説明

気流搬送微粉体用の分配器及び分配方法

【課題】高圧な加圧条件下でも分配動作に対する高い信頼性がえられ、また均一性の高い分配をなすことができ、さらに長期間にわたり安定的に分配動作をなせる気流搬送微粉体用の分配器の提供。
【解決手段】気流搬送微粉体用の分配器1は、一端側に気流搬送微粉体36の流入口を有するとともに、中心軸に沿って流入口側が先細りとなる円錐状空間部37を有するように形成され分配部31、分配ガス32を分配部に供給する分配ガス供給口33、および分配部で分配された気流搬送微粉体を複数の分配ラインのそれぞれに送出する複数の分配送出口34を備え、そして分配ガス供給口による分配ガスの供給は、分配部の中心軸に沿って旋回して中心部に負圧領域39を発生させる状態の旋回流40を分配ガスに形成させる噴流状態でなすようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ガスと混合して気流搬送される微粉体を複数の分配ラインに分配するための分配技術に係り、特に石炭ガス化装置における気流層式のガス化炉に微粉炭やチャーを微粉体として気流搬送で供給する場合の分配に好適な分配技術に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化では、石炭とガス化剤(酸素や空気など)をガス化炉で反応させることで生成ガスを発生させ、その生成ガスをガス精製設備で精製して石炭ガスを得る。そして得られた石炭ガスは、例えば発電用エネルギ源や化学原料などに用いられる。こうした石炭ガス化におけるガス化炉には、固定層式、流動層式、気流層式などがある。ここでは気流層方式に着目する。
【0003】
気流層方式では、原料の石炭を微粉炭にしてガス化炉に供給し、炉内温度を原料灰の融点以上の温度(1300〜1600℃)に高めた状態で酸化剤と反応させて石炭のガス化を行う。このため気流層式は、他の方式に比較しガス化効率が高い、適用炭種が広い、環境適合性が優れるなどの特徴を有し、こうしたことから合成ガス製造用、複合発電用、燃料電池の燃料製造用、化学原料製造用など多くの分野に適しており、国内外で広く開発が進められている。
【0004】
気流層式のガス化炉への微粉炭の供給には、湿式法と乾式法がある。湿式法では、微粉炭を水スラリー状にしてガス化炉に供給する。そのため水の顕熱損失によりガス化効率が低くなる。一方、乾式法では、窒素などの不活性ガスを搬送ガスとした気流搬送で微粉炭をガス化炉に供給する。したがって湿式法におけるようなガス化効率低下の問題はない。こうしたことから乾式法に多くの期待が寄せられている。
【0005】
上述のように乾式法では気流搬送で微粉炭をガス化炉に供給するが、これについては気流搬送微粉炭の分配の問題(チャーをリサイクルする場合は気流搬送チャーの分配の問題もある)が伴う。ガス化炉では、複数のバーナを設け、それら各バーナから微粉炭を炉内に供給するようにするのが一般的である。この場合、供給ホッパから切り出した微粉炭を搬送する供給ラインをバーナごとに設けるとすると長大な供給ラインの数が多くなり、設備コストの増大を招いてしまう。そこで、供給ラインに分配器を設け、その分配器で供給ラインの微粉炭を分配して各バーナに供給する方式が用いられることになる。
【0006】
石炭ガス化装置用の分配技術としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示の例が知られている。特許文献1の「石炭ガス化炉の微粉体分配器」は、流動層を用いて微粉体を分配する方式であり、流動層に臨ませた複数の搬送管ノズルで微粉体を分配するについて、その複数の搬送管ノズルを駆動装置で上下方向に移動させることができるようにすることで、分配の安定性を高めるようにしている。また特許文献2の「高濃度粉体用分配弁」は、アクチュエータで操作される可動式の分配弁体を有し、その分配弁体により粉体気流を可変分配比で分配する構造、または粉体気流を淀ませるチャンバー部を有し、そのチャンバー部で粉体気流を淀ませることにより分配する構造とされている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−110937号公報
【特許文献2】特開2000−119665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
気流層式のガス化炉への微粉炭の供給における微粉炭の気流搬送は、例えば3MPaといった高圧な加圧条件下でなされる。このため気流層式のガス化炉による石炭ガス化装置で用いる分配器や分配方法には、高圧な加圧条件下での分配動作に対する高い信頼性、高圧な加圧条件下での分配の高い均一性、高圧な加圧条件下での長期間にわたる分配動作の安定性といった特性のあることが求められる。
【0009】
こうした特性要求について、上記特許文献1や特許文献2に開示の技術は必ずしも十分に応えていない。すなわち特許文献1の微粉体分配器や特許文献2の分配弁体タイプの高濃度粉体用分配弁配は、いずれも駆動要素を必要とすることから、高圧な加圧条件下での分配動作の信頼性に問題を残し、長期間にわたる分配動作の安定性についても問題を残している。また特許文献2のチャンバー部タイプの高濃度粉体用分配弁配は、駆動要素を不要とするものの、チャンバー部における淀みという安定性に難のある現象を利用していることから、分配の均一性や安定性に問題を残している。
【0010】
本発明は、以上のような事情を背景になされてものであり、その課題は、石炭ガス化装置における気流搬送の微粉炭の分配で要求されるような、高圧な加圧条件下での分配動作に対する高い信頼性、高圧な加圧条件下での分配の高い均一性、高圧な加圧条件下での長期間にわたる分配動作の安定性という各特性を満足させることを可能とする気流搬送微粉体用の分配器及び分配方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、上記分配器に関する課題を解決するために、気流搬送される微粉体を複数の分配ラインに分配する気流搬送微粉体用の分配器において、一端側に前記気流搬送微粉体の流入口を有するとともに、中心軸に沿って前記流入口側が先細りとなる円錐状空間部を有するように形成され分配部、前記気流搬送微粉体の分配用の分配ガスを前記分配部に供給する分配ガス供給口、および前記分配部で分配された気流搬送微粉体を前記複数の分配ラインのそれぞれに送出する複数の分配送出口を備え、そして前記分配ガス供給口による前記分配ガスの供給は、前記分配部の中心軸に沿って旋回して中心部に負圧領域を発生させる状態の旋回流を前記分配ガスに形成させる噴流状態でなすようにされていることを特徴としている。
【0012】
このような本発明の分配器では、気流搬送微粉体が流入口から分配部に流入する。分配部に流入した気流搬送微粉体は、分配部に形成される分配ガスの旋回流の中心部における負圧領域により、分配部の中心軸に沿うようにして吸い寄せられ、それにより分配部における流入口に対向の内周面、つまり分配部の天井面に噴流状態で衝突する。分配部の天井面に噴流状態で衝突した気流搬送微粉体は、分配部の傾斜内側面(円錐状空間部における傾斜状態の内側面)に沿うように流入口に向けて流れる均質な流れを形成し、その流れにより各分配送出口に均一的に分配されて流入し、それら各分配送出口に対応する各分配ラインに送出される。またこうした分配にあっては、分配部の傾斜内側面に沿って流れる気流搬送微粉体の均質性を分配ガスの旋回流によりさらに高めることが可能であり、これにより分配の均一性がさらに高まることになる。
【0013】
このように本発明の分配器は、円錐状空間部を有する分配部に分配ガスを噴射供給するだけというきわめて簡単な構造で気流搬送微粉体の均一性の高い分配を行うことができる。したがって、高圧な加圧条件下での分配動作に対する高い信頼性、高圧な加圧条件下での分配の高い均一性、高圧な加圧条件下での長期間にわたる分配動作の高い安定性という各特性を満足させることが可能となる。
【0014】
本発明では、上記のような分配器について、前記分配ガス供給口を複数設けることを好ましい形態とする。このようにすることで、より効果的な旋回流を分配ガスに形成させることができる。
【0015】
また本発明では、上記のような分配器について、前記複数の分配ガス供給口それぞれによる前記分配ガスの噴流が隣り合う同士で衝突するようにするのを好ましい形態とする。このようにすることで、分配ガス供給口からの分配ガスの噴流が分配部の内側面に直接的に衝突することで分配部の内側面が微粉体により磨耗するのを効果的に抑えることができる。
【0016】
また本発明では、上記のような分配器について、前記複数の分配ガス供給口は、前記分配部の中心軸を中心にした円として仮想される仮想円に接する状態の噴流にして前記分配ガスの供給をなすようにするのを好ましい形態とする。このようにすることで、複数の分配ガス供給口を設ける場合について、より効果的な旋回流を分配ガスに形成させることができる。
【0017】
また本発明では、上記のような分配器について、前記複数の分配ガス供給口それぞれによる噴流が前記仮想円に接する位置が前記仮想円について回転対称となるようにするのを好ましい形態とする。このようにすることで、より一層効果的な旋回流を分配ガスに形成させることができる。
【0018】
本発明では、上記分配方法に関する課題を解決するために、気流搬送される微粉体を複数の分配ラインに分配する気流搬送微粉体の分配方法において、一端側に前記気流搬送微粉体の流入口を有するとともに、中心軸に沿って前記流入口側が先細りとなる円錐状空間部を有するように形成され分配部に対し、前記気流搬送微粉体の分配用の分配ガスを前記分配部に形成の分配ガス供給口から供給する一方で、前記分配部で分配された気流搬送微粉体を前記分配部に形成の分配送出口から前記複数の分配ラインのそれぞれに送出するようにして前記分配をなすようにされ、そして前記分配ガス供給口による前記分配部への前記分配ガスの供給は、前記分配部の中心軸に沿って旋回して中心部に負圧領域を発生させる状態の旋回流を前記分配ガスに形成させる噴流状態でなすようにされていることを特徴としている。
【0019】
このような本発明の分配方法は、上記分配器の場合と同様な理由から、高圧な加圧条件下での分配動作に対する高い信頼性、高圧な加圧条件下での分配の高い均一性、高圧な加圧条件下での長期間にわたる分配動作の高い安定性という各特性を満足させることが可能となる。
【0020】
本発明では、上記のような分配方法について、前記分配部への前記分配ガスの供給は、前記分配ガス供給口を複数設け、これらの複数の分配ガス供給口それぞれで前記分配部への前記分配ガスの供給をなすようにすることを好ましい形態とする。このようにすることで、より効果的な旋回流を分配ガスに形成させることができる。
【0021】
また本発明では、上記のような分配方法について、前記複数の分配ガス供給口それぞれによる前記分配ガスの噴流が隣り合う同士で衝突するようにするのを好ましい形態とする。このようにすることで、分配ガス供給口からの分配ガスの噴流が分配部の内側面に直接的に衝突することで分配部の内側面が微粉体により磨耗するのを効果的に抑えることができる。
【0022】
また本発明では、上記のような分配方法について、前記複数の分配ガス供給口それぞれによる前記分配部への前記分配ガスの供給は、前記分配部の中心軸を中心にした円として仮想される仮想円に接する状態の噴流にしてなすようにするのを好ましい形態とする。このようにすることで、複数の分配ガス供給口を設ける場合について、より効果的な旋回流を分配ガスに形成させることができる。
【0023】
また本発明では、上記のような分配方法について、前記複数の分配ガス供給口それぞれによる噴流が前記仮想円に接する位置が前記仮想円について回転対称となるようにするのを好ましい形態とする。このようにすることで、より一層効果的な旋回流を分配ガスに形成させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明によれば、石炭ガス化装置における気流搬送の微粉炭の分配で要求されるような、高圧な加圧条件下での分配動作に対する高い信頼性、高圧な加圧条件下での分配の高い均一性、高圧な加圧条件下での長期間にわたる分配動作の安定性という各特性を満足させることが可能な気流搬送微粉体用の分配器及び分配方法が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に、第1の実施形態による分配器1(1a、1b)を用いた石炭ガス化装置の要部の構成を示す。石炭ガス化装置は、気流層式のガス化炉2を備え、またガス化炉2に微粉炭を供給する微粉炭供給系3とガス化炉2から発生するチャー(石炭未燃物)をガス化炉2に戻してリサイクルするチャーリサイクル系4を備えている。
【0026】
微粉炭供給系3は、図外の供給源から送られてくる微粉炭5を一旦貯留する常圧ホッパ6を備えている。常圧ホッパ6には、搬送管7を介してロックホッパ8が接続され、さらにロックホッパ8に搬送管7を介して供給ホッパ9が接続されており、常圧ホッパ6に貯留の微粉炭5が常圧ホッパ6からロックホッパ8へ、さらにロックホッパ8から供給ホッパ9へと搬送される。ロックホッパ8と供給ホッパ9は、ロックホッパ系を構成しており、図示を省略の加圧ガス供給系からロックホッパ8に供給される加圧ガスにより微粉炭5をガス化炉2における加圧条件に適合する加圧状態にする。
【0027】
ロックホッパ系で加圧された微粉炭5は、ロータリバルブ11により供給ホッパ9から供給ライン12に切り出され、図示を省略の搬送ガス供給系から供給される搬送ガスと混合されることで気流搬送微粉炭となって供給ライン12を流下する。供給ライン12を流下する気流搬送微粉炭は、供給ライン12の端に設けられている分配器1(1a)により複数(図の例では2つ)の分配ライン13に分配され、それら分配ライン13でガス化炉2における複数の石炭用バーナ14に供給される。
【0028】
チャーリサイクル系4は、脱塵装置15を備えており、ガス化炉2からの生成ガスライン16を流下する生成ガスに脱塵処理を施すことで、生成ガスからチャーを回収する。脱塵装置15には、搬送管7を介してロックホッパ17が接続され、さらにロックホッパ17に搬送管7を介して供給ホッパ19が接続されており、脱塵装置15で回収されたチャーが脱塵装置15からロックホッパ17へ、さらにロックホッパ17から供給ホッパ19へと搬送される。ロックホッパ17と供給ホッパ19は、ロックホッパ系を構成しており、図示を省略の加圧ガス供給系からロックホッパ17に供給される加圧ガスによりチャーをガス化炉2における加圧条件に適合する加圧状態にする。
【0029】
ロックホッパ系で加圧されたチャーは、ロータリバルブ20により供給ホッパ19から供給ライン21に切り出され、図示を省略の搬送ガス供給系から供給される搬送ガスと混合されることで気流搬送チャーとなって供給ライン21を流下する。供給ライン21を流下する気流搬送チャーは、供給ライン21の端に設けられている分配器1(1b)により複数(図の例では2つ)の分配ライン22に分配され、それら分配ライン22でガス化炉2における複数のチャー用バーナ23に供給される。
【0030】
図2と図3に分配器1(1a、1b)の構成を示す。図2は、縦方向で断面した状態を示し、図3は横方向で断面した状態を示している。分配器1は、2系列に分配するタイプであり、内部に分配部31が設けられ、また分配部31に分配ガス32を供給する分配ガス供給口33と分配部31で分配された気流搬送微粉炭36を送出する分配送出口34がそれぞれ2つずつ設けられている。
【0031】
分配部31は、一端側に流入口35が設けられ、この流入口35から気流搬送微粉炭36が流入するようにされている。また分配部31は、その中心軸に沿って流入口35の側が先細りとなる円錐状空間部37を有する形状に形成されている。ただし本実施形態では、円錐状空間部37がそのまま分配部31となるように分配部31を形成している。
【0032】
2つの分配ガス供給口33、33は、図3に示すように、180度の回転対称となるように設けられており、それぞれが仮想円38(こえは分配部31の中心軸を中心にした円として仮想される)に接する状態、つまり仮想円38の接線に沿う状態の噴流にして分配ガス32の供給をなすように適宜なノズル構造で形成されている。そして分配ガス供給口33、33それぞれからの分配ガス32の噴流は、仮想円38に接する位置が180度の回転対称となるようにされている。
【0033】
図2中に模式化して示すように、こうした分配ガス供給口33、33は、分配ガス32に適切な噴射圧を与えることにより、分配部31の中心軸に沿って旋回し、その中心部に負圧領域39を発生させるような強い旋回をなす旋回流40を分配ガス32に形成させる。
【0034】
2つの分配送出口34、34は、分配ガス供給口33、33に対して所定の距離だけと流入口35の側に偏倚した位置で180度の回転対称となるように設けられ、分配ガス供給口33、33に対して軸が直交する状態にされている。
【0035】
次ぎに、以上のような分配器1による分配方法を気流搬送微粉炭の場合について説明する。流入口35から分配部31に流入する気流搬送微粉炭36は、図2中に模式化して示すように、旋回流40における負圧領域39により、分配部31の中心軸に沿うようにして吸い寄せられ、それにより分配部31の天井面41に噴流状態で衝突する。分配部31の天井面41に噴流状態で衝突した気流搬送微粉炭36は、分配部31の傾斜内側面42に沿うように流入口35の側に向けて流れる均質な流れを形成し、その流れにより分配送出口34、34のそれぞれに均一的に分配されて流入し、それら分配送出口34、34に対応する分配ライン13、13(図1)に送出される。そしてこうした分配にあって、分配部31の傾斜内側面41に沿って流れる気流搬送微粉炭36は、その均質性を旋回流40によりさらに高められ、これにより分配の均一性がさらに高められる。なお、以上のような分配器1の分配動作は、気流搬送チャーについても全く同様である。
【0036】
このように分配器1は、円錐状空間部37を有する分配部31に分配ガス32を噴射供給するだけというきわめて簡単な構造で気流搬送微粉炭36の均一性の高い分配を行うことができる。したがって、石炭ガス化装置における気流搬送の微粉炭の分配で要求される、高圧な加圧条件下での分配動作に対する高い信頼性、高圧な加圧条件下での分配の高い均一性、高圧な加圧条件下での長期間にわたる分配動作の高い安定性という各特性を満足させることができる。
【0037】
図4に、第2の実施形態による分配器51の構成を横方向での断面状態について示し、図5に、第3の実施形態による分配器52の構成を横方向での断面状態について示す。
【0038】
第2の実施形態による分配器51は、基本的には第1の実施形態における分配器1と同様で、分配ガス供給口33を4つ設けている点で相違している。つまり分配器51は、分配器1に分配ガス供給口33を2つ追加した構造で、その追加分の分配ガス供給口33が分配送出口34に近接するようにして設けており、したがって4つの分配ガス供給口33が90度の回転対称となるようにされている。
【0039】
第3の実施形態による分配器52は、基本的には第2の実施形態における分配器51と同様で、4系列に分配するタイプ分とされている点で相違している。つまり分配器52は、分配器52に分配送出口34を2つ追加した構造で、その追加分の分配送出口34が分配ガス供給口33に隣接するようにして設けており、したがって4つの分配ガス供給口33と4つの分配送出口34がそれぞれ90度の回転対称となるようにされている。
【0040】
これら分配器51や分配器52では、分配ガス供給口33が4つ設けられていることで、4つの分配ガス供給口33それぞれによる分配ガス32の噴流が隣り合う同士で衝突する状態が得られる。このことは、分配ガス供給口33からの分配ガス32の噴流が分配部31の内側面に直接的に衝突するのを抑制するのに働き、これにより分配部31の内側面の微粉炭やチャーによる磨耗を効果的に抑えることができる。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明はその趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記各実施形態は石炭ガス化装置における気流搬送微粉炭の分配の場合であったが、これに限られず、本発明の分配器は、様々な気流搬送微粉体に適用することができる。また上記第2と第3の各実施形態は、分配ガス供給口を4つ設けることで分配ガスの噴流同士に衝突を起こさせるようにしていたが、これに限られず、3つ以上で分配ガス供給口を設けるようにすれば、効果的な衝突を起こさせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態による分配器を用いた石炭ガス化装置の要部の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態による分配器の構成を縦方向で断面した状態で示す図である。
【図3】第1の実施形態による分配器の構成を横方向で断面した状態で示す図である。
【図4】第2の実施形態による分配器の構成を横方向で断面した状態で示す図である。
【図5】第3の実施形態による分配器の構成を横方向で断面した状態で示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 分配器
5 微粉炭(微粉体)
13、22 分配ライン
31 分配部
32 分配ガス
33 分配ガス供給口
34 分配送出口
35 流入口
36 気流搬送微粉体
37 円錐状空間部
39 負圧領域
40 旋回流
38 仮想円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流搬送される微粉体を複数の分配ラインに分配する気流搬送微粉体用の分配器において、
一端側に前記気流搬送微粉体の流入口を有するとともに、中心軸に沿って前記流入口側が先細りとなる円錐状空間部を有するように形成され分配部、前記気流搬送微粉体の分配用の分配ガスを前記分配部に供給する分配ガス供給口、および前記分配部で分配された気流搬送微粉体を前記複数の分配ラインのそれぞれに送出する複数の分配送出口を備え、そして前記分配ガス供給口による前記分配ガスの供給は、前記分配部の中心軸に沿って旋回して中心部に負圧領域を発生させる状態の旋回流を前記分配ガスに形成させる噴流状態でなすようにされていることを特徴とする分配器。
【請求項2】
前記分配ガス供給口が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分配器。
【請求項3】
前記複数の分配ガス供給口それぞれによる前記分配ガスの噴流が隣り合う同士で衝突するようにされていることを特徴とする請求項2に記載の分配器。
【請求項4】
前記複数の分配ガス供給口は、前記分配部の中心軸を中心にした円として仮想される仮想円に接する状態の噴流にして前記分配ガスの供給をなすようにされていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の分配器。
【請求項5】
前記複数の分配ガス供給口それぞれによる噴流が前記仮想円に接する位置が前記仮想円について回転対称となるようにされていることを特徴とする請求項4に記載の分配器。
【請求項6】
気流搬送される微粉体を複数の分配ラインに分配する気流搬送微粉体の分配方法において、
一端側に前記気流搬送微粉体の流入口を有するとともに、中心軸に沿って前記流入口側が先細りとなる円錐状空間部を有するように形成され分配部に対し、前記気流搬送微粉体の分配用の分配ガスを前記分配部に形成の分配ガス供給口から供給する一方で、前記分配部で分配された気流搬送微粉体を前記分配部に形成の分配送出口から前記複数の分配ラインのそれぞれに送出するようにして前記分配をなすようにされ、そして前記分配ガス供給口による前記分配部への前記分配ガスの供給は、前記分配部の中心軸に沿って旋回して中心部に負圧領域を発生させる状態の旋回流を前記分配ガスに形成させる噴流状態でなすようにされていることを特徴とする分配方法。
【請求項7】
前記分配部への前記分配ガスの供給は、前記分配ガス供給口を複数設け、これらの複数の分配ガス供給口それぞれで前記分配部への前記分配ガスの供給をなすようにされていることを特徴とする請求項6に記載の分配方法。
【請求項8】
前記複数の分配ガス供給口それぞれによる前記分配ガスの噴流が隣り合う同士で衝突するようにされていることを特徴とする請求項7に記載の分配方法。
【請求項9】
前記複数の分配ガス供給口それぞれによる前記分配部への前記分配ガスの供給は、前記分配部の中心軸を中心にした円として仮想される仮想円に接する状態の噴流にしてなすようにされていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の分配方法。
【請求項10】
前記複数の分配ガス供給口それぞれによる噴流が前記仮想円に接する位置が前記仮想円について回転対称となるようにされていることを特徴とする請求項9に記載の分配方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−145071(P2010−145071A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325706(P2008−325706)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度〜20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、多目的石炭ガス製造技術開発(EAGLE)/パイロット試験設備およびゼロエミッション化技術に関する研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)