説明

気体充填式高輝度放電ランプ

【課題】全体構造を強化し、接触不良を防ぎ、かつ電磁波の外部への照射を抑制できる気体充填式の高輝度放電ランプを提供する。
【解決手段】上面を開口状に形成してソケット部31とし、該ソケット部の中央の位置には垂直方向に貫通する貫通孔を形成してなるランプ支持座30と、該ランプを内包し一体形成してなり、該ランプ支持座に嵌挿するランプカバー60とによってなる高輝度放電ランプ10において、該ソケット部上にはリング状の上蓋32を設け、該貫通孔は内壁に段差を形成して管状のパッキング33を嵌挿し、該ランプカバー内に形成されるランプは、略中央の位置に正電極501と負電極502の一端を設けてなる発光部を形成し、一方の電極がランプカバーを貫通して外部に至り折り曲げられ、該ランプ支持座上に該ランプカバーと平行して設けられるスリーブ70内に至り、接点を介してリード40に電気的に接続する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、ランプに気体を充填してなる高輝度放電ランプの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
照明具の大手製造業者は、早くから高輝度放電(High Intensity Discharge:HID)の研究開発に多大な人力を投入している。PHILIPS Electronics N.V.の台湾特許公告第225338号には、
図7に開示する「ランプカバーを有する高圧放電灯」に関する技術が開示されている。図面によれば、該特許による高圧放電灯は、ランプ部と、該ランプを支持するランプ支持部とによってなる。
【0003】
ランプ部は、第1ネック部(801)及び第2ネック部(802)が形成され、イオン化した気体を充填して密封した円柱状のランプ(80)と、ランプ(80)内に設けられる一対の電極(803)と、一端が一対の電極(803)にそれぞれ接続する2本のリード(804)と、ランプ(80)と同心円の管状に形成され、ランプ(80)に対して所定の間隔を置いてランプ(80)を内部に収納するランプカバー(805)とによって構成し、ランプカバー(805)は内部に空気を充填して密封する。
【0004】
ランプ支持部は、ランプ支持座(90)と、ランプ支持座(90)の上面に対して垂直に設けるリード支柱(903)と、該アーム支柱(903)の上端に接続する導電アーム(904)と、ランプ支持座(90)の底面に設けられる第1コンタクト部材(902)、第2コンタクト部材(900)及び電源接続部(901)とによって構成される。
【0005】
前記2本のリード(804)は、それぞれ一端が電極(803)に電気的に接続し、一方のリード(804)は第1ネック部(801)と、ランプカバー(805)の端縁部を通過して外部に延伸し、接点(905)において導電アームに溶着して電気的に接続する。さらに、導電アーム(904)からアーム支柱(903)内部を通過して第1コンタクト部材(902)に至り、かつ電源接続部(901)に電気的に接続して電気の通路を形成する。また、他方のリード(804’)は第2ネック部(802)を通過し、ランプ支持座(90)内を通過して第2コンタクト部(900)に電気的に至り、かつ電源接続部(901)に電気的に接続して電気の通路を形成する。
【0006】
以上の構成による高圧放電灯は、リード(804)と導電アーム(904)が十字状に交叉し、交叉点を溶着して接点(905)とする。かかる接続方法は振動など外部からの衝撃を受けると、接続構造が容易に破壊され、接触不良を招くことがある。また、何らこれを防ぐための補強構造もない。さらに、高輝度放電を達成するためにランプ(80)には特定の気体を充填して密封するため、より製造しやすく、強度が補強された構造が望まれている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
この考案は、全体構造の高度を強化し、接触不良の発生を防ぐことのできる気体充填式の高輝度放電ランプを提供することを課題とする。
【0008】
また、この考案は電磁波の外部への照射を抑制できるに気体充填式の高輝度放電ランプを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本考案者は従来の技術に見られる欠点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、上面を開口状に形成してソケット部とし、該ソケット部の中央の位置には垂直方向に貫通する貫通孔を形成してなるランプ支持座と、該ランプを内包し一体形成してなり、該ランプ支持座に嵌挿するランプカバーとによってなる高輝度放電ランプにおいて、該ソケット部上にはリング状の上蓋を設け、該貫通孔は内壁に段差を形成し、下方に向かって内径が狭くなるように形成するとともに、該段差部に管状のパッキングを嵌挿し、該ランプカバー内に形成されるランプは、略中央の位置に正電極と負電極の一端を設けてなる発光部を形成してなり、該正電極、もしくは負電極はランプカバーを貫通して外部に至り、折り曲げられて、該ランプ支持座上に該ランプカバーと平行して設けられるスリーブ内に至り、接点を介してリードに電気的に接続する構造によって課題を解決できる点に着眼し、かかる知見に基づいて本考案を完成させた。
【0010】
即ち、ランプを内包させて一体にランプカバーを形成するとともに、電極とリードの接点を、電磁波遮断効果を有するスリーブ内に設ける構造によって、この考案の課題を解決できる気体充填式の高輝度放電ランプが得られる。
【0011】
以下、この考案について具体的に説明する。
請求項1に記載する気体充填式高輝度放電ランプは、上面を開口状に形成してソケット部とし、該ソケット部の中央の位置には垂直方向に貫通する貫通孔を形成してなるランプ支持座と、該ランプを内包し一体形成してなり、該ランプ支持座に嵌挿するランプカバーとによってなる高輝度放電ランプにおいて、
該ソケット部上にはリング状の上蓋を設け、該貫通孔は内壁に段差を形成し、下方に向かって内径が狭くなるように形成するとともに、該段差部に管状のパッキングを嵌挿し、
該ランプカバー内に形成されるランプは、略中央の位置に正電極と負電極の一端を設けてなる発光部を形成してなり、一方の電極がランプカバーを貫通して外部に至り、折り曲げられて、該ランプ支持座上に該ランプカバーと平行して設けられるスリーブ内に至り、接点を介してリードに電気的に接続する。
【0012】
請求項2に記載する気体充填式高輝度放電ランプは、請求項1におけるスリーブが、テフロンで形成する内層と、セラミックで形成する外層とによってなる二重構造で電磁波を遮断するように構成する。
【0013】
請求項3に記載する気体充填式高輝度放電ランプは、請求項1におけるランプ内に、特定の気体を充填する密閉空間を形成する。
【0014】
【考案の実施の形態】
この考案は、ランプに気体を充填してなる高輝度放電ランプを提供するものであって、ランプカバーと、該ランプカバーを嵌挿するランプ支持座とによって構成し、かつランプを内包させて一体にランプカバーを形成するとともに、電極とリードの接点を、電磁波遮断効果を有するスリーブ内に設けて構成する。
かかる気体充填式の高輝度放電ランプの構造と特徴を詳述するために、具体的な実施例を挙げ、図示を参照にして以下に説明する。
【0015】
【実施例】
図1、2に開示するように、この考案による気体充填式高輝度放電ランプ(10)は、ランプ支持座(30)と、ランプ(50)を内包するランプカバー(60)とによってなる。ランプ支持座(30)は、上面を開口状に形成してソケット部(31)とし、該ソケット部(31)の中央の位置にはランプ支持座(30)を垂直方向に貫通する貫通孔を形成し、ソケット部(31)上にはリング状の上蓋(32)を設ける。また、該貫通孔は内壁に段差を形成し、下方に向かって内径が狭くなるように形成するとともに、該段差部に管状のパッキング(33)を嵌挿する。
【0016】
ランプカバー(60)は、底端から延伸する嵌着端縁部(602)を一体に形成してなり、該嵌着端縁部(602)をソケット部(31)の貫通孔に嵌着してソケット部(31)に固定する。
【0017】
また、ランプカバー(60)は図3、4、5に開示するように、ランプ(50)を内包して一体に形成される。ランプ(50)は、特定の気体を充填する密閉空間(504)を形成し、略中央の位置に発光部(503)を形成する。発光部(503)には正電極(501)と負電極(502)の一端を設けてなり、正電極(501)はランプカバー(60)を貫通して外部に至り、90°に2回折り曲げられて、ランプ支持座(30)上にランプカバー(60)と平行して設けられるスリーブ(70)内に至り、接点(401)に電気的に接続する。接点(401)の他端には、リード(40)の一端を電気的に接続する。リード(40)は、スリーブ(70)内を通過し、上蓋(32)に穿設した孔部と、ランプ支持座(30)に別途形成した貫通孔を通過して外面に至る。
【0018】
スリーブ(70)は電磁が透過しない材質によってなる二重構造の管体であって、内層(701)は、例えばテフロンなどで形成し、外装(702)は、例えばセラミックなどで形成し、正電極(501)と接点(401)とリード(40)を支持し、保護を与える作用を有する。
【0019】
また、負電極(502)はランプカバー(60)の嵌着端縁部(602)を貫通し、外部に延伸するように形成される。
【0020】
ランプカバー(60)は、抗紫外線効果を具え、ランプ(50)が紫外線を受けて亀裂することを防ぐとともに、外部からの衝撃を緩衝し、ランプ(50)を保護する作用を有する。その外面には金属遮蔽層(20)を設ける。金属遮蔽層(20)は、金属材をプレス成形し、湾曲させてランプカバー(60)の外周面に設ける。また、金属遮蔽層(20)はランプカバー(60)を保護する作用以外に発光部(503)から発生する光線を反射作用によって同一方向に照射させる作用を有する。
【0021】
また、ランプ支持座(30)の外周面には係合突起(34)を設け、ランプカバー(60)を設けたランプ支持座(30)を他の装置に取付ける場合の便宜を図るようにする。
【0022】
また、ランプラバーの遮蔽層(20)は、図6に開示する遮蔽層(21)の形式にしてもよい。即ち、同様に金属材をプレス成型によって形成するが、ランプ(50)の発光部(530)の位置のみを覆う遮蔽部(221)を具え、金属材を節約した形式にして、同様に発光部(530)から発生する光線を反射作用によって同一方向に照射させる効果を達成することができる。
【0023】
以上は、この考案の好ましい実施例であって、この考案の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この考案の精神の下においてなされ、この考案に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの考案の実用新案登録請求の範囲に属するものとする。
【0024】
【考案の効果】
この考案による気体充填式高輝度放電ランプは、全体構造を強化し、外部からの力などによる接触不良の発生を防ぐことができるとともに、電磁波の外部への照射を効率よく遮断する効果を具える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案による気体充填式高輝度放電ランプの斜視図である。
【図2】図1に開示する気体充填式高輝度放電ランプの分解図である。
【図3】図1に開示する気体充填式高輝度放電ランプの側面図である。
【図4】図1に開示する気体充填式高輝度放電ランプの底面図である。
【図5】図1に開示するA−A線に沿った断面図である。
【図6】他の実施態様による気体充填式高輝度放電ランプの側面図である。
【図7】従来の気体充填式高輝度放電ランプの一部きり欠き側面図である。
【符号の説明】
10  ランプ
20  金属遮蔽層
30  ランプ支持座
31  ソケット部
32  上蓋
33  パッキング
34  係合突起
40  リード
401  接点
50  ランプ
501  正電極
502  負電極
503  発光部
504  密閉空間
60  ランプカバー
602  嵌着端縁部
70  スリーブ
701  内層
702  外層
80  ランプ
801  第1ネック部
802  第2ネック部
803  電極
804  リード
804’ リード
805  ランプカバー
90  ランプ支持座
900  第2コンタクト部材
901  電源接続部
902  第1コンタクト部材
903  アーム支柱
904  導電アーム
905  接点

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口状に形成してソケット部とし、該ソケット部の中央の位置には垂直方向に貫通する貫通孔を形成してなるランプ支持座と、該ランプを内包し一体形成してなり、該ランプ支持座に嵌挿するランプカバーとによってなる高輝度放電ランプにおいて、
該ソケット部上にはリング状の上蓋を設け、該貫通孔は内壁に段差を形成し、下方に向かって内径が狭くなるように形成するとともに、該段差部に管状のパッキングを嵌挿し、
該ランプカバー内に形成されるランプは、略中央の位置に正電極と負電極の一端を設けてなる発光部を形成してなり、一方の電極がランプカバーを貫通して外部に至り、折り曲げられて、該ランプ支持座上に該ランプカバーと平行して設けられるスリーブ内に至り、接点を介してリードに電気的に接続することを特徴とする気体充填式高輝度放電ランプ。
【請求項2】
前記スリーブは、テフロンで形成する内層と、セラミックで形成する外層とによってなる二重構造で電磁波を遮断するように構成することを特徴とする請求項1に記載の気体充填式高輝度放電ランプ。
【請求項3】
前記ランプには、特定の気体を充填する密閉空間を形成することを特徴とする請求項1に記載の気体充填式高輝度放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】実用新案登録第3098501号(U3098501)
【登録日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【発行日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【考案の名称】気体充填式高輝度放電ランプ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2003−3431(U2003−3431)
【出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【出願人】(502256860)