説明

歯科材料用供給システム

【課題】異なる歯科材料を用いた異なる歯科治療に対して同じカプセル設計を使用することができるという点で柔軟性を提供する、改良された歯科材料用供給システムを提供する。
【解決手段】本発明は、カプセル本体部材とそのカプセル本体部材から材料を分注するカニューレとを有するカプセルと、延長要素と、を備える歯科材料用供給システムであって、カニューレと延長要素とは、互いに使用者が作動可能で離脱可能に係合するように適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歯科材料の処理(貯蔵、混合および分注等)のための歯科材料用供給システムに関する。より詳細には、本発明は、複数、すなわち2つ以上の成分からなることが好ましい材料を貯蔵し、混合し、分注するカプセルを備えた供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業者によって別々のチャンバに成分が充填されている混合カプセルは、2つ以上の成分の混合物を生成するために使用される。それら成分は、使用者により、たとえばチャンバを分離する壁を壊すことによって互いに連通され、その後、たとえば振とう機ユニットでカプセルを振とうさせることによって混合される。
【0003】
歯科分野において、粉状成分および液体成分から混合されることが多い歯科材料を製作するための混合カプセルが知られている。完全に混合された物質は、その後、混合カプセルに一体的に形成された分注口を通して、作業領域上に、たとえば虫歯内に直接分注される。
【0004】
(特許文献1)は、歯根の溝をセメントで充填する装置について述べている。この装置は、変位可能なピストンを備えた円柱状チャンバと、チャンバから材料を分注する枢動可能な管状要素と、を備える。装置の製造中、管状要素の先端に可撓性カニューレが永久的に取り付けられる。このため、この装置は、カニューレがなければ使用することができず、管状要素のみでは使用することができない。
【0005】
(特許文献2)は、歯科材料を分注する容器について述べている。この装置は、変位可能なピストンを備えた円柱状チャンバと、チャンバから材料を分注する枢動可能な管状要素と、を備える。管状要素には、カニューレを離脱可能に接続することができる。
【0006】
他の従来技術は、先端を小さい直径から大きい直径まで適合させるように切り離すことができる円錐形状の分注先端を備えた容器に関する。
【0007】
(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)および(特許文献6)をさらに参照されたい。
【0008】
【特許文献1】独国実用新案第90 03 983U号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第199 61 485A号明細書
【特許文献3】米国特許公開第6 135 771号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第197 00 480A号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第19 39 315A号明細書
【特許文献6】米国特許第2002/098462号明細書
【特許文献7】米国特許公開第3 907 106号明細書
【特許文献8】欧州特許第0 157 121号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
市場には、種々の適用に対して使用することができる多くのセメントがあるため、それらの大部分をカバーする供給システムが入手可能である。しかしながら、ポストのセメント結合等、特別な治療のために、特別な別個の供給システムが提供される。異なる治療に対して個々の供給システムを提供することにより、製造コストが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、異なる歯科材料を用いた異なる歯科治療に対して同じカプセル設計を使用することができるという点で柔軟性を提供する、改良された歯科材料用供給システムを提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、歯科材料用供給システムが提供される。この歯科材料供給システムは、カプセル本体部材とカプセル本体部材から材料を分注するカニューレとを有するカプセルと、延長要素と、を備え、カニューレと延長要素とは、互いに使用者が作動可能で離脱可能に係合するように適合される。
【0012】
本発明による「使用者が作動可能」という用語は、供給システムの延長要素が、カプセルのカニューレに事前に組み立てられていないが、供給システムを使用する直前に使用者によって作動可能である、すなわちカニューレに接続可能であることを意味する。
【0013】
本発明による「離脱不能な係合」という用語は、供給システムを使用する直前に使用者によって一旦カニューレに接続されるかまたは係合された延長要素が、カニューレに永久的に取り付けられ、カニューレから二度と取り外すことができないかまたは強度な力を使用しなければ取り外すことができないことを意味する。
【0014】
カニューレのための延長要素は、管状後端部と先端部とを備えることが好ましい。管状後端部は第1平均内径を有し、先端部は第2平均内径を有し、第2平均内径は第1平均内径より小さい。「平均径」という用語は、一定の直径を包含するが、それぞれの部分の長さに沿って低減する(または増大する)直径を有する円錐構成もまた包含する。先端部は、延長要素の先端または前端が延長要素の最小部分であるように、その前端に向かってテーパ状であることが好ましい。
【0015】
延長要素およびカニューレが互いに接続された時に締まりばめを提供するために、延長要素の内側形状はカニューレの外側形状に対応する。
【0016】
本発明の第1実施形態によれば、カニューレは第1保持要素を備え、延長要素は第2保持要素を備える。第1保持要素および第2保持要素は、互いに係合された時、離脱不能な連結を形成する。第1保持要素および第2保持要素は、延長要素をカニューレにスナップ留めすることができるように形成されることが好ましい。
【0017】
第1保持要素はカニューレの前端領域に位置し、第2保持要素は延長要素の後端領域に位置することが好ましい。本発明の第1実施形態によれば、第1保持要素はリムとして形成される。このリムは、少なくとも部分的にカニューレを包囲し、たとえば円錐形状であって、円錐の直径がリムの後端に向かって、すなわちカニューレの後端に向かって増大する。このため、リムの後端において、外径が円錐の最大径からカニューレの外径まで段状になる段が存在する。別法として、カニューレの円周に、1つまたは複数の保持歯を配置してもよい。
【0018】
2つの保持要素の間に連結係合を提供するために、第2保持要素を延長要素の内面における嵌合凹部として形成する。たとえば、嵌合凹部を、カニューレのリムとカニューレ自体との間の段に実質的に対応する段状構成も提供する環状溝の形態で提供する。延長要素の内側形状は以下の通りであることが好ましい。まず、延長要素の後端において、延長要素の内面は円錐台の形状を有する。すなわち、延長要素の内径は、後端における縁からその後端から離れる方向に、すなわち先端に向かって低減する。円錐台部分の後に、嵌合凹部が続く。嵌合凹部における延長要素の内径は、円錐台の最大径に対応することが好ましい。すなわち、直径は、円錐台に沿って低減し、その後最初の直径に戻り、それにより、円錐において直径が低減することによって、延長要素の後端部の最初の内径のくびれが形成される。嵌合凹部の後端縁における延長要素の壁厚さ、すなわち円錐台がその最小径を有する領域における壁厚さは、0.5mmと1.0mmとの間であることが好ましい。嵌合凹部の次に、第2の、好ましくは円錐形状である部分が存在し、その後に先端部が続く。第2部分は、リムを超えて延在するカニューレの先端部に適応する。第2部分の平均径は、先端部の平均内径より大きいことが好ましい。
【0019】
好ましい実施形態によれば、延長要素は、管状後端部と先端部との間の変り目に位置する放射状に外側に延在する円周上フランジを備える。かかるフランジは、使用者が延長要素を把持し、それを適当にカニューレに接続するのに役立つ。フランジは少なくとも1つの平坦領域を備えることが好ましい。言い換えれば、円周上フランジは完全に円形ではなく、縁が直線状かまたは平坦である少なくとも1つの領域を備える。フランジにおけるかかる平坦部により、延長要素が歯科医のトレーから転げ落ちることが防止される。別法として、フランジに対して他の非円形形状を使用してもよい。
【0020】
さらなる任意の特徴として、延長要素は、フランジの近接部分から先端部の前端に向かって延在することが好ましい、夫々先端部の外面に放射状に配置された1つまたは複数の翼またはウェブを備える。かかる翼により、延長要素を、カニューレ上に押圧しながら回転させることができ、それにより延長要素をカニューレに接続するための力が低減する。
【0021】
延長要素の後端部は、後端部の内面からその外面まで延在する少なくとも1つの開口を備えることもまた好ましい。開口の軸は、延長要素の長手方向軸に対して垂直であることが好ましい。
【0022】
本発明の第2実施形態によれば、管状後端部は弾性材料から作製される。好ましくは管状部分の弾性は、それに対して引っ張り力を加えることにより、それが伸張および収縮し、それによって管状部分の内面とカニューレの外面との間の摩擦抵抗が増大する(カニューレが管状部分に挿入された場合)、といったものである。この実施形態では、本発明の第1実施形態に関連して上述したものような保持要素を提供してもよい。
【0023】
第1または第2実施形態の弾性の管状後端部は、管状後端部の内面からその外面まで延在する少なくとも1つの開口を備えることが好ましい。開口が、延長要素の長手方向軸に沿って延在する穴または長手方向スロットの形態で提供されることがさらに好ましい。この開口により、歯科材料は、供給システムから歯科材料を塗布する間に管状部分の内面とカニューレの外面との間を流れないことが確実になる。延長要素の管状後端部とカニューレの外面との間の摩擦密封が、本質的に歯科材料がカニューレと管状部分との間を流れないようにするために十分でない場合、歯科材料は、摩擦密封に悪影響を及ぼすようにカニューレと管状部分との間に残るのではなく、開口から漏出することができる。これは、カプセルから歯科材料を供給する間に延長要素がカニューレから抜けること防止するのに役立つ。
【0024】
本発明の第2態様によれば、歯科材料の供給用キットが提供される。本発明によるキットは、少なくとも1つのカプセルを備え、このカプセルは、カプセルから材料を分注するカニューレを有する。このキットは、さらに、少なくとも1つの別個の延長要素を備え、カニューレと延長要素とは、互いに使用者が作動可能で離脱可能に係合するように適合される。任意に、キットはまた口腔内に埋込み可能なポスト、たとえばファイバーポストも備える。キットは、複数のカプセルと複数の延長要素と、任意に複数のポストとからなることが好ましく、ポストは、タイプ、サイズおよび材料等が異なってもよい。
【0025】
本発明による供給システムに対する好ましい適用は、口腔内に埋め込み可能なポストのセメント結合である。ポストのセメント結合に対し、本発明の供給システムは、(前治療された)歯根溝内に、溝の底部から頂部までの充填を可能にするように配置されるように適合された特別な先端を有し、それにより溝またはセメントに空気が閉じ込められることなく溝を完全に充填することができるため、有利である。したがって、本発明の延長要素は、薄く細長い前端を有することが好ましく、それはその後端から前端までテーパ状であることが好ましい。テーパの角度は、ポストのテーパに対応することが好ましい。本発明の供給システムを使用して粘着性樹脂セメントを塗布することが好ましい。
【0026】
本発明の第3態様は、本発明の供給システムを用いる歯科材料の処理(すなわち、混合および供給)に関する。かかる方法は、第1歯科材料と第2歯科材料とが別々の区画室内に互いに別々に格納されるカプセルと、カニューレと、延長要素と、を有する供給システムを提供するステップと、第1歯科材料と第2歯科材料とを互いに接触させるようにカプセルを作動して、上記供給システム内で上記第1歯科材料および第2歯科材料を混合して混合物を提供するステップと、上記延長要素を上記カニューレに離脱不能に係合させるステップと、上記カニューレおよび上記延長要素を通して上記混合物を、たとえば用意された歯根溝内に分注するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明による供給システムおよびキットにより、従来技術による供給システムより製造コストが低減する。それは、歯科医が、さまざまな歯科材料および歯科治療に対し単一のカプセル設計を使用することができ、歯科治療に必要な場合は延長要素を単に使用することができるためである。たとえば、供給システムを使用して、歯科ポストを埋め込む前に歯根溝にセメントを塗布する場合、そのカニューレを備えたカプセルを、延長要素とともに歯科医に引き渡すことができる。延長要素は、歯科医によってカニューレに容易に接続可能であり、「使用者が作動可能で離脱不能な係合」を確立する。治療または歯科材料に長い先端が不要でない場合、延長要素なしに同じカプセル設計を使用することができる。かかる柔軟な供給システムは、歯科材料製造業者の観点から非常に都合がよい。それは、さまざまな適用に対して単一のカプセル設計を製作することにより、カプセルの製造に対し、カプセルを充填することに対し、かつカプセルの包装および歯科医への配送に対しコストを低減することができるためである。
【0028】
本発明を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1に示すカプセル1は、第1歯科材料成分を収容するチャンバ10を有するカプセル本体部材11と、チャンバ内に配置され、チャンバ10内においてカプセル本体の長手方向軸の方向を前方に移動するように適合されたピストン21と、休止位置Iと作動位置IIとの間で旋回するように適合された枢支カニューレ14と、取付具を提供するがカプセル本体部材における枢支カニューレの旋回を可能にするキャップ13と、第2歯科材料成分を収容するカプセル本体の外壁に配置されたフォイルバッグ23と、上記フォイルバッグ23を保持するクリップ22と、を備える。
【0030】
カプセル1に関連する詳細、クリップおよびフォイルバッグの構造および取付けについては、(特許文献7)および(特許文献8)に記載されており、それらの開示内容はすべて引用により本明細書に包含される。
【0031】
図1に示すカプセル1は、製造業者から使用者に引き渡される時、歯科用組成物の2つの成分が充填される。それら成分のうち一方は、通常チャンバ10に収容される粉体であり、他方は、通常フォイルバッグ23に収容される液体である。カニューレ14は、カニューレ14とチャンバ10との間に流体連通が提供されない休止位置Iにあることになる。
【0032】
成分を混合するために、まず、フォイルバッグ23を破り穴24を通して液体材料を混合区画室10に移すために、クリップ22を、カプセル本体の長手方向軸に対して垂直な方向に押圧する。そして、カプセル1を振とう機内に配置し、所望の期間振とうさせる。
【0033】
カプセル1を振とう機から取り除く時、歯科組成物(たとえばペースト)は使用する用意ができているはずである。そこで、カニューレ14を作動位置IIに枢動させてもよく、それによりカニューレ14とチャンバ10との間が流体連通し、通常は当業者には容易に分かるもののような分注器具(図示せず)を使用して、ピストン21を前方に移動させることにより、組成物がカニューレ14を通してチャンバ10から移動することができる。
【0034】
別法として、粉体成分/液体成分用の上述したカプセルの代りに、本発明において、歯科材料成分(たとえば液体成分および/またはペースト状成分)を貯蔵する1つのみまたは2つ以上の区画室を有するカプセル(または注射器)を使用してもよい。
【0035】
図2は、本発明の供給システムのカプセル1の枢動可能なカニューレ14をより詳細に示す。図2に示すように、カニューレ14は湾曲していてもよい。図2に示す実施形態によれば、カニューレ14は、カニューレ14の前端領域32に位置する少なくとも1つの円周方向円錐リム31を備える。別法として、円錐リム31の代りに、カニューレの円周上に1つまたは複数の保持歯を配置してもよい。
【0036】
図3a〜図3c、図4、図5および図6に示す延長要素40、50および60は、図1および図2に示すカニューレ14と離脱不可能に係合することができる。
【0037】
図3a〜図3cに示す延長要素40は、管状後端部41と先端部42とを備える。管状後端部41と先端部42との間の変り目部分にフランジ46が設けられる。図3a〜図3cから明確に分かるように、管状後端部41の平均外径は、先端部42の平均外径より大きい。さらに、先端部42は、その前端43に向かってテーパ状である。
【0038】
図3cに、延長要素40の内部構成を示す。後端部41は、後端に第1内部円錐状部分を備える。すなわち、延長要素40の内径は、後端から、その後端から離れる方向に、すなわち先端に向かって低減する。円錐台部分の後に、それぞれ、嵌合凹部または保持溝44が続く。保持溝44における延長要素40の内径は、第1円錐台部分の最大径に対応する。すなわち、直径は、円錐台に沿って低減し、その後最初の直径に戻ることにより、円錐における直径の低減が、延長要素40の後端部41の最初の内径のくびれを形成する。保持溝44の次に、第2の好ましくは円錐形状の部分が存在し、その後に先端部分42が続く。第2部分は、リム31(図2参照)を超えて延在するカニューレ14のそれぞれ先端部または前端領域32に適応する。第2部分の平均径45は、先端部の平均内径45’より大きい。内径45は、延長要素40がカニューレ14に接続される時に締まりばめを提供するように、カニューレ14の前端32の外形に対応することが好ましい。任意に、内径45は、延長要素40およびカニューレ14が互いに嵌合される時にそれらの間がより密封されるように、カニューレ14の前端32の外形に実質的に対応する直径からわずかに小さい直径まで、先端部分に向かう方向にテーパ状であってもよい。
【0039】
図3cはまた、保持溝44と、管状後端部41の第1円錐部分との間の直径の段状部分も示す。こうした構成では、延長要素40をカニューレ14のリム31に離脱不能にスナップ留めすることができる。保持溝44および環状リム31は、延長要素40がカニューレ14に接続される時に確実な連結を形成することができる。
【0040】
図6に、延長要素40とカニューレ14との間の使用者作動式の離脱不能係合をより明確に示す。図6の上方の図において、2つの矢印は、延長要素40およびカニューレ14を、管状後端部41がカニューレ14にスナップ留めされる(図6における下方の図を参照)まで、いかに互いに接触させることができるかを示す。保持溝44の後端縁を、リム31の縁の後方にスナップ留めする。保持溝44の後端縁における延長要素の壁厚さ、すなわち、第1円錐形状部分がその最小径である領域における壁厚さを、図6では「a」と特定する。この壁厚さ「a」は、0.5mmと1.0mmとの間であることが好ましい。管状後端部41をリム31に対して容易に押すことができるようにするために、この壁厚さ「a」は、伸張を提供するために十分弾性を残すようなものである。一方、ボアの周囲の壁厚さは、離脱不能な嵌合を提供するために十分な剛性を維持するように設計される。延長要素40をカニューレ40にスナップ留めするために必要な力は、100Nを下回ることが好ましい。スナップ留め力の好ましい範囲は、80Nを下回りかつ40Nを上回る。
【0041】
カニューレ14に延長要素40をスナップ留めすることにより、可聴「カチッ」音が歯科医に対して、延長要素40がカニューレ14に適当に接続される時に関するフィードバックを提供することが好ましい。
【0042】
カニューレ14はポリカーボネート等の剛性材料から作製され、延長要素40はポリプロピレンまたはポリエチレンのようなより弾性の材料から作製されることが好ましい。
【0043】
図4に、延長要素の変更された設計を示す。図3a〜図3cに示す延長要素40のように、延長要素50は、後端部51と、前端53を有する先端部52と、フランジ56と、を備える。しかしながら、図4に示すように、フランジ56は平坦部58を備える。
【0044】
図5は、延長要素のさらに変更された設計を示す。延長要素60は、後端部61と、前端63を有する先端部62と、フランジ66と、を備える。フランジ66は、2つの反対側の平坦部68を備える。さらに、2つの実質的に反対側の翼またはウェブ69がそれぞれ設けられる。翼またはウェブ69は、上記先端部62から放射状に延在し、フランジ66の近接部分から先端部62の前端63に向かって延長要素60の長手方向軸に沿って延在する。図5に示すように、翼またはウェブ69が先端部62の全長に沿って延在しないことが好ましい。
【0045】
図7は、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態によれば、延長要素70は、弾性である管状後端部71を備える。この実施形態では、先端部72は、管状後端部71より剛性な材料から作製されることが好ましい。かかる延長要素70は、ポリプロピレンのようなより剛性な材料を使用して先端部72を成形する第1ステップと、熱可塑性エラストマのような材料(たとえば、TPU、SEBS、シリコーン、ゴム等)を使用して、後端部71を先端部の表面の一部に直接成形する第2ステップと、を含む2ショット射出成形工程によって製造されることが好ましい。
【0046】
本発明の第2実施形態による延長要素70は、第1実施形態のような保持溝を備えないことが好ましい。カニューレ14における延長要素の適当な離脱不能固定は、摩擦によって提供される。延長要素を、その弾性管状後端部71をカニューレ14上に置いて配置すると、再び引き離すことは困難である。それは、延長要素70を引くことにより、弾性部分が圧縮し、それにより、カニューレの外面と弾性環状後端部71の内面との間の摩擦抵抗が増大するためである。この実施形態を、摩擦のみによって固定が提供されるため、保持リム31のないカニューレで使用してもよい。
【0047】
任意に、本発明の第2実施形態の延長要素70は、保持溝を備えてもよい。
【0048】
さらに、図7にも示すように、本発明の第2実施形態による延長要素70は、開口77を備える。これは、弾性管状端部の内面とカニューレ14の外面との間をたどる任意の歯科材料が開口77を通して漏出することができるようにすることにより、延長要素70のカニューレ14上での摩擦密封が損なわれるのを防止する。
【0049】
図8は、延長要素40をカプセル1のカニューレ14にロックする直前の図1のカプセル1とカニューレ14と図2および図3の延長要素40とを示す。図9に、係合状態を示す。図9は、カニューレ14のリム31が延長要素40の溝44内にいかにスナップ留めされたかを示す。この時、チャンバ10に収容される混合歯科材料を、ピストン21を使用してカニューレ14および延長要素40を通して分注することができる。図8および図9を比較することにより、図9では、フォイルバッグ23がこの時穴24を通して空にされていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による供給システムのカニューレを有する例示的なカプセルを示す。
【図2】本発明の第1実施形態による供給システムのカプセルのカニューレの斜視図を示す。
【図3a】図1の実施形態による供給システムの延長要素の斜視図を示す。
【図3b】図3aの延長要素の側面図を示す。
【図3c】図3aの延長要素の線A−Aに沿った断面図を示す。
【図4】図3aに示すような変更された延長要素の斜視図である。
【図5】図3aに示すさらに変更された延長要素を示す。
【図6】図2〜図5の実施形態の供給システムの使用者による作動を概略的に示す。
【図7】本発明の第2実施形態による供給システムの延長要素を示す。
【図8】互いに係合する前の図1のカプセルと図3aの延長要素とを示す。
【図9】図1のカプセルにロックされた図3aの延長要素を示す。
【符号の説明】
【0051】
1 カプセル
10 チャンバ
11 カプセル本体部材
13 キャップ
14 カニューレ
21 ピストン
22 クリップ
23 フォイルバッグ
24 穴
31 リム
32 前端領域、前端
40 延長要素
41 管状後端部、後端部
42 先端部
43 前端
44 嵌合凹部または保持溝
45 第2部分の平均径、内径
45’先端部の平均内径
46 フランジ
50 延長要素
51 後端部
52 先端部
53 前端
56 フランジ
58 平坦部
60 延長要素
61 後端部
62 先端部
63 前端
66 フランジ
68 平坦部
69 翼またはウェブ
70 延長要素
71 管状後端部
72 先端部
77 開口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル本体部材と該カプセル本体部材から材料を分注するためのカニューレとを有するカプセルと、
延長要素と、
を備える歯科材料用供給システムであって、該カニューレと該延長要素とが、互いに使用者が作動可能で離脱不能に係合するように適合されることを特徴とする歯科材料用供給システム。
【請求項2】
前記延長要素が、第1平均内径を有する管状後端部と、第2平均内径を有する先端部と、を備え、該第2平均内径が該第1平均内径より小さい、請求項1に記載の歯科材料用供給システム。
【請求項3】
前記先端部が、その前端に向かってテーパ状である、請求項2に記載の歯科材料用供給システム。
【請求項4】
前記延長要素の前記管状後端部が、弾性材料から作製される、請求項2または3に記載の歯科材料用供給システム。
【請求項5】
前記カプセルが、第1歯科成分のための第1チャンバと、第2歯科成分のための第2チャンバと、を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科材料用供給システム。
【請求項6】
前記カプセルが、前記第1チャンバにおいて前記第1歯科材料および前記第2歯科材料の混合を提供するように作動可能である、請求項5に記載の歯科材料用供給システム。
【請求項7】
ガラスイオノマーセメント、樹脂改質ガラスイオノマーセメントまたは粘着性樹脂改質ガラスイオノマーセメントを含む、請求項6に記載の歯科材料用供給システム。


【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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