説明

歯科用インプラントを収容するためのパッケージ

【課題】フィクスチャーの表面加工された部位が、歯槽骨内に埋設される前に他の部材と接触することなくフィクスチャーを取り扱うことのできるパッケージを提供する。
【解決手段】歯槽骨内に埋入されるフィクスチャー30と、ドライバーホルダーに装着されるためのヘッド部とネック部47を有して、ネック部47において、周囲より縮径された幅狭部48を有するドライバーアタッチメント40と、が組み合わされた歯科用インプラント3を収容するためのパッケージ1であって、パッケージは、歯科用インプラントを着脱自在に把持するホルダー10と、ホルダーを保持するケース70と、キャップ60と、を備え、ホルダーは、弾性変形可能な材料からなり、U字状に切り欠かれた挟持部16を有して、挟持部がドライバーアタッチメントの幅狭部48と弾性的に係合することによって歯科用インプラントを挟持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用インプラントを収容するためのパッケージに関し、詳細には、フィクスチャーとアタッチメントとが一体に組み合わされた歯科用インプラントを収容するためのパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
歯の欠損した部位の歯槽骨内にインプラントを植設し、インプラントの末端側に義歯を装着して天然歯の代用することは、臨床的に既に行われている。
【0003】
歯科用インプラントは、一般に、無菌環境下でパッケージに収容・包装されたものが歯科医院等に搬送されて使用される。歯科用インプラントを収容・搬送するためのパッケージは、様々な形態で提案・提供されている。
【0004】
歯科用インプラントを収容するためのパッケージが、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−243127号公報
【0006】
特許文献1に開示されたインプラント用パッケージは、対角線状に半割された平面六面体の形状をしたケース内にインプラントホルダーが配置され、インプラントホルダーがインプラントを弾性的に把持するための切欠付きスリットを備え、切欠付きスリットで把持されたインプラントは、開口部を介して装着又は離脱するように構成されている。すなわち、スリットが弾性的な材料で製造されているか、弾性的な材料からなるリップにより覆われていて、切欠付きスリットが弾性的に拡開することによって、円筒状のインプラントを把持したり把持解除したりすることができるように構成されている。
【0007】
ところで、インプラントのネジ山には、一般に、骨内維持力を強固にするために、サンドブラスト等による粗面加工、又は、リン酸カルシウム等のコーティング加工等の表面加工が施されている。これらの表面加工されたネジ山が、歯槽骨内に埋設される前に他の部材と直接的に接触して擦れてしまうと、インプラントに施された表面加工が変質してしまって、当該インプラントは本来の骨内維持力が得られない。
【0008】
特許文献1のインプラント用パッケージでは、インプラントがスリットに装着されたりスリットから離脱されたりする際には、インプラントの表面加工されたネジ山がスリットの側壁面に擦れる構成となっている。その結果、ネジ山の表面加工が変質して、当該インプラントは強固な骨内維持力を得ることができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献1のインプラント用パッケージでは、開口部側から見て、切欠付きのスリットを先細形状とすることによって、大径のインプラントを開口部側の切欠部分に、小径のインプラントを非開口部側の切欠部分にそれぞれ収容できるように構成されている。多くの異なった直径のインプラントを収容するためには、多くの切欠部分を必要とするので、開口部から奥行き方向に延在する長尺サイズのスリットを必要として、インプラント用パッケージが必然的に大型化してしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、フィクスチャーの表面加工された部位が、歯槽骨内に埋設される前に他の部材と接触することなくフィクスチャーを取り扱うことのできる、歯科用インプラントを収容するためのパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段および作用・効果】
【0011】
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、以下のパッケージが提供される。
【0012】
すなわち、本発明に係る歯科用インプラントを収容するためのパッケージは、
外ネジを有して、歯槽骨内に埋入されるフィクスチャーと、
その一端においてフィクスチャーに嵌合するための嵌合部を有するとともに、その他端においてドライバーホルダーに装着されるためのヘッド部を有して、ヘッド部と嵌合部との間に位置するネック部において、周囲より縮径された幅狭部を有するドライバーアタッチメントと、が一体に組み合わされた歯科用インプラントを収容するためのパッケージであって、
前記パッケージは、
開口部を通して前記歯科用インプラントを着脱自在に把持するホルダーと、
前記ホルダーを保持するケースと、
前記ケースを蓋するキャップと、を備え、
前記ホルダーは、弾性変形可能な材料からなり、U字状に切り欠かれた挟持部を有して、該挟持部がドライバーアタッチメントの前記幅狭部と弾性的に係合することによって歯科用インプラントを挟持していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る歯科用インプラントを収容するためのパッケージは、いわばフィクスチャーとドライバーアタッチメントとが予め一体に組み合わされた歯科用インプラントを収容するためのパッケージに関するものである。
【0014】
上記構成によれば、ドライバーアタッチメントに設けられた周囲より縮径された幅狭部が、ホルダーに設けられたU字状に切り欠かれた挟持部に対して弾性的に係合することによって、歯科用インプラントを挟持するものである。ホルダーと係合する部位が、ドライバーアタッチメントであるために、歯科用インプラントが挟持部に装着されたり挟持部から離脱されたりする際には、歯槽骨内に埋入されるフィクスチャーの表面加工されたネジ山が挟持部の側壁面に擦れない構成となっている。したがって、フィクスチャーの表面加工されたネジ山が、歯槽骨内に埋設される前に他の部材と接触することなくフィクスチャーを取り扱うことができる。
【0015】
また、様々なサイズのフィクスチャーが存在するが、フィクスチャーと組み合わされるドライバーアタッチメントの幅狭部を共通化することができるので、どのようなサイズのフィクスチャーにも対応することができる。
【0016】
前記挟持部における係合手段は、例えば、挟持部の側壁面に凸設された係止ツメである。
【0017】
上記構成によれば、弾性変形可能な材料からなるホルダーの挟持部に対してドライバーアタッチメントの幅狭部が押し込まれたときに、挟持部が僅かに拡開して幅狭部を受け入れる。僅かに拡開した挟持部が元の開口サイズに戻るが、係止ツメが飛び出し防止ストッパーの働きをするので、歯科用インプラントが飛び出すこと無く安定的に挟持される。
【0018】
また、前記挟持部における係合手段は、挟持部の側壁面に凹設された係止凹部である。
【0019】
上記構成によれば、弾性変形可能な材料からなるホルダーの挟持部に対してドライバーアタッチメントの幅狭部が押し込まれたときに、挟持部が僅かに拡開して幅狭部を係止凹部で受け入れる。僅かに拡開した挟持部が元の開口サイズに戻るが、係止凹部が飛び出し防止ストッパーの働きをするので、歯科用インプラントが飛び出すこと無く安定的に挟持される。
【0020】
前記キャップの内部の中央に設けられてケース側に延在する支持部がドライバーアタッチメントのヘッド部の上面に当接することによって、歯科用インプラント付きホルダーホルダーがパッケージ内で係止されている。
【0021】
上記構成によれば、歯科用インプラント付きホルダーホルダーが、パッケージ内で安定的に保持されているので、歯科用インプラントがホルダーから離脱すること無く、運搬や保管を行うことができる。
【0022】
フィクスチャーとドライバーアタッチメントとは、様々な形態で一体に組み合わせ可能であるが、連通穴から挿入された連結スクリューによって連結されている。
【0023】
ホルダーは、大略円筒形状であってもよいが、載置台等に一時的に載置したときの取扱い易さ、すなわち、ホルダーの転動防止の観点から、大略正多角体であることが好適である。
【0024】
ドライバーホルダーとともに歯科用インプラントを開口部側から引き出すことによって、係合された歯科用インプラントをホルダーの挟持部から簡単に離脱させることができるが、ホルダーの開口部の反対側に位置する側面中央の両側に配設された一対の押圧マーカー部が押圧されることによって、ホルダーの側面が弾性変形して挟持部が僅かに拡開することによって、挟持部で挟持されていた歯科用インプラントがさらに簡単に離脱可能となる。
【0025】
あるいは、ホルダーの上端及び下端の同じ側にU字状切欠がそれぞれ設けられ、上端側のU字状切欠が挟持部として用いられるとともに、下端側の切欠近傍の位置に押圧マーカー部が配設されている構成とすることができる。このような構成において、前記押圧マーカー部が押圧されることによって、下端側の切欠近傍の側面ボディが僅かに押し潰されるが、その押し潰しの反動で、ホルダーの側面が弾性変形して挟持部が僅かに拡開することによって、挟持部で挟持されていた歯科用インプラントが離脱可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係る歯科用インプラント3を収容するためのパッケージ1の一実施形態を、図1乃至4を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る歯科用インプラント3を収容するためのパッケージ1を一部破断した側面図である。図2は、図1に示したホルダー10の上面図である。図3は、図1に示した歯科用インプラント3の斜視図である。図4は、図1の歯科用インプラント3をホルダー10に装着した状態を示す斜視図である。図5は、本発明の他の実施形態に係るパッケージ1のホルダー10を示す斜視図である。
【0028】
まず、図2を参照しながら歯科用インプラント3について説明する。
【0029】
歯科用インプラント3は、フィクスチャー30とドライバーアタッチメント40とが、不図示の連結スクリューによって一体に組み合わされたものである。
【0030】
フィクスチャー30は、わずかに先細の大略円筒形状をしていて、外ネジ34と鏡面部32とを備えている。下方外周面に形成された外ネジ34は、先端側に行くにしたがって、そのネジ山が高くなっている。また、先端側のネジ山が部分的に切り欠かれており、埋入後に骨成分が切欠部に入り込むことによって埋入後のネジの回動を阻止する働きを有している。このような外ネジ34によって、フィクスチャー30は、歯槽骨内に強固に埋入固定される。骨内に埋入される外ネジ34の部分には、機械的手段及び/又は化学的手段によって粗面加工が施されている。粗面加工の機械的手段としてはサンドブラスト等があり、粗面加工の化学的手段としては、酸エッチング等がある。また、骨との親和性を高めるために、リン酸カルシウムのコーティング等がある。また、外ネジ34の上方設けられた鏡面部32は、歯肉と接触する部位であるので、鏡面加工が施されている。
【0031】
フィクスチャー30の内部には中空有底穴が形成されており、その先端部分の内壁面には内ネジが形成されている。この内ネジは、連結スクリューの外ネジと螺合する。中空有底穴の開口部分すなわち鏡面部32の上面部分には、ドライバーアタッチメント40の六角状の接続端(嵌合部)を回動不可に受け入れる六角凹状の受け部が設けられている。
【0032】
ドライバーアタッチメント40は、上端部に配設されたヘッド部42と、下端部に配設された接続端(嵌合部)と、それらの間に位置するネック部47と、を有する。ドライバーアタッチメント40の内部には、貫通穴が形成されていて、貫通穴には連結スクリューが挿通される。
【0033】
ヘッド部42は、ドライバーホルダーに嵌合装着されるために、例えば大略四角柱形状に加工されていて、そのコーナー部分には面取り加工や曲面加工が施されている。接続端(嵌合部)は、六角状に加工されていて、フィクスチャー30の中空有底穴に形成された六角凹状の受け部と嵌合する。大略円柱状のネック部47は、上縁46と下縁49との間に、上縁46及び下縁49より縮径された円環状の幅狭部48を有している。ドライバーアタッチメント40の幅狭部48の外径サイズを一義的に規定しておけば、様々なサイズのフィクスチャーに対しても、当該ドライバーアタッチメント40を装着するだけで係合部分の共用化を図ることができる。
【0034】
パッケージ1は、全体として円筒形状をしており、大きくは、ケース70とキャップ60とホルダー10という三つの部材から構成されている。いずれの部材70,60,10も、γ線による滅菌処理が可能で透明な樹脂材料からなり、外力が加えられると弾性的に変形することができる材料及び肉厚から構成されている。
【0035】
例えば高密度ポリエチレンからなるケース70は、ホルダー10を収容するための容器であり、上面側が開口した円筒形状をしている。ケース70の底面及び内壁面には、8個の支持リブ76が均等に立設されている。支持リブ76は、軸心に向かって下向きに傾斜した支持面を有している。傾斜した支持面は、ホルダー10をケース70に収容したときに、ホルダー10をケース70の中央に自動的に着座させることに使用される。
【0036】
また、例えば高密度ポリエチレンからなるキャップ60は、ケース70と嵌合してケース70を蓋するためのものであり、下面側が開口した円筒形状をしている。キャップの下端部には、複数のリング状突起を外周面に備えた係合下端部62が設けられている。この係合下端部62が、ケース70の上面側の内壁面と摩擦係合することで、キャップ60がケース70に嵌入される。キャップ60の上面の中央には、下方すなわちケース70に向かって延在する支持バー64が設けられている。歯科用インプラント3の装着されたホルダー10が支持リブ76で支持されるとともに、支持バー64がホルダー10に装着されたドライバーアタッチメント40のヘッド部42の上面に当接することによって、歯科用インプラント3の組み込まれたホルダー10がパッケージ1内で係止される。
【0037】
弾性変形可能な樹脂材料、例えばポリプロピレンからなるホルダー10は、歯科用インプラント3を着脱自在に把持するための把持具であり、側面ボディ12が大略正十角柱の形状をしている。ホルダー10の上面には、U字状に切り欠かれた挟持部16が設けられている。また、ホルダー10の側面ボディ12には、部分的に切り欠かれることによって開口した開口部18が設けられている。
【0038】
ホルダー10の挟持部16は、ドライバーアタッチメント40のネック部47の上縁46を受け入れるように寸法構成されたガイド上溝と、ネック部47の幅狭部46を受け入れるように寸法構成された切欠部と、ネック部47の下縁49を受け入れるように寸法構成されたガイド空間と、を備えている。切欠部の開口サイズは、ネック部47の幅狭部46のサイズと実質的に等しく寸法構成されている。挟持部16の切欠部の側壁面には、半円状に突出した係止ツメ20が設けられている。この係止ツメ20は、弾性変形可能な樹脂材料からなるホルダー10の挟持部16に対してドライバーアタッチメント40の幅狭部46が押し込まれたときに、挟持部16が僅かに拡開して幅狭部46を受け入れる。そして、僅かに拡開した挟持部16が元の開口サイズに戻るが、係止ツメ20が飛び出し防止ストッパーの働きをするので、歯科用インプラント3が不用意に飛び出すこと無く安定的に挟持される。
【0039】
上記係止ツメ20の代替として、挟持部16の切欠部の側壁面に、係止凹部を設けることもできる。挟持部16の切欠部の開口サイズをネック部47の幅狭部46のサイズよりわずかに小さめに寸法構成しておき、係止凹部のサイズをネック部47の幅狭部46のサイズと実質的に等しく寸法構成されている。このような構成によって、弾性変形可能な樹脂材料からなるホルダー10の挟持部16に対してドライバーアタッチメント40の幅狭部46が押し込まれたときに、挟持部16が僅かに拡開して幅狭部46を係止凹部で受け入れる。僅かに拡開した挟持部16の切欠部が元の開口サイズに戻るが、狭小の切欠部が飛び出し防止ストッパーの働きをするので、歯科用インプラント3が不用意に飛び出すこと無く安定的に挟持される。
【0040】
ホルダー10の開口部18は、当該開口部18と通して歯科用インプラント3をホルダー10に装着したりホルダー10から離脱したりすることができ、その際にフィクスチャー30の外ネジ34がホルダーの壁面と接触しないように寸法構成されている。
【0041】
次に、上記パッケージ1及びそれに包装された歯科用インプラント3の使用態様について説明する。
【0042】
洗浄及びγ線滅菌処理された歯科用インプラント3の装着されたホルダー10をケース70にセットし、そのケース70にキャップ60を被せて一体に組み上げられた状態のパッケージ1が歯科医院等に提供される。なお、パッケージ1内において、歯科用インプラント3のフィクスチャー30は、ホルダー10に対して言わば宙ぶらりんの非接触状態で保持されている。
【0043】
歯科医院等に届けられたパッケージ1においては、ケース70からキャップ60が取られて、ケース70の中に収納されている歯科用インプラント3付きホルダー10が取り外される。歯科医は、歯科用インプラント3が装着されたホルダー10の側面ボディ12を把持しながら、ドライバーアタッチメント40に対してドライバーホルダーを装着する。このとき、大略円柱状のドライバーホルダーの中央に設けられた大略四角形の嵌合穴に対して、ドライバーアタッチメント40のヘッド部42が嵌入される。ドライバーホルダーがドライバーアタッチメント40に対して確実に嵌合して一体になっていることを確認したあと、ホルダー10の中央で挟持されている歯科用インプラント3を開口部18の側に(すなわち外向きに)スライド移動させる。その結果、ドライバーアタッチメント40の幅狭部46とホルダー10の把持部16との間の係合が解除されて、フィクスチャー30の外ネジ34が他の部材等に接触することなく、ドライバーホルダーと一緒に歯科用インプラント3がホルダー10から取り外される。
【0044】
ドライバーホルダーと一緒に取り出された歯科用インプラント3は、口腔内に運ばれて、ドライバーホルダーを手動で回転させることによって、フィクスチャー30の外ネジ34が歯槽骨に形成されたネジ穴に埋入される。したがって、フィクスチャー30の外ネジ34が他の部材等に触れることなく、フィクスチャー30が歯槽骨に埋入される。なお、上記手動式のドライバーホルダーの代わりに、マイクロモーターのハンドピースに取り付けられた電動式のドライバーホルダーをドライバーアタッチメント40に装着して使用することもできる。
【0045】
埋入操作を終えた歯科用インプラント3からドライバーホルダーが取り外されたあと、ドライバーを用いて、口腔内に残されたドライバーアタッチメント40が取り外される。すなわち、ドライバーの先端部を連通穴44から挿入して、フィクスチャー30とドライバーアタッチメント40とを連結固定していた連結スクリューをドライバーで緩めることによって、歯槽骨に埋入されたフィクスチャー30からドライバーアタッチメント40が取り外される。取り外されたドライバーアタッチメント40の代わりに、カバーキャップやヒーリングキャップが装着される。
【0046】
キャップを装着してフィクスチャー30を歯槽骨内に保持した状態で数ヶ月程度の固着期間が経過すると、歯肉の粘膜を剥離し、キャップを除去して、フィクスチャー30の中空有底穴を露出させる。アバットメントとアバットメントスクリューとを一体化した状態でアバットメントをフィクスチャー30上に載置して、アバットメントスクリューの外ネジをフィクスチャー30の内ネジに対してネジ止めすることによって、フィクスチャー30とアバットメントとがアバットメントスクリューを介して一体的に固定される。その後さらに、義歯がアバットメントの装着部に対して装着されることによって、一連のインプラント手術が終了する。
【0047】
次に、本発明の他の実施形態に係るパッケージ1のホルダー10について説明する。
【0048】
上述した実施形態は、ドライバーホルダーとともに歯科用インプラント3を開口部側から引き出すことによって、係合された歯科用インプラント3をホルダー10の挟持部16から簡単に離脱させるというものである。それに対して、他の実施形態に係るパッケージ1のホルダー10は、より簡単に歯科用インプラント3を離脱可能とするものである。
【0049】
図5に示すように、ホルダー10の開口部18の反対側に位置する側面ボディ12の中央の両側には、一対の押圧マーカー部19が配設されている。押圧マーカー部19は、側面ボディ12の他の部分よりも薄肉又は肉厚に構成されていて、使用者が押圧するときの目印になっている。この一対の押圧マーカー部18が押圧されると、開口部18の反対側の側面ボディ12が僅かに押し潰されるが、その押し潰しの反動として、ホルダー10の側面ボディ12が弾性変形して挟持部16が僅かに拡開される。その結果、挟持部16で挟持されていた歯科用インプラント3が、さらに簡単に離脱可能となる。
【0050】
あるいは、ホルダー10の上端及び下端の同じ側にU字状に切欠をそれぞれ設けて、上端側のU字状切欠を挟持部16として用いる。下端側の切欠近傍の位置に、側面ボディ12の他の部分よりも薄肉又は肉厚に構成された押圧マーカー部19が配設された構成とすることができる。下端側の切欠近傍にある押圧マーカー部19が押圧されると、下端側の切欠近傍の側面ボディ12が僅かに押し潰されるが、その押し潰しの反動で、その反対側に位置する上端側の切欠すなわち挟持部16が僅かに拡開される。その結果、挟持部16で挟持されていた歯科用インプラント3が、さらに簡単に離脱可能となる。
【0051】
なお、ホルダー10の側面ボディ12に押圧マーカー部19を設けてホルダー10を弾性変形させる場合には、側面ボディ12の厚みを薄肉化することによって、側面ボディ12がより容易に変形するようになり、歯科用インプラント3が小さな押圧力でより簡単に離脱可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る歯科用インプラントを収容するためのパッケージを一部破断した側面図である。
【図2】図1に示したホルダーの上面図である。
【図3】図1に示した歯科用インプラントの斜視図である。
【図4】図1の歯科用インプラントをホルダーに装着した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るパッケージのホルダーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1:パッケージ
3:歯科用インプラント
10:ホルダー
12:側面ボディ
14:上面
16:挟持部
18:開口部
19:押圧マーカー部
20:係止ツメ
30:フィクスチャー
32:鏡面部
34:外ネジ
40:ドライバーアタッチメント
42:ヘッド部
44:連通穴
46:上縁
47:ネック部
48:幅狭部
49:下縁
60:キャップ
62:係合下端部
64:支持バー(支持部)
70:ケース
72:係合上端部
74:底面
76:支持リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ネジを有して、歯槽骨内に埋入されるフィクスチャーと、
その一端においてフィクスチャーに嵌合するための嵌合部を有するとともに、その他端においてドライバーホルダーに装着されるためのヘッド部を有して、ヘッド部と嵌合部との間に位置するネック部において、周囲より縮径された幅狭部を有するドライバーアタッチメントと、が一体に組み合わされた歯科用インプラントを収容するためのパッケージであって、
前記パッケージは、
開口部を通して前記歯科用インプラントを着脱自在に把持するホルダーと、
前記ホルダーを保持するケースと、
前記ケースを蓋するキャップと、を備え、
前記ホルダーは、弾性変形可能な材料からなり、U字状に切り欠かれた挟持部を有して、該挟持部がドライバーアタッチメントの前記幅狭部と弾性的に係合することによって歯科用インプラントを挟持していることを特徴とする、歯科用インプラントを収容するためのパッケージ。
【請求項2】
前記挟持部における係合手段は、挟持部の側壁面に凸設された係止ツメであることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。
【請求項3】
前記挟持部における係合手段は、挟持部に凹設された係止凹部であることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。
【請求項4】
前記キャップの内部の中央に設けられてケース側に延在する支持部がドライバーアタッチメントのヘッド部の上面に当接することによって、歯科用インプラント付きホルダーホルダーがパッケージ内で係止されていることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。
【請求項5】
フィクスチャーとドライバーアタッチメントとは、連通穴から挿入された連結スクリューによって連結されていることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。
【請求項6】
前記ホルダーが大略正多角体であることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。
【請求項7】
ホルダーの開口部の反対側に位置する側面中央の両側に配設された一対の押圧マーカー部が押圧されることによって、ホルダーの側面が弾性変形して挟持部が僅かに拡開することによって、挟持部で挟持されていた歯科用インプラントが離脱可能となることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。
【請求項8】
ホルダーの上端及び下端の同じ側にU字状切欠がそれぞれ設けられ、
上端側のU字状切欠が挟持部として用いられるとともに、下端側の切欠近傍の位置に押圧マーカー部が配設されていて、
前記押圧マーカー部が押圧されることによって、ホルダーの側面が弾性変形して挟持部が僅かに拡開することによって、挟持部で挟持されていた歯科用インプラントが離脱可能となることを特徴とする、請求項1記載のパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−125982(P2008−125982A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317421(P2006−317421)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】