説明

毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法

【課題】毛髪束にボリューム感があり、ダメージがない毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法を提供する。
【解決手段】ロッド14に毛髪束10を巻付ける毛髪束巻付け方法において、毛髪束10を扁平状に解き、これを維持しながら毛先11からロッド14に2周以上巻付け可能な位置である上端部12までをコールドペーパー13で包含する工程と、上端部12を水平方向に対して略45度程度に設けるロッド14の円筒下端から略1/3程度の位置の上面に当接して保持する工程と、毛髪束10を円筒下方側に当接させながら巻付け上端部12上方の横下側を通過させて上端部12上に延設させ、更に襷がけ状に当接させながら上端部12上方の横上側を通過させ、円筒上方側に当接させて残り全てを巻き上げる工程と、ロッド14の両端にコールド用ゴム15を引っ掛けて毛髪束10を定置する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪束にパーマネントウェーブを施すための毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法に関し、より詳細には、毛髪束にウェーブをよりボリューム感を持たせて形成することができる毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4を参照しながら、従来の毛髪束巻付け方法を説明する。図4に示すように、従来から美容院等では、頭部の毛髪を1又は複数の毛髪束50にしてこの毛髪束50をロッド51に巻付け、この状態でパーマネント処置して毛髪束50にウェーブ60(図6参照)を付与することが行われている。ロッド51への毛髪束50の従来の毛髪束巻付け方法は、先ず、毛髪束50を把持した状態で側面からこの毛髪束50の全体が櫛に収まるようにして扁平状に解くと共に、この扁平状を維持しながら毛髪束50の毛先からウェーブ60を付与する部分の上端部までをコールドペーパー52で包含している。次いで、コールドペーパー52で包含された毛髪束50は、頭部と毛髪束50の間に水平方向に対して略45度程度になるような傾斜を持たせて設ける円筒状のロッド51の円筒下端から略1/3程度の位置の上面に毛髪束50の毛先を当接させて保持している。次いで、コールドペーパー52で包含された毛髪束50は、扁平状を維持させた状態でロッド52を回動させながら円筒上方側に当接させて重ならないようにしてウェーブ60を付与する部分の上端部までロッド52に巻付けている。
【0003】
そして、ロット52に巻付けた毛髪束50は、ロッド52の両端にコールド用ゴム53を引っ掛けてロッドに定置している。従って、この毛髪束巻付け方法でロッド52に巻付けられた毛髪束50は、毛先側が下方に向かって渦巻き状に巻付けられた状態となっている。
【0004】
次に、図5を参照しながら、上記の従来の毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法を説明する。ここで、図5は従来のパーマネントウェーブ処理方法の工程図である。図5に示すように、従来のパーマネントウェーブ処理方法は、工程(1)として、毛髪を洗髪液で洗髪した後、毛髪束50にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布している。次に、工程(2)として、毛髪束50は、ロッド51に上記の毛髪束巻付け方法で巻付けた後、ロッド51に巻付けられた毛髪束50にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布している。そして、工程(3)として、毛髪束50は、ロッド51に巻付けられた状態で加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、ロッド51に巻付けられた毛髪束50のパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を洗い流している。次に、工程(4)として、ロッド51に巻付けられた毛髪束50には、パーマネントウェーブ用第2剤、又は化粧品処方カーリングローション用第2剤を塗布して所定時間放置した後、ロッド51を毛髪束50から取り外して毛髪を水洗し、ドライヤーでヘアスタイルに応じて乾燥させながら仕上げている。そして、図6に示すように、従来のパーマネントウェーブ処理方法で形成された毛髪束50の形状は、比較的ストレートな感じで、緩やかな曲線を描いて下に垂れ下がったウェーブ60となっている。なお、図6では、毛髪束50のウェーブ60の形状を線図で示している。
【0005】
また、上記と同様な方法の従来のパーマネント処理方法には、ウェーブの特徴を出し過ぎると毛髪のダメージが大きく時間がかかり、ダメージを少なくするとウェーブの特徴が出にくい等を解消するための方法として、毛髪を洗髪する第1の工程と、パーマネントウェーブ用第1剤を塗布する第2の工程と、毛髪をロッドに巻き込む第3の工程と、一定温度で7〜15分間加温又は3〜15分間放置し、テストカールをする第4の工程と、毛髪をロッドに巻いたままの状態で、油分、タンパク質、ゲル又は樹脂の少なくとも一つを含んだ溶液で毛髪に付着したパーマネントウェーブ用第1剤を洗い流す第5の工程と、毛髪に巻かれたロッドに熱を与え、毛髪が乾燥するまで加温する第6の工程と、パーマネントウェーブ用第2剤を毛髪に塗布する第7の工程と、5〜15分間放置後、毛髪からロッドを外し、毛髪に付着したパーマネントウェーブ用第2剤を洗い流す第8の工程と、からなる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
あるいは、従来のパーマネント処理方法には、通電により加熱可能なロッドを用いて、上記と同様な方法でのパーマネントウェーブ処理を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−212214号公報
【特許文献2】特開2004−262798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したような従来の毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法は、次のような問題がある。
(1)従来の毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法や、特開2006−212214号公報で開示されるような毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネント処理方法は、毛髪をロッドの一方の端部から他方の端部に向けて順次巻付けるだけであるので、ウェーブの仕上がりが単純な弱い渦を巻いて下方に垂れ下がった状態となるのみであり、毛髪のボリューム感がなく、ウェーブの特徴が殆ど出ていない状態となっている。
(2)特開2004−262798号公報で開示されるようなパーマネントウェーブ処理方法は、通電により加熱可能なロッドを用いることで、毛髪に強力なウェーブを付与することが期待でき、仕上がった毛髪にアクセントを待たせることができるものの、やはり、毛髪は、ロッドの一方の端部から他方の端部に向けて順次巻付けるだけであるので、ウェーブの仕上がりが単純な渦を巻いて下方に垂れ下がったのみで毛髪のボリューム感の特徴が殆ど出ていない状態となっている。また、このパーマネントウェーブ処理方法は、使用するロッドが通電により加熱可能な状態となっているので、このようなロッドに毛髪を巻付けるのが難しい上に、直接ロッドに接する毛髪をロッドから直接加熱することで毛髪を外から加熱する場合に比べて毛髪へのダメージが起こりやすくなっている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、毛髪束にボリューム感を持たせることができる毛髪へのダメージがない毛髪束巻付け方法及びこれを用いるパーマネントウェーブ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う本発明に係る毛髪束巻付け方法は、頭部の毛髪を1又は複数の毛髪束にして毛髪束にウェーブを付与するためにロッドに毛髪束を巻付ける毛髪束巻付け方法において、毛髪束を把持しながら側面から毛髪束の全体が櫛に収まるようにして毛髪束を扁平状に解くと共に、扁平状を維持しながらウェーブを付与する部分となり、毛髪束の毛先からロッドの外周囲に2周以上巻付け可能な位置である上端部までをコールドペーパーで包含する工程と、コールドペーパーで包含された毛髪束の上端部を、頭部と毛髪束の間に水平方向に対して略45度程度になるような傾斜を持たせて設ける円筒状のロッドの円筒下端から略1/3程度の位置の上面に当接して保持する工程と、扁平状を維持させた状態で毛髪束をロッドの円筒下方側に当接させながら巻付け毛髪束の上端部上方の横下側を通過させて毛髪束の上端部上に延設させ、更に、毛髪束を襷がけ状にロッドに当接させながら毛髪束の上端部上方の横上側を通過させ、ロッドの円筒上方側に当接させて毛髪束の残り全てを重ならないように巻き上げる工程と、ロッドに巻付けた毛髪束をロッドの両端にコールド用ゴムを引っ掛けて傾斜を持たせた状態のままで毛髪束をロッドに定置する工程を有する。
【0010】
ここで、上記の毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法は、頭部の毛髪を1又は複数の毛髪束にして毛髪束にウェーブを付与するためのパーマネントウェーブ処理方法において、毛髪をシリコン系溶剤を含有しない洗髪液で洗髪した後、毛髪束にスポイド容器に収納されたパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布する工程と、毛髪束をロッドに上記の毛髪束巻付け方法で巻付けた後、ロッドに巻付けられた毛髪束にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布する工程と、ロッドに巻付けられた毛髪束の状態で加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、ロッドに巻付けられた毛髪束のパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を洗い流す工程と、ロッドに巻付けられた毛髪束にパーマネントウェーブ用第2剤、又は化粧品処方カーリングローション用第2剤を塗布して所定時間放置した後、ロッドを毛髪束から取り外して毛髪を水洗し、ドライヤーでヘアスタイルに応じて乾燥させながら仕上げる工程を有する。
【0011】
また、上記の毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法は、毛髪束を加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、ウェーブの掛かり具合を確認し、ウェーブの掛かり状態が弱い場合には、再度ロッドに巻付けられた毛髪束にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布して再加熱するテストカールを行う工程を有するのがよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の毛髪束巻付け方法は、毛髪束を把持しながら側面から毛髪束の全体が櫛に収まるようにして毛髪束を扁平状に解くと共に、扁平状を維持しながらウェーブを付与する部分となり、毛髪束の毛先からロッドの外周囲に2周以上巻付け可能な位置である上端部までをコールドペーパーで包含する工程と、コールドペーパーで包含された毛髪束の上端部を、頭部と毛髪束の間に水平方向に対して略45度程度になるような傾斜を持たせて設ける円筒状のロッドの円筒下端から略1/3程度の位置の上面に当接して保持する工程と、扁平状を維持させた状態で毛髪束をロッドの円筒下方側に当接させながら巻付け毛髪束の上端部上方の横下側を通過させて毛髪束の上端部上に延設させ、更に、毛髪束を襷がけ状にロッドに当接させながら毛髪束の上端部上方の横上側を通過させ、ロッドの円筒上方側に当接させて毛髪束の残り全てを重ならないように巻き上げる工程と、ロッドに巻付けた毛髪束をロッドの両端にコールド用ゴムを引っ掛けて傾斜を持たせた状態のままで毛髪束をロッドに定置する工程を有するので、毛髪へダメージを与えることなく毛髪束にボリューム感を持たせることができる毛髪束巻付け方法を提供することができる。
【0013】
請求項1記載の毛髪束巻付け方法を用いる請求項2記載のパーマネントウェーブ処理方法又はこれに従属する請求項3記載のパーマネントウェーブ処理方法は、毛髪をシリコン系溶剤を含有しない洗髪液で洗髪した後、毛髪束にスポイド容器に収納されたパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布する工程と、毛髪束をロッドに上記の毛髪束巻付け方法で巻付けた後、ロッドに巻付けられた毛髪束にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布する工程と、ロッドに巻付けられた毛髪束の状態で加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、ロッドに巻付けられた毛髪束のパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を洗い流す工程と、ロッドに巻付けられた毛髪束にパーマネントウェーブ用第2剤、又は化粧品処方カーリングローション用第2剤を塗布して所定時間放置した後、ロッドを毛髪束から取り外して毛髪を水洗し、ドライヤーでヘアスタイルに応じて乾燥させながら仕上げる工程を有するので、毛髪にダメージがなく、ボリューム感のあるウェーブを備えた毛髪スタイルにすることができるパーマネントウェーブ処理方法を提供することができる。
【0014】
特に、請求項3記載のパーマネントウェーブ処理方法は、毛髪束を加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、ウェーブの掛かり具合を確認し、ウェーブの掛かり状態が弱い場合には、再度ロッドに巻付けられた毛髪束にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布して再加熱するテストカールを行う工程を有するので、意図するボリューム感のあるウェーブを備えた毛髪スタイルにすることができるパーマネントウェーブ処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る毛髪束巻付け方法の説明図、図2は同毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法の工程図、図3は同毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法で形成された毛髪束のウェーブ形状の概念図である。
【0016】
図1(A)、(B)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る毛髪束巻付け方法を説明する。ここで、図1(A)は毛髪束をコールドペーパーで包含した正面図と側面図である。また、図1(B)は毛髪束をロッドに巻付けたときの正面図である。この毛髪束巻付け方法では、頭部の毛髪を1又は複数の毛髪束にして扱っている。そして、毛髪にパーマネントウェーブを付与するために、この毛髪束は、従来から毛髪にパーマネントを施す場合に用いられている耐熱性樹脂等から作製された筒状のロッドに巻付けられるようになっている。図1(A)に示すように、この毛髪束巻付け方法は、先ず、毛髪束10を把持しながら頭部に対して直角方向である側面から毛髪束10の全体が櫛に収まるようにして毛髪束10を扁平状に解いている。そして、毛髪束10には、この扁平状態を維持したままでウェーブ20(図3参照)を付与する部分となり、毛髪束10の毛先11からロッド14(図1(B)参照)の外周囲に2周以上巻付け可能な位置である上端部12までをコールドペーパー13で包含している。なお、ロッド14には、さまざまな形状、直径、長さのものがあるが、毛髪の長さや、所望するウェーブ20の形状等によって最適なものを選択することができる。また、コールドペーパー13は、浸透性と、耐熱性を有したペーパーであって、毛髪束10にパーマネントを施す場合に従来から用いられている。
【0017】
次に、図1(B)に示すように、コールドペーパー13で包含された毛髪束10は、上端部12を頭部と毛髪束10の間に水平方向に対する角度αが略45度程度になるような傾斜を持たせて設ける円筒状のロッド14の円筒下端から略1/3程度の位置の上面に当接して保持している。このロッド14の水平方向に対する角度αは、略45度程度と、特に傾斜角度を限定するものではないが、好ましくは、30度〜60度の範囲の角度αであるのがよい。この角度αが30度を下回る場合には、毛髪に所望するようなボリューム感のあるウェーブ20を設けることが難しくなる。また、角度αが60度を上回る場合には、毛髪束10をロッド14に巻き付けるときに、毛髪束10が窮屈な巻付け状態となる。毛髪束10をロッド14に当接させるロッド14の位置は、特に位置を限定するものではないが、円筒下端から略1/3程度の位置とすることで、毛髪束10をロッド14に巻き終えた時、ロッド14の長さ方向の両端からは略均等な余白が得られると共に、毛先側を上側に向けてロッド14に固定させることができ、毛髪束10に所望するようなボリューム感のあるウェーブ20を設けることができる。
【0018】
次いで、コールドペーパー13で包含された毛髪束10は、扁平状を維持させた状態で毛髪束10をロッド14の円筒下方側に当接させながら巻付け毛髪束10の上端部12上方の横下側を通過させて毛髪束10の上端部12上に延設させている。そして、更に、毛髪束10は、毛髪束10を襷がけ状にしてロッド14に当接させながら毛髪束10の上端部12上方の横上側を通過させ、ロッド14の円筒上方側に当接させて毛髪束10の残り全てを重ならないように巻き上げている。ロッド14に巻き上げられた毛髪束10は、毛髪束10の上端部で襷がけ状にクロスしてロッド14に強固に締め付けられるので、ロッド14の水平方向に対する角度αの略45度程度が保たれるようになる。また、ロッド14に巻き上げられた毛髪束10は、毛髪束13の毛先側がロッド14の略45度程度の上方側に向いた状態で保持されるようになる。
【0019】
次いで、ロッド14に巻付けた毛髪束10は、ロッド14の両端に設けるフック部にコールド用ゴム15を引っ掛けて傾斜を持たせた状態のままで毛髪束10をロッド14に定置している。このコールド用ゴム15は、弾力性と、耐熱性に有したロッド14専用輪ゴムであって、毛髪にパーマネントを施す場合に従来から用いられている。なお、コールド用ゴム15は、通常、毛髪束10上で襷がけ状になるようにロッド14のホックに引っ掛けるようにしている。また、コールド用ゴム15は、通常、上端部12部分を通過するように設けると共に、この裏面側になる部分にも設けることで、強固に毛髪束10をロッド14に固定させることができる。
【0020】
次に、図2の工程図を参照しながら、上記の毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法を説明する。このパーマネントウェーブ処理方法は、頭部の毛髪を1又は複数の毛髪束10にして毛髪束10にウェーブ20を付与するための処理方法である。
図2に示すように、工程(1)としては、先ず、毛髪をシリコン系溶剤を含有しない洗髪液で洗髪している。この洗髪においては、指先での頭皮の摩擦を弱くして頭皮に傷を付けないことの注意が必要である。もし頭皮に傷をできた場合には、後述するパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布した時に、頭皮に刺激が発生することとなる。また、洗髪液にシリコン系溶剤を含有しないものを用いるのは、シリコンが毛髪表面に付着してウェーブ20形成にムラがでたり、パーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布して均等に染み渡るまでに長時間を必要となるからである。
【0021】
次いで、洗髪後は、毛髪束10にスポイド容器に収納されたパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を毛髪に万遍なくムラのないように均等に塗布している。ここで用いられるパーマネントウェーブ用第1剤や、化粧品処方カーリングローション用第1剤の内の、例えば、パーマネントウェーブ用第1剤には、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオ乳酸等のチオグリコール酸塩類や、システイン、システイン塩酸塩等のシステイン酸塩類や、システアミン、N−アセチルシステイン等のシステイン誘導体や、チオグリセリルアルキルエーテル、メルカプトアルキルアミド、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等の還元剤が含まれている。また、パーマネントウェーブ用第1剤には、化粧品処方カーリングローション用第1剤を含有するものもある。なお、パーマネントウェーブ用第1剤や、化粧品処方カーリングローション用第1剤は、スポイド容器に収納されているが、内容液は液状、ジェル状、あるいはクリーム状等特に限定されものではなく、毛髪に均等に塗布可能なものであればよい。
【0022】
次に、工程(2)としては、毛髪束10をロッド14に前記の本発明の一実施の形態に係る毛髪束巻付け方法で巻付けている。次いで、ロッド14に巻付けられた毛髪束10には、再度パーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布している。
【0023】
次に、工程(3)としては、毛髪束10をロッド14に巻付けた状態で加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間、例えば、5〜20分間放置している。次いで、所定時間放置後、毛髪束10は、ロッド14に巻付けられた状態のままで、毛髪束10に付着しているパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を水で洗い流している。
【0024】
次に、工程(4)としては、ロッド14に巻付けられた状態の毛髪束10に、パーマネントウェーブ用第2剤、又は化粧品処方カーリングローション用第2剤を塗布して所定時間、例えば、5分間放置し、再度パーマネントウェーブ用第2剤、又は化粧品処方カーリングローション用第2剤を塗布して10分間放置している。なお、パーマネントウェーブ用第2剤や、化粧品処方カーリングローション用第2剤には、酸化剤が含有されていることが必要となっているが、この酸化剤としては、例えば、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、あるいは過酸化水素等を用いることができる。次いで、所定時間放置後は、毛髪束10からロッド14を取り外し、更にコールドペーパー13も取り外している。そして、毛髪束10から開放された毛髪は、丁寧に水洗し、ドライヤーでヘアスタイルに応じて乾燥させながら仕上げている。
【0025】
そして、図3に示すように、上記の本発明のパーマネントウェーブ処理方法で形成された毛髪束10のウェーブ20の形状は、短時間でウェーブ20が形成されているが、ウェーブ20がよく効いて毛髪束10にボリューム感がある。また、毛髪には、ダメージがなく、艶を有している。なお、図3では、毛髪束10のウェーブ20の形状を線図で示している。
【0026】
上記のパーマネントウェーブ処理方法においては、ロッド14に巻付けられた状態の毛髪束10を加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、ウェーブ20の掛かり具合を確認し、ウェーブ20の掛かり状態が弱い場合には、再度ロッド14に巻付けられた毛髪束10にパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布して再加熱するテストカールを行う工程を有するのがよい。これにより、毛髪束10には、意図するボリューム感のあるウェーブを備えたスタイルに確実性をもって処理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の毛髪束巻付け方法及びパーマネントウェーブ処理方法は、ボリューム感のあるウェーブを有するスタイルの髪型を毛髪に損傷を与えることなく、強力且つ迅速に作り上げることができるパーマネントのために用いる用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る毛髪束巻付け方法の説明図である。
【図2】同毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法の工程図である。
【図3】同毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法で形成された毛髪束のウェーブ形状の概念図である。
【図4】従来の毛髪束巻付け方法の説明図である。
【図5】同毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法の工程図である。
【図6】同毛髪束巻付け方法を用いるパーマネントウェーブ処理方法で形成された毛髪束のウェーブ形状の概念図である。
【符号の説明】
【0029】
10:毛髪束、11:毛先、12:上端部、13:コールドペーパー、14:ロッド、15:コールド用ゴム、20:ウェーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部の毛髪を1又は複数の毛髪束にして該毛髪束にウェーブを付与するためにロッドに前記毛髪束を巻付ける毛髪束巻付け方法において、
前記毛髪束を把持しながら側面から前記毛髪束の全体が櫛に収まるようにして前記毛髪束を扁平状に解くと共に、該扁平状を維持しながら前記ウェーブを付与する部分となり、前記毛髪束の毛先から前記ロッドの外周囲に2周以上巻付け可能な位置である上端部までをコールドペーパーで包含する工程と、
前記コールドペーパーで包含された前記毛髪束の前記上端部を、前記頭部と前記毛髪束の間に水平方向に対して略45度程度になるような傾斜を持たせて設ける円筒状の前記ロッドの円筒下端から略1/3程度の位置の上面に当接して保持する工程と、
前記扁平状を維持させた状態で前記毛髪束を前記ロッドの円筒下方側に当接させながら巻付け前記毛髪束の前記上端部上方の横下側を通過させて前記毛髪束の前記上端部上に延設させ、更に、前記毛髪束を襷がけ状に前記ロッドに当接させながら前記毛髪束の前記上端部上方の横上側を通過させ、前記ロッドの円筒上方側に当接させて前記毛髪束の残り全てを重ならないように巻き上げる工程と、
前記ロッドに巻付けた前記毛髪束を前記ロッドの両端にコールド用ゴムを引っ掛けて前記傾斜を持たせた状態のままで前記毛髪束を前記ロッドに定置する工程を有することを特徴とする毛髪束巻付け方法。
【請求項2】
請求項1記載の毛髪束巻付け方法を用いて、前記毛髪束にウェーブを付与するためのパーマネントウェーブ処理方法において、
前記毛髪をシリコン系溶剤を含有しない洗髪液で洗髪した後、前記毛髪束にスポイド容器に収納されたパーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布する工程と、
前記毛髪束をロッドに請求項1記載の毛髪束巻付け方法で巻付けた後、前記ロッドに巻付けられた前記毛髪束に前記パーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布する工程と、
前記ロッドに巻付けられた前記毛髪束の状態で加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、前記ロッドに巻付けられた前記毛髪束の前記パーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を洗い流す工程と、
前記ロッドに巻付けられた前記毛髪束にパーマネントウェーブ用第2剤、又は化粧品処方カーリングローション用第2剤を塗布して所定時間放置した後、前記ロッドを前記毛髪束から取り外して前記毛髪を水洗し、ドライヤーでヘアスタイルに応じて乾燥させながら仕上げる工程を有することを特徴とするパーマネントウェーブ処理方法。
【請求項3】
請求項2記載のパーマネントウェーブ処理方法において、前記毛髪束を前記加温加湿器、又は遠赤外線器で加熱しながら所定時間放置した後、前記ウェーブの掛かり具合を確認し、前記ウェーブの掛かり状態が弱い場合には、再度前記ロッドに巻付けられた前記毛髪束に前記パーマネントウェーブ用第1剤、又は化粧品処方カーリングローション用第1剤を塗布して再加熱するテストカールを行う工程を有することを特徴とするパーマネントウェーブ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285222(P2009−285222A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141751(P2008−141751)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(508160738)
【出願人】(508190252)
【Fターム(参考)】