説明

歯牙製品及び歯牙製品の製造方法

【課題】 脱落歯牙を保存環境に左右されることなく経年変化しにくくして、脱落歯牙の耐久性の向上を図る。
【解決手段】 歯牙Tの不要物を除去する不要物除去工程(1)と、不要物を除去した歯牙Tをフッ素イオンを含む水溶液L中に浸漬処理するフッ素イオン導入処理工程(2)と、歯牙Tの欠損部位4に補綴材5を用いて修復する修復工程(3)と、歯牙Tの表面に光沢剤6を塗布する光沢剤塗布工程(4)と、歯牙Tの表面を保護剤7で被覆する保護処理工程(5)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に人体から抜去されあるいは自然脱落した乳歯や永久歯などの歯牙を加工してなる歯牙製品及びこの歯牙製品を製造する歯牙製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1(特開2001−327312号公報)に掲載されているように、人体から抜去されあるいは自然脱落した乳歯などの歯牙(以下「脱落歯牙」ともいう)を加工して歯牙製品とし、記念品として箱に入れて保存したり、装飾品などにすることが行なわれている。
この歯牙製品の製造方法は、例えば、口腔内より抜けた乳歯からなる歯牙の内側面の汚れを落とし、この歯牙を洗浄液中に浸して超音波洗浄する。それから、歯牙の内側面に接着剤を塗布し、内部空間に光重合レジンのペーストを充填し、この光重合レジンにより人造歯根を形成するとともに、光重合器で硬化させる。その後、人造歯根を歯科用工具を用いて整形し、全体の艶出しを行ない、歯牙製品としている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−327312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来の歯牙製品においては、全体の艶出しを行なっているが、経年変化し、乾燥して亀裂を生じたり、強度が脆弱化し、また、光沢性の減少、変色,化学的耐性の減少を生じ、更には、高湿度の状態ではカビが発生するなどして劣化現象を生じることがあるという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、脱落歯牙を保存環境に左右されることなく経年変化しにくくして、脱落歯牙の耐久性の向上を図った歯牙製品及び歯牙製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため本発明の歯牙製品は、歯牙を加工して形成される歯牙製品において、歯牙の表面にフルオロアパタイトを形成した構成としている。
これにより、歯牙の表面にフルオロアパタイトが形成されているので、このフルオロアパタイトの結晶は、化学的に安定である特徴を有し、水や酸に溶けにくく、歯牙の表層及び内部を保護することから、脱落歯牙が乾燥して亀裂を生じたり、強度が脆弱化し、また、光沢性の減少、化学的耐性の減少を生じ、更には、高湿度の状態ではカビが発生するなどして劣化現象を生じる事態を抑制することができ、そのため、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0007】
そして、必要に応じ、上記フルオロアパタイトが形成された歯牙の表面に、保護剤を被覆した構成としている。
これにより、保護剤が歯牙の表層及び内部を確実に保護するので、より一層、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
この場合、上記保護剤は、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかであることが有効である。
加工歯牙においては、特に、保護剤としてフッ素樹脂が特異的で、親和性がありきわめて有効である。即ち、保護剤がフッ素樹脂の場合には、表面エネルギーが低いことから粘着物質がつきにくく、付着してもとれやすくなる。酸、アルカリ、溶剤などの腐食性物質に侵されにくく、使用中に有害物質を発生させない。フッ素変性塗料系はフッ素樹脂の持つ滑り性と有機バインダー樹脂による向上した塗膜を兼ね備えることにより、荷重の高い摩擦に対して優れた耐摩耗性を示す。一般的には−240℃〜260℃までの範囲の耐熱性を呈する等、耐熱・耐寒性,耐薬品性・耐蝕性,非粘着性,低摩擦特性,不燃性などの優れた機能を発揮させることができる。
【0008】
また、保護剤がセラミックあるいはガラスの場合も、上記と同様に、耐熱・耐寒性,耐薬品性・耐蝕性,非粘着性,低摩擦特性,不燃性などの優れた機能を発揮させることができる。
【0009】
そしてまた、必要に応じ、上記フルオロアパタイトが形成された歯牙の表面に、光沢剤を塗布した構成としている。
これにより、光沢剤を塗布したので、歯牙の表層及び内部を確実に保護することができ、より一層脱落歯牙の耐久性を向上させることができるとともに、光沢が付与されるので、外観品質を向上させることができる。
この場合、上記光沢剤は、光触媒としても機能する酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかであることが有効である。
特に、光沢剤が酸化チタン被覆雲母の場合には、きれいな真珠光沢を生み出すことができる。また、塗剤の皮膜厚さを変化させることにより光沢性にコントラストを付与することも可能である。
【0010】
また、本発明においては、上記のように特に歯牙の表面にフルオロアパタイトを形成することなく、歯牙の表面に、保護剤を被覆した構成であってもよい。上記と同様の作用,効果を奏する。
そして、この場合も、必要に応じ、上記保護剤として、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いる構成としている。
また、必要に応じ、歯牙の表面に、光沢剤を塗布した構成としている。この場合、上記光沢剤として、酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いることが有効である。上記と同様の作用,効果を奏する。
【0011】
そしてまた、必要に応じ、歯牙を、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットした構成としている。例えば、ダイヤモンドのブリリアンカット等がある。宝石のように形成でき、外観品質が向上させられる。
更に、必要に応じ、上記歯牙内部に発光ダイオード,ICチップの少なくとも何れかを封埋した構成としている。内部より発光させたり、種々の情報を記憶させることができ、機能向上が図られる。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の歯牙製品の製造方法は、歯牙を加工して歯牙製品を製造する歯牙製品の製造方法において、歯牙の不要物を除去する不要物除去工程と、不要物を除去した歯牙をフッ素イオンを含む水溶液中に浸漬処理するフッ素イオン導入処理工程とを備えた構成としている。
この場合、上記水溶液として、フッ化ナトリウムを溶解した水溶液を用いることが有効である。
フッ化ナトリウムの濃度としては2mg/L、言い換えればフッ素濃度が9000ppm程度が望ましい。尚、濃度はこれに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。
【0013】
これにより、歯牙の表面にフルオロアパタイトが形成されるので、このフルオロアパタイトの結晶は、化学的に安定で、水や酸に溶けにくく、歯牙の表層及び内部を保護することから、脱落歯牙が、乾燥して亀裂を生じたり、強度が脆弱化し、また、光沢性の減少、化学的耐性の減少を生じ、更には、高湿度の状態ではカビが発生するなどして劣化現象を生じる事態を抑制することができ、そのため、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0014】
そして、必要に応じ、上記フッ素イオン導入処理工程後に、歯牙の表面を保護剤で被覆する保護処理工程を備えた構成としている。保護剤としては、透明もしくは半透明のものが望ましい。
これにより、保護剤が歯牙の表層及び内部を確実に保護するので、より一層、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0015】
この場合、必要に応じ、上記保護剤として、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いる構成としている。
特に、保護剤としてフッ素樹脂が特異的で、親和性がありきわめて有効である。即ち、保護剤がフッ素樹脂の場合には、表面エネルギーが低いことから粘着物質がつきにくく、付着してもとれやすくなる。酸、アルカリ、溶剤などの腐食性物質に侵されにくく、使用中に有害物質を発生させない。フッ素変性塗料系はフッ素樹脂の持つ滑り性と有機バインダー樹脂による向上した塗膜を兼ね備えることにより、荷重の高い摩擦に対して優れた耐摩耗性を示す。一般的には−240℃〜260℃までの範囲の耐熱性を呈する等、耐熱・耐寒性,耐薬品性・耐蝕性,非粘着性,低摩擦特性,不燃性などの優れた機能を発揮させることができる。
【0016】
また、保護剤がセラミック,ガラスの場合も、上記と同様に、耐熱・耐寒性,耐薬品性・耐蝕性,非粘着性,低摩擦特性,不燃性などの優れた機能を発揮させることができる。
【0017】
また、必要に応じ、上記保護剤として、常温乾燥型のフッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いる構成としている。常温乾燥型なので、取り扱いが容易であり、製造を煩雑になることなく容易に行なうことができる。
【0018】
また、必要に応じ、上記フッ素イオン導入処理工程後に、歯牙の表面に光沢剤を塗布する光沢剤塗布工程を備えた構成としている。
これにより、光沢剤を塗布したので、歯牙の表層及び内部を確実に保護することができ、より一層脱落歯牙の耐久性を向上させることができるとともに、光沢が付与されるので、外観品質を向上させることができる。
この場合、上記光沢剤として、光触媒としても機能する酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いることが有効である。
特に、光沢剤が酸化チタン被覆雲母の場合には、きれいな真珠光沢を生み出すことができる。また、塗剤の皮膜厚さを変化させることにより光沢性にコントラストを付与することも可能である。
【0019】
また、本発明においては、上記のフッ素イオン導入処理工程を設けることなく、歯牙の不要物を除去する不要物除去工程と、不要物を除去した歯牙の表面を保護剤で被覆する保護処理工程を備えた構成であってもよい。上記と同様の作用,効果を奏する。
そして、この場合も、必要に応じ、上記保護剤として、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いる構成としている。また、この場合、上記保護剤として、常温乾燥型のフッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いることが有効である。
更に、必要に応じ、歯牙の表面に光沢剤を塗布する光沢剤塗布工程を備えた構成としている。この場合、上記光沢剤として、光触媒としても機能する酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いることが有効である。上記と同様の作用,効果を奏する。
【0020】
更にまた、必要に応じ、上記不要物除去工程は、酸を有する水溶液によるエッチング処理、または、EDTA溶液を用いたキレート処理を含む構成としている。
一般に、歯牙において、表層のエナメル質が崩壊し、象牙質が露出すると、象牙質に所謂スメア層といわれる、歯牙の切削くず等の汚物が詰まって汚れる層が形成されることがあるが、エッチング処理を行なうことで、これらの汚物層が除去されるようになるとともに、エナメル質および象牙質の表面に、謂わば、ミクロの傷ができるようになり、歯牙の表面が粗面になる。そのため、フッ素イオン導入処理工程においては、内部に水溶液が侵入しやすくなり、内部にフルオロアパタイトが確実に形成されるようになる。上記スメア層の除去はエッチング剤の代用に3w/v%のEDTA溶液を用いてもよい。
【0021】
そしてまた、必要に応じ、上記不純物除去工程の後に、歯牙の欠損部位を修復する修復工程を備えた構成としている。
この修復工程は、不純物除去工程の後であれば、該不純物除去工程の直後でもよく、あるいは、上記のフッ素イオン導入処理工程を設ける場合には、該フッ素イオン導入処理工程の後であってもよい。フッ素イオン導入処理工程の後であれば、材質に変化をもたらせているので、即ち、素材が従来のものと変わっているので、それに合わせた修復を行なうことができる。
これにより、歯牙の形を、各歯牙が本来有していた形状に近づけることができ、それだけ、外観品質を向上させることができる。
【0022】
この場合、上記修復工程は、歯牙の細孔に充填材を充填するフラクチャー充填処理を含むことが有効である。充填材が歯牙の表層および深部の細孔内に含浸されていき、細孔が塞がれることになるので、それだけ、歯牙の強度が高くなり、密度が増し、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、この場合、上記修復工程は、補綴材により欠損部位を補綴することが有効である。補綴材としては、レジン,セラミック,セメント等がある。脱落歯牙を耐久性ある材質にすることができる。
【0024】
更に、必要に応じ、上記不要物除去工程の後に、歯牙を、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットするカット工程を備えた構成としている。例えば、ダイヤモンドのブリリアンカット等がある。宝石のように形成でき、外観品質が向上させられる。
更にまた、必要に応じ、上記歯牙内部に発光ダイオード,ICチップの少なくとも何れかを封埋する工程を備えた構成としている。内部より発光させたり、種々の情報を記憶させることができ、機能向上が図られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の歯牙製品及び歯牙製品の製造方法によれば、歯牙の表面にフルオロアパタイトを形成するので、このフルオロアパタイトの結晶は、化学的に安定で、水や酸に溶けにくく、歯牙の表層及び内部を保護することから、脱落歯牙が乾燥して亀裂を生じたり、強度が脆弱化し、また、光沢性の減少、化学的耐性の減少を生じ、更には、高湿度の状態ではカビが発生するなどして劣化現象を生じる事態を抑制することができ、そのため、脱落歯牙を保存環境に左右されることなく経年変化しにくくすることができ、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0026】
また、フルオロアパタイトが形成された歯牙は、従来のものとは別物質になっており、その表面に保護剤を被覆した場合には、歯牙の表層及び内部を確実に保護することができ、より一層、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
そしてまた、本発明において、フルオロアパタイトを形成した後、あるいは、フルオロアパタイトを形成することなく、歯牙の表面を保護剤で被覆する場合は、保護剤が歯牙の表層及び内部を確実に保護するので、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、耐久性を向上させることができる。
更に、フルオロアパタイトが形成された歯牙の表面に、光沢剤を塗布した場合は、歯牙の表層及び内部を確実に保護することができ、より一層脱落歯牙の耐久性を向上させることができるとともに、光沢が付与されるので、外観品質を向上させることができる。
【0027】
即ち、本発明は、脱落歯牙を一種の鉱物として考え、この組成はハイドロキシアパタイトであり、これを結晶格子が安定なフルオロアパタイトに変化させて別なものにするとともに、この脱落歯牙に特異性,親和性の高いフッ素樹脂を用いて物性の向上を図り改善し、更には、修復部及び光沢剤をこのフッ素樹脂で封埋した過去には事例のない新規な技術を提供できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る歯牙製品及び歯牙製品の製造方法について詳細に説明する。
図1及び図2には、本発明の第一の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示している。この歯牙製品の製造方法は、歯牙Tを加工して歯牙製品Sを製造する方法であり、実施の形態においては、歯牙Tとして、人体から抜去されあるいは自然脱落した乳歯を加工する。
一般に、歯牙Tは、歯冠と歯根とからなるが、特に口腔内より抜けた乳歯においてはその歯根は吸収されており、歯根が付いていない。本実施の形態においては、この乳歯の歯冠を歯根のない状態で加工するものである。尚、歯根がある状態で加工してよいことは勿論である。
【0029】
図1及び図2に示す第一の実施の形態に係る歯牙製品Sの製造方法は、歯牙Tの不要物を除去する不要物除去工程(1)と、不要物を除去した歯牙Tをフッ素イオンを含む水溶液中に浸漬処理するフッ素イオン導入処理工程(2)と、歯牙Tの欠損部位を修復する修復工程(3)と、歯牙Tの表面に光沢剤を塗布する光沢剤塗布工程(4)と、歯牙Tの表面を保護剤で被覆する保護処理工程(5)とを備えて構成されている。以下、各工程について詳細に説明する。
【0030】
(1)不要物除去工程
(1−1)前処理
この工程では、先ず、口腔内より抜去されあるいは自然脱落した乳歯からなる歯牙Tから、歯科用工具を用いて、歯石やステインなどの付着物や虫歯などの不要部分を排除する。また、歯根部分がある場合には適宜整形し、主に歯冠のみにする。歯根を積極的に残すようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
次に、薬液処理する。例えば、濃度約6〜10w/v%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液で消毒し、水洗する。
更に、周知の超音波洗浄器を用い、超音波洗浄を行なう。超音波洗浄器においては、洗浄水の温度を35℃〜41℃、発振周波数を28KHzに設定し、洗浄を例えば10分間行なう。
【0032】
(1−2)エッチング処理
次に、エッチング処理を行なう。エッチング処理剤としては、2種類有り、1つは、リン酸65w/w%、ポリビニールアルコール3w/w%を含む第1溶液と、他の1つは、クエン酸約10w/w%、塩化第二鉄約3w/w%を含む第2溶液である。そして、歯牙Tの欠損が少なく歯牙Tがエナメル質のみで被覆されている場合には、第1溶液を使用し、歯牙Tに欠損等があって象牙質が露出している場合には、第2溶液を使用する。ここでは、歯牙Tに欠損等があって象牙質が露出している場合で説明する。
【0033】
歯牙Tに対し、第2溶液を筆を用いて塗布する。塗布後所定時間(例えば5〜10秒程度)後に、水洗する。一般に、図3に示すように、歯牙において、表層のエナメル質が剥がれて象牙質が露出すると、象牙質に形成された無数の細孔9に、歯牙の切削くず等の汚物が詰まって汚れる所謂スメア層といわれる層を形成することがあるが、エッチング処理を行なうことで、これらの汚物層が除去されるようになるとともに、エナメル質の表面を含む表面に、謂わば、ミクロの傷ができるようになり、歯牙Tの表面が粗面になる(図3(a)参照)。そのため、後述のフッ素イオン導入処理工程においては、内部に水溶液が侵入しやすくなり、内部にフルオロアパタイトが確実に形成されるようになる。
【0034】
(2)フッ素イオン導入処理工程
この工程では、不要物を除去した歯牙Tをフッ素イオンを含む水溶液L中に浸漬処理する。水溶液Lとして、フッ化ナトリウムを溶解した水溶液Lを用いる。フッ化ナトリウムの濃度としては2mg/L、言い換えればフッ素濃度が9000ppm程度が望ましい。尚、濃度はこれに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。
図1(2)に示すように、非導電性の容器1内の水溶液Lに歯牙Tを投入し、水溶液L中に電極2,3を入れて通電する。例えば、5〜10分間通電する。これにより、歯牙Tの表面組織において、ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2)が、フルオロアパタイト(Ca10(PO4)6F2)に変化し、歯牙Tの表面にフルオロアパタイトが形成される。フルオロアパタイトは結晶の不整な部分を修復し、ハイドロキシアパタイトよりも水や酸に溶けにくい安定した結晶になる。
この場合、水溶液L中に電極2,3を入れて通電するので、フッ素のイオン化が促進され、反応が促進される。
【0035】
(3)修復工程
(3−1)フラクチャー充填処理
この工程では、充填剤として、例えば、ポリマー樹脂などのプラスチック,ガラス,オイルなどを用い、歯牙Tを真空室に入れてこれらの充填剤を加圧充填する。例えば、シダーウッドやカナダバルサムなどのオイルを使用する場合では融点は50℃以下と低く、原材料である歯牙を阻害するものではない。方法として処理機に歯牙Tを入れ、空気を抜きながら充填剤が軟化するまで電熱により加熱し、軟化した時点で空気を入れて加圧し充填剤を封埋する。この場合、図3に示すように、充填剤8が、主に、象牙質に形成された無数の細孔9内に含浸されていき、細孔9が塞がれることになるので、それだけ、歯牙の強度が高くなり、密度が増し、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0036】
(3−2)アンダーカット処理
歯牙Tに大きな欠損部位4がある場合、この欠損部位4の面に、溝(アンダーカットC)を刻設する。
【0037】
(3−3)補綴剤接着
この工程では、歯牙Tの欠損部位4を補綴材5を用いて修復する。補綴材5として、レジン,セラミック,セメントの少なくとも何れかを用いる。
例えば、レジンの場合は、一般的に用いられる歯科修復用の周知の光重合レジンが用いられる。先ず、上記と同様に、30%リン酸エッチング処理を行ない、歯牙Tの内側面にプライマー剤及びボンディング剤を塗布する。本剤は、一般的に用いられる歯科修復用の周知の処理剤が用いられる。次に、光重合レジンのペーストを欠損部位に充填して、形を整え、周知の光重合器で硬化させる。光源により重合時間に差があるが、光重合器内のランプから照射される照射光により、光重合レジンは硬化する。この場合、欠損部位4にはアンダーカットCが形成されているので、ボンディング剤がこの部位に良くなじみ、そのため、補綴材5の着接が確実に行なわれる。その後、歯科用工具で、適宜整形,研磨する。
【0038】
また、セラミックの場合は、先ず、例えば、周知の立体スキャナを用いて、欠損部位の形状データ(光学印象)を取得し、この形状データに基づいて、セラミックブロックを切削により欠損部位の形状に形成する。そして、歯牙を、上記と同様に、リン酸エッチング処理,水洗乾燥処理した後、シランカップリング剤を塗布し、歯牙の欠損部位の形状に形成したセラミックブロックを、一般的に用いられる歯科修復用の周知のシランカップリング剤及び接着剤を用いて、欠損部位に接着して補綴する。この場合、欠損部位4にはアンダーカットCが形成されているので、接着剤がこの部位に良くなじみ、そのため、補綴材5の着接が確実に行なわれる。
【0039】
更に、セメントの場合は、一般的に用いられ光硬化型グラスアイオノマーセメントに代表される歯科修復用の周知のセメントを用い、セメントのペーストを欠損部位に充填して、形を整え光硬化させる。一般的に、グラスアイオノマーセメントは、フッ素を徐放する効果もあり、歯牙のフッ素の取り込みが期待できる。その後、歯科用工具で、適宜整形する。
【0040】
(4)光沢剤塗布工程
(4−1)エッチング処理
次に、図2に示すように、上記と同様のエッチング処理を行なう。この場合には、主に、上記の第2溶液を用い、この第2溶液を筆を用いて塗布する。塗布後所定時間(例えば5〜10秒程度)後に、水洗する。これにより、補綴剤5を含む歯牙Tの表面に、謂わば、ミクロの傷ができるようになり、歯牙Tの表面が粗面になる。
【0041】
(4−2)光沢剤塗布
この工程では、歯牙Tの表面に光沢剤6を塗布する。光沢剤6として、光触媒としても機能する酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いる。
例えば、酸化チタン被覆雲母は、パール光沢剤ともいわれ、雲母という板状粉体の表面に酸化チタンという白色顔料を均一に被覆させたもので、きれいな真珠光沢を生み出す顔料である。パール光沢剤の色調は、酸化チタンの厚みを変えることで変化させられる。これを溶剤で溶いて、塗布し、乾燥させる。塗剤の皮膜厚さを変化させることにより光沢性にコントラストを付与することができる。この場合、歯牙Tの表面はエッチング処理により粗面に形成されているので、濡れ性がよく、光沢剤6の着接が確実に行なわれる。
また、光沢剤として、例えば、光触媒としても機能する酸化チタンを単独で用いることができる。この場合、光触媒の作用として防曇,防錆,脱臭,防腐,セルフクリーニング等の効果を付与できる。
【0042】
(5)保護処理工程
この工程では、歯牙Tの表面を保護剤7で被覆する。保護剤7としては、透明もしくは半透明のものを用い、例えば、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いる。
例えば、フッ素樹脂を用いた保護剤7の場合、樹脂を形成するポリマー分子中にフッ素原子を含み、フッ素樹脂分子中の炭素とフッ素が強固に結びついて(即ちC−F結合が強い)、この結合がすぐれた耐候性、耐薬品性を発揮する。常乾フッ素樹脂塗料と焼付けフッ素樹脂塗料がある。
【0043】
フッ素樹脂としては、例えば、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)、FEP(4フッ化エチレン 6フッ化プロピレン共重合体)、PFA(4フッ化エチレンパーフロロプロピルビニルエーテル)、ETFE(4フッ化エチレン共重合体)等が主流であるが、本実施の形態では、例えば、2液常温硬化型シリル化変性フッ素樹脂塗料等の透明もしくは半透明の常温乾燥型フッ素樹脂を用いている。
【0044】
実施の形態では、常温乾燥型のフッ素樹脂を、浸漬,スプレー,刷毛などにより歯牙Tに塗布し、必要に応じて、密着を強固にする前処理材を被覆した後に塗布する。そして、常温で乾燥、あるいは、60℃〜80℃の熱を加えて乾燥させる。このようにして、本発明の実施の形態に係る歯牙製品Sが製造される。
【0045】
また、例えば、セラミックあるいはガラスの保護剤7(セラミック保護剤あるいはガラス保護剤)の場合、例えば、「ヒートレスグラス」といわれ、刷毛やスプレーなどで塗布されてガラス質膜(セラミック質膜)が常温で生成される無機質の保護剤が用いられる。セラミックとしては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする。
また、セラミックとしては、溶射型で用いられるアルミナ(Al23),アルミナ−チタニア(Al23−TiO2),チタニア(TiO2),酸化クロム(Cr23),ジルコニア(ZrO2−Y23またはZrO2−MgO)など、適宜の材質のものであってよい。
【0046】
本発明の第一の実施の形態に係る歯牙製品Sによれば、図4に示すように、歯牙Tの欠損部位4が補綴材5により修復されているので、各歯牙Tが本来有していた形状に近づけることができ、それだけ、外観品質を向上させることができる。また、補綴材5が強固なので、耐久性が向上させられる。
【0047】
そしてまた、歯牙Tの表面にフルオロアパタイト層Taが形成されており、このフルオロアパタイトの結晶は、化学的に安定で、水や酸に溶けにくく、歯牙Tの内部を保護することから、乾燥して亀裂を生じたり、強度が脆弱化し、また、光沢性の減少、化学的耐性の減少を生じ、更には、高湿度の状態ではカビが発生するなどして劣化現象を生じる事態を抑制することができ、そのため、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
【0048】
また、フルオロアパタイトが形成された歯牙Tの表面には光沢剤6を介して保護剤7が被覆されており、歯牙Tの内部を確実に保護することができ、より一層、脱落歯牙が保存環境に左右されることなく経年変化しにくくなり、脱落歯牙の耐久性を向上させることができる。
特に、歯牙部分及び修復部分も含めて、保護剤7としてフッ素樹脂を用いているので、表面エネルギーが低いことから粘着物質がつきにくく、付着してもとれやすくなる。酸、アルカリ、溶剤などの腐食性物質に侵されにくく、使用中に有害物質を発生させない。フッ素変性塗料系はフッ素樹脂の持つ滑り性と有機バインダー樹脂による向上した塗膜を兼ね備えることにより、荷重の高い摩擦に対して優れた耐摩耗性を示す。一般的には−240℃〜260℃までの範囲の耐熱性を呈する等、耐熱・耐寒性,耐薬品性・耐蝕性,非粘着性,低摩擦特性,不燃性などの優れた機能を発揮させることができる。
【0049】
また、フルオロアパタイトが形成された歯牙Tの表面に、光沢剤6が塗布されているので、歯牙Tの内部を確実に保護することができ、より一層脱落歯牙の耐久性を向上させることができるとともに、光沢が付与されるので、外観品質を向上させることができる。特に、光沢剤6が酸化チタン被覆雲母の場合には、きれいな真珠光沢を生み出すことができる。
【0050】
次に、本発明の第二の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示す。この第二の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法は、上記第一の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法において、不要物除去工程(1)のエッチング処理(1−2)を省略したものである。他は上記と同様である。
【0051】
図5及び図6には第三の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示す。この製造方法は、歯牙Tの不要物を除去する不要物除去工程(1)と、歯牙Tの欠損部位を修復する修復工程(2)と、歯牙Tを、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットするカット工程(3)と、カットした歯牙Tをフッ素イオンを含む水溶液中に浸漬処理するフッ素イオン導入処理工程(4)と、歯牙Tの表面に光沢剤を塗布する光沢剤塗布工程(5)と、歯牙Tの表面を保護剤で被覆する保護処理工程(6)とを備えて構成されている。以下、各工程について詳細に説明する。
【0052】
(1)不要物除去工程
(1−1)前処理
(1−2)エッチング処理
これらの工程は、上記第一の実施の形態における不要物除去工程(1)と同様に行なわれる。
【0053】
(2)修復工程
(2−1)フラクチャー充填処理
(2−2)アンダーカット処理
(2−3)補綴剤接着
これらの工程は、上記第一の実施の形態における修復工程(2)と同様に行なわれる。
【0054】
(3)カット工程
この工程では、歯牙Tを、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットする。実施の形態では、図7に示すように、ダイヤモンドのブリリアンカットにしている。その他、図8(a)(b)に示すように、宝石で種々用いられている軸対象のカット、図8(c)(d)に示すように、面対象のカットを行なうことができる。図示しないが、点対称のものとしては、球体などがある。宝石のように形成でき、外観品質が向上させられる。
【0055】
(4)フッ素イオン導入処理工程
この工程は、上記第一の実施の形態におけるフッ素イオン導入処理工程(2)と同様に行なわれる。尚、この工程の前に、エッチング処理を行なうようにしてよい。
【0056】
(5)光沢剤塗布工程
(5−1)エッチング処理
(5−2)光沢剤塗布
(6)保護処理工程
これらの工程(5),(6)は、上記第一の実施の形態における工程(4),(5)と同様に行なわれる。
【0057】
この第三の実施の形態に係る歯牙製品Sによれば、上記と同様の作用,効果に加えて、歯牙Tを、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットしているので、宝石のように形成でき、外観品質を向上させることができる。
【0058】
尚、上記第一及び第二の実施の形態において、修復工程は、フッ素イオン導入処理工程の後に設けているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、フッ素イオン導入処理工程の前に設けてよい。また、修復工程において、従来と同様に歯根を形成するようにしてもよい。更に、修復工程は、歯牙Tに修復の必要がなければ、設けなくてもよい。特に、上記第三の実施の形態において、欠損のない歯牙の場合には、修復工程を設けることなくカット工程を行なうようにして良く、適宜変更して差支えない。また、フッ素イオン導入処理工程は、修復工程を挟んで2回行なってもよく、適宜変更して差支えない。
【0059】
また、上記実施の形態において、歯牙の表面にフルオロアパタイトを形成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、フルオロアパタイトを形成することなく、上記の修復,光沢剤塗布及び保護剤の被覆を行なってもよく適宜変更して差支えない。
【0060】
更に、上記実施の形態において、光沢剤塗布工程を特に設けなくてもよい。例えば、周知の方法により歯牙を漂白処理してよい。また、光沢剤6そのものが、保護剤機能を呈する場合には、光沢剤6を被覆する工程を保護処理工程として構成してよい。更に、フッ素イオン導入処理で耐久性が充分の場合には、特に保護処理工程を設けなくてもよい。
更にまた、光沢剤の封埋技術に関連し、本方法においては、光沢剤6を使用する場合、光沢剤6の上層に更に物性を向上させる被覆施工するため、光沢剤6の剥離や脱落のみならず、光沢や色調の変化を防止する点においても優れている。また、事前に下地として光沢剤6の親和性を高める処理剤を塗布し、光沢剤6を塗布して乾燥させた後、更にフッ素樹脂を塗布する二重被覆の方法も採用できる。
【0061】
尚また、上記実施の形態において、歯牙Tは乳歯に限定されるものではなく、永久歯であってもよく、また、人体のものに限定されるものではなく、他の動物のものであってよいことは勿論である。更に、保護剤7,光沢剤6,補綴材5も上述した材質のものに限定されないことは勿論である。
【0062】
また、上記実施の形態に係る歯牙製品Sにおいては、フッ素イオン導入後、保護剤を塗布する前段階において、歯牙に宝石や貴金属若しくはプラスチック製の宝飾樹脂をくぼみを付与して埋入し、接着剤等により付着させた後、フッ素樹脂やセラミック被覆を実施してもよい。
そしてまた、上記実施の形態に係る歯牙製品Sにおいては、そのままの形で箱に入れるなどして記念品とし、あるいは、標本として良く、更に二次加工して、指輪,ペンダント及びブローチ等の装飾品、あるいは、種々の置物などに利用するなど、種々に用いてよいことは勿論である。
【0063】
更に、本発明において、歯牙の内部に、発光塗料を塗布し、あるいは、発光ダイオードなどの発光体を埋設し、内部より発光させるように形成してもよい。更にまた、内部に、種々の情報を記憶し通信用アンテナを介して無線による非接触の情報授受を行なうICチップを埋設するように構成してもよい。ICチップには、本人の名前や生年月日などの種々の情報を記憶しておくと良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法において、フラクチャー充填処理の原理を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態に係る歯牙製品の構成を示す図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態に係る歯牙製品の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の第三の実施の形態に係る歯牙製品における歯牙のカットの仕方を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図8】本発明の第三の実施の形態に係る歯牙製品において、歯牙の他のカットの別の仕方の例を示す図7(b)相当の平面図である。
【符号の説明】
【0065】
S 歯牙製品
T 歯牙
Ta フルオロアパタイト層
1 容器
2,3 電極
4 欠損部位
5 補綴材
6 光沢剤
7 保護剤
8 充填剤
9 細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙を加工して形成される歯牙製品において、
歯牙の表面にフルオロアパタイトを形成したことを特徴とする歯牙製品。
【請求項2】
上記フルオロアパタイトが形成された歯牙の表面に、保護剤を被覆したことを特徴とする請求項1記載の歯牙製品。
【請求項3】
上記保護剤として、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項2記載の歯牙製品。
【請求項4】
上記フルオロアパタイトが形成された歯牙の表面に、光沢剤を塗布したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の歯牙製品。
【請求項5】
上記光沢剤として、酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項4記載の歯牙製品。
【請求項6】
歯牙を加工して形成される歯牙製品において、
歯牙の表面に、保護剤を被覆したことを特徴とする歯牙製品。
【請求項7】
上記保護剤は、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項6記載の歯牙製品。
【請求項8】
歯牙の表面に、光沢剤を塗布したことを特徴とする請求項6または7記載の歯牙製品。
【請求項9】
上記光沢剤は、酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項8記載の歯牙製品。
【請求項10】
歯牙を、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットしたことを特徴とする請求項1乃至9記載の歯牙製品。
【請求項11】
上記歯牙内部に発光ダイオード,ICチップの少なくとも何れかを封埋したことを特徴とする請求項1乃至10記載の歯牙製品。
【請求項12】
歯牙を加工して歯牙製品を製造する歯牙製品の製造方法において、
歯牙の不要物を除去する不要物除去工程と、
不要物を除去した歯牙をフッ素イオンを含む水溶液中に浸漬処理するフッ素イオン導入処理工程とを備えたことを特徴とする歯牙製品の製造方法。
【請求項13】
上記フッ素イオン導入処理工程の水溶液として、フッ化ナトリウムを溶解した水溶液を用いることを特徴とする請求項12記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項14】
上記フッ素イオン導入処理工程後に、歯牙の表面を保護剤で被覆する保護処理工程を備えたことを特徴とする請求項12または13記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項15】
上記保護剤として、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項14記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項16】
上記保護剤として、常温乾燥型のフッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項15記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項17】
上記フッ素イオン導入処理工程後に、歯牙の表面に光沢剤を塗布する光沢剤塗布工程を備えたことを特徴とする請求項12乃至16何れかに記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項18】
上記光沢剤として、酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項17記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項19】
歯牙を加工して歯牙製品を製造する歯牙製品の製造方法において、
歯牙の不要物を除去する不要物除去工程と、
不要物を除去した歯牙の表面を保護剤で被覆する保護処理工程とを備えたことを特徴とする歯牙製品の製造方法。
【請求項20】
上記保護剤として、フッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項19記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項21】
上記保護剤として、常温乾燥型のフッ素樹脂,セラミック,ガラスの少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項20記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項22】
歯牙の表面に光沢剤を塗布する光沢剤塗布工程を備えたことを特徴とする請求項19乃至21何れかに記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項23】
上記光沢剤として、酸化チタン,酸化チタン被覆雲母,エナメル塗料,ケイ素ポリマー,蛍光塗料,蓄光塗料の少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項22記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項24】
上記不要物除去工程は、酸を有する水溶液によるエッチング処理、または、EDTA溶液を用いたキレート処理を含むことを特徴とする請求項12乃至23何れかに記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項25】
上記不純物除去工程の後に、歯牙の欠損部位を修復する修復工程を備えたことを特徴とする請求項12乃至24何れかに記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項26】
上記修復工程は、歯牙の細孔に充填材を充填するフラクチャー充填処理を含むことを特徴とする請求項25記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項27】
上記修復工程は、補綴材により欠損部位を補綴することを特徴とする請求項25または26記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項28】
上記不要物除去工程の後に、歯牙を、点対称,軸対称,面対称の何れかの立体にカットするカット工程を備えたことを特徴とする請求項12乃至27何れかに記載の歯牙製品の製造方法。
【請求項29】
上記歯牙内部に発光ダイオード,ICチップの少なくとも何れかを封埋する工程を備えたことを特徴とする請求項12乃至28何れかに記載の歯牙製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−279030(P2008−279030A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125275(P2007−125275)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(504203402)
【Fターム(参考)】