説明

毛髪化粧料用トレイ及び毛髪化粧料塗布セット

【課題】毛髪化粧料をすくい出しやすくすることのできる毛髪化粧料用トレイ及び毛髪化粧料塗布セットを提供する。
【解決手段】毛髪化粧料用トレイ10には、矩形状の底壁11と、底壁11の周縁からその上面を四方から囲むように延びる4つの側壁12,13,14,15とによって毛髪化粧料の収容空間が形成されている。このうち、側壁15には、底壁11の上面に対して緩やかな角度の傾斜平面が形成されている。このような毛髪化粧料用トレイ10によれば、毛髪化粧料塗布具50のブラシ部60で毛髪化粧料を容易にすくい出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料用トレイ、及び、こうした毛髪化粧料用トレイと毛髪化粧料塗布具とを備える毛髪化粧料塗布セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば二剤混合式の染毛剤や脱色剤などの毛髪化粧料を毛髪に塗布する際には、毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を使用直前に毛髪化粧料用トレイで混合し、毛髪化粧料塗布具を用いて毛髪に塗布することが一般的である。
【0003】
毛髪化粧料塗布具としてはブラシ、コーム、ハケなどが用いられる。ハケは線状(毛状)部材を束ねて塗布部を形成したものであるため、複数の棒状部材で塗布部を形成したブラシやコームに比べて塗布部自体が変形しやすく、毛髪化粧料用トレイから毛髪化粧料をすくい出しやすいという利点があるものの、毛髪に塗布した毛髪化粧料を必要以上にそぎ取ってしまうため、塗布性に問題があった。
【0004】
この点、ブラシやコームであれば毛髪化粧料が適度に毛髪に残るため塗布性は良好であるが、毛髪化粧料用トレイから毛髪化粧料をすくい出しにくいという問題があった。
そこで、毛髪化粧料塗布具におけるブラシ部の外形と整合する形状の溝部を形成した毛髪化粧料用トレイが提案されている(特許文献1参照)。このような毛髪化粧料用トレイを用いれば、毛髪化粧料を溝部に集めることで、平らな面に集める場合に比べて毛髪化粧料を高く堆積させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−114881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のように毛髪化粧料用トレイに溝部を形成したものでは、毛髪化粧料塗布具を用いて毛髪化粧料をすくい出す前に毛髪化粧料を溝部に集める作業が必要となるため使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、毛髪化粧料をすくい出しやすくすることのできる毛髪化粧料用トレイ及び毛髪化粧料塗布セットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の毛髪化粧料用トレイは、底壁と、底壁の周縁からその上面を囲むように延びる側壁とによって毛髪化粧料の収容空間が形成されたものである。そして、この毛髪化粧料用トレイは、側壁として、底壁の上面から120〜170°の角度で傾斜した傾斜平面を形成する側壁を備える。
【0009】
このような毛髪化粧料用トレイによれば、従来の毛髪化粧料用トレイに形成される側面に比べて傾斜が緩やかな傾斜平面が形成されているため、ブラシやコームにより毛髪化粧料を塗布する毛髪化粧料塗布具であっても収容空間の毛髪化粧料を傾斜平面に沿って容易にすくい出すことができる。
【0010】
ところで、傾斜平面に沿って毛髪化粧料をすくい出した際に、余分にすくい出された毛髪化粧料がそのままトレイの外へ流れ出てしまうことが考えられる。そこで、例えば請求項2に記載の毛髪化粧料用トレイでは、傾斜平面の上端に段部が形成されている。このような毛髪化粧料用トレイによれば、傾斜平面を登った毛髪化粧料がいったん段部に溜まるため、毛髪化粧料塗布具を用いて余分にすくい出された毛髪化粧料がそのままトレイの外へ流れ出てしまうことを防ぐことができる。
【0011】
次に、請求項3に記載の毛髪化粧料塗布セットは、請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料用トレイと、先端が同一直線上又は同一平面上に位置する複数の棒状部材を有する塗布部が形成された毛髪化粧料塗布具とを備えるものである。このような毛髪化粧料塗布セットによれば、毛髪化粧料塗布具のコーム又はブラシの先端を傾斜平面に当接させつつ毛髪化粧料を効率よくすくい出すことができる。
【0012】
特に、例えば請求項4に記載のように、毛髪化粧料塗布具が、長尺状の部材であって長尺方向先端位置にコーム又はブラシが形成されており、長尺方向に渡って全体的に湾曲した形状であれば、毛髪化粧料をすくい出す際に毛髪化粧料用トレイの側壁と干渉しにくくすることができる。
【0013】
加えて、例えば請求項5に記載のように、毛髪化粧料塗布具の側面に長尺方向に沿って直線状の部分が形成されていれば、その直線状の部分をヘラとして用いることにより、傾斜平面に残存した毛髪化粧料をすくい出しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の毛髪化粧料用トレイの斜視図である。
【図2】実施形態の毛髪化粧料用トレイの外観形状の説明図であり、(a)は平面図、(b)は短手方向に沿って見た側面図、(c)は長手方向に沿って見た側面図である。
【図3】実施形態の毛髪化粧料塗布具の斜視図である。
【図4】実施形態の毛髪化粧料塗布具の外観形状の説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図5】変形例の毛髪化粧料塗布具の側面形状の説明図であり、(a)はヘラ部の湾曲内側に溝部を形成したもの、(b)はヘラ部が湾曲内側に膨らんだ形状のものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は実施形態の毛髪化粧料用トレイ10の斜視図である。また、図2はこの毛髪化粧料用トレイ10の外観形状の説明図であり、(a)は平面図、(b)は短手方向に沿って見た側面図、(c)は長手方向に沿って見た側面図である。また、図3は実施形態の毛髪化粧料塗布具50の斜視図である。また、図4はこの毛髪化粧料塗布具50の外観形状の説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【0016】
毛髪化粧料用トレイ10は、二剤混合式の染毛剤や脱色剤などの毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を混合する容器として用いられるものであり、第1剤及び第2剤が充填された2つのチューブ容器(図示せず)や、毛髪化粧料の混合及び毛髪への塗布に用いる毛髪化粧料塗布具50等とともに、外箱に収容された状態で(セットで)流通する。
【0017】
この毛髪化粧料用トレイ10は、合成樹脂(例えばポリプロピレン)製のシートを金型で容器状に成型することにより、毛髪化粧料の収容空間が形成されたものである。具体的には、矩形状(詳細には後述する側壁14側の幅を側壁15側に比べて狭くした形状)の底壁11と、底壁11の上面を四方から囲むようにその周縁から上方へ延びる4つの側壁12,13,14,15とによって毛髪化粧料の収容空間が形成されている。また、側壁12,13,14,15の上端部には、剛性を高めるための鍔部16が形成されている。
【0018】
そして、4つの側壁12,13,14,15のうち、1つの側壁15は、他の側壁12,13,14に比べて緩やかな角度で延びており、側壁15の内面(収容空間側の面)には、底壁11の上面に対して緩やかな角度の傾斜平面が幅方向全域に形成されている。なお、底壁11の上面に対する傾斜平面の角度は120〜170°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは125〜155°、更に好ましくは130〜150°の範囲内であることが好ましい。本実施形態では132°(換言すれば48°の勾配)としている。
【0019】
また、この側壁15における傾斜平面の上端には、鍔部16の形成位置よりも低い位置に、傾斜平面の上端から底壁11と平行に延びる段部31が形成されており、段部31は上方へ延びる段部側壁32を介して鍔部16と連結されている。
【0020】
この段部31における短手方向の両側には、短手方向に沿った複数(この例では各2本)の溝からなる溝部31aが形成されている。また、段部側壁32の上部には、上下方向に沿った複数の溝からなる溝部32aが形成されている。さらに、長手方向に沿った2つの側壁12,13のそれぞれには、段部31側の上部に上下方向に沿った複数(この例では各4本)の溝からなる溝部12a,13aが形成されている。
【0021】
なお、底壁11には、底壁11における4箇所の点を下向きに突出させることにより4つの足11a,11b,11c,11dが形成されている。また、毛髪化粧料用トレイ10の外面にはシボ加工が施されている。
【0022】
一方、毛髪化粧料塗布具50は、毛髪化粧料を毛髪(特に生え際やヒゲなどの短い毛髪)に塗布するためのものである。具体的には、この毛髪化粧料塗布具50は、可撓性を有する長尺板状の部材であって、側面視(図4(b))で長尺方向に渡って全体的にやや湾曲した形状となっており、長尺方向の一端にはブラシ部60が形成されている。また、長尺方向中央部にはつまみ部80が形成されており、ブラシ部60とつまみ部80とはヘラ部70を介して連結されている。さらに、つまみ部80を挟んだヘラ部70の反対側には柄部90が形成されている。なお、これらブラシ部60、ヘラ部70、つまみ部80及び柄部90は、合成樹脂により一体成型されている。
【0023】
つまみ部80は、毛髪化粧料塗布具50の使用時に指(例えば親指と人差し指)でつまんで持つための部分である。このつまみ部80は、側面視で湾曲内側(図4(b)でいう下方)に板厚が膨らんだ形状(幅方向の厚みは一定)となっており、ヘラ部70や柄部90に比べて板厚が厚く形成されている。なお、つまみ部80の厚み(つまみ部80において最も厚い部分の厚みの意味。以下同じ。)は3.0〜10.0mmの範囲内であることが好ましく、本実施形態では5.0mmとしている。
【0024】
また、つまみ部80は、平面視(図4(a))で長尺方向中央へ向かって徐々に幅が狭くなるように形成されており、そのくびれ部には複数本(この例では5本)の線状凸部からなる滑り止め81が全周に渡って形成されている。さらに、つまみ部80の外面(湾曲外側の面)82には、長尺方向に沿って幅方向中央部に凹んだ凹部83が形成されている(図3の部分拡大図参照)。
【0025】
一方、ヘラ部70は、平面視で矩形状(詳細にはつまみ部80側からブラシ部60側に向かって徐々に幅が狭くなる形状)の平板状の部分であり、板厚が一定であってつまみ部80よりも板厚が薄く、ブラシ部60に外力が加わった際に撓むことで皮膚への刺激を緩和する役割を果たす。
【0026】
なお、ヘラ部70の幅及び厚みはそれぞれ15.0〜25.0mm、1.0〜3.0mmの範囲内であることが好ましく、本実施形態では、幅狭部(ブラシ部60側)の幅及び厚みをそれぞれ18.5mm、1.7mmとし、幅広部(つまみ部80側)の幅及び厚みをそれぞれ20.0mm、1.7mmとしている。ここで、ヘラ部70の厚みに対する幅の比(幅/厚み)は、6.0〜25.0(好ましくは8.0〜20.0)の範囲内であることが好ましく、本実施形態では幅狭部が10.9(=18.5/1.7)、幅広部が11.7(=20.0/1.7)となっている。また、ヘラ部70を良好に撓ませるには、ヘラ部70の厚みに対するつまみ部80の厚みの比が1.1〜10.0(好ましくは2.0〜8.0)の範囲内であることが好ましく、本実施形態では2.94(=5.0/1.7)となっている。
【0027】
また、ヘラ部70は、その外面(湾曲外側の面)71の面積が広いため、毛髪に塗布した毛髪化粧料を伸ばすのに適している。また、その側面72が直線状に形成されているため、毛髪化粧料用トレイ10に残った毛髪化粧料をすくい取りやすい。
【0028】
一方、ブラシ部60は、ヘラ部70よりも板厚を増した平板状の基台部61と、基台部61における先端側の板厚面から先端の延長方向(長尺方向)へ延びる複数(本実施形態では7本×2列=14本)の棒状部材62,62,…とからなる。なお、基台部61の厚みは3.0〜7.0mmの範囲内であることが好ましく、本実施形態では4.5mmとしている。また、ヘラ部70を良好に撓ませるには、ヘラ部70の厚みに対する基台部61の厚みの比が1.0〜7.0の範囲内であることが好ましく、本実施形態では2.65(=4.5/1.7)となっている。
【0029】
また、基台部61は、ヘラ部70に対して湾曲内側に折曲されている。なお、ヘラ部70に対する基台部61の折曲角度は100〜170°の範囲内であることが好ましく、本実施形態では146°に設定されている。
【0030】
棒状部材62,62,…は、同一形状同一長さであって互いに平行に複数突出しており、先端が同一平面上に位置する。ここで、幅方向端部の棒状部材62は、基台部61の板厚面における幅方向最端部に形成されている。つまり、棒状部材62、基台部61及びヘラ部70の幅方向端部が平面視で直線状に(段差を設けずに)形成されており、毛髪化粧料用トレイ10に残った毛髪化粧料を毛髪化粧料塗布具50の側面ですくい取りやすくなっている。
【0031】
また、側面視においても同様に、棒状部材62は、基台部61の板厚面における厚み方向最端部に形成されている。つまり、棒状部材62及び基台部61の厚み方向端部が側面視で直線状に(段差を設けずに)形成されており、ヘラ部70の外面71で毛髪化粧料を毛髪に塗布する際に基台部61の先端角部で毛髪化粧料がそぎ取られにくくなっている。
【0032】
一方、柄部90は、つまみ部80を指でつまんだ際に他の指や手のひらに当接することで毛髪化粧料塗布具50を安定的に把持できるようにするための部分であり、平面視で矩形状(詳細にはつまみ部80側から先端部91側に向かって徐々に幅が狭くなる形状)の板状(若干湾曲した曲板状)に形成されている。また、柄部90は、先端部91がヘラ部70よりも幅が狭く形成されているため、毛髪に塗布した毛髪化粧料を細かな部分に伸ばすのに適している。特に、柄部90は、板厚が一定であってつまみ部80よりも板厚が薄いため、柄部90の先端部91に外力が加わった際に撓むことで皮膚への刺激が緩和される。
【0033】
なお、柄部90の幅及び厚みはそれぞれ10.0〜16.0mm、1.0〜3.0mm(幅/厚み=3.3〜16.0)の範囲内であることが好ましく、本実施形態では、幅狭部(先端側)の幅及び厚みをそれぞれ10.5mm、1.5mmとし、幅広部(つまみ部80側)の幅及び厚みをそれぞれ15.0mm、1.5mmとしている。また、柄部90を良好に撓ませるには、柄部90の厚みに対するつまみ部80の厚みの比が1.1〜10.0の範囲内であることが好ましく、本実施形態では3.33(=5.0/1.5)となっている。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の毛髪化粧料用トレイ10によれば、底壁11の上面に対して緩やかな角度の傾斜平面が形成されているため、ブラシ部60により毛髪化粧料を塗布する毛髪化粧料塗布具50であっても収容空間の毛髪化粧料を傾斜平面に沿って容易にすくい出すことができる。特に、傾斜が平面で形成されているため、曲面で形成されている場合に比べ、底壁11と側壁15とによって形成される曲げRを小さくすることができ、落下等により凹みにくくすることができる。しかも、傾斜平面の上端に段部31が形成されており、傾斜平面を登った毛髪化粧料がいったん段部31に溜まるようにしているため、毛髪化粧料塗布具50を用いて余分にすくい出された毛髪化粧料がそのままトレイの外へ流れ出てしまうことを防ぐことができる。
【0035】
また、底壁11には、下向きに突出した4つの足11a,11b,11c,11dが形成されているため、毛髪化粧料用トレイ10を載置した際に滑りにくくすることができる。さらに、毛髪化粧料用トレイ10の外面はシボ加工が施されているため、毛髪化粧料用トレイ10を手に持って使用した場合にも手から滑り落ちにくくすることができる。加えて、段部31の近傍には溝部12a,13a,31a,32aにより滑り止めが形成されているため、毛髪化粧料用トレイ10を指でつまんで持った場合にも滑りにくくすることができる。しかも、段部31の溝部31aにより傾斜平面を登った毛髪化粧料が段部31に保持されやすくすることができる。
【0036】
一方、本実施形態の毛髪化粧料塗布具50では、ブラシ部60により毛髪化粧料を毛髪に塗布するため、ハケのように毛髪に塗布した毛髪化粧料を必要以上にそぎ取ってしまうことがなく、効率よく塗布することができる。特に、棒状部材62,62,…の先端が同一平面上に位置するため、棒状部材62,62,…の先端を傾斜平面に当接させつつ毛髪化粧料を効率よくすくい出すことができる。しかも、ブラシ部60がヘラ部70に対して湾曲内側に折曲されているため、極力腕を上げずに自然な持ち方で塗布作業を行うことができる。
【0037】
また、この毛髪化粧料塗布具50では、ブラシ部60とつまみ部80とがこれらに比べて板厚の薄いヘラ部70によって連結されているため、ブラシ部60により毛髪化粧料を毛髪に塗布する際に、ヘラ部70の適度な撓みを感じつつ毛髪化粧料をしっかりと塗布することができ、皮膚への刺激を緩和することができる。特に、つまみ部80がヘラ部70よりも板厚が厚く形成されているため、毛髪化粧料塗布具50が全体的に撓むのではなく、ヘラ部70を集中的に撓ませることができる。しかも、ヘラ部70の外面を利用して毛髪に塗布した毛髪化粧料を効率よく伸ばすことができる。また、棒状部材62、基台部61及びヘラ部70の幅方向端部が平面視で直線状に形成されているため、直線状の部分をヘラとして用いることにより、傾斜平面に残った毛髪化粧料を容易にすくい取ることができる。
【0038】
また、この毛髪化粧料塗布具50は、長尺方向に渡って全体的に湾曲しているため、毛髪化粧料用トレイ10から毛髪化粧料をすくい出す際に側壁15と干渉しにくくすることができる。特に、つまみ部80が湾曲内側に膨らんでいるため、つまみ部80の湾曲内側の面と柄部90の湾曲外側の面とで把持することにより、柄部90自体の板厚が薄くても厚みのある部材と同様の感覚で把持することができる。また、つまみ部80の外面82における幅方向中央部に長尺方向に沿って凹部83が形成されているため、つまみ部80へ流れてきた毛髪化粧料がつまみ部80の幅方向外側から垂れ落ちないようにガイドすることができる。しかも、凹部に指を置くことでつまみ部80をつまみやすくすることができる。また、つまみ部80には、平面視でくびれ部が形成されており、板厚も厚いため、側面をつまむ場合にも安定して把持することができる。
【0039】
また、この毛髪化粧料塗布具50では、柄部90がヘラ部70よりも幅が狭く、かつ、つまみ部80よりも板厚が薄く形成されているため、その先端部を利用して毛髪化粧料を細かな部分に効率よく伸ばすことができ、その際の皮膚への刺激を緩和することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、毛髪化粧料用トレイ10、底壁11、側壁12,13,14,15及び段部31が、特許請求の範囲の毛髪化粧料用トレイ、底壁、側壁及び段部にそれぞれ相当する。また、毛髪化粧料塗布具50及びブラシ部60が、特許請求の範囲の毛髪化粧料塗布具及び塗布部にそれぞれ相当する。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、傾斜平面の上端に段部31が形成された毛髪化粧料用トレイ10を例示したが、これに限定されるものではなく、段部31を形成しないようにすることも可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、4つの側壁12,13,14,15のうちの1つにのみ傾斜平面が形成されているが、これに限定されるものではなく、2つ以上の側壁に傾斜平面を形成することも可能である。
【0043】
一方、上記実施形態では、棒状部材62,62,…が2列設けられたブラシ部60を塗布部として備える毛髪化粧料塗布具50を例示したが、これに限定されるものではなく、棒状部材を3列以上設けたものとすることも可能であり、逆に、棒状部材を1列のみ設けたもの(コーム)とすることも可能である。そして、コームの場合には棒状部材の先端が同一直線上に位置した形状とすることで、傾斜平面に当接させつつ毛髪化粧料を効率よくすくい出すことができる。
【0044】
また、上記実施形態では、ヘラ部70の厚みを一定に形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、図5(a)に示すように、ヘラ部70の湾曲内側の面に幅方向に沿った溝部73を形成してもよい。このような形状(換言すれば、板厚の異なる板状部が長尺方向に沿って交互に連結された形状)にすれば、溝部73が形成された部分においてヘラ部70をより撓みやすくすることができる。一方、図5(b)に示すように、ヘラ部70の湾曲内側が膨らんだ形状(幅方向の厚みは一定)にすれば、ヘラ部70に指を固定しやすくすることができる。なお、上記実施形態で説明したヘラ部70の厚みに関する好ましい範囲は、ヘラ部70の撓みやすさに関するものであるため、図5(a),(b)のようにヘラ部70の厚みが一定でない場合には、ヘラ部70において最も薄い部分(最も撓みやすい部分)の厚みをヘラ部70の厚みと捉えればよい。なお、この点は柄部90についても同様であり、柄部90の厚みが一定でない場合には、柄部90において最も薄い部分(最も撓みやすい部分)の厚みを柄部90の厚みと捉えればよい。
【0045】
また、上記実施形態では、柄部90が板状に形成された毛髪化粧料塗布具50を例示したが、これに限定されるものではなく、板状以外の厚みのある形状とすることも可能である。
【0046】
さらに、上記実施形態では、毛髪化粧料塗布具50の材質として合成樹脂を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばエラストマーを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
10…毛髪化粧料用トレイ、11…底壁、11a,11b,11c,11d…足、12,13,14,15…側壁、12a,13a,31a,32a…溝部、16…鍔部、31…段部、32…段部側壁、50…毛髪化粧料塗布具、60…ブラシ部、61…基台部、62…棒状部材、70…ヘラ部、71…外面、72…側面、80…つまみ部、81…滑り止め、82…外面、83…凹部、90…柄部、91…先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、前記底壁の周縁からその上面を囲むように延びる側壁とによって毛髪化粧料の収容空間が形成された毛髪化粧料用トレイであって、
前記側壁として、前記底壁の上面から120〜170°の角度で傾斜した傾斜平面を形成する側壁を備えること
を特徴とする毛髪化粧料用トレイ。
【請求項2】
前記傾斜平面の上端には段部が形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用トレイ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料用トレイと、
先端が同一直線上又は同一平面上に位置する複数の棒状部材を有する塗布部が形成された毛髪化粧料塗布具と、
を備えることを特徴とする毛髪化粧料塗布セット。
【請求項4】
前記毛髪化粧料塗布具は、長尺状の部材であって長尺方向先端位置に前記コーム又はブラシが形成されており、長尺方向に渡って全体的に湾曲した形状であること
を特徴とする請求項3に記載の毛髪化粧料塗布セット。
【請求項5】
前記毛髪化粧料塗布具の側面には長尺方向に沿って直線状の部分が形成されていること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の毛髪化粧料塗布セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−212398(P2011−212398A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86104(P2010−86104)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】