説明

歯磨き用形材体

本発明は、歯磨き用のストランド様形材体であって、形材体の横断面が底部(10)と、該底部に隣接し、かつ互いに向かい合って配置された第一壁部(12)および第二壁部(14)とを含み、更に、第一壁部および第二壁部(12、14)と一緒に底部(10)が歯を受け入れるために少なくとも1つのギャップ(16、18)を形材体内に形成している、形材体に関する。本発明はまた、その製造方法、および歯を磨くためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のデザインを有する歯磨き用ストランド様形材体に関する。本発明はまた、その製造方法、および歯磨きのためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
食事或いは後の間食または他の嗜好品(例えば、甘い食べ物、ニコチン、アルコール)の摂取の間における口腔ケアに対する社会の高まる要求の故に、または水、歯磨き粉および歯ブラシを用いた通常の歯磨きが不可能である移動(飛行機旅行または鉄道旅行)の増加の故に、これまで、歯の手入れ用チューイングガムおよび歯の手入れ用ワイプのような製品が開発されてきた。
【0003】
歯の手入れ用チューイングガムは、いわゆるチューイングガム基礎材から本質的になる。チューイングガム基礎材は天然または合成ポリマーからなり、その例は、ラテックス、ポリビニルエーテル、ポリイソブチレンビニルエーテル、またはポリイソブテンである。このタイプの歯の手入れ用チューイングガムは一般に、歯の手入れ用剤としてpH調整物質を含んでなり、該物質が虫歯(カリエス)の発現を妨げる。しかしながら、その塑性挙動の故に、そのような歯の手入れ用チューイングガムは、咀嚼面または歯側面の清浄にほとんど寄与しない。加えて、チューイングガムは一般に、その粘着性の故に、公道および公共区域の路面や床からしばしば機械的に除去および廃棄されなければならない(このことは、かなりの清掃費用を意味する)といった欠点を有する。
【0004】
歯の手入れ用ワイプ(例えばOral-B Brush AwaysTM, Gillette GmbH & Co. OGH(ドイツ国在))は、歯の手入れ用ワイプを指に取り付けて歯をこすることによって、歯側面の良好な清浄効果を達成することを特徴としている。しかしながら、そのような歯磨きワイプを人前で使用する方法は、審美的理由の故に全く受け入れられておらず、従って、通常の歯ブラシの使用に代わることはできない。
【0005】
US 4,149,815は、咀嚼できる歯磨きデバイスを開示している。該デバイスは、2.45〜9.0cmの、本質的にスキン層を伴わない表面を有する本質的に独立気泡の圧縮性ポリマーフォームを含んでなる。概デバイスは、露出した歯の表面を磨くためにデザインされている。特に、ポリマーフォームは、1線センチメートルあたり約12〜50個の気泡、水中24時間浸漬後に1.0mg/cm未満の水分吸収、少なくとも3.4×10Paの引張強さ、10%撓みで少なくとも5.5×10Paおよび25%撓みで少なくとも8.3×10Paの耐圧性、および少なくとも1.38×10Paの引裂強さを有し、未圧縮高さの10%まで圧縮したほぼ直後に、未圧縮高さの少なくとも90%を占めるのに十分なほど弾性である。
【0006】
NL 7810061は、商業的に歯の手入れ用ホイールとも称されている、口腔衛生デバイスを開示している。
【0007】
US 2002/0106234 A1は、咀嚼できる歯磨きデバイスを開示している。この咀嚼できる歯ブラシは、軟質シェル、該軟質シェルに結合した(本質的にシェルの外面から突き出している)複数の剛毛、シェル内の咀嚼できる芯、およびシェル内の咀嚼できる芯に隣接した破裂性(burstable)カプセルを含んでなる。
【0008】
US 2005/0260027 A1は、食事の間に歯を磨くための、使い捨てまたは可食性の咀嚼できる歯ブラシを開示している。該デバイスは、剛毛ホルダーに結合した剛毛を含む咀嚼できる剛毛ホルダー、該ホルダー内のキャビティ、該キャビティ内の物質、該ホルダーが咀嚼によって圧縮されるまでホルダー内容物が漏れるのを防ぐ該ホルダー内の脆い部分を含む。別の態様では、使い捨てまたは可食性のブラシが、使い捨てまたは可食性のシェルの内部に収められている。咀嚼時にシェルは壊れるかまたは溶解し、その内容物を放出する。該内容物は、ブラシおよび場合により歯磨き剤を含む。
【0009】
前記した歯磨きデバイスの欠点は、それらが、歯側面または咀嚼面くぼみに対して不十分な清浄効果を示すことである。それらの製造方法もまた、時として複雑である。
【0010】
WO 2007/121866 A1は、ポリウレタン−ポリウレアに基づく口腔ケア分野のための新規な咀嚼物、その製造方法、およびその使用を開示している。
【0011】
WO 2007/121867 A1は、発泡させた合成ポリマーに基づく口腔ケア分野のための新規な咀嚼物、その製造方法、およびその使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US 4,149,815
【特許文献2】NL 7810061
【特許文献3】US 2002/0106234 A1
【特許文献4】US 2005/0260027 A1
【特許文献5】WO 2007/121866 A1
【特許文献6】WO 2007/121867 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
歯磨きデバイスが、歯側面と歯茎との間の移動において生じるような、歯側面、咀嚼面くぼみまたは歯側面くぼみに対する改善された清浄効果を、そのデザインの故に有することが望ましいであろう。これを実現するため、歯磨きデバイスは特定の形状を必要とし、咀嚼中に寸法安定である軟質フォームから製造されなければならない。該デザインが気持ちのよい口腔感覚をも強調するのであれば、更に望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、歯磨き用のストランド様形材体であって、形材体の横断面が底部と、該底部に隣接し、かつ互いに向かい合って配置された第一壁部および第二壁部とを含み、該横断面において、第一壁部および第二壁部の方向における形材体最大広がりが形材体高さと定義され、該横断面において、該高さに対して垂直な形材体最大広がりが形材体幅と定義され、更に、第一壁部および第二壁部と一緒に底部が歯を受け入れるために少なくとも1つのギャップを形材体内に形成している、形材体を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1.1】本発明の形材体の正面図を示す。
【図1.2】本発明の形材体の斜視図を示す。
【図2.1】本発明の別の形材体の正面図を示す。
【図2.2】本発明の別の形材体の斜視図を示す。
【図3.1】本発明の別の形材体の正面図を示す。
【図3.2】本発明の別の形材体の斜視図を示す。
【図4.1】本発明の別の形材体の正面図を示す。
【図4.2】本発明の別の形材体の斜視図を示す。
【図4.3】図4.1の形材体の正面図の寸法を示す。
【図5.1】本発明の別の形材体の正面図を示す。
【図5.2】本発明の別の形材体の斜視図を示す。
【図6.1】本発明の別の形材体の正面図を示す。
【図6.2】本発明の別の形材体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のストランド様形材体は、好ましくは一片で形成されている。しかしながら、形材体が複数の材料層を含んでなることも可能である。
【0017】
本発明では、ストランド様形材体とは特に、空間軸に沿って見た際に、横断面形状が変わらないか、または技術的に避けられない許容差の範囲内でしか変わらない体を意味すると理解される。
【0018】
空間軸に沿って見た際に、横断面形状が変わらないかまたは僅かしか変わらないので、横断面形状は体の形状を表すために使用できる。これは、前記軸に対して垂直な断平面であり、前記軸に沿って形材体に見られる。
【0019】
本発明の形材体は、横断面を見ると、底部と、互いに向かい合って配置された2つの壁部とを含む。底部は2つの壁部に結合している。最も単純な形状では、形材体は、横断面を見るとU字形またはH字形である。該底部は、形材体においてそれ自体の部分として存在し、2つの壁部の間の切点ではない。
【0020】
実際の底部が供給されているといった事実の結果、壁部のギャップに面する側は、横断面形状の中心軸に対して比較的小さい角度を形成し得、形材体床上には歯を受け入れるのに十分な空間が常になお残る。ここで、中心軸とは、第一壁部および第二壁部の広がり方向に進む軸である。壁部のギャップに面する側の角度、または壁部が不規則に構造化されているならば、壁部のギャップに面する側の最高隆起および最低隆起に接線方向に接している直線の角度は、例えば、5°〜30°、または10°〜20°の範囲であり得る。
【0021】
第一壁部および第二壁部は、好ましくは、ギャップと反対側の壁部の縁が外向きに、即ちギャップから離れて曲がるようにデザインされる。
【0022】
形材体の横断面高さは、壁部方向における、即ち壁部と平行な、最大広がりに起因する。換言すれば、横断面高さは壁部長さによって決定される。これに対して垂直に、幅が横断面において定義される。換言すれば、横断面の幅は、互いに関連した壁部の距離から決定される。
【0023】
本発明によれば、形材体が歯を受け入れるために少なくとも1つのギャップを形成することが考えられる。このギャップは、横断面を見ると、底部および2つの壁部によって限定されている。一般的にU字形形材の場合、1つのギャップが存在する。一般にH字形形材の場合、2つのギャップが存在する。
【0024】
咀嚼時、1つまたは複数の歯がギャップに入り得る。このようにして、歯は、形材体の底部および2つの壁部のいずれとも接触する。この結果、改善された清浄効果が達成される。
【0025】
1つの有利な態様では、形材体は、特殊な形状をした咀嚼フォームとしても考えられる。これに関連して、用語「咀嚼フォーム」とは、口の中で咀嚼することによって歯表面および歯側面を清浄するのに適した、フォーム構造を有する材料を意味し、該フォーム材料は弾性であって、それぞれの咀嚼過程の後に元の形状に戻る。独立気泡含有率の高いフォームが好ましい。
【0026】
好適には、形材体の材料は合成ポリマーを含んでなる。そのような合成ポリマーとして適しているものは、基本的に、必要ならば発泡剤ガスまたは力学的エネルギーを用いて、発泡することができる、合成ポリマー材料または化学変性天然ポリマー材料の全てである。これに関連して、安定なフォーム構造を得るためにフォーム助剤を添加することが有利であり得る。
【0027】
そのような発泡性合成ポリマーは、1種以上の(ポリ)イソシアネートおよび1種以上のポリオール成分から得られるポリウレタン軟質フォームであり得るが、熱可塑性ポリウレタンに基づくもの、またはポリウレタン水性分散体に基づくものであってもよい。咀嚼中に形状を回復する優れた能力(寸法安定性)と細孔との故に、ポリウレタン水性分散体に基づく独立気泡フォームが好ましく、これは、口内に気持ちのよい感覚をもたらす。
【0028】
合成ポリマーを発泡できるようにするため、合成ポリマーは、好ましくはまず液相として供給される。フォーム要素がそれ自体液体として存在しないならば、液相としての供給は、液状成分中に非液状要素を溶解または分散することによって実施され得る。その際、例えば溶液、分散体または溶融体として、発泡条件下で液相中要素を供給するために、有機溶媒、可塑剤、水または溶融を使用することもできる。
【0029】
実際の発泡は、空気、窒素ガス、低沸点液体、例えば、ペンタン、フルオロカーボン、塩化メチレンを導入することによって、またはイソシアネートと水との化学反応によるCOの放出のような化学反応によって実施される。
【0030】
フォーム構造を与えるための硬化は、発泡中でさえ開始することができる。これは、例えば、イソシアネート/ポリオール混合物を用いて合成ポリマーを生成する場合である。
【0031】
フォーム形成後の硬化は、例えば、ポリウレタン水性分散体を用いて実施される。ポリウレタン水性分散体をまず発泡させ、その後初めて硬化のために乾燥させる。
【0032】
化学架橋または物理的乾燥に加えて、溶融体の温度低下、プラスチゾルのゲル化、または例えばラテックスの、凝固を介して、硬化を実施することもできる。
【0033】
「フォーム構造を与えるための硬化」とは、本発明では、フォームの気泡構造の喪失を伴ったフォームの崩壊が起こらないように、発泡させた混合物が固体状に転化されることを意味する。これに関連して、有利なフォーム密度を有するフォームが後に得られる。
【0034】
物理的乾燥による硬化は、好ましくは25℃〜150℃、より好ましくは30℃〜145℃、特に好ましくは60℃〜145℃の温度で実施される。乾燥は、常套の乾燥機内で実施することもできる。マイクロ波(HF)乾燥機内での乾燥も同様に可能である。
【0035】
形材体の1つの態様では、横断面を見ると、形材体の底部はギャップに面する側に隆起を形成している。そのような隆起の結果、ギャップ内に受け入れられる歯の咀嚼面くぼみに、より良好に到達することができる。
【0036】
ここで、そして一般的に本発明では、隆起は、ふくらみとも称される。これに対応するものは、くぼみまたはへこみである。
【0037】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、形材体の底部はギャップと反対側に隆起を形成している。そのような隆起の結果、形材体のギャップと反対側に位置する歯の咀嚼面くぼみに、より良好に到達することができる。
【0038】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、形材体の第一壁部および/または第二壁部はギャップに面する側に隆起を形成している。これによって、例えば歯と歯茎との間の移動で、歯側面上くぼみにより良好に到達される。隆起はふくらみとも称される。
【0039】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、隆起の数は2〜10の範囲である。隆起は、底部の両側の隆起と壁部の隆起の全てを意味すると理解される。例えば、底部は、ギャップに面する側に2つの隆起を、そしてギャップと反対側に4〜6個の隆起を有し得、第一壁部および第二壁部は、各々の場合に、ギャップに面する側に4〜6個の隆起を有する。
【0040】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、2つの隆起の間の最深地点に直接隣接した隆起の2つの最高地点の間を結ぶ線に対して直角な該最深地点の距離として測定された隆起高さと、形材体高さとの比が、1:15〜1:5である。この比は有利には、両側のギャップにおける底部の隆起に関する。この高さの比は、歯磨きを意図して使用され得る形材体について、その隆起が咀嚼面くぼみに良好に適合し、従って改善された清浄効果が達成できるように調整される。高さの比は、1:10〜1:6、または1:8〜1:7の範囲であってもよい。
【0041】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、2つの隆起の間の最深地点に直接隣接した隆起の2つの最高地点の間を結ぶ線に対して直角な該最深地点の距離として測定された隆起高さと、形材体高さとの比が、1:30〜1:10の範囲である。有利には、この高さの比は、第一壁部および第二壁部のギャップに面する側におけるギャップに関する。この高さの比は、歯磨きを意図して使用され得る形材体について、その隆起が歯側面上くぼみに良好に適合し、従って改善された清浄効果が達成できるように調整される。高さの比は、1:25〜1:15、または1:20〜1:17の範囲であってもよい。
【0042】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、底部の最大広がりと形材体の幅との比が1:6〜1:2である。幅の広い奥歯にもギャップ底部が到達でき、従って咀嚼面を清浄できるような幅の比が、有利である。この幅の比は、1:3〜1:2、または1:2.8〜1:2.4の範囲であってもよい。
【0043】
形材体の別の態様では、横断面を見ると、第一壁部および第二壁部の最高地点の間を結ぶ線に対して垂直な、底部のギャップに面する側における最深地点の距離と、形材体高さとの比が、1:4〜1:1.5の範囲である。従ってこれは、形材体の全高に対する、歯を受け入れるためのギャップの深さを決める。この比は、1:3〜1:1.7、または1:2〜1:1.8の範囲であってもよい。該範囲内の比は、形材体上部において強すぎる力で圧縮された材料によって歯茎がひどく押しのけられることなく、歯の先端が底部に到達することを可能にする。
【0044】
形材体の別の態様では、形材体の材料は、0.3MPa〜3.5MPaの100%引張モジュラス、0.5MPa〜40MPaの引張強さ、および100%〜2000%の伸び率を有するポリマーフォームを含んでなる。引張モジュラスは、DIN EN ISO 527に従って確かめることができる。引張試験は、ダンベルS2試験体を用い、DIN 53504に従って実施することができる。100%引張モジュラスは、0.4MPa〜3MPa、または1MPa〜2MPaの範囲であってもよい。引張強さは、1MPa〜30MPa、または5MPa〜20MPaの範囲であってもよい。伸び率は、200%〜1800%、または500%〜1500%の範囲であってもよい。そのような材料特性を用いると、形材体は、ヒトの歯列内で咀嚼中に広がる機械的応力に耐えることができる。
【0045】
形材体の別の態様では、ポリマーは、
A)a1)有機ポリイソシアネート、
a2)400g/mol〜8000g/molの数平均分子量および1.5〜6のOH官能価を有するポリマーポリオール
のイソシアネート官能性プレポリマーを調製し、次いで、
B)その遊離NCO基を
b1)32g/mol〜400g/molの分子量を有するアミノ官能性化合物および/または
b2)イオン性または潜在イオン性アミノ官能性親水化剤
と連鎖延長を伴いながら完全にまたは部分的に反応させ、
工程B)の前、間または後に該プレポリマーを水に分散させ、ここで、潜在イオン性基は、中和剤との部分反応または完全反応によってイオン状態に転化され得る
ことにより得られるポリウレタン−ポリウレア分散体(I)から得られる。
【0046】
有利には、工程A)において、イソシアネート官能性プレポリマーは、
a3)62g/mol〜399g/molの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物および/または
a4)イオン性または潜在イオン性および/または非イオン性ヒドロキシ官能性親水化剤
から更に調製される。
【0047】
イソシアネート反応性基は、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基またはチオール基である。
【0048】
成分a1)に使用できるそのような有機ポリイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは所望の異性体含有量を有するそれらの混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートおよび/または2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼンおよび/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、8個までの炭素原子を有する環式または非環式の分岐アルキル基を含有する、(S)−アルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、(L)−アルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエートである。
【0049】
前記したポリイソシアネートに加えて、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する変性ジイソシアネート、並びに、1分子あたり3個以上のNCO基を含有する未変性ポリイソシアネート、例えば、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートをある割合で併用することもできる。
【0050】
それらは好ましくは、もっぱら脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を含有し、2〜4、好ましくは2〜2.6、特に好ましくは2〜2.4の混合の平均NCO官能価を有する、前記したタイプのポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物である。
【0051】
特に好ましくは、成分a1)には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および/またはそれらの混合物を使用する。
【0052】
好適には、成分a2)には、400〜6000g/mol、特に好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量を有するポリマーポリオールを使用する。
【0053】
それらは好ましくは、1.8〜3、特に好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する。
【0054】
そのようなポリマーポリオールは、例えば、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールである。成分a2)には、これらを単独でまたは互いの所望の混合物として使用できる。
【0055】
そのようなポリエステルポリオールは、例えば、ジオールおよび任意にトリオールおよび任意にテトラオールとジカルボン酸および任意にトリカルボン酸および任意にテトラカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンとの重縮合物である。遊離カルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物、または対応する低級アルコールとのポリカルボン酸エステルを使用してポリエステルを調製することもできる。
【0056】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、および1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール(1,3)、ブタンジオール(1,4)、ヘキサンジオール(1,6)および各異性体、ネオペンチルグリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルであり、ヘキサンジオール(1,6)および各異性体、ネオペンチルグリコールおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルが好ましい。加えて、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートのようなポリオールを使用することもできる。
【0057】
使用できるジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸および/または2,2−ジメチルコハク酸である。酸源として、対応する無水物を使用することもできる。
【0058】
エステル化されるポリオールの平均官能価が2超であるならば、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸を付加的に併用してもよい。
【0059】
好ましい酸は前記したタイプの脂肪族酸または芳香族酸である。アジピン酸、イソフタル酸およびフタル酸が特に好ましい。
【0060】
末端ヒドロキシル基含有ポリエステルポリオールの調製において反応体として併用できるヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適当なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体である。カプロラクトンが好ましい。
【0061】
成分a2)には、ヒドロキシル基含有ポリカーボネート、好適には、400〜8000g/mol、好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量Mを有するポリカーボネートジオールを使用することもできる。これらは、炭酸誘導体(例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン)とポリオール(好ましくはジオール)との反応によって得ることができる。
【0062】
そのようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、および前記したタイプのラクトン変性ジオールである。異なったジオールの混合物を使用することも可能である。
【0063】
ジオール成分は、好ましくは、40〜100重量%のヘキサンジオールを含有し、1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体が好適である。そのようなヘキサンジオール誘導体は、ヘキサンジオールに基づき、末端OH基に加えてエステル基またはエーテル基も含有する。そのような誘導体は、ヘキサンジオールと過剰のカプロラクトンとの反応によって、或いはジへキシレングリコールまたはトリへキシレングリコールを与えるヘキサンジオール同士のエーテル化によって得ることができる。
【0064】
純ポリカーボネートジオールに代えてまたは加えて、成分a2)には、ジオール成分として前記ジオールに加えてポリエーテルジオールも含有するポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することもできる。
【0065】
ヒドロキシル基含有ポリカーボネートは、好ましくは直鎖構造であるが、多官能性成分、特に低分子量ポリオールの配合の結果として、分枝を含有していてもよい。これについて適しているものは、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドまたは1,3,4,6−ジアンヒドロヘキシトールである。
【0066】
適当なポリエーテルポリオールは、例えば、カチオン開環によってテトラヒドロフランの重合を介して得られるような、ポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。
【0067】
同様に適当なポリエーテルポリオールは、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンの、二官能性または多官能性スターター分子への付加生成物である。
【0068】
使用できる適当なスターター分子は、従来技術で知られている化合物の全てであり、その例は、水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,4−ブタンジオールである。
【0069】
ポリウレタン分散体(I)の特に好ましい態様は、成分a2)として、ポリカーボネートポリオールとポリテトラメチレングリコールポリオールの混合物を含んでなる。混合物中のポリカーボネートポリオールの割合は20〜80重量%であり、ポリテトラメチレングリコールポリオールの割合は80〜20重量%である。30〜75重量%のポリテトラメチレングリコールポリオールおよび25〜70重量%のポリカーボネートポリオールの割合が好ましい。35〜70重量%のポリテトラメチレングリコールポリオールおよび30〜65重量%のポリカーボネートポリオールの割合が特に好ましい。ただし、各々の場合において、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリオールの重量%の和は100重量%であり、成分a2)におけるポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの和の割合は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%である。
【0070】
成分a3)には、20個までの炭素原子を含有する特定の分子量範囲のポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA、(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、それらの互いの所望の混合物を使用できる。
【0071】
特定の分子量範囲のエステルジオール、例えば、α−ヒドロキシブチル ε−ヒドロキシカプレート、ω−ヒドロキシヘキシル γ−ヒドロキシブチレート、β−ヒドロキシエチルアジペート、またはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートも適している。
【0072】
加えて、成分a3)には、ヒドロキシ基含有単官能性化合物を使用することもできる。そのような単官能性化合物の例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノールである。
【0073】
イオン性または潜在イオン性ヒドロキシ官能性親水化剤a4)は、少なくとも1個のイソシアネート反応性ヒドロキシル基と、水性媒体との相互作用時にpH依存解離平衡に達し、このようにして、負または正に帯電し得るか或いは中性になり得る官能基(例えば、−COOY、−SOY、−PO(OY)(ここで、Yは例えばH、NH、金属カチオンである)、−NR、−NR(ここで、RはH、アルキル、アリールである))の少なくとも1個とを含有する化合物の全てを意味すると理解される。
【0074】
成分a4)の定義に相当する適当なイオン性または潜在イオン性親水化化合物は、例えば、モノヒドロキシカルボン酸およびジヒドロキシカルボン酸、モノヒドロキシスルホン酸およびジヒドロキシスルホン酸、モノヒドロキシホスホン酸およびジヒドロキシホスホン酸、並びにそれらの塩、例として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、例えばDE−A 2 446 440、第5頁〜第9頁、式I〜IIIに記載されている、2−ブテンジオールとNaHSOのプロポキシル化付加生成物、および親水性構成成分としてカチオン性基に転化できる構成単位(例えばN−メチルジエタノールアミンのようなアミン系構成単位)を含有する化合物である。
【0075】
成分a4)の好ましいイオン性または潜在イオン性親水化剤は、好ましくはカルボキシ基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基を介した、アニオン性親水化効果を有する、前記タイプの親水化剤である。
【0076】
特に好ましいイオン性または潜在イオン性親水化剤は、アニオン性基または潜在アニオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有するものであり、その例は、ジメチロールプロピオン酸の塩またはジメチロール酪酸の塩である。
【0077】
成分a4)の適当な非イオン性親水化化合物は、例えば、イソシアネート反応性基として少なくとも1個のヒドロキシ基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。
【0078】
その例は、統計的に平均して1分子あたり5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有し、適当なスターター分子のアルコキシル化(例えば、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第4版、第19巻、Verlag Chemie, ヴァインハイム、第31頁〜第38頁)によって得られる、モノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0079】
それらは、純ポリエチレンオキシドエーテルであるかまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルである。混合ポリアルキレンオキシドエーテルは、存在するアルキレンオキシド単位の全てに基づいて少なくとも30mol%、好ましくは少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位を含有する。
【0080】
特に好ましい非イオン性化合物は、40〜100mol%のエチレンオキシド単位と0〜60mol%のプロピレンオキシド単位とを含有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0081】
そのような非イオン性親水化剤に適したスターター分子は、以下である:飽和モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)およびノナノール(各異性体)、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール(各異性体)、またはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール、芳香族アルコール、例えば、フェノール、クレゾール(各異性体)、またはメトキシフェノール(各異性体)、芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール、第二級モノアミン、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルシクロヘキシルアミンまたはN−メチルジシクロヘキシルアミンおよびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはN−エチルジシクロヘキシルアミン、および複素環式第二級アミン、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾール。好ましいスターター分子は、前記タイプの飽和モノアルコールである。スターター分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn−ブタノールを使用することが特に好ましい。
【0082】
アルコキシル化反応に特に適したアルキレンオキシドは特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、それらをアルコキシル化反応において所望の順でまたは混合物として使用できる。
【0083】
成分b1)として、以下を使用できる:ジアミンまたはポリアミン、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンおよび1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−キシレンジアミンおよび1,4−キシレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジアミンおよびα,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび/またはジメチルエチレンジアミン。ヒドラジンおよび/またはヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジドの使用も可能である。
【0084】
更に、成分b1)として、第一級アミノ基に加えて第二級アミノ基も含有する化合物、或いはアミノ基(第一級または第二級)に加えてOH基も含有する化合物を使用することもできる。それらの例は、第一級/第二級アミン、例えば、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、およびアルカノールアミン、例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンである。
【0085】
更に、成分b1)として、単官能性アミン化合物、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、およびそれらの適当な置換誘導体、ジ第一級アミンとモノカルボン酸とのアミドアミン、ジ第一級アミンのモノケチム、並びに第一級/第三級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを使用することもできる。
【0086】
1,2−エチレンジアミン、ヒドラジン水和物、1,4−ジアミノブタン、イソホロンジアミンおよびジエチレントリアミンを使用することが好ましい。
【0087】
成分b2)のイオン性または潜在イオン性親水化化合物は、少なくとも1個のイソシアネート反応性アミノ基と、水性媒体との相互作用時にpH依存解離平衡に達し、このようにして、負または正に帯電し得るか或いは中性になり得る官能基(例えば、−COOY、−SOY、−PO(OY)(ここで、Yは例えばH、NH、金属カチオンである)、−NR、−NR(ここで、RはH、アルキル、アリールである))の少なくとも1個とを含有する化合物の全てを意味すると理解される。
【0088】
適当なイオン性または潜在イオン性親水化化合物は、例えば、モノアミノカルボン酸およびジアミノカルボン酸、モノアミノスルホン酸およびジアミノスルホン酸、モノアミノホスホン酸およびジアミノホスホン酸、並びにそれらの塩である。そのようなイオン性または潜在イオン性親水化剤の例は、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピルスルホン酸またはエチレンジアミンブチルスルホン酸、1,2−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5−ジアミノ安息香酸、並びにIPDIとアクリル酸の付加生成物(EP−A 0 916 647、実施例1)である。また、アニオン性または潜在アニオン性親水化剤として、WO−A 01/88006からのシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を使用することもできる。
【0089】
成分b2)の好ましいイオン性または潜在イオン性親水化剤は、アニオン性基(好ましくはカルボキシ基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基)を介した親水化効果を有する、前記タイプの親水化剤である。
【0090】
特に好ましいイオン性または潜在イオン性親水化剤b2)は、アニオン性または潜在アニオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有するもの、例えば、N−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩、またはIPDIとアクリル酸の付加生成物(EP−A 0 916 647、実施例1)の塩である。
【0091】
親水化には、アニオン性または潜在アニオン性親水化剤および非イオン性親水化剤の混合物を使用することが好ましい。
【0092】
NCO官能性プレポリマーを調製する際、成分a1)の化合物のNCO基と、成分a2)〜a4)のNCO反応性基との比は、1.05〜3.5、好ましくは1.2〜3.0、特に好ましくは1.3〜2.5である。
【0093】
工程B)におけるアミノ官能性化合物は、プレポリマーの遊離イソシアネート基に対する該アミノ官能性化合物のイソシアネート反応性アミノ基の当量比が、40〜150%、好ましくは50〜125%、特に好ましくは60〜120%となるような量で使用される。
【0094】
好ましい態様では、成分a1)〜a4)およびb1)〜b2)を下記量で調製に使用し、各成分の量は合計で100重量%である、アニオン性および非イオン性親水化ポリウレタン分散体を使用する:
5〜40重量%の成分a1)、
55〜90重量%の成分a2)、
0.5〜20重量%の、成分a3)および成分b1)の和、
0.1〜25重量%の、成分a4)および成分b2)の和。ここで、成分a1)〜a4)および成分b1)〜b2)の総量に基づいて0.1〜5重量%のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤a4)およびb2)を使用する。
【0095】
成分a1)〜a4)およびb1)〜b2)の量は、特に好ましくは以下である:
5〜35重量%の成分a1)、
60〜90重量%の成分a2)、
0.5〜15重量%の、成分a3)および成分b1)の和、
0.1〜15重量%の、成分a4)および成分b2)の和。ここで、成分a1)〜a4)および成分b1)〜b2)の総量に基づいて0.2〜4重量%のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤a4)およびb2)を使用する。
【0096】
成分a1)〜a4)およびb1)〜b2)の量は、極めて特に好ましくは以下である:
10〜30重量%の成分a1)、
65〜85重量%の成分a2)、
0.5〜14重量%の、成分a3)および成分b1)の和、
0.1〜13.5重量%の、成分a4)および成分b2)の和。ここで、成分a1)〜a4)の総量に基づいて0.5〜3.0重量%のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤を使用する。
【0097】
ポリウレタン分散体(I)の特に好ましい態様は、ポリカーボネートポリオールとポリテトラメチレングリコールポリオールとの混合物a2)と組み合わせて、成分として、成分a1)として、イソホロンジイソシアネートおよび/または1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンを含んでなる。
【0098】
混合物a2)中のポリカーボネートポリオールの割合は、例えば20〜80重量%であり、ポリテトラメチレングリコールポリオールの割合は80〜20重量%である。30〜75重量%のポリテトラメチレングリコールポリオールおよび25〜70重量%のポリカーボネートポリオールの割合が好ましい。35〜70重量%のポリテトラメチレングリコールポリオールおよび30〜65重量%のポリカーボネートポリオールの割合が特に好ましい。ただし、各々の場合において、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリオールの重量%の和は100重量%であり、成分a2)におけるポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの和の割合は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%である。
【0099】
そのようなポリウレタン分散体の調製は、均一相において1段階以上で、または多段階反応の場合は時として分散相で実施され得る。成分a1)〜a4)からの重付加を完全にまたは部分的に実施した後、分散、乳化または溶解工程を実施する。次いで、場合により、分散相において更なる重付加または変性を実施する。
【0100】
これに関連して、従来技術から知られている方法の全てを使用でき、その例は、プレポリマー混合法、アセトン法または溶融分散法である。アセトン法に従った操作が好ましい。
【0101】
アセトン法に従った調製のため、最初に、第一級アミノ基も第二級アミノ基も含有すべきでない成分a2)〜a4)と、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを調製するためのポリイソシアネート成分a1)とを、全てまたは一部導入し、場合により、水と混和性であるがイソシアネート基に対して不活性である溶媒で希釈してよい。次いで、50〜120℃の範囲の温度まで加熱する。イソシアネート付加反応を促進するため、ポリウレタン化学で知られている触媒を使用することもできる。
【0102】
適当な溶媒は、常套の脂肪族ケト官能性溶媒、例えば、アセトンまたは2−ブタノンであり、これらは、調製の開始時だけでなく、場合により開始後に少しずつ添加してもよい。アセトンおよび2−ブタノンが好ましい。
【0103】
他の溶媒(共溶媒)、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エーテル単位またはエステル単位含有溶媒を付加的に使用することができ、完全にまたは部分的に留去することができ、或いはN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンの場合は、分散体中に全体として残ることもできる。
【0104】
本発明の特定の態様では、共溶媒を全て除外する。
【0105】
次いで、反応の開始時に添加しなかった成分a1)〜a4)の要素を計量添加する。
【0106】
プレポリマーを与えるための成分a1)〜a4)の反応は、部分的にまたは完全に実施されるが、好ましくは完全に実施される。その後、希釈剤を伴わずまたは溶液中に、遊離イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーを得る。
【0107】
潜在アニオン性基をアニオン性基に部分的にまたは完全に転化するための中和工程では、第三級アミンのような塩基、例えば各アルキル基中に1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するトリアルキルアミン、または対応する水酸化物のようなアルカリ金属塩基を使用する。
【0108】
その例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルホリン、メチルジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンである。アルキル基は、例えば、ジアルキルモノアルカノールアミン、アルキルジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンの場合のように、ヒドロキシル基を含有することもある。使用できる中和剤は、場合により無機塩基であってもよく、その例は、アンモニア水溶液または水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0109】
アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたはジイソプロピルエチルアミンおよび水酸化ナトリウムが好ましい。
【0110】
カチオン性基の場合、硫酸ジメチルエステルまたはコハク酸またはリン酸を使用する。
【0111】
塩基の量は、中和される酸性基の量の50〜125mol%、好ましくは70〜100mol%である。中和は、中和剤を既に含有する分散水を用いることによって、分散と同時に実施することもできる。
【0112】
次いで、更なる工程段階では、溶解がまだ実施されていないかまたはある程度までしか実施されていないならば、得られたプレポリマーを、アセトンまたは2−ブタノンのような脂肪族ケトンを用いて溶解する。
【0113】
アミン成分b1)およびb2)は、場合により、本発明の方法において水希釈状態または溶媒希釈状態で、単独でまたは混合物として使用することができる。このとき、基本的に、いずれの添加順序も可能である。
【0114】
希釈剤として水または有機溶媒を併用するならば、連鎖延長のための工程B)で使用される成分中の希釈剤含有量は、好ましくは70〜95重量%である。
【0115】
分散は、好ましくは連鎖延長の後に実施する。このため、溶解および連鎖延長されたポリウレタンポリマーを、場合により強い剪断をかけながら(例えば激しく撹拌しながら)、分散水に導入するか、または逆に、分散水を連鎖延長されたポリウレタンポリマー溶液に撹拌しながら添加する。溶解および連鎖延長されたポリウレタンポリマーに水を添加することが好ましい。
【0116】
次いで、分散工程後に分散体中になお存在する溶媒を、通常、蒸留により除去する。分散中に早くも、除去を実施することもできる。
【0117】
分散体中の有機溶媒の残留含有量は、分散体全体に基づいて、典型的には1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満、極めて特に好ましくは0.05重量%未満である。
【0118】
分散体のpHは、典型的には9.0未満、好ましくは8.5未満、特に好ましくは8.0未満である。
【0119】
ポリウレタン分散体の固形分は、典型的には20〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、特に好ましくは40〜63重量%、極めて特に好ましくは50〜63重量%である。
【0120】
ポリウレタン−ポリウレア分散体(I)をポリアクリレートによって変性することも可能である。このため、例えば、DE−A−1 953 348、EP−A−0 167 188、EP−A−0 189 945およびEP−A−0 308 115に記載されているように、ポリウレタン分散体の存在下で、オレフィン性不飽和モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸とC1〜18アルコールとのエステル、スチレン、ビニルエステル、またはブタジエン)のエマルション重合を実施する。モノマーは1個以上のオレフィン性二重結合を含有している。モノマーは更に、ヒドロキシル基、エポキシ基、メチロール基またはアセトアセトキシ基のような官能基を含有し得る。
【0121】
本発明の特に好ましい態様では、この変性を除外する。
【0122】
基本的に、ポリウレタン−ポリウレア分散体(I)と他の水性バインダーとを混合することも可能である。そのような水性バインダーは、例えば、ポリエステルポリマー、ポリアクリレートポリマー、ポリエポキシドポリマーまたはポリウレタンポリマーからなり得る。例えばEP−A−0 753 531に記載されているように、X線硬化性バインダーとの組み合わせも可能である。ポリウレタン−ポリウレア分散体(I)と他のアニオン性または非イオン性分散体(例えば、ポリ酢酸ビニル分散体、ポリエチレン分散体、ポリスチレン分散体、ポリブタジエン分散体、ポリ塩化ビニル分散体、ポリアクリレート分散体およびコポリマー分散体)とを混合することも可能である。
【0123】
本発明の特に好ましい態様では、この変性を除外する。
【0124】
本発明の咀嚼フォームを製造するため、発泡させたポリマーを、様々な方法で各種表面または型内に適用するか、或いはストランドとして押し出すことができる。しかしながら、流し込み、ナイフ塗布、ロール塗り、塗布、射出成形または噴霧が好ましい。
【0125】
咀嚼フォームを製造するため、基本的に、複数の層を基材に適用してもよいしまたは型に流し込んでもよく、例えば特に高さのあるフォームパッドを製造できる。
【0126】
更に、発泡させたポリマーを、例えば事前の適用(例えば塗布)によって、他のキャリヤー材料(例えば、布地キャリヤー、紙など)と組み合わせて使用することもできる。
【0127】
硬化前の発泡させたポリマーが、好ましくは200〜700g/l、特に好ましくは300〜600g/lのフォーム密度を有する一方で、硬化後の該密度は、好ましくは50〜600g/l、特に好ましくは100〜500g/lである。
【0128】
咀嚼フォームを製造する際、合成または化学変性天然ポリマー或いはそれらの形成に必須の出発物質(I)に加えて、フォーム助剤(II)、架橋剤(III)、増粘剤(IV)、助剤(V)および化粧用添加剤(VI)を併用することもできる。従って、本発明の形材体の材料は、これらの物質を含むこともできる。
【0129】
適当なフォーム助剤(II)は、一般的な市販のフォーム発生剤および/またはフォーム安定剤、例えば、水溶性脂肪酸アミド、スルホスクシンアミド、スルホン酸炭化水素、硫酸炭化水素または脂肪酸塩であり、その親油性基は好ましくは12〜24個の炭素原子を含有する。
【0130】
好ましいフォーム助剤(II)は、炭化水素基中に12〜22個の炭素原子を含有するアルカンスルホネートまたはアルカンスルフェート、炭化水素基中に14〜24個の炭素原子を含有するアルキルベンゼンスルホネートまたはアルキルベンゼンスルフェート、または12〜24個の炭素原子を含有する脂肪酸アミドまたは脂肪酸塩である。
【0131】
前記した脂肪酸アミドは、好ましくはモノ−またはジ−(C2〜3−アルカノール)アミンの脂肪酸アミドである。脂肪酸塩は、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩または未置換アンモニウム塩であってよい。
【0132】
そのような脂肪酸誘導体は、典型的には、脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸またはアラキジン酸、ヤシ脂肪酸、獣脂脂肪酸、大豆脂肪酸およびそれらの水素化生成物に基づく。
【0133】
特に好ましいフォーム助剤(II)は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホスクシンアミド、ステアリン酸アンモニウム、およびそれらの混合物である。
【0134】
適当な架橋剤(III)は、例えば、非ブロックトポリイソシアネート架橋剤、アミドホルムアルデヒド樹脂およびアミンホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルデヒド樹脂およびケトン樹脂、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾール、フラン樹脂、ウレア樹脂、カルバミン酸エステル樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シアナミド樹脂、またはアニリン樹脂である。
【0135】
特に好ましい態様では、架橋剤(III)の使用を全て除外する。
【0136】
適当な増粘剤(IV)は、本発明のフォームの発生および加工が好ましいものとなるように要素または要素混合物の粘度を調節できる化合物である。適当な増粘剤は、一般的に市販されている増粘剤、例えば、天然有機増粘剤、例えばデキストリンまたはデンプン、有機変性天然物質、例えばセルロースエーテルまたはヒドロキシエチルセルロース、完全有機合成物質、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸化合物またはポリウレタン(会合性増粘剤)、および無機増粘剤、例えばベントナイトまたはシリカである。完全有機合成増粘剤を用いることが好ましい。添加前に場合により水で更に希釈された、アクリレート増粘剤を使用することが特に好ましい。好ましい一般的な市販の増粘剤は、例えば、Mirox(登録商標) AM(BGB Stockhausen GmbH(ドイツ国クレーフェルト在))、Walocel(登録商標) MT 6000 PV(Wolff Cellulosics GmbH & Co KG(ドイツ国バルスローデ在))、Rheolate(登録商標) 255(Elementies Specialities(ベルギー国ゲント在))、Collacral(登録商標) VL(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在)である。
【0137】
本発明において助剤(V)は、例えば、酸化防止剤および/または光保護剤および/または他の添加剤、例えば、乳化剤、充填剤、軟化剤、顔料、ケイ酸ゾル、アルミニウム、クレイ、分散体、フロー剤またはチキソトロープ剤である。
【0138】
本発明において化粧用添加剤(VI)は、例えば、香味剤および芳香物質、研磨物質、染料、甘味料など、並びに活性成分、例えばフッ化物化合物または歯の漂白剤である。
【0139】
フォーム助剤(II)、架橋剤(III)、増粘剤(IV)および助剤(V)は、各々の場合に、発泡かつ乾燥させた咀嚼フォームに基づいて20重量%までを占めることができ、化粧用添加剤(VI)は、発泡かつ乾燥させた咀嚼フォームに基づいて80重量%まで占めることができる。
【0140】
咀嚼フォームの製造では、80〜99.5重量%の合成または化学変性天然ポリマー或いはそれらの形成に必須の出発物質(I)、0〜10重量%の成分(II)、0〜10重量%の成分(III)、0〜10重量%の成分(IV)、0〜10重量%の成分(V)、および0.1〜20重量%の成分(VI)を用いることが好ましく、それらの和は成分(I)〜(VI)の不揮発性画分を指称し、各成分(I)〜(VI)の和は合計100重量%である。
【0141】
咀嚼フォームの製造では、80〜99.5重量%の合成または化学変性天然ポリマー或いはそれらの形成に必須の出発物質(I)、0〜10重量%の成分(II)、0〜10重量%の成分(IV)、0〜10重量%の成分(V)、および0.1〜15重量%の成分(VI)を用いることが特に好ましく、それらの和は成分(I)〜(VI)の不揮発性画分を指称し、各成分(I)〜(VI)の和は合計100重量%である。
【0142】
80〜99.5重量%の合成または化学変性天然ポリマー或いはそれらの形成に必須の出発物質(I)、0.1〜10重量%の成分(II)、0.1〜10重量%の成分(IV)、0.1〜10重量%の成分(V)、および0.1〜15重量%の成分(VI)を用いることが極めて特に好ましく、それらの和は成分(I)〜(VI)の不揮発性画分を指称し、各成分(I)〜(VI)の和は合計100重量%である。
【0143】
本発明の形材体の造形はまず、適当な三次元型に、発泡されたポリマーまたはそれらの形成に必須の出発物質を適用することによって実施され得る。
【0144】
横断面形状に関して本発明の形状を既に有するストランドを押し出すことも可能である。次いで、造形後、かつ硬化の前、間または後に、所望の厚さに従ってストランドを切断することによって、咀嚼フォームの厚さを得る。
【0145】
しかしながら、形材体の製造において、ポリマーまたはそれらの形成に必須の出発物質が既に発泡された状態でまたはフォーム形成を伴いながら基材表面に適用され、硬化され、次いで形材体が造形されるような手順が好ましい。
【0146】
従って、本発明はまた、
・フォーム材料を平らな基材に適用する工程、
・フォーム材料を硬化および/または乾燥する工程、
・切取りまたは打抜きによって形材体を造形する工程
を含む、本発明の形材体の製造方法も提供する。
【0147】
フォーム層厚さは、平板的構造から切取られるかまたは打抜かれる咀嚼フォームの所望の厚さに依存する。乾燥工程後のそのような平らなフォームの厚さは、好ましくは8mm〜35mm、特に好ましくは9mm〜30mmである。
【0148】
硬化および/または乾燥は、好ましくは25℃〜150℃、より好ましくは30℃〜145℃、特に好ましくは60℃〜145℃の温度で実施される。乾燥は、常套の乾燥機内で実施できる。マイクロ波(HF)乾燥機内での乾燥も同様に可能である。
【0149】
切取りまたは打抜きのため、熱線切断、レーザー切断、水ジェット切断、またはロールパンチングのような方法を用いることができる。打抜き加工を用いることが特に好ましい。
【0150】
本発明の方法の1つの態様では、フォーム材料は、前記したようなポリウレタン分散体を含んでなる。これには、硬化および/または乾燥されたフォームが含まれる。
【0151】
本発明はまた、本発明の形材体の歯磨きための使用を提供する。歯はヒトの歯であり得るが、ペットまたは有用動物の歯であってもよい。
【0152】
後の図面を参照することにより、本発明を更に説明する。
図1.1および図1.2は、本発明の形材体の正面図および斜視図を示す。
図2.1および図2.2は、本発明の別の形材体の正面図および斜視図を示す。
図3.1および図3.2は、本発明の別の形材体の正面図および斜視図を示す。
図4.1および図4.2は、本発明の別の形材体の正面図および斜視図を示す。
図4.3は、図4.1の形材体の正面図の寸法を示す。
図5.1および図5.2は、本発明の別の形材体の正面図および斜視図を示す。
図6.1および図6.2は、本発明の別の形材体の正面図および斜視図を示す。
【0153】
図1.1は、本発明の形材体の正面図を示す。この正面図は、前記説明に従った横断面図に相当する。図1.2は、同じ形材体の斜視図を示す。ここで示されている形材体は、その横断面がU字形である。横断面において、形材体は水平な底部10を有する。2つの壁部12および14が、底部10に隣接し、かつ互いに向かい合って配置されている。本発明では、形材体高さは、第一壁部および第二壁部の方向における形材体横断面での最大方向である。図1.1上に移すと、形材体高さは例えば、横断面形状の右下隅(即ち、水平な底部10が垂直な壁部12に変わる地点)から横断面形状の右上隅(即ち、垂直な壁部12が水平に変わる地点)までの距離である。従って、形材体幅は、形材体の最大広がりとして、高さに対して垂直に定義される。図1.1上に移すと、形材体幅は、横断面形状の左下隅(即ち、水平な底部10が垂直な壁部14に変わる地点)から横断面形状の右下隅(即ち、水平な底部10が垂直な壁部12に変わる地点)までの距離である。
【0154】
壁部12および14によって側面を制限し、底部10によって下方から制限して、ギャップ16を形成する。このギャップは、1個の歯または歯列の一部としての複数の歯を受け入れることができる。形材体を咀嚼すると、歯は、その先端またはその咀嚼面が、底部10のギャップ16に面する表面上に突き当たる。同時に、歯側面が、壁部12および14のギャップ16に面する表面に接触する。このようにして、歯の幾つもの面を同時に清浄できる。
【0155】
図2.1は、本発明の別の形材体の正面図を示す。この正面図は、前記説明に従った横断面図に相当する。図2.2は、同じ形材体の斜視図を示す。ここで示されている形材体は、その横断面がH字形である。図1.1および図1.2の形材体に加えて、この形材体は、歯を受け入れるための更なるギャップ18を付加的に有する。このギャップ18は底部10側に位置しており、ギャップ16と反対に位置する。ここでもまた、ギャップ18の底が底部10によって形成されており、ギャップ18の側面は壁部12および14によって形成されている。2つのギャップを有するそのような配置によって、咀嚼中に、上顎の歯および下顎の歯を同時に清浄できる。
【0156】
図3.1は、本発明の別の形材体の正面図を示す。この正面図は、前記説明に従った横断面図に相当する。図3.2は、同じ形材体の斜視図を示す。ここで、壁部12および14は凸状に構造化されている。横断面を見ると、底部10は、ギャップ16に面する側に隆起20を形成している。同様に、底部10は、ギャップ16と反対側に隆起22を形成している。そのような隆起の結果、歯の咀嚼面くぼみに良好に達することができる。最深地点26および32は、隆起20および隆起22の間に位置する。これらの最深地点は、一方では最高地点28および30から他方では最高地点34および36からそれぞれの側で直接隣接している。従って、隆起20および22の有する寸法を示すことができる。これら隆起の高さは、まず、最深地点28および32に隣接している最高地点34と36の間を結ぶ線を書くことによって確かめられる。次いで、この線に対して直角な最深地点28および32の距離が、隆起20および22の高さを与える。
【0157】
図4.1は、本発明の別の形材体の正面図を示す。この正面図は、前記説明に従った横断面図に相当する。図4.2は、同じ形材体の斜視図を示す。ここでもまた、壁部12および14は凸状に構造化されている。横断面を見ると、底部10は、ギャップ16と反対側に隆起22を形成している。更に、壁部12および14は各々、ギャップ16に面する側に隆起24を形成している。これによって、例えば歯と歯茎との間の移動で、歯側面上くぼみにも良好に達することができる。これらの隆起24の高さは、隆起20および22の高さと同様、2つの直接隣接している最高地点40と42の間を結ぶ線に対して直角な、最高地点40および42の間の最深地点38の距離を確かめることによって、示すことができる。ギャップ16の深さを示すため、第一壁部12の最高地点48と第二壁部14の最高地点46を結ぶ線に対して直角な、底部10のギャップ16に面する側の最深地点44の距離を用いることができる。
【0158】
図4.3は、図4.1に従った正面図の寸法を例として示す。しかしながら、これらはまた、本発明の形材体に一般的に相当するようにあてはまる。高さHは、第一壁部および第二壁部の方向における形材体最大広がりを示す。高さHに対して垂直な形材体最大広がりを、幅Bと定義する。歯を受け入れるためのギャップの寸法は、最上開口部の幅O1、最下狭窄部の幅O2、および底部のギャップに面する側の幅O3(最大広がり)によって与えることができる。
【0159】
最も優れた部材について、形材体の外面形状は円弧部分として表すことができる。従って、例えば、第一壁部および第二壁部のギャップに面する側の隆起と対応するくぼみとを記載することができ、これに関連して、図4.3における十字は、円弧部分が外面形状を形成している円の中心を示している。左手の壁部では、表示R1a〜R1dが、隆起の間のくぼみにおける円弧の半径を表している。右手の壁部では、表示R2a〜R2dが、隆起の円弧の半径を表している。
【0160】
底部のギャップに面する側の外面形状の曲率は、半径R3によって与えられる。最後に、第一壁部および第二壁部の外面形状の曲率は、半径R4によって記載される。
【0161】
本発明の形材体では、高さHは、例えば10mm〜20mmの値をとり得る。幅Bも、例えば10mm〜20mmの値をとり得る。ギャップの最上開口部の幅O1は、例えば5mm〜10mmの値をとり得る。ギャップの最下狭窄部の幅O2は、例えば2mm〜6mmの値をとり得る。底部のギャップに面する側の最大広がりO3は、例えば3mm〜9mmの値をとり得る。第一壁部および第二壁部のギャップに面する側のふくらみの曲率半径並びに対応するくぼみを表す円の半径R1a、R1b、R1cおよびR1d並びにR2a、R2b、R2cおよびR2dは、相互に独立に、例えば0.1mm〜0.5mmの値をとり得る。底部のギャップに面する側の外面形状の曲率R3は、例えば1mm〜10mmの値をとり得る。第一壁部および第二壁部の外面形状の曲率R4は、相互に独立に、2つの壁部について例えば20mm〜50mmの値をとり得る。底部のギャップと反対側のふくらみの曲率半径および対応するくぼみを表す円の半径R5a、R5bおよびR5c並びにR6a、R6bおよびR6cは、相互に独立に、例えば0.1mm〜0.5mmの値をとり得る。
【0162】
以下の寸法を有することが好ましい:B=16mm;H=16mm;O1=7mm;O2=4mm;R1a、R1b、R1c、R1d=0.30mm;R2a、R2b、R2c、R2d=0.30mm;R3=4mm;R4=36mm;R5a、R5b、R5c=0.3mm;R6a、R6b、R6c=0.3mm。寸法O3が5mmであることが好ましい。記載した寸法は、実際には、±10%の製造許容差を有し得る。
【0163】
第三空間次元における寸法に関しては、本発明の形材体は、一般に10mm〜20mm、好ましくは12mm〜14mm、より好ましくは13mmの厚さを有し得る。
【0164】
図5.1は、本発明の別の形材体の正面図を示す。この正面図は、前記説明に従った横断面図に相当する。図5.2は、同じ形材体の斜視図を示す。図4.1および図4.2の形材体とは異なり、底部10のギャップ16と反対側50は、該ギャップに対して凹状であり、明確な隆起を有さずに構造化されている。このくぼみのおかげで、咀嚼時に、形材体はより良好に固定され得る。
【0165】
図6.1は、本発明の別の形材体の正面図を示す。この正面図は、前記説明に従った横断面図に相当する。図6.2は、同じ形材体の斜視図を示す。この形材体では、壁部12および14の外側限界、並びに底部10のキャップ16と反対側52までの限界が、単一の円弧の一部である。ギャップ16に面する側において、底部10は隆起20を有する。形材体の縁の大きな円形構造のおかげで、形材体が口の中を移動する際、舌の出発地点が常に同じになる。
【0166】
以下の実施例を参照することにより、本発明を更に説明する。
【実施例】
【0167】
使用した物質および略語:
ジアミノスルホネート:NH2-CH2CH2-NH-CH2CH2-SO3Na(水中45%濃度)
Desmophen(登録商標) C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
PolyTHF(登録商標) 2000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在))
PolyTHF(登録商標) 1000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112mgKOH/g、数平均分子量1000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在))
Polyether LB 25:数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/gの、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
Stokal(登録商標) STA:ステアリン酸アンモニウム水溶液(Bozzetto GmbH(ドイツ国クレーフェルト在))
Plantacare 1200 UP:アルキルポリグリコシド(Cognis GmbH(ドイツ国デュッセルドルフ在))
サッカリンナトリウム:甘味料(Merck, Darmstadt KGaA(ドイツ国在))
スクラロース:甘味料(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))
L-Menthol Freeflow(PN 600129):L-menthol free-flowing(L−メントールおよび1重量%二酸化ケイ素からなる混合物)(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))
Peppermint aroma(PN 10946):アラビアゴムに基づいて40重量%までの含有量を有する噴霧乾燥ペパーミント油(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))
Peppermint aroma(PN 204125):アラビアゴムに基づいて40重量%までの含有量を有する噴霧乾燥ペパーミント油(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))
Optacool(登録商標) 150104:様々な生理学的冷却活性成分の混合物(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))
Optaflow(登録商標) 225488:様々な生理学的流れ活性成分の混合物(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))
ソルビトール:甘味料(Merck, Darmstadt KGaA(ドイツ国在))
Duacert FD&C Blue No. 310605:染料(Sensient(ドイツ国ゲーストハッハト在))
PNで示した数は、Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在)社の製品番号である。
【0168】
実施例1:ポリウレタン−ポリウレア分散体(I)の調製
761.3gのDesmophen(登録商標) C2200、987.0gのPolyTHF(登録商標) 2000、375.4gのPolyTHF(登録商標) 1000、および53.2gのpolyether LB 25を70℃まで加熱した。次いで、70℃で5分間のうちに、237.0gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび313.2gのイソホロンジイソシアネートの混合物を添加し、理論NCO値に達するまで、還流しながら撹拌した。得られたプレポリマーを、50℃で4850gのアセトンで溶解し、続いて、エチレンジアミン25.1g、ジアミノスルホネート61.7g、イソホロンジアミン116.5gおよび水1030gの溶液1.8gを、10分間のうちに計量添加した。その後の撹拌時間は10分間であった。次いで、1061gの水を添加することによって、混合物を分散させた。真空下で蒸留することによって、溶媒を除去した。57%の固形分を有する貯蔵安定な分散体を得た。
【0169】
実施例2:塗料の調製
100gの実施例1のポリウレタン分散体、20gの水、6gの0.1%濃度サッカリンナトリウム水溶液、6gのL-Menthol Freeflow L 6000129(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、6gの0.2%濃度スクラロース水溶液、6gのOptacool 150104(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、6gのOptacool 225488(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、および0.1%濃度の染料Duacert FD&C Blue No. 310605水溶液(Sensient(ベルギー国在)0.4gを、室温で混合し一緒に撹拌した。
【0170】
実施例3:本発明の芳香付与咀嚼フォームの製造
実施例1から得た分散体(I)の1000gを、10gのPlantacare 1200 UP、15gのStokal STA、30gの0.2%濃度サッカリンナトリウム水溶液、および30gのL-Menthol Freeflow PN 600129と混合し、次いで、手動混合デバイスを用いて空気を導入することにより、300g/Lのフォームリットル重量になるまで発泡させた。続いて、発泡させた組成物47.5gを、70×140×10mm(幅×深さ×高さ)の寸法を有する剥離紙(VEZ Mat, Sappi(ベルギー国ブリュッセル在))で作られた型に注ぎ、13mmの湿潤層厚さを達成した。その後、そのような流し込み型14個を、実験用マイクロ波装置(EL-A Verfahrenstechnologie Heidelberg(ドイツ国在)社製MWT k/1,2-3 LK reg.)内で、出力30%(最大出力3.6kW)で30分間乾燥させた。
次いで、水ジェット切断によって、図4.1〜4.2に従った形状に材料を切断した。形材体は、図4.3の寸法に従って下記寸法を有していた:B=16.04mm;H=16.47mm;O1=6.80mm;O2=4.00mm;R1a、R1b、R1c、R1d=0.30mm;R2a、R2b、R2c、R2d=0.30mm;R3=3.66mm;R4=36.50mm;R5a、R5b、R5c=0.27mm;R6a、R6b、R6c=0.27mm。このとき、寸法O3は5mmと評価された。形材体厚さは13mmであった。
塗料刷毛を用いて、形材体側面の全てに、実施例2で調製した塗料を塗り、その後、対流式オーブンの中で、130℃で30分間乾燥させた。
【0171】
実施例4:本発明の芳香付与咀嚼フォームの製造
実施例1から得た分散体(I)の1000gを、10gのPlantacare 1200 UP、15gのStokal STA、30gの0.2%濃度サッカリンナトリウム水溶液、および30gのL-Menthol Freeflow PN 600129と混合し、次いで、手動混合デバイスを用いて空気を導入することにより、300g/Lのフォームリットル重量になるまで発泡させた。続いて、発泡させた組成物47.5gを、70×140×10mm(幅×深さ×高さ)の寸法を有する剥離紙(VEZ Mat, Sappi(ベルギー国ブリュッセル在))で作られた型に注ぎ、13mmの湿潤層厚さを達成した。その後、そのような流し込み型14個を、実験用マイクロ波装置(EL-A Verfahrenstechnologie Heidelberg(ドイツ国在)社製MWT k/1,2-3 LK reg.)内で、出力30%(最大出力3.6kW)で30分間乾燥させた。
次いで、水ジェット切断によって、図4.1〜4.2に従った形状に材料を切断した。形材体は、図4.3の寸法に従って下記寸法を有していた:B=16.04mm;H=16.47mm;O1=6.80mm;O2=4.00mm;R1a、R1b、R1c、R1d=0.30mm;R2a、R2b、R2c、R2d=0.30mm;R3=3.66mm;R4=36.50mm;R5a、R5b、R5c=0.27mm;R6a、R6b、R6c=0.27mm。このとき、寸法O3は5mmと評価された。形材体厚さは13mmであった。
塗料刷毛を用いて、型側面の全てに、実施例2で調製した塗料を塗り、その後、対流式オーブンの中で、130℃で30分間乾燥させた。
【0172】
次いで、1mmスパチュラを用いて、底部のギャップに面する側に、0.06gの下記組成物Aを適用した:Cert. E133を有するFD&C Blue No. 1C.I.42090(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))の1%濃度水溶液0.73g、9.1gのOptamint peppermint aroma SD 10946(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、36.4gのPeppermint aroma SD 204125(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、1.82gの10%濃度サッカリンナトリウム水溶液、18.2gの70%濃度ソルビトール水溶液、1.82gの10%濃度スクラロース溶液、および31.9gの水。
続いて、塗料刷毛を用いて、底部のギャップと反対側に、0.12gの下記組成物Bを適用した:Cert. E133を有するFD&C Blue No. 1C.I.42090(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))の1%濃度水溶液0.17g、0.6gの二酸化チタンE 171/C.I. 77891粉末顔料(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、9.2gのOptamint Peppermint aroma SD 10946(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、36.4gのPeppermint aroma SD 204125(Symrise(ドイツ国ホルツミンデン在))、1.8gの10%濃度サッカリンナトリウム水溶液、18.2gの70%濃度ソルビトール水溶液、1.82gの10%濃度スクラロース溶液、および31.8gの水。その後、咀嚼フォームを、対流式オーブンの中で、130℃で5分間乾燥させた。
【0173】
実施例5(比較例):立方体形状の芳香付与咀嚼フォームの製造
実施例1から得た分散体(I)の1000gを、10gのPlantacare 1200 UP、15gのStokal STA、30gの0.2%濃度サッカリンナトリウム水溶液、および30gのL-Menthol Freeflow PN 600129と混合し、次いで、手動混合デバイスを用いて空気を導入することにより、300g/Lのフォームリットル重量になるまで発泡させた。続いて、発泡させた組成物47.5gを、70×140×10mm(幅×深さ×高さ)の寸法を有する剥離紙(VEZ Mat, Sappi(ベルギー国ブリュッセル在))で作られた型に注ぎ、13mmの湿潤層厚さを達成した。その後、そのような流し込み型14個を、実験用マイクロ波装置(EL-A Verfahrenstechnologie Heidelberg(ドイツ国在)社製MWT k/1,2-3 LK reg.)内で、出力30%(最大出力3.6kW)で30分間乾燥させた。
次いで、10×10×10mmの寸法を有する立方体に材料を切断した。塗料刷毛を用いて、立方体側面の全てに、実施例2で調製した塗料を塗り、その後、対流式オーブンの中で、130℃で30分間乾燥させた。
【0174】
実施例に従って製造した咀嚼フォームを、以下に記載した咀嚼試験に従い、対象者について試験した。
事前の歯科知識を有する対象者15人を用いた。試験対象患者基準は、下記歯の治療痕または交換のない完璧な歯列であった:16、11、25、36、31、45。ここおよび以下では、国際的歯式(FDI二桁方式)を参照して、歯を記載する。
調べる材料は以下の組成を有していた:
実施例3に従った形材体30個、実施例4に従った形材体30個、および実施例5(比較例)に従った形材体30個。
歯垢染色剤:Mira-2-Ton(登録商標);Hager & Werken GmbH & Co KG;艶出しカップ:Prophy-Kelche(登録商標);Hager & Werken GmbH & Co KG;艶出しペースト:Miraclean(登録商標);Hager & Werken GmbH & Co KG;歯口清掃トレイ12セクションヴィッテン大学;写真用カメラ:Nikon D70、レンズ:Micro Nikkor 105mm/2.8、Nikon microflash R1;片面開口器2x:Mirahold(登録商標);Hager & Werken GmbH & Co KG;ラテラルミラー:ロジウム被覆されたドクターズアイ;ストップウォッチ:Samsung SGV - Z140*;ラップトップ:Lenovo、IBM Thinkpad T60。
【0175】
本発明の方法は、以下のように記載できる:
1)検査:
対象者の生成物との最初の接触を0日目とした。顎の1象限あたり30秒の咀嚼時間で、即ち120秒の総咀嚼時間まで、対象者を検査した。専門家による検査領域の歯磨きによって、歯垢のない口腔を得た。対象者に番号を付与した(1〜20の数)。対象者は、写真用カメラNikon D70、ラテラルミラー、および開口器をどのように使用するのか説明され、それに従って検査が実施された。
【0176】
2)検査の構成および進行:
検査開始時、専門家による歯磨きよって、全対象者の検査される歯について、歯垢のない口腔を確保した。続く72時間、対象者は、いかなるタイプの口腔衛生も控えなければならない。72時間後、歯垢染色剤Mira-2-Ton(登録商標)を用いて歯垢を視覚化し、開口器、ラテラルミラーおよび写真用カメラによって記録した。
各々の場合に歯の写真を撮影した。全画像の画像スケールは1:2であった。
1.正面:歯11、16、25、45
2.口腔:歯11、31
記録によれば、対象者は咀嚼フォームを、先の検査に従って、即ち各々の場合に顎の1象限あたり30秒に従って咀嚼する。
咀嚼後、前記方法に従い、再び開口器、ラテラルミラー、および写真用カメラを用いて、歯垢を記録した。
【0177】
3)検査結果:
検査完了後、滑らかかつ隣接した前庭面および口腔面について、歯垢削減の評価を、コンピューターを用いて実施した。面積測定法を利用した改良Navy Indexを用いた(Claydon N., Addy M., Journal of Clinical Periodontology 22 (9), 670-673に従う)。
【0178】
4)統計的評価:
検査の評価は、スチューデントのt検定を用いて行った。
【0179】
5)結果:
結果を以下の表1に示す。この表は、清浄効果が5%のエラー確率でゼロとは有意に異なった結果の全てについて、その歯に対する平均パーセント清浄効果として記載している。記載「ins」とは、その歯に対する有意でない試験結果を意味する。咀嚼フォームを使用する前は歯垢に覆われていたが使用後に歯垢が完全に除去された歯科領域の、歯垢に覆われていた歯科領域全体に対する割合を、記載している。対象者の数はn=16人である。
【0180】
【表1】

【0181】
表1からわかるように、実施例3および4のような本発明の形材体は、比較例5の形材体より、総合的により優れた歯垢削減を示す。
【0182】
実施例7:ポリオレフィンフォームと比べた本発明必須のフォームの寸法安定性
図7は、本発明の形材体(左上の形材体)とポリオレフィンフォームから製造された形材体(中央上および右上の形材体)との比較結果を示す。前者が咀嚼過程後でさえその形状を変えていない(左下の形材体)のに対して、ポリオレフィンフォームから製造された形材体(Alveolen NA 3611(中央)およびAlveo Soft SA GM2(右)、Sekisui Alveo AG(ルツェルン在))は明らかに変形している(中央下および右下の形材体)。この変形は、有効な歯垢除去がもはや不可能なことを示している。
【符号の説明】
【0183】
10 本発明の形材体の底部
12 本発明の形材体の第一壁部
14 本発明の形材体の第二壁部
16 10、12および14により形成された本発明の形材体のギャップ
18 10、12および14により形成された本発明の形材体のギャップ
20 16に面する側にある10の隆起
22 16と反対側にある10の隆起
24 16に面する側にある12および14の隆起
26 20の間の最深地点
28 20の最高地点
30 20の最高地点
32 22の間の最深地点
34 22の最高地点
36 22の最高地点
38 24の間の最深地点
40 24の最高地点
42 24の最高地点
44 16に面する側にある10の最深地点
46 14の最高地点
48 12の最高地点
50 16と反対側の10にあるくぼみ
52 16と反対側の10の限界
B 本発明の形材体の幅
H 本発明の形材体の高さ
O1 16の最上開口部幅
O2 16の最下狭窄部幅
O3 16に面する側の10の最大広がり幅
R1a 24の間のくぼみにおける円弧の半径
R1b 24の間のくぼみにおける円弧の半径
R1c 24の間のくぼみにおける円弧の半径
R1d 24の間のくぼみにおける円弧の半径
R2a 24の円弧の半径
R2b 24の円弧の半径
R2c 24の円弧の半径
R2d 24の円弧の半径
R3 16に面する側の10の外面形状の曲率
R4 12および14の外面形状の曲率
R5a 22の間のくぼみを表す円弧の半径
R5b 22の間のくぼみを表す円弧の半径
R5c 22の間のくぼみを表す円弧の半径
R6a 22の曲率半径
R6b 22の曲率半径
R6c 22の曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨き用のストランド様ポリマーフォーム形材体であって、形材体の横断面が底部(10)と、該底部に隣接し、かつ互いに向かい合って配置された第一壁部(12)および第二壁部(14)とを含み、該横断面において、第一壁部および第二壁部(12、14)の方向における形材体最大広がりが形材体高さと定義され、該横断面において、該高さに対して垂直な形材体最大広がりが形材体幅と定義され、更に、第一壁部および第二壁部(12、14)と一緒に底部(10)が歯を受け入れるために少なくとも1つのギャップ(16、18)を形材体内に形成し、該ポリマーフォームが、
A)a1)有機ポリイソシアネート、
a2)400g/mol〜8000g/molの数平均分子量および1.5〜6のOH官能価を有するポリマーポリオール
のイソシアネート官能性プレポリマーを調製し、次いで、
B)その遊離NCO基を
b1)32g/mol〜400g/molの分子量を有するアミノ官能性化合物および/または
b2)イオン性または潜在イオン性アミノ官能性親水化剤
と連鎖延長を伴いながら完全にまたは部分的に反応させ、
工程B)の前、間または後に該プレポリマーを水に分散させ、ここで、潜在イオン性基は、中和剤との部分反応または完全反応によってイオン状態に転化され得る
ことにより得られるポリウレタン−ポリウレア分散体(I)から得られることを特徴とする、形材体。
【請求項2】
横断面を見ると、形材体の底部(10)がギャップ(16、18)に面する側に隆起(20)を形成している、請求項1に記載の形材体。
【請求項3】
横断面を見ると、形材体の底部(10)がギャップ(16、18)と反対側に隆起(22)を形成している、請求項1に記載の形材体。
【請求項4】
横断面を見ると、形材体の第一壁部(12)および/または第二壁部(14)がギャップ(16、18)に面する側に隆起(24)を形成している、請求項1に記載の形材体。
【請求項5】
横断面を見ると、隆起(20、22、24)の数が2〜10の範囲である、請求項2〜4のいずれかに記載の形材体。
【請求項6】
横断面を見ると、2つの隆起(20、22)の間の最深地点(26、32)に直接隣接した隆起(20、22)の2つの最高地点(28、30、34、36)の間を結ぶ線に対して直角な該最深地点(26、32)の距離として測定された隆起(20、22)高さと、形材体高さとの比が、1:15〜1:5である、請求項2または3に記載の形材体。
【請求項7】
横断面を見ると、2つの隆起(24)の間の最深地点(38)に直接隣接した隆起(24)の2つの最高地点(40、42)の間を結ぶ線に対して直角な該最深地点(38)の距離として測定された隆起(24)高さと、形材体高さとの比が、1:30〜1:10である、請求項4に記載の形材体。
【請求項8】
横断面を見ると、底部(10)の最大広がりと形材体の幅との比が1:6〜1:2である、請求項1に記載の形材体。
【請求項9】
横断面を見ると、第一壁部および第二壁部(12、14)の最高地点(46、48)の間を結ぶ線に対して垂直な、底部(10)のギャップに面する側における最深地点(44)の距離と、形材体高さとの比が、1:4〜1:1.5である、請求項1に記載の形材体。
【請求項10】
形材体の材料が、0.3MPa〜3.5MPaの100%引張モジュラス、0.5MPa〜40MPaの引張強さ、および100%〜2000%の伸び率を有するポリマーフォームを含んでなる、請求項1に記載の形材体。
【請求項11】
工程A)において、イソシアネート官能性プレポリマーが、
a3)62g/mol〜399g/molの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物および/または
a4)イオン性または潜在イオン性および/または非イオン性ヒドロキシ官能性親水化剤
から更に調製される、請求項1に記載の形材体。
【請求項12】
・A)a1)有機ポリイソシアネート、
a2)400g/mol〜8000g/molの数平均分子量および1.5〜6のOH官能価を有するポリマーポリオール
のイソシアネート官能性プレポリマーを調製し、次いで、
B)その遊離NCO基を
b1)32g/mol〜400g/molの分子量を有するアミノ官能性化合物および/または
b2)イオン性または潜在イオン性アミノ官能性親水化剤
と連鎖延長を伴いながら完全にまたは部分的に反応させ、
工程B)の前、間または後に該プレポリマーを水に分散させ、ここで、潜在イオン性基は、中和剤との部分反応または完全反応によってイオン状態に転化され得る
ことにより得られたポリウレタン分散体から調製されたフォーム材料を適用する工程、
・発泡および平らな基材に適用する工程、
・該フォーム材料を硬化および/または乾燥する工程、
・切取りまたは打抜きによって形材体を造形する工程
を含む、請求項1に記載の形材体の製造方法。
【請求項13】
歯磨きための、請求項1に記載の形材体の使用。

【図1.1】
image rotate

【図1.2】
image rotate

【図2.1】
image rotate

【図2.2】
image rotate

【図3.1】
image rotate

【図3.2】
image rotate

【図4.1】
image rotate

【図4.2】
image rotate

【図4.3】
image rotate

【図5.1】
image rotate

【図5.2】
image rotate

【図6.1】
image rotate

【図6.2】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−524219(P2011−524219A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513911(P2011−513911)
【出願日】平成21年6月6日(2009.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004082
【国際公開番号】WO2009/152967
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】