説明

歯科作業模型の嵌合装置及びその製造方法

【課題】作業用基台との接合面の面積を十分に確保でき、精度の高い補綴物の製作を可能とする、歯科作業模型の嵌合装置及びその製造方法を提供し、また、補綴物の咬合器装着時の石膏使用量を最小限にすることで、補綴物の製作の完了後に、短時間で簡潔に嵌合装置を咬合器より取り外すことができる嵌合装置を提供する。
【解決手段】この発明の歯科作業模型の嵌合装置100は、印象模型101を載置される分割プレート102と、前記分割プレートに連結される支持基台103と、前記支持基台の下面に形成された凹み部135に嵌合される嵌合凸部142を有する嵌合台140を備え、前記支持基台103は、前記分割プレートのピン114を抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔106を備え、このピン挿入用孔にピンを入れて、分割プレート102を支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の下面に形成された凹み部135に嵌合台140の嵌合凸部142を嵌合して、嵌合台140を支持基台103に連結するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科補綴物等の作製等の歯科作業に用いる歯科作業模型の嵌合装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の歯の歯質の一部または大部分が、齲蝕あるいはその他の原因によって欠損している場合に、処置する歯冠は、その全ての面を切削し、鋳造された金属で被覆して、咀嚼その他の生理的機能を回復することを必要とする。そのための修復物は、複雑な形態をもち、さまざまな要件を満たさなければならないため、修復物は、口腔内で直接製作することは不可能である。このために、修復物は、口腔外で製作されなければならないが、その製作のためには口腔内の状態を口腔外に再現した作業模型を必要とする。その作業模型は、支台歯、歯列、欠損部その他の口腔内の形態を正確に再現したものでなければならない。
従来、歯科補綴物製作時には、図33及び図34記載のように、(1)患者の口腔からとった歯形陰型に基づいて石膏を流し、硬化後底面を平らに削って歯科作業用の複模型1001とし、(2)基底面1012に必要に応じて回転防止溝1013を形成した後、(3)前記基底面に穴を開けてダウエルピン1011を、互いが並行になるように前記基底面の穴に一本一本接着剤等により植立し、前記基底面及び前記ダウエルピン1011に離型剤(例えば界面活性剤)を塗布する。(4)その後、基台用シリコーンゴム型枠等(記載なし)に石膏(二次石膏)を流し込み、前記ダウエルピン1011の部分を埋没させる等の方法で作業用基台部分1003を作り、(5)二次石膏の硬化後、前記複模型1001と前記作業用基台1003の前記接合面1012を確認できるまで周囲を削る。(6)その後、図34記載のように前記複模型1001の支台歯Cの両側を平行にかつ前記ダウエルピン1011にも並行になるよう、前記複模型1001の上部より前記接合面1012に垂直に図35記載の石膏専用鋸9により切断する。
以上の作業工程により、前記支台歯Cを抜きとるとともに前記複模型1001への定位置に戻すことを可能とし、前記支持基台1003より、支台歯Cの抜き差し可能な、歯科作業用印象模型を作製する。
前記作業工程は、補綴物作製の必要な症例において実施する歯科作業用の印象模型作製の作業工程である。
この方法以外にも新たに創案された特許第4405931号のように、二次石膏の代わりにプラスチック製の土台の上にダウエルピンが植立された状態のランドと呼ばれるプレートを積層することで作業工程(3)(4)を省く工程により製作する方法が、考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4112732号
【特許文献2】特開平5−96676号
【特許文献3】特開第4405931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記した支台歯Cを切り出すための切断方法では、図33記載の如く前記支台歯Cの両側を平行にかつダウエルピン1011にも平行に、接合面1012に垂直に上部より鋸9により切断し、基底面1012の面積を確保することにより前記歯科作業用模型を作製していた。しかしながら、図33記載の如く凹凸の少ない正常歯列の症例には前記の如く上部からのラインDに沿って鋸で切断する、1工程での切断方法は適している。しかしながら、特に虫歯になりやすく補綴物の必要になりやすい症例である、図34記載の如く歯列に凸凹を有する不正歯列の症例の場合には、前記支台歯Cの両側を、接合面1012までを鋸9により図34に記載のラインBの如く斜めに切断しなければならないことが多く、隣接側面図として、図35E及び図12Fに記載の如く、支台歯Cの切断のための作業工程において前記ダウエルピン1011の近くを切断せざるを得ず、支台歯C及び隣接歯に立てたダウエルピンを傷つけてしまう。または、1工程で切断する従来の切断方法では、複模型1001の基底面の面積が図35A及び図35Bに示すように小さくなってしまうことは避けられない。
【0005】
前記接合面1012の面積を少しでも広く確保するために、前記切断途中で鋸9の応力を利用して方向を変えて切り下げるしか方法がなく、図35記載のラインBと同じく切断することになり、その結果図35Aに記載の如く支台歯Cの基底面1012の面積が、極めて小さくなることは避けられない。特に、図35Bを含む図35C及びラインBでの切断面である図35Dの隣接面に見られるように、支台歯Cの基底面1012の面積は、前記図35Cに比べて非常に巾が狭く、抜き差ししながらの歯科技工作業中に必要な、十分な基底面1012の面積を確実に確保することが難しく、支台歯を安定した位置に戻すことが困難となる。
【0006】
また、複模型1001は、割れ・欠け・崩れの恐れのある石膏により作製されており、十分な基底面1012を安定して確実に確保することは困難であることから、作業模型製作段階において精度の高い補綴物7を製作のためには、熟練を要する歯科技工作業となる問題がある。さらに補綴物作製の作業中に割れる・欠ける・崩れる等の問題が生じ、補綴物製作後に廃棄ゴミを生み出すという問題もある。
【0007】
前記歯科作業用模型を作製するにあたり、図33(正常歯列)及び図34(不正常歯列)記載の支台歯Cを容易に抜き差しできることと、支台歯Cを複模型1001の定位置に安定して戻せることは歯科補綴物7を作製する作業工程において、欠かすことが出来ない。なぜなら、精度の高い歯科作業用模型で作製された補綴物7は、口腔内にセットされる時、医療現場で調整を必要としない程の精度の高い補綴物の作製につながるからである。また、同時に医療現場での微調整や仕上げ等にも前記印象模型が使われるので、特に図34記載のように、凹凸を有する不正歯列の症例において、前記した欠点は、作製した補綴物の適合に関して大きな障害となる。
【0008】
補綴物作製のための作業模型は、支台歯、歯列、欠損部その他の口腔内の形態を性格に再現したもので無ければならない。しかしながら、従来からの作製方法で作業模型を製造することは、歯形と歯列模型の位置関係が狂いやすく、複雑な製作手順や操作が多くなり、歯列模型、対合歯列模型の咬合関係を正確に再現するには、熟練と時間を要する手作業が多く、作業性が悪いという欠点がある。
また、補綴物作製のための作業模型は、補綴物作製時に、顎の動きによる噛み合わせの再現をするために、咬合器に石膏で装着するが、補綴物の製作完了後に、咬合器から取り外し、石膏等を工業廃棄物として処理する。このときの作業時間と処理費用の負担は、大きいという欠点がある。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決し、不正歯列の場合でもピンを傷つけることなく、作業用基台との接合面の面積を十分に確保でき、精度の高い補綴物の製作を可能とする、歯科作業用模型及びその製造方法並びに歯科作業模型の嵌合装置及びその製造方法を提供しようとするものである。
また、補綴物の咬合器装着時の石膏使用量を最小限にすることで、補綴物の製作の完了後に、短時間で簡潔に嵌合装置を咬合器より取り外すことができ、また廃棄後の費用をも削減することができる嵌合装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる歯科作業模型の嵌合装置は、印象模型を載置される分割プレートと、前記分割プレートに連結される支持基台と、前記支持基台の下面に形成された凹み部に嵌合される嵌合凸部を有する嵌合台を備え、前記分割プレートは、前記支持基台に接合する面に複数のピンを設けられ、前記支持基台は、前記ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔を備え、このピン挿入用孔にピンを入れて、分割プレートを支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の下面に形成された凹み部に嵌合台の嵌合凸部を嵌合して、嵌合台を支持基台に連結するように構成された、歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項2にかかる歯科作業模型の嵌合装置は、樹脂製の支持基台と、前記支持基台の定位置に脱着できるように連結する複数のピンを下部に有する樹脂製の分割プレートと、前記分割プレートに載置される印象模型と、支持基台の下面の凹み部に密に嵌合される嵌合凸部を有する嵌合台を備え、前記支持基台は、前記ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔を備え、このピン挿入用孔にピンを挿入して、分割プレートを支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の下面に形成された凹み部に嵌合台の嵌合凸部を嵌合して、嵌合台を支持基台に連結するように構成された、歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項3にかかる歯科作業模型の嵌合装置は、樹脂製の支持基台と、前記支持基台の定位置に脱着できるように連結する複数のピンを下部に有する分割プレートと、前記分割プレートに載置される印象模型と、支持基台の四隅に密に固定するための複数の嵌合挟持部を有する嵌合台を備え、前記支持基台は、ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔を備え、このピン挿入用孔にピンを入れて、分割プレートを支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の隅部を嵌合台の嵌合挟持部で嵌合して嵌合台を支持基台に固定するように構成された、歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項4にかかる歯科作業模型の嵌合装置は、支持基台の下面より一回り大きな上面を有し、底面の両端において短端の両端に亘って延伸された保持用凸部と、下面に設けられた、接着用凸部とを備え、更に前記接着用凸部に嵌合させる柔軟性のある材質の分離板を備えている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項5にかかる歯科作業模型の嵌合装置においては、前記嵌合台は、その上面に、支持基台の隅部を嵌合して支持基台を固定させるための嵌合挟持部を突設された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項6にかかる歯科作業模型の嵌合装置は、前記支持基台の上面と分割プレートの下面との何れかに凸部を設けられ、且つ前記支持基台の上面と分割プレートの下面との何れかに前記凸部に対応する凹部を付与された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項7にかかる歯科作業模型の嵌合装置においては、前記支持基台は、前記分割プレートに接合する面に複数の鋸待機用溝が設けられた、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項8にかかる歯科作業模型の嵌合装置においては、分割プレートは、前記支持基台に接合する面に複数の鋸誘導用溝が設けられ、及び/又は、前記支持基台は、前記分割プレートに接合する面に複数の鋸待機用溝が設けられ、前記分割プレートの鋸誘導用溝と前記支持基台の鋸待機用溝とは対向するように構成された、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置である。
この発明の請求項9にかかる歯科作業模型の製造方法は、ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔にピンを挿入して、分割プレートを支持基台の定位置に配置する、第1工程と、分割プレートに印象模型を接着剤で固定する、第2工程と、支持基台の鋸待機用溝に鋸を沿わせ、印象模型の支台歯の両側をめがけて、分割プレートの鋸誘導用溝から印象模型の歯頸部付近の分割移行部まで切り上げる、第3工程と、印象模型の支台歯の両側上部から第3工程の分割移行部まで切り下げて前記第3工程で切り上げられた切断部分と接続する、第4工程とを有する、歯科作業模型の製造方法である。
この発明の請求項10にかかる歯科作業模型の製造方法は、ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔にピンを挿入して、分割プレートを支持基台の定位置に配置する、第1工程と、分割プレートに印象模型を接着剤で固定する、第2工程と、支持基台の鋸待機用溝に鋸を沿わせ、印象模型の支台歯の両側をめがけて、支持基台の鋸待機用溝から印象模型の歯頸部付近の分割移行部まで切り上げる、第3工程と、印象模型の支台歯の両側上部から第3工程の分割移行部まで切り下げて前記第3工程で切り上げられた切断部分と接続する、第4工程とを有する、歯科作業模型の製造方法である。
この発明の請求項11にかかる歯科作業模型の製造方法においては、分割プレートは、前記支持基台に接合する面に複数の鋸誘導用溝が設けられ、及び/又は、前記支持基台は、前記分割プレートに接合する面に複数の鋸待機用溝が設けられ、前記分割プレートと支持基台とは密に嵌合されるように構成された、請求項9又は請求項10に記載の歯科作業模型の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、下部に平行なピンを設けた分割プレートと、前記ピンを嵌め合わせるための穴を有する支持基台とで歯科技工用作業模型の基台とすることで、印象模型の基底面に穴を開けて接着剤等でピンを1本1本平行に植立していた作業工程を省き、石膏を型枠等に流し込んで作製していた支持基台の作業工程も省き、分割プレートに印象模型を貼り付けるだけで、支台歯の切断作業に取り掛かることが出来ることから、熟練を要することなく、非常に簡単に、短時間で歯科作業用の印象模型を準備することを可能とした。
さらに、前記分割プレートのピンとピンとの間に溝を設けると共に、嵌合する支持基台にも前記溝に対応する溝を設けることで、前記支持基台の溝に鋸を待機させて、前記分割プレートを嵌め合わせ、上方の印象模型に向けて切り上げる工程を可能とした。前記工程により、非常に困難であった不正歯列の症例の支台歯切断における基底面の確実な面積の確保が実現できることから、支台歯を支持基台より容易に抜き差し可能とし、かつ精度の高い定位置に戻すことを可能とした。
前記支持基台は、上部に溝を設けたことで、正常歯列に使用した場合、(上部より1工程での前記接合面迄の切断時)でも、鋸による傷等が付きにくい。そのために、前記分割プレートのみを交換するだけで、支持基台自体は何度も繰り返し、歯科作業用模型の基台として機能でき、使用後も全てをリサイクル可能とし、石膏による廃棄ゴミを出さない。
本発明では、前記分割プレートを、樹脂製とし、石膏・タルクまたは無機質でかつ硬度1程度の素材を混入することで、従来の石膏の脆さを補いつつ前記樹脂が石膏の硬度1と同程度に調整可能となるので、前記分割プレートの上部に石膏の印象模型を貼り付けた積層構造において、鋸による支台歯の切断作業時に、違和感なく(例えば、分割プレートと支台歯の石膏部分とを一体の物として)、切断することを可能とできる。
本発明にかかる歯科作業用模型の嵌合装置は、簡単かつ容易にしかも能率よく安価に多量製作できる。
従来では成形に手間と時間と費用に加え、熟練を要していたが、簡単かつ容易に、安価に多量作製できる。さらに、咬合器装着時以外に石膏を使用しないことから、歯科作業用の印象模型を綺麗に成形しながら、強靭な構造として、破損や、損傷を、極減できる。
本発明の歯科模型の嵌合装置は、不正歯列の症例の支台歯の分割において、非常に困難であった基底面の確実な面積の確保を実現でき、模型の寸法変化による誤差を防ぐことで、精度の高い補綴物の作製を可能とした。
本発明においては、複数の溝が設けられかつ前記溝の間にピンが設けられた分割プレートと前記ピンにはまり合うピン挿入用孔を設けられた支持基台とを用意し、前記ピン挿入用孔に前記ピンをはめ合わせ、前記分割プレートと支持基台とを接合することにより基台を形成する、第1工程と、前記分割プレートの上に印象模型を接着剤で貼り付ける、第2工程と、前記上部に貼り付けた印象模型の支台歯の両側を、前記溝を通る面で切断する、第3工程とを有するようにすれば、不正歯列の場合でも支台歯の底面の面積を十分確保することができ、精度の高い歯科作業用の印象模型を作製することができる。
本発明にかかる歯科模型の嵌合装置は、複数の溝が設けられかつ前記溝の間にピンが設けられた分割プレートと前記ピンにはまり合うピン挿入用孔を設けた支持基台を用意し、前記ピン挿入用孔に前記ピンをはめ合わせ、前記分割プレートと前記支持基台を接合することにより基台を形成する第1工程と、前記分割プレートの上に印象模型を接着剤で貼り付ける、第2工程と、前記上部に貼り付けた印象模型の支台歯の両側を前記溝から切り上げる、第3工程と、前記支台歯の両側上部から切り下げる、第4工程とを有するようにすれば、印象模型の基底面に穴を開けて接着剤等でピンを1本1本平行に植立していた作業工程を省き、石膏を型枠等に流し込んで作製していた支持基台の作業工程も省き、分割プレートに印象模型を貼り付けるだけで、支台歯の切断作業に取り掛かることが出来ることから、熟練を要することなく、非常に簡単に、短時間で歯科作業用の印象模型を準備することを可能とした。また、非常に難しかった不正歯列の支台歯の基底面の面積を確実に確保できる。
本発明にかかる歯科模型の嵌合装置は、支持基台の側面に傾斜を備え、支持基台の上面が分割プレートの底面より一回り小さい嵌着面を有することで、支持基台と、分割プレートとの嵌着移行部に段差を作ることで支台歯の抜き差ししながらの反復操作を容易にすることができる。
本発明の歯科模型の嵌合装置は、支持基台の上面の鋸待機用溝が、分割プレートの完全な切り下ろしの傷をつけないことで支持基台を繰り返し使用できる。
【0012】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る歯科作業用基台の一例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る支持基台を示す斜視図解図である。
【図3】本発明に係る歯科模型の製造方法を示す平面図解図である。
【図4】本発明に係る歯科模型の製造方法を示す正面図である。
【図5】本発明に係る歯科模型の製造方法を示す平面図解図である。
【図6】本発明に係る歯科模型の製造方法を示す正面図である。
【図7A】本発明の方法で切断分離した支台歯を示す平面図である。
【図7B】本発明の方法で切断分離した支台歯を示す底面図である。
【図7C】本発明の方法で切断分離した支台歯を示す正面図である。
【図7D】本発明の方法で切断分離した支台歯を示す背面図である。
【図7E】本発明の方法で切断分離した支台歯を示す右側面図である。
【図7F】本発明の方法で切断分離した支台歯を示す左側面図である。
【図8A】支持基台の例を示す斜視図である。
【図8B】支持基台の例を示す斜視図である。
【図8C】支持基台の例を示す斜視図である。
【図9A】本発明の実施態様における分割プレートの一例を示す平面図である。
【図9B】歯科作業の一工程を示す斜視図である。
【図9C】歯科作業の一工程を示す斜視図である。
【図10】本発明の歯科模型の嵌合装置の一例を示す分解斜視図解図である。
【図11】本発明の歯科模型の嵌合装置の支持基台の上面図と鋸準備状態である。
【図12】本発明の歯科模型の嵌合装置の支持基台及び嵌合台の分解斜視図解図である。
【図13】本発明の歯科模型の嵌合装置の図1・図2・図3に示す積層実施工程である。
【図14】本発明の歯科模型の嵌合装置の積層実施の完成図である。
【図15】本発明の歯科模型の嵌合装置の咬合器への装着実施の一例である。
【図16】本発明の支持基台からの分割実施例の上面図である。
【図17】本発明の支持基台からの分割実施例の正面図である。
【図18】本発明の支台歯分割完了の実施例の正面図である。・
【図19】本発明の支台歯の上面からの分割実施例の上面図である。
【図20A】切断した支台歯を示す平面図である。
【図20B】切断した支台歯を示す底面図である。
【図20C】切断した支台歯を示す正面図である。
【図20D】切断した支台歯を示す背面図である。
【図20E】切断した支台歯を示す左側面図である。
【図20F】切断した支台歯を示す右側面図である。
【図21】本発明に係る歯科模型の製造方法を示す図解図であり、(A)は底面図解図で、(B)は平面図解図である。
【図22】本発明に係る歯科模型の製造方法を示す、図21図示X方向の矢視図解図であり、(A)は前半の工程を示し、(B)は後半の工程を示す図解図である。
【図23】分割プレートの図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は側面図解図である。
【図24】支持基台の図解図であり、(A)は底面図解図であり、(B)は横断面図解図である。
【図25】分割プレート及び支持基台の変形例を示す斜視図解図である。
【図26A】分割プレート及び支持基台の変形例を示す斜視図解図である。
【図26B】図26A図示変形例の印象模型を固定した分割プレート及び支持基台を合わせた状態における平面図解図である。
【図27】分割プレートの変形例を示す斜視図解図である。
【図28】分割プレートの変形例を示す斜視図解図である。
【図29】分割プレートの変形例を示す斜視図解図である。
【図30】分割プレート及び支持基台の変形例を示す斜視図解図である。
【図31】分割プレートの変形例を示す斜視図解図である。
【図32】分割プレートの変形例を示す斜視図解図である。
【図33】従来の基台を示す正面図である。
【図34】従来の製造方法を示す上面図である。
【図35A】従来の方法で切断した支台歯を示す平面図である。
【図35B】従来の方法で切断した支台歯を示す底面図である。
【図35C】従来の方法で切断した支台歯を示す正面図である。
【図35D】従来の方法で切断した支台歯を示す背面図である。
【図35E】従来の方法で切断した支台歯を示す左側面図である。
【図35F】従来の方法で切断した支台歯を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の具体例を詳細に説明する。本発明の第1の実施の形態である歯科作業用模型の基台は、分割プレート2と支持基台3とを備える。分割プレート2及び支持基台3は、2つ以上の歯が同じ方向を向いて略々同列に位置するように円弧状にならぶ、歯並に沿った長さと幅とを備える。この発明の実施の形態の作業模型は、犬歯から奥の方の歯列に対応している。
【0015】
分割プレート2は、底面に、下部に向けて、互いに平行でかつ一定間隔をおいて、数本のピン14が植設されているとともに、上記底面の隣り合うピン14の間に鋸誘導用溝5を設けられている。鋸誘導用溝5は、上部に形成される印象模型1の歯並の列と交差する方向において、すなわち分割プレート2の幅方向において一端から他端に亘って連続して直線状に形成されている。鋸誘導用溝5は、並列された複数の鋸誘導用溝5の間隔が、例えば成人の奥歯の歯の間隔に略々対応した間隔をおいて間欠的に形成されており、石膏専用鋸9の刃を鋸誘導用溝5ののびる方向に誘導できる深さを備えている。分割プレート2の底面に、前記鋸誘導用溝5に直交するように2本の回転防止溝10が平行に形成されている。
【0016】
一方、支持基台3は、前記ピン14と嵌め合わせるためのピン挿入用孔6が設けられているとともに、隣りあうピン挿入用孔6の間の鋸誘導用溝5に対向する位置に鋸待機用溝4が設けられている。
鋸待機用溝4は、分割プレート2と支持基台3とが嵌め合わされたとき、鋸誘導用溝5と向き合い、断面円形の空隙が形成される。
更に、支持基台3は、前記分割プレート2の回転防止溝10と嵌まり合う2本の凸条13が形成されている。
ピン14は、鋸誘導用溝5で分割プレート2が分断されたときに分割された支台歯Cの各々にピン14が存在するように配列され且つ分割プレート2の上面に略々直交して支台歯Cより下方に垂直に突設するように形成されている。
【0017】
分割プレート2のピン14と回転防止溝10は、それぞれ、支持基台3のピン挿入用孔6と凸条13とに嵌め合わされる。このようにして、分割プレート2と支持基台3が一体化される。
このとき、分割プレート2の鋸誘導用溝5と支持基台3の鋸待機用溝4がちょうどそれぞれの溝縁が合わさり、対向するように、鋸誘導用溝5と鋸待機用溝4の位置が定められている。
このとき、分割プレート2と支持基台3の嵌合の強さは、歯科技工作業を行う上で適度な強度を必要とするために、分割プレート2と支持基台3とを異なった材料の合成樹脂で成形した製品であり、一方が硬く一方が柔軟性を有するといったように異なった材料の合成樹脂を選択することによって、前記嵌合の強さを適正な値に調節することが容易となり、ひいては安定した精度の高い歯科補綴物7の作製を可能とする。
【0018】
分割プレート2の材料としては、比較的細いピン14が一体成形され且つ鋸誘導用溝5を設けても、全体的に十分な強度が得られるような合成樹脂を用いることが望ましい。そして、分割プレート2は、その上部に図のように印象模型1を貼り付けて使用するものであるため、石膏・タルク・牡蠣の貝殻の粉等、できれば硬度1程度の無機質な素材を30重量%程度混入することが好ましい。また分割プレート2は、低発泡させた樹脂を射出形成し使用することも可能であって、分割プレート2に石膏の印象模型1を接着剤等で貼り付け、分割プレート2と支持基台1とを一体の物として違和感なく切断できるように構成されている。
【0019】
分割プレート2は、支持基台3との境界面である分割プレート2の下面に設けたピン14の各々の間において、長端縁に直交しまた短端縁に平行となるように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)の両長端縁間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の鋸誘導用溝5を備えている。
一方、支持基台3は、前記鋸誘導用溝5に対応して、その(支持基台3の)上面のピン挿入用孔6の各々の間において、長端縁に直交しまた短端縁に平行となるように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)の両長端縁間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の鋸待機用溝4を設けられている。
ピン14は、分割プレート2の下面において長端縁及び短端縁と適宜な間隔をおいて、下方向に長くのびており、鋸誘導用溝5は、ピン14の間において、分割プレート2の下面において、各々適宜な間隔をおいて前後方向に長く連続してのびている。
また、ピン挿入用孔6は、支持基台3の上面側において長端縁及び短端縁と適宜な間隔をおいて、下方向に長くのびており、鋸待機用溝4は、ピン挿入用孔6の間において、支持基台3の上面において、各々適宜な間隔をおいて、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)方向に長く連続してのびている。
石膏専用鋸9を鋸待機用溝4に沿わせて準備し、分割プレート2を積層し、分割プレート2の鋸誘導用溝5へと切り上げる(ラインAに沿って)ことで、支台歯Cの基底面C1を確実に確保できる分割方法となる。
【0020】
分割プレート2の下部に設けた鋸誘導用溝5は、鋸誘導用溝5に沿って分割プレート2を切断するときに石膏専用鋸9の歯を最適な方向に誘導するためのものであって、分割プレート2の前後方向にのびるように設けた0.5〜1ミリ程度の浅い切れ込みである。
支持基台3の上部に前記鋸誘導用溝5に対応するように設けられた鋸待機用溝4は、石膏専用鋸9の歯を上向きに待機させ且つ石膏専用鋸9を鋸誘導用溝5に沿って押し且つ引くことができるようにするためのものであって、鋸歯の厚みを基準にして幅1ミリ、深さ1.5〜2ミリ程度とすることが好ましい。
石膏専用鋸9は、歯の部分が細長く糸状となっている糸鋸が用いられる。
【0021】
基台は、この実施の形態では、分割プレート2と支持基台3としての2部材で構成され、分割プレート2と支持基台3とは、それぞれ合成樹脂で形成されている。分割プレート2は、口腔から採った歯形陰型に石膏を流して作製された印象模型1を接着剤等でその上面に張り付けられるように構成されており、支持基台3に嵌め合わされる。
なお、印象模型1の底面との接着をより強固なものにするために、分割プレート2の上面は、線状のキズ等の多数の細かい凹凸を形成しておくことが好ましい。
【0022】
歯科作業用模型の基台の準備が完了すると共に、支台歯Cを分割する切断工程に入る。
支台歯Cの切断準備は、図2のように、前記嵌め合わされた分割プレート2を、支持基台3から抜きとり、支持基台3の上面に設けられた鋸待機用溝4に石膏専用鋸9をその歯を上向きにしてセットする。この状態のまま、石膏専用鋸9を誘導するために設けられた鋸誘導用溝5を有する分割プレート2を、支持基台3に嵌め合わせ、分割プレート2と支持基台3との接合面に形成された鋸待機用溝4と鋸誘導用溝5とに、石膏専用鋸9を挟み込んだ状態で、支台歯Cの切断準備は、完了する。
【0023】
支台歯Cの切断工程は、図3に示すラインAに沿って切断することを想定する。支持基台3の上面に設けた鋸待機用溝4に石膏専用鋸9を前記の如く鋸歯を上向きにセットした状態で、上面に印象模型1を貼り付けられた分割プレート2は、その下部の石膏専用鋸9を誘導するために設けた前記鋸誘導用溝5から、印象模型1の基底面C1に向けて、垂直上方へラインAに沿って切り上げられる。
【0024】
図4は、支台歯Cの切断作業工程の前半を示すものである。
支台歯Cの切断作業工程の前半は、分割する支台歯Cの両隣の隣在歯との間又はそれに近い位置にある2つの鋸待機用溝4を切断するために、上記のように支持基台3の2つの鋸待機用溝4の内一方の鋸待機用溝4にセットされた石膏専用鋸9により、分割プレート2の鋸誘導用溝5から、不正歯列を有する症例の印象模型1の支台歯Cの左右両側の基底面C1に垂直に、支台歯Cの両側を左右の鋸待機用溝4と鋸待機用溝4とを互いに平行に切り上げ、その途中で止めるところで終える。
この時の支台歯Cの切断面の上端8は、略々同じ高さ位置とする。
上端8は、支台歯Cの基底面C1の面積の確保と歯科技工操作上及び口腔内セット時の微調整のための使用に耐えうるだけの強度確保のためにも、できるだけ上部に来るようにすることが好ましい。
【0025】
図5は、不正歯列の支台歯Cの上部左右から切り下げる後半の切断工程を示す。不正歯列の支台歯Cの上部を左右の隣在歯の間から切り下げる後半は、ラインBに沿って支台歯Cの左右両側を切り下げて行く。切り下げた切断面の下端は、上記の前半の工程で切り上げた切断面の上端8と一致させ、両方の切断面がつながるようにする。
【0026】
このときの支台歯Cの左右の幅が極端に広い場合の切断は、図6に示すように、特に石膏専用鋸9の応力及び弾力を利用しながら下に行くほど徐々に幅が広くなるように切断して、下から切り上げた切断面の上端8と一致させるようにする。
【0027】
以上詳述したように、支台歯Cを分割して切り出す切断工程は、分割プレート2側から印象模型1の歯茎部分を構成する石膏部の中間までを切断する前半の工程と、印象模型1の歯並の歯の間の歯茎部分を構成する石膏部の中間までを石膏部の上部から切断する後半の工程との2段階に分かれる。
前半の工程は、支持基台3の上部に設けた鋸待機用溝4に、石膏専用鋸9を図の如く上向きにし鋸待機用溝4に沿ってのびるようにセットして分割プレート2を嵌合させた状態で、図4に示すように鋸誘導用溝5から上方へ接合面に垂直に切り上げる工程である。そして、後半の工程は、図5に示すように支台歯Cの上部両側からラインBに沿って切り下げる工程である。このような2段階に分けたのは、図6に示すように前記2工程により支台歯Cを切断すれば、図7Aから図7Fに示すように確実に基底面C1の面積を確保でき、精度の高い歯科作業ができる支台歯Cを製作できるからである。
【0028】
以下、図7Aから図7Fに基づいて、切断により分離された支台歯Cを詳細に説明する。本発明による切断後の支台歯Cは、上面図(図7A図示)に示すように、印象模型1の上面の両側(支台歯Cの両側の隣在歯側)からの支台歯Cの切断後の形状が非常に小さくても、分割プレート2下部の鋸誘導用溝5から切り上げる前半の工程の本発明に係る切断方法により、前記支台歯Cの上部の形状とは無関係に、分割プレート2の幅の分(隣接する鋸誘導用溝5と鋸誘導用溝5との間)だけ底面積が確実に確保できる。
【0029】
前記支台歯Cの基底面C1の前後・左右の幅及び形状を例示する図7Bに示すように、本発明による切断方法により切断した支台歯Cの基底面C1は、前記切断方法によって分割プレート2の底面の鋸誘導用溝5から切り上げる支台歯Cの基底面C1の形状を図のように確実に確保できることにより、基底面C1の面積を確実に確保できる。
図7C(正面図)、図7D(背面図)及び図7E(左側面図)、図7F(右側面図)に示すように、切断面の上端8の位置は、後面側に比べて前面側が低くなり、前面側と後面側とをつなぐ切断面の境界線は、斜めの線になる。
【0030】
上述した実施の形態では、分割プレート2として下部に平行な数本のピン14を設け一体化されているので、従来のように印象模型1の底面穴を開け、一本一本平行にピン14をその底面穴に植立する工程が不要になり、簡単な工程のみで歯科作業用模型を完成でき、複雑な歯科技工用作業模型製作の工程及び作業時間を削減することを可能とする。
【0031】
支持基台3の形状は、図8Aから図8Cに示すように、(歯科技工士の)補綴物7作製時に握り易く、疲れにくく、操作性が向上するように、様々な工夫を施すことができる。たとえば、図8A記載例の支持基台3は、支持基台3の周りに樋状の凹みLを形成されている。図8Bの記載例の支持基台3は、指先に合わせた円形のくぼみ凹みMを設けられている。図8Cの記載例の支持基台3は、滑りにくくするために、多数の線状の溝Nを形成されている。
【0032】
図9Aは、分割プレート2の別の実施の形態を示すもので、この分割プレート2は、その前後のエッジの部分に面取り部Fを形成している。面取り部Fは、ハンドピース等により支台歯Cのトリミング作業時に分割プレート2の上部の前端及び後端のエッジが障害となっていたため、操作性を考慮して、分割プレート2の上部の前端及び後端の両側のエッジの部分に、設けることが好ましい。面取り部Fは、記載の形状に限らないが、1〜2ミリ程度の面取りの巾と高さの範囲が好ましい。
【0033】
図9Bは、この面取り部Fの意義を説明する図である。
図9Bのように、ハンドピースE等により支台歯Cのトリミング作業を行う際、分割プレート2の上部の前端及び後端のエッジ部は、障害となっていたが、分割プレート2の前端及び後端のエッジ部分に面取り部Fを形成することにより、トリミング作業を障害無く行える。
【0034】
図9Cは、本発明の基台を用いて歯科用の補綴物7を作製する工程の一部を示す図である。
歯科作業用基台の分割プレート2に貼り付けた印象模型1の支台歯Cを前記前半及び後半の2つの工程による切断によって、歯科技工用模型を完成させた後、手順としては、前記支台歯C上で蝋によるワックス等で盛り上げ、それに彫刻を施して、補綴物7の模型を作る。次に、これを金属鋳造のために鋳造リングに埋没させ、鋳込みを行い、研磨して仕上げた復元補綴物7を完成させた後、支台歯Cにセットすることにより補綴物7の作製工程は終了する。
【0035】
本発明は、図33に記載の各歯の並びに凹凸の少ない正常歯列の症例の支台歯Cを歯列が描く曲線(ラインD)に沿って、印象模型1の上部より1工程で切断することにも十分適応できる。
また、分割プレート2と支持基台3とは、合成樹脂製にしたことにより、分割プレート2と支持基台3の両者の嵌合の精度が良い。さらに、支持基台3は、鋸待機用溝4を設けることにより、支持基台3に傷をつけずに使用できることから、作業ごとに分割プレート2を交換するだけで、支持基台3自体を何度も使用できるようになった。
【0036】
本発明にかかる基台は、分割プレート2と支持基台3に合成樹脂を使用することで、分割プレート2の上部に貼り付けた石膏で作製された印象模型1(二水石膏)を、細かく(微細に)粉砕し前記合成樹脂に混入させることが可能となる。そして、本発明にかかる基台は、石膏廃棄ゴミを出さず、全てをリサイクル可能とすることを実現した。
【0037】
[実施例1]
分割プレート2は、主として合成樹脂で作製する。この実施例では、ポリスチレン樹脂に、石膏を30〜40重量%程度混入させ、有機系発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)のセルマイク(CE)を0.7重量%の割合で添加し、あらかじめ分散させた混合物を射出成形機内で溶融混練(200〜210℃)させた後、低発泡の射出形成にて作製する。分割プレート2の成形時に混入する石膏(半水石膏=焼石膏とも呼ばれる、硫酸カルシウム・1/2水和物)は、前記分割プレート2上部に、石膏で作製された印象模型1を貼り付けて行う歯科作業工程において、違和感なく分割プレート2と印象模型1とを一体のものとして石膏専用鋸9で切断し易くするために混入するものである。
支持基台3は、ポリスチレン樹脂を射出成形機内で溶融混練させた後、射出成形にて作製される。支持基台3は、前記した分割プレート2と前記支持基台3とを嵌め合わせて利用する歯科技工作業工程において、適度な嵌合の調節を必要とすることから、前記分割プレート2と異なった材料を利用することが望ましく、石膏等の混入物を含まない合成樹脂で形成した。
支持基台3の材料としては、前記分割プレートとは異なった材料の樹脂を用いることで、支持基台と前記分割プレート(ピン部分及び回転防止溝部分とによる)との適度な嵌合の調節を可能としたことにより、何度も分割プレートを抜き差ししながらの歯科技工作業工程における精度の安定が非常に良いことから、極めて精度の高い補綴物7を作製できる。
【0038】
上記の実施例において、分割プレート2は、合成樹脂に石膏を混入させて使用したが、分割プレート2は、石膏の代わりに、タルク・貝殻の粉末等、硬度1程度の無機質素材を混入させることが可能である。
【0039】
また、上記実施例では、分割プレート2と支持基台3との嵌合の調整を重視することから、支持基台3は、混入物なしの、ポリスチレン樹脂を発泡させずに使用したが、必ずしも発泡させてはならないわけではなく、支持基台3を低発泡させることも可能である。この場合、発泡剤としては、ポリスチレン系樹脂の発泡剤として公知の物理発泡剤または化学発泡剤の中から適宜選択して使用することが可能である。ただし、発泡率を上げると精密度が低下するため、低発泡に留めることが好ましい。
【0040】
[実施例2]
実施例1の分割プレート2の石膏に代えて、分割プレート2は、木材の粉(おがくず)を30〜40重量%程度混入したものを用い、成形されている。
石膏の印象模型1を貼り付けた分割プレート2は、違和感なく石膏専用鋸9で切断する目的で合成樹脂に無機質な素材を混入させることが適しているが、それに似た感覚で、歯科作業模型の操作過程で発生するよごれ等を気にしなければ、木材の粉(おがくず)等の有機素材を30〜50重量%程度まで混入し、無機質な素材の代替とすることも可能である。この場合は、無機質素材を混入したとき程の、切断時の感覚は求められない。
また、木材の粉(おがくず)等の有機素材と無機質な素材とを合わせて、合成樹脂に混入させると、石膏専用鋸9による分割プレート2の切断時の感覚は、なめらかに切り進むことができる感覚となる。
【0041】
次に、本発明の別の実施の形態について、図10ないし図19に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための歯科模型の嵌合装置100を例示するものであって、本発明は、歯科模型の嵌合装置100を以下のものに特定しない。
【0042】
図10に示す歯科模型の嵌合装置100は、支持基台103と、支持基台103の定位置に脱着できるように連結する複数のピン114を一塊のものとして下部に有する樹脂製の分割プレート102と、前記分割プレート102に固定してなる印象模型101とを備える。
【0043】
複数のピン114は、分割プレート102の底面に、垂直にまた各々が平行に、下方に延伸する形状で、楕円柱状、すなわち底面が楕円で底面と側面がなす角が90度でなく先端に至る程全体が徐々に細くなる、テーパー状の斜柱体である。ピン114は、成形型により一塊で射出成形されて、分割プレート102と一体的に形成されている。
分割プレート102は、支持基台103にピン114によって定位置に連結してなる積層構造となるように形成され、支持基台103より一回り大きく形成され、支持基台103の上面より外方に突き出るように構成されている。
ピン114は、印象模型101の歯部分に相当する位置に形成されている。
【0044】
歯科模型の嵌合装置100の支持基台103は、全体が截頭四角錐型で、その中は空洞部を有し、上面が略平面状であり、上面の上方からピン114を抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔106を備えた形状である。
支持基台103は、上壁130と側壁131とを備え、側壁131を構成する前壁132と後壁133との間にピン挿入用孔106の周辺においてピン挿入用孔106を囲むように前壁132と後壁133とに跨って形成された複数の隔壁134を備える。複数の隔壁134は、ピン114の挿入部を構成しており、ピン挿入用孔106の配列に対応して適宜な間隔をおいて間欠的に形成されている。
複数の隔壁134の間の凹み部135は、断面長方形であり、支持基台103の底面の開口部より上壁130に向けて開口されており、凹み部135には、後述する嵌合台140の嵌合凸部142が嵌合される。
ピン挿入用孔106は、ピン114の断面形状に対応した平面視楕円形の開口部を上壁130に備え、上壁130の開口部より下方に向けて開口されており、下方に向かうに従って徐々に狭くなるテーパー状である。
支持基台103は、上壁130と側壁131と内部の隔壁134とが合成樹脂によって成形型により射出成形されている。
【0045】
分割プレート102は、支持基台103との境界面である分割プレート102の下面に設けたピン114の各々の間において、長端縁に直交しまた短端縁に平行となるように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)の両長端縁間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の鋸誘導用溝105を備えている。
一方、支持基台103は、前記鋸誘導用溝105に対応して、その(支持基台103の)上面のピン挿入用孔106の各々の間において、長端縁に直交しまた短端縁に平行となるように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)の両長端縁間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の鋸待機用溝104を設けられている。
ピン114は、分割プレート102の下面において長端縁と直交(または斜交)するように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)方向に長くのびており、鋸誘導用溝105は、ピン114の間において、分割プレート102の下面において長端縁と適宜な間隔をおいて前後方向に長く連続してのびている。
また、ピン挿入用孔106は、支持基台103の上面において長端縁と直交(または斜交)するように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)方向に長くのびており、鋸待機用溝104は、ピン挿入用孔106の間において、支持基台103の上面において長端縁と適宜な間隔をおいて、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)方向に長く連続してのびている。
石膏専用鋸9を鋸待機用溝104に沿わせて準備し、分割プレート102を積層し、分割プレート102の鋸誘導用溝105へと切り上げる(ラインAに沿って)ことで、支台歯Cの基底面C1を確実に確保できる分割方法となる。
【0046】
支持基台103は、側面に傾斜を備え、支持基台103の上面は分割プレート102の底面より一回り小さい接合面を有する。分割プレート102と支持基台103とに段差を付加したのは、ピン114を抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔106にピン114を挿入した、支持基台103と分割プレート102とを積層した構造としたり、嵌合状態にありながらも、分離板160を真上に抜く及び真下に差し込む反復操作を何度も繰り返しながらの技工作業をできるといったように、その操作性を考慮したものである。
【0047】
支持基台103と分割プレート102とは、無機質素材を混入した合成樹脂で成形してなる。この実施の形態においては、無機質素材の中でも石膏を35重量%前後含む樹脂と、炭酸カルシウムを35重量%前後含むスチレン樹脂との相性は、強度的にも非常に良い。
特に、固定してなる印象模型101と分割プレート102とを違和感無く分割できるように、分割プレート102は、石膏を含む又は石膏に準じた無機質素材を含むその他の樹脂で作製することが好ましい。
また、低発泡に抑えれば無機質素材を混入して発泡樹脂も使用できる。無機質素材を混入することにより、分割プレート102は、合成樹脂でありながら、技工操作上、分割プレート102及び印象模型101の分割の際に起こる摩擦による静電気の帯電防止の効果を奏する。
但し、凸部136のアンダーカット面と凹み部の傾斜の嵌合の具合の調整を考慮すると、この組み合わせに限定するわけではない。
【0048】
支持基台103は、その側壁131の下部に嵌合台140が固定される。
嵌合台140は、支持基台103の底面より一回り大きな上面を持つ、平面視長方形の板状であり、嵌合台140は、支持基台103の底面に固定するために、支持基台103のピン114の挿入部を構成する隔壁134の各々の間の数箇所の凹み部135に嵌合させる柱状の嵌合凸部142を備えている。
嵌合凸部142は、前後方向にのびる角柱状凸部が、適宜な間隔をおいて並列する櫛歯状である。
嵌合台140は、その底面の両端に設けられ、前後の短端の両端まで延伸された下駄状の2つの保持用凸部144a及び保持用凸部144b部分を備え、その下面中央には、円柱状の接着用凸部146を備える。そして、嵌合台140は、左右に分離された保持用凸部144aと保持用凸部144bとの間に嵌合され且つ接着用凸部146に嵌合される、柔軟性のある材質の分離板160によって積層構造となるように構成されている。
【0049】
嵌合台140は、支持基台103のピン114の挿入部の間の数箇所の隔壁134に、精密に一定の長さで嵌合させる数本の柱状の嵌合凸部142を突出形成されている。
嵌合台140は、上面の四隅に、支持基台103の四隅部を嵌合して支持基台103を密に固定させるための嵌合挟持部148を上方に向けて突設されて形成されている。嵌合挟持部148は、弾力性を有している。
嵌合台140は、支持基台103の底面より一回り大きな上面を備えることで、咬合器190への装着と取り外し操作をするときにおいて、真直ぐ差し込む、及び真直ぐ引き抜くだけの簡略な反復操作で行うことができるように構成されている。
【0050】
分離板160は、平面視方形状で、嵌合台140の2つの保持用凸部144a及び保持用凸部144bの高さと同じ厚さを有しており、その中央には嵌合孔162が穿設されている。
分離板160は、比較的軟質なゴム等で成形されている。
分離板160は、樹脂製またはゴム製等の柔軟性のある材質で作製することで、柔軟性を持たせることが可能である。
【0051】
柔軟性のある材質の分離板160は、歯科模型の咬合器190との装着時の石膏の使用量を最小量に抑えることができる。また、分離板160に柔軟性を持たせたことで補綴物7の製作後に歯科模型を咬合器190から取り外す作業において、石膏での装着部分は、嵌合台140の底面中央に設けた柱状の接着用凸部146と接着されているが、密に嵌合させてある柔軟性のある材質の分離板160を介在させて咬合器190に装着させているために、柔軟性のある材質の分離板160を手等で外すことによって、咬合器190から嵌合台140を取り外すことを素早く簡略に行なえる。
【0052】
この嵌合装置100は、歯科技工において、歯列の印象模型101を固定する咬合器190に固定して用いられる。
咬合器190は、歯科技工において、歯列の印象模型101を固定する咬合器190として、従来から各種の咬合器190が使用されているが、そのうち広く利用されているものに、南加大型といわれる咬合器190がある。
この咬合器190は、図15に示すように、金属線材を幅広のU字状に折曲してなる下顎用支承部191の開放側をそれぞれ垂直上方に折曲すると共に中間部にスプリング192を介在させて支柱193a,支柱193bとし、その上端に支持孔194を設け、該支持孔194に上記下顎用支承部191とほぼ同じU字状で開放端部195を僅かに折曲させた上顎用支承部196を回動自在に取り付けたもので、全体として左右対称に構成している。
【0053】
この咬合器190は、一般に、インレー・クラウンやクラウンブリッジなどの部分的な補綴物7の作製に使用するもので、上下両支承部に固定する印象模型101としては、歯列の全体についても、また、片側のみについても使用できる。
義歯作製等のその他の義歯用の咬合器への装着に際しては、上下顎の印象模型101の舌及び口蓋部分にも、図23に示すように、分割プレート102の下部にピン114を施すことで、全顎歯列の症例について使用できる。
【0054】
次に、この咬合器190を使用し、印象模型101を固定する方法について説明する。
まず、嵌合装置100の嵌合台140及び分離板160を下顎用支承部191を覆うようにして固定し、下顎用支承部191を石膏で覆い嵌合台140及び分離板160に接着して石膏で固めて、嵌合台140及び分離板160を下顎用支承部191に固定する。
嵌合装置100を上顎用支承部196に固定するときも同様である。
【0055】
歯列模型側から支台歯Cを分割する分割方法について、次に説明する。
分割方法としては、分割プレート102を支持基台103の定位置に配置する、第1工程と、分割プレート102に印象模型101を接着剤で固定する、第2工程と、第2工程の後、咬合器190に嵌合台140及び分離板160部位で嵌合装置100を固定した後に、支台歯Cの両側において分割プレート102の鋸誘導用溝105を通る面で分割する、第3工程とを有する。
更に、支持基台103の鋸待機用溝104に石膏専用鋸9を準備し、印象模型101の支台歯Cの両側をめがけて、分割プレート102の鋸誘導用溝105から歯頸部付近まで基底面C1に対して垂直に切り上げる、第3工程と、印象模型101の支台歯の両側上部から第3工程の分割移行部まで切り下げて前記第3工程で切り上げられた切断部分と接続する、第4工程とを有する。
【0056】
第1工程は、歯科模型の嵌合装置の支持基台103と分割プレート102とを積層する状態とするために、互いに嵌合させる工程である。
支持基台103は、ピン挿入用孔106を設けられており、ピン挿入用孔106に、分割プレート102の下部に一塊で設けたピン114を挿入するために、定位置に連結することができる。
その分割プレート102を支持基台103の上面の定位置に、何度も分割プレート102を抜き差ししながらの技工作業中に定位置に配置するために、支持基台103は、その上面に鋸待機用溝104の間であってピン挿入用孔106の近傍の両脇に凸部136を備えており、凸部136は、浮き上がり無く精密に嵌合させる調節面として、その下方にアンダーカット面を付与されている。
分割プレート102は、底面に鋸誘導用溝105の間であってピン114の近傍の両脇に凹部122を備え、凹部122は、支持基台103の上面の凸部136のアンダーカット面に対応するテーパー(傾斜)を、凹部122の底面近傍に付与されている。
更に、樹脂製の分割プレート102の底面と支持基台103との何れかに設けた凸部136は、アンダーカットを設けられており、一方、凹部122は、前記凸部136に対応するテーパー(傾斜)を設けられ、さらに、支持基台103と分割プレート102との硬さ(強度)を変えることで、精密に嵌合するように構成されている。
したがって、第1工程において、分割プレート102と支持基台103とは、所期の目的どおり、嵌合させて、積層構造にできる。
【0057】
第2工程は、分割プレート102の上面に、石膏で成形された歯型を含む歯列模型である印象模型101を載置し固定する工程である。
印象模型101は、歯型とは反対側の基底面C1は、略々平面に成形されており、分割プレート102の平面状の上面に密着固定される。
【0058】
第3工程は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0059】
次に、この発明にかかる第3の実施の形態である義歯用の歯科作業模型の基台について、図21ないし図24に基づいて説明する。
有床義歯及び局部床義歯は、口腔外で製作されるため、口腔内の状態を正確な模型として再現する必要がある。
そのために、正確な印象が必要であり、正確な石膏模型が必要である。
副模型がなければ患者の口腔内にて義歯の試適をすることになるが、その折の診察室でのチェアータイムの増加傾向の時間が問題である。
残った副模型にて残存歯に対して、クラスプ、バー及び粘膜部の適合状態のチェックをし、舌側部、口蓋部及び顎底部の義歯の適合状態のすべてを確認することができれば、極めて便利である。
この実施の形態の基台によれば、義歯の適合状態を確認するときに、残存歯を確認しながら歯科用の鋸切りで切断でき、舌側部、口蓋部及び顎底部のデンチャーの適合状態を確認するときに便利である。
そのとき、残存歯部、舌側部、口蓋部及び顎底部に、ピン、支持部及び維持部があれば、石膏副模型を自由に切断して分割することができ、その分割プランを自由に選択することが可能である。
口腔内での義歯の装着方向の確認、適合性のチェック及び咬合状態のチェックが、残存歯部を切断及び分割ができることによって、副模型を傷つけずに、行うことができる。
【0060】
本発明の第3の実施の形態である歯科作業用模型の基台200は、分割プレート202と支持基台203とを備える。分割プレート202及び支持基台203は、印象模型201の形状に対応しており、印象模型201より大きく、2つ以上の歯が同じ方向を向いて略々同列に位置するように円弧状にならぶ、歯並、歯茎及び上顎部に沿った長さと幅とを備える。この発明の実施の形態の作業模型は、略々方形か周囲が円弧状のおにぎり型をしている。
【0061】
分割プレート202は、底面に、下部に向けて、互いに平行でかつ一定間隔をおいて、数本のピン214が植設されているとともに、上記底面の隣り合うピン214の間に鋸誘導用溝205を設けられている。
【0062】
ピン214は、印象模型201の歯の部分に相当する位置に配列され且つ上顎部部分に亘って、適宜な間隔をおいて不規則に配列されている。ピン214は、鋸誘導用溝205で分割プレート202が分断されたときに分割された支台歯Cの各々にピン214が存在するように配列され且つ分割プレート202の上面に略々直交して支台歯Cより下方に垂直に突設するように形成されている。
【0063】
鋸誘導用溝205は、上部に形成される印象模型201の歯並の列と交差する方向において、すなわち分割プレート202の幅方向において一端から他端に亘って連続して直線状に形成されている。鋸誘導用溝205は、並列された複数の鋸誘導用溝205の間隔が、例えば成人の奥歯の歯の間隔に略々対応した間隔をおいて間欠的に形成されており、石膏専用鋸9の刃を鋸誘導用溝205ののびる方向に誘導できる深さを備えている。
【0064】
分割プレート202は、支持基台203との境界面である分割プレート202の下面に設けたピン214の各々の間において、前後の端縁(前歯側の前端縁及び奥歯側の後端縁)に斜交しまた左右の端縁に斜交するように、前後の端縁の間及び前後の端縁と左右の端縁との間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の第1の鋸誘導用溝205a,第2の鋸誘導用溝205b及び第3の鋸誘導用溝205cを備えている。
一方、支持基台203は、前記第1の鋸誘導用溝205a,第2の鋸誘導用溝205b及び第3の鋸誘導用溝205cに対応して、その(支持基台203の)上面のピン挿入用孔206の各々の間において、前後の端縁(前歯側の前端縁及び奥歯側の後端縁)に斜交しまた左右の端縁に斜交するように、前後の端縁の間及び前後の端縁と左右の端縁との間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の第1の鋸待機用溝204a,第2の鋸待機用溝204b及び第3の鋸待機用溝204cを設けられている。
第1の鋸誘導用溝205aは、右端縁と後端縁との間及び左端縁と前端縁との間において、略々各歯部の間に位置するように、右上がりの斜線状である。
第2の鋸誘導用溝205bは、左端縁と後端縁との間及び右端縁と前端縁との間において、略々各歯部の間に位置するように、左上がりの斜線状である。
第3の鋸誘導用溝205cは、前端縁と後端縁との間において、前歯部と口蓋部との間に跨るように、形状されている。
第1の鋸誘導用溝204aは、右端縁と後端縁との間及び左端縁と前端縁との間において、略々各歯部の間に位置するように、右上がりの斜線状である。
第2の鋸誘導用溝204bは、左端縁と後端縁との間及び右端縁と前端縁との間において、略々各歯部の間に位置するように、左上がりの斜線状である。
第3の鋸誘導用溝204cは、前端縁と後端縁との間において、前歯部と口蓋部との間に跨るように、形状されている。
【0065】
ピン214は、分割プレート202の下面に、歯茎部分の歯の位置及び口蓋部において適宜な間隔をおいて形成され、第1の鋸誘導用溝205a,第2の鋸誘導用溝205b及び第3の鋸誘導用溝205cは、分割プレート202の下面、ピン214の間において、各々適宜な間隔をおいて交差するように、前後及び左右方向に長く連続してのびている。
また、ピン挿入用孔206は、支持基台203の上面側に、歯茎部分の歯の位置及び口蓋部において適宜な間隔をおいて形成され、第1の鋸待機用溝204a,第2の鋸待機用溝204b及び第3の鋸待機用溝204cは、支持基台203の上面において、ピン挿入用孔206の間において、前記ピン214の位置と対応して各々適宜な間隔をおいて交差するように、前後及び左右方向に長く連続してのびている。
石膏専用鋸9を第1の鋸待機用溝204a,第2の鋸待機用溝204b及び第3の鋸待機用溝204cに沿わせて準備し、分割プレート202を積層し、分割プレート202の第1の鋸誘導用溝205a,第2の鋸誘導用溝205b及び第3の鋸誘導用溝205cへと切り上げる(ラインAに沿って)ことで、支台歯Cの基底面C1を確実に確保できる分割方法となる。
【0066】
分割プレート202の底面に、前記鋸誘導用溝205に交差するように、前と後とに分かれて2本の回転防止溝210が平行に形成されている。
【0067】
一方、支持基台203は、前記ピン214を嵌め合わせるためのピン挿入用孔206が設けられているとともに、隣りあうピン挿入用孔206の間の鋸誘導用溝205に対向する位置に鋸待機用溝204が設けられている。
鋸待機用溝204は、分割プレート202と支持基台203とが嵌め合わされたとき、鋸誘導用溝205と向き合い、断面円形の空隙が形成される。
更に、支持基台203は、前記分割プレート202の回転防止溝210と嵌まり合う2本の凸条213が形成されている。
【0068】
分割プレート202のピン214と回転防止溝210は、それぞれ、支持基台203のピン挿入用孔206と凸条213とに嵌め合わされる。このようにして、分割プレート202と支持基台203が一体化される。
このとき、分割プレート202の鋸誘導用溝205と支持基台203の鋸待機用溝204とは、ちょうどそれぞれの溝縁が合わさり、対向するように、鋸誘導用溝205と鋸待機用溝204の位置が定められている。
このとき、分割プレート202と支持基台203の嵌合の強さは、歯科技工作業を行う上で適度な強度を必要とするために、分割プレート202と支持基台203とを異なった材料の合成樹脂で成形した製品であり、異なった材料の合成樹脂を選択することによって、前記嵌合の強さを適正な値に調節することが容易となり、ひいては安定した精度の高い歯科補綴物7の作製を可能とする。
【0069】
その分割プレート202を支持基台203の上面の定位置に、何度も分割プレート202を抜き差ししながらの技工作業中に定位置に配置するために、支持基台203は、その上面に鋸待機用溝204の間であってピン挿入用孔206の近傍に凸部236を備えており、凸部236は、浮き上がり無く精密に嵌合させる調節面として、その下方にアンダーカット面を付与されている。
分割プレート202は、底面に鋸誘導用溝205の間であってピン214の近傍に凹部222を備え、凹部222は、支持基台203の上面凸部236のアンダーカット面に対応するテーパー(傾斜)を、凹部222の底面近傍に付与されている。
更に、樹脂製の分割プレート202の底面と支持基台203との何れかに設けた凸部236は、アンダーカットを設けられており、一方、凹部222は、前記凸部236に対応するテーパー(傾斜)を設けられ、さらに、支持基台203と分割プレート202との硬さ(強度)を変えることで、精密に嵌合するように構成されている。
したがって、第1工程において、分割プレート202と支持基台203とは、所期の目的どおり、嵌合させて、積層構造にできる。
【0070】
歯科作業用模型の基台の準備が完了すると共に支台歯Cを分割する切断工程に入る。
支台歯Cの切断準備は、図21〜図24のように、前記嵌め合わされた分割プレート202を、支持基台203から抜きとり、支持基台203の上面に設けられた鋸待機用溝204に石膏専用鋸9をその歯を上向きにしてセットする。この状態のまま、石膏専用鋸9を誘導するために設けられた鋸誘導用溝205を有する分割プレート202を、支持基台203に嵌め合わせ、分割プレート202と支持基台203との接合面に形成された鋸待機用溝204と鋸誘導用溝205とに、石膏専用鋸9を挟み込んだ状態で、支台歯Cの切断準備が完了する。
【0071】
支台歯Cの切断工程は、図21〜図24に示すラインAに沿って切断することを想定する。支持基台203の上面に設けた鋸待機用溝204に石膏専用鋸9を前記の如く鋸歯を上向きにセットした状態で、上面に印象模型201を貼り付けられた分割プレート202は、その下部の石膏専用鋸9を誘導するために設けた前記鋸誘導用溝205から、印象模型201の基底面C1に向けて、垂直上方へラインAに沿って切り上げられる。
【0072】
支台歯Cの切断作業工程の前半は、図22(A)に示すように、分割する支台歯Cの両隣の隣在歯との間又はそれに近い位置にある2つの鋸待機用溝204を切断するために、上記のように支持基台203の2つの鋸待機用溝204の内一方の鋸待機用溝204にセットされた石膏専用鋸9により、分割プレート202の鋸誘導用溝205から、印象模型201のクラスプを掛ける残存歯Cの左右両側の基底面C1に垂直に、残存歯Cの両側を左右の鋸待機用溝204と鋸待機用溝204とを互いに平行に切り上げ、その途中で止めるところで終える。
この時の残存歯Cの切断面の上端208は、略々同じ高さ位置とする。
上端208は、残存歯Cの基底面C1の面積の確保と歯科技工操作上及び口腔内セット時の微調整のための使用に耐えうるだけの強度確保のためにも、できるだけ上部に来るようにすることが好ましい。
【0073】
不正歯列の残存歯Cの上部を左右の隣在歯の間から切り下げる後半の切断工程は、図22(B)に示すように、ラインBに沿って残存歯Cの左右両側を切り下げて行く。切り下げた切断面の下端は、上記の前半の工程で切り上げた切断面の上端208と一致させ、両方の切断面がつながるようにする。
【0074】
このときの残存歯Cの左右の幅が極端に広い場合には、図22(B)に示すように、特に石膏専用鋸9の応力及び弾力を利用しながら下に行くほど徐々に幅が広くなるように切断して、下から切り上げた切断面の上端208と一致させるようにする。
【0075】
以上詳述したように、支台歯C又は残存歯Cを分割して切り出す切断工程は、分割プレート202側から印象模型201の歯茎部分を構成する石膏部の中間までを切断する前半の工程と、印象模型201の歯並の歯の間の歯茎部分を構成する石膏部の中間までを石膏部の上部から切断する後半の工程との2段階に分かれる。
前半の工程は、支持基台203の上部に設けた鋸待機用溝204に、石膏専用鋸9を図の如く上向きにし鋸待機用溝204に沿ってのびるようにセットして分割プレート202を嵌合させた状態で、図22(A)に示すように鋸誘導用溝205から上方へ接合面に垂直に切り上げる工程である。そして、後半の工程は、図22(B)に示すように支台歯Cの上部両側からラインBに沿って切り下げる工程である。
このような2段階に分けたのは、前記2工程により支台歯Cを切断すれば、確実に基底面C1の面積を確保でき、精度の高い歯科作業ができる支台歯Cを製作できるからである。
【0076】
本発明による捻転歯や不正歯列の状態にある支台歯Cは、印象模型201の上面の両側(支台歯Cの両側の隣在歯側)からの支台歯Cの切断後の形状が非常に小さくても、分割プレート202下部の鋸誘導用溝205から切り上げる前半の工程の本発明に係る切断方法により、前記支台歯Cの上部の形状とは無関係に、分割プレート202の幅の分(隣接する鋸誘導用溝205と鋸誘導用溝205との間)だけ底面積が確実に確保できる。
そのとき、残存歯部、舌側部、口蓋部及び顎底部に、ピン、支持部及び維持部があれば、口腔内での義歯の装着方向の確認、適合性のチェック及び咬合状態のチェックが、義歯の歯部、歯茎部及び口蓋部など人の口腔内の装着部位と真空状態により密着するように、容易に確実にすることができる。
【0077】
この発明にかかる義歯用の歯科作業模型の基台は、前記実施の形態に限らず、種々変更することができる。変形例について、図25ないし図26に基づいて説明する。
【0078】
変形例たる歯科作業用模型の基台300は、分割プレート302と支持基台303とを備える。分割プレート302及び支持基台303は、印象模型301の形状に対応しており、印象模型301より大きく、2つ以上の歯が同じ方向を向いて略々同列に位置するように円弧状にならぶ、歯並、歯茎及び上顎部に沿った長さと幅とを備える。変形例たる作業模型は、周囲が円弧状の半月型をしている。
【0079】
分割プレート302は、底面に、下部に向けて、互いに平行でかつ一定間隔をおいて、数本のピン314が植設されているとともに、上記底面の隣り合うピン314の間に鋸誘導用溝305を設けられている。
【0080】
ピン314は、印象模型301の歯の部分に相当する位置に配列され且つ上顎部部分に亘って、適宜な間隔をおいて不規則に配列されている。ピン314は、鋸誘導用溝305で分割プレート302が分断されたときに分割された支台歯Cの各々にピン314が存在するように配列され且つ分割プレート302の上面に略々直交して支台歯Cより下方に垂直に突設するように形成されている。
【0081】
鋸誘導用溝305は、上部に形成される印象模型301の歯並の列と交差する方向において、すなわち分割プレート302の幅方向において一端から他端に亘って連続して直線状に形成されている。鋸誘導用溝305は、並列された複数の鋸誘導用溝305の間隔が、例えば成人の奥歯の歯の間隔に略々対応した間隔をおいて間欠的に形成されており、石膏専用鋸9の刃を鋸誘導用溝305ののびる方向に誘導できる深さを備えている。
【0082】
一方、支持基台303は、前記ピン314を嵌め合わせるためのピン挿入用孔306が設けられているとともに、隣りあうピン挿入用孔306の間の鋸誘導用溝305に対向する位置に鋸待機用溝304が設けられている。
鋸待機用溝304は、分割プレート302と支持基台303とが嵌め合わされたとき、鋸誘導用溝305と向き合い、断面円形の空隙が形成される。
【0083】
分割プレート302のピン314は、それぞれ、支持基台303のピン挿入用孔306に嵌め合わされる。このようにして、分割プレート302と支持基台303が一体化される。
このとき、分割プレート302の鋸誘導用溝305と支持基台303の鋸待機用溝304は、ちょうどそれぞれの溝縁が合わさり、対向するように、鋸誘導用溝305と鋸待機用溝304の位置が定められている。
このとき、分割プレート302と支持基台303の嵌合の強さは、歯科技工作業を行う上で適度な強度を必要とするために、分割プレート302と支持基台303とを異なった材料の合成樹脂で成形した製品であり、異なった材料の合成樹脂を選択することによって、前記嵌合の強さを適正な値に調節することが容易となり、ひいては安定した精度の高い歯科補綴物7の作製を可能とする。
また、図25図示分割プレート302は、一体型であるが、図26図示分割プレート302は、歯茎部分の馬蹄型分割プレート302Aと口蓋部分の半月型分割プレート302Bとに分割されており、馬蹄型分割プレート302Aのみを石膏専用鋸9で切断することが容易なように構成されている。
図25図示分割プレート302と支持基台303とは、合わせ面が平滑な平面状であるが、図26図示支持基台303は、歯茎部分303Aが若干高い馬蹄型であり、口蓋部分303Bは若干低い半月型であり、両者の間には段差が設けられ、歯茎部分303Aに形成された鋸待機用溝304を石膏専用鋸9で切断するときに、口蓋部分303Bの切断する厚さを薄くしており、歯茎部分303Aを切断し易くしている。
分割プレート302と支持基台303とを合わせたとき、分割プレート302の馬蹄型分割プレート302Aの上面と半月型分割プレート302Bの上面とは、平面状に揃う。
【0084】
図26図示馬蹄型分割プレート302Aは、支持基台303との境界面である馬蹄型分割プレート302Aの下面に設けたピン314の各々の間において、外側端縁に斜交しまた内側端縁に斜交するように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)の外側端縁と内側端縁間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の第1鋸誘導用溝305aを備えている。
半月型分割プレート302Bは、前歯側(硬口蓋側)から奥歯側(軟口蓋側)に向けて、第3鋸誘導用溝305cが複数条形成されている。馬蹄型分割プレート302Aは、前記第3鋸誘導用溝305cに連続するように、第3鋸誘導用溝は形成されていないが、形成してもよい。
一方、支持基台303は、前記第1鋸誘導用溝305a及び第3鋸誘導用溝305cに対応して、その(支持基台303の)上面のピン挿入用孔306の各々の間において、歯茎部分303Aの外側端縁に斜交しまた歯茎部分303Aの内側端縁に斜交するように、前後(歯の表面側の前と歯の内側の後)の外側端縁と内側端縁間に亘って延伸した、幅及び深さが数ミリ程度の第1鋸待機用溝304aを設けられている。
支持基台303の口蓋部分303Bは、前歯側(硬口蓋側)から奥歯側(軟口蓋側)に向けて、第3鋸待機用溝304cが複数条形成されており、支持基台303の歯茎部分303Aは、前記第3鋸待機用溝304cに連続するように、第2鋸待機用溝304bが複数条形成されている。
【0085】
ピン314は、分割プレート302の下面において歯茎部の歯の位置及び口蓋部に適宜な間隔をおいて形成され、第1鋸誘導用溝305a及び第3鋸誘導用溝305cは、ピン314の間において、分割プレート302の下面において各々適宜な間隔をおいて前後方向及び放射線状に長く連続してのびている。
また、ピン挿入用孔306は、支持基台303の上面側において歯茎部の歯の位置及び口蓋部に適宜な間隔をおいて形成され、第1鋸待機用溝304a,第2鋸待機用溝304b及び第3鋸待機用溝304cは、ピン挿入用孔306の間において、前記ピン314の位置と対応して支持基台303の上面において、各々適宜な間隔をおいて、前後方向及び放射線状に長く連続してのびている。
第3鋸待機用溝304c及び第3鋸誘導用溝305cは、印象模型301の口蓋部分と前歯部分とを切断するときに、用いるように形成されている。
石膏専用鋸9を第1鋸待機用溝304a,第2鋸待機用溝304b及び第3鋸待機用溝304cに沿わせて準備し、分割プレート302を積層し、分割プレート302の第1鋸誘導用溝305a及び第3鋸誘導用溝305cへと切り上げる(ラインAに沿って)ことで、支台歯Cの基底面C1を確実に確保できる分割方法となる。
【0086】
本発明にかかる歯科技工用作業模型の基台は、偏顎症例を主に記載してきたが、全顎症例にも十分適応可能である。
今までは、全顎症例においては、舌及び口蓋部分にも分割プレート2の下部に、ピン14を施すことにより、目視確認しにくかったが、本発明にかかる歯科技工用作業模型の基台は、義歯の辺縁及び義歯床との口腔内接触部の適合確認等を可能とし、十分適応可能とした。
【0087】
変形例たる分割プレート102は、図27に示すように、その上部に患者の石膏歯型を接着剤にて貼り付けするときにピン114の位置を確認するための位置マーク102Mを形成されている。
位置マーク102Mは、丸印、二重丸印、文字、数字、記号等の形状で、いずれか選択される。
また、分割プレート102は、その上部に石膏歯型を接着剤にて貼り付けするときに接着剤を多く塗布された場合であっても、下部の支持基台103にまで接着剤が漏出しないように、図27に示すように、円環状又は角環状の凹条102rを形成されている。凹条102rは、丸いレール状の物によって彫って形成する。
変形例たる分割プレート102は、その上部に、図28に示すように、笑窪的な微細な凹部(ディンプル)の穴102dを細かく形成されている。穴102dは、石膏歯型を接着剤にて貼り付けするときに接着剤の漏出を防止するために形成されている。
位置マーク102Mは、石膏専用鋸9で分割プレート102を切断するときには、先程のピン114の位置マーク102Mが患者の石膏歯型模型と重なり確認できなくなる。そこで、変形例たる分割プレート102は、図29に示すように、ピン114の位置マーク102Mから、片側か両側に各々平行のラインマーク102Lを溝状に穿ち形成されており、川の位置を確認できる。
ラインマーク102Lが、片方に形成された場合は、図30に示すように、支持基台103は、前壁上にも、前記ラインマーク102Lの延長上にて、ラインマーク103Lを溝状に穿ち形成される。
ラインマーク102L及びラインマーク103Lは、上部の分割プレート102を石膏専用鋸9で分割した後に、支持基台103に戻す作業において、規則的な方向性(面の向き)の確認ができるように構成されている。
【0088】
分割プレート102は、患者の石膏歯型を接着剤で分割プレート102に貼り付けた後に、石膏専用鋸9で分割する。
そして、歯科技工作業時に患者の石膏歯型及び分割プレート102をお湯などをかけて清掃するが、その作業中に複数人数分の混入することがある。
そのとき、分割プレート102の整理番号がプレートの一部に記載されていると便利である。
例えば、分割プレート102を金型で4個取りにより形成するならば、A,B,C,D、の記号にてAプレート、Bプレート、Cプレート、Dプレートと判断できるので作業効率を良くすることができる。
分割プレート102は、図21及び図22に示すように、ピン114の先端部の平坦部に整理番号102Nが刻印され、又はピン114の横の面に整理番号102Nが刻印されるとよい。
その他、整理番号102Nは、分割プレート102の横面の辺縁部、分割プレート102の上面部、裏面部、などが見やすい場所に形成するとよい。
整理番号102Nの記載方法は、分割プレート102の成型加工時に、彫り込むようにして形成されるとよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、歯科技工作業用模型の基台として、歯科補綴物の作製や義歯作製のために、広く歯科作業に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
A 不正歯列症例の鋸による下からの支台歯切断ライン
B 不正歯列症例の鋸による上からの支台歯切断ライン
C 支台歯,残存歯
1 基底面
D 正常歯列症例の鋸による上からの一工程での切断ライン
E ハンドピース
F 分割プレートの上部頬舌側のエッジの面取り部
L 樋状凹み
M 円形のくぼみ
N 線状の溝
1 印象模型
2 分割プレート
3 支持基台
4 鋸待機用溝
5 鋸誘導用溝
6 ピン挿入用孔
7 補綴物
8 上端
9 石膏専用鋸
10 回転防止溝
13 凸条
14 ピン
100 嵌合装置
101 印象模型
102 分割プレート
102d 穴
102L ラインマーク
102M 位置マーク
102N 整理番号
102r 凹条
103 支持基台
103L ラインマーク
104 鋸待機用溝
105 鋸誘導用溝
106 ピン挿入用孔
114 ピン
122 凹部
130 上壁
131 側壁
132 前壁
133 後壁
134 隔壁
135 凹み部
136 凸部
140 嵌合台
142 嵌合凸部
144a,144b 保持用凸部
146 接着用凸部
148 嵌合挟持部
160 分離板
162 嵌合孔
190 咬合器
191 下顎用支承部
192 スプリング
193a,193b 支柱
194 支持孔
195 開放端部
196 上顎用支承部
200 基台
201 印象模型
202 分割プレート
203 支持基台
204 鋸待機用溝
204a 第1の鋸待機用溝
204b 第2の鋸待機用溝
204c 第3の鋸待機用溝
205 鋸誘導用溝
205a 第1の鋸誘導用溝
205b 第2の鋸誘導用溝
205c 第3の鋸誘導用溝
206 ピン挿入用孔
208 上端
210 回転防止溝
213 凸条
214 ピン
222 凹部
236 凸部
300 基台
301 印象模型
302 分割プレート
302A 馬蹄型分割プレート
302B 半月型分割プレート
303 支持基台
303A 歯茎部分
303B 口蓋部分
304 鋸待機用溝
304a 第1鋸待機用溝
304b 第2鋸待機用溝
304c 第3鋸待機用溝
305a 第1鋸誘導用溝
305c 第3鋸誘導用溝
305 鋸誘導用溝
306 ピン挿入用孔
314 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印象模型を載置される分割プレートと、前記分割プレートに連結される支持基台と、前記支持基台の下面に形成された凹み部に嵌合される嵌合凸部を有する嵌合台を備え、
前記分割プレートは、前記支持基台に接合する面に複数のピンを設けられ、
前記支持基台は、前記ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔を備え、このピン挿入用孔にピンを入れて、分割プレートを支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の下面に形成された凹み部に嵌合台の嵌合凸部を嵌合して、嵌合台を支持基台に連結するように構成された、歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項2】
樹脂製の支持基台と、前記支持基台の定位置に脱着できるように連結する複数のピンを下部に有する樹脂製の分割プレートと、前記分割プレートに載置される印象模型と、支持基台の下面の凹み部に密に嵌合される嵌合凸部を有する嵌合台を備え、
前記支持基台は、前記ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔を備え、このピン挿入用孔にピンを挿入して、分割プレートを支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の下面に形成された凹み部に嵌合台の嵌合凸部を嵌合して、嵌合台を支持基台に連結するように構成された、歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項3】
樹脂製の支持基台と、前記支持基台の定位置に脱着できるように連結する複数のピンを下部に有する分割プレートと、前記分割プレートに載置される印象模型と、支持基台の四隅に密に固定するための複数の嵌合挟持部を有する嵌合台を備え、
前記支持基台は、ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔を備え、このピン挿入用孔にピンを入れて、分割プレートを支持基台の定位置に連結し、且つ支持基台の隅部を嵌合台の嵌合挟持部で嵌合して嵌合台を支持基台に固定するように構成された、歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項4】
支持基台の下面より一回り大きな上面を有し、底面の両端において短端の両端に亘って延伸された保持用凸部と、下面に設けられた、接着用凸部とを備え、更に前記接着用凸部に嵌合させる柔軟性のある材質の分離板を備えている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項5】
前記嵌合台は、その上面に、支持基台の隅部を嵌合して支持基台を固定させるための嵌合挟持部を突設された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項6】
前記支持基台の上面と分割プレートの下面との何れかに凸部を設けられ、且つ前記支持基台の上面と分割プレートの下面との何れかに前記凸部に対応する凹部を付与された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項7】
前記支持基台は、前記分割プレートに接合する面に複数の鋸待機用溝が設けられた、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項8】
分割プレートは、前記支持基台に接合する面に複数の鋸誘導用溝が設けられ、
及び/又は、
前記支持基台は、前記分割プレートに接合する面に複数の鋸待機用溝が設けられ、
前記分割プレートの鋸誘導用溝と前記支持基台の鋸待機用溝とは対向するように構成された、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の歯科作業模型の嵌合装置。
【請求項9】
ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔にピンを挿入して、分割プレートを支持基台の定位置に配置する、第1工程と、
分割プレートに印象模型を接着剤で固定する、第2工程と、
支持基台の鋸待機用溝に鋸を沿わせ、印象模型の支台歯の両側をめがけて、分割プレートの鋸誘導用溝から印象模型の歯頸部付近の分割移行部まで切り上げる、第3工程と、
印象模型の支台歯の両側上部から第3工程の分割移行部まで切り下げて前記第3工程で切り上げられた切断部分と接続する、第4工程とを有する、歯科作業模型の製造方法。
【請求項10】
ピンを抜き差しできるように挿入するピン挿入用孔にピンを挿入して、分割プレートを支持基台の定位置に配置する、第1工程と、
分割プレートに印象模型を接着剤で固定する、第2工程と、
支持基台の鋸待機用溝に鋸を沿わせ、印象模型の支台歯の両側をめがけて、支持基台の鋸待機用溝から印象模型の歯頸部付近の分割移行部まで切り上げる、第3工程と、
印象模型の支台歯の両側上部から第3工程の分割移行部まで切り下げて前記第3工程で切り上げられた切断部分と接続する、第4工程とを有する、歯科作業模型の製造方法。
【請求項11】
分割プレートは、前記支持基台に接合する面に複数の鋸誘導用溝が設けられ、
及び/又は、
前記支持基台は、前記分割プレートに接合する面に複数の鋸待機用溝が設けられ、
前記分割プレートと支持基台とは密に嵌合されるように構成された、請求項9又は請求項10に記載の歯科作業模型の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図20F】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【図35D】
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【図35E】
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【図35F】
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【公開番号】特開2012−213668(P2012−213668A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180601(P2012−180601)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2011−519753(P2011−519753)の分割
【原出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(594130916)
【出願人】(504393828)有限会社ダイトク化研 (1)