説明

水噴霧吹出装置およびそれを用いた水噴霧冷却システム

【課題】開放空間での局所的に冷却する水噴霧冷却において、目的の領域まで、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持を図る水噴霧吹出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水噴霧吹出装置1は、空気を吹出す吹出口2と吹出口2の周囲に備えられたベルマウス3とベルマウス3に設けられ吹出口2から吹出される吹出空気流4に向かって水を噴霧する水噴霧ノズル5を備えるという構成にしたことにより、ベルマウス3が誘引気流の抵抗となり、吹出気流および水噴霧による誘引気流の風速が小さくなり、水噴霧ノズル5から噴霧、噴射され吹出口2から吹出される吹出空気流4と合流する付近での渦流発生が抑えられ、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持が図られ、作業者に涼風感を与え、作業環境の改善に寄与することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外空間、開放空間、あるいは屋内空間で、局所的に冷却する水噴霧冷却に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水噴霧吹出装置は、水を噴霧する水噴霧ノズルを通風路内であって、起風羽根の前方に備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その水噴霧吹出装置について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、通風路101内に水噴霧ノズル102を臨ませ、水噴霧ノズル102を起風羽根103の前方に連設するものである。
【0004】
冷却水を冷却水供給管104を介して水噴霧ノズル102に供給すれば、水噴霧ノズル102により通風路101内に噴霧され、この状態で起風羽根103を回転すれば、起生された風は通風路101内を通過する間に冷却水の噴霧を混入すると共に、霧を形成する微細な水滴群の気化現象によって冷風となり、風胴105の前方に送出され、吹出気流106となって吹出される。
【0005】
また、この種の水噴霧吹出装置には、水を噴霧する水噴霧ノズル107を、送風機108のアウターケーシング109の外側の外気導入通路110に設けているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
以下、その水噴霧吹出装置について図9を参照しながら説明する。図9に示すように、軸流式の送風機108と、この送風機108の流出口近傍に設けた水噴霧ノズル107とを備えている。水噴霧ノズル107は、内側ケース111と、この内側ケース111と所定の半径方向間隔を隔てた外側ケース112とによって形成される外気導入通路110、及びこの外気導入通路110内に設けた噴霧ノズル107を有している。
【0007】
なお内側ケース111は、送風機108のアウターケーシング109の流出口部分で構成され、外側ケース112は、内側ケース111と同心状であって、その入口113側は、外気を導入し易いように、ベルマウス状に形成してある。ベルマウス型のアウターケーシング109内に、入口から順に、防塵スクリーン114、軸流式の送風機108を有している。
【0008】
水供給管115に供給された水は、水噴霧ノズル107から外気導入通路110に噴霧される。送風機108の流出気流と、水噴霧ノズル107から噴出する噴霧水との双方の吸い込み力によって、外気導入通路110には外気が導入され、この流出気流に吸い込まれ、外気導入通路110内に噴霧された噴霧水は、ここを通過する高速の外気と混合し、この混合空気が送風機108の流出気流に合流し、吹出気流116となって、吹出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭51−070057号公報(実願昭49−145147号のマイクロフィルム)
【特許文献2】実用新案登録第3122136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来の水噴霧吹出装置においては、通風路内に水噴霧ノズルを設けるものでは、水噴霧ノズルが圧力損失の要因となり、また、吹出気流による誘引気流の影響により、吹出気流の外縁部、吹出気流の周囲で渦流が発生し、その渦流によって、水噴霧の気化熱により冷却された冷却空気を含む吹出気流の一部が吹出気流から離れ拡散し、冷却空気が無駄になり、また、渦流により吹出気流が広がり易く、気流が広がれば風速が低下し、一定の風速を維持しての吹出気流の維持がし難く、目的の領域まで、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑えての吹出気流の維持がし難いという課題を有していた。
【0011】
また、通風路内に水噴霧ノズルを設けずに、その周囲の外気導入通路に水噴霧ノズルを設けるものでも、水噴霧ノズルが送風機の圧力損失の要因となるのは解消されるが、外気導入通路を通過する外気により、外気と合流後の吹出気流の外縁部、吹出気流の周囲で渦流が発生する。
【0012】
特に流入外気が高速であれば、噴霧水混合後の外気の渦流、あるいは噴霧水混合後の外気と送風機の流出気流、すなわち吹出気流との合流直後の渦流発生により、噴霧水を含む外気が吹出気流から離脱し易く、渦流により吹出気流が広がり易く、気流が広がれば風速が低下し、吹出気流の風速の維持がし難く、同様に、目的の領域まで、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑えての吹出気流の風速の維持がし難いという課題を有していた。
【0013】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、目的の領域まで、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持を図る水噴霧吹出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、この目的を達成するために、本発明は、空気を吹出す吹出口と、前記吹出口の周囲に備えられたベルマウスと、前記ベルマウスに設けられ前記吹出口から吹出される吹出空気流に向かって水を噴霧する水噴霧ノズルを備えたものである。
【0015】
これにより、水噴霧ノズルがベルマウスに設けられ、吹出口から吹出される吹出空気流に向かって噴霧、噴射されることにより、吹出口から吹出される吹出空気流による誘引気流がベルマウスの外側から空気流に向かって流れるが、ベルマウスが誘引気流の抵抗となり、ベルマウスが無い場合に比べて誘引気流の風速が小さくなり、水噴霧ノズルから噴霧、噴射され吹出口から吹出される吹出空気流と合流する付近での渦流発生が抑えられる。
【0016】
渦流発生による冷却空気の外部への拡散、すなわち、吹出口から吹出される吹出空気流から吹出空気流の外への拡散が抑えられ、吹出空気流の広がりが抑えられ、その結果、吹出口から吹出される吹出空気流の風速が維持され、空気流が安定して、目的の領域、例えば作業者迄届き易くなることになり、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持を図る水噴霧吹出装置を提供できる。
【0017】
吹出空気流は吹出口からの吹出し直後が最も風速が速く、水噴霧ノズルの水噴霧による誘引力も加わって、誘引空気流の流速も速くなるが、吹出し直後の吹出空気流および水噴霧ノズルの水噴霧による誘引空気流はベルマウスが抵抗となる。
【0018】
ベルマウスが無い場合に比べて、吹出空気流およびベルマウスに設けられた水噴霧ノズルの水噴霧による誘引空気流の流速が抑えられ、その結果、渦流の発生が抑えられ、吹出気流の拡散も抑えられることとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、空気を吹出す吹出口と、前記吹出口の周囲に備えられたベルマウスと、前記ベルマウスに設けられ前記吹出口から吹出される吹出空気流に向かって水を噴霧する水噴霧ノズルを備えたことにより、水噴霧ノズルがベルマウスに設けられ、吹出口から吹出される吹出空気流に向かって噴霧、噴射されることで、吹出口から吹出される吹出空気流による誘引気流がベルマウスの外側から空気流に向かって流れるが、ベルマウスが誘引気流の抵抗となり、ベルマウスが無い場合に比べて誘引気流の風速が小さくなり、誘引気流による渦流の発生が抑えられ、水噴霧ノズルから噴霧、噴射され吹出口から吹出される吹出空気流と合流する付近での渦流発生が抑えられ、渦流発生による冷却空気の外部への拡散、すなわち、吹出口から吹出される吹出空気流から吹出空気流の外への拡散が抑えられ、吹出空気流の広がりが抑えられ、その結果、吹出口から吹出される吹出空気流の風速が維持され、空気流が安定して、目的の領域、例えば作業者迄届き易くなる。冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持を図る水噴霧吹出装置を提供できる。
【0020】
吹出空気流は吹出口からの吹出し直後が最も風速が速く、水噴霧ノズルの水噴霧による誘引力も加わって、誘引空気流の流速も速くなるが、吹出し直後の吹出空気流および水噴霧ノズルの水噴霧による誘引空気流はベルマウスが抵抗となり、ベルマウスが無い場合に比べて、吹出空気流およびベルマウスに設けられた水噴霧ノズルの水噴霧による誘引空気流の流速が抑えられ、その結果、渦流の発生が抑えられ、吹出気流の拡散も抑えられることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1の水噴霧吹出装置を示す概要図(a)同平面図、(b)同側面図
【図2】本発明の実施の形態1と2の通風ダクトに連結した水噴霧吹出装置を示す概要図(a)同平面図、(b)同側面図
【図3】本発明の実施の形態1と2の水噴霧角度を示す水噴霧吹出装置の概要図
【図4】本発明の実施の形態3の水噴霧吹出装置を示す概要図
【図5】本発明の実施の形態4の水噴霧吹出装置の断面を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態5の水噴霧吹出装置の断面を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態6の水噴霧冷却システムを示す概要図
【図8】従来の水噴霧吹出装置の断面を示す断面図
【図9】同水噴霧吹出装置の断面を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の請求項1記載の水噴霧吹出装置は、空気を吹出す吹出口と、前記吹出口の周囲に備えられたベルマウスと、前記ベルマウスに設けられ前記吹出口から吹出される吹出空気流に向かって水を噴霧する水噴霧ノズルを備えたものである。
【0023】
これにより、水噴霧ノズルがベルマウスに設けられ、吹出口から吹出される吹出空気流に向かって噴霧、噴射されることで、吹出口から吹出される吹出空気流による誘引気流がベルマウスの外側から空気流に向かって流れるが、ベルマウスが誘引気流の抵抗となり、ベルマウスが無い場合に比べて誘引気流の風速が小さくなり、水噴霧ノズルから噴霧、噴射され吹出口から吹出される吹出空気流と合流する付近での渦流発生が抑えられる。
【0024】
渦流発生による冷却空気の外部への拡散、すなわち、吹出口から吹出される吹出空気流から吹出空気流の外への拡散が抑えられ、吹出空気流の広がりが抑えられ、その結果、吹出口から吹出される吹出空気流の風速が維持され、空気流が安定して、目的の領域、例えば作業者迄届き易くなることになり、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持を図る水噴霧吹出装置を提供できる。
【0025】
吹出空気流は吹出口からの吹出し直後が最も風速が速く、水噴霧ノズルの水噴霧による誘引力も加わって、誘引空気流の流速も速くなるが、吹出し直後の吹出空気流および水噴霧ノズルの水噴霧による誘引空気流はベルマウスが抵抗となり、ベルマウスが無い場合に比べて、吹出空気流およびベルマウスに設けられた水噴霧ノズルの水噴霧による誘引空気流の流速が抑えられ、その結果、渦流の発生が抑えられ、吹出気流の拡散も抑えられることとなる。
【0026】
冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持が図られることにより、屋外空間、開放空間、あるいは屋内空間などで、局所的に効率良く冷却できる水噴霧吹出装置を提供できる。
【0027】
また、水噴霧ノズルを複数個備え、吹出口の中心軸と平行方向から前記中心軸に向かって水を噴霧する角度が各々の前記水噴霧ノズルで相違する、という構成にしてもよい。
【0028】
これにより、水噴霧をする角度、すなわち、水を噴出する噴出角度が水噴霧ノズル毎に相違するので、噴霧水同士の衝突がより防がれ、衝突よる水滴の巨大化、結露水の生成、蒸発遅れがより防がれ、吹出空気流中ですみやかに蒸発するという効果を奏する。
【0029】
また、角度が20度〜40度である、という構成にしてもよい。
【0030】
これにより、噴霧水と吹出空気流との混合がスムースに行われ、噴霧水が吹出空気流中ですみやかに蒸発、気化し、冷却吹出空気流が得られることとなる。
【0031】
また、吹出口を回動自在とした、という構成にしてもよい。
【0032】
これにより、吹出口が回動自在になり、吹出方向を目的の領域の移動、例えば、作業者の移動に合わせて自由に設定でき、使い勝手の良い水噴霧吹出装置を提供できる。
【0033】
また、吹出口から吹出される吹出空気流を制御するダンパを備えた、という構成にしてもよい。
【0034】
これにより、ダンパ制御で吹出空気流の風速、風量などの調節ができ、使い勝手の良い水噴霧吹出装置を提供できる。
【0035】
また、ダンパによる吹出空気流の制御と水噴霧を連動するとした、という構成にしてもよい。
【0036】
これにより、冷却空気の必要性に応じて、吹出空気流の風速、風量などの調節と水噴霧量、冷却量を制御、調節でき、使い勝手の良い水噴霧吹出装置を提供できる。
【0037】
また、噴霧された水の蒸発後の吹出空気流の相対湿度が噴霧される直前の吹出空気流の相対湿度〜80%であるとした、という構成にしてもよい。
【0038】
これにより、相対湿度が80%を超えると不快を感じ易くなるが、80%RH未満とすることで、快適な水噴霧吹出装置を提供できる。
【0039】
また、空気を送風する送風機と、請求項1乃至7のいずれかに記載の水噴霧吹出装置を備えた水噴霧冷却システム、という構成にしてもよい。
【0040】
これにより、空気を送風する送風機を内臓することで、水噴霧吹出装置の移動性が高まり、冷却ゾーンの自由度がより高まることとなる。
【0041】
また、空気を送風する送風機と、前記送風機に接続されたダクトと、前記ダクトと接続し所定間隔毎に設けられた請求項1乃至7のいずれかに記載の水噴霧吹出装置を備えた水噴霧冷却システム、という構成にしてもよい。
【0042】
これにより、目的の領域毎、例えば、作業者毎に冷却空気を供給できる水噴霧冷却システムを提供できる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0044】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を図1乃至3に基づいて説明する。図1に示すように、水噴霧吹出装置1は、空気を吹出す吹出口2と吹出口2の周囲に備えられたベルマウス3とベルマウス3に設けられ吹出口2から吹出される吹出空気流4に向かって水を噴霧する水噴霧ノズル5を備えている。
【0045】
水噴霧吹出装置1を、例えば、図2に示すように、吹出口2を空気が送風されてくる通風ダクト6に連結すれば、吹出口2と通風ダクト6が連通し、内部が通風路7の通風ダクト6を介して吹出口2から吹出空気流4が吹出される。水噴霧吹出装置1の使用例として、空気が送風されてくる通風ダクト6に連結としたが、吹出口2から吹出空気流4が吹出されるように連結すればよく、空気が送風されてくる通風ダクト6に変えて、図示はしていないが、空気を送風する送風機の吹出側に連結しても良い。連結面から空気が漏れないように連結すればよく、例えば、水噴霧吹出装置1と通風ダクト6、あるいは送風機の吹出側枠などとの嵌め込み、ボルトナットによる固定、接着固定、一体成形などがある。水噴霧吹出装置1は通風ダクト6を備えても良いし、備えなくても良い。
【0046】
水噴霧ノズル5は、水供給管8から噴霧用の水が供給され、吹出口2から吹出される吹出空気流4に向かって、例えば、図3に示すように、吹出口2の中心軸9と平行方向10から中心軸9に向かって水を噴霧する方向11の角度Aが20度〜40度で、水が噴霧される。
【0047】
水噴霧ノズル5は、ベルマウス3に、例えば、図示していないが、ベルマウス3に孔を開け、その孔に水噴霧ノズル5を通し、ベルマウス3を間に挟んで、水噴霧ノズル5に設けられたストッパ12とナット13で固定されている。固定後は孔が塞がれている状態がよい。水噴霧ノズル5は、外径が、例えば、φ32、ベルマウスへの固定部分も含めて長さ80Lで、水噴霧ノズル5の長さ方向の略中央でベルマウス3に固定される。
【0048】
水噴霧ノズル5は防錆と強度の点でSUSが用いられ、吹出口2、ベルマウス3、通風ダクト6も、防錆、強度、軽量化、使い勝手などを考慮して、アルミ、防錆塗料を施した鉄板、あるいは、樹脂などから選定される。
【0049】
上記構成において、例えば、吹出口2の内径をφ235、ベルマウス3の外径をφ310とし、吹出口2から吹出される風量を50m3/分、風速を19.2m/sとして、水噴霧ノズル5の噴霧水量を1個当たり2.36L/時間で、水噴霧ノズル5を3個、3個の水噴霧ノズル5をベルマウス3に正三角形の位置に設け、噴霧圧6MPaで、吹出口2の中心軸9と平行方向10から中心軸9に向かって水を噴霧する各々の水噴霧ノズル5からの噴霧方向の角度A、B、および図示していないがもう一つの角度を40度とし、水噴霧ノズル5から水を噴霧すれば、粒子径が略20〜30μmの噴霧水滴が噴き出され、吹出空気流にのって蒸発し、気化熱により、空気を冷却する。
【0050】
水噴霧量等の諸元の決め方は、実験で求めて実験で確認を行うが、例えば、吹出口2の内径については、実験、あるいは実験を元にしたシミュレーションで目的の冷却空気を供給する領域までの距離とその領域の面積、例えば、作業者の作業に合わせて作業領域の面積と作業領域までの距離で決められ、次に、作業領域での必要風速に応じて、例えば、作業領域での必要風速を0.5m/sとすれば、実験で吹出口2の風速が決められ、風速が決まると先に求めた内径とで風量が決まる。実験によって、吹出口2での吹出風速と吹出風量の確認を行う。次に、水噴霧量、冷却温度は、湿り空気線図、比熱、気化熱、温度、湿度、および先に求めた風量等から、概略求め、実験で確認すればよい。
【0051】
本実施の形態では、吹出口2から吹出される空気の温度が32℃、湿度60%RHで、略3〜5℃程度の温度低下が見られ、吹出口2から略14m離れた地点の作業者に向かって吹出されると、吹出口2から略14m離れた地点で、周囲温度より略3〜5℃程度低い涼風が得られ、また、作業者が風が吹いていることを体感できる0.5m/sの涼風が得られた。
【0052】
吹出口2から略14m離れた地点での湿度は80%RHで、80%RHを超えると、作業者は不快を感じるが、不快感の無い、快適な作業環境が得られた。
【0053】
外気を使って、吹出口2から吹出空気流4として吹出し水噴霧すれば、噴霧水の気化熱による冷却の他、換気も行われることとなり、例えば溶接現場では、ヒューム等が換気され、清浄な作業環境の改善に繋がり、また、外気では温度が高く相対湿度が低く、その分蒸発許容水量が多くなり、水噴霧量が多くても蒸発し気化熱による冷却温度の低下に繋がり易い。
【0054】
このような構成によれば、ベルマウスが誘引気流の抵抗となり、吹出気流および水噴霧による誘引気流の風速が小さくなり、水噴霧ノズルから噴霧、噴射され吹出口から吹出される吹出空気流と合流する付近での渦流発生が抑えられ、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持が図られ、作業者に涼風感を与え、作業環境の改善に寄与することとなる。
【0055】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2を図2および3に基づいて説明する。実施の形態1と同一部分は同一符号を附し、詳細な説明は省略する。
【0056】
水噴霧ノズル5が複数個、例えば、水噴霧ノズル5が3個の場合は、例えば、正三角形の位置でベルマウス3に設け、吹出口2の中心軸9と平行方向10から中心軸9に向かって水を噴霧する各々の水噴霧ノズル5の噴霧方向の角度A、B、および図示はしていないがもう一つの角度をそれぞれ違え、それぞれの角度を40度、30度、20度として、水を噴霧すれば、角度を同一とした場合に比べて、より、噴霧水、噴霧同士の衝突を防ぎ、結露水の生成の防止を図り、吹出空気流中ですみやかに蒸発させることとなる。
【0057】
例えば、水噴霧ノズル5が2個の場合は、例えば、対向させてベルマウス3に設け、一方の角度Aを40度とし、他方の角度Bを30度として水を噴霧すれば、角度を同一とした場合に比べて、より、噴霧水、噴霧同士の衝突を防ぎ、結露水の生成の防止を図り、吹出空気流中ですみやかに蒸発させることとなる。
【0058】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3を図4に基づいて説明する。実施の形態1あるいは2と同一部分は同一符号を附し、詳細な説明は省略する。
【0059】
図4に示すように、水噴霧吹出装置1は、空気を吹出す吹出口2と、吹出口2の周囲に備えられたベルマウス3と、ベルマウス3に設けられ吹出口2から吹出される吹出空気流4に向かって水を噴霧する水噴霧ノズル5を備え、吹出口2に空気が送風されてくる通風ダクト6を連結する。通風ダクト6の吹出口2と反対側は半割れの球状14になっており、空気が送風されてくるダクト15と連通するチャンバ16に設けられた円錐体17に密着して嵌め込まれており、吹出口2とダクト15は連通し、通風ダクト6の半割れの球状14と円錐体17との嵌め合わせにより回動自在になり、通風ダクト6と連通する吹出口2は回動自在となる。
【0060】
この構成により、吹出口2が上下左右斜めと回動自在になり、吹出方向を作業者の移動に合わせて自由自在に設定でき、使い勝手が向上することとなる。
【0061】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4を図5に基づいて説明する。実施の形態1乃至3のいずれかと同一部分は同一符号を附し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図5に示すように、ダンパ18を空気を吹出す吹出口2に設けてダンパ18の開閉により、吹出口2から吹出される吹出空気流4の吹出し風量、吹出し風速が制御される。
【0063】
ダンパ18の開閉を電動モータ19により制御し、水供給管8に電動弁20を備え、水噴霧ノズル5への水供給管8からの水供給を電動弁20で制御し、電動モータ19によるダンパ18の開閉と電動弁20のオンオフあるいは水量制御を連動して制御すれば、ダンパ開の時のみ水噴霧ノズル5からの水噴霧が行われ、効率良く、水噴霧冷却が行われることとなる。冷却空気の必要性に応じて、吹出空気流の風速、風量などのダンパ調節と水噴霧量、冷却量を制御、調節でき、使い勝手の良い水噴霧吹出装置を提供できる。
【0064】
なお、ダンパ18を吹出口2に直接設けたが、図示はしていないが、吹出口2に通風ダクト連結し、その通風ダクトにダンパ18を設けても良い。
【0065】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5を図6に基づいて説明する。実施の形態1乃至4のいずれかと同一部分は同一符号を附し、詳細な説明は省略する。
【0066】
図6に示すように、空気を吹出す吹出口2に送風機21の送風機枠22を連結したものである。送風機21と連通する吹出口2から吹出される吹出空気流4に向かって、水噴霧ノズル5から水が噴霧され、ベルマウス3により渦流の発生が抑えられ、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持が図られ、目的の領域、すなわち、作業者まで涼風が届けられることとなる。
【0067】
この構成により、空気を送風する送風機21を内臓しているため、水噴霧吹出装置1の移動性が高くなり、より使い勝手の良い水噴霧吹出装置を提供できる。なお、図示はしていないが、送風機の送風制御と水噴霧制御を連動しても良い。
【0068】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6を図7に基づいて説明する。実施の形態1乃至5のいずれかと同一部分は同一符号を附し、詳細な説明は省略する。
【0069】
図7に示すように、本発明の水噴霧冷却システムは、空気を送風する送風機A23と、送風機A23に接続されたダクト15と、ダクト15と接続し所定間隔毎に設けられた水噴霧吹出装置1を備えている。送風機A23とダクト15との接続、あるいは、ダクト15同士の接続に、本実施の形態では、ジャバラダクト24を用いているが、接続できればよく、エルボなどでも良いし、直接連結しても良い。
【0070】
ダクト15と接続する水噴霧吹出装置1は、例えば、作業ゾーンでの作業者の間隔に合わせて設けられ、作業者の人数に合わせて個数が決められる。水噴霧吹出装置の個数、ダクトの送風距離に合わせて、必要風量、必要静圧が求められ、送風機が選定される。
【0071】
この構成により、目的の領域毎、例えば、作業者毎に冷却空気を供給できる水噴霧冷却システムを提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明にかかる水噴霧吹出装置およびそれを用いた水噴霧冷却システムは、冷却空気を含む吹出気流の拡散を抑え吹出気流の風速の維持が図られることにより、屋外空間、開放空間、あるいは屋内空間などで、局所的に効率良く冷却できるので、スポット的冷却などで有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 水噴霧吹出装置
2 吹出口
3 ベルマウス
4 吹出空気流
5 水噴霧ノズル
6 通風ダクト
8 水供給管
9 中心軸
10 平行方向
14 半割れの球状
15 ダクト
17 円錐体
18 ダンパ
19 電動モータ
20 電動弁
21 送風機
23 送風機A
A 角度
B 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吹出す吹出口と、前記吹出口の周囲に備えられたベルマウスと、前記ベルマウスに 設けられ前記吹出口から吹出される吹出空気流に向かって水を噴霧する水噴霧ノズルを備えたことを特徴とする水噴霧吹出装置。
【請求項2】
水噴霧ノズルを複数個備え、吹出口の中心軸と平行方向から前記中心軸に向かって水を噴霧する角度が各々の前記水噴霧ノズルで相違することを特徴とする請求項1記載の水噴霧吹出装置。
【請求項3】
吹出口の中心軸と平行方向から前記中心軸に向かって水を噴霧する角度が20度〜40度であることを特徴とする請求項2記載の水噴霧吹出装置。
【請求項4】
吹出口を回動自在としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水噴霧吹出装置。
【請求項5】
吹出口から吹出される吹出空気流を制御するダンパを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水噴霧吹出装置。
【請求項6】
ダンパによる吹出空気流の制御と水噴霧を連動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水噴霧吹出装置。
【請求項7】
噴霧された水の蒸発後の吹出空気流の相対湿度が噴霧される直前の吹出空気流の相対湿度〜80%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の水噴霧吹出装置。
【請求項8】
空気を送風する送風機と、請求項1乃至7のいずれかに記載の水噴霧吹出装置を備えた水噴霧冷却システム。
【請求項9】
空気を送風する送風機と、前記送風機に接続されたダクトと、前記ダクトと接続し所定間隔毎に設けられた請求項1乃至8のいずれかに記載の水噴霧吹出装置を備えた水噴霧冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−237466(P2012−237466A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104991(P2011−104991)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】