説明

水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構と、円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法

【課題】円柱形状の鉄塔の上部に配置しているナセルの近傍にフレーム本体を固定し、このフレーム本体にワイヤーを介して円形ゴンドラを吊設することにより、極めて画一的な作業を実現して、作業時間の短縮、作業労力の削減を図った水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構と、円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法を提供する。
【解決手段】円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構であり、ナセルに吊設されたフレーム本体と、フレーム本体に吊設されたゴンドラと、から成ることを特徴とする水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構と、円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔には、作業用の足場等が存在しないのが一般的である。
【0003】
そのため、円柱形状の鉄塔に塗装作業等を行う際には、地上から足場を組み立てる方法や高所作業車を配置する方法、あるいは、鉄塔の壁面にレールを設置してリフト型足場を作る方法等が採られていた。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、風力発電用の円柱形状の鉄塔には、金具や足場等がなんら取り付けられていないうえ、平均60mという極めて高い風力発電用の円柱形状の鉄塔に対しては、これらの方法を適用することは、困難であった。
【0005】
そこで、風力発電の円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルから、メンテナンス用のゴンドラを吊る方法を考え、ナセルからワイヤーを直接引き出そうとしたが、ナセル本体の壁面には、孔等が一切ないことから、ナセルからワイヤーを引き出すことができなかった。
【0006】
このため、ナセルの下部にワイヤーを引き出すための孔類を設けようとしたが、ナセル部分の形状と大きさがメーカー毎に異なっていて統一されていないので、ナセルから引き出すワイヤー用の孔の位置や、ワイヤーの本数等について、ナセル毎に、その都度、好ましい孔の位置やワイヤーの本数を決める作業を進めなければならなかった。
【0007】
本発明は、上述のような点に鑑みて創出されたもので、第1の目的として、ナセル本体の壁面(床、前後左右側壁面、天井等を含む)に孔を設けてワイヤー等の吊り機構を配置することにより、上述した課題を解決したものである。
【0008】
この他、本発明は、以下に示す複数の目的を有している。
【0009】
すなわち、従来の弊害として、ナセルの底面に作業用の孔を穿設することが困難な場合が存在した。例えば、ナセル内に敷き詰められているグレーチングや縞鋼板等の床材が障害となったり、あるいは、ナセル内の機器が密に配置されて狭いものとなり、作業スペースの確保が困難であったりする等の場合である。
【0010】
本発明は、上述のような点に鑑みて創出されたもので、第2の目的として、ナセルの底面に作業用の孔を穿設することが困難な場合において、吊り機構の自由な設置を可能とすることにより、上述した課題を解決したものである。
【0011】
また、従来の弊害として、ナセルの側面方向に作業用の孔を穿設した際に、この孔にワイヤーの荷重を掛けることが危険である場合が存在した。例えば、ナセルの側面のFRP製等の壁面材に全吊り荷重が掛かり、壁面を破損する可能性のある場合、あるいは、既設のナセルの壁面材の強度推定が困難である場合、さらには、壁面の補強に関しては、メーカー毎に補強範囲が異なり割高となる等の場合である。
【0012】
本発明は、上述のような点に鑑みて創出されたもので、第3の目的として、ナセルの筐体形状に左右されず、上下前後左右の自由な方向に吊り機構の治具を突き出させることが可能な機構とすることができ、また、ナセルの筐体の壁面や底面等のFRP材等による強度に左右されないでワイヤーを吊り、施工できる剛性構造機構とすることにより、上述した課題を解決したものである。
【0013】
さらに、本発明は、第4の目的として、吊り機構を筐体部のFRP材に接触させないで配置可能な作業用の孔の設置加工、および、既設の開口部を利用した施工が可能となることにより、上述した課題を解決したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構であり、ナセルに吊設されたフレーム本体と、フレーム本体に吊設されたゴンドラと、から成ることで、上述した課題を解決した。
【0015】
また、フレーム本体は、円柱形状の鉄塔の外周面を囲うように配置されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0016】
さらに、フレーム本体は、ナセルの形状に合わせて枠組み形成が可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0017】
また、フレーム本体は、少なくとも4本のワイヤーによりナセルに吊設されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0018】
加えて、フレーム本体は、吊り位置調整装置を備えていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0019】
また、フレーム本体の吊り位置調整装置は、フレーム本体の上に水平に配置され、下面側に位置固定用刻み目を刻設した吊り点調整レールと、吊り点調整レールを囲うように配置され、吊り点調整レールに沿って水平方向に移動可能である筒状の吊り点調整治具とから成り、吊り点調整治具は、ナセルに取り付けた固定用のワイヤーに接続され、ワイヤーの牽引力により若干上方に移動し、吊り点調整レールの位置固定用刻み目に噛合して吊り点調整治具の移動が阻止されるよう、筒状内周面の下側に係合用刻み目を刻設していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0020】
この他、吊り点調整治具は、筒状内周面の上側に、吊り点調整レールの上に当接するローラーを配置していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0021】
また、フレーム本体は、ナセルから引き出したワイヤーに吊設されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0022】
さらに、フレーム本体は、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介して吊設されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0023】
また、フレーム本体は、ナセルの上面の上方に配置されたアームを介して吊設されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0024】
加えて、アームは、その長さ調節が可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0025】
また、アームは、ナセル内に固定されている床板部材に立設している支柱により支持されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0026】
この他、アームにかかる種々の荷重を、床板部材に立設している支柱が受け止めるものであることで、同じく上述した課題を解決した。
【0027】
また、支柱は、上下方向に伸縮自在であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0028】
さらに、支柱は、ジャッキ部材を介して床板部材に立設していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0029】
また、ジャッキ部材のジャッキベースは、ナセル内においてグレーチングで覆われている床板部材に、グレーチングの編み目を通過可能な櫛形台座を介して固定されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0030】
加えて、フレーム本体を吊設するナセルは、その下面、前後左右側壁面、上面等のいずれかの外壁に作業用の孔を設けていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0031】
また、ナセルに設けた作業用の孔に、閉鎖用の扉を取り付けたことで、同じく上述した課題を解決した。
【0032】
この他、アームとフレーム本体の間に、フレーム本体の揺動を抑える伸縮式振れ止め部材を取り付けていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0033】
また、ゴンドラは、円柱形状の鉄塔の外周面を囲うように配置されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0034】
さらに、ゴンドラは、円柱形状の鉄塔に沿って昇降可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0035】
また、ゴンドラは、少なくとも3本のワイヤーによりフレーム本体に吊設されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0036】
加えて、ゴンドラの周囲に、飛散防止ネットを付設していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0037】
また、フレーム本体とゴンドラの間に、ナセルの鉄塔を囲繞する飛散防止ネットが介設され、該飛散防止ネットは、フレーム本体に対するゴンドラの昇降移動に追従して、伸縮可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0038】
一方、本発明は、円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法であり、ナセルにフレーム本体を吊設する工程と、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程と、から成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【0039】
また、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルから引き出したワイヤーによりフレーム本体を吊設することで、同じく上述した課題を解決した。
【0040】
さらに、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの内部に設置したワイヤー巻き取り装置からテグスを引き出し、地上に位置している吊り上げ用のワイヤーに接続する工程と、ワイヤー巻き取り装置によりテグスを巻き取って吊り上げ用のワイヤーをナセル内に進入させる工程と、吊り上げ用のワイヤーをナセルに固定する工程と、フレーム本体の吊り上げワイヤー巻き取り装置に吊り上げ用のワイヤーを接続する工程と、フレーム本体の吊り上げワイヤー巻き取り装置により吊り上げ用のワイヤーを巻き取って地上に位置しているフレーム本体をナセルに近い位置まで吊り上げる工程と、固定用のワイヤーを用いてナセルにフレーム本体を固定する工程と、から成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【0041】
また、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介してフレーム本体を吊設することで、同じく上述した課題を解決した。
【0042】
加えて、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの上面の上方に配置されたアームを介してフレーム本体を吊設することで、同じく上述した課題を解決した。
【0043】
また、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの下面、前後左右側壁面、上面等のいずれかに設けた作業用の孔を利用してフレーム本体を吊設することで、同じく上述した課題を解決した。
【0044】
この他、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程は、フレーム本体からワイヤーを引き降ろして地上に位置しているゴンドラの巻き上げワインダ装置に接続する工程と、巻き上げワインダ装置によりワイヤーを巻き取って地上に位置しているゴンドラをフレーム本体に近い位置まで吊り上げる工程と、から成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【0045】
また、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程は、地上に位置しているゴンドラをフレーム本体に近い位置まで吊り上げる工程と、フレーム本体に近い位置に存在するゴンドラを地上に向けて吊り下げる工程のいずれも包含していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0046】
さらに、アームから矩形箱状の標準型ゴンドラを直接吊設する工程を含むことで、同じく上述した課題を解決した。
【0047】
また、フレーム本体から矩形箱状の標準型ゴンドラを直接吊設する工程を含むことで、同じく上述した課題を解決した。
【0048】
加えて、ゴンドラの周囲に飛散防止ネットを付設する工程を含むことで、同じく上述した課題を解決した。
【0049】
また、フレーム本体とゴンドラとの間に、ナセルの鉄塔を囲繞する伸縮可能な飛散防止ネットを介設する工程を含むことで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0050】
本発明は、円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構であり、ナセルに吊設されたフレーム本体と、フレーム本体に吊設されたゴンドラと、から成ることから、鉄塔にゴンドラを配置する際に極めて画一的な作業を実現して、作業時間の短縮、作業労力の削減を図ることができる。
【0051】
すなわち、本発明においては、まず、円柱形状の鉄塔の上部に配置しているナセルの外壁にフレーム本体を吊る為の作業用の孔を空けてから、ナセルの近傍に当該フレーム本体を固定し、その後、このフレーム本体にワイヤーを介してゴンドラを吊設する。そのため、フレーム本体から引き出すワイヤーの位置や本数等について、現場毎にその都度好ましいものを採用する必要が無くなり、鉄塔にゴンドラを配置する際の極めて画一的な作業を実現して、作業時間の短縮、作業労力の削減を図っているのである。
【0052】
また、フレーム本体は、円柱形状の鉄塔の外周面を囲うように配置されているので、ナセルへのフレーム本体の固定が容易である。さらに、このフレーム本体により、ゴンドラをバランス良く吊設できる。
【0053】
さらに、フレーム本体は、ナセルの形状に合わせて枠組み形成が可能であるので、ナセルがどのような形状であっても、そのナセルに対応した形状のフレーム本体を固定できる。
【0054】
また、フレーム本体は、少なくとも4本のワイヤーによりナセルに吊設されているので、ナセルの近傍にフレーム本体をバランス良く固定できる。さらに、ナセルに吊設しているフレーム本体が、落下してしまう事態の発生を確実に阻止している。
【0055】
加えて、フレーム本体は、吊り位置調整装置を備えているので、ナセルに対してフレーム本体をバランス良く固定できる。
【0056】
また、フレーム本体の吊り位置調整装置は、フレーム本体の上に水平に配置され、下面側に位置固定用刻み目を刻設した吊り点調整レールと、吊り点調整レールを囲うように配置され、吊り点調整レールに沿って水平方向に移動可能である筒状の吊り点調整治具とから成り、吊り点調整治具は、ナセルに取り付けた固定用のワイヤーに接続され、ワイヤーの牽引力により若干上方に移動し、吊り点調整レールの位置固定用刻み目に噛合して吊り点調整治具の移動が阻止されるよう、筒状内周面の下側に係合用刻み目を刻設しているので、吊り点調整治具の移動と固定が極めて容易であり、ナセルにフレーム本体をバランス良く固定できる。
【0057】
この他、吊り点調整治具は、筒状内周面の上側に、吊り点調整レールの上に当接するローラーを配置しているので、このローラーを介して吊り点調整治具が滑らかに移動できる。
【0058】
また、フレーム本体は、ナセルから引き出したワイヤーに吊設されているので、作業時間の短縮、作業労力の削減を図ることができる。
【0059】
さらに、フレーム本体は、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介して吊設されているので、ナセルの底面に作業用の孔を穿設することが困難な場合であっても、吊り機構の自由な設置を可能としている。
【0060】
すなわち、ナセル内に敷き詰められているグレーチングや縞鋼板等の床材が障害となったり、あるいは、ナセル内の機器が密に配置されて狭いものとなり、作業スペースの確保が困難である等の場合においても、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介してフレーム本体を吊設できるのである。
【0061】
また、フレーム本体は、ナセルの上面の上方に配置されたアームを介して吊設されているので、ナセルの内側にアームを設置することが困難な場合であっても、吊り機構の自由な設置を可能としている。
【0062】
加えて、アームは、その長さ調節が可能であるので、ナセルの大きさに合わせてアームの長さを適宜調節できる。
【0063】
また、アームは、ナセル内に固定されている床板部材に立設している支柱により支持されていて、アームにかかる種々の荷重を、床板部材に立設している支柱が受け止めることができる。
【0064】
そのため、ナセルの筐体の壁面や底面等のFRP材等による強度に左右されないでワイヤーを吊り、施工できる剛性構造機構とすることができる。
【0065】
具体的には、従来の弊害として、ナセルの側面方向に作業用の孔を穿設した際に、この孔にワイヤーの荷重を掛けることが危険である場合が存在した。例えば、ナセルの側面のFRP製等の壁面材に全吊り荷重が掛かり、壁面を破損する可能性のある場合、あるいは、既設のナセルの壁面材の強度推定が困難である場合、さらには、壁面の補強に関しては、メーカー毎に補強範囲が異なり割高となる等の場合である。
【0066】
本発明においては、アームにかかる種々の荷重を、床板部材に立設している支柱が受け止めるので、ナセルの筐体形状に左右されず、上下前後左右の自由な方向に吊り機構の治具を突き出させることが可能な機構とすることができ、また、ナセルの筐体の壁面や底面等のFRP材等による強度に左右されないでワイヤーを吊り、施工できる剛性構造機構を実現しているのである。
【0067】
また、支柱は、上下方向に伸縮自在であるので、ナセルの大きさに合わせて支柱の長さを適宜調節できる。また、吊り機構を筐体部のFRP材に接触させないで配置可能な作業用の孔の設置加工が可能となる。さらに、既設の開口部を利用した吊り機構の設置も可能となる。
【0068】
この他、支柱は、ジャッキ部材を介して床板部材に立設しているので、アームの高さ調整が容易となり、これによってフレーム本体の水平吊持調整がスムーズに行える。
【0069】
また、ジャッキ部材のジャッキベースは、ナセル内においてグレーチングで覆われている床板部材に、グレーチングの編み目を通過可能な櫛形台座を介して固定されているので、ナセル内に敷き詰められているグレーチングや縞鋼板等の床材が障害とならずに吊り機構の自由な設置が可能となる。
【0070】
さらに、フレーム本体を吊設するナセルは、その下面、前後左右側壁面、上面等のいずれかの外壁に作業用の孔を設けているので、ナセルの筐体形状に左右されず、上下左右に自由な方向に吊り機構の治具を突き出させることが可能となる。
【0071】
また、ナセルに設けた作業用の孔に、閉鎖用の扉を取り付けたので、孔の開閉に特別な治具を使用することなく手軽に開閉でき。しかも、保守作業以外には、採光、換気等のための扉として利用できる。また、雨天時における漏水を未然に防ぐことができる。
【0072】
加えて、アームとフレーム本体の間に、フレーム本体の揺動を抑える伸縮式振れ止め部材を取り付けているので、安定した状態のフレーム本体を介して、ゴンドラをバランス良く吊設することができる。
【0073】
また、ゴンドラは、円柱形状の鉄塔の外周面を囲うように配置されているので、このゴンドラに作業員が乗って、円柱形状の鉄塔を塗装する等の各種の作業を簡単に行うことができる。
【0074】
この他、ゴンドラは、円柱形状の鉄塔に沿って昇降可能であるので、鉄塔の上方から下方にかけて、劣化調査・保守・補修等のメンテナンスやその他鉄塔全体を塗装する等、鉄塔の全体に各種の作業を行うことができる。
【0075】
また、ゴンドラは、少なくとも3本のワイヤーによりフレーム本体に吊設されているので、フレーム本体にゴンドラをバランス良く吊設できる。加えて、フレーム本体に吊設しているゴンドラが、落下してしまう事態の発生を確実に阻止している。
【0076】
さらに、ゴンドラの周囲に、飛散防止ネットを付設しているので、ゴンドラのデッキ周囲、および、ゴンドラと鉄塔との隙間における塗料等の飛散防止が図れる。
【0077】
また、フレーム本体とゴンドラの間に、ナセルの鉄塔を囲繞する飛散防止ネットが介設され、該飛散防止ネットは、フレーム本体に対するゴンドラの昇降移動に追従して、伸縮可能であるので、ゴンドラの昇降移動により、飛散防止ネットの鉄塔の周囲における収納・展開をスムーズに行うことができる。
【0078】
一方、円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法においては、ナセルにフレーム本体を吊設する工程と、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程と、から成るので、鉄塔にゴンドラを配置する際に極めて画一的な作業を実現して、作業時間の短縮、作業労力の削減を図ることができる。
【0079】
すなわち、本発明においては、まず、円柱形状の鉄塔の上部に配置しているナセルの近傍にフレーム本体を吊設し、その後、このフレーム本体にワイヤーを介してゴンドラを吊設している。
【0080】
この様に、ゴンドラをナセルに直接吊設するのではなく、フレーム本体を介在させているので、特に、フレーム本体へゴンドラを吊設する作業が画一化され、例えば、フレーム本体から引き出すワイヤーの位置や本数等について、現場毎にその都度好ましいものを採用する必要が無くなって、作業時間の短縮、作業労力の削減を図っているのである。
【0081】
また、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルから引き出したワイヤーによりフレーム本体を吊設するので、ナセルの近傍に吊り上げたフレーム本体をナセルに確実に固定し、フレーム本体が落下してしまう事態の発生を確実に阻止している。
【0082】
さらに、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの内部に設置したワイヤー巻き取り装置からテグスを引き出し、地上に位置している吊り上げ用のワイヤーに接続する工程と、ワイヤー巻き取り装置によりテグスを巻き取って吊り上げ用のワイヤーをナセル内に進入させる工程と、吊り上げ用のワイヤーをナセルに固定する工程と、フレーム本体の吊り上げワイヤー巻き取り装置に吊り上げ用のワイヤーを接続する工程と、フレーム本体の吊り上げワイヤー巻き取り装置により吊り上げ用のワイヤーを巻き取って地上に位置しているフレーム本体をナセルに近い位置まで吊り上げる工程と、固定用のワイヤーを用いてナセルにフレーム本体を固定する工程と、から成るので、ナセルの近傍にフレーム本体を容易に吊り上げることができる。
【0083】
また、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介してフレーム本体を吊設するので、ナセルの底面に作業用の孔を穿設することが困難な場合であっても、吊り機構の自由な設置を可能としている。
【0084】
すなわち、ナセル内に敷き詰められているグレーチングや縞鋼板等の床材が障害となったり、あるいは、ナセル内の機器が密に配置されて狭いものとなり、作業スペースの確保が困難である等の場合においても、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介してフレーム本体を吊設できるのである。
【0085】
加えて、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの上面の上方に配置されたアームを介してフレーム本体を吊設するので、ナセルの内側にアームを設置することが困難な場合であっても、吊り機構の自由な設置を可能としている。
【0086】
また、ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの下面、前後左右側壁面、上面等のいずれかに設けた作業用の孔を利用してフレーム本体を吊設するので、この作業用の孔により、搬送作業時の固縛や、建設作業時の利用が可能となる。
【0087】
この他、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程は、フレーム本体からワイヤーを引き降ろして地上に位置しているゴンドラの巻き上げワインダ装置に接続する工程と、巻き上げワインダ装置によりワイヤーを巻き取って地上に位置しているゴンドラをフレーム本体に近い位置まで吊り上げる工程と、から成るので、フレーム本体の近傍にゴンドラを容易に吊り上げることができる。
【0088】
また、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程は、地上に位置しているゴンドラをフレーム本体に近い位置まで吊り上げる工程と、フレーム本体に近い位置に存在するゴンドラを地上に向けて吊り下げる工程のいずれも包含しているので、円柱形状の鉄塔に沿ってゴンドラが昇降可能となる。その結果、鉄塔の上方から下方にかけて、その全体を塗装する等、鉄塔の全体に各種の作業を行うことができる。
【0089】
さらに、アームから矩形箱状の標準型ゴンドラを直接吊設する工程を含むので、風力発電設備の既存設備に影響を与える事無く、円柱形状の鉄塔に既存のゴンドラを容易に配置できる。
【0090】
例えば、円形状のゴンドラを使用しない場合において、標準型ゴンドラあるいは一人乗りゴンドラ等の各種のゴンドラを、フレーム本体を介さずに、アームによって直接吊り上げることができ、これにより、保守の内容に応じて様々な仕様が選択できる。
【0091】
また、フレーム本体から矩形箱状の標準型ゴンドラを直接吊設する工程を含むので、風力発電設備の既存設備に影響を与える事無く、円柱形状の鉄塔に既存のゴンドラを容易に配置できる。例えば、円形状のゴンドラを使用しない場合において、標準型ゴンドラあるいは一人乗りゴンドラ等の各種のゴンドラを、フレーム本体を介して吊り上げることができるのである。
【0092】
加えて、ゴンドラの周囲に飛散防止ネットを付設する工程を含むので、ゴンドラのデッキ周囲における塗料等の飛散防止が図れる。
【0093】
また、フレーム本体とゴンドラの間に、ナセルの鉄塔を囲繞する飛散防止ネットが介設する工程を含むので、ゴンドラと鉄塔との隙間における塗料等の飛散防止が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0095】
本発明は、図1に示すように、円柱形状の鉄塔Pの上部に配置したナセルNが備えている所定のブレードBを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システム1に用いられる円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り機構と、円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り方法に関するものである。
【0096】
円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り機構は、図2・図3に示すように第1のワイヤーW1(フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2)を介してナセルNに吊設されたフレーム本体Fと、図4・図5に示すように、円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を介してフレーム本体Fに吊設された円形ゴンドラGと、から成る。
【0097】
このフレーム本体Fは、図1乃至図5に示すように、円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されており、ナセルNへのフレーム本体Fの固定が容易であり、また、このフレーム本体Fにより円形ゴンドラGをバランス良く吊設できるものである。
【0098】
また、フレーム本体Fは、ナセルNの形状に合わせて枠組み形成が可能であり、ナセルNがどのような形状であっても、そのナセルNに対応した形状のフレーム本体Fを固定できるものである。
【0099】
さらに、フレーム本体Fは、少なくとも4本の、第1のワイヤーW1(フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2)によりナセルNに吊設されており、ナセルNの近傍にフレーム本体Fをバランス良く固定すると共に、ナセルNに吊設しているフレーム本体Fが落下してしまう事態の発生を確実に阻止している。
【0100】
加えて、フレーム本体Fは、吊り位置調整装置2を備えており、ナセルNに対してフレーム本体Fをバランス良く固定できる。
【0101】
以下に、フレーム本体Fの構成について詳述する。
【0102】
フレーム本体Fは、図6に示すように、円柱形状の鉄塔Pの両側に配置された一対の主フレームF1と、一対の主フレームF1同士を連結するために、両主フレームF1の基端部側において平行に配した一対の連結フレームF2とにより、全体が略コ字形になるように枠組みされている。
【0103】
この一対の連結フレームF2間には、補強フレームF3が斜行状に配されている。また、内側の連結フレームF2と一対の主フレームF1との間にも、補強フレームF3がそれぞれ斜行状に配されている。さらに、一対の連結フレームF2の位置とは反対側になる一対の主フレームF1の先端側においては、互いに内側に向けて一対の突出フレームF4が配されている。この一対の突出フレームF4は、若干前後にずれた状態で対向している。
【0104】
尚、フレーム本体F(F1,F2,F3,F4)は、ナセルNの形状及び吊り点の配置に応じて取付位置及び組合せの変更を自在に行う事が可能である。
【0105】
そして、一対の主フレームF1、主フレームF1の内側に位置する連結フレームF2、主フレームF1の先端側に位置する一対の突出フレームF4のそれぞれが、円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されている。
【0106】
このフレーム本体Fは、図6に示すように、上面側における4箇所の位置に、吊り位置調整装置2を備えている。具体的には、外側に位置する連結フレームF2の一端側と、これとは反対側に位置する補強フレームF3の一端側と、一対の主フレームF1の先端側に位置する一対の突出フレームF4の各先端側とに、それぞれ吊り位置調整装置2が配されている。4個の吊り位置調整装置2は、全体として円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されている。
【0107】
尚、4個の吊り位置調整装置2は、全体として円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されているが、ナセルNの形状及びナセルNの外壁に空けた孔5の位置に合わせてフレーム本体Fの任意の位置に取付可能な構造である。
【0108】
また、フレーム本体Fにおいては、図7乃至図9に示すように、4個の吊り位置調整装置2に隣接して、4個の吊り上げワイヤー巻き取り装置4が取り付けられている。
【0109】
一方、ナセルNの内部には、図10に示すように、4個の電動リール7Dが取り付けられている。この電動リール7Dは、ナセルNの内部において、フレーム本体Fの吊り位置調整装置2に対応する位置に取り付けられている。
【0110】
ナセルNにおいては、電動リール7Dに隣接した位置に、第1のワイヤーW1を導入する孔5を設けており、この孔5には、所定の養生措置が施されている。
【0111】
以下に、フレーム本体Fの吊り上げについて詳述する。
【0112】
ナセルNの内部に取り付けた電動リール7Dは、所定のテグス6を巻き取っていることから、このテグス6を巻き戻してナセルNの孔5から引き出し、地上に位置している第1のワイヤーW1にテグス6を接続する。そして、図10に示すように、電動リール7Dによりテグス6を巻き取って第1のワイヤーW1をナセルN内に進入させ、第1のワイヤーW1をナセルNに固定する。また、フレーム本体Fの吊り上げワイヤー巻き取り装置4に第1のワイヤーW1を接続し、フレーム本体Fの吊り上げワイヤー巻き取り装置4により第1のワイヤーW1を巻き取って地上に位置しているフレーム本体FをナセルNに近い位置まで吊り上げる。
【0113】
この様にして、フレーム本体Fは、4本の第1のワイヤーW1によりナセルNに吊設された状態となる。フレーム本体Fを吊り上げる4本の第1のワイヤーW1は、例えば、直径8mmのものを用いる。この直径8mmの第1のワイヤーW1は、フレーム本体Fを吊り上げるだけのものであり、その後、例えば、直径12mmのフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2に切り替えてナセルNにフレーム本体Fを固定する。
【0114】
以下に、ナセルNへのフレーム本体Fの固定について詳述する。
【0115】
ナセルNへのフレーム本体Fの固定は、図9・図11に示すように、フレーム本体Fに設けた吊り位置調整装置2を用いる。
【0116】
フレーム本体Fの吊り位置調整装置2は、図9に示すように、フレーム本体Fの上に水平に配置されている。また、吊り位置調整装置2は、図11に示すように、下面側に位置固定用刻み目2Cを刻設した吊り点調整レール2Aと、吊り点調整レール2Aを囲うように配置され、吊り点調整レール2Aに沿って水平方向に移動可能である筒状の吊り点調整治具2Bとから成る。
【0117】
吊り点調整治具2Bは、図11に示すように、ナセルNに取り付けたフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2に接続され、このフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2の牽引力により若干上方に移動し、吊り点調整レール2Aの位置固定用刻み目2Cに噛合して吊り点調整治具2Bの移動が阻止されるよう、筒状内周面の下側に係合用刻み目2Dを刻設している。
【0118】
また、吊り点調整治具2Bは、筒状内周面の上側に、吊り点調整レール2Aの上に当接するローラー2Eを配置している。
【0119】
予め、吊り点調整治具2Bに取り付けたフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2は、基端部を第1のワイヤーW1に添えるように固縛しておき、第1のワイヤーW1で吊り上げたフレーム本体FがナセルNに近接し、第1のワイヤーW1と共にフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2がナセルNの外壁の孔5を通過したら、ナセルNの内部でフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2を分離し、このフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2の基端部をナセルNの内部の固定用台付けに仮固定(張力が掛からない弛んだ状態)する。このとき、フレーム本体Fは、直径8mmである吊り上げ用の4本の第1のワイヤーW1によりナセルNに吊設された状態である。
【0120】
この時点においては、図11に示すように、吊り点調整治具2Bは、フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2により吊り上げられておらず、吊り点調整治具2Bが上方に持ち上げられる力は何等作用していない。そのため、吊り点調整治具2Bにおける筒状内周面の上側に取り付けたローラー2Eが、吊り点調整レール2Aの上に当接している。よって、このローラー2Eを介して吊り点調整治具2Bを、吊り点調整レール2Aに沿って水平方向に移動させ、フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2が引き出されているナセルNの孔5の真下に吊り点調整治具2Bを配置する。
【0121】
フレーム本体Fに設置した4箇所の吊り位置調整装置2において、4個の吊り点調整治具2Bの全てを、フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2が引き出されているナセルNの孔5の真下に配置してから、フレーム本体Fの吊り上げワイヤー巻き取り装置4を作動させて第1のワイヤーW1を若干巻き戻し、フレーム本体FをナセルN
から離れる方向(地上側)に移動させる。
【0122】
すると、図11に示すように、吊り点調整治具2Bは、フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2により吊り上げられ、上方に持ち上げられる。その結果、吊り点調整治具2Bにおける筒状内周面の下側に刻設した係合用刻み目2Dが、吊り点調整レール2Aの位置固定用刻み目2Cに下側から噛合して吊り点調整治具2Bの移動が阻止される。
【0123】
この様にして、フレーム本体Fは、4本のフレーム本体Fの固定用ワイヤーW2によりナセルNに吊設され、ナセルNにしっかりと固定された状態となる。
【0124】
そして、円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されたフレーム本体Fにより、円形ゴンドラGを、円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3により吊設するのである。
【0125】
この円形ゴンドラGは、図5に示すように、円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されている。また、円形ゴンドラGは、図4・図5に示すように、円柱形状の鉄塔Pに沿って昇降可能である。さらに、円形ゴンドラGは、少なくとも3本の円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3によりフレーム本体Fに吊設されている。
【0126】
以下に、円形ゴンドラGの構成について詳述する。
【0127】
円形ゴンドラGは、図1・図4・図6に示すように、上方側から見て作業床を略C型の円形ドーナツ状に形成している。また、円形ゴンドラGは、C型開放部分に、外側へ向けて左右一対のブレード点検用足場7を設けている。そして、円形ゴンドラGのC型開放部分と左右一対のブレード点検用足場7を、ナセルNが備えているブレードB側に配置することにより、ブレードBの一部がナセルNから垂直状態に下方を向いて停止している場合であっても、このブレードBを避けて円形ゴンドラGが円柱形状の鉄塔Pに沿って上下に移動できるようにしてある。
【0128】
また、円形ゴンドラGは、図1・図4に示すように、等間隔に3分割した3箇所の位置に、巻き上げワインダ装置8を設けている。この巻き上げワインダ装置8は、円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を巻き込んだり、また、巻き戻して、円形ゴンドラGを円柱形状の鉄塔Pに沿って昇降移動させるものである。この巻き上げワインダ装置8は、円形ゴンドラGの径方向に傾動可能に円形ゴンドラGに取り付けられている。円形ゴンドラGは、後述するジョイントシステムによって、円周を複数の部分に分解可能であり、狭い道路での運搬や、狭い敷地内での組立・解体が容易に行えるようにしてある。
【0129】
以下に、円形ゴンドラGの吊り上げについて詳述する。
【0130】
まず、フレーム本体Fに3本の円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を固定し、地上で円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を繰り出しながらフレーム本体Fを吊り上げる。円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3の固定位置は、図4・図6に示すように、フレーム本体Fの内側に位置する連結フレームF2の中央箇所と、一対の主フレームF1の先端側に位置する一対の主フレームF1の2箇所である。一対の主フレームF1の2箇所は、一対の突出フレームF4の基端部近傍に位置している。これらの連結フレームF2の中央箇所と、一対の主フレームF1の先端側に位置する2箇所は、それぞれ正三角形の頂点に位置している。
【0131】
フレーム本体Fに固定した3本の円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3の先端部は、図4に示すように、円形ゴンドラGに取り付けた3個の巻き上げワインダ装置8にそれぞれ接続する。円形ゴンドラGは、円柱形状の鉄塔Pの外周面を囲うように配置されており、巻き上げワインダ装置8による円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3の巻き上げにより、ナセルNに固定したフレーム本体Fに近い位置まで吊り上げることができる。また、巻き上げワインダ装置8による円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3の巻き戻しにより、円形ゴンドラGを地上に向けて吊り下げることができる。この様にして、円形ゴンドラGは、円柱形状の鉄塔Pに沿って昇降可能となるようにフレーム本体Fに吊設されるのである。
【0132】
以下に、円柱形状の鉄塔Pの上部に配置したナセルNが備えている所定のブレードBを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システム1に用いられる円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り方法を詳述する。
【0133】
このメンテナンス用ゴンドラ吊り方法は、図12に示すように、第1のワイヤーW1(フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2)を介してナセルNにフレーム本体Fを吊設する工程と、図13に示すように、円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を介してフレーム本体Fに円形ゴンドラGを吊設する工程と、から成る。
【0134】
また、第1のワイヤーW1(フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2)を介してナセルNにフレーム本体Fを吊設する工程は、図12に示すように、ナセルNの内部に設置した電動リール7Dからテグス6を引き出し、地上に位置している吊り上げ用の第1のワイヤーW1に接続する工程と、電動リール7Dによりテグス6を巻き取って吊り上げ用の第1のワイヤーW1をナセルN内に進入させる工程と、吊り上げ用の第1のワイヤーW1をナセルNに固定する工程と、フレーム本体Fの吊り上げワイヤー巻き取り装置4に吊り上げ用の第1のワイヤーW1を接続する工程と、フレーム本体Fの吊り上げワイヤー巻き取り装置4により吊り上げ用の第1のワイヤーW1を巻き取って地上に位置しているフレーム本体FをナセルNに近い位置まで吊り上げる工程と、フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2を用いてナセルNにフレーム本体Fを固定する工程と、から成る。
【0135】
さらに、円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を介してフレーム本体Fに円形ゴンドラGを吊設する工程は、図13に示すように、フレーム本体Fから円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を引き降ろして地上に位置している円形ゴンドラGの巻き上げワインダ装置8に接続する工程と、巻き上げワインダ装置8により円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を巻き取って地上に位置している円形ゴンドラGをフレーム本体Fに近い位置まで吊り上げる工程と、から成る。
【0136】
また、円形ゴンドラGの吊設用ワイヤーW3を介してフレーム本体Fに円形ゴンドラGを吊設する工程は、図14に示すように、地上に位置している円形ゴンドラGをフレーム本体Fに近い位置まで吊り上げる工程と、フレーム本体Fに近い位置に存在する円形ゴンドラGを地上に向けて吊り下げる工程のいずれも包含している。
【0137】
以下に、水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り機構が備えている具体的な装置について詳述する。
【0138】
(フレーム本体の振れ止め装置)
振れ止め装置9は、ナセルNに吊設しているフレーム本体Fを、円柱形状の鉄塔Pに固定するものである。
【0139】
振れ止め装置9は、図15に示すように、フレーム本体Fに対して、少なくとも3箇所に設置される。すなわち、振れ止め装置9は、フレーム本体Fを構成する内側の連結フレームF2と、一対の主フレームF1のそれぞれの先端側部分の3箇所に設置されている。この振れ止め装置9は、取付角度自在プレート9Aを介して、内側の連結フレームF2と、一対の主フレームF1のそれぞれに取り付けられている。
【0140】
この振れ止め装置9は、図16に示すように、回転軸付きの取付角度自在プレート9Aに、フランジ9Bを介して、長さ調整レバー9Cを備えた長尺状のネジ筒9Dが回転自在に取り付けられている。ネジ筒9Dには、先端部に開閉可能な4本のアーム9Eを備えたネジ棒9Fがねじ込まれている。そして、長さ調整レバー9Cの操作により、ネジ筒9Dに対してネジ棒9Fがネジ回転することにより、当該ネジ棒9F自体がネジ筒9Dに沿って前後に移動できるようになっている。
【0141】
また、各アーム9Eは、ネジ棒9Fの先端に設けたヒンジ機構9Gにより回動可能に連結され、各アーム9Eの先端側後面と、ヒンジ機構9Gの付け根位置よりもネジ棒9Fに沿った後側との間に、反力バネ9Hを張設することにより、各アーム9Eは、常に円錐状に開放された状態を維持している。そして、各アーム9Eが円柱形状の鉄塔Pの周面に押し付けられたときには、各アーム9Eはヒンジ機構9Gを介してさらに開放する方向に回動し、反力バネ9Hの付勢力に抗して、円柱形状の鉄塔Pの周面に各アーム9Eが密着するようにしてある。
【0142】
さらに、各アーム9Eの前面には、図17に示すように、滑り止め模様の入った損傷防止ゴム9Iが付設され、円柱形状の鉄塔Pの周面に対する各アーム9Eの密着性を向上させている。また、各アーム9Eの先端部には、プラスチックローラー9Jを取り付けることで、円柱形状の鉄塔Pの周面に押し付けられた各アーム9Eが、滑らかに開くようになっている。尚、図18に示すように、フレーム本体Fに対して振れ止め装置9を4個設置しても良い。
【0143】
(フレーム本体の吊り位置調整装置の他例)
図19乃至図21には、フレーム本体Fの吊り位置調整装置2の他例が示されている。この吊り位置調整装置2は、装置の作動を自動的に行うものである。
【0144】
すなわち、図20に示すように、フレーム本体Fの吊り位置調整装置2として、フレーム本体Fの上面に、H型鋼による軌道レール21を配する。この軌道レール21は、両端にストッパーを備えている。そして、図21に示すように、この軌道レール21上に、自らが備えているローラー22Aと駆動源22Bにより自動的に移動でき、上面に巻き上げワインダ装置23を備えて成る自走式の台車24を設置する。また、巻き上げワインダ装置23の近傍には、ワイヤー傾きセンサー25を配している。
【0145】
ワイヤー傾きセンサー25は、第1のワイヤーW1が傾くと、当該センサー25が第1のワイヤーW1により押されて、駆動源22Bにスイッチが入り、台車24を移動させることで、第1のワイヤーW1の傾きを無くした状態にする。また、当該センサー25が元の位置に戻ったときは、駆動源22Bのスイッチが切れるようにしてある。こうして、吊り位置調整装置2を、固定用の第1のワイヤーW1が引き出されているナセルNの孔5の真下に自動的に移動させることができる。
【0146】
そして、台車24の側面に設けられたロックピン26を軌道レール21側に押し込むことで、台車24が軌道レール21に固定されるのである。
【0147】
(自在設置可能なカウンターウエイトによるバランス調整装置)
バランス調整装置10は、自在に設置可能なカウンターウエイト(図示せず)により、フレーム本体Fの任意の箇所に取り付けられ、フレーム本体Fの水平バランスを常時維持できるようにしてある。
【0148】
(ワイヤー余長自動巻き取り装置)
ワイヤー余長自動巻き取り装置11は、図22に示すように、第1のワイヤーW1,フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2の余長部分が円柱形状の鉄塔Pに沿って垂れ下がってしまう事態の発生を防止するものである。
【0149】
このワイヤー余長自動巻き取り装置11は、図23に示すように、フレーム本体Fの下面側に設けた余長ワイヤー巻き取りドラム11Aにより第1のワイヤーW1の余長部分を巻き取る。フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2の余長部分は、上述同様、もしくは、円形ゴンドラG上の巻き上げワインダ装置8の近傍に配したワイヤー収納箱11B内に収容する構造である。
【0150】
(ナセルの孔の養生治具)
ナセルNに設けた孔5の養生治具12は、図24に示すように、FRP樹脂製のナセルNに設けた孔5の上方に樹脂台座12Bが配され、中空または樹脂を充填させた肉厚の大きな側面と、第1のワイヤーW1、フレーム本体Fの固定用ワイヤーW2の損傷を防止するために曲線状に加工した筒端断面を有する円筒状の管体12Cを、ナセルNに設けた樹脂台座12Bとに跨って装着する。また、管体12Cの上側の周面に鍔状に溶接された矩形状のプレート12Dを、樹脂台座12Bの上面に一部埋め込むように配する。さらに、図25に示すように、管体12Cの上方をプラスチック製またはゴム製のキャップ12Fによりを封止している。
【0151】
また、キャップ12Fの脱落・紛失を防ぐために、プレート12Dの上面の一端側に紛失防止ピン12Eを一体形成し、キャップ12Fを、紛失防止ロープ12Gを介してこの紛失防止ピン12Eに連結させている。このキャップ12Fは、有底中空状に形成されており、上側が逆U字状に折り返されて、管体12Cの開口縁部に嵌り込むように形成されている。また、キャップ12Fの先端側の外周面には、環状の滑り止め突起12Hが一体形成され、管体12Cにキャップ12Fがしっかりと装着されるものである。
【0152】
(所謂ホールソーと称する孔加工治具)
孔加工治具13は、FRP樹脂製のナセルNの外壁に孔5を穿設するために使用するものである。
【0153】
孔加工治具13は、図26に示すように、不図示のドリル機に直結した回転軸13Aに、当該回転軸13Aに平行な環状の刃先を周縁部に備えた円板状のホールカッター13Bが固定され、回転軸13Aの回転と同時にホールカッター13Bの刃先が同軸回転するようになっている。
【0154】
そして、回転軸13Aの先端側には、ホールカッター13Bの刃先と対向するようにして、斜め上の閉塞状態から水平の開放状態に揺動可能とした、一対の羽根状の落下防止金具13Cが取り付けられている。
【0155】
孔加工治具13の使用に際しては、ナセルNの外壁の所定箇所に回転軸13Aの先端を当て、ドリル機を駆動させる。すると、まず、回転軸13Aによって中央に小孔が形成され、次に、ホールカッター13Bの刃先により小孔の周囲部分が円形状にくり抜かれて切断される。このとき、円形状に切断された破片は、回転軸13Aの先端の落下防止金具13Cによって受け止められ、円形状に切断された破片がナセルNの下方に落下する事態を確実に阻止している。
【0156】
(円形ゴンドラのジョイントシステム)
ジョイントシステム14は、図27に示すように、円形ゴンドラGを、円周上に沿って、例えば、8つに分割できるように八角形等の多角形構造体14Aによって形成し、取付角度が自由に設定できるジョイント金具(図示せず)を介して、これらの多角形構造体14A同士が連結されるものである。
【0157】
また、多角形構造体14Aには、図28に示すように、これらの連結角度に無関係で開閉が可能であるスライド式開閉扉部14Bが設けられている。さらに、このスライド式開閉扉部14Bの開閉移動に連動して、隣接する多角形構造体14Aに差し渡し移動が可能であるスライド式床部14Cが設けられている。
【0158】
(ナセルの吊り上げワイヤー巻き取り装置の他例)
ナセルNの吊り上げワイヤー巻き取り装置4は、図10に示すように、樹脂台座12Bの上面における一端側に、先端に金車7Aを備えたアーム7Bの後端を回動可能に取り付けたことにより形成された跳ね上げ式金車7Cと、跳ね上げ式金車7C位置と対称に樹脂台座12Bの上面の他端側に配された電動リール7Dとによって構成されている。
【0159】
この跳ね上げ式金車7Cのアーム7Bは、略へ字型に屈曲され、この屈曲部の下面が、前記管体6Cの上縁に対する当て部7Eとなっている。
【0160】
この跳ね上げ式金車7Cを使用する場合には、管体6Cからキャップを取り外し、跳ね上げ式金車7Cのアーム7Bを回動させて金車7Aを管体6Cの上側の位置へ臨ませる。そして、第1のワイヤーW1の端部に接続しているテグス6を、金車7Aを介して電動リール7Dにより巻き上げ、第1のワイヤーW1を牽引する。
【0161】
一方、跳ね上げ式金車7Cを使用しない場合には、跳ね上げ式金車7Cのアーム7Bを回動させて金車7Aを管体6C位置から退避させ、管体6Cにキャップを嵌め込んで封止しておく。
【0162】
(メンテナンス用ゴンドラ吊り機構の他例)
以下に、水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り機構の他例について詳述する。
【0163】
本例における吊り機構の基本的な設置状況は、水平軸型風力発電システムのナセルNの筐体部における上下面・左右面・前後面に作業用の孔を開穿するか、あるいは、作業用ハッチ、ナセル吊り上げ用作業孔等の既設開口部を利用して、ナセルNの筐体部外側に、吊り機構の構造材を突出させている。
【0164】
このとき、ナセルNの孔や既設開口部自体に、一切の荷重を掛けずに吊り機構の構造材を突出させている。
【0165】
さらに、本例の工法においては、吊り機構の構成材の組み合わせ、および、作業用の孔の設置箇所に応じて、ナセルNの上面、左右側壁面、前後面等のどの面からも設置が可能となるようにしている。尚、本工法において使用される吊り機構は、重機等の大型機械を使用せずに、人力のみで運搬、設置、撤去が可能である。
【0166】
(吊り機構の構成)
吊り機構は、図29・図30に示すように、水平軸型風力発電システムのナセルNの筐体部における左側壁面の前後位置に2個、右側壁面の前後位置に2個の合計4個の作業用の孔5を開穿している。
【0167】
また、図31・図32・図33に示すように、ナセルN内の床側に設置・固定されている床板部材31の上面において、複数の支柱32が配置され、この支柱32により、横方向に伸びるアーム33を支持している。すなわち、アーム33のそれぞれは、ナセルNの各孔5から外方に向けて突出した状態になるよう、ナセルN内において2個の支柱32により支持されている。
【0168】
具体的には、ナセルNの左側壁面の前後位置にアーム33の一端が突出するように、2本のアーム33が、それぞれ支柱32により支持されている。また、ナセルNの右側壁面の前後位置にアーム33の一端が突出するように、2本のアーム33が、それぞれ支柱32により支持されている。
【0169】
そして、図30・図33に示すように、孔5から突出しているアーム33の一端には、固定用ワイヤーW2を介してフレーム本体Fが吊設されている。また、フレーム本体Fの3点箇所に設置されている吊設用ワイヤーW3を介して、円形ゴンドラGが吊設されている。
【0170】
ナセルN内においてアーム33を支持している支柱32は、例えば、ジャッキ部材34を介設させることにより、ナセルNの形状に応じて、その高さを自由に調整できるようにしている。
【0171】
また、図34示すように、ナセルN内の床板部材31がグレーチング31aで上表面が覆われている場合、櫛形台座35を介してジャッキベースを床板部材31に固定している。この櫛形台座35は、グレーチング31aの編み目を通過可能となるように構成されている。
【0172】
このとき、ジャッキベースにおける床板部材31と接触する面には、支柱32がずれないようにするため、例えば、突起を配置したり、ゴム等の滑り止めシートを付設する等の滑り止め対策を施している。
【0173】
尚、このようにジャッキ部材34のレベル調整によって、支柱32の高さを変える他に、長さの異なる支柱32を適宜組み合わせて変える方法や、立設した支柱32に対しアーム33が横方向にスライド自在となるように使用する方法等がある。
【0174】
また、各支柱32同士は、図31示すように、連結用クランプ36によって連結される、例えば、単管パイプ等の長さ調整可能な連結材37を介して互いに連繋されている。
【0175】
このとき、連結用クランプ36は、支柱32の任意の位置や角度に取り付けが可能である。さらに、支柱32の側面には、台付けワイヤー等の支柱固定装置類を配置するための金具が付設されている。この金具により、ナセルNの内部状況に応じて、自在に台付けワイヤー等が配置可能となる。加えて、支柱32の側面には、落下防止ロープを取り付けるための金具が付設されている。
【0176】
アーム33は、ナセルNの内部状況に応じて長さの異なる梁材を適宜組み合わせることにより、その長さを自由に調整できるようにしている。また、アーム33は、この組み合わせにより、アーム33の両端がナセルNの両側から突き出すタイプと、アーム33の一端がナセルNの片側のみから突き出すタイプのいずれかを、自由に選択できるようにしている。
【0177】
さらに、アーム33には、図33・図34示すように、これを支えている両側の支柱32同士の間隔を、ボルトによる接合により自由に調整するために、複数の支柱取付孔33aを設けている。加えて、アーム33には、運搬、吊り上げに便利なコ字形の取っ手金具、台付けワイヤー等の支柱固定装置類を配置するための金具が付設されている。
【0178】
また、アーム33の先端には、ワイヤー、セイフティーロープ等の取付装置が複数配置されている。さらに、アーム33には、図34示すように、フレーム本体Fの揺動を抑えるために、伸縮式振れ止め部材38が取り付けられている。この伸縮式振れ止め部材38は、その一端がナセルNから突出しているアーム33に固定され、他端がフレーム本体Fに配した自在ハンド39に連繋している。
【0179】
ナセルNに吊設するフレーム本体Fは、図35に示すように、円柱形状の鉄塔Pの両側に配置される一対の主フレームF1と、一対の主フレームF1同士を連結するために、両主フレームF1の基端部側に配した連結フレームF2とにより、全体が略コ字形になるように枠組みされている。
【0180】
また、連結フレームF2と一対の主フレームF1のそれぞれには、吊設用ワイヤーW3の上端を連結するワイヤー固定部40を設け、吊設用ワイヤーW3の下端側を、円形ゴンドラG上に配した巻き上げワインダ装置8に巻き取られるようにすることで、円形ゴンドラGが、3本の吊設用ワイヤーW3によりフレーム本体F側に吊り上げられるようにしている。
【0181】
さらに、一対の主フレームF1の左右対称位置には、アーム33の一端に連結されている固定用ワイヤーW2の端部を連結するためのワイヤー固定部41が設けられている。また、一対の主フレームF1の長手方向に沿って、ワイヤー固定部40・41の取付位置を適宜変更できるようにするために、ボルトによる接合により固定される取付孔42を複数設けている。
【0182】
ナセルNに設けた孔5には、図36・図37に示すように、例えば、建築基準法に基づく風圧に耐え得る防滴密閉可能とした可動式の閉鎖用扉51(以後ハッチと称する)により開閉できるようにしている。
【0183】
すなわち、上端側のヒンジ52を介してハッチ51を外向き上方側に開閉できるようにしている。また、ハッチ51の外側中央には、取っ手53を取り付けている。この取っ手53は、上側に配した吊り棒54を当該取っ手53に引っ掛けることで、ハッチ51の開放状態が維持されるようにしている。
【0184】
また、ナセルNの孔5を使用しない時には、孔5の下側および左右両側に配した締め付け調整可能な押さえネジ55によって、閉塞されている状態のハッチ51が不用意に開放されないようにしている。さらに、孔5の開口内周縁には、防水シール材56が貼設されている。
【0185】
尚、図36に示すハッチ51は、外面が若干内側に窪んだ略皿形に形成され、図37に示すハッチ51は、ナセルNの壁面と略同じ厚さの平板によって形成されている。
【0186】
また、ハッチ51のタイプは、常時採光可能な光透過型タイプのものを採用する等、各種の選択が可能である。そして、ハッチ51の開閉方向に関しては、外開き、内開き、縦方向、横方向等の選択が可能である。
【0187】
この他、孔5の開口枠として、ナセルNの外壁と同様のFRP樹脂を使用することで、接着後の一体化を可能としている。しかも、この枠部分を含めて、FRP樹脂で加工することにより、孔5自体の軽量化を図っている。さらに、既設の外壁強度に左右されずに、所定の強度で作製できる。
【0188】
(ナセルNの製造時において予め設置される吊り機構の他例)
図38には、側面突き出しタイプの吊り機構が示されている。すなわち、アーム33の先端が、ハッチ51が開放された作業用の孔5から突き出されると共に、ナセルN内の床板部材31に立設した支柱32に対し、アーム33が横方向にスライドできるようにしている。すなわち、アーム33を使用しないときには、アーム33をナセルN内に収容するのである。
【0189】
また、図39には、天井突き出しタイプの吊り機構が示されている。この機構においては、ナセルN内における床板部材31の左右位置に立設した支柱32を、例えば、油圧式ジャッキ、ギヤやネジを使った機械式ジャッキ等により伸縮自在としている。これらの支柱32の上端に、俯仰方向に回動可能としたアーム33を取り付けている。このアーム33自体は、ナセルNの天井において、ハッチ51が開放された一対の作業用の孔5から上方へ突き出されてから、アーム33の先端が横向きに回動するのである。
【0190】
さらに、図40に示すように、ナセルNの天井において、ハッチ51が開放された一対の作業用の孔5から上方へ突き出されてる両支柱32にアーム33を横架させ、このアーム33の両端に固定用ワイヤーW2を連結しても良い。
【0191】
また、図41に示すように、ナセルNの天井全体が開放されるように片開き可能な蓋部61を設け、該蓋部61の開放により両支柱32に横架させたアーム33を上方へ突き出させ、このアーム33の一端に固定用ワイヤーW2を連結するようにしても良い。
【0192】
加えて、図42に示すように、床板部材31の上に一対の支柱32を介して中段のサブフレーム62を設けても良い。このとき、サブフレーム62の上に、一対のサブ支柱63を幅狭状に立設する。そして、ナセルNの天井中央部分が開放されるよう、既設のハッチ51を開放させてサブ支柱63を上方へ突き出すと共に、サブ支柱63から吊り材64を介してアーム33を吊設させている。
【0193】
また、図43・図44(a)・図44(b)に示すように、円形ゴンドラGを使用しない場合において、フレーム本体Fを介さずに、標準型ゴンドラや一人乗りゴンドラ等の各種ゴンドラ71を、アーム33から固定用ワイヤーW2を介して直接吊り上げるようにしても良い。
【0194】
このとき、図43に示すように、ナセルNの側壁面の前後一対の孔5から突出した各アーム33の先端に、固定用ワイヤーW2を介して各種ゴンドラ71を二本吊りの状態に吊設させ、地上に設置されたウインチ等で牽引するのである。
【0195】
また、図44(a)に示すように、ナセルNの天井の一端において既設のハッチ51を開放させ、その長方形の開口部72からL字状に延びた一対のアーム33を突出させ、固定用ワイヤーW2を介して各種ゴンドラ71を二本吊りの状態に吊設させても良い。あるいは、ナセルNの後方の既設のハッチ51を開放させ、その長方形の開口部73から一対のアーム33を突出させ、固定用ワイヤーW2を介して各種ゴンドラ71を二本吊りの状態に吊設させても良い。
【0196】
さらに、図44(b)に示すように、ナセルNの後方から下面にかけて斜面部74を設け、該斜面部74における既設のハッチ51を開放させ、この矩形状の開口部75から、一対のアーム33の先端に連結した固定用ワイヤーW2を吊り下げるようにしても良い。
【0197】
また、図45には、フレーム本体Fを利用してブレード点検を可能とした構成が示されている。
【0198】
すなわち、フレーム本体Fのブレード側に補助フレーム81を延設し、該補助フレーム81に沿って形成されたレールに、一対の滑車が前後移動可能に取り付けられ、両滑車に、標準型ゴンドラまたは一人乗りゴンドラ等の各種ゴンドラ71を、吊りワイヤー82を介して直接吊り下げる。
【0199】
そして、フレーム本体Fの反対側後部にバランス用補助フレーム83を延設し、該バランス用補助フレーム83に、フレーム本体Fのバランスを調整するためのバランス用ワイヤー84を取り付け、これを地上で緊張させることにより、先端に吊り下げた各種ゴンドラ71との荷重バランスを調整する。
【0200】
すなわち、このバランス用ワイヤー84は、フレーム本体Fの前方側で吊る各種ゴンドラ71の荷重による当該フレーム本体F自体の傾きを調整して、略水平に保つ役割を担っている。このとき、バランス用補助フレーム83には、バランスウエイト85が付設されている。また、バランス用ワイヤー84は、ターンバックル87を介して地上のアンカー86に固縛されている。
【0201】
また、図46には、円形ゴンドラGの周囲に、小規模な飛散防止ネット91を張り巡らす構成が示されている。
【0202】
すなわち、飛散防止ネット91は、円形ゴンドラGの周囲を覆い尽くせる長さに形成され、その上下両側の、例えば、等間隔4箇所に、ネット用アーム92を介してローラー93を付設する。そして、該ローラー93は、円柱形状の鉄塔Pの周面に当接されながら円周方向に沿って転動し、スライド移動できるようにしている。さらに、円形ゴンドラGの上下部分に展開している飛散防止ネット91は、円形ゴンドラGの昇降に際して変化する鉄塔Pの直径に合わせて追従可動する構造であり、円形ゴンドラGの昇降中も飛散防止ネット91が、常に鉄塔Pに密着した状態を保持できるようにしている。
【0203】
尚、飛散防止ネット91を使用しないときは、各ローラー93が円周方向に沿って互いに閉じられる方向に移動することで、飛散防止ネット91が円形ゴンドラGの一端に折り畳まれる。また、飛散防止ネット91を使用する場合には、各ローラー93が円周方向に沿って互いに開く方向に移動することで、飛散防止ネット91が円形ゴンドラGの一端から周囲を取り巻くようにして展開される。
【0204】
また、図47には、円形ゴンドラGとフレーム本体Fとを併用して、円柱形状の鉄塔Pの周囲に飛散防止ネット91を張り巡らす構成が示されている。
【0205】
すなわち、円形ゴンドラGの上側外周縁部には、フレーム本体Fから吊り下げられた伸縮式の飛散防止ネット91の下側を折り畳み状に収納するネット収納ケース94が付設されている。この飛散防止ネット91は、フレーム本体Fに対する円形ゴンドラGの昇降移動に追従して伸縮可能となるように設けられている。こうすることで、フレーム本体Fに対し、円形ゴンドラGが鉄塔Pの上側から下側に降下すると、フレーム本体Fと円形ゴンドラGとの間には、鉄塔Pを囲繞する飛散防止ネット91が張設される。
【0206】
一方、フレーム本体Fに対し、円形ゴンドラGが鉄塔Pの下側から上側に上昇すると、鉄塔Pを囲繞する飛散防止ネット91が下端側で弛緩した状態で円形ゴンドラGのネット収納ケース94内に収納される。
【0207】
尚、円形ゴンドラGの下側には、前記したネット用アーム92、ローラー93のそれぞれを介して、飛散防止ネット91が逆円錐状に展開されるようにしている。
【0208】
また、ナセルN内における吊りワイヤーと台付けの接続方法としては、図48(a)に示すように、クレーンフックに使用するような楔形クランプK1を使用する方法がある。また、図48(b)に示すように、架線工具に使用する、例えば、2枚挟片型のワイヤー専用クランプK2を使用する方法がある。この他にも、ワイヤー端子に圧縮端子を使用する方法(図示せず)、ワイヤークリップでその都度固定する方法(図示せず)、キトークリップのようなワイヤー専用の把持金具を使用する方法(図示せず)等の周知の方法を採用している。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明に係る水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り機構と、円柱形状の鉄塔Pのメンテナンス用ゴンドラ吊り方法は、例えば、送電鉄塔・無線塔・給水塔等の各種円周形状の鉄塔Pの塗装・点検・補修工事等に、広く応用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】水平軸型風力発電システムの鉄塔において、ナセルにワイヤーを介しフレーム本体を吊設し、さらに、ワイヤーを介してフレーム本体に円形ゴンドラを吊設している状態を示す斜視図である。
【図2】水平軸型風力発電システムの鉄塔において、ワイヤーを介しフレーム本体を吊り上げる状態を示す斜視図である。
【図3】水平軸型風力発電システムの鉄塔において、ワイヤーを介しフレーム本体を吊り上げる状態を示す側面図である。
【図4】水平軸型風力発電システムの鉄塔において、ワイヤーを介し円形ゴンドラを吊り上げる状態を示す斜視図である。
【図5】水平軸型風力発電システムの鉄塔において、ワイヤーを介し円形ゴンドラを吊り上げる状態を示す側面図である。
【図6】鉄塔に対するフレーム本体と円形ゴンドラの組付状態を示す平面図である。
【図7】鉄塔に対するフレーム本体と円形ゴンドラの組付状態を示す側面図である。
【図8】鉄塔に対するフレーム本体と円形ゴンドラの組付状態を示す正面図である。
【図9】フレーム本体における吊り位置調整装置の一例を示す側面図である。
【図10】ナセルに取り付けた吊り上げワイヤー巻き取り装置の一例を示す側面図である。
【図11】フレーム本体における位置調整装置の構成を示す側面図である。
【図12】ワイヤーを介してナセルにフレーム本体を吊設する工程を詳述した説明図である。
【図13】ワイヤーを介してフレーム本体に円形ゴンドラを吊設する工程を詳述した説明図である。
【図14】ワイヤーを介してフレーム本体に円形ゴンドラを吊設する工程の内容を詳述した説明図である。
【図15】フレーム本体における振れ止め装置の構成を示す平面図である。
【図16】フレーム本体における振れ止め装置の作動状態を示す側面図である。
【図17】振れ止め装置の先端部が開いた状態を示す拡大正面図である。
【図18】フレーム本体における振れ止め装置の他の構成を示す平面図である。
【図19】フレーム本体における吊り位置調整装置の他例を示す側面図である。
【図20】フレーム本体における吊り位置調整装置の他例を示す拡大側面図である。
【図21】フレーム本体における吊り位置調整装置の他例を示す拡大正面図である。
【図22】ワイヤーの余長部分が円柱形状の鉄塔に沿って垂れ下がってしまう状態を示した側面図である。
【図23】ワイヤー余長自動巻き取り装置の概略を示す側面図である。
【図24】ナセルの孔に配した養生治具の構成を示す側面図である。
【図25】ナセルの孔に配した養生治具をキャップにより封止している状態を示す側面図である。
【図26】孔加工治具の構成を示す側面図である。
【図27】円形ゴンドラのジョイントシステムの構成を示す底面図である。
【図28】多角形構造体のスライド式開閉扉部の構成を示す側面図である。
【図29】メンテナンス用ゴンドラ吊り機構の他例を示し、ナセルの側壁に開穿した作業用の孔から吊り機構のアームを突出させ、このアームを介してフレーム本体を吊設している状態を示す概略の側面図である。
【図30】ナセルの側壁に開穿した作業用の孔から吊り機構のアームを突出させ、このアームを介してフレーム本体を吊設している状態を示す斜視図である。
【図31】ナセル内におけるアームの組み付け状態・ナセルからのアームの突出状態を示す平面図である。
【図32】床板部材の上面において、支柱を介してアームが横方向に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図33】ナセルの側壁に開穿した作業用の孔からアームの一端を突出させ、このアームを介してフレーム本体を吊設し、円形ゴンドラをフレーム本体が吊設している状態を示す背面図である。
【図34】ナセルの側壁に開穿した作業用の孔からアームの一端を突出させ、このアームを介してフレーム本体を吊設し、円形ゴンドラをフレーム本体が吊設している状態を示す背面図である。
【図35】フレーム本体の構成例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図36】ハッチの構成例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図37】ハッチの他の構成例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図38】ナセルの側壁においてスライドして突出するアームを利用した吊り機構の他例を示す正面図である。
【図39】ナセルの上方において回動するアームを利用した吊り機構の他例を示す正面図である。
【図40】ナセルの上方に配置されたアームを利用した吊り機構の他例を示す正面図である。
【図41】片開き可能な蓋部を備えたナセルにおいてアームを利用した吊り機構の他例を示す正面図である。
【図42】ナセルの上方に配置されたアームを利用した吊り機構の他例を示す正面図である。
【図43】フレーム本体を介さずに、アームが各種ゴンドラを吊設している状態を示す概略の側面図である。
【図44】アームが各種ゴンドラを吊設している状態の他例を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図45】フレーム本体に補助フレームを延設し、各種ゴンドラを吊設している状態を示す概略の側面図である。
【図46】円形ゴンドラの周囲に飛散防止ネットを張り巡らしている構成を示す側面図である。
【図47】円形ゴンドラとフレーム本体とを併用して、鉄塔の周囲に飛散防止ネットを張り巡らしている構成を示す側面図である。
【図48】吊りワイヤーと台付けの接続に使用する治具の一例を示すもので、(a)は楔形クランプの側面図、(b)はワイヤー専用クランプの側面図である。
【符号の説明】
【0211】
P…円柱形状の鉄塔
B…ブレード
N…ナセル
F…フレーム本体
F1…主フレーム
F2…連結フレーム
F3…補強フレーム
F4…突出フレーム
G…円形ゴンドラ
W1…第1のワイヤー
W2…固定用ワイヤー
W3…円形ゴンドラの吊設用ワイヤー
K1…楔形クランプ
K2…ワイヤー専用クランプ
1…水平軸型風力発電システム
2…吊り位置調整装置
2A…吊り点調整レール
2B…吊り点調整治具
2C…位置固定用刻み目
2D…係合用刻み目
2E…ローラー
4…吊り上げワイヤー巻き取り装置
5…孔
6…テグス
6C…管体
7…ブレード点検用足場
7A…金車
7B…アーム
7C…跳ね上げ式金車
7D…電動リール
7E…緩衝材(クッション材)
8…巻き上げワインダ装置
9…振れ止め装置
9A…取付角度自在プレート
9B…フランジ
9C…長さ調整レバー
9D…ネジ筒
9E…アーム
9F…ネジ棒
9G…ヒンジ機構
9H…反力バネ
9I…損傷防止ゴム
9J…プラスチックローラー
10…バランス調整装置
11…ワイヤー余長自動巻き取り装置
11A…余長ワイヤー巻取ドラム
11B…ワイヤー収納箱
12…養生治具
12B…樹脂台座
12C…管体
12D…プレート
12E…紛失防止ピン
12F…キャップ
12G…紛失防止ロープ
12H…環状の滑り止め突起
13…孔加工治具
13A…回転軸
13B…ホールカッター
13C…落下防止金具
14…ジョイントシステム
14A…多角形構造体
14B…スライド式開閉扉部
14C…スライド式床部
21…軌道レール
22A…ローラー
22B…駆動源
23…巻き上げワインダ装置
24…台車
25…ワイヤー傾きセンサー
26…ロックピン
31…床板部材
31a…床材(グレーチング)
32…支柱
33…アーム
33a…支柱取付孔
34…ジャッキ部材
35…櫛形台座
36…連結用クランプ
37…連結材
38…伸縮式振れ止め部材
39…自在ハンド
40…ワイヤー固定部
41…ワイヤー固定部
42…ワイヤー固定部取付孔
51…ハッチ
52…ヒンジ
53…取っ手
54…吊り棒
55…押さえネジ
56…防水シール材
61…蓋部
62…サブフレーム
63…サブ支柱
64…吊り材
71…各種ゴンドラ
72…開口部
73…開口部
74…斜面部
75…開口部
81…補助フレーム
82…吊りワイヤー
83…バランス用補助フレーム
84…バランス用ワイヤー
85…バランスウエイト
86…アンカー
87…ターンバックル
91…飛散防止ネット
92…ネット用アーム
93…ローラー
94…ネット収納ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構であり、ナセルに吊設されたフレーム本体と、フレーム本体に吊設されたゴンドラと、から成ることを特徴とする水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項2】
フレーム本体は、円柱形状の鉄塔の外周面を囲うように配置されている請求項1に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項3】
フレーム本体は、ナセルの形状に合わせて枠組み形成が可能である請求項1または2に記載の円柱形状の鉄塔の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項4】
フレーム本体は、少なくとも4本のワイヤーによりナセルに吊設されている請求項1乃至3のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項5】
フレーム本体は、吊り位置調整装置を備えている請求項1乃至4のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項6】
フレーム本体の吊り位置調整装置は、フレーム本体の上に水平に配置され、下面側に位置固定用刻み目を刻設した吊り点調整レールと、吊り点調整レールを囲うように配置され、吊り点調整レールに沿って水平方向に移動可能である筒状の吊り点調整治具とから成り、吊り点調整治具は、ナセルに取り付けた固定用のワイヤーに接続され、ワイヤーの牽引力により若干上方に移動し、吊り点調整レールの位置固定用刻み目に噛合して吊り点調整治具の移動が阻止されるよう、筒状内周面の下側に係合用刻み目を刻設している請求項5に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項7】
吊り点調整治具は、筒状内周面の上側に、吊り点調整レールの上に当接するローラーを配置している請求項6に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項8】
フレーム本体は、ナセルから引き出したワイヤーに吊設されている請求項1乃至6のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項9】
フレーム本体は、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介して吊設されている請求項1乃至6のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項10】
フレーム本体は、ナセルの上面の上方に配置されたアームを介して吊設されている請求項1乃至6のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項11】
アームは、その長さ調節が可能である請求項9または10に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項12】
アームは、ナセル内に固定されている床板部材に立設している支柱により支持されている請求項9乃至11のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項13】
アームにかかる種々の荷重を、床板部材に立設している支柱が受け止めるものである請求項9乃至12のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項14】
支柱は、上下方向に伸縮自在である請求項12または13に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項15】
支柱は、ジャッキ部材を介して床板部材に立設している請求項12乃至14のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項16】
ジャッキ部材のジャッキベースは、ナセル内においてグレーチングで覆われている床板部材に、グレーチングの編み目を通過可能な櫛形台座を介して固定されている請求項15に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項17】
フレーム本体を吊設するナセルは、その下面、前後左右側壁面、上面等のいずれかの外壁に作業用の孔を設けている請求項8乃至10のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項18】
ナセルに設けた作業用の孔に、閉鎖用の扉を取り付けた請求項17に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項19】
アームとフレーム本体の間に、フレーム本体の揺動を抑える伸縮式振れ止め部材を取り付けている請求項9乃至12のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項20】
ゴンドラは、円柱形状の鉄塔の外周面を囲うように配置されている請求項1に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項21】
ゴンドラは、円柱形状の鉄塔に沿って昇降可能である請求項1または20に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項22】
ゴンドラは、少なくとも3本のワイヤーによりフレーム本体に吊設されている請求項1、請求項20または21のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項23】
ゴンドラの周囲に、飛散防止ネットを付設している請求項1、請求項20乃至22のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項24】
フレーム本体とゴンドラの間に、ナセルの鉄塔を囲繞する飛散防止ネットが介設され、該飛散防止ネットは、フレーム本体に対するゴンドラの昇降移動に追従して、伸縮可能である請求項1、請求項20乃至23のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り機構。
【請求項25】
円柱形状の鉄塔の上部に配置したナセルが備えている所定のブレードを回転させて発電機を稼動させる水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法であり、ナセルにフレーム本体を吊設する工程と、フレーム本体にゴンドラを吊設する工程と、から成ることを特徴とする水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項26】
ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルから引き出したワイヤーによりフレーム本体を吊設する請求項25に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項27】
ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの内部に設置したワイヤー巻き取り装置からテグスを引き出し、地上に位置している吊り上げ用のワイヤーに接続する工程と、ワイヤー巻き取り装置によりテグスを巻き取って吊り上げ用のワイヤーをナセル内に進入させる工程と、吊り上げ用のワイヤーをナセルに固定する工程と、フレーム本体の吊り上げワイヤー巻き取り装置に吊り上げ用のワイヤーを接続する工程と、フレーム本体の吊り上げワイヤー巻き取り装置により吊り上げ用のワイヤーを巻き取って地上に位置しているフレーム本体をナセルに近い位置まで吊り上げる工程と、固定用のワイヤーを用いてナセルにフレーム本体を固定する工程と、から成る請求項25または26に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項28】
ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの前後左右側壁面から水平方向に突出しているアームを介してフレーム本体を吊設する請求項25に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項29】
ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの上面の上方に配置されたアームを介してフレーム本体を吊設する請求項25に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項30】
ナセルにフレーム本体を吊設する工程は、ナセルの下面、前後左右側壁面、上面等のいずれかに設けた作業用の孔を利用してフレーム本体を吊設する請求項25乃至29のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項31】
フレーム本体にゴンドラを吊設する工程は、フレーム本体からワイヤーを引き降ろして地上に位置しているゴンドラの巻き上げワインダ装置に接続する工程と、巻き上げワインダ装置によりワイヤーを巻き取って地上に位置しているゴンドラをフレーム本体に近い位置まで吊り上げる工程と、から成る請求項25に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項32】
フレーム本体にゴンドラを吊設する工程は、地上に位置しているゴンドラをフレーム本体に近い位置まで吊り上げる工程と、フレーム本体に近い位置に存在するゴンドラを地上に向けて吊り下げる工程のいずれも包含している請求項25または31に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項33】
アームから矩形箱状の標準型ゴンドラを直接吊設する工程を含む請求項28または29に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項34】
フレーム本体から矩形箱状の標準型ゴンドラを直接吊設する工程を含む請求項25に記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項35】
ゴンドラの周囲に飛散防止ネットを付設する工程を含む請求項25、請求項31または32のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。
【請求項36】
フレーム本体とゴンドラとの間に、ナセルの鉄塔を囲繞する伸縮可能な飛散防止ネットを介設する工程を含む請求項25、請求項31または32のいずれかに記載の水平軸型風力発電システムに用いられる円柱形状の鉄塔のメンテナンス用ゴンドラ吊り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2007−120286(P2007−120286A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267667(P2006−267667)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(500352627)株式会社工研ゴンドラ市原 (1)
【Fターム(参考)】