説明

気液分離装置、および除菌器

【課題】中空容器内の気泡が液体流出部から流出するのを防止できる気液分離装置および除菌器を提供する。
【解決手段】一形態にかかる気液分離装置40は、中空に構成され内部に液体を収容して気体と液体を分離する分離容器41と、前記分離容器41内外を連通するように構成され、外部から液体を前記分離容器内に流入させる液体流入管42と、前記分離容器41内外を連通するように構成され、内側の端部が前記分離容器41の内側壁面よりも内方に突出して配置され、前記分離容器41内の液体を外部に流出させる液体流出管43と、前記分離容器41の上部に設けられ、前記分離容器41内外を連通し、前記分離容器41内の気体を外部に流出させる開口44aを有する排気部44と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分離装置、および除菌器に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸水を生活用水等に利用する際には、濾過装置を用いて井戸水に含有する鉄やマンガンを除去して不純物を濾過するとともに、除菌を行っている。
【0003】
このような濾過装置には、例えば、井戸水中に薬液を注入する除菌器と、鉄や不純物、及び井戸水中に含有するマンガンを除去する濾過槽と、が用いられる。
【0004】
除菌器は、井戸水を給水する給水ポンプの二次側に順次設けられ、薬液、例えば次亜塩素酸ナトリウムを給水ポンプで給水された井戸水に注入し、除菌を行う。また、除菌器は、薬液により井戸水中の鉄を酸化させて析出させる。濾過槽は、この析出させた鉄を濾過することで、除鉄を行う。なお、濾過槽は、その内部に設けられた濾過材により、マンガンを吸着することで、マンガンの除去を行う。
【0005】
除菌器は、次亜塩素酸ナトリウムを貯留しておく薬液槽と、ろ過流量を検出するための磁石付き回転翼を有する流量比例注入用流量検出部を備えている。さらに、除菌器は、ろ過流量に比例した一定量の次亜塩素酸ナトリウムを注入するダイヤフラムポンプと、井戸水が通過する連結管及び薬液注入部を備えている。除菌器ではダイヤフラムポンプにより注入された次亜塩素酸により、原水に含まれる鉄イオンを酸化して不溶性の水酸化第二鉄にし、ろ過材にて捕捉している。
【0006】
ダイヤフラムポンプで注入される次亜塩素酸ナトリウムは、外気温や紫外線などにより自己分解しやすく、主に酸素ガスを発生して、有効塩素濃度が低下していくことが知られている。ダイヤフラムポンプは、薬液槽や吸込管やパイブで発生した酸素ガスの気泡を吸い込むと注入量低下や完全な揚液不能など、いわゆるガスロックと呼ばれる注入不良を起こす恐れがある。このようなガスロックを解消するために、薬液注入装置用の気液分離装置(脱泡継手)を基いることが知られている。この気液分離装置は定量ポンプの吸込部に接続する方式であり、液体流出部の先端を小さな直径の中空容器の上部側面に水平に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−164710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した技術では以下のような問題がある。すなわち、上述した気液分離装置では液体流入部より流入した気泡が中空容器の上部に蓄積し、液面が液体流出部まで低下し、注入ポンプが気泡を吸い上げてしまう恐れがある。また、気液分離装置内部で発生した酸素ガスの細泡は中空容器の内面に付着し、上方に浮揚しないため、中空容器の内面に付着した気泡を液体流出部より吸い込む恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態にかかる気液分離装置は、中空に構成され内部に液体を収容して気体と液体を分離する分離容器と、前記分離容器内外を連通するように構成され、外部から液体を前記分離容器内に流入させる液体流入管と、前記分離容器内外を連通するように構成され、内側の端部が前記分離容器の内側壁面よりも内方に突出して配置され、前記分離容器内の液体を外部に流出させる液体流出管と、前記分離容器の上部に設けられ、前記分離容器内外を連通し、前記分離容器内の気体を外部に流出させる開口を有する排気部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一形態にかかる除菌器は、薬液槽と、前記薬液槽の薬液を送液するダイヤフラムポンプと、前記ダイヤフラムポンプにより薬液を注入する薬液注入部と、を備え、前記薬液槽と前記ダイヤフラムポンプとの間に前記気液分離装置が設けられ、前記排気部の外側の開口は前記薬液漕の最高液面よりも高い位置に至るように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中空容器内の気泡が液体流出部から流出するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる濾過装置の構成を示す説明図。
【図2】同実施形態にかかる除菌器の構成を示す説明図。
【図3】同実施形態にかかる気液分離装置の側面図。
【図4】同気液分離装置の構成を示す平面図。
【図5】本発明の他の実施形態にかかる気液分離装置の構成を示す側面図。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる気液分離装置の構成を示す側面図。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる気液分離装置の構成を示す側面図。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる気液分離装置の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる濾過装置について図1乃至図4を参照して説明する。
【0014】
図1は濾過装置100の構成を模式的に示す説明図、図2は濾過装置100に用いられる除菌器101の側面図、図3は気液分離装置40の側面図、図4は気液分離装置40の平面図である。なお、図3においては内部構成を示すために一部断面で示している。
【0015】
図1に示す濾過装置100は、井戸W等の原水を揚水し、除菌、除鉄、除マンガン及び固形物等の不純物の濾過に用いられる濾過装置であり、除菌器101と、濾過槽102と、制御ユニット103と、を備えている。なお、図1中Fは井戸水の流れを、Gは薬液の流れを、Sは信号線を、Xは通常運転による水の流れを、Yは逆洗運転による水の流れを、Zは洗浄運転による水の流れをそれぞれ示している。
【0016】
除菌器101の一次側は、配管Uにより、砂濾し器105を介して、原水を汲み上げる給水ポンプ104に接続されている。
【0017】
図2に示すように、除菌器101は、架台11と、薬液タンク(薬液槽)12と、薬液注入手段13と、連結管14と、を備えている。薬液タンク12は、架台11上に設けられ、その内部に、薬液として次亜塩素酸ナトリウムを貯留可能に形成されている。薬液タンク12には薬液タンク12内の水位を検出する水位センサ15が設けられている。薬液タンク12は、薬液供給管16を介して薬液注入手段13と接続されている。薬液注入手段13は、薬液を定量注入可能なダイヤフラム式のダイヤフラムポンプ17と、ダイヤフラムポンプ17の吐出口に設けられた薬液吐出管18と、薬液吐出管18に設けられ連結管14の二次側に設けられた薬液注入器19と、を備えている。水位センサ15は、薬液タンク12に貯留されている薬剤の量を計測し、その値を制御ユニット103に送り出す。
【0018】
連結管14は、井戸水(流体)の流路である管路を形成する。連結管14は、管路を形成する管部21と、管部21の一次側に設けられた流量センサ22と、管部21の二次側に設けられた注入部23と、を備えている。流量センサ22は磁石付き回転翼を有し、回転翼の回転数を検出することによりろ過流量を検出し、その値を制御ユニット103に送り出す。さらに、連結管14には圧力センサ20が設けられている。圧力センサ20はダイヤフラムポンプ17の吸込側の連結管14内に生じている圧力を計測し、その値を制御ユニット103に送り出す。
【0019】
薬液供給管16は、例えば軟質塩化ビニルで構成されるチューブであり、薬液タンク12とダイヤフラムポンプ17の流入口17aを連通している。薬液供給管16の途中に気液分離装置40が設けられている。
【0020】
気液分離装置40は、分離容器41と、液体流入管42と、液体流出管43と、排気部44と、を備えて構成されている。
【0021】
分離容器41は、例えば硬質塩化ビニル(PVC)などの材料で透明の円筒状に構成された中空容器であって、内部に液体を溜めて気泡を浮揚させることにより気体と液体を分離する。分離容器41は円筒状の側壁41a、円盤状の上壁41bおよび底部41cを有して構成されている。底部41cは外側に突出形成された取付部41dを有している。この取付部41dにおいて底部41cが、ねじ部材などの取付具によって架台11の上面に締結されて固定されている。
【0022】
液体流入管42は、分離容器41の側壁41aの上部に設けられ、分離容器41内外を連通し、外部から液体を分離容器41内に流入させる。液体流入管42は、分離容器41の高さ方向中央よりも上側であって、好ましくは図3に示すように底部41cからの高さ寸法h1が、全高さ寸法h0の3/4以上の位置に配置されている。例えばここではh1=85mm、h0=100mmである。
【0023】
液体流入管42の一端側である外側端部42bは薬液供給管16aによって薬液タンク12内に連通している。液体流入管42の他端側の内側開口42aは分離容器41内中央部分において開口している。すなわち、液体流入管42の内側開口42aは分離容器41の内側壁面よりも内部に突出して配置されている。例えば液体流入管42の内側開口42aは、分離容器41の内側壁面と中心線C1の中間位置よりも中心線C1に近い位置に配置されている。なお、薬液供給管16aの中途部分には開閉可能な止め弁50が設けられている。この止め弁50を開くことで薬液タンク12の下流側であって気液分離装置40の上流側において、薬液供給管16aに液体を供給している。
【0024】
液体流出管43は、分離容器41の側壁41aの下部に設けられ、分離容器41内外を連通し、分離容器41内の液体を分離容器41外部に流出させる。液体流出管43は、分離容器41の高さ方向中央よりも下側であって、好ましくは図3に示すように底部41cからの高さ寸法h2が、全高さ寸h0の1/4以下の位置に配置されている。例えばここではh2=12mmである。
【0025】
液体流出管43の一端側である外側端部43bは薬液供給管16bによってダイヤフラムポンプ17の流入口17aに連通している。液体流出管43の他端側である内側開口43aは分離容器41内中央部分に至っている。液体流出管43の内側開口43aは分離容器41の内側壁面よりも内部に突出しているとともに、分離容器41の底部41cの内側面よりも上方に離間して配置されている。すなわち、液体流出管43内側の端部が分離容器41の内側壁面よりも内部に突出して配置されている。例えば液体流出管43の内側開口43aは、分離容器41の内側壁面と中心線C1の中間位置よりも中心線C1に近い位置に配置されている。また、底部41cの内側面からの距離は気泡の大きさなどを考慮して設定し、例えば本実施形態では10mm以上とした。
【0026】
排気部44は、分離容器41の上壁中央部に設けられ、分離容器41内外を連通し、分離容器41内の気体を外部に流出させる内側開口44aを有している。排気部44に連結されたチューブ44cの他端側の外側開口44dは薬液タンク12内の最高液面高さよりも高い位置に配置されている。
【0027】
液体流入管42、液体流出管43、および排気部44はいずれも硬質塩化ビニル材で管状に構成された部材であり、分離容器41の側壁41aや上壁41bに形成された孔部42e,43e,44eに挿入する構造となっている。また、液体流入管42、液体流出管43、および排気部44の外側端部42b、43b、44bにはそれぞれ液体供給管16a、16b及びチューブ44cが接続され、例えばねじ締め式のステンレス製バンドなどの固定部材46で締結されている。
【0028】
ダイヤフラムポンプ17には、内部に圧送室が形成してあり、流入口17a及び流出口17bが設けられている。ダイヤフラムポンプ17の性能は例えば40mL/min程度である。
【0029】
図1に示すように、除菌器101の二次側は配管Uにより濾過槽102に接続される。除菌器101と濾過槽102の間の配管Uには第1三方弁106(逆洗弁)が設けられている。第1三方弁106は、そのポートの一が排水部Dに接続され、ポートの切り換えにより、第1三方弁106の二次側からの水を排水部Dに排水可能に形成されている。
【0030】
濾過槽102は、タンク102aを有し、除菌器101からタンク102a内部への井戸水の流路を形成する内部配管102bを備えている。濾過槽102は、タンク102aの底部に吐出管として配管Uが接続される。この配管Uは、第2三方弁110(切換弁)に接続される。
【0031】
タンク102a内には、濾過材と、除マンガン用濾過材と、除鉄用濾過材が順次積層され、例えば、析出した鉄を補足及び除去可能、且つ、井戸水中のマンガンを接触酸化等により除去可能に形成されている。
【0032】
内部配管102bは、濾過槽102の上方側面から内部に配設され、給水ポンプ104から圧送された井戸水を、タンク102aの天井部に向って吐出することで、吐出された井戸水を、濾過材上に均一に拡散可能に形成されている。
【0033】
濾過槽102の二次側は、配管Uにより貯水槽114に接続されている。濾過槽102の二次側の配管Uには、第2三方弁110と、第3三方弁111(洗浄弁)と、ストレーナ112と、第1仕切弁113と、が順次設けられている。第3三方弁111は、そのポートの一が、排水部Dに接続され、排水可能に形成されている。
【0034】
貯水槽114にはビルや住居等の建造物Gに給水する給水ユニット200等が接続されている。また、貯水槽114には、第2仕切弁116が配管Uにより接続されるとともに、第2仕切弁116と第2三方弁110とが逆洗ポンプ117を介して配管Uにより接続されている。
【0035】
制御ユニット103は、各種情報を記憶する記憶部、各種データ処理を行う演算・制御部、各種情報を表示する表示装置、各種情報を入力する入力装置などを有して構成されている。また、制御ユニット103には、薬液タンク12に設けられた水位センサ15、連結管14に設けられた圧力センサ20、連結管14に設けられた流量センサ22、などからの信号線が接続されている。制御ユニット103は、各センサにおける検出結果に応じて、各弁のポートの開閉や、各ポンプの運転状態を制御することで、濾過装置100に通常運転や排気運転、逆洗運転、洗浄運転等を行なわせる。
【0036】
以上のように構成された濾過装置100は、図1中水の流れXとなるように各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、給水ポンプ104により井戸水を供給し、除菌器101及び濾過槽102により除菌及び濾過を行う、所謂通常使用による通常運転が行われる。
【0037】
また、濾過装置100は、井戸水の供給された流量を積算し、この積算された流量が所定の流量となった場合に、濾過装置100内の洗浄、特に、濾過槽102を洗浄する逆洗運転を行う。逆洗運転においては、制御ユニット103(制御手段)は、図1中、水の流れYとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、逆洗ポンプ117を駆動する。逆洗ポンプ117により、貯水槽114内の水が揚水され、濾過槽102に水が通過することで、濾過槽102内の鉄やマンガン等の不純物を流し、排水部Dへと排水することとなる。
【0038】
また、濾過装置100は、逆洗運転により発生した不純物を除去する洗浄運転を行なう。洗浄運転においては、制御ユニット103は、図1中、水の流れZとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、給水ポンプ104を駆動することで、給水ポンプ104により井戸水が圧送され、逆洗運転時の濾過槽102内の不純物を含む水が第3三方弁111を経由して排水部Dから排水される。これにより、逆洗運転時の不純物を含む水が、貯水槽114へ流入することを防止する。なお、制御ユニット103は、洗浄運転を所定時間行なった後、通常運転にその運転を切り替えるとともに、積算流量をリセットする。
【0039】
以下、本実施形態にかかる気液分離装置40の作用について説明する。一般に、次亜塩素酸ナトリウムは、外気温や紫外線などにより自己分解しやすく、下記の化学式1のように主に酸素ガスを発生して、有効塩素濃度が低下していくことが知られている。
【0040】
2NaClO→2NaCl+O…化学式1
本実施形態では、薬液タンク12や薬液供給管16などで発生した酸素ガスの気泡は気液分離装置40の液体流入管42から分離容器41内に流れる。このとき、分離容器41内において、気泡は上方の排気部44の開口44aを通って排出され、気泡が取り除かれた液体は下部側壁に設けられた液体流出部43から排出されて、ダイヤフラムポンプ17に吸い込まれる。
【0041】
このとき、薬液タンク12内で発生した気泡は分離容器41内において内壁に付着したり、内壁に沿って移動したりすることがあるが、本実施形態では液体流出管43の内側開口43aは内方に突出しており側壁41aおよび底部41cの内側壁面から離間している。このため、液体流出管43は気泡を吸い込みにくい構造となっている。
【0042】
なお、ダイヤフラムポンプ17の性能は40mL/min程度と極めて小さく気液分離装置40内の流速も間欠的で極めて遅いため、気泡を含んだ薬液がそのまま液体流出部43に下降することはない。
【0043】
したがって、気液分離装置40の下層は常に気泡が分離された液体で充満されているため下部側壁に設けられた液体流出部43から気泡が混入することがなく、薬液のみがダイヤフラムポンプ17によって注入される。
【0044】
上記実施形態にかかる気液分離装置40では、液体流出管43の内側開口43aを分離容器41の内壁から離すように内方に突出させたことにより、側壁41aの内面に付着した気泡を吸い込むことを防止することができる。
【0045】
ダイヤフラムポンプ17は、気泡を吸い込むと注入量低下や完全な揚液不能など、いわゆるガスロックと呼ばれる注入不良を起こす恐れがあり、特に原水の鉄・マンガン濃度が高い場合やアンモニアが存在する場合など、注入濃度を高くすべく、薬液槽に貯留する薬液に分解しやすい12%原液を使用する場合に起こりやすいが、本実施形態では、ダイヤフラムポンプ17の吸込側に気液分離装置40を介在させることにより気泡をあらかじめ排出させてガスロックを防止することができる。
【0046】
また、液体流出部43の先端が下方に向いている場合には先端に付着した気泡を吸い込みやすくなるが、本実施形態では上向きとしたため付着した気泡も吸い込み難い構造となっている。また分離容器41を透明としたことにより気泡の目視が可能となる。
【0047】
液体流入管42、液体流出管43、および排気部44は、分離容器41の孔部42e,43e,44eに管状部材を挿入して固定する構造となっているため、分解や清掃が容易である。
【0048】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成は、上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0049】
上記実施形態においては気液分離装置40を除菌器101の薬液注入装置に用いた場合について例示したが、これに限られるものではなく、他の用途に用いる場合であっても上記実施形態と同様の気液分離効果が得られる。
【0050】
また、例えば上記実施形態では、平面状の上壁41bと円筒状の側壁41aとを有した構造について例示したが、これに限られるものではない。例えば図5に示す実施形態にかかる気液分離装置140では、排気部44の口径を液体流入管42や液体流出管43の口径よりも大きく設定し、側壁上端から排気部44の開口44aに向かって連続する円錐状の上側内壁45を備えた構成とした。この場合には側壁41aの内面に付着した気泡が内壁を伝って上方に移動し、さらに側壁上端から連続して形成された上側内壁45の内側表面を伝って排気部44に案内されるので、気液分離の効果をより一層向上することができる。
【0051】
他の実施形態として図6に示す気液分離装置240では、液体流出管43の内側端部は分離容器41内部中央で屈曲して上向きになっている。液体流出管43の内側開口43aは上向きに開口しているため、液体流出管43の内側開口43aに気泡が付着することがあっても、気泡が液体流出管32内に吸い込まれにくい。
【0052】
他の実施形態として図7に示す気液分離装置340では、液体流出部43のノズル先端をテーパー状にして先端の外直径を小さくしている。この構成により気泡の付着を防止することができる。
【0053】
他の実施形態として図8に示す気液分離装置440では、底部41cの下面が流量検出用の連結管14の上面に接触した状態で、取付部41dがねじ部材などの取付具によって連結管14に締結されて固定されている。連結管14や取付部41dは金属製であって、気液分離装置440では取付部41dを介して連結管14と熱伝導が行なわれるようになっている。連結管14には井戸水が流入しており、真夏でも15℃程度の低温に安定しているため、連結管14に接触させて取り付けられた分離容器41は冷却され、次亜塩素酸ナトリウムの分解を抑制して気泡発生を低減させることが可能となる。
【0054】
さらに、気液分離装置240の液体流出管43と同様に液体流入管42の内側開口42aも分離容器41内部の上方中央部において屈曲させて上向きに開口させてもよい。このような構成とすれば、内側開口42aから流れ込んだ気泡はすぐに近くの排気部44の開口44aに案内されるので、気泡が分離容器41内で滞留しにくく、高い気液分離の効果が得られる。
【0055】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0056】
12…薬液タンク、13…薬液注入手段、14…連結管、17…ダイヤフラムポンプ、18…薬液吐出管、19…薬液注入器、20…圧力センサ、21…管部、22…流量センサ、23…注入部、40、140,240,340,440…気液分離装置、41…分離容器、42…液体流入管、43…液体流出管、44…排気部、45…上側内壁、100…濾過装置、101…除菌器、102…濾過槽、103…制御ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空に構成され内部に液体を収容して気体と液体を分離する分離容器と、
前記分離容器内外を連通するように構成され、外部から液体を前記分離容器内に流入させる液体流入管と、
前記分離容器内外を連通するように構成され、内側の端部が前記分離容器の内側壁面よりも内方に突出して配置され、前記分離容器内の液体を外部に流出させる液体流出管と、
前記分離容器の上部に設けられ、前記分離容器内外を連通し、前記分離容器内の気体を外部に流出させる開口を有する排気部と、を備えたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
前記分離容器は筒状の中空容器で構成され、
前記分離容器の上部側壁に前記液体流入管が設けられ、
前記分離容器における前記液体流入管よりも下方の側壁に前記液体流出管が設けられ、
前記分離容器における前記液体流入管よりも上方の上壁に前記排気部が設けられることを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項3】
前記排気部の内側開口は前記分離容器の上壁の中央部分に配置され、
前記液体流入管の内側開口は前記分離容器の上部中央部分に配置され、
前記液体流出管の内側開口は前記分離容器の下部中央部分に配置されていることを特徴とする請求項2記載の気液分離装置。
【請求項4】
前記液体流出管の内側開口は前記分離容器の底面よりも上方に離間して配置されていることを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項5】
前記分離容器は円筒状の側壁と、前記側壁上端から前記排気部の開口に向かって連続する円錐状の上壁と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項6】
前記分離容器は透明の容器で構成されていることを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項7】
前記液体流入管及び前記液体流出管のうち少なくともいずれかの内側開口は上向きに開口していることを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項8】
薬液槽と、
前記薬液槽の薬液を送液するダイヤフラムポンプと、
前記ダイヤフラムポンプにより薬液を注入する薬液注入部と、を備え、
前記薬液槽と前記ダイヤフラムポンプとの間に前記気液分離装置が設けられ、
前記排気部の外側の開口は前記薬液漕の最高液面よりも高い位置に至るように配置されることを特徴とする除菌器。
【請求項9】
前記分離容器は内部に井戸水の流路を形成する連結管に取り付けられていることを特徴とする請求項8記載の除菌器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−245468(P2012−245468A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119129(P2011−119129)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】