説明

毛髪成長促進レーザー治療器

【課題】本発明は、特定波長のレーザー光を用いたLLLTを頭皮に応用することにより、毛髪の生成および成長の促進を期待すると同時に脱毛を防止することを目的とする、毛髪成長促進レーザー治療器に関する。
【解決手段】本発明の毛髪成長促進レーザー治療器は、例えば、レーザー光だけでなく、超低周波数の機械的振動を頭皮に印加することにより、2種のエネルギーの相乗作用を期待すると同時に、発光素子を櫛状の突起の先端に装着することで光エネルギーが頭皮の残留毛髪によって遮断されることを防止し、かかる突起を有するアプリケーターを頭部の曲率に合わせて変形可能なように可撓性を有することにより、光エネルギーと振動エネルギーの伝達効率を高め、頭皮に供給される光エネルギーと振動エネルギーを計測する手段を備えることで最適制御が可能であり、アプリケーターをヘッドセット型の着用具に付着させてより簡便に着脱可能にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪成長促進レーザー治療器に係り、特に、低出力のレーザー光と機械的振動を頭皮に照射して頭皮の細胞組織を活性化することにより、毛髪の発毛促進、成長促進および脱毛防止などを実現することができるようにした、毛髪成長促進レーザー治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、皮膚の付属器官であり、発生学的には表皮から変化したものであるため、寿命があり、新陳代謝を行う。毛の寿命は、新生−成長−退行−脱落の過程を踏むが、その周期は健康な状態では5〜6年である。
【0003】
従って、豊かな頭髪を保つためには毛髪の寿命が長くなければならず、脱毛の後には直ちに新生毛が誕生して成長を始めることができなければならない。
【0004】
近年、特定波長の光線を生体組織に照射すると、その部位の新陳代謝が促進され、且つ、組織の機能が活性化されるということが知られるようになり、低出力レーザー療法(Low Level Laser Therapy、以下「LLLT」という。)が開発されていることが公知になっている。
【0005】
低出力レーザー療法には、一般に、波長600μm〜1300μmおよびエネルギー強度10〜1000mW/cmのレーザー光を使用する。
【0006】
この領域の光は、生体に照射すると、生体組織内に浸透して細胞の分子を励起することにより、毛細血管の生成増加、血液の酸素担持量の増加、コラーゲンとATP(Adenosine Triphosphate)の生成促進、リンパ流の活動増加、肉芽発生(tissue granulation)の促進、食作用(phageocytosis)の活性化などの効果を示すことが公知になっている。
【0007】
毛は毛幹と毛根からなっており、毛根の基部にある毛乳頭には毛細血管と神経が延長されており、栄養分と酸素の供給を受けて毛の発生と成長を管掌する。
【0008】
したがって、前記レーザー光を頭皮に照射すると、光エネルギーが真皮組織と皮下組織とに浸透し、毛根を含む各種細胞組織を活性化し且つ新陳代謝を促進させて発毛が促進され、毛の成長が活発になり、毛の寿命も延長され、その結果として頭髪の損失(脱毛)および退色(白髪化)が防止されるとともに新生毛の発毛に役に立つため、患者が脱毛症の治癒だけでなく、常に健康で豊かな頭髪の保有を可能にする。
【0009】
LLLTのための光源としては、一般に、レーザーダイオード(以下「LD」という。)のコヒーレント(coherent)光を使っているが、最近では、同じ波長領域の発光ダイオード(以下、「LED」という。)もほぼ同等の効果があることが知られ、単独でまたはLDと組み合わせてLLLTに応用されている。
【0010】
一方、生体組織に超低周波数の微弱な振動を与えると、その機械的刺激によって血流の増加や組織温度の上昇、交感神経系の活性化などの効果が現れ、結果としてその部分の新陳代謝を促進し且つ機能を活性化するということも公知になっている。
【0011】
従って、この方法を頭皮に適用する場合、やはり毛髪の育毛に寄与するが、このときの振動数は約1〜数10Hzの範囲であり、その強度は0.3〜2W/cmの範囲であることが知られている。
【0012】
前記2つの療法は、治療が非侵襲性(non−invasive)かつ非投薬性であり、無痛療法に属するうえ、副作用もないことが特徴となっており、特にこの2つの療法を同時に適用すると、互いの相乗作用によって治療効果を高めることができるものと解釈されている。
【0013】
LLLTと振動療法を同時に発毛の促進に応用した先行技術としては、韓国登録実用新案公報第20−335313号および同第20−0426924号がある。
【0014】
韓国登録実用新案公報第20−335313号では、LLLTのための1つのLDと遠赤外線療法のための複数の遠赤外線LEDと1つの振動モーターを装着した櫛(comb)状の手動式アプリケーターが提案されており、韓国登録実用新案第20−0426924号では、複数のLDおよび複数の振動モーターをヘルメット内に装着した固定型のアプリケーターが提案されている。
【0015】
これらの2つの先行技術は双方とも、LDによるLLLTと振動モーターによる機械的刺激効果を頭皮組織の活性化に適用したものではあるが、提示されたアプリケーター構造では、各発光素子から放出された光線が毛髪に遮られ、頭皮に到達するエネルギーが大幅減衰する可能性があり、モーターの振動エネルギーも毛髪のクッション作用によって頭皮に及ぶ刺激効果が減少するおそれがある。
【0016】
これらの先行技術では、多数の遠赤外線LDまたはLEDを使用するため、発熱が相当であろうと予想されるうえ、電力消費も相対的に大きいであろう。
【0017】
頭皮は、堅固な頭蓋骨上に数mmの厚さで形成されており、機械的または熱的刺激を正確に知覚することができない特性があることが公知になっている。
【0018】
従って、患者は、施術中にも発光素子による発熱または振動モーターによる機械的衝撃の強度を十分認識することができず、特に照射量が過多であるときの火傷または機械的損傷を正確に知覚することができない。
【0019】
このため、治療中では、頭皮の発熱状態と衝撃加速度を実時間にて測定して照射光のエネルギーと振動の大きさを最適に制御し、安全監視を行う必要があるが、先行技術のアプリケーターではこの点については考慮されていない。
【0020】
毛髪は、皮膚の付属器官であって、発生学的には表皮組織から変化したもので、その誕生と成長は全的に皮膚組織の健康状態に拠っていることが知られている。
【0021】
LLLTのためのレーザー光が頭皮に照射されると、内部に浸透した光エネルギーは毛根とその付近の細胞組織の機能を活性化することが公知になっている。
【0022】
光は、波長が長ければ長いほど透過距離は長くなるが、頭皮が約2〜4mm以下の厚さを持っているので、それ以上の透過深さは必要としない。
【0023】
波長が長くなって赤外線領域になると、発熱作用が大きくなって細胞組織の熱的損傷が懸念されるだけであり、LLLTのための光化学作用は増加しない。
【0024】
従って、頭皮のLLLTによる毛髪の育成のためには、出来る限り1000nm以下の波長を使用することが好ましい。
【0025】
LLLTのための光波は、必ずしもコヒーレントなレーザー光を必要とせず、同一波長帯のLEDの光でも相当水準の光化学効果を期待しうることが報告されている。
【0026】
従って、単位面積当たりの使用個数を増やし且つ光の照射時間を増加させると、LEDもLDと同等水準の治療効果を得ることができるので、相対的に高価で取扱いが不便なLDに固執する必要はない。
【0027】
頭皮に対するLLLTを施術するにおいて、もう一つの問題点は、頭皮は脱毛が激しい場合を除いては毛髪で覆われていることである。
【0028】
従って、従来の方式では、LLLTのための光線を照射しても毛髪によって妨害され、光エネルギーは頭皮の表面に到達することができない。
【0029】
この問題は、振動エネルギーの場合も同様であって、振動素子の振動エネルギーは頭皮に伝達される前に毛髪束の緩衝作用によって減衰するため、十分な振動エネルギーが頭皮に伝達されない。
【0030】
従って、頭皮に光線または振動エネルギーを照射するときは、既存の毛髪束によって妨害されることなく光線または振動エネルギーを頭皮に直接供給することが可能な構造を持つアプリケーター(applicator)が必要とされる。
【0031】
他の問題点は、頭皮に対してLLLTと振動療法を同時に適用する際にアプリケーターをハンドヘルド型(hand held type)にするか、或いは固定型(fixed type)にするかを選択しなければならないということである。
【0032】
LLLTまたは振動療法において、光または振動エネルギーの適正照射量は、患者の体質や健康状態、頭皮組織および毛髪の状態、環境条件などの変数によって異なる。よって、施術者は、所定の照射量を所定の部位に正確に照射しなければならないが、これはハンドヘルド型アプリケーターでは難しい。
【0033】
従って、照射しようとする部位に正確に固定させて一定の時間照射することが可能な固定式アプリケーターが好まれる。
【0034】
ところが、このような固定式装具は、一般に体積が大きく、脱着が不便であるため、より軽量で脱着が便利な装具構造が希求されてきた。
【0035】
もう一つの問題点は、患者が必要とする光と振動エネルギーの所要照射量が、患者個々の体質、健康状態、頭皮組織および毛髪の状態、環境条件などの変数によって異なるため、このような変数から臨床的に求められた最適の照射量を算出する必要があるということである。
【0036】
このためには、各条件による全ての変数を予め入力しておき、所定のルーチンにしたがって最適の照射量を算出し、これに基づいて発光素子と振動素子の出力を制御する構造を必要とする。
【0037】
また、照射表面の温度と刺激状態を持続的に測定してアプリケーターの照射出力が常に最適条件に保たれるようにする実時間フィードバック制御(feed−back control)装置も備える必要がある。
【0038】
最後に、この全ての運用を専門知識のない施術者でも容易に作動させることが可能な応用プログラムを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
本発明が解決すべき技術的課題は、頭皮に光エネルギーと機械的振動エネルギーを印加することにより、毛髪の発育を促進し且つ脱毛を防止することが可能な最善の手段を開発することにある。
【0040】
具体的には、発光素子の波長を出来る限り近赤外線以下に限定して発熱現象を防止すると同時に、発光素子の出力光が頭髪によって遮断されることなく円滑に頭皮まで到達し得るようにする技術を考案する必要がある。
【0041】
また、振動素子の振動エネルギーも頭髪によって減衰せず頭皮に直接伝達されるようにする必要があり、使用中に過振動により頭皮の損傷がないように自動制御する技術も考案しなければならない。
【0042】
本発明の別の課題は、アプリケーターユニットをヘルメット型またはヘッドセット型の装具に装着することにより、脱着容易で使用し易い、相対的に廉価の毛髪成長促進レーザー治療器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0043】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、発光素子、温度センサー、圧力センサーなどを多数の円錐形突起(Cone Shaped Pin)の先端に付着させて可撓性のアプリケーター面にアレイ状に配置した後、使用の際にはこれをヘルメットなどの適切な着用具に付着させて頭部に被せるようにする技術を提案している。
【0044】
また、本発明は、前記アプリケーターに駆動電力を供給し、その動作を監視しながら最適モードで作動できるようにする技術もあわせて提示している。
【0045】
また、本発明は、発光素子の波長と出力を頭皮の特性に合わせて提案することにより、無駄な発熱を減少させる技術もあわせて提案している。
【0046】
また、本発明は、患者の頭部に簡単に装着することが可能な構造でありながら、発光素子と振動素子の出力エネルギーが周囲環境の影響を受けず確実に頭皮へ伝達できるようにする構造体を実現する技術を提案している。
【発明の効果】
【0047】
上述した解決方法により、患者が前記着用具を頭部に着用すると、アプリケーター面に設けられた多数の突起が毛髪をかき分けて頭皮に直接接触するので、その先端に付着している発光素子は毛髪束によって妨害されることなく頭皮を照射することができる。
【0048】
また、同じ理由で、振動素子の振動エネルギーも毛髪束によって減衰することなく頭皮に加えられ得るという有利な効果がある。
【0049】
また、頭皮の厚さと光波の透過特性を考慮して発光素子の波長領域を1000nm以下に制限することにより、発熱現象を防止し且つ光エネルギーの無駄な浪費を防止することができる。
【0050】
前述したような方法を講じることにより、本発明は、同じ治療効果を達成するために必要な電力量を減少させることができ、電源装置の簡略化および軽量化を実現することもできる。
【0051】
また、本発明で開発されるアプリケーターユニットは、ヘルメット、またはヘッドセット型の頭部着用具に簡便に装着することを可能にすることにより、脱着容易で使用し易い、相対的に廉価の毛髪成長促進レーザー治療器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器を示す断面図である。
【図2】図2は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器を頭部に着用した状態を示す図である。
【図3】図3は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットを示す図である。
【図4】図4は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットの変形例を示す図である。
【図5】図5は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットの構造を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットの突起部分を拡大して示す断面図である。
【図7】図7は本発明のアプリケーターユニットの発光素子と突起を示す図である。
【図8】図8は本発明の発光素子の光が毛髪に妨害されることなく頭皮組織に照射される様子を示す説明図である。
【図9】図9は本発明の振動素子の振動エネルギーが毛髪に妨害されることなく頭皮組織に与えられる様子を示す説明図である。
【図10】図10は本発明のアプリケーターユニットのプリント基板上に配列された発光素子と振動素子のための電源供給回路を示す回路図である。
【図11】図11は本発明の毛髪成長促進レーザー治療器の電源/制御ユニットを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の目的、利点および他の特徴は、添付図面を参照する次の説明からさらに明確に理解されるであろう。
【0054】
以下、本発明の好適な実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0055】
図1は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器を示す断面図であり、図2は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器を頭部に着用した状態を示す図であり、図3は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットを示す図であり、図4は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットの変形例を示す図である。
【0056】
図5は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットの構造を示す断面図であり、図6は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器におけるアプリケーターユニットの突起部分を拡大して示す断面図であり、図7は、本発明のアプリケーターユニットの発光素子と突起を示す図である。
【0057】
図8は、本発明の発光素子の光が毛髪に妨害されることなく頭皮組織に照射される様子を示す説明図であり、図9は、本発明の振動素子の振動エネルギーが毛髪に妨害されることなく頭皮組織に与えられる様子を示す説明図である。
【0058】
図10は、本発明のアプリケーターユニットのプリント基板上に配列された発光素子と振動素子のための電源供給回路を示す回路図であり、図11は、本発明の毛髪成長促進レーザー治療器の電源/制御ユニットを示すブロック図である。
【0059】
本発明の毛髪成長促進レーザー治療器は、図1に示すように、弾性プラスチック素材で製作されたアプリケーターユニット100をヘルメット型着用具500の内部に付着させた構造を有しており、使用の際には、前記ヘルメット型着用具500を図2に示すように患者の頭部に装着し、電源/制御ユニット200を作動させて頭皮に所定の光エネルギーと機械的振動エネルギーを加える。
【0060】
着用具500は、前記アプリケーターユニット100を患者の治療部位に固定させることができるが、様々なタイプ、例えばヘルメット型、ヘッドセット型または布袋型などを考えることができる。
【0061】
前記アプリケーターユニット100は、開口した一端が外部を向かうように着用具500に設置されるケース40と、一表面に突起1を有し、ケース40における開口した一端に設置される可撓性プラスチック製のアプリケーターベース板10と、アプリケーターベース板10の後側にケース40の内部に設置されるプリント基板(以下、「PCB」という。)20と、プリント基板20の後側にケース40の内部に設置される振動板30と、振動板30の後側にケース40の内部に設置され、振動板30に振動を加える振動素子6と、から構成される。
【0062】
アプリケーターベース板10の表面に配列されるピン形状の小さい突起1の先端には、それぞれ複数のLD2またはLED3a、3bが設けられており、使用の際にはこれらが頭皮の表面に接触して光エネルギーを照射する。また、前記アプリケーターベース板10の適切な位置には温度センサー5付きの突起1が設けられており、使用の際には頭皮の表面に接触して頭皮の温度を感知する。
【0063】
前記突起1は、治療のためにアプリケーターユニット100を頭部に付着させると、図8および図9に示すように毛髪をかき分けて突起1間の空間に発光素子2、3a、3bを詰め込んで、突起1の先端の発光素子2、3a、3bが毛髪に妨害されることなく直接頭皮に接触できるようにする。
【0064】
前記突起1の高さ(長さ)は、治療対象によって異なるように設定することができるが、例えば、完全脱毛された頭皮(禿げ頭)には数mmの長さで十分であるが、毛髪が多い場合には5mm〜15mm程度に長くして、毛髪が突起1によって効果的にかき分けられて発光素子2、3a、3bからの光線が遮断されることなく頭皮に到達することができるようにする。
【0065】
突起1の配列間隔は、発光素子2、3a、3bの光出力、発散特性、および突起1の長さによって異なるが、約10〜30mmの範囲に維持することが実用的である。
【0066】
毛髪の量が特に多い頭皮に対しては、突起1を図7に示すように櫛状または細い円錐状にして、突起1が毛髪の間に容易に挿入されて発光素子2、3a、3bの光が頭皮に円滑に到達できるようにする必要がある。
【0067】
従って、使用の際にはそれぞれ異なる形態の突起1にアレイ(pin array)を設けたアプリケーターベース板10を数種準備し、治療対象に応じて適切なものを取替装着しうるようにすることが好ましい。
【0068】
全ての突起1は、図8に示すように頭皮に密着しなければならないので、アプリケーターベース板10、PCB20および振動板30は、弾力性の可撓性プラスチック材で製作されて頭部の曲率に応じて変形できるようにする。
【0069】
前述のように、アプリケーターベース板10の裏面には可撓性PCB20が設けられており、全ての発光素子2、3a、3bのリード線は、PCB20に挿入され、可撓性配線によって互いに電気的に接続される。
【0070】
突起1は、図6の断面図に示すように内部が中空の円錐形状をしており、その先端部に発光素子2、3a、3bまたはセンサー5などを挿入し、リード線をPCB20に接続した後、シリコン樹脂7などで中空部を充填した構造で出来ていることが好ましい。
【0071】
前記突起1の胴体は、アプリケーターベース板10にモールディングなどの工法で堅固に固定されており、振動素子6からの振動エネルギーが直接突起1の先端に伝達されるようにする必要がある。
【0072】
アプリケーターベース板10は、図3に示すように必ず一つの基板である必要はなく、連結端子4を挟んで電気的に組み立てられていてもよい。
【0073】
すなわち、照射対象の形態に応じて、図4に示すように2〜4個に分割されて組み立てられることがより便利で経済的であることもある。
【0074】
発光素子2、3a、3bとしては、一般に、LLLT効果の大きいものと公知になっている出力波長600nm〜1300nmのLD2またはLED3a、3bを選択するが、好ましくは600〜1000nmの範囲でそれぞれ異なる波長を有する素子を複数選定し、図3に示すように複合して使用するようにする。
【0075】
この際、発光素子2、3a、3bの出力は、頭皮の表面で電力密度が20〜1000mW/cmとなるものを選択する。また、各発光素子2、3a、3bには適切な発散レンズを取り付け、出力光が出来る限り広く分散するようにすることが好ましい。
【0076】
これらの発光素子2、3a、3bは、出来る限り全ての波長の光エネルギーが照射対象部位に均等に配分できるように、図3の実施例のようにアレイ状に配置する。各素子2、3a、3b間の間隔は、発光素子2、3a、3bの出力と複合数によって決定されるが、好ましくは約10〜30mmの範囲にする。
【0077】
図3は、実施例1の場合を示すものであるが、波長660nmのLED3a、波長880nmのLED3bおよび波長904nmのLD2を面積344cm2のアプリケーターベース板10に配列した例を示す。
【0078】
アプリケーターベース板10の裏面の適切な位置には、1つ以上の振動素子6が設けられており、その出力はアプリケーターベース板10から突起1を介して、図9のように頭皮に伝達される。
【0079】
振動素子6として、振動板30とアプリケーターベース板10に対して1〜数10Hz範囲の振動数の振動を加える機械式または圧電式素子を用いて、好ましくは低速度偏心電動モーターで駆動される機械式振動子を用いて、頭皮に0.3〜2W/cmの範囲の振動エネルギーを印加し得るようにする。
【0080】
振動素子6の設置位置を実施例の図5のようにアプリケーターベース板10の両端に設定することにより、出来る限り頭皮の全面に振動が均一に伝達されるようにすることが好ましい。
【0081】
アプリケーターベース板10上の全ての発光素子2、3a、3bと振動素子6は、図10に示すように互いに直・並列に連結されて電源/制御ユニット200に電気的に接続される。
【0082】
発光素子2、3a、3bは、端子4に接続されたPCB20から駆動電力の供給を受け、振動素子6は、端子4からの連結線を介して駆動電力の供給を受ける。
【0083】
電源/制御ユニット200は、前記全ての素子2、3a、3b、6に電源を供給するための電源部203と、素子2、3a、3b、6の最適制御を担当する制御部201と、を含み、さらにオン/オフ電源スイッチ208、機能切換スイッチ209およびLCD表示板が取り付けられる。
【0084】
機能切換スイッチ209は、各素子2、3a、3b、6に印加される駆動電力を自動および手動の2つのモードに切り換える機能を有する。
【0085】
ここで、手動モードは、作動アレイの選択、オンオフ周期の選択、および振動強度の選択を手動的に行うことが可能なモードであり、自動モードは、発光素子2、3a、3bと振動素子6に対して、作動アレイの選択やオンオフ周期の設定、振動強度の設定、予約および取消機能などが所定のルーチン(routine)によって自動的に行われるモードである。
【0086】
一方、治療中の頭皮の温度を測定するために、アプリケーターベース板10の中央部の付近に温度センサー5を設置する。
【0087】
このセンサー5は、突起1の先端に、発光素子2、3a、3bの代わりに温度感知素子(Temperature Sensing Device)を付着させた構造となっており、使用の際には頭皮の表面に密着し、その密着した地点の温度を感知し、感知された温度を電気信号化して、PCB20を介して電源/制御ユニット200内の制御部201へ伝達する。
【0088】
制御部201では、この信号をデジタル処理した後、マイクロプロセッサとしてのCPU204に伝送し、予め記憶させておいたルーチンにしたがって処理して温度値をLCD表示板上に表示し、上限温度に到達すると、ブザーまたは表示灯を作動させ且つ自動的に振動素子6の駆動回路を遮断する。
【0089】
また、治療中に頭皮が受ける機械的衝撃または振動の大きさを測定するために、振動センサー8をアプリケーターベース板10の適切な位置に設けておく。振動センサー8は、圧電型素子から構成されており、感知した振動を電気信号化して、PCB20を経由して電源/制御ユニット200内の制御部201に伝達する。
【0090】
制御部201では、この信号をデジタル処理した後、CPU204に伝送し、予め記憶させておいたルーチンにしたがって処理するが、この際、振動の強度が限界値に到達すると、ブザーまたは表示灯を作動させ且つ自動的に振動素子6の駆動回路を遮断する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
上述したように、本発明によれば、全ての発光素子をアプリケーターユニットの突起先端に位置させ、直接頭皮に接触し得るようにすることにより、光エネルギーの伝送損失を防止すると同時に、振動モーターからの振動エネルギーの減衰も軽減させることができる。
【0092】
また、治療部位の特徴に合わせて製作したアプリケーターベース板を複数複合してヘッドセット型またはヘルメット型の装具に対して簡便に着脱可能にすることにより、応用に高度の融通性を有する毛髪成長促進レーザー治療器が提供される。
【0093】
その結果、同一の治療効果を達成するために必要な電力量が減少し、電力消費が節減されるうえ、電源装置の簡略化および軽量化の実現が可能となる。
【0094】
このように、より向上した治療機能を有しながらも使用し易い、相対的に廉価の毛髪成長促進レーザー治療器が提供される。
【符号の説明】
【0095】
1 突起
2 LD
3a LED(660nm)
3b LED(880nm)
4 端子
5 温度センサー
6 振動素子
7 シリコン充填剤
8 振動センサー
10 アプリケーターベース板
20 プリント基板
30 振動板
40 アプリケーターケース
100 アプリケーターユニット
200 電源/制御ユニット
201 制御部
203 電源部
204 CPU
208 オン/オフスイッチ
209 機能切換スイッチ
500 着用具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状を成して頭部に着用される着用具と、
先端に発光素子を装着した多数の突起を有し、前記着用具の内部に取り付けられ、前記着用具を頭部に着用する際に前記突起が毛髪をかき分けて頭皮に前記発光素子の光を照射するとともに、前記突起を介して振動を与えるようにしたアプリケーターユニットと、
を含むことを特徴とする、毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項2】
前記アプリケーターユニットは、
開口した一端が外部を向かうように着用具に設置されるケースと、
一表面に突起を有し、前記ケースにおける開口した一端に設置されるアプリケーターベース板と、
前記アプリケーターベース板の後側に前記ケースの内部に設置され、前記発光素子を電気的に搭載するプリント基板と、
前記プリント基板の後側に前記ケースの内部に設置され、前記突起に振動を与えるようにした振動付与手段と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項3】
前記振動付与手段は、
前記プリント基板の後側に前記ケースの内部に設置される振動板と、
前記振動板の後側に前記ケースの内部に設置され、前記振動板に振動を加えて前記突起に振動を与えるようにした振動素子と、
から構成されることを特徴とする、請求項2に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項4】
前記振動素子は、頭皮に0.3〜2W/cmの振動エネルギーを印加し得るように動作することを特徴とする、請求項3に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項5】
前記アプリケーターベース板は、治療の際に前記突起の先端を頭皮に接触できるようにするために変形可能に弾力性を有することを特徴とする、請求項2に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項6】
前記プリント基板と前記振動板は、前記アプリケーターベース板に沿って変形可能に弾力性を有することを特徴とする、請求項5に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項7】
前記アプリケーターベース板は、連結端子を挟んで電気的に組み立てられることを特徴とする、請求項2に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項8】
前記突起は、先端に行くほど傾くように突設されることを特徴とする、請求項1に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項9】
前記突起は、櫛状または円錐状に突設されることを特徴とする、請求項8に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項10】
前記突起は、治療のために頭皮に接触させるときに前記発光素子の周囲の毛髪をかき分けて、前記発光素子の光が毛髪によって遮断されないように、5〜15mmの長さに突設されることを特徴とする、請求項8に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項11】
前記突起は、互いに10〜30mmの間隔をおいて突設されることを特徴とする、請求項1に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項12】
前記発光素子は、レーザーダイオード(LD)および発光ダイオード(LED)の少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項13】
前記レーザーダイオードと前記発光ダイオードは、600nm〜1300nmの出力波長を有することを特徴とする、請求項12に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項14】
前記レーザーダイオードと前記発光ダイオードは、頭皮の表面で電力密度が20〜1000mW/cmとなるように出力することを特徴とする、請求項12に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項15】
前記アプリケーターユニットと電気的に連結され、前記アプリケーターユニットに電源を供給するとともに前記アプリケーターユニットの作動を制御するための電源/制御ユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項16】
前記突起の先端には、前記プリント基板を介して前記電源/制御ユニットと電気的に連結される温度センサーがさらに装着され、
前記温度センサーは、頭皮表面の温度を感知して前記電源/制御ユニットに伝送することを特徴とする、請求項15に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項17】
前記電源/制御ユニットは、前記温度センサーからの温度信号に基づいて温度値を外部に表示し、上限温度に到達すると、警告すると共に前記発光素子の駆動を遮断することを特徴とする、請求項16に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項18】
前記アプリケーターベース板には、前記プリント基板を介して前記電源/制御ユニットと電気的に連結される振動センサーがさらに取り付けられ、
前記振動センサーは、頭皮が受ける機械的衝撃または振動の大きさを測定して前記電源/制御ユニットに伝送することを特徴とする、請求項15に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項19】
前記電源/制御ユニットは、前記振動センサーからの信号に基づいて振動の強度が限界値に到達すると、警告すると共に前記振動素子の駆動を遮断することを特徴とする、請求項18に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。
【請求項20】
前記着用具は、ヘッドセットおよびヘルメットのいずれか一つの形で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の毛髪成長促進レーザー治療器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−523880(P2011−523880A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513426(P2011−513426)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003137
【国際公開番号】WO2009/151286
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510327194)ウォンテクノロジーカンパニーリミテッド (1)
【Fターム(参考)】