説明

水中構造物の仮締切工法及び仮締切用構造体

【課題】水中構造物の周辺を水の無い乾いた作業環境とする際に用いる弾性シール材による止水のレベルを、従来よりもさらに向上させる。
【解決手段】一段又は多段の鋼殻からなる作業函16と、作業函16の底部に設けられた弾性シール材24とを有してなる仮締切用構造体において、弾性シール材24の内周の少なくとも一部に、弾性シール材24が作業函16の内側方向に変形することを防止する横変形防止材26を配設し、水圧による水平方向の力を受けても、弾性シール材24の固着止水機能が低下しにくいようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に建設された橋脚等の水中構造物の補修、補強作業において、乾式の作業空間を確保するための仮締切工法、及び、そのための仮締切用構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海中あるいは河川中に建設された橋脚等は、老朽化による補修や耐震設計基準の改訂により耐震補強等の必要性が増加している。このような水中構造物の補修、補強工事においては、品質及び安全性の確保の目的で、対象構造物の周辺を水の無い乾いた作業環境とすることが不可欠である。
【0003】
乾式作業を行なうための仮締切りには、鋼矢板や鋼管矢板を止水壁として周囲に打設する方法が用いられていたが、橋梁の橋脚等の上部空間の利用制限がある場合には、矢板打設が困難な上、工期的にも長くなるという大きな問題点が指摘されていた。
【0004】
この問題点を解決するため、特許文献1乃至6に代表されるように、浮遊曳航が可能な二重鋼殻からなる作業函を用い、作業対象(構造)物を囲うように設置した後、二重鋼殻内に注水し沈設すると共に、作業対象物と作業函底部あるいは底部側面に設けた止水治具を用いて止水し、水密構造化後に内部を排水して作業空間を得る方法が用いられている。
【0005】
ところが、上記従来技術においては以下の課題があった。即ち、
(1)作業函自体を浮遊曳航用の浮力体とするため二重鋼殻構造とすることから、作業函の外形寸法が大きくなり、潮流力や波力の受圧面積が増大し、これに対応するための切梁材が増加する。あるいは、外径寸法を小さくすると内部の作業空間が狭くなり作業能率の低下を招く。
(2)又、二重鋼殻構造のため製作工数が増加し、作業函の製作費が増加する。
(3)底部の止水のため、橋脚フーチング等の作業対象物に水中で予め止水治具をある程度精度良く取り付ける必要があり、事前の水中作業が多い。
【0006】
これに対して、特許文献7には、補剛板構造耐圧ブロックを予め組立て形成される環状鋼殻からなる作業函と、浮遊曳航・現地設置用の浮力体とを別構造にし、作業函設置後、浮力体を撤去する技術、さらに、弾性シール材や防水スカートを用いて止水を行う技術が記載されており、前記従来技術の前記課題を解決している。
【0007】
【特許文献1】特許第3024932号公報
【特許文献2】特許第3065927号公報
【特許文献3】特許第3330018号公報
【特許文献4】特開2002−201649号公報
【特許文献5】特許第3379391号公報
【特許文献6】特許第3387436号公報
【特許文献7】特開2006−249685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、大水深にフーチングを有する橋脚の補修等にも適用できるようにするため、特許文献7に記載された弾性シール材による止水のレベルをさらに向上させることが求められている。
【0009】
そこで、本発明では、水中構造物の周辺を水の無い乾いた作業環境とする際に用いる弾性シール材による止水のレベルを、従来よりもさらに向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するため、まず、図1〜図3に示すようにして、弾性シール材の止水性能試験を行った。図1は止水性能試験の全体概要を示す模式図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。図3に示すように、弾性シール材200の横断面の外周の形状は正方形(750mm×750mm)であり、内部空間の横断面の形状も正方形(450mm×450mm)となっている。また、図1に示すように、弾性シール材200の縦断面の形状は長方形(幅150mm×高さ210mm)であり、上端部は、両側から鋼製のシール材固定枠202(断面形状は60mm×60mm)で挟まれて固定されている。
【0011】
止水性能試験の実施に際しては、弾性シール材200をコンクリート204の上面に載置し、弾性シール材200の内部空間に水206を満たして、弾性シール材200の上面を厚さ19mmの正方形状の鋼製蓋208で上方から覆った。そして、50トンのロードセル210、形鋼212、214を介して、鋼製蓋208の上面に35トンの油圧ジャッキ216で鉛直方向下向きに力を加えて、弾性シール材200を鉛直方向下向きに圧縮するとともに、水206に圧力を加えた。さらに、水圧ポンプ218によって、所定の水圧になるまで水206に圧力を段階的に加えていき、漏水の有無および弾性シール材200の外観形状を観察した。
【0012】
図4は、この止水性能試験の結果を示すグラフ図であり、横軸に弾性シール材200の圧縮率をとり、縦軸に漏水限界水圧をとっている。図4からわかるように、弾性シール材200の圧縮率が大きくなるほど、漏水限界水圧が大きくなっている。したがって、所定の漏水限界水圧を得るためには、弾性シール材200が所定の圧縮率に達するまで弾性シール材200に鉛直方向下向きに力を加える必要があることがわかる。ここで、圧縮率とは、弾性シール材200が圧縮された量(mm)を弾性シール材200の圧縮前の高さ(mm)で除した値のことである。
【0013】
また、弾性シール材200の圧縮率が70%程度以上の場合に漏水限界水圧を超えると、弾性シール材200は外側に大きくはらみ出し、弾性シール材200の接地面が外側を向くほど大きく外側にはらみ出す変形をして漏水が発生した。この変形のメカニズムを図5に模式的に示す。図5(A)は、弾性シール材200に外力が作用していない初期状態を示し、図5(B)は、圧縮率が70%程度以上となるまで弾性シール材200に鉛直方向下向きの力が作用して、横方向(水平方向)に膨らんだ状態を示し、図5(C)は、図5(B)のように圧縮された状態において、さらに横方向(水平方向)に漏水限界水圧を超える水圧を弾性シール材200が受けて、水圧を受けている側とは反対方向の側に大きくはらみ出す変形をして、漏水を起こした状態を示す。
【0014】
また、図5(C)に示す変形状態では、弾性シール材200はシール材固定枠202の内周面に強く押し付けられており、この押し付けによって弾性シール材200が損傷することもあった。
【0015】
弾性シール材の上記のような漏水メカニズムおよび損傷メカニズムを把握した上で、本発明者は、このような漏水メカニズムおよび損傷メカニズムが発生することを防止する方策について検討した。その結果、弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材を配設することにより、漏水限界水圧を向上させることができることを見出した。さらに、横変形防止材と弾性シール材との間の少なくとも一部に、弾性シール材の一部に過大な圧縮力が加わることを防止する緩衝バックアップ材を設けることにより、鉛直方向下向きに大きな圧縮力を受けた状態で横方向(水平方向)に大きな水圧を受けても、弾性シール材の損傷を抑えることができ、より大きな水圧を横方向(水平方向)に受けても漏水が起こりにくくなることを見出した。
【0016】
本発明は、かかる知見に基づきなされたものである。
【0017】
即ち、本発明に係る水中構造物の仮締切工法は、一段又は多段の鋼殻からなる作業函と、該作業函の底部または該作業函の下部の外周に設けられた弾性シール材とを有してなる仮締切用構造体を、その外周に着脱可能な外周浮力体を装着して現地に浮遊曳航し、作業対象物を囲うように配置し、該外周浮力体の少なくとも一部に注水するか、該外周浮力体の少なくとも一部を撤去して、沈設した後、該仮締切用構造体の内部を排水し、該仮締切用構造体の自重又は該自重と水圧による力の鉛直成分により、該仮締切用構造体を作業対象物に固着して止水し、作業空間を形成する水中構造物の仮締切工法であって、前記弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が前記作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材を配設し、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能が低下しにくいようにしたことを特徴とする。
【0018】
前記仮締切工法において、前記横変形防止材と前記弾性シール材との間の少なくとも一部に、前記弾性シール材の一部に過大な圧縮力が加わることを防止する緩衝バックアップ材を設けることが好ましい。
【0019】
また、前記仮締切工法において、前記作業函の降下距離を調整するストッパを配設して、前記弾性シール材の一部又は全部が過圧縮されることを防止することが好ましい。
【0020】
前記仮締切用構造体の現地への浮遊曳航に台船を用いてもよく、この場合、該台船には、前記仮締切用構造体を前記作業対象物に沈設する昇降装置を配設していることが好ましい。具体的には、前記作業函の底部近傍で前記作業函と一端部がピン結合されている棒鋼を配設し、前記昇降装置を、該棒鋼を昇降させる油圧装置としてもよい。
【0021】
前記作業函の内周に着脱可能な内周浮力体を配設して、前記外周浮力体を小さくすることが好ましい。
【0022】
本発明にかかる仮締切用構造体の第一の態様は、一段又は多段の鋼殻からなる作業函と、該作業函の底部に設けられた弾性シール材とを有してなる仮締切用構造体であって、前記弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が前記作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材が配設され、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能が低下しにくいようにされたことを特徴とする。
【0023】
本発明にかかる仮締切用構造体の第二の態様は、一段又は多段の鋼殻からなる作業函と、該作業函の下部の外周に取り付けられ、水圧による鉛直方向下向きの力を受けることができる受圧拡幅部と、該受圧拡幅部の底部に設けられた弾性シール材とを有してなる仮締切用構造体であって、前記弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が前記作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材が配設され、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能が低下しにくいようにされたことを特徴とする。
【0024】
前記横変形防止材と前記弾性シール材との間の少なくとも一部に、前記弾性シール材の一部に過大な圧縮力が加わることを防止する緩衝バックアップ材が設けられていることが好ましい。
【0025】
また、前記作業函の降下距離を調整するストッパが配設されて、前記弾性シール材の一部又は全部が過圧縮されないようにされていることが好ましい。
【0026】
前記作業函の底部近傍で前記作業函と一端部がピン結合されている棒鋼が配設されており、該棒鋼に鉛直下向きの力を加えることによって、作業対象物に沈設できるようにされていることが好ましい。なお、該棒鋼に鉛直下向きに加える力は、前記作業函に作用する自重や水圧による鉛直下向きの力を補助して、前記弾性シール材が所定の圧縮率になるように作業対象物に沈設できるようにする力でもよい。
【0027】
前記仮締切用構造体において、外周に着脱可能な外周浮力体が装着されているとともに、内周に着脱可能な内周浮力体が装着されていることが好ましい。
【0028】
前記弾性シール材の外側に、防水スカートが設けられていることが好ましい。
【0029】
前記弾性シール材は、周方向に2分割以上に分割されていてもよく、この場合、分割された該弾性シール材同士の継手は、水平面に対して傾斜した面同士を密着させて形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材を配設しているので、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能は低下しにくく、仮締切用構造体で仕切られた作業空間内に水が浸入することが防止される。
【0031】
さらに、横変形防止材と弾性シール材との間の少なくとも一部に、弾性シール材の一部に過大な圧縮力が加わることを防止する緩衝バックアップ材を設けた場合には、弾性シール材の横方向への変形が横変形防止材によって強制的に押え込まれても、弾性シール材に過度の応力集中は起こらず、弾性シール材が損傷することが防止されるので、弾性シール材の固着止水機能はより安定する。
【0032】
さらに、作業函の降下距離を調整するストッパを配設して、弾性シール材の一部又は全部が過圧縮されることを防止した場合には、仮締切用構造体を沈設させたときの弾性シール材の圧縮量の不均一さが所定の範囲内に抑えられて、漏水がより生じにくくなる。また、弾性シール材の破損も起こりにくくなるとともに、弾性シール材の寿命が短くなることが防止される。
【0033】
また、作業函の底部近傍で該作業函と一端部がピン結合されている棒鋼を仮締切用構造体に配設し、該棒鋼に鉛直下向きの力を加えることによって、仮締切用構造体を作業対象物に沈設できるようにした場合、もしくは、該棒鋼に鉛直下向きに力を加えて、前記作業函に作用する自重や水圧による鉛直下向きの力を補助して、前記弾性シール材が所定の圧縮率になるように作業対象物に沈設できるようにした場合には、安定的に仮締切用構造体を作業対象物に沈設できるようになるとともに、仮締切用構造体の沈設時に弾性シール材が不均一に圧縮されることを防止することができ、漏水を生じにくくさせることができる。
【0034】
仮締切用構造体の内周に着脱可能な内周浮力体を装着した場合には、外周に装着する外周浮力体を小さくすることができ、仮締切用構造体の浮遊曳航を行う際、浮力体を含む仮締切用構造体の全体をコンパクトにすることができ、曳航・据付作業の操作性が向上するとともに、浮力体を小ブロック化して取り付けられるため、仮締切用構造体の沈設時に不均一な降下が起こりにくくなる。
【0035】
弾性シール材の外側に、防水スカートを設けた場合には、弾性シール材から漏水が発生しても、漏水量を少なくすることができる。
【0036】
弾性シール材が一体ではなく、周方向に2分割以上に分割されたものであっても、分割された該弾性シール材同士の継手を、水平面に対して傾斜した面同士を密着させて形成した場合には、継手のない一般部と同等の止水性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施形態を、図面に沿って詳細に説明する。第1〜第5実施形態は、作業対象物が円形断面の橋脚の場合についての実施形態である。
【0038】
図6は、本発明の第1実施形態の仮締切用構造体の外周に外周浮力体を取り付けて、現地へ曳航する時の状態を示す正面図、図7は、該仮締切用構造体の設置時の状態を示す(A)平面図及び(B)正面から見た半断面図、図8は、受圧拡幅部を拡大して示す図で、その構造の詳細を示す拡大断面図である。
【0039】
この仮締切用構造体10は、各耐圧ブロック12が止水材14を間に挟んで組み立てられてなる作業函16と、作業函16の底部の外側に突出した受圧拡幅部18と、受圧拡幅部18の底部に設けられた止水用函断面部材20と、止水用函断面部材20にはめ込まれた止水用の弾性シール材24と、止水用函断面部材20の内側側板20Aの内側に設けられた横変形防止材26と、弾性シール材24と横変形防止材26との間に設けられた緩衝バックアップ材28と、止水用函断面部材20の外側側板20Cの外面に設けられた防水スカート30と、を備えてなる。仮締切用構造体10を浮遊曳航・設置するため、仮締切用構造体10の外周には、着脱可能な浮力体40が配置され、仮締切用構造体10は浮力体40でその外周を水中で支持される。
【0040】
浮力体40は、内部に空気を蓄えて浮力を得る外周浮力体42と、外周浮力体42の上部に取り付けられた鋼管支柱44と、鋼管支柱44を支柱として、仮締切用構造体10の天端部に設置された作業台46と、から構成されている。仮締切用構造体10の天端部に作業台46が設置されていることにより、現地での仮締切用構造体10の設置作業が容易に行えるようになっている。また、図7(A)に示すように、浮力体40の外周の1点はヒンジ機構40Aとなっており、このヒンジ機構40Aを中心として、浮力体40は開閉するようになっている。図5において、符号16Aは仮締切用構造体10および浮力体40が閉じた状態における作業函16の閉合部、符号18Aは受圧拡幅部18の閉合部、符号42Aは外周浮力体42の閉合部、符号46Aは作業台46の閉合部、を示す。
【0041】
外周浮力体42は、仮締切用構造体10に対して着脱可能であり、仮締切用構造体10を浮遊曳航させる際に取り付け、仮締切用構造体10を作業対象物に対して沈設させる際には取り外すことができる。また、仮締切用構造体10を作業対象物に対して沈設させる際、外周浮力体42を仮締切用構造体10から取り外さずに、外周浮力体42に注水して、仮締切用構造体10を作業対象物に対して沈設させることもできる。
【0042】
仮締切用構造体10は、図6に示す如く、着脱可能な浮力体40でその外周を水中で支持されて、現地へ浮遊曳航される。浮力体40は、曳航時の安定性確保と潮位差の影響を最小化するため、外周浮力体42を没水させることが可能な半潜水型である。仮締切用構造体10及び浮力体40は、曳航時の安定確保のため現地到着までは、図7(A)に示す如く、環状に組立てられる。
【0043】
現地到着後、仮締切用構造体10を作業対象物である橋脚2(図11(E)参照)へ取り付けるため、図7(A)に示すように、浮力体40に設けられたヒンジ機構40Aにより、仮締切用構造体10を扇状に開口し(図11(F)参照)、橋脚2を囲むよう設置した後、再度ヒンジ機構40Aにより閉合部16A、18A、42A、46Aで閉合して、環状構造にする(図12(G)参照)。
【0044】
耐圧ブロック12は、仮締切用構造体10の外周面となる鋼板12Aと、該鋼板12Aを内周面側から補剛する複数の補剛板12B(図8参照)と、から構成されており、止水材14とともに作業函16の構成部材となる。
【0045】
作業函16は、複数の耐圧ブロック12が組み立てられてなり、各耐圧ブロック12間の接合面にゴムシート等の止水材14を挿入した後、ボルトで緊結されてなる環状の鋼殻構造であり、仮締切用構造体10の主要構成部分となる。
【0046】
受圧拡幅部18は、図8に示すように、作業函16の底板のうち外側に突出した部分である作業函底板突出部16Bと、作業函底板突出部16Bと作業函16の本体とのつけ根部分を補剛するブラケット16Cと、作業函底板突出部16Bの下面に取り付けられた取付板16Dと、取付板16Dの下面に取り付けられ、下部が開口した環状の止水用函断面部材20と、を主要な構成要素としている。橋脚2(図11(E)参照)の周囲に仮締切用構造体10が設置された後、仮締切用構造体10の内部の水が抜かれて、受圧拡幅部18の下方に水がなくなると、浮力が働かなくなり、受圧拡幅部18は、上方から水圧による鉛直方向下向きの力を受ける(図14参照)。
【0047】
止水用函断面部材20は、内側側板20Aと、天板20Bと、外側側板20Cと、からなり、下方が開口した箱型の形状であり、図8に示すように、ボルト20Dによって取付板16Dの下面に取り付けられており、天板20Bがシート状の弾性シール材22を間にはさんで作業函16の底部外側に取り付けられている。止水用函断面部材20の下部の開口には弾性シール材24が嵌め込まれており、外側側板20Cの外面には、防水スカート30が取り付けられている。
【0048】
弾性シール材24は、図8に示すように、上部が止水用函断面部材20の下部の開口に嵌め込まれており、中央部および下部は、止水用函断面部材20の下部の開口から下方に向けて突出して設けられている。弾性シール材24は、橋脚2(図11(E)参照)のフーチング4の上面と密着して、外部から仮締切用構造体10の内部に水が入り込まないようにする役割を有する。橋脚2の周囲に仮締切用構造体10が設置された後、仮締切用構造体10の内部の水が抜かれて、作業函16および受圧拡幅部18の下方から水がなくなると、浮力が働かなくなり、仮締切用構造体10の自重および受圧拡幅部18に加わる水圧による鉛直方向下向きの力が、弾性シール材24に加わり(図14参照)、弾性シール材24はフーチング4の上面と密着して止水をする。弾性シール材24は、フーチング4の不陸に追従して確実に止水できる柔軟性を有する材料であればよく、例えば各種の合成ゴム(例えば、ポリブタジエン系の合成ゴム)を用いることができる。
【0049】
また、弾性シール材24は周方向に2分割以上に分割されていてもよく、この場合、分割された該弾性シール材24同士の継手を、水平面に対して傾斜した面同士を密着させて形成させることにより、継手のない一般部と同等の止水性を確保することができる。
【0050】
横変形防止材26は、図8に示すように、止水用函断面部材20の内側側板20Aの内側に取り付けられた鋼材であり、弾性シール材24が外側から水圧を受けても、水圧を受けている側とは反対方向の側に弾性シール材24が大きく変形することを防止する役割を有する。
【0051】
仮締切用構造体10が橋脚2の周囲に設置されて内部の水が抜かれて、弾性シール材24が圧縮状態となり、さらに外側から、仮締切用構造体10の内側に向かう方向に水圧を受けると、弾性シール材24は、水圧を受けている側とは反対方向の側に大きく変形しようとするが、横変形防止材26が設けられていると、この変形は抑制される。しかし、横変形防止材26は、横方向に変形しようとする弾性シール材24を強制的に押さえ込むため、弾性シール材24が横変形防止材26と直接接すると、接した部分の弾性シール材24には過大な圧縮応力が生じ、弾性シール材24は損傷を受ける可能性がある。
【0052】
この損傷を防止するために、図8に示すように、弾性シール材24と横変形防止材26との間に、緩衝バックアップ材28が設けられている。緩衝バックアップ材28は、弾性シール材24よりも軟質な材質であり、例えばウレタンフォームを用いることができる。所定の圧縮率まで圧縮された弾性シール材24が、水圧を受けている側とは反対方向の側に変形しても、緩衝バックアップ材28が存在することにより、図9に示すように、弾性シール材24は横変形防止材26と直接接触することはない。また、緩衝バックアップ材28は弾性シール材24よりも軟質である。このため、横方向への変形を横変形防止材26によって強制的に押え込まれても、弾性シール材24に過度の応力集中は起こらず、弾性シール材24が損傷することが防止される。なお、図9では、図示の都合上、防水スカート30は記載していない。
【0053】
なお、弾性シール材24に所定の圧縮率まで圧縮を加えた状態において、横変形防止材26の下端部とフーチング4の表面との間の距離L(図9参照)は、20mm程度以上であることが好ましい。この距離が20mm程度未満となると、圧縮されて横方向にはらみ出した弾性シール材24が、横変形防止材26の下端部とフーチング4の表面との間で押し潰されるおそれがあるからである。
【0054】
防水スカート30は、図8に示すように、取付板30Aおよびボルト30Bにより、上端部が止水用函断面部材20の外側側板20Cの上部に取り付けられて、弾性シール材24の外側に設けられており、弾性シール材24から漏水が発生した場合に、漏水量を極力少なくする役割を有する。防水スカート30は、フーチング4の不陸に追従できる柔軟性を有する材料であればよく、例えば各種の合成ゴムを用いることができる。なお、弾性シール材24が接触する、橋脚2のフーチング4の上面の状態が良ければ、防水スカート30を使用せず、弾性シール材24のみの止水でもよい。
【0055】
仮締切用構造体10を繰り返し使用する場合は、止水用函断面部材20を、弾性シール材22、24、横変形防止材26、緩衝バックアップ材28、防水スカート30とともに交換することで、仮締切用構造体10の止水性能を回復することができる。
【0056】
次に、仮締切用構造体10を組み立てて、現地に設置するまでの施工手順について説明する。
【0057】
図10〜図12は、仮締切用構造体10の陸上部での組立作業から現地設置までの施工手順を示す正面図、図13、図14は、仮締切用構造体10と作業対象物(橋脚2)との止水のため、予め仮締切用構造体10の受圧拡幅部18に取り付けられた弾性シール材24及び防水スカート30による止水方法を説明するための、正面から見た半断面図である。
【0058】
まず、図10(A)に示すように、作業函16の陸上部での組立てを耐圧ブロック12の1段目のみとし、環状に組立てる。次に、組立てた耐圧ブロック12を、図10(B)に示すように、岸壁に係留された浮力体40の内部空間に逐次挿入し、水上で大組する。これは、陸上部で作業函16の大組をすると重量が大きくなり、大きな揚重機60を必要とするためである。揚重機60の揚程や容量に余裕があれば、全体を陸上で大組し、一括吊り上げにて浮力体40に搭載することも可能である。
【0059】
現地までの曳航中は安定性確保のため、図10(C)に示すように、作業函10及び浮力体40は環状に組立て、図11(D)に示すように、環状に組立てた状態で、曳航台船62にて浮遊曳航される。
【0060】
仮締切用構造体10および浮力体40が現地到着後、図11(E)に示すように、仮締切用構造体10および浮力体40を曳航台船62の先端に移動させて固定し直す。そして、その状態で、図11(F)に示すように、浮力体40に設けたヒンジ機構40Aを用いて開口し、作業対象物である橋脚2の周りを囲うように設置した後、再度閉合し、作業函16の閉合部16Aに止水ゴムを挿入して、ボルトで緊結し、図12(G)に示すような環状構造とする。
【0061】
仮締切用構造体10および浮力体40を橋脚2の周りを囲うように設置した後、図13(A)に詳細に示すように、浮力体40の外周浮力体42に水を注水し、図12(H)に示すように、橋脚2のフーチング4に到達するまで沈設する。ここで、仮締切用構造体10の弾性シール材20が接触するフーチング4の上面は、底部止水が完全に行われるように、予め堆積土砂などの清掃を行なっておく。
【0062】
図13(B)に示すように、仮締切用構造体10が所定位置へ沈設したことを確認した後、仮締切用構造体10内の水6の排水を行ない、仮締切用構造体10内に作業空間を得る。また、仮締切用構造体10内の水6の排水を行うことにより、図14(C)に示すように、仮締切用構造体10には浮力が働かなくなり、受圧拡幅部18は水圧によって鉛直方向下向きに力を受け、該受圧拡幅部18に取り付けられた弾性シール材24および防水スカート30は圧縮されて止水効果が高められる。なお、図示の都合上、図14(C)には外周浮力体42を描いていない。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態の仮締切用構造体について説明する。この仮締切用構造体80は、図15に要部を拡大して示すように、受圧拡幅部18を設けず、作業函16の下端部の真下に弾性シール材24を直接設けた点が第1実施形態の仮締切用構造体10と異なる。受圧拡幅部18を設けていないので、仮締切用構造体80内の水を排水して、浮力を受けなくなっても、水圧によって鉛直方向下向きの力を受けることはなく、仮締切用構造体80の自重によって弾性シール材24は圧縮されて止水が行われる。水圧による鉛直方向下向きの力を活用できない点が不利であるが、受圧拡幅部18を設けていない分だけ外形が小さくなっており、浮遊曳航させやすい点や小さい橋脚に適用させやすい点で有利である。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態の仮締切用構造体について説明する。この仮締切用構造体90は、図16に要部を拡大して示すように、作業函16の下端部の真下にストッパ92を設けた点が第1実施形態の仮締切用構造体10と異なる。
【0065】
本発明者は、実験の結果、弾性シール材24が不均一に圧縮されると、水圧を受けている側とは反対方向の側に弾性シール材24が大きく変形して漏水することがあることを見出している。そこで、この仮締切用構造体90では、ストッパ92を設けて、仮締切用構造体90を橋脚2のフーチング4上に沈設する際、斜めに傾く等により、弾性シール材24の一部のみが大きく圧縮された場合であっても、その部分に所定量以上の圧縮が加わらないようにして、圧縮量の不均一さを所定の範囲内に抑えて、漏水が生じないようにしている。
【0066】
また、弾性シール材24が、許容される圧縮変形量(例えば、弾性限界時の圧縮変形量)よりも大きい圧縮変形をすると、残留変形が残って、弾性シール材24の寿命が短くなることがあるだけでなく、さらには、局部的に引張強度を超える引張応力が加わって局部的に破断が生じたり、鋼殻の端部において押し抜きせん断的な損傷が生じて使用できなくなることがあるが、本実施形態のようにストッパ92を設けることで、このような不具合が生じることも防止することができる。
【0067】
次に、本発明の第4実施形態の仮締切用構造体について説明する。第4実施形態の仮締切用構造体100は、図17(正面から見た一部の断面図)に要部を拡大して示すように、最下段の耐圧ブロック12の下部の外側面に等間隔で複数のブラケット102を設け、該複数のブラケット102のヒンジ102Aにそれぞれ棒鋼104の下端部を連結している。そして、台船62上に設置された昇降装置により、棒鋼104を下降させて、弾性シール材24が所定の圧縮率になるまで圧縮されるように仮締切用構造体100を安定的に沈設させることができるようになっている。ここで、仮締切用構造体100を橋脚2のフーチング4上に沈設して、内部の水を排水するまでは、仮締切用構造体100には浮力が働いているが、本実施形態では、昇降装置により棒鋼104を下降させて浮力に抗する力を加えることができる。このため、水圧によって加えられる鉛直下向きの力を補助する力を昇降装置により加えることができ、仮締切用構造体100の内部の水が完全に抜かれる前の段階で水圧によって加えられる鉛直下向きの力が小さい段階においても、仮締切用構造体100を所定の位置に安定的に沈設させることができるようになっている。また、図4を用いて前述したように、弾性シール材24の圧縮率が大きくなるほど漏水限界水圧が大きくなるので、仮締切用構造体100の内部の水を排水するためには、弾性シール材24を所定の圧縮率まで圧縮させることが必要となるが、昇降装置により補助的に鉛直下向きの力を加えることによって、弾性シール材24を所定の圧縮率まで圧縮させやすくなる。なお、図17は、正面から見た一部の断面図であり、ブラケット102は1つしか描かれていないが、前述のように、ブラケット102は等間隔で複数設けられている。
【0068】
また、本実施形態では、等間隔に配置された複数の棒鋼104を均一に下降させることにより、弾性シール材24が不均一に圧縮されることを防止することができ、漏水を生じにくくさせることができる。
【0069】
昇降装置は、浮遊している台船上に配置されており、位置が固定されていないので、昇降装置を用いて棒鋼104を下降させている最中に、昇降装置がある程度水平方向に移動することを考慮する必要がある。そこで、本実施形態では、棒鋼104をブラケット102のヒンジ102Aにピン結合している。
【0070】
本実施形態で用いる昇降装置は特に限定されず、例えば油圧式ジャッキやねじ式ジャッキを用いることができる。油圧式ジャッキは、コンパクトな大きさで大きな駆動力を出力することができるので、浮力に抗する力を加えるのに適している。
【0071】
なお、台船62の揺動の状況によっては、弾性シール材24に過大な圧縮力が加わるおそれがあるので、本実施形態においても、第3実施形態のストッパ92を用いることが好ましい。
【0072】
次に、本発明の第5実施形態の仮締切用構造体について説明する。
【0073】
第5実施形態の仮締切用構造体110は、図18に示すように、内部に内周浮力体112を設けたものである。内部に内周浮力体112を設けることにより、外周浮力体42の大きさを小さくすることができ、仮締切用構造体の浮遊曳航を行う際、浮力体を含む仮締切用構造体の全体をコンパクトにすることができ、曳航・据付作業の操作性が向上するとともに、浮力体を小ブロック化して取り付けられるため、仮締切用構造体の沈設時に不均一な降下が起こりにくくなる。
【0074】
内周浮力体112は、仮締切用構造体110に対して着脱可能であり、仮締切用構造体110を浮遊曳航させる際に取り付け、仮締切用構造体110を作業対象物に対して沈設させる際には取り外すことができる。また、仮締切用構造体110を作業対象物に対して沈設させる際、内周浮力体112を仮締切用構造体110から取り外さずに、内周浮力体112に注水して、仮締切用構造体110を作業対象物に対して沈設させることもできる。
【0075】
以上説明した第1〜第5実施形態は、作業対象物である橋脚2の断面の形状が円形であり、仮締切用構造体の形状も円柱状であったが、橋脚2の断面の形状が小判形や長方形の場合には、図19に示す第6実施形態のように、前記円形断面用の作業函16の半円部の間に、直線状の作業函耐圧ブロック120を挿入すると共に、浮力体40の半円部の間にも直線状浮力体122を挿入し、連結部120A、122Aで、それぞれボルトにて緊結することにより容易に対応が可能である。
【0076】
さらに、仮締切用構造体の形状は第1〜第6実施形態の形状に限定されず、例えば四角柱状(第7実施形態)でもよい。仮締切用構造体の形状を四角柱状とした場合、防水スカート30は、図20(第7実施形態の仮締切用構造体の受圧拡幅部の角部を上方から見た模式図)に示すように、端部30A同士を連結しておくほうが止水効果を高める点で好ましい。
【0077】
また、作業対象物である橋脚2の断面の形状が大きく、仮締切用構造体を1つのユニットとして浮遊曳航して橋脚2の周囲に設置することが難しい場合は、2つ以上のユニットに分割して浮遊曳航して橋脚2の周囲に設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】止水性能試験の全体概要を示す模式図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】止水性能試験の結果を示すグラフ図
【図5】弾性シール材から漏水するメカニズムを模式的に示す図
【図6】本発明の第1実施形態の仮締切用構造体の外周に外周浮力体を取り付けて、現地へ曳航する時の状態を示す正面図
【図7】該仮締切用構造体の設置時の状態を示す(A)平面図及び(B)正面から見た半断面図
【図8】該仮締切用構造体の受圧拡幅部の構造の詳細を示す拡大断面図
【図9】該仮締切用構造体の弾性シール材が所定の圧縮率まで圧縮された状態で、該弾性シール材の外側に横方向(水平方向)の水圧が加わっている状態を模式的に示す拡大断面図
【図10】該仮締切用構造体の陸上部での組立作業から現地設置までの施工手順の一部を示す正面図
【図11】該仮締切用構造体の陸上部での組立作業から現地設置までの施工手順の他の一部を示す正面図
【図12】該仮締切用構造体の陸上部での組立作業から現地設置までの施工手順の残部を示す正面図
【図13】該仮締切用構造体と作業対象物との止水方法を説明するための、正面から見た半断面図
【図14】該仮締切用構造体と作業対象物との止水方法を説明するための、正面から見た半断面図
【図15】本発明の第2実施形態の仮締切用構造体の要部を示す拡大断面図
【図16】本発明の第3実施形態の仮締切用構造体の要部を示す拡大断面図
【図17】本発明の第4実施形態の仮締切用構造体の要部を示す拡大断面図
【図18】本発明の第5実施形態の仮締切用構造体を模式的に示す平面図
【図19】本発明の第6実施形態の仮締切用構造体を模式的に示す平面図
【図20】本発明の第7実施形態の仮締切用構造体の受圧拡幅部の角部を上方から見た模式図
【符号の説明】
【0079】
2…橋脚
4…フーチング
6…水
10、80、90、100、110…仮締切用構造体
12…耐圧ブロック
12A…鋼板
12B…補剛板
14…止水材
16…作業函
16A、18A、42A、46A…閉合部
16B…作業函底板突出部
16C…ブラケット
16D…取付板
18…受圧拡幅部
20…止水用函断面部材
20A…内側側板
20B…天板
20C…外側側板
20D…ボルト
22、24…弾性シール材
26…横変形防止材
28…緩衝バックアップ材
30…防水スカート
30A…取付板
30B…ボルト
40…浮力体
40A…ヒンジ機構
42…外周浮力体
44…鋼管支柱
46…作業台
60…揚重機
62…台船
120…直線状の作業函耐圧ブロック
122…直線状浮力体
120A、122A…連結部
200…弾性シール材
202…シール材固定枠
204…コンクリート
206…水
208…鋼製蓋
210…ロードセル
212、214…形鋼
216…油圧ジャッキ
218…水圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一段又は多段の鋼殻からなる作業函と、該作業函の底部または該作業函の下部の外周に設けられた弾性シール材とを有してなる仮締切用構造体を、その外周に着脱可能な外周浮力体を装着して現地に浮遊曳航し、作業対象物を囲うように配置し、該外周浮力体の少なくとも一部に注水するか、該外周浮力体の少なくとも一部を撤去して、沈設した後、該仮締切用構造体の内部を排水し、該仮締切用構造体の自重又は該自重と水圧による力の鉛直成分により、該仮締切用構造体を作業対象物に固着して止水し、作業空間を形成する水中構造物の仮締切工法であって、
前記弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が前記作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材を配設し、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能が低下しにくいようにしたことを特徴とする水中構造物の仮締切工法。
【請求項2】
前記横変形防止材と前記弾性シール材との間の少なくとも一部に、前記弾性シール材の一部に過大な圧縮力が加わることを防止する緩衝バックアップ材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の水中構造物の仮締切工法。
【請求項3】
前記作業函の降下距離を調整するストッパを配設して、前記弾性シール材の一部又は全部が過圧縮されることを防止したことを特徴とする請求項1または2に記載の水中構造物の仮締切工法。
【請求項4】
前記仮締切用構造体の現地への浮遊曳航に台船を用い、該台船には、前記仮締切用構造体を前記作業対象物に沈設する昇降装置を配設していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水中構造物の仮締切工法。
【請求項5】
前記作業函の底部近傍で前記作業函と一端部がピン結合されている棒鋼を配設しており、前記昇降装置は該棒鋼を昇降させる油圧装置であることを特徴とする請求項4に記載の水中構造物の仮締切工法。
【請求項6】
前記作業函の内周に着脱可能な内周浮力体を配設して、前記外周浮力体を小さくしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水中構造物の仮締切工法。
【請求項7】
一段又は多段の鋼殻からなる作業函と、該作業函の底部に設けられた弾性シール材とを有してなる仮締切用構造体であって、
前記弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が前記作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材が配設され、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能が低下しにくいようにされたことを特徴とする仮締切用構造体。
【請求項8】
一段又は多段の鋼殻からなる作業函と、該作業函の下部の外周に取り付けられ、水圧による鉛直方向下向きの力を受けることができる受圧拡幅部と、該受圧拡幅部の底部に設けられた弾性シール材とを有してなる仮締切用構造体であって、
前記弾性シール材の内周の少なくとも一部に、該弾性シール材が前記作業函の内側方向に変形することを防止する横変形防止材が配設され、水圧による水平方向の力を受けても、該弾性シール材の固着止水機能が低下しにくいようにされたことを特徴とする仮締切用構造体。
【請求項9】
前記横変形防止材と前記弾性シール材との間の少なくとも一部に、前記弾性シール材の一部に過大な圧縮力が加わることを防止する緩衝バックアップ材が設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の水中構造物の仮締切工法。
【請求項10】
前記作業函の降下距離を調整するストッパが配設されて、前記弾性シール材の一部又は全部が過圧縮されないようにされていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の仮締切用構造体。
【請求項11】
前記作業函の底部近傍で前記作業函と一端部がピン結合されている棒鋼が配設されており、該棒鋼に鉛直下向きの力を加えることによって、作業対象物に沈設できるようにされていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の仮締切用構造体。
【請求項12】
外周に着脱可能な外周浮力体が装着されているとともに、内周に着脱可能な内周浮力体が装着されていることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の仮締切用構造体。
【請求項13】
前記弾性シール材の外側に、防水スカートが設けられていることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の仮締切用構造体。
【請求項14】
前記弾性シール材は、周方向に2分割以上に分割されており、分割された該弾性シール材同士の継手は、水平面に対して傾斜した面同士を密着させて形成されていることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の仮締切用構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−180018(P2009−180018A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20913(P2008−20913)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(000182030)若築建設株式会社 (39)