説明

殺菌消臭機

【課題】フィルタ等の消耗部材とファン等の吸気手段を用いることなく、殺菌処理と消臭処理とを行うことが可能な殺菌消臭機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る殺菌消臭機50によれば、空気に対する殺菌処理と消臭処理とを紫外線照射手段30とマイナスイオン発生手段32と異種の金属もしくはセラミックで構成させる消臭手段40とで行うため、フィルタ等の消耗部材が不要であり殺菌消臭機50にかかるランニングコストを著しく低減することができる。また、殺菌消臭機50への空気の取り込みと放出とをマイナスイオン発生手段32が放射するマイナスイオンの流れによって行うためファン等の吸気手段が必要なく、殺菌消臭機50の小型化と省電力化とを図ることができる。これにより、車両内や狭い室内でも空間スペースを圧迫することなく殺菌消臭機を設置使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内もしくは室内の空気に対し殺菌及び消臭を行う殺菌消臭機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の衛生意識や健康意識の高まりから、タバコ臭、その他の不快な臭い等を消臭する機能を備えた空気清浄機が、病院、劇場、飲食店、パチンコ店や一般家庭等に普及している。上記のような空気清浄機の例として、下記[特許文献1]では、電動式ファン等の吸気手段の駆動により室内の空気を内部に取り込み、集塵用セルを通すことでタバコの煙等の浮遊粒子を除去するとともに、消臭剤カートリッジ中に蓄えられた液体やゼリー状などの消臭剤により消臭処理を行う空気清浄機に関する考案が開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開平7−32429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、[特許文献1]に開示された考案のようにファン等の吸気手段を用いた空気清浄機は装置規模が比較的大きくなり、自動車等の車両内やクロゼット、収納庫等の狭い室内に設置するには不向きである。また、集塵用セル等のフィルタや消臭剤カートリッジ中の消臭剤は継続的な使用によりその機能が徐々に失われていくため、定期的な交換が必要でありランニングコストが嵩むという問題点がある。さらに、人体の健康維持のためには空気中に浮遊する病原体に対し殺菌処理を行うことが好ましいが、[特許文献1]に開示された考案では病原体に対する殺菌処理を行うことはできない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルタ等の消耗部材とファン等の吸気手段を用いることなく、殺菌処理と消臭処理とを行うことが可能な殺菌消臭機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)外部から電力を取得して各部に供給する回路部38と、
車両内もしくは室内の空気を取り込む吸気口34と、
殺菌処理及び消臭処理の施された前記空気を前記車両内もしくは室内に放出する吹出口36と、
を有する殺菌消臭機において、
前記回路部38から供給される電力により紫外線を出射して前記吸気口34から取り込んだ空気に対し殺菌処理を行う紫外線照射手段30と、
前記回路部38から供給される電力によりマイナスイオンを前記吹出口36に向けて放射して殺菌処理及び消臭処理の施された空気を前記吹出口36から放出するとともに車両内もしくは室内の空気を前記吸気口34から取り込み、さらに当該マイナスイオンの放射により前記吸気口34から取り込んだ空気に対し消臭処理を行うマイナスイオン発生手段32と、
接触又は近接配置された異種の金属もしくはセラミックで構成されるとともに前記吸気口34から取り込んだ空気に対し消臭処理を行う消臭手段40と、
を有することを特徴とする殺菌消臭機50を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る殺菌消臭機は、上記の構成により、
(1)フィルタ等の消耗部材を用いることなく車両内等の空気に対する殺菌処理と消臭処理とを行うことが可能なため、殺菌消臭機にかかるランニングコストを著しく低減することができる。
(2)ファン等の吸気手段を用いないため装置規模を小さくすることができる。よって、車両内や狭い室内においてもその空間スペースを圧迫することなく殺菌消臭機を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る殺菌消臭機の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る殺菌消臭機の一実施の形態の内部を示す図である。図2は、本発明に係る殺菌消臭機に用いる消臭手段の構造を示す図である。
【0009】
図1に示す本発明に係る殺菌消臭機50は、外部から取得した電力を殺菌消臭機50の各部に供給する回路部38と、回路部38から供給される電力により紫外線を出射する紫外線照射手段30と、回路部38から供給される電力によりマイナスイオンを放射するマイナスイオン発生手段32と、殺菌消臭機50内の所定の位置に設置され接触又は近接配置された異種の金属もしくはセラミックで構成させる消臭手段40と、を有している。
【0010】
回路部38は殺菌消臭機50のケーシング10内の所定の位置に形成された回路収容部38a内に設置され、回路部38には外部電源から電力を取得するためのケーブル12の一端が接続されている。そして、ケーブル12のもう一端は外部電源と接続可能な接続プラグ12aとなっている。尚、殺菌消臭機50を車両内で使用する場合、接続プラグ12aは本例に示すようにシガーソケット等を介して車両内のバッテリと接続可能なプラグ形状を呈している。また、殺菌消臭機50を室内で使用する場合、接続プラグ12aは商用電源のコンセントに接続可能なプラグ形状を呈する。
【0011】
ケーシング10の両側面には所定の形状の吸気口34が形成され、吸気口34の近傍には紫外線照射手段30がそれぞれ設置されている。紫外線照射手段30としては、省スペース化、省電力化の観点から紫外線照射発光ダイオードを用いることが好ましいが、紫外線を出射可能な水銀灯、水素や希ガスなどの放電管、石英ランプ、アーク灯などの公知の紫外線放射装置を用いても良い。そして、紫外線照射手段30は回路部38を構成する照射手段駆動回路により点灯動作して、吸気口34から取り込まれた空気に対して紫外線を照射する。この紫外線の照射により、取り込まれた空気中に浮遊する病原体などを死滅させ空気に対する殺菌処理を行う。尚、紫外線照射手段30は上記のように吸気口34の近傍に設置することが好ましいが特にこの位置に限定されるものではなく、吸気口34から取り込まれた空気に対し紫外線が適切に照射可能であれば空気の流路上の任意の位置に設置しても良い。
【0012】
マイナスイオン発生手段32は一端に例えばカーボンの繊維束からなるブラシ状の放電電極32aを有しており、マイナスイオン発生手段32のもう一端は接続端子16等を介して回路部38を構成する高電圧発生部に接続されている。高電圧発生部は圧電トランスなどの昇圧手段を備えており、ケーブル12から取得した電力を所定の高電圧に昇圧してマイナスイオン発生手段32に出力することができる。また、ケーシング10には吹出口36側が広がったガイド壁14が形成され、マイナスイオン発生手段32の放電電極32aはガイド壁14間の吹出口36近傍に吹出口36の方向に向けて設置される。そして、高電圧発生部からの高電圧が放電電極32aに印加されることで放電電極32aから吹出口36に向けてマイナスイオンが放射され、このマイナスイオンの放射により吸気口34から取り込まれた空気に対する消臭処理を行う。また、放射されたマイナスイオンの流れにより殺菌消臭機50内の空気を吹出口36から放出し、この空気の放出に伴って吸気口34から殺菌消臭機50内に空気が取り込まれる。
【0013】
次に、本発明に係る殺菌消臭機50に用いる消臭手段40の構造を図2を用いて説明する。ここで、図2(a)は消臭手段40を金属で構成した例を示すものであり、また図2(b)は消臭手段40をセラミックで構成した例を示すものである。
【0014】
図2(a)に示す金属を用いた消臭手段40は、異種の金属Ma、Mbからなる厚さ1mm程度の金属板が接触又は約1mm以下の間隔で近接配置されて構成されている。金属板Ma、Mbの組み合わせはチタンと銅が最適であるが、銅と錫、銅とニッケル、銅と鉄、銅とマグネシウム、銅と亜鉛、銅と鉛、銅と金、銅と銀、銅と白金、銅とパラジウム、銅とコバルト、錫とチタン、錫とニッケル、錫と鉄、錫とマグネシウム、錫と亜鉛、錫と鉛、錫と金、錫と銀、錫と白金、錫とパラジウム、錫とコバルト、ニッケルとチタン、ニッケルと鉄、ニッケルとマグネシウム、ニッケルと亜鉛、ニッケルと鉛、ニッケルと金、ニッケルと銀、ニッケルと白金、ニッケルとパラジウム、ニッケルとコバルト、鉄とチタン、鉄とマグネシウム、鉄と亜鉛、鉄と鉛、鉄と金、鉄と銀、鉄と白金、鉄とパラジウム、鉄とコバルト、マグネシウムとチタン、マグネシウムと亜鉛、マグネシウムと鉛、マグネシウムと金、マグネシウムと銀、マグネシウムと白金、マグネシウムとパラジウム、マグネシウムとコバルト、亜鉛とチタン、亜鉛と鉛、亜鉛と金、亜鉛と銀、亜鉛と白金、亜鉛とパラジウム、亜鉛とコバルト、鉛とチタン、鉛と金、鉛と銀、鉛と白金、鉛とパラジウム、鉛とコバルト、金とチタン、金と銀、金と白金、金とパラジウム、金とコバルト、銀とチタン、銀と白金、銀とパラジウム、銀とコバルト、白金とチタン、白金とパラジウム、白金とコバルト、パラジウムとチタン、パラジウムとコバルト、チタンとコバルトなどとしても良い。
【0015】
尚、金属Ma、Mbからなる金属板は特に矩形とする必要はなく、円形、楕円形、その他任意の形状とすることができる。また、金属Ma、Mbを一組のみならずその複数組を多層状に積層しても良い。さらに、金属Ma、Mbは必ずしも板状とする必要はなく、金属Ma、Maを塊状としこれを接触又は近接させて所定の容器内に固定もしくは収容するようにしても良い。
【0016】
図2(b)に示すセラミックを用いた消臭手段40は、粒形状を呈する異種のセラミックMc、Mdが接触又は近接するように容器42内に収容されている。一方のセラミックMcとしては、天然鉱石である例えば斑レイ岩、閃緑岩、閃長岩などの等粒状構造を示す深成岩、好ましくはその一種である花崗岩(御影石)、等を用いることが好ましい。また、もう一方のセラミックMdとしては、例えばガラスセラミックス(LiO−Al−SiO系、MgO−Al−SiO系、PbO−ZnO−B系、SiO−Al−CaO−ZnO−BaO−NaO系)等を用いることが好ましい。また、セラミックMc、Mdを収容する容器42は、例えばステンレス鋼やアルミ合金(Al−Mn合金、Al−Si合金、Al−Mg合金、Al−Mg−Si合金、Al−Zn−Mg合金)等の金属を用いることが好ましい。尚、図2(b)では、セラミックMdの収容部分の両側にセラミックMcを配置した例を示したが、セラミックMdの収容部分の片側にセラミックMcを配置しても、セラミックMcとセラミックMdとの収容部分を交互に配置しても構わない。
【0017】
そして、消臭手段40は異種の金属Ma、Mbもしくは異種のセラミックMc、Mdが接触又は近接配置されているため、吸気口34から取り込まれた空気中の悪臭成分に対する消臭効果を有する。その原因は今のところ必ずしも明確でないが、異種の物質(本例における金属Ma、MbもしくはセラミックMc、Md)の接触による電位差に基づく接触電気現象(ヴォルタ効果)により微弱電流が発生し、これに起因してマイナスイオンビーム(フォトン)が外部に放射され、これが周囲の空気に直接作用して空気中に含まれる悪臭成分のクラスタを破壊するためと考えられる。
【0018】
尚、本例においては消臭手段40を回路収容部38a内に設置した例を示しているが、消臭手段40の設置位置は特に限定はなく、ケーシング10内の任意の位置に設置することが可能である。
【0019】
次に、本発明に係る殺菌消臭機50の動作を説明する。先ず、殺菌消臭機50の接続プラグ12aを外部電源と接続する。これにより、外部電源から回路部38に対し電力が供給される。回路部38に電力が供給されると、回路部38の照射手段駆動回路が動作し紫外線照射手段30が点灯動作する。これにより、紫外線照射手段30から殺菌消臭機50内の空気に対して紫外線が照射され空気に対する殺菌処理が行われる。またこれと同時に、回路部38の高電圧発生部が動作し昇圧した高電圧をマイナスイオン発生手段32に出力する。マイナスイオン発生手段32の放電電極32aは高電圧発生部からの高電圧が印加することでコロナ放電し、放電電極32aから吹出口36に向けてマイナスイオンを放射する。この放射されたマイナスイオンにより殺菌消臭機50内の特に放電電極32a近傍に存在する空気中のタバコ臭等の悪臭成分を分解し、空気に対する消臭処理を行う。また、放電電極32aは前述のように吹出口36近傍に吹出口36の方向に向けて設置されており、吹出口36近傍の空気は放電電極32aから放射されたマイナスイオンの流れにより吹出口36から殺菌消臭機50の設置された車両内もしくは室内へ放出される。この空気の放出に伴って、吸気口34から新たに車両内もしくは室内の空気が取り込まれ紫外線照射手段30による殺菌処理が施される。殺菌処理が施された空気はガイド壁14の間を通って放電電極32a近傍に流入し、ここで消臭処理が施された後、同様に吹出口36から放出される。よって、本発明に係る殺菌消臭機50によれば、ファン等の吸気手段を用いなくとも殺菌消臭機50への空気の取り込みと放出とを行うことができる。
【0020】
さらに、殺菌消臭機50内の所定の位置に設置された消臭手段40がマイナスイオン発生手段32とは別に、取り込まれた空気に対する消臭処理を行う。これにより、殺菌消臭機50は上記のマイナスイオン発生手段32と相俟って吸気口34から取り込まれた空気に対する効果的な消臭処理を行うことができる。
【0021】
以上のように、本発明に係る殺菌消臭機50によれば、空気に対する殺菌処理と消臭処理とを紫外線照射手段30とマイナスイオン発生手段32と異種の金属もしくはセラミックで構成させる消臭手段40とで行うため、フィルタ等の消耗部材が不要であり殺菌消臭機50にかかるランニングコストを著しく低減することができる。また、紫外線照射手段30とマイナスイオン発生手段32と消臭手段40とは継続的に使用してもその機能を失うことがなく、空気に対する殺菌処理と消臭処理とを長期に亘って維持することができる。
【0022】
また、本発明に係る殺菌消臭機50は、殺菌消臭機50への空気の取り込みと放出とをマイナスイオン発生手段32が放射するマイナスイオンの流れによって行うためファン等の吸気手段が必要なく、殺菌消臭機50の小型化と省電力化とを図ることができる。これにより、車両内や狭い室内でも空間スペースを圧迫することなく殺菌消臭機を設置使用することができる。
【0023】
尚、図1に示す殺菌消臭機50は本発明に係る殺菌消臭機の好適な一例であるから、殺菌消臭機50を構成する各部の配置、数、形状等は適宜変更が可能である。また、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る殺菌消臭機の一実施の形態の内部を示す図である。
【図2】本発明に係る殺菌消臭機に用いる消臭手段の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
30 紫外線照射手段
32 マイナスイオン発生手段
34 吸気口
36 吹出口
38 回路部
40 消臭手段
50 殺菌消臭機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力を取得して各部に供給する回路部と、
車両内もしくは室内の空気を取り込む吸気口と、
殺菌処理及び消臭処理の施された前記空気を前記車両内もしくは室内に放出する吹出口と、
を有する殺菌消臭機において、
前記回路部から供給される電力により紫外線を出射して前記吸気口から取り込んだ空気に対し殺菌処理を行う紫外線照射手段と、
前記回路部から供給される電力によりマイナスイオンを前記吹出口に向けて放射して殺菌処理及び消臭処理の施された空気を前記吹出口から放出するとともに車両内もしくは室内の空気を前記吸気口から取り込み、さらに当該マイナスイオンの放射により前記吸気口から取り込んだ空気に対し消臭処理を行うマイナスイオン発生手段と、
接触又は近接配置された異種の金属もしくはセラミックで構成されるとともに前記吸気口から取り込んだ空気に対し消臭処理を行う消臭手段と、
を有することを特徴とする殺菌消臭機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−285228(P2009−285228A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141799(P2008−141799)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(501342366)株式会社サトカンパニー (5)
【出願人】(594079349)
【Fターム(参考)】