説明

水切り清掃具

携帯性に優れ、しかも広い床上の水切り清掃作業を少人数で行うことができる水切り清掃具を提供する。 水切り清掃具1は、帯状体2と、帯状体2の巻き取り又は引き出しを行うためのリール体3とでなる。帯状体2は、その先端部2aに握手4を有し、その両縁部2b,2bには、床等への密着性が高いゴムである可撓性部材20,20が取り付けられている。これにより、床上の水溜まりをリール体3から引き出した帯状体2で囲んだ状態で、2人の作業者の一方が帯状体2の握手4を持ち、他方がリール体3を持って、帯状体2を引っ張ることで、水溜まりの水を帯状体2で掃くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築現場や工場などの床上に溜まっている水を清掃するための水切り清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築現場などでは、建築物の床などに溜まった水を清掃して、建築作業の障害を除く作業を行う必要がある。
従来は、所謂「トンボ」という水切り清掃具をこのような清掃作業に用いていた(例えば、特許文献1)。
図10は、従来の水切り清掃具を示す斜視図であり、図11はその使用例図である。
図10に示すように、この水切り清掃具100は、幅広の板体101と、この板体101の裏面中央部に取り付けられた柄102とによりなり、図11に示すように、作業者が柄102を持ち、水溜まりの水Wを板体101で所定の排水溝などに押していくことで、水切り清掃作業を行っていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−33065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の水切り清掃具では、次のような問題がある。
1本の水切り清掃具100を1人の作業者で使用するようになっているので、板体101の幅を広げるには限界がある。このため、広い床上に多数又は大きな水溜まりが存在する場合には、多数の作業者がそれぞれ水切り清掃具100を持ち、横一列に並んで、水切り清掃作業を行う必要があり、作業に人手と時間を要する。また、水切り清掃具100が変形しない板体101と柄102とで構成されているので、かさばり且つ携帯性に劣る。このため、水切り清掃具100の保管や運搬が非常に不便であった。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、携帯性に優れ、しかも広い床上の水切り清掃作業を少人数で行うことができる水切り清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る水切り清掃具は、先端部に握手を有する等幅の帯状体と、帯状体の後端部が取り付けられた回転体を有し、この回転体を回転させることで、帯状体をこの回転体に巻き取り又は引き出しを行うリール体とを具備する構成とした。
かかる構成により、2人の作業者が水溜まりを挟んで並び、一方の作業者がリール体から引き出された帯状体の先端部の握手を持ち、他方の作業者がリール体を持つことができる。かかる状態で、帯状体を床上に垂らし、2人の作業者が並んだまま、水溜まりの横を通過すると、床上の帯状体が水溜まり内に入り込み、その下縁部を水底に接触させた状態で立つ。これにより、帯状体を所定個所まで引っ張っていくと、帯状体が床上の水溜まりの水を所定個所まで運ぶ。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の水切り清掃具において、記帯状体の少なくとも一方の縁部に、床などへの密着性が高い可撓性部材を帯状体の長さ方向に沿って設けた構成とした。
かかる構成により、可撓性部材が水底の床に密着するので、水が帯状体の下側から逃げることはない。
【0008】
ところで、可撓性部材は、密着性があれば良く、その材質は任意である。そこで、その好例として、請求項3の発明は、請求項1に記載の水切り清掃具において、可撓性部材は、ゴム部材である構成とした。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明の水切り清掃具によれば、帯状体とこの帯状体を回転体に巻き取り又は引き出しを行うリール体とで構成され、不使用時には、帯状体をリール体に巻き取っておくことができるので、携帯性に優れている。この結果、保管や運搬に非常に便利である。
また、たった2人の作業者で広い床上の水溜まりなどの水切り清掃作業を行うことができるので、清掃作業時間の短縮化と人手の削減化とを図ることができる。
特に、請求項2及び請求項3の発明によれば、可撓性部材が水底の床等に密着するので、水溜まりのほぼ完全な水切り清掃が可能となるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の最良の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る水切り清掃具の外観図であり、図2は、その平面図であり、図3は、図2の矢視A−A断面図である。
図1及び図2に示すように、この実施形態の水切り清掃具1は、帯状体2とリール体3とでなる。
【0011】
帯状体2は、水切りを行うための等幅の長状部材であり、その先端部2aに、握手4を有している。
この帯状体2のリール体3からの引き出しの長さLは、この実施形態では、約10mに設定されている。また、図3に示すように、帯状体2の幅Hは約10cmに設定され、その厚さtは約3mmに設定されている。
そして、この帯状体2の両縁部2b,2bに、床等への密着性が高い可撓性部材20,20が取り付けられている。具体的には、帯状体2自体は、ガラス繊維で形成されている。一方、可撓性部材20はゴムで形成されており、この可撓性部材20は帯状体2の長さ方向(図2の左右方向)に沿って取り付けられている。
このような帯状体2の後端部2cは、リール体3に取り付けられている。
【0012】
図4は、リール体3の断面図である。
このリール体3は、帯状体2の巻き取り又は引き出しを行うための器具であり、図1〜図3にも示すように、十字状のフレーム30と、フレーム30に回動自在に取り付けられた回転体としての軸31と、フレーム30の外側に固着された握手32とで構成されている。
具体的には、図2に示すように、軸31の両端部31a,31aがフレーム30の中心孔30aに回動自在に嵌められ、巻き取り及び巻き戻し用のレバー33が、軸31の一方の端部31aに取り付けられている。そして、図4に示すように、帯状体2の後端部2cが軸31に固定されている。
これにより、レバー33を回転させることで、帯状体2をリール体3内に巻き取ることができ、また、握手4を握って帯状体2を引っ張ることで、帯状体2をリール体3から引き出すことができる。
【0013】
次に、この実施形態に係る水切り清掃具の使用例について説明する。
図5は、この実施形態の水切り清掃具1を用いた水切り清掃作業の一例を示す概略図であり、図6は、水切り清掃具1の帯状体2で水を捕らえている状態を示す概略図である。
この水切り清掃具1を用いて、水溜まりの水を清掃する際には、図5に示すように、水溜まり300を囲む長さまで帯状体2をリール体3から引き出す。そして、握手4を一方の作業者201が持ち、リール体3の握手32を他方の作業者202が持った状態で水溜まり300を帯状体2で囲む。
かかる状態で、図6に示すように、作業者201,202が、帯状体2を引きずるようにして矢印方向に前進すると、帯状体2が水溜まり300の水を後方から捕らえ、前方に運んでいく。
【0014】
図7は、帯状体2が水溜まり300の水Wを捕らえている状態を示す断面図である。
2人の作業者201,202が帯状体2を引っ張っていくと、図7に示すように、帯状体2が、下方の可撓性部材20を床200に密着させながら矢印方向に進む。したがって、帯状体2は、水Wを床200と可撓性部材20との間から逃がすことなく、水Wを進行方向に押していくこととなる。
ところで、床200は、平坦でなく、凹み部分と水溜まり300が生じる。このため、帯状体2と床200との間に隙間が生じるおそれがある。
しかし、この実施形態の水切り清掃具1では、帯状体2及び可撓性部材20が可撓性を有し且つ10mという長さを有しているので、図8に示すように、帯状体2全体が凹み部分203の形状に応じて撓み、可撓性部材20が床200に密着し、水Wを逃がすことはない。
また、図7の破線で示すように、引っ張る前に帯状体2が傾いた状態となっていても、帯状体2を引っ張っていくことにより、帯状体2が、実線で示すように、立った状態になるので、水Wは帯状体2の上から逃げることはない。
【0015】
以上のように、水切り清掃具1は、帯状体2で水溜まり300の水Wを確実に捕らえ、しかも水Wを帯状体2の下側から逃がすことなく、水Wを作業者201,202の進行方向に押していく。
そして、図9に示すように、作業者201,2020が排水溝204の近くに至ったときに、作業者201,202が左右に分かれ、帯状体2で捕らえた水Wを排水溝204内に押し込むことで、清掃作業は終了する。または、作業者202がリール体3のレバー33を回して、帯状体2を巻き取ることで、水Wを排水溝204内に押し込むこともできる。
作業終了後は、リール体3のレバー33を回して、帯状体2を巻き取り、この水切り清掃具1を所定の場所に保管しておくことができる。
【0016】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、可撓性部材20,20を両縁部2b,2bに取り付けたが、これに限定されるものでなく、可撓性部材20は、帯状体2の少なくとも一方の縁部2bに取り付けてあれば良い。
また、上記実施形態では、可撓性部材20として、ゴム製の部材を用いたがこれに限定されるものではなく、床への密着性が高い樹脂なども可撓性部材として適用することができる。
さらに、上記実施形態では、帯状体2のリール体3からの引き出しの長さLを約10m、その幅Hをは約10cm、その厚さtは約3mmに設定したが、これらの値は、床の広さ等の使用状況に応じて設定されるもであり、任意である。但し、帯状体2の引き出しの長さLを3m以上に設定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係る水切り清掃具の外観図である。
【図2】水切り清掃具の平面図である。
【図3】図2の矢視A−A断面図である。
【図4】リール体の断面図である。
【図5】この実施形態の水切り清掃具を用いた水切り清掃作業の一例を示す概略図である。
【図6】水切り清掃具の帯状体で水を捕らえている状態を示す概略図である。
【図7】帯状体と床との密着状態を示す断面図である。
【図8】帯状体と凹み部分との密着状態を示す断面図である。
【図9】帯状体で捕らえた水を排水溝に押し込む状態を示す概略図である。
【図10】従来の水切り清掃具を示す斜視図である。
【図11】従来の水切り清掃具の使用例図である。
【符号の説明】
【0018】
1…水切り清掃具、2…帯状体、2a…先端部、2b…縁部、2c…後端部、3…リール体、4,32…握手、20…可撓性部材、30…フレーム、31…軸、30a…中心孔、31a…端部、33…レバー、200…床、201,202…作業者、203…凹み部分、204…排水溝、300…水溜まり、W…水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に握手を有する等幅の帯状体と、
上記帯状体の後端部が取り付けられた回転体を有し、この回転体を回転させることで、上記帯状体をこの回転体に巻き取り又は引き出しを行うリール体と
を具備することを特徴とする水切り清掃具。
【請求項2】
請求項1に記載の水切り清掃具において、
上記帯状体の少なくとも一方の縁部に、床などへの密着性が高い可撓性部材を帯状体の長さ方向に沿って設けた、
ことを特徴とする水切り清掃具。
【請求項3】
請求項1に記載の水切り清掃具において、
上記可撓性部材は、ゴム部材である、
ことを特徴とする水切り清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【国際公開番号】WO2005/009195
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512021(P2005−512021)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010417
【国際出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503265681)