気管切開チューブ
近位チューブ部分と、該近位チューブ部分にオーバーモールドされた遠位チューブ部分とを有する改良された気管切開チューブが提供される。遠位チューブ部分が気管壁部と接触した場合に気管壁部を傷つける可能性を低減させるために、遠位チューブ部分は近位チューブ部分よりも柔軟性が高いポリマーから作製することが望ましい。気管切開チューブを気管に挿管するとき、チューブに大きな力がかかる。また、挿管後にも、チューブに大きな力が作用する。近位チューブ部分に遠位チューブ部分をオーバーモールドすることで、前記両チューブ部分を突き合せ結合する場合よりも強力な結合が得られる。前記両チューブ部分は、同一種類のポリマーから作製することが望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管切開チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
気管切開手技は、気管へのアクセスを可能にするために、首(頸部)の皮膚に小さい横切開部を形成することを伴う。気管は生体器官としては特に高い柔軟性及び弾性を有するので、気管壁部の一部を切除して開口部を形成するよりも、気管壁部に小孔を形成した後にその孔を拡張する方が、早期に治癒することが分かっている。気管瘻孔の拡張後、瘻孔を通じて気管切開チューブを挿入する。気管切開チューブは、チューブシャフトにその遠位端近傍を取り囲むように取り付けられたバルーンまたはカフを備えている。バルーンまたはカフを膨張させて気管内の空気の流れを遮断し、人工呼吸器から供給される空気を気管切開チューブを介して肺へ導く。気管切開チューブの近位端は、比較的大きい中央ルーメンを通じて空気を提供する人工呼吸器に接続される。
【0003】
気管切開チューブを気管内に挿入するのに要する力によって、チューブにねじれやへこみが生じることがある。この問題を避けるためには細心の注意が必要とされるため、気管切開手技の実施に要する時間が長くなる。加えて、チューブはチューブシャフトのせん断力や曲げ応力などの様々な力を受けるため、気管内に吸引カテーテルを留置する手技は比較的外傷性の手技である。留置されたチューブは、ベントコネクタの軸方向力などのさらなる力を受けることとなる。既知の製造方法には、図1A及び図1Bに示すように、予成形または予押出成形された部品を互いに組み立てる方法が含まれる。この方法は、熱結合または溶剤型接着剤によって、多数の部品を互いに結合する必要がある(この方法の詳細は、例えば、米国特許出願第12/163,173号(特許文献1)を参照されたい)。内部ルーメンが予成形された多数の部品を互いに結合する上記の方法には、ベントコネクタ2が近位チューブ部分3から外れたり、近位チューブ部分3が遠位チューブ部分4から外れたり、予成形され互いに結合された膨張ライン6及び溝8の周囲で空気漏れが生じたり、接着結合されたバルーンカフ10から空気漏れが生じたりするという危険性がある。チューブの挿管に要する力または使用中に生成された力により生じる他の問題もまた、個々の部品を上記の方法によって組み立てた気管切開チューブを損傷させる。
【0004】
そのため、気管切開チューブの適切な留置をより迅速にかつ安全に行うことができ、かつ、チューブの損傷を最小限に抑えるために、熱結合または溶剤結合された結合部品の使用及び射出成形による内部ルーメンの形成を最小限に抑えることができるデバイスが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第12/163,173号明細書
【特許文献2】米国特許出願第60/994,664号明細書
【特許文献3】米国特許6,612,305号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、予成形または予押出成形された部品間の接続が外れることによって気管切開チューブが機能不能になるという問題を概ね克服した新規な気管切開チューブが提供される。加えて、本発明のチューブは、遠位チューブ部分が近位チューブ部分よりも柔軟性が高くなるように、チューブの部分によって柔軟性が異なるように構成されている。このように、遠位チューブ部分がチューブの近位チューブ部分よりも高い柔軟性を有するようにすると、遠位チューブ部分が気管後壁と接触したときに気管後壁を傷つける危険性を低減させることができるので有利である。気管切開術中及び気管軟骨輪を越えた位置に気管切開チューブを留置した後に大きな力が加えられる部分である本発明の近位チューブ部分は、比較的低い柔軟性を有するように構成される。
【0007】
本発明はまた、初期配置時及び/または使用中に、組み立てられた部品同士が外れる危険性を大幅に低減させることができる気管切開チューブの新しい製造方法を提供する。
【0008】
チューブシャフト、ベントコネクタ、フランジ及びバルーンカフは、熱可塑性ポリウレタンポリマー(TUP)または他の熱可塑性エラストマー(TPE)などの、射出成形部品へのオーバーモールド(二色成形)及びバルーンカフとの熱結合を可能にする同一種類の材料から作製することが望ましい。このことにより、望ましいことに、結合のための接着剤及び溶剤の使用が不要となる。重要なことには、チューブシャフト及びベントコネクタを1つの部品として射出成形することができる。したがって、ベントコネクタがチューブシャフトから外れてチューブが機能不能となる恐れがなくなる。
【0009】
本発明の新規な方法はまた、湾曲したチューブシャフトの壁部内に内側ルーメンを形成することを可能にする。このことにより、バルーン用の膨張ラインまたは分泌物管理ラインを形成するために、シャフトに沿って形成された溝に小径チューブを結合することが不要となる。壁部内に形成されたルーメンから空気が漏れる可能性は、シャフト表面に形成した溝に結合させた膨張ラインから空気が漏れる可能性よりもはるかに低い。本発明の他の利点には、次の2点が含まれる。
(1)ルーメンをシャフトに沿ってシャフト内部に形成することにより、バルーンを結合するために良好な面が提供される。したがって、シャフト表面の溝に溶剤結合され、シャフト表面に突出する、従来のような膨張ラインに妨げられることなく、バルーンをシャフトに熱結合することが可能となる。
(2)内部ルーメンの製造中に、遠位チューブ部分にバルーン膨張用の空気ポートを形成することができる。したがって、背景技術の欄で説明した方法において必要とされるような、空気出口を形成するための別途の加工作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】従来の気管切開チューブの主要部品の分解図である。
【図1B】従来の気管切開チューブの補助的部品の分解図である。
【図2A】本発明の気管切開チューブの予成形された近位チューブ部分を示す図である。
【図2B】図2AのA−A線断面図である。
【図3A】本発明の気管切開チューブの予成形された近位チューブ部分を示す図であり、使い捨て式コアが差し込まれた状態を示す。
【図3B】図3AのB−B線断面図である。
【図4A】本発明の気管切開チューブの予成形された近位チューブ部分に遠位チューブ部分をオーバーモールドした状態を示す図である。近位チューブ部分には、使い捨て式コアが差し込まれている。
【図4B】図4AのC−C線断面図である。
【図5A】本発明の気管切開チューブを示す図であり、使い捨て式コアの除去後、内部膨張ルーメンへのアクセス口が形成された状態を示す。
【図5B】図5AのD−D線断面図である。
【図6】米国特許第6,612,305号(特許文献3)に記載の気管切開チューブ用バルーンを示す図である。
【図7】米国特許出願第60/994,664号(特許文献2)に記載の気管切開チューブ用バルーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
気管切開術は、患者が気管を通じて直接的に呼吸することを可能にする救命手技である。気管切開術はまた、人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発症を予防または遅延させることができると多くの人に考えられている。
【0012】
複数の部品から構成されている従来の気管切開チューブの例が図1A及び図1Bに示されている。チューブ5はチューブ近位端またはその近傍にフランジ1を有しており、フランジ1には人工呼吸器(図示せず)との接続用のベントコネクタ2が取り付けられている。気管内へのチューブ5の挿入後、フランジ1は喉部の外面に対向配置される。近位チューブ部分3の遠位端が遠位チューブ部分4と結合されており、それによりシャフト7が形成されている。このような端部同士の結合は、一般的に「突合せ接合」として知られている。近位チューブ部分3及び遠位チューブ部分4に成形された溝8は、膨張手段6を受容するのに用いられる。バルーン10のカラー端部9、11が、シャフト7の遠位端近傍に結合される。チューブ5の上側部分、すなわち、フランジ1の下側(遠位側)から遠位方向に延在しているシャフト7の上側約1/3ないし2/3の部分は、挿管時にチューブが最も大きいストレス(応力)を受ける領域である。この高応力領域は、特に損傷しやすい部分である突合せ接合部分を損傷させる。
【0013】
本発明の気管切開チューブは、突合せ型チューブにおいて生じ得る損傷を避けるために、オーバーモールド法(二色成形法)を用いて製造される。オーバーモールド法では、最終部品を完成させるために、基材材料の周り、上、下または中にさらなるポリマー材料を射出成形する。この射出成形は、マルチショット法またはインサート成形によって行うことができる。インサート成形では、オーバーモールド用材料を基材上にオーバーモールド(二色成形)するために、生産手段から取り出した基材をインサート成形用の金型(コア・キャビティ)にセットする必要がある。結合を強化するために、オーバーモールド用樹脂の溶融温度の範囲は、一般的に、基材材料と同じ範囲にすべきである。オーバーモールド用樹脂の溶融温度が基材材料の表面を溶融させるには低すぎる場合、基材材料との結合は弱くなる。しかし、溶融温度が高すぎる場合は、基材材料が軟化または変形する恐れがある。極端な場合、オーバーモールド用樹脂が、基材材料を貫通することもある。良好な結合を確実にするためには、適切な材料を選択することが重要である。一般的に、適合する材料は、同様の化学的性質を有するか、または適合する混合成分を含むものである。なお、基材とオーバーモールド用材料とが互いに適合しない場合は、化学的結合の代わりに物理的結合を用いることができる。オーバーモールド法によく見られる問題は、ポリマー間の不十分な化学的または物理的結合、1以上の成分の不完全な充填、及び1以上の成分のフラッシング(flashing)である。
【0014】
図2Aは、本発明の一実施形態の気管切開チューブのベース部20を示す。本発明の気管切開チューブは、中央ルーメン28を有する。ベース部20は、ベントコネクタ22及び近位チューブ部分24を含む。ベントコネクタ22及び近位チューブ部分24は、単一部品としてモールド成形または押出成形によって作製することが望ましい。近位チューブ部分24は、完成時にバルーン膨張ラインとして使用される小さなチャネルまたは溝26を有している。図2Bに示すA−A線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、及び近位チューブ部分24の壁部30に形成された溝26を示している。
【0015】
図3Aは、ベントコネクタ22及び近位チューブ部分24を含む、上記実施形態の気管切開チューブのベース部20を再び示す。この段階では、近位チューブ部分24に形成された溝26に使い捨て式コア32が挿入されている。図3Bに示すB−B線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、及び近位チューブ部分24の壁部30に形成された溝26に受容されたコア32を示している。図3Aに示す本発明のチューブ及びコアを所望する部品の適切な最終寸法を有する金型に挿入した後、前記所望する部品をオーバーモールドするためにさらなるポリマーを注入する。
【0016】
図4Aは、オーバーモールドを行い遠位チューブ部分34を形成した後のベース部20及び使い捨て式コア32を破線で示す。図4Aの実施形態では、遠位チューブ部分34は、近位チューブ部分24上を、近位方向にベントコネクタ22まで延在している。必須ではないが、オーバーモールドはこの範囲で行うことが望ましい。遠位チューブ部分34は、ベントコネクタ22に向かって、製造業者が特別な理由で所望する範囲まで延在し得る。しかし、完全にオーバーモールドしない場合は、遠位チューブ部分34と近位チューブ部分24との間の結合が弱くなると思われる。図4Bに示すC−C線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、近位チューブ部分24の壁部30に形成された溝32、及び近位チューブ部分24の壁部30と重なり合う遠位チューブ部分34の壁部36を示している。
【0017】
図5Aは、ベンチコネクタ22と、近位チューブ部分24(図中には見えない)にオーバーモールドされた遠位チューブ部分34とを有する完成したチューブシャフト40を示す。使い捨て式コア32は除去されており、内部膨張ルーメン42が形成されている。使い捨て式コア32の除去は、遠位側から引き出すことによって行うことが望ましい。使い捨て式コア32を除去することにより、内部膨張ルーメン42の遠位端に、バルーンの内部にアクセスするための遠位開口部44が形成される。接続されるチューブラインとのアクセス用の膨張ルーメン42の近位開口部46は、壁部の一部を削り取ることによって形成することができる。別の実施形態では、使い捨て式コア32によって近位開口部46を形成することができるように、使い捨て式コア32の近位端がチューブから遠ざかる方向に若干曲げられている。図5Bに示すD−D線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、近位チューブ部分24の壁部30に形成された膨張ルーメン42、及び近位チューブ部分24の壁部30と重なり合う遠位チューブ部分34の壁部36を示している。
【0018】
使い捨て式コア32は、例えば、遠位チューブ部分34を製造するためにポリマーを射出成形するときの温度の影響を受けない高温熱可塑性物質であり得る。そのような材料には、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリアミドイミド(PAI)が含まれる。他の材料には、ニッケルチタン(ニチノール)、ステンレス鋼及びアルミニウムなどの可撓性金属ワイヤが含まれる。
【0019】
さらなる別の実施形態では、使い捨て式コアを全く使用せず、その代わりに、上述した従来技術(図1B参照)の方法を用いて外側膨張ラインを設置してもよい。具体的には、オーバーモールドした遠位チューブ部分に溝をモールド成形し、その溝に膨張ラインを接着するかまたは溶剤結合させる。あるいは、膨張ライン用の空間を画定するために、溝を削設する。これらの実施形態は、使い捨て式コアを使用する実施形態の利点の全ては提供しないが、製造の全体像から見れば、従来よりも優れた大きな利点を提供する。
【0020】
近位チューブ部分に遠位チューブ部分をオーバーモールドする範囲は、様々に変更可能である。近位チューブ部分のベントコネクタは、遠位チューブ部分によってオーバーモールドしないことが望ましい。図4Aに再び戻り、ベントコネクタ22の遠位端52から遠位チューブ部分34の遠位端48までの長さ(中心線に沿った長さ)を「L」とする(チューブ全長とも呼ぶ)。遠位チューブ部分34における近位チューブ部分24にオーバーモールドされていない部分の長さ、すなわち、近位チューブ部分24の遠位端50から遠位チューブ部分34の遠位端48までの長さを「M」とする(オーバーモールドされていない部分の長さとも呼ぶ)。そして、近位チューブ部分24の長さ、すなわち、ベンチコネクタ22の遠位端52から近位チューブ部分24の遠位端50までの長さを「N」とする(オーバーモールドされた部分の長さとも呼ぶ)。M+N=Lなのは明らかである。オーバーモールドされていない部分の長さ(M)をチューブ全長(L)で除算した値(M/L)が、0.25〜0.75となるのが望ましく、0.3〜0.5となるのがより望ましく、約0.35となるのが最も望ましい。
【0021】
上述したように、本発明のチューブは、遠位チューブ部分34が近位チューブ部分24よりも柔軟性が高くなるような、様々な柔軟性及び硬さを有する。このことは、遠位チューブ部分34が気管組織と接触した場合に、気管組織を傷つける可能性を低減させるのに役立つと考えられる。近位チューブ部分及び遠位チューブ部分の作製に使用されるポリマーの相対的硬さは、当業者に既知の一連のスケールであるショア硬さによって測定することができる。硬さは、「デューロメータ」と呼ばれる装置を使用して測定することができる。デューロメータは、相対的硬さを測定するために特別に開発された装置であり、通常は、ASTM D2240基準に基づいて実施される。ショアA及びショアD硬さまたはデューロメータスケールでは、同一スケールにおいて数値が大きいほどポリマーは硬い。ショアAスケール及びショアDスケールは、互いに異なる種類のポリマーに用いられる。一般的に、ショアAスケールは、比較的柔らかい(エラストマー性が高い)ポリマーに用いられ、ショアDスケールは、比較的硬いポリマーに用いられる。ショアAスケールとショアDスケールとを比較すると、ショアD硬さの数値がショアA硬さの数値よりも小さい場合でも、一般的に、ショアD硬さの方が硬い。例えば、ショア硬さ55Dは、通常、ショア硬さ90Dよりも硬い。本発明のチューブは、遠位チューブ部分が70A〜90Aのショア硬さを有し、近位チューブ部分が55D〜75Dのショア硬さを有することが望ましい。
【0022】
本発明の近位チューブ部分及び遠位チューブ部分は、各部材の接続を容易に行うことができるように、バルーンカフと互いに同一の材料(硬さは互いに異なるが)から作製することが望ましい。そのような材料には、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンブロックコポリマー、SBSトリブロックエラストマー、SEBSブロックエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの配合物もしくは混合物が含まれる。特に好適なポリマーはポリウレタンである。一実施形態では、近位チューブ部分は、ダウ・ケミカル社製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ペレタン(PELLETHANE)2363-75Dから作製され得る。遠位チューブ部分はペレタン2363-80Aから作製され得、バルーンはペレタン2363-90Aから作製され得る。いずれの場合も、前記ポリマーはポリウレタン2363のグレードであるが、末尾の二桁の数字及び文字で示されるように、硬さは互いに異なる。
【0023】
また、カメラ、または可視光スペクトルを用いて気管の内部を観察する他の手段を使用して気管壁部の状態を検査することができるように、遠位チューブ部分及び近位チューブ部分は実質的に透明であることが望ましい。「実質的に透明」とは、X線や他の非可視波長を用いることなく、選択された観察手段によって気管壁部をチューブの内側からチューブ壁部越しに観察できる程度に、遠位チューブ部分及び近位チューブ部分が透明であることを意味する。医療専門家は、感染、びらん(erosion)または他の炎症の兆候を調べるために気管の状態を検査することが望ましいと考えているため、気管切開チューブを通じてデバイスを挿入するだけで気管内を観察できるという本発明のチューブの機能は有益である。患者の口からデバイスを挿入するという別の方法もあるが、この方法は、多大な不快感が生じると共に、声帯を刺激する。また、気管瘻孔を通じて気管を直接的に観察するために、気管切開チューブを取り出すという方法もある。上記のような方法が適用される患者は、一般的に体が弱っているため、上記のような方法を避けることが望ましい。本明細書中で説明したように、気管切開チューブ及びバルーンが実質的に透明であれば、医療専門家は、患者から気管切開チューブを取り出すことなく、気管の状態を容易にかつ比較的安全に観察することができる。適切なポリマーを選択することにより、実質的に透明なチューブ及びバルーンの組み合わせを提供することができ、上述したダウ・ケミカル社製のポリマーはこの目的に適している。
【0024】
完成した本発明のチューブは、接着剤または溶剤結合によってフランジに結合される。所望であれば、適切な材料を用いて、フランジもオーバーモールドするようにしてよい。適切な材料は、例えば、ダウ・ケミカル社製のペレタン(PELLETHANE)2363-80Aである。
【0025】
上述したように、気管切開チューブは、その下側(遠位)部分の外周面上にバルーンカフを備えている。バルーンカフは、人工呼吸器を使用した(補助された)呼吸を気管切開チューブを介して行うために、気管内の通常の空気流れを遮断する役割を果たす。バルーンカフは、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはエラストマーベースのポリオレフィンなどの、柔軟で曲げやすいポリマーから作製することが望ましい。バルーンカフは非常に薄くすべきであり、約25マイクロメートル以下の厚さ、例えば20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル、さらには5マイクロメートル程度の厚さにすべきである。バルーンカフはまた、約30mmH2O以下の圧力、例えば25mmH2O、20mmH2O、15mmH2Oまたはそれ以下の圧力で機能する低圧カフであることが望ましい。このようなカフは米国特許第6,802,317号に記載されている。この米国特許には、患者の気管を可能な限り密閉的に塞ぐためのカフが記載されており、前記カフは、患者の声門の下方の気管を塞ぐためのカフバルーンと、空気チューブとを含んでいる。前記カフバルーンは前記空気チューブと接続されており、完全膨張状態のときは気管の直径よりも大きいサイズに膨張する。また、前記カフバルーンは、患者の気管内で完全に膨張させたときに少なくとも1つの垂れ状のひだ部が形成されるような柔軟で曲げやすい壁厚が0.01mm以下の箔材から作製されている。前記少なくとも1つの垂れ状のひだ部はその終端にループを有しており、前記ループは分泌物が該ループを通過して自由に流れるのを妨げるような小さい直径を有している。別のカフが米国特許第6,526,977号に記載されている。この米国特許には、患者の気管を可能な限り密閉的に塞ぐための拡張器が記載されており、前記拡張器は、患者の声門の下方の気管を塞ぐためのカフバルーンと、空気チューブとを含んでいる。前記カフバルーンは前記空気チューブと接続されており、完全膨張状態のときは気管の直径よりも大きいサイズに膨張する。また、前記カフバルーンは、患者の気管内で完全に膨張させたときに少なくとも1つの垂れ状のひだ部が形成されるような柔軟で曲げやすい箔材から作製されている。前記少なくとも1つの垂れ状のひだ部は、分泌物が肺に吸い込まれ、分泌物吸引に関連する感染症が発症することを防止すべく、バルーン表面を通過する分泌物の自由な流れをひだ部によって生じる毛細管力によって捕えることができるような毛細管サイズを有している。
【0026】
あるいは、バルーンは、米国特許出願第60/994,664号(現在は米国特許出願第12/206,517号)(特許文献2)または米国特許6,612,305号(特許文献3)に記載の形状を有し得る。特許文献3に記載のバルーン10は、気管60内で、現行モデルのようにチューブ7の周囲だけで膨張するのではなく、チューブ及び瘻孔よりも頭側の位置まで膨張して瘻孔をシールする(図6)。図6はまた、フランジ1、ベンチコネクタ2及びベンチレータライン64を示している。特許文献3のデバイス(バルーン)における瘻孔のシーリングは、膨張可能カフをチューブへ取り付ける位置である近位側取付点及び遠位側取付点の成す線が、従来のデバイスのように互いに連続的でないことにより、言い換えれば、前記両取付点の成す線が互いに180度以外の或る角度(α)を成していることによって実現される。
【0027】
特許文献2に記載のバルーン10は、チューブ7の遠位端に、該遠位端を実質的に中心にして結合された遠位バルーン部分を有する。バルーン10はまた、チューブの屈曲領域に取り付けられた近位バルーン部分を有する。近位バルーン部分は、その中心が前記屈曲領域の中心から実質的に外れるように、かつ該デバイスの近位面よりも下方に位置するように配置される。膨張時、この構造は、チューブの遠位端及び該デバイスの近位面(瘻孔内でのチューブの患者頭部側の面)よりも下方の近位チューブ部分の周囲でバルーンを膨張させ、気管瘻孔66よりも上方の気管を塞ぐことなく、気管瘻孔66よりも下方の気管を塞ぐ(図7)。望ましいことに、このバルーン構造は、分泌物を瘻孔から除去することが可能となる。
【0028】
本発明の気管切開チューブデバイスは、壁厚が不均一な膨張バルーンを有し得る。例えば、前記バルーンは、約20〜30マイクロメートルの壁厚を有する第1のバルーン部分と、約5〜15マイクロメートルの壁厚を有する第2のバルーン部分とを有し得る。第1のバルーン部分は、前記バルーンが気管ルーメンの断面領域の上側部分と接触する部分であり、第2のバルーン部分は、前記バルーンが気管ルーメンの断面領域の下側部分と接触する部分であることが望ましい。
【0029】
前記膨張バルーンは、遠位端、遠位取り付け領域、近位端、近位取り付け領域、上側領域、及び下側領域を含む。上側領域は約15〜30マイクロメートルの厚さを有し、下側領域は約5〜15マイクロメートルの厚さを有する。
【0030】
前記膨張バルーンは、熱可塑性ポリウレタンポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンブロックコポリマー、SBSジブロックエラストマー、SEBSトリブロックエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの配合物もしくは混合物から形成することが望ましい。
【0031】
気管切開チューブはまた、気管切開チューブの近位端から挿入して該チューブ内に配置される使い捨て式カニューレと共に使用され得る。このような使い捨て式カニューレは、細菌増殖を最小限に抑えるために、定期的に交換される。前記カニューレは、ポリオレフィン、ポリウレタン、ナイロンなどのプラスチック材料から作製される。前記カニューレは、半剛体であることが望ましい。前記カニューレは、有害生物の増殖を抑制するために、抗菌及び/または抗ウイルスコーティングあるいは他の活性物質で処理され得る。
【0032】
本発明の変更形態及び変形形態が当業者の能力の範囲内と見なされることは、当業者には理解できるであろう。本願発明者らは、そのような変更形態及び変形形態が本発明の範囲内にあることを意図している。また、本発明の範囲は、本明細書に開示されている特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、上述の開示を踏まえて添付の請求項にのみ従うものであると理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管切開チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
気管切開手技は、気管へのアクセスを可能にするために、首(頸部)の皮膚に小さい横切開部を形成することを伴う。気管は生体器官としては特に高い柔軟性及び弾性を有するので、気管壁部の一部を切除して開口部を形成するよりも、気管壁部に小孔を形成した後にその孔を拡張する方が、早期に治癒することが分かっている。気管瘻孔の拡張後、瘻孔を通じて気管切開チューブを挿入する。気管切開チューブは、チューブシャフトにその遠位端近傍を取り囲むように取り付けられたバルーンまたはカフを備えている。バルーンまたはカフを膨張させて気管内の空気の流れを遮断し、人工呼吸器から供給される空気を気管切開チューブを介して肺へ導く。気管切開チューブの近位端は、比較的大きい中央ルーメンを通じて空気を提供する人工呼吸器に接続される。
【0003】
気管切開チューブを気管内に挿入するのに要する力によって、チューブにねじれやへこみが生じることがある。この問題を避けるためには細心の注意が必要とされるため、気管切開手技の実施に要する時間が長くなる。加えて、チューブはチューブシャフトのせん断力や曲げ応力などの様々な力を受けるため、気管内に吸引カテーテルを留置する手技は比較的外傷性の手技である。留置されたチューブは、ベントコネクタの軸方向力などのさらなる力を受けることとなる。既知の製造方法には、図1A及び図1Bに示すように、予成形または予押出成形された部品を互いに組み立てる方法が含まれる。この方法は、熱結合または溶剤型接着剤によって、多数の部品を互いに結合する必要がある(この方法の詳細は、例えば、米国特許出願第12/163,173号(特許文献1)を参照されたい)。内部ルーメンが予成形された多数の部品を互いに結合する上記の方法には、ベントコネクタ2が近位チューブ部分3から外れたり、近位チューブ部分3が遠位チューブ部分4から外れたり、予成形され互いに結合された膨張ライン6及び溝8の周囲で空気漏れが生じたり、接着結合されたバルーンカフ10から空気漏れが生じたりするという危険性がある。チューブの挿管に要する力または使用中に生成された力により生じる他の問題もまた、個々の部品を上記の方法によって組み立てた気管切開チューブを損傷させる。
【0004】
そのため、気管切開チューブの適切な留置をより迅速にかつ安全に行うことができ、かつ、チューブの損傷を最小限に抑えるために、熱結合または溶剤結合された結合部品の使用及び射出成形による内部ルーメンの形成を最小限に抑えることができるデバイスが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第12/163,173号明細書
【特許文献2】米国特許出願第60/994,664号明細書
【特許文献3】米国特許6,612,305号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、予成形または予押出成形された部品間の接続が外れることによって気管切開チューブが機能不能になるという問題を概ね克服した新規な気管切開チューブが提供される。加えて、本発明のチューブは、遠位チューブ部分が近位チューブ部分よりも柔軟性が高くなるように、チューブの部分によって柔軟性が異なるように構成されている。このように、遠位チューブ部分がチューブの近位チューブ部分よりも高い柔軟性を有するようにすると、遠位チューブ部分が気管後壁と接触したときに気管後壁を傷つける危険性を低減させることができるので有利である。気管切開術中及び気管軟骨輪を越えた位置に気管切開チューブを留置した後に大きな力が加えられる部分である本発明の近位チューブ部分は、比較的低い柔軟性を有するように構成される。
【0007】
本発明はまた、初期配置時及び/または使用中に、組み立てられた部品同士が外れる危険性を大幅に低減させることができる気管切開チューブの新しい製造方法を提供する。
【0008】
チューブシャフト、ベントコネクタ、フランジ及びバルーンカフは、熱可塑性ポリウレタンポリマー(TUP)または他の熱可塑性エラストマー(TPE)などの、射出成形部品へのオーバーモールド(二色成形)及びバルーンカフとの熱結合を可能にする同一種類の材料から作製することが望ましい。このことにより、望ましいことに、結合のための接着剤及び溶剤の使用が不要となる。重要なことには、チューブシャフト及びベントコネクタを1つの部品として射出成形することができる。したがって、ベントコネクタがチューブシャフトから外れてチューブが機能不能となる恐れがなくなる。
【0009】
本発明の新規な方法はまた、湾曲したチューブシャフトの壁部内に内側ルーメンを形成することを可能にする。このことにより、バルーン用の膨張ラインまたは分泌物管理ラインを形成するために、シャフトに沿って形成された溝に小径チューブを結合することが不要となる。壁部内に形成されたルーメンから空気が漏れる可能性は、シャフト表面に形成した溝に結合させた膨張ラインから空気が漏れる可能性よりもはるかに低い。本発明の他の利点には、次の2点が含まれる。
(1)ルーメンをシャフトに沿ってシャフト内部に形成することにより、バルーンを結合するために良好な面が提供される。したがって、シャフト表面の溝に溶剤結合され、シャフト表面に突出する、従来のような膨張ラインに妨げられることなく、バルーンをシャフトに熱結合することが可能となる。
(2)内部ルーメンの製造中に、遠位チューブ部分にバルーン膨張用の空気ポートを形成することができる。したがって、背景技術の欄で説明した方法において必要とされるような、空気出口を形成するための別途の加工作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】従来の気管切開チューブの主要部品の分解図である。
【図1B】従来の気管切開チューブの補助的部品の分解図である。
【図2A】本発明の気管切開チューブの予成形された近位チューブ部分を示す図である。
【図2B】図2AのA−A線断面図である。
【図3A】本発明の気管切開チューブの予成形された近位チューブ部分を示す図であり、使い捨て式コアが差し込まれた状態を示す。
【図3B】図3AのB−B線断面図である。
【図4A】本発明の気管切開チューブの予成形された近位チューブ部分に遠位チューブ部分をオーバーモールドした状態を示す図である。近位チューブ部分には、使い捨て式コアが差し込まれている。
【図4B】図4AのC−C線断面図である。
【図5A】本発明の気管切開チューブを示す図であり、使い捨て式コアの除去後、内部膨張ルーメンへのアクセス口が形成された状態を示す。
【図5B】図5AのD−D線断面図である。
【図6】米国特許第6,612,305号(特許文献3)に記載の気管切開チューブ用バルーンを示す図である。
【図7】米国特許出願第60/994,664号(特許文献2)に記載の気管切開チューブ用バルーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
気管切開術は、患者が気管を通じて直接的に呼吸することを可能にする救命手技である。気管切開術はまた、人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発症を予防または遅延させることができると多くの人に考えられている。
【0012】
複数の部品から構成されている従来の気管切開チューブの例が図1A及び図1Bに示されている。チューブ5はチューブ近位端またはその近傍にフランジ1を有しており、フランジ1には人工呼吸器(図示せず)との接続用のベントコネクタ2が取り付けられている。気管内へのチューブ5の挿入後、フランジ1は喉部の外面に対向配置される。近位チューブ部分3の遠位端が遠位チューブ部分4と結合されており、それによりシャフト7が形成されている。このような端部同士の結合は、一般的に「突合せ接合」として知られている。近位チューブ部分3及び遠位チューブ部分4に成形された溝8は、膨張手段6を受容するのに用いられる。バルーン10のカラー端部9、11が、シャフト7の遠位端近傍に結合される。チューブ5の上側部分、すなわち、フランジ1の下側(遠位側)から遠位方向に延在しているシャフト7の上側約1/3ないし2/3の部分は、挿管時にチューブが最も大きいストレス(応力)を受ける領域である。この高応力領域は、特に損傷しやすい部分である突合せ接合部分を損傷させる。
【0013】
本発明の気管切開チューブは、突合せ型チューブにおいて生じ得る損傷を避けるために、オーバーモールド法(二色成形法)を用いて製造される。オーバーモールド法では、最終部品を完成させるために、基材材料の周り、上、下または中にさらなるポリマー材料を射出成形する。この射出成形は、マルチショット法またはインサート成形によって行うことができる。インサート成形では、オーバーモールド用材料を基材上にオーバーモールド(二色成形)するために、生産手段から取り出した基材をインサート成形用の金型(コア・キャビティ)にセットする必要がある。結合を強化するために、オーバーモールド用樹脂の溶融温度の範囲は、一般的に、基材材料と同じ範囲にすべきである。オーバーモールド用樹脂の溶融温度が基材材料の表面を溶融させるには低すぎる場合、基材材料との結合は弱くなる。しかし、溶融温度が高すぎる場合は、基材材料が軟化または変形する恐れがある。極端な場合、オーバーモールド用樹脂が、基材材料を貫通することもある。良好な結合を確実にするためには、適切な材料を選択することが重要である。一般的に、適合する材料は、同様の化学的性質を有するか、または適合する混合成分を含むものである。なお、基材とオーバーモールド用材料とが互いに適合しない場合は、化学的結合の代わりに物理的結合を用いることができる。オーバーモールド法によく見られる問題は、ポリマー間の不十分な化学的または物理的結合、1以上の成分の不完全な充填、及び1以上の成分のフラッシング(flashing)である。
【0014】
図2Aは、本発明の一実施形態の気管切開チューブのベース部20を示す。本発明の気管切開チューブは、中央ルーメン28を有する。ベース部20は、ベントコネクタ22及び近位チューブ部分24を含む。ベントコネクタ22及び近位チューブ部分24は、単一部品としてモールド成形または押出成形によって作製することが望ましい。近位チューブ部分24は、完成時にバルーン膨張ラインとして使用される小さなチャネルまたは溝26を有している。図2Bに示すA−A線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、及び近位チューブ部分24の壁部30に形成された溝26を示している。
【0015】
図3Aは、ベントコネクタ22及び近位チューブ部分24を含む、上記実施形態の気管切開チューブのベース部20を再び示す。この段階では、近位チューブ部分24に形成された溝26に使い捨て式コア32が挿入されている。図3Bに示すB−B線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、及び近位チューブ部分24の壁部30に形成された溝26に受容されたコア32を示している。図3Aに示す本発明のチューブ及びコアを所望する部品の適切な最終寸法を有する金型に挿入した後、前記所望する部品をオーバーモールドするためにさらなるポリマーを注入する。
【0016】
図4Aは、オーバーモールドを行い遠位チューブ部分34を形成した後のベース部20及び使い捨て式コア32を破線で示す。図4Aの実施形態では、遠位チューブ部分34は、近位チューブ部分24上を、近位方向にベントコネクタ22まで延在している。必須ではないが、オーバーモールドはこの範囲で行うことが望ましい。遠位チューブ部分34は、ベントコネクタ22に向かって、製造業者が特別な理由で所望する範囲まで延在し得る。しかし、完全にオーバーモールドしない場合は、遠位チューブ部分34と近位チューブ部分24との間の結合が弱くなると思われる。図4Bに示すC−C線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、近位チューブ部分24の壁部30に形成された溝32、及び近位チューブ部分24の壁部30と重なり合う遠位チューブ部分34の壁部36を示している。
【0017】
図5Aは、ベンチコネクタ22と、近位チューブ部分24(図中には見えない)にオーバーモールドされた遠位チューブ部分34とを有する完成したチューブシャフト40を示す。使い捨て式コア32は除去されており、内部膨張ルーメン42が形成されている。使い捨て式コア32の除去は、遠位側から引き出すことによって行うことが望ましい。使い捨て式コア32を除去することにより、内部膨張ルーメン42の遠位端に、バルーンの内部にアクセスするための遠位開口部44が形成される。接続されるチューブラインとのアクセス用の膨張ルーメン42の近位開口部46は、壁部の一部を削り取ることによって形成することができる。別の実施形態では、使い捨て式コア32によって近位開口部46を形成することができるように、使い捨て式コア32の近位端がチューブから遠ざかる方向に若干曲げられている。図5Bに示すD−D線断面図は、本発明の気管切開チューブの中央ルーメン28、近位チューブ部分24の壁部30に形成された膨張ルーメン42、及び近位チューブ部分24の壁部30と重なり合う遠位チューブ部分34の壁部36を示している。
【0018】
使い捨て式コア32は、例えば、遠位チューブ部分34を製造するためにポリマーを射出成形するときの温度の影響を受けない高温熱可塑性物質であり得る。そのような材料には、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリアミドイミド(PAI)が含まれる。他の材料には、ニッケルチタン(ニチノール)、ステンレス鋼及びアルミニウムなどの可撓性金属ワイヤが含まれる。
【0019】
さらなる別の実施形態では、使い捨て式コアを全く使用せず、その代わりに、上述した従来技術(図1B参照)の方法を用いて外側膨張ラインを設置してもよい。具体的には、オーバーモールドした遠位チューブ部分に溝をモールド成形し、その溝に膨張ラインを接着するかまたは溶剤結合させる。あるいは、膨張ライン用の空間を画定するために、溝を削設する。これらの実施形態は、使い捨て式コアを使用する実施形態の利点の全ては提供しないが、製造の全体像から見れば、従来よりも優れた大きな利点を提供する。
【0020】
近位チューブ部分に遠位チューブ部分をオーバーモールドする範囲は、様々に変更可能である。近位チューブ部分のベントコネクタは、遠位チューブ部分によってオーバーモールドしないことが望ましい。図4Aに再び戻り、ベントコネクタ22の遠位端52から遠位チューブ部分34の遠位端48までの長さ(中心線に沿った長さ)を「L」とする(チューブ全長とも呼ぶ)。遠位チューブ部分34における近位チューブ部分24にオーバーモールドされていない部分の長さ、すなわち、近位チューブ部分24の遠位端50から遠位チューブ部分34の遠位端48までの長さを「M」とする(オーバーモールドされていない部分の長さとも呼ぶ)。そして、近位チューブ部分24の長さ、すなわち、ベンチコネクタ22の遠位端52から近位チューブ部分24の遠位端50までの長さを「N」とする(オーバーモールドされた部分の長さとも呼ぶ)。M+N=Lなのは明らかである。オーバーモールドされていない部分の長さ(M)をチューブ全長(L)で除算した値(M/L)が、0.25〜0.75となるのが望ましく、0.3〜0.5となるのがより望ましく、約0.35となるのが最も望ましい。
【0021】
上述したように、本発明のチューブは、遠位チューブ部分34が近位チューブ部分24よりも柔軟性が高くなるような、様々な柔軟性及び硬さを有する。このことは、遠位チューブ部分34が気管組織と接触した場合に、気管組織を傷つける可能性を低減させるのに役立つと考えられる。近位チューブ部分及び遠位チューブ部分の作製に使用されるポリマーの相対的硬さは、当業者に既知の一連のスケールであるショア硬さによって測定することができる。硬さは、「デューロメータ」と呼ばれる装置を使用して測定することができる。デューロメータは、相対的硬さを測定するために特別に開発された装置であり、通常は、ASTM D2240基準に基づいて実施される。ショアA及びショアD硬さまたはデューロメータスケールでは、同一スケールにおいて数値が大きいほどポリマーは硬い。ショアAスケール及びショアDスケールは、互いに異なる種類のポリマーに用いられる。一般的に、ショアAスケールは、比較的柔らかい(エラストマー性が高い)ポリマーに用いられ、ショアDスケールは、比較的硬いポリマーに用いられる。ショアAスケールとショアDスケールとを比較すると、ショアD硬さの数値がショアA硬さの数値よりも小さい場合でも、一般的に、ショアD硬さの方が硬い。例えば、ショア硬さ55Dは、通常、ショア硬さ90Dよりも硬い。本発明のチューブは、遠位チューブ部分が70A〜90Aのショア硬さを有し、近位チューブ部分が55D〜75Dのショア硬さを有することが望ましい。
【0022】
本発明の近位チューブ部分及び遠位チューブ部分は、各部材の接続を容易に行うことができるように、バルーンカフと互いに同一の材料(硬さは互いに異なるが)から作製することが望ましい。そのような材料には、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンブロックコポリマー、SBSトリブロックエラストマー、SEBSブロックエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの配合物もしくは混合物が含まれる。特に好適なポリマーはポリウレタンである。一実施形態では、近位チューブ部分は、ダウ・ケミカル社製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ペレタン(PELLETHANE)2363-75Dから作製され得る。遠位チューブ部分はペレタン2363-80Aから作製され得、バルーンはペレタン2363-90Aから作製され得る。いずれの場合も、前記ポリマーはポリウレタン2363のグレードであるが、末尾の二桁の数字及び文字で示されるように、硬さは互いに異なる。
【0023】
また、カメラ、または可視光スペクトルを用いて気管の内部を観察する他の手段を使用して気管壁部の状態を検査することができるように、遠位チューブ部分及び近位チューブ部分は実質的に透明であることが望ましい。「実質的に透明」とは、X線や他の非可視波長を用いることなく、選択された観察手段によって気管壁部をチューブの内側からチューブ壁部越しに観察できる程度に、遠位チューブ部分及び近位チューブ部分が透明であることを意味する。医療専門家は、感染、びらん(erosion)または他の炎症の兆候を調べるために気管の状態を検査することが望ましいと考えているため、気管切開チューブを通じてデバイスを挿入するだけで気管内を観察できるという本発明のチューブの機能は有益である。患者の口からデバイスを挿入するという別の方法もあるが、この方法は、多大な不快感が生じると共に、声帯を刺激する。また、気管瘻孔を通じて気管を直接的に観察するために、気管切開チューブを取り出すという方法もある。上記のような方法が適用される患者は、一般的に体が弱っているため、上記のような方法を避けることが望ましい。本明細書中で説明したように、気管切開チューブ及びバルーンが実質的に透明であれば、医療専門家は、患者から気管切開チューブを取り出すことなく、気管の状態を容易にかつ比較的安全に観察することができる。適切なポリマーを選択することにより、実質的に透明なチューブ及びバルーンの組み合わせを提供することができ、上述したダウ・ケミカル社製のポリマーはこの目的に適している。
【0024】
完成した本発明のチューブは、接着剤または溶剤結合によってフランジに結合される。所望であれば、適切な材料を用いて、フランジもオーバーモールドするようにしてよい。適切な材料は、例えば、ダウ・ケミカル社製のペレタン(PELLETHANE)2363-80Aである。
【0025】
上述したように、気管切開チューブは、その下側(遠位)部分の外周面上にバルーンカフを備えている。バルーンカフは、人工呼吸器を使用した(補助された)呼吸を気管切開チューブを介して行うために、気管内の通常の空気流れを遮断する役割を果たす。バルーンカフは、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはエラストマーベースのポリオレフィンなどの、柔軟で曲げやすいポリマーから作製することが望ましい。バルーンカフは非常に薄くすべきであり、約25マイクロメートル以下の厚さ、例えば20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル、さらには5マイクロメートル程度の厚さにすべきである。バルーンカフはまた、約30mmH2O以下の圧力、例えば25mmH2O、20mmH2O、15mmH2Oまたはそれ以下の圧力で機能する低圧カフであることが望ましい。このようなカフは米国特許第6,802,317号に記載されている。この米国特許には、患者の気管を可能な限り密閉的に塞ぐためのカフが記載されており、前記カフは、患者の声門の下方の気管を塞ぐためのカフバルーンと、空気チューブとを含んでいる。前記カフバルーンは前記空気チューブと接続されており、完全膨張状態のときは気管の直径よりも大きいサイズに膨張する。また、前記カフバルーンは、患者の気管内で完全に膨張させたときに少なくとも1つの垂れ状のひだ部が形成されるような柔軟で曲げやすい壁厚が0.01mm以下の箔材から作製されている。前記少なくとも1つの垂れ状のひだ部はその終端にループを有しており、前記ループは分泌物が該ループを通過して自由に流れるのを妨げるような小さい直径を有している。別のカフが米国特許第6,526,977号に記載されている。この米国特許には、患者の気管を可能な限り密閉的に塞ぐための拡張器が記載されており、前記拡張器は、患者の声門の下方の気管を塞ぐためのカフバルーンと、空気チューブとを含んでいる。前記カフバルーンは前記空気チューブと接続されており、完全膨張状態のときは気管の直径よりも大きいサイズに膨張する。また、前記カフバルーンは、患者の気管内で完全に膨張させたときに少なくとも1つの垂れ状のひだ部が形成されるような柔軟で曲げやすい箔材から作製されている。前記少なくとも1つの垂れ状のひだ部は、分泌物が肺に吸い込まれ、分泌物吸引に関連する感染症が発症することを防止すべく、バルーン表面を通過する分泌物の自由な流れをひだ部によって生じる毛細管力によって捕えることができるような毛細管サイズを有している。
【0026】
あるいは、バルーンは、米国特許出願第60/994,664号(現在は米国特許出願第12/206,517号)(特許文献2)または米国特許6,612,305号(特許文献3)に記載の形状を有し得る。特許文献3に記載のバルーン10は、気管60内で、現行モデルのようにチューブ7の周囲だけで膨張するのではなく、チューブ及び瘻孔よりも頭側の位置まで膨張して瘻孔をシールする(図6)。図6はまた、フランジ1、ベンチコネクタ2及びベンチレータライン64を示している。特許文献3のデバイス(バルーン)における瘻孔のシーリングは、膨張可能カフをチューブへ取り付ける位置である近位側取付点及び遠位側取付点の成す線が、従来のデバイスのように互いに連続的でないことにより、言い換えれば、前記両取付点の成す線が互いに180度以外の或る角度(α)を成していることによって実現される。
【0027】
特許文献2に記載のバルーン10は、チューブ7の遠位端に、該遠位端を実質的に中心にして結合された遠位バルーン部分を有する。バルーン10はまた、チューブの屈曲領域に取り付けられた近位バルーン部分を有する。近位バルーン部分は、その中心が前記屈曲領域の中心から実質的に外れるように、かつ該デバイスの近位面よりも下方に位置するように配置される。膨張時、この構造は、チューブの遠位端及び該デバイスの近位面(瘻孔内でのチューブの患者頭部側の面)よりも下方の近位チューブ部分の周囲でバルーンを膨張させ、気管瘻孔66よりも上方の気管を塞ぐことなく、気管瘻孔66よりも下方の気管を塞ぐ(図7)。望ましいことに、このバルーン構造は、分泌物を瘻孔から除去することが可能となる。
【0028】
本発明の気管切開チューブデバイスは、壁厚が不均一な膨張バルーンを有し得る。例えば、前記バルーンは、約20〜30マイクロメートルの壁厚を有する第1のバルーン部分と、約5〜15マイクロメートルの壁厚を有する第2のバルーン部分とを有し得る。第1のバルーン部分は、前記バルーンが気管ルーメンの断面領域の上側部分と接触する部分であり、第2のバルーン部分は、前記バルーンが気管ルーメンの断面領域の下側部分と接触する部分であることが望ましい。
【0029】
前記膨張バルーンは、遠位端、遠位取り付け領域、近位端、近位取り付け領域、上側領域、及び下側領域を含む。上側領域は約15〜30マイクロメートルの厚さを有し、下側領域は約5〜15マイクロメートルの厚さを有する。
【0030】
前記膨張バルーンは、熱可塑性ポリウレタンポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンブロックコポリマー、SBSジブロックエラストマー、SEBSトリブロックエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの配合物もしくは混合物から形成することが望ましい。
【0031】
気管切開チューブはまた、気管切開チューブの近位端から挿入して該チューブ内に配置される使い捨て式カニューレと共に使用され得る。このような使い捨て式カニューレは、細菌増殖を最小限に抑えるために、定期的に交換される。前記カニューレは、ポリオレフィン、ポリウレタン、ナイロンなどのプラスチック材料から作製される。前記カニューレは、半剛体であることが望ましい。前記カニューレは、有害生物の増殖を抑制するために、抗菌及び/または抗ウイルスコーティングあるいは他の活性物質で処理され得る。
【0032】
本発明の変更形態及び変形形態が当業者の能力の範囲内と見なされることは、当業者には理解できるであろう。本願発明者らは、そのような変更形態及び変形形態が本発明の範囲内にあることを意図している。また、本発明の範囲は、本明細書に開示されている特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、上述の開示を踏まえて添付の請求項にのみ従うものであると理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管切開チューブであって、
比較的低い柔軟性を有する近位チューブ部分と、
前記近位チューブ部分にオーバーモールドすることによって形成した、比較的高い柔軟性を有する遠位チューブ部分とを含むことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の気管切開チューブであって、
前記遠位チューブ部分が約70A〜90Aのショア硬さを有することを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項3】
請求項2に記載の気管切開チューブであって、
前記近位チューブ部分が約55D〜75Dのショア硬さを有することを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項4】
請求項1に記載の気管切開チューブであって、
該チューブにおけるオーバーモールドされていない部分の長さ(M)を該チューブの全長(L)で除算した値(M/L)が0.25〜0.75となるようにしたことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項5】
請求項4に記載の気管切開チューブであって、
前記M/Lが0.3〜0.5となるようにしたことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項6】
請求項1に記載の気管切開チューブであって、
柔軟で曲げやすいポリマーから作製され、5〜25マイクロメートルの壁厚を有するバルーンカフをさらに含むことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項7】
請求項6に記載の気管切開チューブであって、
前記ポリマーが、熱可塑性ポリウレタンポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンブロックコポリマー、SBSジブロックエラストマー、SEBSトリブロックエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、及びそれらの配合物もしくは混合物からなる群より選択されることを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項8】
請求項6に記載の気管切開チューブであって、
前記近位チューブ部分及び前記遠位チューブ部分が実質的に透明であることを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項9】
気管切開チューブの製造方法であって、
近位チューブ部分を用意するステップと、
前記近位チューブ部分を金型内に配置するステップと、
前記金型内にポリマーを注入し、前記近位チューブ部分上に前記ポリマーをオーバーモールドするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記金型内にポリマーを注入する前記ステップによって、遠位チューブ部分を作製したことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記遠位チューブ部分が前記近位チューブ部分よりも高い柔軟性を有するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記近位チューブ部分及び前記遠位チューブ部分が実質的に透明であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記近位チューブ部分及び前記遠位チューブ部分をポリウレタンから作製したことを特徴とする方法。
【請求項1】
気管切開チューブであって、
比較的低い柔軟性を有する近位チューブ部分と、
前記近位チューブ部分にオーバーモールドすることによって形成した、比較的高い柔軟性を有する遠位チューブ部分とを含むことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の気管切開チューブであって、
前記遠位チューブ部分が約70A〜90Aのショア硬さを有することを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項3】
請求項2に記載の気管切開チューブであって、
前記近位チューブ部分が約55D〜75Dのショア硬さを有することを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項4】
請求項1に記載の気管切開チューブであって、
該チューブにおけるオーバーモールドされていない部分の長さ(M)を該チューブの全長(L)で除算した値(M/L)が0.25〜0.75となるようにしたことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項5】
請求項4に記載の気管切開チューブであって、
前記M/Lが0.3〜0.5となるようにしたことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項6】
請求項1に記載の気管切開チューブであって、
柔軟で曲げやすいポリマーから作製され、5〜25マイクロメートルの壁厚を有するバルーンカフをさらに含むことを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項7】
請求項6に記載の気管切開チューブであって、
前記ポリマーが、熱可塑性ポリウレタンポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンブロックコポリマー、SBSジブロックエラストマー、SEBSトリブロックエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、及びそれらの配合物もしくは混合物からなる群より選択されることを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項8】
請求項6に記載の気管切開チューブであって、
前記近位チューブ部分及び前記遠位チューブ部分が実質的に透明であることを特徴とする気管切開チューブ。
【請求項9】
気管切開チューブの製造方法であって、
近位チューブ部分を用意するステップと、
前記近位チューブ部分を金型内に配置するステップと、
前記金型内にポリマーを注入し、前記近位チューブ部分上に前記ポリマーをオーバーモールドするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記金型内にポリマーを注入する前記ステップによって、遠位チューブ部分を作製したことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記遠位チューブ部分が前記近位チューブ部分よりも高い柔軟性を有するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記近位チューブ部分及び前記遠位チューブ部分が実質的に透明であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記近位チューブ部分及び前記遠位チューブ部分をポリウレタンから作製したことを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2012−527935(P2012−527935A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512476(P2012−512476)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051867
【国際公開番号】WO2010/136915
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051867
【国際公開番号】WO2010/136915
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
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