一例。
【図60】症例4の2の一例。
【図61】症例4の3の一例。
【図62】症例4の3の一例。
【図63】症例4の3の一例。
【図64】症例4の3の一例。
【図65】症例4の4の一例。
【図66】症例4の4の一例。
【図67】症例4の4の一例。
【図68】症例4の4の一例。
【図69】症例4の4の一例。
【図70】症例5の1の一例。
【図71】症例5の1の一例。
【図72】症例5の1の一例。
【図73】症例5の1の一例。
【図74】症例5の1の一例。
【図75】症例5の1の一例。
【図76】症例5の2の一例。
【図77】症例5の2の一例。
【図78】症例5の2の一例。
【図79】症例5の2の一例。
【図80】症例6の一例。
【図81】症例6の一例。
【図82】症例6の一例。
【図83】症例6の一例。
【図84】症例6の一例。
【図85】症例6の一例。
【図86】症例6の一例。
【図87】症例6の一例。
【図88】症例6の一例。
【図89】症例6の一例。
【図90】症例6の一例。
【図91】症例6の一例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)へ遊走(分泌)する新好中球の遊走速度(分泌速度)であるNvax(t)値を求めるNvax手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項2】
歯周病確定装置は、
旧好中球の生成速度であるOvax(t)値を求めるOvax手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項3】
歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)へ遊走(分泌)する新好中球の遊走個数(分泌個数)であるRefNx(t)値を求めるRefNx手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項4】
歯周病確定装置は、
旧好中球の生成個数であるRefOx(t)値を求めるRefOx手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項5】
歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)での新好中球数であるNpocx(t)値を求めるNpocx手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項6】
歯周病確定装置は、
歯周ポケット(内)での旧好中球数であるOpocx(t)値を求めるOpocx手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項7】
歯周病確定装置は、
旧好中球または新好中球の劣化時定数によるタイムスケール手段を有する事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項8】
請求項3におけるRefNx手段は、
a因子手段、b因子手段、c因子手段のいづれかまたはその組み合わせを備えることを特徴とする歯周病確定装置。
【請求項9】
歯周病確定装置は、少なくとも定量化規格化位相差顕微鏡装置を備える事を特徴とする歯周病確定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいづれか一項における歯周病確定装置は、
採取定量化手段を備えることを特徴とする歯周病確定装置。

【図91】症例6の一例。
【図92】症例6の一例。
【図93】症例6の一例。
【図94】症例7のバイオゾーンの一例。
【図95】症例7のバイオゾーンの一例。
【図96】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図97】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図98】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図99】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図100】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図101】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図102】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図103】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図104】症例7のプラーク相(層)の一例。
【図105】症例7の液相の一例。
【図106】症例7の参照症例として、血液中の一例。
【図107】症例8の白血球クラスター化の一例。
【図108】症例8の白血球クラスター化の一例。
【図109】症例8の白血球クラスター化の一例。
【図110】症例9の膿瘍形成ポケット内の一例。
【図111】症例9の膿瘍形成ポケット内の一例。
【図112】症例9の膿瘍形成ポケット内の一例。
【図113】症例9の膿瘍形成ポケット内の一例。
【図114】症例9の膿瘍形成ポケット内の一例。
【図115】症例9膿瘍(内)の一例。
【図116】症例9膿瘍(内)の一例。
【図117】症例9膿瘍(内)の一例。
【図118】症例9膿瘍(内)の一例。
【図119】症例9膿瘍(内)の一例。
【図120】採取定量手段の連円探針(連ドーナッツ状探針)の一例。
【図121】採取定量手段の縦溝探針の一例。
【図122】採取定量手段の単円探針の一例。
【図123】採取定量手段の歯周スポイトの一例。
【図124】歯周病確定装置のブロック図一例。
【図125】歯周病確定装置の動作一例。
【図126】深さ手段などを採用した定量化規格化(位相差)顕微鏡装置のブロック図一例。
【図127】歯周病確定装置による映像の一例。
【図128】定量化規格化位相差顕微鏡装置の映像一例。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図120】
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【図121】
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【図122】
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【図123】
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【図124】
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【図125】
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【図126】
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【図127】
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【図7】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図97】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図107】
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【図110】
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【図111】
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