説明

水分測定方法及び水分測定装置

【課題】成形機への供給前の樹脂ペレットの水分量を簡易に且つ確実に測定する水分測定方法及び水分測定装置を提供する。
【解決手段】水分測定方法は、粒状の樹脂から構成されるペレットを乾燥し、乾燥したペレットを集積機で集積し、集積したペレットを成形機へ供給する成形機へのペレット供給工程における成形機への供給前のペレットに含まれる水分量を測定する水分測定方法であって、乾燥後のペレットの重量を測定する第一測定工程S02と、成形機への供給直前のペレットの重量を測定する第二測定工程S03と、第一測定工程の測定結果及び第二測定工程の測定結果に基づいてペレットに含まれる水分量を算出する算出工程S04とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分測定方法及び水分測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂射出成形法においては、樹脂成形機に供給する樹脂ペレットが水分を含んでいると、外観不良品が生じる等成形品の品質に影響を及ぼすために、成形工程前の樹脂ペレットの水分管理を厳重に行うことが重要である。具体的には、樹脂ペレットを材料乾燥機で、所定温度、所定時間の下、乾燥させることにより、樹脂ペレットの水分管理を行っている。
【0003】
しかし、材料乾燥機から導出される樹脂ペレットは、樹脂成形機に設けられた材料を貯蔵し、必要に応じて供給するホッパーを通過する際に、水分を再吸湿する可能性がある。ここで、上述のとおり、水分は成形品の品質に影響を及ぼすために、この段階で再吸湿した水分量を測定し、水分管理する必要がある。
【0004】
そこで、簡易に水分量を測定することができる熱天秤法として、熱可塑性樹脂の質量を測定し、その後加熱して水分を蒸発させた該熱可塑性樹脂の質量を測定し、測定結果の質量変化から水分量を測定するものがある(下記特許文献1参照)。
【0005】
また、他の水分量測定方法であるカールフィッシャー法は、加熱した熱可塑性樹脂試料から蒸発した水分を試薬と反応させて、反応率から水分量を測定するものである。
【0006】
一方、ホッパー通過時に再吸湿した水分を除去するために、樹脂成形機に乾燥機が併設されたものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−285944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載の熱天秤法では、加熱時に水分以外の揮発性物質も蒸発し、質量変化には揮発性物質の減少量も含まれるために、樹脂ペレットに含まれる水分量を正確に測定することができないという問題点があった。
【0009】
また、カールフィッシャー法では、試薬を用いなくてはならないために、製造現場で行う簡便な方法としては不適切である。
【0010】
一方、既存の樹脂成形機を乾燥機の併設された樹脂成形機と交換し、または既存の樹脂成形機に乾燥機を増設した場合には、コストがかかるためにコスト高となってしまう。また、樹脂ペレットが確実に乾燥しているか否かを把握するためには、別途水分量を測定する必要がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形機への供給前の樹脂ペレットの水分量を簡易に且つ確実に測定する水分測定方法及び水分測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る水分測定方法は、粒状の樹脂から構成されるペレットを乾燥し、乾燥した前記ペレットを集積機で集積し、集積した前記ペレットを成形機へ供給する成形機へのペレット供給工程における前記成形機への供給前の前記ペレットに含まれる水分量を測定する水分測定方法であって、前記乾燥後の前記ペレットの重量を測定する第一測定工程と、前記成形機への供給直前の前記ペレットの重量を測定する第二測定工程と、
前記第一測定工程の測定結果及び前記第二測定工程の測定結果に基づいて前記ペレットに含まれる水分量を算出する算出工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
このような水分測定方法では、乾燥後のペレットの重量と、成形機へ供給前のペレットの重量の差分より、集積機で再吸湿した水分量を算出することができるため、簡易且つ確実に水分を測定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る水分測定方法及び水分測定装置によれば、成形機への供給前の樹脂ペレットの水分量を簡易に且つ確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る水分測定装置を成形装置に用いた場合の模式図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る水分測定装置で用いる測定用ペレットの(a)平面図、(b)側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る水分測定装置を構成する分別部材の斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る水分測定方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第二実施形態に係る水分測定装置における第二の位置の場合の模式図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る水分測定装置における第一の位置の場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る水分測定装置を用いた水分測定方法について、図面を参照して説明する。
(成形装置2)
まず、図1を用いて、水分測定装置が用いられる成形装置2について説明する。
成形装置2は、粒状の樹脂から構成されるペレットP,Qを乾燥する乾燥機Eと、乾燥したペレットP,Qを集積する集積機を構成するホッパーFと、ホッパーFから供給されたペレットP,Qを成形する射出成形機(成形機)Gとを備える。
【0017】
乾燥機Eは、ペレットP,Qが投入される乾燥投入口E1と、該ペレットP,Qが含む水分量が所定範囲内となるように乾燥させる乾燥本体E2と、乾燥したペレットP,Qを導出させる乾燥導出口E3とを備える。
乾燥投入口E1は、乾燥機Eの上部に設けられ、乾燥投入口E1は、通常はホース等の導入通路により袋詰めされたペレットP,Qを乾燥機Eに自動で搬送する機構を有しており、また断面視して略円状の開口可能な構造となっている。
乾燥本体E2は、上部と下部が先細りとして形成された筒状の部材である。また、ペレットP,Qを乾燥させる方法としては、真空、低温での乾燥である真空伝熱方法や、除湿熱風による方法等適宜選択可能である。
乾燥導出口E3は、乾燥機Eの下部に設けられるとともに、第一導出通路H1が接続されている。乾燥導出口E3及び第一導出通路H1を通って、所望のペレットP,QをホッパーFへ供給可能としている。
【0018】
ホッパーFは、乾燥機Eから導出されたペレットP,Qが導入させる集積導入口F1と、該ペレットP,Qを貯蔵する集積本体F2と、集積したペレットP,Qを導出させる集積導出口F3とを備える。
集積導入口F1は、ホッパーFの上部に設けられ、断面視して略円状の開口である。また、該集積導入口F1には、第一導出通路H1が接続され、乾燥機Eから導出されたペレットP,Qを導入可能としている。
集積本体F2は、集積導入口F1から導入されたペレットP,Qを貯蔵する。
集積導出口F3は、ホッパーFの下部に設けられるとともに、第二導出通路H2が接続されている。集積導出口F3及び第二導出通路H2を通って、所望のペレットP,Qを射出成形機Gへ導入可能としている。
【0019】
射出成形機Gは、第二導出通路H2に接続され、該第二導出通路H2から導出されたペレットP,Qを所定の形状に成形する。
【0020】
(ペレットP,Q)
次に、測定対象となるペレットP,Qについて説明する。
ペレットP,Qは、射出成形機Gへ供給される成形用ペレットPと、測定に用いられる測定用ペレットQとを備える。
【0021】
成形用ペレットPは、詳細は図示しないが円柱状や球形状をなし、射出成形機Gで所望の形状に成形される。
【0022】
図2に示すように、測定用ペレットQは、成形用ペレットPと同一の材料で構成され、円盤状に形成された複数の単位ペレットQ1と、隣接する単位ペレットQ1をそれぞれ連結する連結部Q2とを備える。
単位ペレットQ1は、円盤状に形成された板状部材であり、同一軸線状に互いに間隔をおいて平行に配されている。
連結部Q2は、平面視して略円状の部材であり、隣接する単位ペレットQ1の略中心を互いに連結している。
なお、本実施形態では、例えば、単位ペレットQ1の直径Rは30mm、板厚Sは1.2mm、配置間隔である連結部Q2の長さTは2mmである。そして、測定用ペレットQの一方の端部の単位ペレットQ1から他方の端部の単位ペレットQ1までの長さUは、33.2mmである。
また、測定用ペレットQの少なくとも一部の長さは、成形用ペレットPの外形寸法の最大値よりも大きい。本実施形態では、測定用ペレットQの外形寸法の最小値は、成形用ペレットPの外形寸法の最大値の2倍以上に設定されている。ここで、外形寸法とは、略円状又は略球状ならば直径を指し、略円柱状ならば直径又は柱部分の長さを指す。
さらに、後述する第一測定工程S02で測定された成形用ペレットPの重量に対する測定用ペレットQの重量の比は、第一測定工程S02で測定された成形用ペレットPの表面積に対する測定用ペレットQの表面積の比と同一である。
本実施系形態では、例えばポリカーボネート樹脂(比重1.2g/cm)を材料とし、成形用ペレットP50gと同等の表面積となるように、測定用ペレットQを5個使用する。
【0023】
(水分測定装置1)
次に、成形装置2で用いられる水分測定装置1について説明する。
図1及び図3に示すように、水分測定装置1は、成形用ペレットPと測定用ペレットQとを分別する分別器11と、乾燥機Eから導出された測定用ペレットQの重量を測定する第一測定部21と、射出成形機Gへの供給前の測定用ペレットQの重量を測定する第二測定部31とを備える。
【0024】
図1に示すように、分別器11は、乾燥機Eの乾燥導出口E3の下方であって、第一導出通路H1に設けられた第一分別器12と、ホッパーFの集積導出口F3の下方であって、第二導出通路H2に設けられた第二分別器13とを備える。
また、第一分別器12及び第二分別器13は同一構成であり、分別器11は、図3に示すように、略矩形の底部を構成する網部15と、該網部15から立設された周壁部16と、該一の周壁部16の上部から突出する引出部17とを備える。
網部15は、分別部材として構成され、平面視して略矩形をなし、線状部材114が互いに直交するように網状に所定の間隔で配置されるとともに、該線状部材114により複数の開口部115が所定の間隔で形成されている。
開口部115は、成形用ペレットPの通過を許可し、測定用ペレットQの通過を阻止する。言い換えれば、開口部115の寸法は、成形用ペレットPの外形寸法の最大値よりも大きく、測定用ペレットQの外形寸法の最小値よりも小さい。
周壁部16は、網部15の四辺から上方に立設されて、網部15を包囲している。
引出部17は、周壁部16の上部から外方に突出した形状である。該引出部17を把持して、外方に引き出すことにより、分別器11の移動が可能となる。
【0025】
第一測定部21は、一例として重量測定天秤により構成され、第一分別器12で通過を阻止した測定用ペレットQの重量を測定する。また、乾燥機Eでの乾燥時間を測定する第一時間測定器121を備える。
【0026】
第二測定部31は、一例として重量測定天秤により構成され、第二分別器13で通過を阻止した測定用ペレットQの重量を測定する。また、ホッパーFに導入された時刻から、ホッパーFから導出される時刻までの時間を測定する第二時間測定器131を備える。
【0027】
(水分測定方法)
次に、水分測定方法について説明する。
図4に示すように、水分測定方法は、ペレットP,Qを乾燥機Eに投入する乾燥機投入工程S01と、乾燥後の測定用ペレットQの重量を測定する第一測定工程S02と、射出成形機Gへの供給前の測定用ペレットQの重量を測定する第二測定工程S03と、水分量を算出する算出工程S04とを備える。
【0028】
乾燥機投入工程S01においては、通常状態、すなわち未乾燥状態の成形用ペレットP及び測定用ペレットQを、乾燥機Eの乾燥投入口E1から投入する。その後、乾燥機Eは、成形用ペレットP及び測定用ペレットQを所定時間、所定温度に乾燥する。
【0029】
第一測定工程S02においては、第一時間測定器121により成形用ペレットP及び測定用ペレットQを乾燥する時間を測定し、所定時間経過後に、第一分別器12を取り出す。ここで、開口部115は、乾燥されて乾燥導出口E3から導出されたペレットP,Qのうち成形用ペレットPの通過を許可し、測定用ペレットQの通過を阻止するため、第一分別器12上には測定用ペレットQのみが残っている。よって、第一分別器12上に残っている測定用ペレットQの重量を第一測定部21で測定する。
その後、測定用ペレットQをホッパーFに投入する。
【0030】
第二測定工程S03は、第二時間測定器131により成形用ペレットP及び測定用ペレットQがホッパーFに導入された時刻からホッパーFから導出される時刻までの時間を測定し、所定時間経過後に、第二分別器13を取り出す。ここで、開口部115は、集積導出口F3から導出されたペレットP,Qのうち成形用ペレットPの通過を許可し、測定用ペレットQの通過を阻止するため、第二分別器13上には測定用ペレットQのみが残っている。よって、第二分別器13上に残っている測定用ペレットQの重量を第二測定部31で測定する。
【0031】
算出工程S04は、第一測定工程S02の測定結果M1及び第二測定工程S03の測定結果M2に基づいてペレットP,Qに含まれる水分量を算出する。すなわち、測定用ペレットQに含まれる水分量はM2−M1であり、水分率は(M2−M1)/M2である。
【0032】
このように構成された水分測定方法及び水分測定装置1では、射出成形機Gに投入する前の測定用ペレットQの重量を測定した結果と乾燥機Eから導出された測定用ペレットQの重量を測定した結果から、ホッパーFで再度吸湿した水分量を算出することができる。よって、射出成形機Gへの供給前のペレットP,Qの水分量を簡易に且つ確実に測定することができる。
また、測定用ペレットQは成形用ペレットPと同様に、通常の成形工程を経るため、製造現場に近い条件下での水分量の測定が可能となる。
【0033】
ペレットP,Qに含まれる水分は、ペレットP,Q内部のみならず該表面にも付着するが、成形用ペレットPの重量に対する測定用ペレットQの重量の比は、成形用ペレットPの表面積に対する測定用ペレットQの表面積の比と同一であるため、測定用ペレットQの水分測定結果から、成形用ペレットPの水分量を正確に算出することができる。
また、本実施形態では、測定用ペレットQが複数の単位ペレットQ1と連結部Q2とを備える構成であるために、上記表面積を確実に確保することが可能である。
また、測定用ペレットQと成形用ペレットPの材料は同一であるため、測定用ペレットQの水分測定結果から、成形用ペレットPの水分量を正確に算出することができる。
また、第一時間測定器121及び第二時間測定器131で時間を測定し、射出成形機Gに投入直前の測定用ペレットQの水分量を測定するため、成形用ペレットPの水分量を正確に算出することができる。
【0034】
また、測定用ペレットQの外形寸法の最小値は、成形用ペレットPの外形寸法の最大値の2倍以上であるため、第一分別器12及び第二分別器13において、成形用ペレットPと測定用ペレットQとを確実に分別できるとともに、測定時に測定用ペレットQのみ取り出すことが容易にできる。
【0035】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る水分測定装置1Xについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5及び図6に示すように、第二実施形態では、分別器11Xは、水平方向に移動可能として構成されている。ここで、分別器11Xは、例えば、第二導出通路HX2に水平方向に設けられたレール(不図示)等に沿って設けられ、該レールを介して水平方向に移動可能な構成となっている。
【0036】
分別器11Xは、第二導出通路HX2におけるペレットP,Qの導出を規制する規制部61Xと、該規制部61Xに水平方向に隣接して設けられ、下方に向かって凹形状の第一器部71Xと、該第一器部71Xの内部に配されるとともに取り外し自在の凹形状の第二器部81Xとを備える。
ここで、図6に示す第一器部71X及び第二器部81Xが第二導出通路HX2から水平方向外方移動した位置を第一の位置と、図5に示す第一器部71X及び第二器部81Xが第二導出通路HX2内にある位置を第二の位置と、それぞれ称する。
【0037】
規制部61Xは、板状部材であり水平方向に形成されて、ホッパーFの下方に設けられている。第一の位置の場合には第二導出通路HX2内に位置し、第二の位置の場合には第二導出通路HX2の水平方向外方に位置する。
【0038】
第一器部71Xは、規制部61Xに水平方向に隣接して設けられ、略矩形の底部を構成する網部15と、該網部15から上方に立設された周壁部171Xと、該周壁部171Xの下部に設けられたヒンジ部173Xと、該ヒンジ部173Xから下方に延在する仕切り部174Xとを備える。
周壁部171Xは、網部15から上方に立設されて、網部15を包囲している。
ヒンジ部173Xは、周壁部171Xの下部に設けられ、水平方向に沿う方向である図5及び図6の紙面に直交する方向を軸線方向として、該軸線方向に仕切り部174X回転可能としている。
仕切り部174Xは、ヒンジ部173Xを介して周壁部171Xの下方に設けられた板状部材である。第一の位置の場合には仕切り部174Xは斜め下方に向かって延在し、第二の位置の場合には仕切り部174Xは下方に向かって延在している。
【0039】
第二器部81Xは、第一器部71Xの内部に配され、略矩形の底部を構成する網部15と、該網部15から上方に立設された周壁部181Xとを備える。
周壁部181Xは、網部15から上方に立設されて、網部15を包囲している。
【0040】
このように構成された水分測定装置1Xでは、第二の位置の場合に、第二器部81Xが第二導出通路HX2内に位置するため、第二器部81X及び第一器部71Xは成形用ペレットPを通過させ、測定用ペレットQを第二器部81Xの上に残すことができる。
また、仕切り部174Xは下方に向かって延在するため、導出される成形用ペレットPが水平方向に移動して滞留することなく、成形用ペレットPが円滑に射出成形機G側に落下することを促す。
【0041】
そして、第一の位置の場合に、第二器部81Xが第二導出通路HX2より外方に位置するため、第二器部81Xを第二導出通路HX2から取り出して、第二測定部31で測定用ペレットQの水分量を容易且つ確実に測定することができる。
また、規制部61Xは第二導出通路HX2内にあるため、ホッパーFからペレットP,Qが落下し、射出成形機G側に移動することを規制することができる。
また、仕切り部174Xが斜め下方に向かって延在しているため、第二器部81X上にある成形用ペレットPは射出成形機G側に移動することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、分別器51Xは第二導出通路HX2に設けられているが、第二導出通路HX2に限られず、ホッパーFの内部や、第一導出通路H1に設けてもよい。
第一導出通路H1に設けた場合には、乾燥機Eから導出されるペレットP,Qの取出しが容易となるとともに、ペレットP,QがホッパーF側に移動するのを規制することができる。
【0043】
また、分別器11を設ける位置は第二導出通路H2、HX2のみならず、乾燥機Eから射出成形機Gへの搬送途中等、任意の位置に設けることにより、任意の箇所で再吸湿したペレットP,Qの水分量を測定することができる。
【0044】
なお、ペレットP,Qに含まれる水分量は微小であるため、測定用ペレットQとしては約40〜50g用意するのが適量である。また測定用ペレットQと成形用ペレットPとを容易に判別するために、測定用ペレットQを5〜10個とするのが望ましい。
【0045】
また、成形用ペレットPと測定用ペレットQとを外観上の区別しやすい点や、分別器11から取り出す作業を考慮すると、測定用ペレットQの大きさは、外形寸法の最小値が約30mmであることが最適である。
【0046】
ただし、上記の数値は一例であり、当該数値に限定されるものではない。
【0047】
また、上記では、樹脂の材料としてポリカーボネート樹脂について説明したが、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等他の樹脂であっても、比重を考慮して測定用ペレットQの形状を決定すれば、ペレットP,Qの水分量を測定することができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0049】
例えば、乾燥機E、ホッパーF及び射出成形機Gの形状、構成は上記に限られず、適宜選択可能である。
【0050】
また、上述では、自動供給型の乾燥機Eに適用した場合を説明したが、これに限られず手動供給型の乾燥機にも適用できる。手動供給型の乾燥機では、射出成形機Gで使用する必要以上のペレットP,Qを投入する場合があり、この場合、ペレットP,Qはホッパーに長時間貯留されることとなる。よって、ペレットP,Qがホッパー内で水分を最吸湿する可能性が高くなり、吸湿する水分量の分布に差が生じる可能性が高くなる。したがって、手動供給型の乾燥機においては、水分量を測定することが特に重要であり、本発明が効果的に適用されることが期待できる。
【符号の説明】
【0051】
1,1X…水分測定装置
11,11X…分別器
15…網部(分別部材)
21…第一測定部
31…第二測定部
61X…規制部
71X…第一器部
81X…第二器部
115…開口部
E…乾燥機
F…ホッパー(集積機)
G…射出成形機(成形機)
H1…第一導出通路
H2…第二導出通路
P…成形用ペレット
P1…単位ペレット
P2…連結部
Q…測定用ペレット
S02…第一測定工程
S03…第二測定工程
S04…算出工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の樹脂から構成されるペレットを乾燥し、乾燥した前記ペレットを集積機で集積し、集積した前記ペレットを成形機へ供給する成形機へのペレット供給工程における前記成形機への供給前の前記ペレットに含まれる水分量を測定する水分測定方法であって、
前記乾燥後の前記ペレットの重量を測定する第一測定工程と、
前記成形機への供給直前の前記ペレットの重量を測定する第二測定工程と、
前記第一測定工程の測定結果及び前記第二測定工程の測定結果に基づいて前記ペレットに含まれる水分量を算出する算出工程とを備えることを特徴とする水分測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水分測定方法において、
前記ペレットは、成形機へ供給される成形用ペレットと、前記測定に用いられる測定用ペレットとを有し、
前記第一測定工程及び前記第二測定工程は、前記ペレットの中から前記測定用ペレットを取り出して測定することを特徴とする水分測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水分測定方法において、
前記測定用ペレットの最小長さは、前記成形用ペレットの最大長さの2倍以上であることを特徴とする水分測定方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の水分測定方法において、
前記第一測定工程で測定された前記成形用ペレットの重量に対する前記測定用ペレットの重量の比は、前記第一測定工程で測定された前記成形用ペレットの表面積に対する前記測定用ペレットの表面積の比と同一であることを特徴とする水分測定方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の水分測定方法において、
前記測定用ペレットは、円盤状に形成されるとともに同一軸線上に互いに間隔をおいて複数配設され単位ペレットと、隣接する該単位ペレットをそれぞれ連結する連結部とを有することを特徴とする水分測定方法。
【請求項6】
粒状の樹脂から構成されるペレットを乾燥する乾燥機と、乾燥した前記ペレットを集積する集積機と、前記集積機から供給された前記ペレットを成形する成形機とを有する成形装置で用いられるペレットの水分測定装置であって、
前記乾燥機から導出された前記ペレットの重量を測定する第一測定部と、
前記成形機への供給直前の前記ペレットの重量を測定する第二測定部とを備えることを特徴とする水分測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の水分測定装置において、
前記ペレットは、前記成形機へ供給される成形用ペレットと、前記測定に用いられる測定用ペレットとを有し、
前記測定用ペレットの少なくとも一部の長さは、前記成形用ペレットの最長の長さよりも大きいことを特徴とする水分測定装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の水分測定装置において、
前記成形用ペレットの通過を許可し、前記測定用ペレットの通過を阻止する開口部を有する分別部材を備えることを特徴とする水分測定装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の水分測定装置において
前記乾燥機から前記集積機へ前記ペレットを落下させて導出させる第一導出通路及び前記集積機から前記成形機へ前記ペレットを落下させて導出させる第二導出通路を有し、
前記第一導出通路及び前記第二導出通路には、それぞれ水平方向へ移動可能な分別器が設けられ、
前記分別器は、前記導出通路における導出を規制する規制部と、該規制部に前記水平方向に隣接して設けられ、前記下方に向かって凹形状の第一器部と、該第一器部の内部に配されるとともに取り外し自在の凹形状の第二器部とを有し、
前記第一器部及び前記第二器部の底面が前記分別部材で構成され、
前記第一器部及び前記第二器部が前記導出通路から前記水平方向へ移動した第一の位置の場合に、前記規制部は前記導出通路における前記成形用ペレット及び前記測定用ペレットの導出を規制し、
前記第一器部及び前記第二器部が前記導出通路内に移動した第二の位置の場合に、前記測定用ペレットの導出を規制し、前記成形用ペレットを前記成形機側に導出することを特徴とする水分測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−44662(P2013−44662A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183408(P2011−183408)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)