説明

毛捕集掃除具

【課題】カーペットや絨毯を傷め難く、カーペットや絨毯を構成する繊維に絡まった人毛やペット等の動物の毛を、カーペットや絨毯から取り除くことができ、捕集された人毛やペット等の動物の毛を、簡単に取り出すことができる毛捕集掃除具を提供すること。
【解決手段】本発明の毛捕集掃除具1Aは、中央に開口部21を有する枠状支持体2と、枠状支持体2の開口部21の天面側aに間欠的に張設固定される複数本の天面側弾性糸3aと、枠状支持体2の開口部21の底面側bに間欠的に張設固定される複数本の底面側糸状体3bと、枠状支持体2の開口部21内に保持され天面側aと底面側bとの間を移動可能な押圧具4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人毛やペット等の動物の毛を捕集する毛捕集掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、カーペットや絨毯を構成する繊維に絡まった人毛やペット等の動物の毛を捕集する掃除具が知られている。
例えば、特許文献1には、表面が粘着性の材料からなる複数のロールを平行に並べて回転自在に配設したことを特徴とする清掃具が開示されている。また、特許文献2には、弾性糸を取り付ける取付けフレームが清掃具本体の下面に着脱可能に取付けられた清掃具であって、複数の弾性糸が相互に同方向に延ばされ取付けフレームに張架された清掃具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−104440号公報
【特許文献2】特開平9−140286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の清掃具においては、粘着性の材料により、人毛やペット等の動物の毛以外に、カーペットや絨毯を構成する繊維を余分に取り除いてしまい、カーペットや絨毯を傷めてしまう場合があった。
【0005】
また、特許文献2に記載の清掃具においては、複数の弾性糸の捩れにより、カーペットや絨毯を傷めることなく、カーペットや絨毯を構成する繊維に絡まった人毛やペット等の動物の毛を捕集することができるが、弾性糸に絡まった人毛やペット等の動物の毛を取り出し難かった。
【0006】
したがって、本発明の課題は、カーペットや絨毯を傷め難く、カーペットや絨毯を構成する繊維に絡まった人毛やペット等の動物の毛を、カーペットや絨毯から取り除くことができ、捕集された人毛やペット等の動物の毛を、簡単に取り出すことができる毛捕集掃除具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、中央に開口部を有する枠状支持体と、該枠状支持体の該開口部の天面側に間欠的に張設固定される複数本の天面側弾性糸と、該枠状支持体の該開口部の底面側に間欠的に張設固定される複数本の底面側糸状体と、該枠状支持体の該開口部内に保持され天面側と底面側との間を移動可能な押圧具とを備える毛捕集掃除具を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛捕集掃除具によれば、カーペットや絨毯を傷め難く、カーペットや絨毯を構成する繊維に絡まった人毛やペット等の動物の毛を、容易にカーペットや絨毯から取り除くことができ、捕集された人毛やペット等の動物の毛を、簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態である毛捕集掃除具の斜視図である。
【図2】図2は、図1のX1−X1線断面図である。
【図3】図3は、図1に示す毛捕集掃除具の使用状態を示す図である。
【図4】図4は、図1に示す毛捕集掃除具の底面図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態である毛捕集掃除具の底面側から見た斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態である毛捕集掃除具の底面図である。
【図7】図7は、本発明の第4実施形態である毛捕集掃除具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の毛捕集掃除具の好ましい第1実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0011】
第1実施形態の毛捕集掃除具1Aは、図1〜図2に示すように、中央に開口部21を有する枠状支持体2と、枠状支持体2の開口部21の天面側aに間欠的に張設固定される複数本の天面側弾性糸3aと、枠状支持体2の開口部21の底面側bに間欠的に張設固定される複数本の底面側糸状体3bと、枠状支持体2の開口部21内に保持され天面側aと底面側bとの間を移動可能な押圧具4とを備えている。
以下、図1に示す毛捕集掃除具1Aの長さ方向を「X方向」として、図1に示す毛捕集掃除具1Aの幅方向を「Y方向」として、図1に示す毛捕集掃除具1Aの厚み方向を「Z方向」として説明する。
また、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aは、図1に示すように、X方向に延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。従って以下の説明では、左右対称な部分については、主に、右側について説明する。
【0012】
枠状支持体2は、図1に示すように、中央に開口部21を有している。毛捕集掃除具1Aにおいては、中央に開口部21を有する枠状支持体2が、図1に示すように、X方向に延びる一対の長方体状の柱体2a,2aとY方向に延びる一対の長方体状の柱体2b,2bとから一体的に形成されている。具体的には、枠状支持体2は、図1に示すように、X方向に延びる柱体2a,2aが、中心線CLに対して対称に配され、柱体2a,2aそれぞれのX方向の両端部それぞれの天面側aに、Y方向に延びる柱体2b,2bが配設固定されて一体的に形成されている。このように形成された枠状支持体2は、中心線CLを通る断面形状(X1−X1線断面の形状)が逆コの字状となっており(図2参照)、逆コの字状の枠状支持体2の凹部に開口部21が形成されている。
【0013】
枠状支持体2は、X方向、Y方向、Z方向それぞれの長さが、60mm〜300mm、50mm〜150mm、5mm〜80mmであることが、捕集性、扱い易さの観点から好ましい。枠状支持体2の天面に形成された開口部21は、X方向、Y方向それぞれの長さが、40mm〜280mm、40mm〜140mmであることが、捕集性の観点から好ましい。
【0014】
毛捕集掃除具1Aにおいては、枠状支持体2の開口部21の天面側aに天面側弾性糸3aを張設固定するために、図1,図2に示すように、X方向に延びる柱体2a,2aそれぞれの天面側aの面であって、且つY方向に延びる柱体2b,2bの配設された部分以外の領域に、溝22aが形成されている。毛捕集掃除具1Aは、図1,図2に示すように、各柱体2aの天面側aの面に、以下に述べる天面側弾性糸3aの本数に対応した個数の溝22aを有している。
【0015】
毛捕集掃除具1Aにおいては、溝22aは、図1に示すように、中心線CLに垂直に交わる方向に形成されており、その溝22aの深さ及び幅は、以下に述べる天面側弾性糸3aを配した際に、天面側弾性糸3aが張設固定できればよく、具体的には、深さが、0.5mm〜5、幅が、0.5mm〜2mmであることが、張設し易く好ましい。
【0016】
毛捕集掃除具1Aにおいては、溝22aと同様に、枠状支持体2の開口部21の底面側bに底面側糸状体3bを張設固定するために、図1,図2に示すように、X方向に延びる柱体2a,2aそれぞれの底面側bの面に、溝22bが形成されている。毛捕集掃除具1Aは、図1,図2に示すように、溝22aと同様に、各柱体2aの底面側bの面に、以下に述べる底面側糸状体3bの本数に対応した個数の溝22bを有している。
【0017】
毛捕集掃除具1Aにおいては、溝22bは、図1に示すように、中心線CLに垂直に交わる方向に形成されており、図2に示すように、X方向において、隣り合う溝22a同士の間に位置するように形成されている。言い換えれば、溝22aは、図2に示すように、X方向において、隣り合う溝22b同士の間に位置するように形成されている。溝22bの深さ及び幅は、以下に述べる底面側糸状体3bを配した際に、底面側糸状体3bが張設固定され、特に、各柱体2aの底面側bの面からはみ出さないように形成されていることが好ましく、具体的には、深さが0.5mm〜2mm、幅が0.5mm〜2mmであることが好ましい。
【0018】
天面側弾性糸3aは、その捩れにより毛を捕集する部位であり、図1,図2に示すように、枠状支持体2の開口部21の天面側aに間欠的に張設固定されている。天面側弾性糸3aは、X方向に間欠的に、2本〜30本配されていることが好ましく、毛捕集掃除具1Aにおいては、図1,図2に示すように、8本配されている。8本の天面側弾性糸3aそれぞれは、略等間隔を空けて配されており、天面側弾性糸3a同士の間隔(溝22a同士の間隔と同じ)は、3mm〜30mmであることが好ましい。天面側弾性糸3aは、捩られ易い観点から、その断面形状が円状、正多角形状(例えば、正方形状、正三角形等)であることが好ましい。
【0019】
底面側糸状体3bは、天面側弾性糸3aと同様に、その捩れにより毛を捕集する部位であり、図1,図2に示すように、枠状支持体2の開口部21の底面側bに間欠的に張設固定されている。底面側糸状体3bは、X方向に間欠的に、2本〜30本配されていることが好ましく、毛捕集掃除具1Aにおいては、図1,図2に示すように、8本配されている。8本の底面側糸状体3bそれぞれは、略等間隔を空けて配されており、底面側糸状体3b同士の間隔(溝22b同士の間隔と同じ)は、3mm〜30mmであることが好ましい。底面側糸状体3bは、天面側弾性糸3aと同様に、捩られ易い観点から、その断面形状が円状、正多角形状(例えば、正方形状、正三角形等)であることが好ましい。
【0020】
枠状支持体2の開口部21の天面側aに張設固定された天面側弾性糸3aと、枠状支持体2の開口部21の底面側bに張設固定された底面側糸状体3bとの間隔は、後述するように、毛を取り出す際に、指が入る程度の間隔が空いていることが好ましく、具体的には、5mm〜50mmであることが好ましい。
【0021】
毛捕集掃除具1Aにおいては、8本の天面側弾性糸3a及び8本の底面側糸状体3bそれぞれは、同一方向に張設固定されている。また、毛捕集掃除具1Aにおいては、天面側弾性糸3aは、隣り合う底面側糸状体3b,3bの間に位置するように張設固定されている。具体的には、毛捕集掃除具1Aの各天面側弾性糸3aは、X方向に隣り合う溝22b同士の間に位置する各溝22aに張設固定され、図1に示すように、X方向に延びる一対の柱体2a,2a同士に亘って中心線CLに垂直に交わる方向に配されており、各底面側糸状体3bは、各溝22bに張設固定され、天面側弾性糸3aと同様に、X方向に延びる一対の柱体2a,2a同士に亘って中心線CLに垂直に交わる方向に(天面側弾性糸3aと同一方向に)配されている。
【0022】
各天面側弾性糸3aは、毛の捕集の際に、捩れを生じ易い観点から、その伸長率が120〜330%、特に150〜230%となるように張設されていることが好ましい。
毛捕集掃除具1Aにおいては、各底面側糸状体3bは、天面側弾性糸3aと同様に、弾性糸である。各底面側糸状体3bは、毛の捕集の際に、捩れを生じ易い観点から、その伸長率が120〜330%、特に150〜230%となるように張設されていることが好ましい。尚、各底面側糸状体3bが弾性糸でない場合には、各底面側糸状体3bは、捩れを生じさせ易い観点から、一対の柱体2a,2a同士に亘って弛めた状態で配されていることが好ましい。
【0023】
毛捕集掃除具1Aにおいては、各天面側弾性糸3a及び各底面側糸状体3bは、それぞれ弾性糸であり、底面側糸状体3bと天面側弾性糸3aとが連続している。具体的には、図1〜図3に示すように、底面側糸状体3bと天面側弾性糸3aとが輪ゴム状の弾性糸から形成されており、8個の輪ゴム状の弾性糸それぞれが、X方向に延びる一対の柱体2a,2aそれぞれの天面側aの溝22aと底面側bの溝22bとを通るように、一対の柱体2a,2a同士の間に架けられて張設されている。
【0024】
押圧具4は、枠状支持体2の開口部21内に保持されており、天面側aと底面側bとの間を移動可能に形成されている。押圧具4は、図1,図2に示すように、基板41と押圧把持具とを有し、基板41の底面側bには清掃面41bが設けられ、基板41の天面側aには押圧把持具42が設けられている。基板41の底面側bの清掃面41bは、毛を捕集する際に、清掃対象面に接触する部位であり、押圧把持具42は、毛捕集掃除具1Aにおいては、毛を捕集する際に、手でホールドする部位である。尚、清掃対象面とは、カーペットや絨毯や床面等をいう。
【0025】
基板41は、図1,図2に示すように、平板状の板であり、X方向の長さが、後述するように、押圧具4が枠状支持体2の開口部21内に保持される観点から、Y方向に延びる一対の柱体2b,2b同士の間隔よりも長く、42mm〜300mmであることが好ましい。また、Y方向の長さが、後述するように、押圧具4が天面側aと底面側bとの間を移動できる観点から、X方向に延びる一対の柱体2a,2a同士の間隔よりも短く、38mm〜138mmであることが好ましい。押圧具4の厚み(Z方向の長さ)は、1mm〜20mmであることが好ましい。
【0026】
毛捕集掃除具1Aにおいては、基板41の清掃面41bは、図2,図3に示すように、シート43で覆われている。毛捕集掃除具1Aのシート43は、摩擦力の高いエラストマーから形成されている。シート43は、図2,図3に示すように、基板41の底面側bの面である清掃面41bの全域に亘って配設され、接着剤等により清掃面41bに固定されている。
【0027】
押圧把持具42は、図1,図2に示すように、平板状の基板41の天面側aの中央部に配されており、X方向の長さが、後述するように、押圧具4が天面側aと底面側bとの間を移動できる観点から、Y方向に延びる一対の柱体2b,2b同士の間隔よりも短く、20mm〜280mmであることが好ましい。また、押圧把持具42のY方向の長さが、手で違和感なくホールドできる観点から、5mm〜70mmであることが好ましい。また、押圧把持具42のZ方向の長さが、後述するように、手で違和感なくホールドしながら、押圧具4が天面側aと底面側bとの間を移動する観点から、枠状支持体2のZ方向の長さよりも長く、20mm〜120mmであることが好ましい。尚、毛捕集掃除具1Aにおいては、押圧具4を底面側bに押圧した際に押圧具4が枠状支持体2から外れないように、押圧具4の押圧把持具42の天面側aにおけるX方向両端部それぞれには、X方向外方に凸のストッパー42a,42aが形成されている。このように形成された毛捕集掃除具1Aの押圧具4は、中心線CLを通る断面形状(X1−X1線断面の形状)がエの字状となっており(図2参照)、押圧具4の中心を通り且つ中心線CLに垂直な線を通る断面形状が逆Tの字状に形成されている。
【0028】
枠状支持体2の開口部21内に押圧具4が保持されているとは、具体的には、図1,図2に示すように、枠状支持体2の開口部21の天面側aに間欠的に複数本の天面側弾性糸3aを張設し、天面側弾性糸3aとY方向に延びる一対の柱体2b,2bとの間に、押圧具4の基板41を配すると、天面側弾性糸3aの弾性復元力により、押圧具4の基板41の天面側aの面とY方向に延びる一対の柱体2b,2bそれぞれの底面側bの面とが接した状態で、枠状支持体2と天面側弾性糸3aとの間に押圧具4が保持されている状態を意味する。また、押圧具4が枠状支持体2の開口部21内に保持され天面側aと底面側bとの間を移動可能とは、押圧把持具42をホールドして毛捕集掃除具1Aの底面側bに押圧すると、押圧具4が毛捕集掃除具1Aの底面側bに移動し、押圧を解除すると、更に伸長した天面側弾性糸3aの弾性復元力により、押圧具4が毛捕集掃除具1Aの天面側aに移動し、押圧具4の基板41の天面側aの面とY方向に延びる一対の柱体2b,2bそれぞれの底面側bの面とが接した状態に戻ることを意味する。
【0029】
第1実施形態の毛捕集掃除具1Aの形成材料について説明する。
枠状支持体2(柱体2a及び柱体2b)並びに押圧具4(基板41及び押圧把持具42)としては、通常、掃除具に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、枠状支持体2(柱体2a及び柱体2b)並びに押圧具4(基板41及び押圧把持具42)としては、木製、金属、高強度圧縮パルプ繊維、パルプ板紙又は合成樹脂等からなる部材が用いられる。金属製のものとしては、具体的には、ステンレス製、アルミニウム合金製、真鍮製のものが挙げられ、合成樹脂製のものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル製、ナイロン即ちポリアミド製のものが挙げられる。
【0030】
天面側弾性糸3aとしては、例えば、毛を捕集し易い観点から、天然ゴム、ポリウレタン等のエラストマーからなるタック性のある材料等を好ましく用いることができる。尚、毛捕集掃除具1Aにおいては、底面側糸状体3bも弾性糸であるため、天面側弾性糸3aと底面側糸状体3bとが連続する天然ゴム製の輪ゴムから構成されていることが、コストの観点からも好ましい。但し、底面側糸状体3bは、弾性糸に限られることなく、例えば、木綿製の糸、ナイロン糸、硬質紙糸、金属細棒、ガラス棒、樹脂製細棒等の材料を用いることができる。
【0031】
基板41の清掃面41bを覆うシート43としては、清掃面41bを複数本の天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bと共に清掃対象面に接触させた状態でスライド移動させた際に、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bに捩れを生じさせ易い観点から、摩擦力の高いエラストマーから形成されていることが好ましく、例えば、ポリウレタン等のエラストマーからなる、不織布、ネット状シート、フィルム等が挙げられる。
【0032】
上述した本発明の第1実施形態の毛捕集掃除具1Aを使用した際の作用効果について説明する。
本発明の毛捕集掃除具は、基板41を、天面側弾性糸3aの弾性力に抗して、開口部21の天面側aから底面側bに、押圧把持具42を介して押圧することにより、清掃面41bを複数本の天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bと共に清掃対象面に接触させた状態を維持しつつ、清掃面41bを下面側糸状体3bを配した方向と交差する方向に移動させて清掃対象面上の毛を捕集し、押圧を解除することにより、捕集した毛を取り出す掃除具である。以下、具体的に説明すると、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aは、図1,図2に示すように、基板41を押圧する前においては、枠状支持体2の開口部21の天面側aに張設された天面側弾性糸3aとY方向に延びる一対の柱体2b,2bとの間に、押圧具4の基板41が配されており、天面側弾性糸3aの弾性復元力により、押圧具4の基板41の天面側aの面と柱体2b,2bそれぞれの底面側bの面とが接した状態で、押圧具4が保持されている。次に、押圧具4の押圧把持具42をホールドし、前述のように保持された押圧具4の基板41を、張設された天面側弾性糸3aの弾性力に抗して、開口部21の天面側aから底面側bに押圧することにより、図3に示すように、基板41の清掃面41bを天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bと共に、カーペットや絨毯や床面等の清掃対象面に接触させる。清掃面41bを清掃対象面に接触させた状態を維持しつつ、基板41の清掃面41bを、図4に示すように、下面側糸状体3bを配した方向(Y方向)と直交する方向(X方向)にスライド移動させることにより、基板41の清掃面41bと清掃対象面との間にある、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bに捩れを生じさせ、清掃対象面上の毛を、捩れた天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bで捕集する。特に、清掃対象面が、カーペットや絨毯等である場合には、カーペットや絨毯を構成する繊維に絡まった人毛やペット等の動物の毛を、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bの捩れにより、容易にカーペットや絨毯から取り除くことができる。その際、カーペットや絨毯を構成する繊維は、人毛やペット等の動物の毛に比べ、非常に細いので、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bの捩れにより巻き取られ難く、カーペットや絨毯を傷め難い。
【0033】
捕集した毛は、基板41の押圧を解除することにより、伸長した天面側弾性糸3aの弾性復元力が作用し、押圧具4が毛捕集掃除具1Aの天面側aに移動するので、天面側弾性糸3aと下面側糸状体3bとの間に指を入れて天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bで捕集した人毛やペット等の動物の毛を、簡単に取り出すことができる。
【0034】
第1実施形態の毛捕集掃除具1Aにおいて、図4に示すように、複数本の天面側弾性糸3a及び複数本の底面側糸状体3bそれぞれが、同一方向に張設固定されている。その為、基板41の清掃面41bを清掃対象面に接触させた状態でスライドさせ、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bに捩れを生じさせる際に、天面側弾性糸3aと下面側糸状体3bとが絡み合い難く、操作性が向上する。特に、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aは、図4に示すように、天面側弾性糸3aが、隣り合う底面側糸状体3b,3bの間に位置するように張設固定されているので、天面側弾性糸3aと下面側糸状体3bとが更に絡み合い難く、更に操作性が向上する。
【0035】
第1実施形態の毛捕集掃除具1Aは、図1〜図3に示すように、各天面側弾性糸3a及び各底面側糸状体3bが、それぞれ弾性糸であり、底面側糸状体3bと天面側弾性糸3aとが連続した輪ゴム状の弾性糸から形成されている。その為、天面側弾性糸3a及び底面側糸状体3bを、X方向に延びる一対の柱体2a,2aそれぞれの天面側aの溝22aと底面側bの溝22bとを通るように架け易く、操作性が向上する。
【0036】
第1実施形態の毛捕集掃除具1Aは、図2〜図4に示すように、基板41の清掃面41bがシート43により覆われている。その為、基板41の清掃面41bを清掃対象面に接触させた状態でスライド移動させる際に、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bに捩れを生じさせ易く、操作性が向上する。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態の毛捕集掃除具について、図5に基づいて説明する。
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bについては、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様であり、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aの説明が適宜適用される。
【0038】
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bは、図5に示すように、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aの溝22a及び溝22bを設けずに、複数個のフック51を有するフック基板5を柱体2aにネジ等により取り付けた点が大きく異なる。以下、具体的に説明する。
【0039】
毛捕集掃除具1Bは、図5に示すように、天面側弾性糸3a及び底面側糸状体3bを張設固定するために、X方向に延びる柱体2a,2aそれぞれの外方側(中心線CLと反対側)の面に、X方向に延びる平板状のフック基板5が設けられており、各フック基板5の天面側a及び底面側bにはそれぞれ、X方向に間欠的に複数個の天面側フック51aと複数個の底面側フック51bが設けられている。天面側フック51aは、天面側弾性糸3aを引っ掛ける部位であり、底面側フック51bは、底面側糸状体3bを引っ掛ける部位である。
【0040】
毛捕集掃除具1Bの天面側弾性糸3aは、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様に、X方向に間欠的に8本配されている。毛捕集掃除具1Bの天面側弾性糸3aは、輪ゴム状の弾性糸から形成されており、4個の輪ゴム状の弾性糸それぞれが、X方向に延びる一対の柱体2a,2aの中の一方の柱体2aに設けられた天面側フック51aと他方の柱体2aに設けられた天面側フック51aとの間に架けられて張設されている。毛捕集掃除具1Bは、各柱体2aに輪ゴム状の天面側弾性糸3aの本数に対応した個数の天面側フック51aを有している。
【0041】
毛捕集掃除具1Bの底面側糸状体3bは、天面側弾性糸3aと同様に、X方向に間欠的に8本配されている。毛捕集掃除具1Bの底面側糸状体3bは、輪状の糸状体から形成されており、4個の輪状の糸状体それぞれが、X方向に延びる一対の柱体2a,2aの中の一方の柱体2aに設けられた底面側フック51bと他方の柱体2aに設けられた底面側フック51bとの間に架けられて張設されている。毛捕集掃除具1Bは、各柱体2aに輪状の底面側糸状体3bの本数に対応した個数の底面側フック51bを有している。
【0042】
天面側弾性糸3a同士の間隔は、天面側フック51a自体の幅(X方向の長さ)や、X方向に隣り合う天面側フック51a同士の間隔により、調整することができる。底面側糸状体3b同士の間隔も同様に調整することができる。
【0043】
毛捕集掃除具1Bにおいては、図5に示すように、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様に、天面側弾性糸3aとY方向に延びる一対の柱体2b,2bとの間に、押圧具4の基板41を配すると、天面側弾性糸3aの弾性復元力により、押圧具4の基板41の天面側aの面とY方向に延びる一対の柱体2b,2bそれぞれの底面側bの面とが接した状態で、枠状支持体2と天面側弾性糸3aとの間に押圧具4が保持される。
【0044】
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bの形成材料について説明する。
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bについては、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様である。
【0045】
複数個のフック51を有するフック基板5としては、枠状支持体2及び押圧具4と同様に、木製、金属又は合成樹脂等からなる部材が用いられる。
【0046】
上述した本発明の第2実施形態の毛捕集掃除具1Bを使用した際の作用効果について説明する。
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bは、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様の効果が得られる。以下、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと異なる効果について説明する。
【0047】
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bは、図5に示すように、天面側弾性糸3a及び底面側糸状体3bを張設固定するために、複数個の天面側フック51aと複数個の底面側フック51bとを有するフック基板5を備えている。従って、互いに材質の異なる天面側弾性糸3a及び底面側糸状体3bを、容易に組み合わせて用いることができる。また、4個の輪ゴム状の天面側弾性糸3aは、それぞれの材質が異なる輪ゴム状の弾性糸を、容易に組み合わせて用いることもできる。4個の輪状の底面側糸状体3bについても同様である。
【0048】
第2実施形態の毛捕集掃除具1Bは、天面側弾性糸3aと底面側糸状体3bが別々になっていることにより、天面側弾性糸3a若しくは底面側糸状体3bが劣化して交換が必要な時、どちらか一方だけを交換するだけで済むことも可能で経済的である。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態の毛捕集掃除具について、図6に基づいて説明する。
第3実施形態の毛捕集掃除具1Cについては、第1実施形態の毛捕集掃除具1A又は第2実施形態の毛捕集掃除具1Bと異なる点について説明する。特に説明しない点は、毛捕集掃除具1A,1Bと同様であり、毛捕集掃除具1A,1Bの説明が適宜適用される。
【0050】
第3実施形態の毛捕集掃除具1Cは、図6に示すように、天面側弾性糸3a及び底面側糸状体3bそれぞれが、同一方向に張設固定されていない点が、毛捕集掃除具1Aと異なる。以下、具体的に説明する。
【0051】
毛捕集掃除具1Cの底面側糸状体3bは、図6に示すように、X方向に間欠的に7本配されている。毛捕集掃除具1Cにおいては、X方向に延びる柱体2a,2aそれぞれの底面側bの面に溝22bが形成されている。毛捕集掃除具1Cの各底面側糸状体3bは、張った状態で、その両端部それぞれを柱体2a,2aそれぞれの溝22aに配し、それらの端部を接着剤により固定して、張設されている。毛捕集掃除具1Cの天面側弾性糸3aについても同様に、伸長した状態で、その両端部それぞれを柱体2a,2aそれぞれの溝22aに配し、それらの端部を接着剤等により固定して、張設されている。
【0052】
7本の天面側弾性糸3a及び7本の下面側糸状体3bそれぞれは、図6に示すように、交差するように張設固定されている。天面側弾性糸3aと下面側糸状体3bとが交差するように、毛捕集掃除具1Cの各底面側糸状体3bは、図6に示すように、中心線CLと交差する角度(α)が30°〜90°であることが好ましく、各天面側弾性糸3aは、中心線CLと交差する角度(β)が90°〜150°であることが好ましい。
【0053】
上述した本発明の第3実施形態の毛捕集掃除具1Cを使用した際の作用効果について説明する。
第3実施形態の毛捕集掃除具1Cは、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様の効果が得られる。以下、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと異なる効果について説明する。
【0054】
第3実施形態の毛捕集掃除具1Cは、図6に示すように、天面側弾性糸3aと下面側糸状体3bとが交差するように張設固定されている。その為、天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bが交差する付近において特に捕集性が上がることから、局所的に大量に存在する毛を短時間に効率よく捕集することができる。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態の毛捕集掃除具について、図7に基づいて説明する。
第4実施形態の毛捕集掃除具1Dについては、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、毛捕集掃除具1Aと同様であり、毛捕集掃除具1Aの説明が適宜適用される。
【0056】
第4実施形態の毛捕集掃除具1Dは、図7に示すように、押圧具4の、押圧把持具42が変更されている点が、毛捕集掃除具1Aと異なる。以下、具体的に説明する。
【0057】
毛捕集掃除具1Dの押圧具4は、図7に示すように、基板41の天面側aの中央部に、各種公知のユニバーサルジョイント6を有しており、基板41にはユニバーサルジョイント6を介して柄7が連結されている。合成樹脂製のパイプ部材等からなる柄7は、基板41に対して、360°の何れの方向に対しても回動できるように形成されている。
【0058】
上述した本発明の第4実施形態の毛捕集掃除具1Dを使用した際の作用効果について説明する。
第4実施形態の毛捕集掃除具1Dは、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと同様の効果が得られる。以下、第1実施形態の毛捕集掃除具1Aと異なる効果について説明する。
【0059】
第4実施形態の毛捕集掃除具1Dは、図7に示すように、基板41の天面側aに柄7が連結されており、押圧具4の柄7を介して、枠状支持体2と天面側弾性糸3aとの間に保持された押圧具4の基板41を、張設された天面側弾性糸3aの弾性力に抗して、開口部21の天面側aから底面側bに押圧することにより、基板41の清掃面41bを天面側弾性糸3a及び下面側糸状体3bと共に、清掃対象面に接触させることができる。その為、手の届き難い高い場所や隙間等の清掃対象面を掃除することができると共に、床面に跪くことなく立ったまま掃除をすることができる。
【0060】
第4実施形態の毛捕集掃除具1Dは、柄7の長さを色々と変えることで、子供から大人までちょうど良い高さで立ったまま掃除をすることができる。
【0061】
本発明の毛捕集掃除具は、上述の第1,第2,第3,第4実施形態の毛捕集掃除具1A,1B,1C,1Dに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1,第2,第3,第4実施形態の毛捕集掃除具1A,1B,1C,1Dにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0062】
例えば、上述の第1,第2,第3,第4実施形態の毛捕集掃除具1A,1B,1C,1Dにおいては、図1,図5,図6,図7に示すように、枠状支持体2が、X方向に延びる一対の長方体状の柱体2a,2aとY方向に延びる一対の長方体状の柱体2b,2bとから一体的に形成されているが、これに限らず、枠状支持体2が中央に開口部21を有するように形成されていればよい。
【0063】
また、上述の第1,第2,第3,第4実施形態の毛捕集掃除具1A,1B,1C,1Dにおいては、図2に示すように、基板41の清掃面41bがシート43で覆われているが、シート43で覆われていなくてもよい。
【0064】
また、上述の第1,第2,第3,第4実施形態の毛捕集掃除具1A,1B,1C,1DのX方向に延びる一対の長方体状の柱体2a,2aそれぞれの底面側bの面に、摩擦係数の低いフィルム材を貼り付けたり、また摩擦係数の低くなるような剤を塗工したり、球面状突起物を取り付けたり等の滑り易いような加工を施していてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C,1D 毛捕集掃除具
a 天面側、 b 底面側
2 枠状支持体
2a X方向に延びる長方体状の柱体
2b Y方向に延びる長方体状の柱体
21 開口部
22a 天面側の溝
22b 底面側の溝

3a 天面側弾性糸
3b 底面側糸状体
4 押圧具
41 基板
41b 清掃面
42 押圧把持具
42a ストッパー
43 シート
5 フック基板
51a 天面側フック
51b 底面側フック
6 ユニバーサルジョイント
7 柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に開口部を有する枠状支持体と、該枠状支持体の該開口部の天面側に間欠的に張設固定される複数本の天面側弾性糸と、該枠状支持体の該開口部の底面側に間欠的に張設固定される複数本の底面側糸状体と、該枠状支持体の該開口部内に保持され天面側と底面側との間を移動可能な押圧具とを備える毛捕集掃除具。
【請求項2】
前記押圧具は、基板と押圧把持具とを有し、該基板の底面側には清掃面が設けられ、該基板の天面側には前記押圧把持具が設けられており、
前記基板を、前記天面側弾性糸の弾性力に抗して、前記開口部の天面側から底面側に、前記押圧把持具を介して押圧することにより、前記清掃面を複数本の前記天面側弾性糸及び前記下面側糸状体と共に清掃対象面に接触させた状態を維持しつつ、前記清掃面を前記下面側糸状体を配した方向と交差する方向に移動させて前記清掃対象面上の毛を捕集し、前記押圧を解除することにより、捕集した毛を取り出すことが可能な、請求項1に記載の毛捕集掃除具。
【請求項3】
複数本の前記天面側弾性糸及び前記下面側糸状体それぞれは、同一方向に張設固定されている請求項1又は2に記載の毛捕集掃除具。
【請求項4】
前記天面側弾性糸は、隣り合う前記下面側糸状体同士の間に位置するように張設固定されている請求項3に記載の毛捕集掃除具。
【請求項5】
前記底面側糸状体は弾性糸であり、該底面側糸状体と前記天面側弾性糸とが連続している請求項1〜3の何れかに記載の毛捕集掃除具。
【請求項6】
複数本の前記天面側弾性糸及び前記下面側糸状体それぞれは、交差するように張設固定されている請求項1に記載の毛捕集掃除具。
【請求項7】
前記清掃面はシートで覆われており、該シートは摩擦力の高いエラストマーから形成されている請求項1〜5の何れかに記載の毛捕集掃除具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−83492(P2011−83492A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239768(P2009−239768)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)