説明

気流を検出し、そして患者に治療気体を送る方法とシステム

患者の呼吸口において、気流を個別に検出すること、及び検知される気流の量に基づいてこれらの呼吸口に治療気体を選択的に送るための方法と関連したシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の支援による研究又は開発に関する記載
不適用。
【0002】
発明の分野
本発明の実施例は、患者に治療気体を選択的に送ることに向けられている。より詳しくは、本実施例は、治療気体を患者の左鼻孔、右鼻孔及び口の一つに、組み合わせに、又はすべてに選択的に送ることに向けられている。
【0003】
発明の背景
呼吸器疾患患者は、酸素のような治療気体を呼吸に必要とする。治療気体は、鼻孔カニューレを通って治療気体源から患者に送られる。
【0004】
患者への治療気体の給送は、連続的に、又は節約モードで行われる。連続給送においては、治療気体は、患者の呼吸周期を通じて一定流量で供給される。連続給送で与えられる有効な治療気体のかなりの部分が無駄にされている、すなわち患者の呼気中に送られる治療気体が大気中に失われている。連続給送の無駄の多くを克服するために、従来技術の装置は、コンサーバシステムを使って節約モードに動作することができる。
【0005】
コンサーバは、患者の吸気を検知する装置であり、吸気中にだけ治療気体塊を送る。吸気中にだけ治療気体を送ることによって、大気中に失われる治療気体の量が低減されるであろう。従来技術のコンサーバシステムは、一方の鼻孔での患者の吸気を検知し、他方の鼻孔に治療気体塊を、例えば二股鼻孔カニューレを通じて送ることができる。これに代えて、従来技術のコンサーバ装置は、鼻孔全体での患者の吸気を検知し、鼻孔全体に治療気体塊を、例えば二股でない(単腔)鼻孔カニューレを通して送ることができる。
【0006】
一方の鼻孔での検出及びもう一方の鼻孔への給送は、すべての状況で適切に働くことができない。患者が閉塞した鼻孔を有する場合、例えば詰まり又はある身体の異常のため、検出が適切には行えないか、或いは治療気体の給送が閉塞した鼻孔にもされ得る。検出及び/又は給送はまた、鼻孔カニューレが、例えば睡眠中のように取り外された状態にある場合、適切に動作できないであろう。鼻孔カニューレが適切に患者に付けられていて、どちらの鼻孔も塞がれていないとしても、片方の鼻孔を通じて治療気体という患者の全処方薬を送ることは、鼻孔の炎症の原因になるであろう。
【0007】
両方の鼻孔を同時に監視することによって吸気を検出すると、鼻孔の詰まり及び/又は異常は、システムが適切に検知しない原因になり得る。さらに、治療気体を鼻孔全体に、例えば単腔カニューレを通じて送ると、鼻孔の詰まり及び/又は身体の異常は、各鼻孔に吸入される量に影響を与え、ある場合には治療気体を無駄にし、他の場合には十分な治療気体を与えることができない。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4054133号公報
【特許文献2】米国特許第4519399号公報
【特許文献3】米国特許第4602644号公報
【特許文献4】米国特許第4777963号公報
【特許文献5】米国特許第4989599号公報
【特許文献6】米国特許第5046491号公報
【特許文献7】米国特許第5069222号公報
【特許文献8】米国特許第5099836号公報
【特許文献9】米国特許第5190048号公報
【特許文献10】米国特許第5251636号公報
【特許文献11】米国特許第5311875号公報
【特許文献12】米国特許第5413111号公報
【特許文献13】米国特許第6213955号公報
【特許文献14】米国特許第6565517号公報
【発明の開示】
【0009】
いくつかの好ましい実施例の概要
上述した問題は、患者の呼吸口の気流を個別に検出し、これらの呼吸口に治療気体を選択的に送る方法及びシステムによって、大部分は解決することができる。例示の実施例は、患者の第一及び第二の呼吸口の気流を検出すること、治療気体を第一呼吸口の気流に比例して第一呼吸口に送ること、及び治療気体を第二呼吸口の気流に比例して第二呼吸口に送ることとを有する方法である。
【0010】
開示された装置及び方法は、従来技術の装置の欠陥を克服することを可能にする特徴及び利点の組み合わせを有している。上述した特徴及びその他の特徴は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することによって、当業者には容易に明白になるであろう。
【0011】
本発明の好ましい実施例の詳細な説明のために、ここで、添付の図面が参照される。
【0012】
表記及び用語
所定の用語が、特定のシステム構成要素に言及するために、以下の説明及び請求項を通じて使われている。本明細書は、名称は異なるが機能が異なるわけではない構成要素を区別しようとするものではない。
【0013】
以下の説明において、また請求項において、含む(including)及び有する(comprising)という用語は、非制限的に使われ、それ故「含んでいるが、〜に限定されるものではない」という意味に解釈されるべきである。また、連結(couple)又は連結(couples)という用語は、間接的又は直接的な電気的、或いは機械的接続を意味するものである。したがって、第一装置が第二装置に接続される場合、その接続は直接的な接続による、又はその他の装置及び接続器を介した間接的な接続によるものであろう。
【0014】
好ましい実施例の詳細な説明
図1は、本発明の少なくともある実施例に従う選択的給送システム100を示す。選択的給送システム100は、気体ポート11を経て治療気体源10に接続される。治療気体源10とは、治療気体の任意の適した源、例えば携帯用シリンダー、酸素濃縮システム、又は病院等の永久供給システムである。選択的給送システムはまた、様々なポート、例えば鼻孔ポート23、25及び口ポート27を経て、任意の様々な装置及びシステムによって、患者(図示せず)に接続する。例えば、選択的給送システム100は、鼻孔カニューレを経て患者の鼻孔に接続する。本発明の実施例に従って、選択的給送システム100は、患者の呼吸を監視し、治療気体を患者の左鼻孔(LN)、右鼻孔(RN)及び/又は口(M)に選択的に送る。
【0015】
少なくともある実施例に従って、選択的給送システム100は、電気的構成要素及び機械的構成要素の両方を有している。電気的接続と機械的接続との間を区別するために、図1(及び残りの図)は、構成要素間の電気的接続を点線で、及び流体的接続、例えば装置間のチューブ接続を実線で示す。本発明の少なくともある実施例に従う選択的給送システム100は、プロセッサ12を有する。プロセッサ12は、マイクロコントローラであり得、従ってマイクロコントローラは、読み取り専用メモリ(ROM)14、ランダムアクセスメモリ(RAM)16、デジタル/アナログ変換器(D/A)18、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)20と一体になっている。プロセッサ12は、通信ロジック17をさらに有し得、該通信ロジックは、例えば患者の呼吸パターンについての記憶されたデータを転送するために、システム100が外部装置と通信することを可能とする。マイクロコントローラは、一体化された構成要素のため好まれるけれども、別の実施例では、プロセッサ12は、個別のRAM、ROM、通信D/A及びA/D装置と組み合わせた独立型中央処理ユニットによって実施され得る。
【0016】
ROM14は、プロセッサ12によって実行可能な命令を記憶できる。特に、ROM14は、ここに説明される本発明の様々な実施例を実行できるソフトウエアプログラムを有する。RAM16は、プロセッサ12のワーキングメモリであり得、データがそこに一時的に記憶されてそこから命令が実行される。プロセッサ12は、(A/D)変換器20及び(D/A)変換器18を経て、選択的給送システム内のその他の装置に接続できる。
【0017】
選択的給送システム100はまた、三ポート弁22、三ポート弁24、及び三ポート弁26を有している。本発明の実施例に従って、これらの三ポート弁の各々は、5ボルトソレノイド弁であり、二つのポートのうち一つを共通ポート(図面中にCと符号付けされている)に選択的に流体的に接続する。三ポート弁22、24及び26は、例えばジョンヘンリーフオスター社(John Henry Foster Co.)から入手できる、製品番号D3061を有するハンプレイミニマイザーズ(Humprey Mini−Mizers)、又はこれと同等のものであり得る。三ポート弁22に接続されるデジタル出力信号回線に電圧を選択的に加えることによって、プロセッサ12は、気体源10からの気体を共通ポートに、従って例示の左鼻孔に接続でき、また圧力センサ28を共通ポートに、従って例示の左鼻孔に接続できる。同様に、三ポート弁24はプロセッサ12の指令下で、気体源10からの気体を鼻孔ポート23に、従って例示の右鼻孔に接続でき、また圧力センサ30を鼻孔ポート23に、従って例示の右鼻孔に接続できる。さらにここで、プロセッサ12の指令下で三ポート弁26は、気体源10からの気体を鼻孔ポート25に、従って患者の口に接続でき、また圧力センサ32を鼻孔ポート25に、従って口に接続できる。圧力センサ28、30及び32が各々のポートに接続されると、プロセッサ12は、各々の呼吸口を通る患者による気流を示す圧力を(対応するA/D変換器20入力信号回線を通して)読み取ることができる。したがって、プロセッサ12は、患者がいつ吸入しているか、また患者により吸い込まれた空気のどれ位の量が、監視された呼吸口の各々を通って流れるかを決定することができる。
【0018】
選択的給送システム100が、二股鼻孔カニューレにより患者の鼻孔に接続する状況を考える。患者が吸入すると、各鼻孔の開口部の直近にある鼻孔カニューレの出口ポートが、圧力降下を受ける。圧力降下は、圧力センサ28及び30の各々によって、鼻孔カニューレ及び関連するホースを通じて検出される。同様に、検出及び給送チューブが、患者の直近に取付けられ、それ故圧力センサ32は患者による口の吸気を検出できる。本発明の実施例に従って、選択的給送システム100は、患者が、監視される呼吸口を通る気流を有するかどうかを検知し、治療気体をその位置、すなわち治療気体が患者に吸入される位置に送る。
【0019】
さらに、患者が二股鼻孔カニューレ及び口用の別個の検出及び給送チューブを通じて選択的給送システム100に接続する状況を考えると、鼻孔か口のいずれかにおける吸入に対して障害がない場合、治療気体は、鼻孔及び口の任意の一つ又はこれらの組み合わせに供給されるであろう。ここで、選択的給送システム100は、周期的に給送位置を有益に交互に入れ替えて、治療気体に伴なう不快感を減じることができる。鼻孔カニューレが部分的に取り外されたら、治療気体は、鼻孔カニューレの出口ポートが、鼻孔への作用関係にまだある鼻孔にのみ供給されるであろう。患者の鼻孔が詰まる又は閉塞されることになったら、治療気体は、開いている鼻孔に供給されるであろう。
【0020】
上述した本発明の実施例は、治療気体の連続した流れを送るシステムでも節約モードで作動するシステムでも同等に使うことができる。動作の連続モードでは、三ポート弁22、24及び26は、治療気体を長期間、例えば数回の呼吸サイクルの間、それぞれの呼吸口に接続することができる。周期的に治療気体の給送が停止し、選択的給送システム100は、患者の呼吸パターンを監視することができる。すなわち、一つ又はそれ以上の三ポート弁22、24及び26が弁の位置を変え、それ故圧力センサをそれぞれの呼吸口に接続して治療気体流を停止することができる。監視される呼気又は呼吸が、呼吸口の何れも閉塞されていないことを示す場合、システム100は、動作の連続モードに単純に切替わるであろう。選択的給送システムが、呼吸口の何れについても吸入を検出することができない場合、連続流モードが、問題を受けている呼吸口に治療気体を供給することなく、再開されるであろう。
【0021】
別の実施例では、選択的給送システム100は、患者の各吸入中に気体塊を送る節約モードで作動できる。図1に示される左鼻孔及びそれの関連した三ポート弁22及び圧力センサ28を説明のために考える。吸気の前に、三ポート弁22は、圧力センサを三ポート弁22の共通ポートに、従って左鼻孔に接続できる。患者が吸入を開始すると、圧力センサ28によって検知されてプロセッサ12によって読み取られるので、三ポート弁22は、(プロセッサ12によって命令が出されると)弁の位置を変えて治療気体源10を共通ポートに接続する(及び共通ポートから圧力センサを効果的に閉鎖する)。一時期、例えば100ミリ秒の間、治療気体は例示の左鼻孔に流れることができる。所望のボーラス量が送られたとき、おそらくは治療気体の流速及び時間の関数として、プロセッサ12は、三ポート弁22をもとの状態になるように命令を出し、再び圧力センサ28を左鼻孔に流体的に接続することができる。再び圧力センサ28によって検知される呼気中に、三ポート弁22は、圧力センサを共通ポートに接続する弁の位置のままであり、従って治療気体は給送されない。この例示の工程は、右鼻孔と作用関係にある三ポート弁24及び圧力センサ30、並びに患者の口と作動関係にある三ポート弁26及び圧力センサ32に同等に当てはまる。したがって、節約モードにおいて、選択的給送システム100は、鼻孔及び/又は口が各吸気に伴って治療気体に対して開いているかどうかを検出することができる。閉塞又はその他の気体給送の問題(例えば、取り外されたカニューレ)を示すところの、いずれの特定の給送通路における吸気が検出されない場合、選択的給送システム100は、治療気体をその呼吸口に供給することを控えることができる。
【0022】
図2Aは、簡単な表記法で図1の選択的給送システム100を例示し、それぞれの呼吸口に接続される圧力センサ28、30及び32のみを示している。図2Bは、患者の鼻孔のみへの治療気体を監視して送る別の実施例を示す。図2Bの実施例では、左鼻孔及び右鼻孔の両方が流れのために開いている場合、選択的給送システム100は、治療気体をいずれかの鼻孔に、両方の鼻孔に、又は別の方法で送ることができる。左又は右のいずれかの鼻孔が、詰まる又は閉塞された状態になっている場合には、すなわち検出及び給送チューブ(例えば、鼻孔カニューレ)が取り外された状態になっている場合、選択的給送システムは、治療気体を気流が検知される鼻孔に供給することができる。図2Cは、本発明の別の実施例を例示しており、二つの圧力センサが使われるが、この場合には一方の圧力センサのみが鼻孔に関係していて、もう一方の圧力センサは口に関係している。図2Cの実施例において、患者は、単腔カニューレと、口に関連するもう一つの検出及び給送チューブを利用することができる。選択的給送システム100は従って、治療気体を鼻孔に及び/又は口に選択的に供給できる。一組の鼻孔又は口のいずれかが閉塞されるか、或いは吸気が利用できない状態になっている場合には、選択的給送システム100は、治療気体を吸入が行われる呼吸口に好ましく供給する。
【0023】
図3は、本発明の別の実施例に従って構成された選択的給送システム102を示す。図1のシステムと同様に、選択的給送システム102は、おそらくはマイクロコントローラの形態のプロセッサ12を有し、該プロセッサ12はROM14、RAM16、D/A変換器18及びA/D変換器20を有する。選択的給送システム102は、圧力センサよりもフローセンサ40、42及び44を利用できる。これ故、選択的給送システム102は、各呼吸口に関係している流れの一部を検知できる。フローセンサ40及び左鼻孔に接続される三ポート弁46、48を説明のために考える。三ポート弁46は、プロセッサ12の指令下で、気体源10を共通ポートに、従って例示の左鼻孔に接続でき、フローセンサ40を共通ポートに、従って例示の左鼻孔に接続できる。したがって、選択的給送システム102が治療気体を(連続であろうとボーラス形態であろうと)左鼻孔に供給する期間中、三ポート弁46は、治療気体を左鼻孔に供給してフローセンサを閉鎖している。第二の弁位置では、三ポート弁46は、フローセンサを共通ポートに、従って例示の左鼻孔に流体的に接続する。しかしながら、また本発明に従って、フローセンサ40は、気体がセンサを通って流れることができるまで作動することができない。三ポート弁48は、第一の弁位置において、フローセンサ40を大気への排気孔(図中にATMと記されている)に接続し、従って気体が測定のためにフローセンサを通って流れることができるようにしている。三ポート弁48は、第二の弁位置で、閉鎖ポート49に接続する。選択的給送システム102が、節約モードで動作しており、気体塊が、吸気中に一つ又はそれ以上の呼吸口に供給されるシステムを説明のために考える。ボーラスが送られた後、三ポート弁46(及びおそらくは三ポート弁50及び54)は、弁位置を変えることができ、それ故フローセンサ40を共通ポートに、それから例示の左鼻孔に流体的に接続する。フローセンサ40出口が閉鎖されない場合、治療気体の一部は、フローセンサ40を通って逆流して大気への排気孔を出るであろう。三ポート弁48(及び対応する三ポート弁52及び56)は、治療気体の逆流及び損失を一時的に妨げるために使われ得る、すなわち弁は、治療気体の給送が、上流側の三ポート弁46、50及び54による弁位置の変化によって停止した後、約300ミリ秒の間流れを閉鎖する位置のままである。起こり得る逆流の期間の期限が終了した後、一つ又はそれ以上の三ポート弁48、52及び56は、弁位置を変え、それ故フローセンサが気流を検知可能とする。左鼻孔に対する三ポート弁46、48及びセンサ40についての説明は、右鼻孔及び口についての構造に等しく当てはまる。
【0024】
図4Aは、簡単な表記法で図3の選択的給送システム102を例示しており、それぞれの呼吸口に接続されるフローセンサ40、42及び44のみを示している。図4Bは、患者の鼻孔のみが検出及び給送のために使われている本発明の別の実施例を示している。図4Bの実施例では、左鼻孔及び右鼻孔の両方が流れのために開いている場合、選択的給送システム102は、治療気体をいずれかの鼻孔、両方の鼻孔、又は交互に送ることができる。左か右鼻孔のいずれかが詰まるか閉塞された状態になっている場合には、すなわち検出及び給送チューブが取り外された状態になっている場合、選択的給送システムは、治療気体を閉塞されていない鼻孔にのみ供給することができる。図4Cは別の実施例をさらに例示しており、二つのセンサが使われているが、この場合一方のフローセンサは鼻孔に関連し、もう一つのフローセンサは口に関連する。図4Cの実施例では、患者が単腔カニューレと、口に関連するもう一つの検出及び給送チューブを利用することできる。選択的給送システム100は従って、治療気体を鼻孔及び/又は口に選択的に供給することができる。一組の鼻孔又は口のいずれかが、閉塞されるか、或いは呼吸のために利用できない状態になっている場合には、選択的給送システム102は、治療気体を開いている呼吸口に好ましく供給する。
【0025】
図5は、フローセンサを利用する本発明のもう一つの実施例を示すが、使われる三ポート弁の数を減じている。電気的構成要素は、明瞭にするために図5から省かれている。特に、図5は、図3の三ポート弁48、52及び56が単一の三ポート弁58に置き換えられることを示している。図5の実施例のフローセンサを通る逆流を妨げることは、単一の三ポート弁58によって達せられるであろう。関連して、流れを検出できるように各フローセンサのもう一つのポートを大気排出口に開くことによって、同様に単一の三ポート弁58によって達せられるであろう。
【0026】
ここまでに論じた実施例は、治療気体流量をブール式に制御している。すなわち、治療気体は、呼吸口に送られるか、或いは選択的給送システム100、102が呼吸口への治療気体の給送を控えるかである。しかしながら、本発明の別の実施例は、上述した任意の例示の実施例を使って実施され得るが、各呼吸口への流れをその呼吸口により引かれる気流の量に比例(正比例又は反比例)して制御することができる。説明のために、図2B及び4Bに示される圧力及びフローセンサの実施例を考える。例えば、鼻孔詰まり、身体的異常、鼻孔組織の周期的な腫れ等のような様々な理由のために、鼻孔を通る吸入中に患者により引かれる空気流量は同等ではない。圧力の検出及び/又は各鼻孔を通る空気流量の一部の検出によって、選択的給送システム100、102は、鼻孔間のような空気流間の関係を定量化することができる。たとえば、例示の患者の左鼻孔には、気流の20%を伝え、患者の右鼻孔には気流の残りの80%を伝えることができる。前記に説明される実施例においては、治療気体が、右鼻孔に送られるのみで、気流の大部分を伝えることができる。代替実施例では、選択的給送システム100、102は、治療気体の給送を釣り合わせることができる。それぞれ左鼻孔と右鼻孔との間の20−80での分割の例において、選択的給送システム100、102は、治療気体を左鼻孔に20%及び右鼻孔に80%、又はその逆に対応して釣り合わせることができる。患者の左鼻孔の詰まりが少なくなると(すなわち患者が空気流量又は腫れに影響を与える頭位置を変えると)、選択的給送システムは、同様に治療気体流量の割合を変えることができる。図3を再び参照すると、治療気体流量を釣り合わせることは、プロセッサ12により三ポート弁46、50及び54の各々をパルス幅変調することによって達せられ得る。患者の左鼻孔が全気流の20%のみを伝えて制御が正比例である例示の状況では、プロセッサ12から三ポート弁46への電気信号は、治療気体の20%のみが左鼻孔に送られる場合のデューテイサイクルでパルス幅変調される。治療気体が呼吸口の間で釣り合わせられる代替実施例に関しての説明は、鼻孔を釣り合わせることにだけ焦点をあてているが、この釣り合わせは、同様に鼻孔全般と口との間で、又はすべての三つの呼吸口の間で行われ得る。
【0027】
すべての実施例において、吸入がいずれの呼吸口を通しても検出されない場合には、警報が鳴ってもよい。関連して、選択的給送システムが無呼吸事象を検知する場合、警報が鳴ってもよい。さらに、患者の呼吸パターンが例えばRAM16に記憶されて通信ポート17を介して外部装置に伝達されてもよい。
【0028】
上記の説明は、本発明の原則及び様々な実施例を例証することを意図されているものである。ひとたび上記の開示が十分に理解されるなら、多数の変形例及び修正例が当業者には明らかになるであろう。たとえば、カニューレの使用が、少なくとも選択的給送システムを鼻孔に接続することに関して説明されているとはいえ、これは単なる例示に過ぎず、治療気体が選択的給送システムから患者の呼吸口へ流体的に接続される任意のシステム及び方法が同等に使われてもよい。単腔カニューレは、鼻孔に関してある状況で動作可能であろう。同様に、二股鼻孔カニューレが鼻孔に関して使われてもよい。もう一つとして、フローセンサに接続する検出回線が、治療気体が呼吸口の直近に送られる回線と別個で区別される場合にカニューレを使うことができる。さらに、説明された様々な実施例は制御システムとして電気的構成要素を使っているとはいえ、その他の空気式/機械的システムが、同等に使われてもよい。以下の請求項は、すべてのかかる変形例及び修正例を包括するように解釈されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に従う選択的給送システムを示す。
【図2A】簡単な表記で図1のシステムを示す。
【図2B】図1のシステムについて別の実施例を示す。
【図2C】図1のシステムのさらにもう一つの実施例を示す。
【図3】本発明の別の実施例に従う選択的給送システムを示す。
【図4A】簡単な表記で図3のシステムを示す。
【図4B】図3のシステムについて別の実施例を示す。
【図4C】図3のシステムのさらにもう一つの実施例を示す。
【図5】少数の三ポート弁を使う図3のシステムについて別の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の第一及び第二呼吸口の各々の気流を個別に検出することと、
治療気体を、第一及び第二呼吸口の一つに送ることは、より大きな気流を示すこと
とを有する方法。
【請求項2】
第一及び第二口は左鼻孔、右鼻孔及び口を有するグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出及び給送は同じ吸入中に起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出及び給送は別の吸入中に起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
給送は、
治療気体を第一口の気流に比例する量で第一呼吸口に送ることと、
治療気体を第二口の気流に比例する量で第二呼吸口に送ること
とをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
給送段階は各々、気流に正比例する量を送ることをさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
検出は、患者の第三呼吸口の気流を検出することをさらに含み、また
給送は、治療気体を、第一、第二及び第三呼吸口の一つに送ることは、より大きな気流を示すことをさらに含む、
ことをさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
給送は、治療気体を第一、第二及び第三呼吸口それぞれの気流に比例する量で、第一、第二及び第三呼吸口に送ることをさらに有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
制御システム、
制御システムに接続される第一及び第二センサ、
制御システム及び第一センサに接続される第一弁、
制御システム及び第二センサに接続される第二弁、
とを有し、一方の弁位置において、第一弁は、治療気体の源を第一弁の共通ポートに流体的に接続し、もう一つの弁位置で、第一弁は、第一センサを第一弁の共通ポートに流体的に接続し、また第一弁の共通ポートは患者の第一呼吸口に流体的に接続するように構成されており、一方の弁位置において、第二弁は、治療気体の源を第二弁の共通ポートに流体的に接続し、もう一方の弁位置で、第二弁は、第二センサを第二弁の共通ポートに流体的に接続し、また第二弁の共通ポートは患者の第二呼吸口に流体的に接続するように構成される、並びに
制御システムは、第一及び第二センサを用いて第一及び第二呼吸口の気流を示す第一及び第二検知パラメータを決定し、制御システムは、第一検知パラメータが気流の存在を示す場合に限り、治療気体を第一弁の共通ポートに供給するように第一弁に命令を出し、また制御システムは、第一検知パラメータが気流の存在を示す場合に限り、治療気体を第二弁の共通ポートに供給するように第二弁に命令を出す、
システム。
【請求項10】
制御システムは第一検知パラメータを決定し、患者の同じ吸気中で治療気体を供給するように第一弁に命令を出す、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
制御システムは第一検知パラメータを決定し、患者の別の吸気中で治療気体を供給するように第一弁に命令を出す、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
第一センサは圧力センサであり、第一検知パラメータは気流を示す圧力である、ことをさらに有する請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
第一センサはフローセンサであり、第一検知パラメータは第一呼吸口の気流の少なくとも一部である、ことをさらに有する請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
制御システムは、第一の検知パラメータに比例して治療気体流を供給するように第一弁に命令を出す、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
制御システムは、第一検知パラメータに正比例して治療気体流を供給するように第一弁に命令を出す、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
制御システムはプロセッサをさらに含み、
第一センサは、プロセッサに接続される出力信号回線をさらに含み、
第一弁は、プロセッサに接続される制御入力信号をさらに含んでいて、プロセッサは制御入力信号回線を経て弁に命令を出す、
ことをさらに有する請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
患者の第一及び第二鼻孔の気流を個別に検出することと、
治療気体を第一鼻孔の気流に比例して第一鼻孔に送ることと、
治療気体を第二鼻孔の気流に比例して第二鼻孔に送ることと、
を有する方法。
【請求項18】
給送は、鼻孔が気流に対して開いている場合に限り、鼻孔に送ることをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
検出及び給送の段階は、同じ吸気中に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
検出及び給送の段階は、別の吸気中に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
検出は、
第一鼻孔の気流を示す圧力を検出することと、
第二鼻孔の気流を示す圧力を検出すること
とをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
検出は、
第一鼻孔の気流の少なくとも一部を検出することと、
第二鼻孔の気流の少なくとも一部を検出すること
とをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
給送段階は、気流に正比例して治療気体を送ることをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
患者の鼻孔の気流に関するデータを記憶することと、
データを外部要求元に送ること
とをさらに有する請求項17に記載の方法。
【請求項25】
治療気体の源に接続されるのに適した気体ポート、
患者の第一鼻孔に接続されるのに適した第一鼻孔ポート、
患者の第二鼻孔に接続されるのに適した第二鼻孔ポート、
とを有し、
治療気体の給送システムは、第一鼻孔を通る気流が検知される場合、気体ポートを第一鼻孔に流体的に接続し、また治療気体の給送システムは、第二鼻孔を通る気流が検知される場合、気体ポートを第二鼻孔に流体的に接続する、治療気体の給送システム。
【請求項26】
治療気体の給送システムは、治療気体を連続して送るために、気体ポートを第一及び第二鼻孔ポートに接続し、気流を検知する第一及び第二鼻孔ポートの一方又は両方から気体ポートを周期的に遮断する、請求項25に記載の治療気体の給送システム。
【請求項27】
治療気体の給送システムは、患者の吸入中に気流を検知し、気流が吸入中に第一鼻孔を通じ検知される場合、気体ポートを第一鼻孔ポートに流体的に接続し、さらに気流が吸入中に第二鼻孔を通じて検知される場合、気体ポートを第二鼻孔ポートに流体的に接続する、請求項25に記載の治療気体の給送システム。
【請求項28】
気体ポートを第一鼻孔ポートに流体的に接続して第一鼻孔を通る気流に比例して治療気体流を供給するようにさらに構成され、また気体ポートを第二鼻孔ポートに流体的に接続して第二鼻孔を通る気流に比例して治療気体流を供給するようにさらに構成されている請求項25に記載の治療気体の給送システム。
【請求項29】
気体ポートを第一鼻孔ポートに流体的に接続して第一鼻孔を通る気流に正比例して治療気体流を供給するようにさらに形成され、また気体ポートを第二鼻孔ポートに流体的に接続して第二鼻孔を通る気流に正比例して治療気体流を供給するようにさらに構成されている請求項28に記載の治療気体の給送システム。
【請求項30】
患者の口に接続するのに適した口ポートをさらに有し、
治療気体の給送システムは、気流が患者の口を通じて検知される場合、気体ポートを口ポートに流体的に接続する、
請求項25に記載の治療気体の給送システム。
【請求項31】
気流が第一鼻孔、第二鼻孔及び口の各々において検知される場合、治療気体の給送システムが、気体ポートを輪番式に第一鼻孔ポート、第二鼻孔ポート及び口ポートに接続するように構成される、請求項30に記載の治療気体の給送システム。
【請求項32】
患者の第一鼻孔の気流を測定し、治療気体を測定に基づいて第一鼻孔に供給することと、
患者の第二鼻孔の気流を測定し、治療気体を第二鼻孔の測定に基づいて第二鼻孔に供給することとを有する方法。
【請求項33】
供給段階は、治療気体塊を供給することをさらに有し、ボーラス量は、それぞれの測定段階の結果に基づいて、第一と第二鼻孔の間で分割される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
供給段階は、治療気体を全流量で供給することをさらに有し、全流量は、それぞれの測定段階に基づいて、第一鼻孔に与えられる流量及び第二鼻孔に与えられる流量の総和である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
第一鼻孔ポートに接続される第一センサ及び第一弁を有し、第一鼻孔ポートは患者の第一鼻孔に接続するように、
第二鼻孔ポートに接続される第二センサ及び第二弁を有し、第二鼻孔ポートは患者の第二鼻孔に接続するように構成されており、
第一センサは、第一弁が一方の位置で第一鼻孔の気流を検知し、第一弁が別の位置で第一弁は治療気体を第一鼻孔ポートに接続し、
第二センサは、第二弁が一方の位置で第二鼻孔の気流を検知し、第二弁が別の位置で第二弁は治療気体を第二鼻孔ポートに接続し、
治療気体の給送システムは、気流が第一鼻孔で検知される場合、治療気体を第一鼻孔に送るだけであり、気流が第二鼻孔に検知される場合、治療気体を第二鼻孔に送るだけである、治療気体の給送システム。
【請求項36】
気流が、第一及び第二鼻孔の両方に検知される場合、治療気体の給送システムは、治療気体の給送を第一及び第二鼻孔ポートに交互に行う、請求項35に記載の治療気体の給送システム。
【請求項37】
前記第一弁は、第一鼻孔ポートに接続される治療気体の量を制御するように構成されており、この量は第一鼻孔の気流に基づくものであり、
前記第二弁は、第二鼻孔ポートに接続される治療気体の量を制御するように構成されており、この量は第二鼻孔の気流に基づくものであることをさらに有する請求項35に記載の治療気体の給送システム。
【請求項38】
第一及び第二鼻孔ポートの組み合わせに送られる全量が制御される、請求項37に記載の治療気体の給送システム。
【請求項39】
第一及び第二弁は、治療気体を連続モードでの作動のためにそれぞれの鼻孔に接続し、気流を検知する第一及び第二センサに周期的に接続する、請求項35に記載の治療気体の給送システム。
【請求項40】
プロセッサ、
プロセッサに接続される出力信号回線を有する第一センサ、
プロセッサに接続される出力信号回線を有する第二センサ、
プロセッサに接続される入力信号回線を有する第一弁、
プロセッサに接続される入力信号回線を有する第二弁、
を有しており、一方の弁位置で第一弁は、治療気体の源を第一弁の共通ポートに流体的に接続し、もう一方の弁位置で、第一弁は第一センサを第一弁の共通ポートに流体的に接続し、第一弁の共通ポートは患者の第一呼吸口に流体的に接続するように構成されていて、また一方の弁位置で第二弁は、治療気体の源を第二弁の共通ポートに流体的に接続し、もう一方の弁位置で、第二弁は第二センサを第二弁の共通ポートに流体的に接続し、第二弁の共通ポートは患者の第二呼吸口に流体的に接続するように構成され、
並びに
プロセッサは、第一及び第二センサの出力信号回線を読み取って、第一及び第二呼吸口のそれぞれの気流を示す第一及び第二値を決定し、プロセッサは、制御入力信号回線を第一弁にアサートして、第一弁が気流の存在を示す場合に限り、治療気体を第一弁の共通ポートに供給するようにプログラムされており、またプロセッサは、制御入力信号回線を第二弁にアサートして、第二弁が気流の存在を示す場合に限り、治療気体を第二弁の共通ポートに供給するするようにプログラムされている、
システム。
【請求項41】
プロセッサは、第一センサの出力信号回線を読み取り、第一弁の制御入力信号回線をアサートして患者の同じ吸気中で治療気体を供給する、ことをさらに有する請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
プロセッサは、第一センサの出力信号回線を読み取り、第一弁の制御入力信号回線をアサートして患者の異なる吸気中で治療気体を供給する、ことをさらに有する請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
第一センサは圧力センサであり、また第一値は気流を示す圧力である、ことをさらに有する請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
第一センサはフローセンサであり、また第一値は呼吸口の気流の少なくとも一部を表す値である、ことをさらに有する請求項40に記載のシステム。
【請求項45】
プロセッサは制御入力信号回線をパルス幅変調して、第一及び第二値に比例した治療気体流を供給する、請求項40に記載のシステム。
【請求項46】
プロセッサは制御入力信号回線をパルス幅変調して、第一及び第二値に正比例した治療気体流を供給する、請求項40に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−517540(P2007−517540A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538032(P2006−538032)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033179
【国際公開番号】WO2005/044331
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506007965)エアーマトリックス テクノロジーズ インコーポレーテッド (2)