説明

気泡浴槽の吸気装置

【課題】気泡浴槽の吸気装置において、施工性に優れ、目詰まり防止可能とする。
【解決手段】使用者が気泡運転モードを選択すると、アダプタ4で発生した負圧が逆止弁22に作用し、スプリング27の付勢力に抗して逆止弁22を開弁させ、吸気本体11の内部空間と凹部41とが連通状態になる。凹部41の上壁部51は水平方向に対して平行となる平坦面とされており、湯水や洗浄剤等が凹部41に飛散付着したとしても、連通孔54に進入することがなく、付着した湯水や洗浄剤は下面52に滴下、或いは下面52の左右側部に沿って下方位置に流れる。また、浴槽1の洗浄時、大量に水や洗浄剤等が凹部41内に浸入したとしても、下面52が外端側に行くほど下方へ移行するように傾斜する形状とされているため、早期間で強制排出でき、吸気装置5内部における目詰まりや機能部品の固着防止ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアを浴槽内に供給可能な気泡浴槽の吸気装置に関し、特に、エア吸入時の水等の吸込み防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の風呂給湯システムは、風呂給湯器から新規な高温の湯水が供給される注湯運転モード、浴槽内の湯水を再度給湯器に戻して加熱、再供給する追焚運転モード、微細な気泡を湯水に混在させて微細気泡噴流を浴槽に噴出させる気泡運転モード等消費者のニーズに合せて様々な湯水の供給形態を有している。
【0003】
気泡運転モードを備えた気泡浴槽では、浴槽に取付けられる湯水噴出口、所謂アダプタの湯水を供給する湯水流路に一端を接続されるエア管を設け、浴室外に設置された他端の吸気口からエアを取込む吸気装置を別途設ける必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、ユニットバスの壁パネル外側にエア管の吸気口を上向きに固定し、その吸気口周囲に防塵ネットを設置すると共に、吸気口の設置位置を浴槽上縁位置より高くすることで、塵埃等による吸気口の目詰まりを防止する技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、吸気口を浴槽上縁となる天板に設置すると共に、その開口方向を浴室壁側にすることで、湯水の流入を防止する技術が提案されている。
【0006】
【特許文献1】実公平6−3591号公報
【特許文献2】特許第2830058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の吸気装置では、吸気口の所定範囲に防塵ネットを設置するため、昆虫や塵埃による吸気口の目詰まりが効果的に防止できるものの、防塵ネットが大型化してしまい、コスト的に課題が存在する。また、エア管が浴室外に設置されることから、エア管長の増加に伴って施工が難しくなると共に、水滴等水分が管内に滞留し易くなり、冬期にこの水分が凍結した場合、エア供給ができなくなる問題が存在している。
【0008】
特許文献2の吸気装置では、吸気口を浴槽の天板に設置するため、エア管内の水分凍結及びエア管長の増加の問題は生じないものの、吸気口に向かって飛散してくる湯水の問題が生じる。特に、石鹸カスや浴槽洗浄剤が吸気口に流入した場合、吸気装置内の経路、或いはアダプタ内のエア導入口が目詰まりや固着を起こす懸念がある。しかも、天板は大理石等デザイン性に優れた素材で形成することもあり、このような場合、浴槽の施工後に吸気装置を取付ける場合等、施工上の問題も発生する。
【0009】
本発明の目的は、気泡浴槽の吸気装置において、施工性に優れ、目詰まり防止可能な吸気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、エアを浴槽内に供給可能な気泡浴槽の吸気装置において、鉛直方向に延設される取付壁に貫通状に装着されると共に、外端側は開放され、且つ内端側は浴槽にエアを供給するエア管に接続される吸気本体と、この吸気本体の外端側に内嵌装着される仕切り具と、この仕切り具に内端側に向かって凹形状とされる凹部とを設け、凹部の壁部を貫通する連通孔を形成すると共に、この凹部の下面を、外端側に行くほど水平方向に対して下方へ移行するように傾斜させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1では、鉛直方向に延設される取付壁に吸気本体を水平方向から装着することができ、仕切り具を内嵌装着することで吸気装置の設置が可能となる。また、吸気装置の外端を構成する仕切り具に、飛散してきた湯水等のセパレータ機構としての凹部と、この凹部で回収された湯水等を凹部から排出可能な下面とを設けている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、連通孔は仕切り具の上壁部に設置されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2において、上壁部は水平方向に対して略平行となる平坦面とされていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3において、異物混入防止用フィルタが仕切り具の外周面に固定されると共に、連通孔から吸入されたエアはフィルタを介して吸気本体内部に導入されることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4において、吸気本体或いは仕切り具は上下方向を示す方向指示部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、エアを浴槽内に供給可能な気泡浴槽の吸気装置において、鉛直方向に延設される取付壁に貫通状に装着されると共に、外端側は開放され、且つ内端側は浴槽にエアを供給するエア管に接続される吸気本体と、この吸気本体の外端側に内嵌装着される仕切り具と、この仕切り具に内端側に向かって凹形状とされる凹部とを設け、凹部の壁部を貫通する連通孔を形成すると共に、この凹部の下面を、外端側に行くほど水平方向に対して下方へ移行するように傾斜させるため、施工性に優れ、目詰まり防止が可能となる。
【0017】
つまり、浴槽のエプロン等の鉛直方向に延設される取付壁に吸気本体を水平方向から装着すると共に、仕切り具を内嵌装着することができるため、装着作業等の施工性に優れたものとできる。また、仕切り具に、飛散してきた湯水等のセパレータ機構としての凹部を形成し、この凹部で進入してきた湯水等を傾斜させた下面によって外部に排出するため、湯水及び洗浄剤等が連通孔から吸気装置に吸入されるのを防止でき、固着や目詰まりの防止を図ることができる。しかも、吸気装置を浴室内に設置することから、エア管の短縮化が可能となり、一層施工性、コスト低減が可能となる。
【0018】
請求項2の発明によれば、連通孔は仕切り具の上壁部に設置されるため、水分等を排出する下面から最も距離が離れた位置に連通孔を配置でき、一層湯水及び洗浄剤等の吸入防止が可能となる。
【0019】
請求項3の発明によれば、上壁部は水平方向に対して略平行となる平坦面とされているため、上壁部に付着した湯水及び洗浄剤等が連通孔に集中することを防止でき、より一層湯水及び洗浄剤等の吸入防止が可能となる。
【0020】
請求項4の発明によれば、異物混入防止用フィルタが仕切り具の外周面に固定されると共に、連通孔から吸入されたエアはフィルタを介して吸気本体内部に導入されるため、フィルタと仕切り具とが吸気装置へ同時に装着できると共に、確実に異物の吸気装置への吸入を防止できる。
【0021】
請求項5の発明によれば、吸気本体或いは仕切り具は上下方向を示す方向指示部を備えるため、吸気本体内のエア流路の位置を設定できると共に、吸気本体を基準として仕切り具の連通孔の位置についても所望の位置とすることができる。また、仕切り具に方向指示部を備えた場合、仕切り具の傾斜の位置を確実に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施する為の最良の形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
図1に示すように、実施例の風呂供給システムは、浴槽1、風呂給湯器2、循環回路3、アダプタ4及び吸気装置5から構成される。浴室A内の浴槽1は、湯水が供給される桶部6と、桶部6の上縁部分から所定の間隔を持って水平方向に延設される天板7と、洗い場から天板7の外縁部分に向かって略鉛直方向に延設する樹脂製エプロン8とから構成され、エプロン8は所定の脱着機構によって浴槽1に対して取外し可能となっている。
【0024】
浴室Aと隔壁9で仕切られて配置される風呂給湯器2は、ガス等の燃焼部と熱交換部とからなる熱供給部と湯水を循環させるためのポンプとから構成され、夫々の機器は図示しないコントローラによって制御される。使用者が運転モードを選択することによって風呂の湯張指示や気泡運転モード等各種のモードに対応した風呂給湯器2の作動が開始される。風呂給湯器2の作動については、従来と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
エプロン8に固定装着され、その大部分を桶部6と天板7とエプロン8とで形成される空間に収容されると共に、洗い場に向かって略水平方向に設置される吸気装置5には架橋ポリエチレン等の樹脂製のエア管10の一端が接続されている。エア管10は、桶部6の周囲と天板7とエプロン8とで形成される空間に収容され、その他端をアダプタ4に接続されている。使用者が気泡運転モードを選択した場合、吸気装置5で吸入された浴室A内のエアがエア管10を通ってアダプタ4に供給され、アダプタ4内で湯水と混合された後、微細気泡が混合した湯水が浴槽1に噴出される。
【0026】
次に、吸気装置5について図2に基づいて説明する。
図2は吸気装置5の断面図を示す。尚、図中、上半分はエア吸入状態、下半分はエア吸入停止状態を夫々示している。
図2に示すように、吸気装置5は、真鍮製の吸気本体11と、真鍮製の仕切り具12と、エア管10が接続される接続部13と、ナット14とから構成される。
【0027】
外端側が開放された円筒形状とされる吸気本体11は、外端側端部に円環状のフランジ部15と、筒状の内部空間を有する胴体部16と、フランジ部15から胴体部16の長手方向の中央部分までの範囲に形成され、ナット14と螺合可能なねじ部17と、内端側端部を閉鎖する底壁18と、底壁18近傍で吸気本体11の内部空間と外部とを連通する開口19とから構成される。尚、フランジ部15には、吸気装置5の取付の際、配置方向を取付作業者に示すため、方向指示部としての第1ボルト穴15aが上方配置すべき箇所に形成されている。
【0028】
胴体部16の内部空間には、内端側に樹脂製の逆止弁ユニット20と、逆止弁ユニット20の外端側に隣接した状態で真鍮製の仕切り壁21とが内嵌されている。
【0029】
逆止弁ユニット20は、吸入されたエアを外端側から内端側に向かう一方向の流通のみを許容する逆止弁22と、逆止弁22を支持すると共に、底壁18に内端側端面を当接固定される支持体23と、支持体23と嵌合すると共に、その内部に逆止弁22を収容する筒状体24とから構成される。
【0030】
支持体23は、逆止弁22のゴム製弁部25と一体的に進退移動可能な弁軸26を内周面でガイドすると共に、弁部25を外端方向に付勢するスプリング27を外周面でガイドする円環状のガイド部28と、筒状体24と嵌合する部分を形成する環状部29と、ガイド部27の外周に120°毎に3ヶ所から外周方向に延設されて環状部29と連結すると共に、スプリング27の内端側の着座面を形成する3つの脚部30とから構成される。
【0031】
筒状体24は、外端側に胴体部16の内周との間をシールする第1Oリング31を収容するリング状の第1溝部32と、スプリング27で付勢される弁部25が着座可能とされ、スプリング27が収縮したとき、弁部25との間にエアが通過可能な空間を形成する環状のポート部33と、逆止弁22の収容空間を形成する筒部34とから構成される。
【0032】
スプリング27の付勢力は、気泡運転モード以外のモード、所謂エア管10に負圧が作用しない湯張や追焚モードの時、弁部25がポート部33に所定力にて着座するものとされ、且つ使用者が気泡運転モードを選択してエア管内に所定の負圧が導入された時には、弁部25に作用する負圧によってスプリング27が収縮し、ポート部33と弁部25との間に空間が形成され、エアを連通可能とする付勢力とされている。また、気泡運転モードが選択された際、負圧の発生により、スプリング27が最大収縮したとき、弁軸26の内端側端部が底壁18に干渉しないように弁軸26の長さ及び底壁18形状が設定されている。
【0033】
円柱状の仕切り壁21は、仕切り具12側に開口する第1通路35と、第1通路35と直線状に連続し、第1通路35よりも通路面積が小さく設定されると共に、ポート部33に囲まれる範囲内に開口する第2通路36と、第2Oリング37を収容するリング状の第2溝部38と、仕切り具12を吸気本体11に装着するための第2ボルト穴39とから構成される。尚、仕切り壁21を吸気本体11に組付けるときには、第1通路35及び第2通路36が吸気本体11に対して上方配置となるように、第1ボルト穴15aに最も近接する位置にして装着される。
【0034】
接続部13は、吸気本体11の中心線に対して略直行するように接続されており、開口19に接続される第1接続部57と、第1接続部57と脱着可能で、エア管10が外嵌される第2接続部58とから構成される。
第1接続部57に装着された第2接続部58は、夫々の接合フランジ57a,58aを挟み込む図示しない二股状のクリップによって離脱しないように固定される。また、第2接続部58に外嵌されるエア管10も図示しない締結部材によって固定されている。
【0035】
仕切り具12について、図3〜5に基づいて詳細に説明する。
仕切り具12は、フランジ部15と重合可能な円環状の第1縁部40と、第1縁部40の内縁から内端側に向かって凹部41を形成する筒状部42とから構成される。
【0036】
第1縁部40には、図3及び図4に示すように、第3ボルト穴43が形成されており、ボルト44が第3ボルト穴43を貫通し、第1ボルト穴15aに締結されることにより、仕切り具12のフランジ部15に対する取付方向を規定できるように構成されている。つまり、第1ボルト穴15aは、仕切り壁21の取付基準であると共に、仕切り具12の取付基準にもなっている。
【0037】
筒状部42は、凹部41と、第3Oリング45を収容するリング状の第3溝部46と、第3溝部46の内端側を形成する第2縁部47と、第2縁部47の内端側端部に隣接し、第2縁部47より小径の大径部48と、大径部48より小径の中径部49と、中径部49より小径で筒状部42の内端側の端部を形成する突出部50とから構成される。
【0038】
凹部41は、水平方向に対して平行となる平坦面状の上壁部51と、鉛直方向の断面がU字状の下面52とから構成されており、下面52は外端側に行くほど水平方向に対して下方へ移行するように傾斜する形状とされている。下面52の傾斜角度は、吸気装置5がエプロン8に設置された状態で、外端側に行くほど水平方向に対して下方へ移行する角度に設定されている。
【0039】
図2に示すように、大径部48は、金属製の金網フィルタ53の外端側開口部と嵌合するように構成されている。大径部48にフィルタ53を装着するとき、フィルタ53の外端側端部は第2縁部47に当接して大径部48と嵌合すると共に、フィルタ53の内端側端部開口は突出部50の外周面に嵌合した状態となっている。
【0040】
中径部49の上壁部51には、上壁部51を貫通する連通孔54が直線状に3ヶ所設けられている。
突出部50には、凹部41と吸気本体11の内部空間とを連通する第4ボルト穴55が形成され、第4ボルト穴55を貫通するボルト56がフィルタ53を装着した仕切り具12を仕切り壁21に固定している。
【0041】
次に、図6及び図7に基づいて、吸気装置5のエプロン8に対する組付手順を説明する。
吸気本体11に、予め逆止弁ユニット20と仕切り壁21とを内嵌装着する。前述したように、仕切り壁21は、通路35,36が第1ボルト穴15aに最も近接するように装着される。尚、ナット14は、ねじ部17から外した状態となっている。
【0042】
浴槽1から取り外したエプロン8に吸気装置取付開口59を形成し、エプロン8の意匠面方向から吸気本体11を挿入した後、裏面からナット14を締結する。フランジ部15とナット14との挟み込み力により吸気本体11をエプロン8に固定する。尚、吸気本体11の固定の際、第1ボルト穴15aが最上方位置、所謂天板側に位置するように調整する。
【0043】
第1接続部57と第2接続部58とは、予め分離しておき、第2接続部58は他端をアダプタ4に接続されるエア管10の一端と接続した後、第1接続部57と連結する。
図6に示すように、吸気本体11設置されたエプロン8を浴槽1に取り付けた後、図7に示すように、フィルタ53と第3Oリング45が装着された仕切り具12を吸気本体11に内嵌装着する。装着後、ボルト56により、仕切り壁21に締結固定する。尚、ボルト44を第1ボルト穴15aに締結することにより、上壁部51に形成された連通孔54を鉛直方向最上部に配置することができる。
【0044】
次に、実施例に係る吸気装置5の作用効果について説明する。
使用者が気泡運転モードを選択すると、アダプタ4で発生した負圧が逆止弁22に作用し、スプリング27の付勢力に抗して逆止弁22を開弁、所謂内端方向に移動する。これにより、吸気本体11の内部空間と凹部41とが連通状態となる。尚、気泡運転モード以外のときは、ポート部33と弁部25とが着座当接していることから、浴槽1の湯面が吸気装置5の取付位置より高い場合であっても、連通孔54からの湯水の流出防止ができる。
【0045】
凹部41の上壁部51は水平方向に対して平行となる平坦面とされており、湯水や洗浄剤等が凹部41に飛散付着したとしても、連通孔54に進入することがなく、付着した湯水や洗浄剤は下面52に滴下、或いは下面52の左右側部に沿って下方位置に流れる。また、浴槽1の洗浄時、大量に水や洗浄剤等が凹部41内に浸入したとしても、下面52が外端側に行くほど下方へ移行するように傾斜する形状とされているため、早期間で強制排出できる。特に、下面52の傾斜角度は、吸気装置5がエプロン8に設置された状態で、外端側に行くほど下方へ移行する、つまり、エプロン8のデザインにより取付壁が湾曲している場合、仮に、吸気本体11が若干上向きに設置される仕様であっても、下面52は外端側に行くほど水平方向に対して下方へ移行するように角度設定されている。
【0046】
鉛直方向に延設される取付壁としてのエプロン8に吸気本体11を水平方向から装着すると共に、仕切り具を内嵌装着することができるため、装着作業等の施工性に優れたものとできる。
また、方向指示部となる第1ボルト穴15aと第3ボルト穴43とを位置合わせした上でボルト44によって固定するため、上壁部51は鉛直方向最上部に位置することになり、一層、水や洗浄剤等の吸入を防止できる。
【0047】
凹部41の構成により、湯水や洗浄剤等を強制的に凹部41から排出した上で、湯水や洗浄剤等を含まずにエアは3ヶ所の連通孔54から吸気本体11の内部空間に導入される。連通孔54の径は、気泡運転モードで必要となるエア量から設定される。尚、大量のエアが必要な場合であっても、ゴミ等異物の吸入を考慮して、単独の大径開口を設けるのではなく、小径の開口を複数形成することが好ましい。
【0048】
連通孔54から吸入されたエアは、フィルタ53によってゴミ等の異物を除去され、仕切り壁21の第1通路35を内端側に進行し、続いて更に小径の第2通路36を進行した後、ポート部33内に開放される。尚、本実施例の仕切り壁21は、第1通路35及び第2通路36が鉛直方向最上部に位置するように吸気本体11に対して装着されている。この構成により、万一、吸気装置5内に湯水等が侵入したとしても、アダプタ4へのエア供給に支障を生じることはない。
【0049】
ポート部33内に開放されたエアは、ポート部33と弁部25との隙間を通り、吸気本体11の内端側に進行して、開口19から接続部13、エア管10を経由してアダプタ4に至る。
以上の構成により、湯水や洗浄剤等を吸気装置5内に吸入しないため、フィルタ53や吸気通路35,36の目詰まり、或いは逆止弁ユニット20の各部材の固着による作動不良を防止することができる。
【0050】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、接続部13を吸気本体11の中心線に対して直行接続する例について説明したが、エプロン8と桶部6との間隔に応じて接続部13を吸気本体11の中心線に対して平行としてもよく、また、角度変更可能なジョイント式としてもよい。
【0051】
2〕前記実施例においては、仕切り具12と吸気本体11との位置合わせをボルト44の締結で行う例について説明したが、脱着可能なビスで行う仕様としてもよい。
【0052】
3〕前記実施例においては、吸気本体11のフランジ部15に第1ボルト穴15aを1ヶ所設けた例について説明したが、フランジ部15の全周にボルト穴を形成し、上壁部51を鉛直方向最上部に位置するように仕切り具12を配置することも可能である。
【0053】
4〕前記実施例においては、凹部41をフラットな上壁部51と下面52とで構成した例について説明したが、凹部41のセパレータ機能を向上させるため凸凹形状とし、少なくとも、回収された湯水等を強制排出する通路を下面52に形成することも可能である。
【0054】
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例の風呂給湯システムの全体説明図である。
【図2】本実施例に係る吸気装置の断面図である。
【図3】本実施例に係る吸気装置の仕切り具の断面図である。
【図4】仕切り具の正面図である。
【図5】仕切り具の内端側要部拡大図である。
【図6】吸気装置の取付手順の説明図である。
【図7】吸気装置取付時の仕切り具の説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 浴槽
2 風呂給湯器
4 循環アダプタ
5 吸気装置
8 エプロン
10 エア管
11 吸気本体
12 仕切り具
15a 第1ボルト穴
41 凹部
43 第3ボルト穴
48 大径部
49 中径部
50 突出部
51 上壁部
52 下面
53 フィルタ
54 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアを浴槽内に供給可能な気泡浴槽の吸気装置において、
鉛直方向に延設される取付壁に貫通状に装着されると共に、外端側は開放され、且つ内端側は浴槽にエアを供給するエア管に接続される吸気本体と、
この吸気本体の外端側に内嵌装着される仕切り具と、
この仕切り具に内端側に向かって凹形状とされる凹部とを設け、
前記凹部の壁部を貫通する連通孔を形成すると共に、この凹部の下面を、外端側に行くほど水平方向に対して下方へ移行するように傾斜させることを特徴とする気泡浴槽の吸気装置。
【請求項2】
前記連通孔は前記仕切り具の上壁部に設置されることを特徴とする請求項1に記載の気泡浴槽の吸気装置。
【請求項3】
前記上壁部は水平方向に対して略平行となる平坦面とされていることを特徴とする請求項2に記載の気泡浴槽の吸気装置。
【請求項4】
異物混入防止用フィルタが前記仕切り具の外周面に固定されると共に、前記連通孔から吸入されたエアは前記フィルタを介して前記吸気本体内部に導入されることを特徴とする請求項1〜3に記載の気泡浴槽の吸気装置。
【請求項5】
前記吸気本体或いは前記仕切り具は上下方向を示す方向指示部を備えることを特徴とする請求項1〜4に記載の気泡浴槽の吸気装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−17208(P2010−17208A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177581(P2008−177581)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】