説明

水性塗料組成物

【課題】ワックスを含有させることにより、缶や蓋の成型加工時及び移送時等の塗膜の脱落や傷付きを防ぐ塗膜を形成することができ、かつ、ワックスの塗料中における分散安定性に優れ、該ワックスの分散安定性不良による塗膜の仕上がり外観不良を解消することができる水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】数平均分子量が600〜4000、HLB値が8〜16であるノニオン性界面活性剤、及びスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を乳化剤として、ワックスを水性媒体中に分散せしめてなるワックス水性分散体(A)、及び変性エポキシ樹脂水性分散体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性塗料組成物に関し、例えば缶の塗装用に好適な水性塗料組成物に関し、更に詳しくは、スリップ剤としてワックスを含有させることにより、塗膜の摩擦係数を低減したり、スリップ性を大きくして塗膜の脱落や傷付きを防ぐ塗膜を形成することができ、かつ、該ワックスの塗料中における分散安定性に優れ、該ワックスの分散安定性不良による塗膜の仕上がり外観不良を解消することができる水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料缶、食缶等の缶の缶胴部は、金属板にあらかじめ印刷、塗装を行った後、得られた塗装板に様々な成型加工(製缶)が施され製造されるが、この加工により塗膜は傷付いたり下地金属から脱落したりしやすい。また、上記の缶の蓋部も、金属板に塗料を塗装した後、種々の成型加工、タブの取り付け等の工程(製蓋)を経て製造される。
また、製造された塗装物を移送する際に塗装物相互或いは移送機械との接触等が起こる。このような製缶及び製蓋工程、さらには移送時における塗膜損傷等を防止すべく、塗膜の摩擦係数を低減したり、スリップ性を付与するために、例えば、ワックス等の塗料添加剤(スリップ剤)を塗料中に添加することが行なわれている。
また、缶用塗料においても近年の省資源、省エネルギーといった環境対策等の要請から塗料の水性化が進められている。
水性缶用塗料においては、基体樹脂として、一般に種々の方法により、カルボキシル基等の親水性基が付与された変性エポキシ樹脂の水性分散体が広く用いられている。
変性エポキシ樹脂を含有する水性塗料にワックスを添加する方法としては、例えば、溶剤型塗料に用いられるワックスと同種の動植物系ワックスを揮発性アミンで中和せしめた脂肪酸で水中に分散させたもの、あるいは水に可溶の溶剤中に動植物系ワックスを機械的に分散させたものを、変性エポキシ樹脂を含有する水性樹脂分散体に添加するのが一般的に行なわれている。
上記のうち、水に可溶の溶剤中に分散させた系としては、例えば、特許文献1には、水系塗料用スリップ剤及びその製造方法として、親水性ワックス類を、親水性溶媒に加熱溶解させ、この熱溶液を親水性溶媒と水とからなる混合溶液中に添加して一次ディスパージョンをつくり、さらにこの一次ディスパージョンを粉砕させて最大粒子径20μm以下の微粒子ディスパージョンとした水系塗料用スリップ剤及びその製造方法が開示されている。
しかしながら、上記方法において、脂肪酸で分散させた系では、焼付乾燥により塗膜を形成させる時、添加したワックスが塗膜表面に浮きにくく滑り性が劣ることとなる場合があり、水に可溶の溶剤中に分散させた系では、水性塗料に添加するとワックスのディスパージョンが凝集し、ワックス成分が上層浮き、或いは上部濃化する等、分散安定性に問題がある場合があった。
【0003】
【特許文献1】特開平6−136304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、スリップ剤としてワックスを含有させることにより、塗膜の摩擦係数を低減したり、スリップ性を大きくして缶や蓋等の成型加工時及び移送時等の塗膜の脱落や傷付きを防ぐ塗膜を形成することができ、かつ、該ワックスの塗料中における分散安定性に優れ、該ワックスの分散安定性不良による塗膜の仕上がり外観不良を解消することができる水性塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、特定範囲の数平均分子量及びHLB値を有するノニオン性界面活性剤、及び特定のアニオン性界面活性剤を乳化剤として併用して、ワックスを水性媒体中に分散せしめてなるワックス水性分散体(A)、及び変性エポキシ樹脂水性分散体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、数平均分子量が600〜4000、HLB値が8〜16であるノニオン性界面活性剤、及びスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を乳化剤として、ワックスを水性媒体中に分散せしめてなるワックス水性分散体(A)、及び変性エポキシ樹脂水性分散体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水性塗料組成物は、ワックス水性分散体(A)及び変性エポキシ樹脂水性分散体を含有するものであり、ワックス水性分散体(A)が、特定のノニオン性界面活性剤及び特定のアニオン性界面活性剤を併用して、ワックスが分散されているものであることを特徴とするものである。このワックスの分散において、アニオン性界面活性剤は、ワックス分散時の良好な分散性を得るために寄与するものであり、ノニオン性界面活性剤は、適度な数平均分子量及びHLB値を有するものであることから、分散後のワックス粒子に吸着し、吸着後は塗料中に存在する溶剤成分の影響による脱離を起こしにくく、最適な立体反発層を形成して凝集を抑制することにより、水性塗料組成物の貯蔵中における分散安定性を得るために寄与するものである。
本発明の水性塗料組成物はこのような特徴を有するものであるので、スリップ剤であるワックスの効果により、缶や蓋の成型加工時及び移送時等の塗膜の脱落や傷付きを防ぐ塗膜を形成することができ、かつ、該ワックスの塗料中における分散安定性に優れ、仕上がり外観にも優れた塗膜を得ることができるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の水性塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある。)について詳細に説明する。
【0009】
本発明の水性塗料組成物は、ワックス水性分散体(A)及び変性エポキシ樹脂水性分散体を含有することを特徴とする水性塗料組成物である。
【0010】
ワックス水性分散体(A)
ワックス水性分散体(A)は、数平均分子量が600〜4000、HLB値が8〜16であるノニオン性界面活性剤、及びスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を乳化剤として、ワックスを水性媒体中に分散せしめてなるものである。
【0011】
ノニオン性界面活性剤としては、数平均分子量が600〜4000で、かつ、HLB値が8〜16であるものを使用することができる。
【0012】
ノニオン性界面活性剤の数平均分子量は、600〜4000であり、好ましくは700〜4000であり、さらに好ましくは700〜3500である。
【0013】
ノニオン性界面活性剤の数平均分子量が600未満であると、界面活性剤による分散体の安定性向上の効果が小さく、塗料中での分散安定性が不足したり、耐水性が低下する場合がある。また、数平均分子量が4000を超えると、ワックス分散体(A)の分散が難しくなり、良好な分散体が得られない場合がある。
ノニオン性界面活性剤のHLB値は、8〜16であり、好ましくは9〜16であり、さらに好ましくは9〜14.5である。
ノニオン性界面活性剤のHLB値は、被分散物であるワックスと、選択する界面活性剤の種類により適正な幅は異なるが、HLB値が8〜16のものが好適に用いられる。HLB値が8未満であると、ノニオン性界面活性剤の親水性が低いため、分散時及び分散後の粒子の安定化効果が弱く、良好な分散体が得られない場合がある。また、良好な分散体が得られた場合でも、分散体の安定性が向上しない場合がある。また、HLB値が16を超えると、界面活性剤の親水性が高すぎるため、この分散体を配合した塗料組成物から得られる塗膜の耐水性が低下する場合がある。
【0014】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、
POEモノラウレート、POEジラウレート、POEモノオレエート、POEジオレエート、POEモノステアレート、POEジステアレート、ジステアリン酸エチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンテトラオレエート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンジステアレート、POEソルビタンモノミリスチレート、POEソルビタンジミリスチレート、POEソルビタンジオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、
ソルビットモノラウレート、ソルビットモノオレエート、ソルビットペンタオレエート、ソルビットモノステアレート、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のソルビット脂肪酸エステル、
グリセリンモノミリスチレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンジステアレート、グリセリンジイソステアレート、ポリグリセリンモノミリスチレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノイソステアレート、ポリグリセリンモノオレエート、ポリグリセリンジステアレート、ポリグリセリンジイソステアレート、ポリグリセリントリステアレート、ポリグリセリンペンタオキシステアレート、ポリグリセリンヘプタステアレート、ポリグリセリンヘプタオレエート、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノオレエート、POEグリセリントリイソステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、
ペンタエリスリトールモノラウレート等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル;等の多価アルコールアルキルエーテル、
プルロック等のプルロニック(登録商標、BASF社)類、
テトロニック(登録商標、BASF社)等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、
POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸などのPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、
POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ誘導体、
POEソルビットラノリン等のPOEラノリン誘導体、
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、
POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等をあげることができる。
これらノニオン性界面活性剤はそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記のうち、分散後の良好な安定性の観点から、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びペンタエリスリトール脂肪酸エステル、特に、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルを好適に使用することができる。
ソルビタン脂肪酸エステルのうち、特に、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノミリスチレートをワックス分散性と貯蔵安定性の観点から好適に使用することができる。
グリセリン脂肪酸エステルのうち、特に、ポリグリセリンモノミリスチレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノイソステアレート、ポリグリセリンモノオレエート、ポリグリセリンジステアレート、ポリグリセリンジイソステアレートをワックスの分散性と貯蔵安定性の観点から好適に使用することができる。
なお、本明細書中、ノニオン性界面活性剤において、「POE」とは「ポリオキシエチレン」の略であり、「POP」とは「ポリオキシプロピレン」の略である。
アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩又は硫酸エステル塩を使用することができる。
スルホン酸塩としては、例えば、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、モノアルキルサクシネートスルホン酸ジナトリウム等のアルキルサクシネートスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等;
カルボン酸塩としては、例えば、脂肪酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪族カルボン酸塩;
硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシアルキレン単位含有硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩など);等をあげることができる。
これらアニオン性界面活性剤はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記のうち、ワックスの良好な分散性の観点から、スルホン酸塩、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩を好適に使用することができる。
ワックスとしては、天然若しくは合成の炭化水素ワックス、グリセリド及びロウ、並びにこれらの酸化物や酸変性物等を挙げることができる。天然ワックスとしては、例えば牛脂あるいは豚脂を水素添加した水添硬化油脂、密ロウ、ラノリンワックス、鯨ロウ、水添鯨ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバワックス、シェラック等の動植物性ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、セリシンワックス等の鉱物性ワックス等を挙げることができる。また、合成ワックスとしては、ポリオレフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、シリコンワックス等を挙げることができる。
これらのワックスのうちでもその化学構造中に何らかの極性基をもつ水添硬化油脂、密ロウ、鯨ロウ、水添鯨ロウ、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、ライスワックス、ホホバワックス、シェラック、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、セリシンワックス等の天然ワックス、特に動植物性ワックス、なかでもカルナウバワックスを分散性の面から好適に使用することができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ワックス水性分散体(A)において、ワックスの分散安定性並びに得られる塗膜の滑性及び耐水性の観点から、ワックスに対して、ノニオン性界面活性剤は好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは5〜12質量%、さらに特に好ましくは5〜10質量%である。
ワックス水性分散体(A)において、ワックスの分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、ワックスに対して、アニオン性界面活性剤は好ましくは0.5〜5.0質量%、さらに好ましくは0.5〜4.0質量%、さらに特に好ましくは0.5〜3.0質量%である。
ワックス水性分散体(A)は、上記特定数平均分子量及び特定HLB値のノニオン性界面活性剤及び上記特定のものから選ばれるアニオン性界面活性剤を乳化剤として併用することにより、ワックスを水又は水性媒体中に分散せしめたものである。
水性媒体としては、水の他に、水と親水性有機溶剤の混合物が用いられる。親水性有機溶剤としては、例えば、アルコール系、グリコール系、ジグリコール系、アセテート系等を挙げることができる。具体的には、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、アミルアルコール、メチルアミルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等を挙げることができる。これらの親水性有機溶剤は使用しないことが好ましいが、必要に応じて配合する場合、少ないことが望ましい。水性媒体の量は、ワックスを水性媒体に分散できるような量であれば特に制限はなく、所望するワックス水性分散体の不揮発分、粘度に鑑み適宜選択すればよい。
ワックス水性分散体(A)は、下記のような種々の方法で得ることができるが、その製造方法はこれらに限定されるものではない。
(A1)界面活性剤とワックスとを混合液状態とした後、水性媒体に該混合液を加える。
(A2)界面活性剤とワックスとを混合液状態とした後、該混合液に水性媒体を加える。
尚、方法(A1)及び(A2)において、界面活性剤とワックスとは、混練機や強力な撹拌機等を用いて強制的にこれら2成分を混合液状態としてもよいし、あるいは溶融状態のワックスと界面活性剤とを混合し、混合液状態としてもよい。
(A3)界面活性剤、ワックス及び水性媒体の混合物を、ワックスの融点以上の温度で撹拌する。
(A4)界面活性剤に水性媒体を加えてなる界面活性剤の水溶液若しくは水性分散液に、ワックスを溶融若しくは溶解状態で加える。
(A5)ワックスの溶融物若しくは溶解物中に、界面活性剤に水性媒体を加えてなる界面活性剤の水溶液若しくは水性分散液を加える。
(A6)界面活性剤とワックスとを混合液状態とした後、界面活性剤に水性媒体を加えてなる界面活性剤の水溶液若しくは水性分散液に、該混合液を加える。
(A7)界面活性剤とワックスとを混合液状態とした後、該混合液に、界面活性剤に水性媒体を加えてなる界面活性剤の水溶液若しくは水性分散液を加える。
【0015】
界面活性剤、ワックス及び水性媒体の量、混合条件(混合速度、撹拌条件、温度等)等を種々変えることにより、分散粒子の大きさの異なる種々のワックス水性分散体(A)を得ることができる。
【0016】
また、上記ワックスの水性媒体中への分散過程で存在する有機溶剤は、必要に応じ減圧下で除去することが可能である。この時、水と有機溶剤とを共沸混合物として除去してもよい。このような場合にはより脱有機溶剤を行いやすいもの、即ち比較的低沸点の有機溶剤を使用することがより好ましい。
【0017】
ワックス水性分散体(A)の粒子径は、水性媒体中に分散するときの温度や撹拌速度あるいは、乳化剤として用いる界面活性剤の種類やワックスとの比率等により変化するが、良好な分散安定性、塗装後の塗着塗膜中におけるワックスの浮上力、良好な塗膜の滑性及び良好な塗膜の仕上がり外観を得るためには、平均粒子径は、好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは500nm以下、さらに特に好ましくは400nm以下である。
【0018】
なお、本発明において、上記平均粒子径は、サブミクロン粒子アナライザーN4(商品名、ベックマン・コールター株式会社製、粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて測定に適した濃度に希釈して、常温(20℃程度)にて測定を行った。
変性エポキシ樹脂水性分散体(B)
本発明の水性塗料組成物の変性エポキシ樹脂水性分散体(B)は、一般に自己乳化型エポキシ樹脂の水性分散体と言われるものである。即ち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂を変性して、水性媒体中に分散してなるものである。
変性エポキシ樹脂水性分散体(B)は、エステル化法、変性エステル化法(直接重合法)、グラフト法等の変性方法によって得られた変性エポキシ樹脂中のカルボキシル基の一部若しくは全部を、アンモニアおよび/またはアミン等の塩基で中和し、中和物を水性媒体中に分散することにより得ることができる。
【0019】
エステル化法とは、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーとを共重合してなるカルボキシル基を有するアクリル共重合体中のカルボキシル基の一部と、ビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基の一部とを、例えば有機溶剤中で、エステル化触媒の存在下に加熱してエステル反応せしめることによってエポキシ樹脂を変性する方法である。
【0020】
変性エステル化法(直接重合法)とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基の一部を、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマー中のカルボキシル基と反応せしめ、係る化合物とラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーとを、例えば有機溶剤中で、共重合することによってエポキシ樹脂を変性する方法である。
【0021】
グラフト法とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂の存在下でベンゾイルパーオキサイドなどのフリーラジカル発生剤を用いて、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーと、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーの混合物を、例えば有機溶剤中で、共重合することにより、アクリル共重合体をビスフェノール型エポキシ樹脂にグラフトせしめてエポキシ樹脂を変性する方法である。
上記変性エポキシ樹脂において使用されるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に高分子量まで縮合させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られる樹脂、及び得られたこれらの樹脂又は上記低分子量エポキシ樹脂に、二塩基酸を反応させてなるエポキシエステル樹脂等をあげることができる。
【0022】
上記ビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールFを好適に使用することができる。上記ビスフェノール類は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0023】
上記エポキシエステル樹脂の製造に用いられる二塩基酸としては、下記式(1)
HOOC−(CHn−COOH (1)
(式中、nは1〜12の整数である。)で示される化合物を好適に使用することができる。具体的には、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロフタル酸等をあげることができる。
【0024】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1007(エポキシ当量約1,700、数平均分子量(注1)約2,900)、エピコート1009(エポキシ当量約3,500、数平均分子量約3,750)、エピコート1010(エポキシ当量約4,500、数平均分子量約5,500);旭チバ社製のアラルダイトAER6099(エポキシ当量約3,500、数平均分子量約3,800);及び三井化学(株)製のエポミックR−309(エポキシ当量約3,500、数平均分子量約3,800)などを挙げることができる。
【0025】
本明細書において、樹脂の数平均分子量は、JIS K 0124−83に準じて行ない、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により、標準ポリスチレンを基準として、測定した。後記製造例等における測定は、GPC装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー(株)製)、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)製、商品名)の4本を用いて、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RI屈折計の条件で行なった。
【0026】
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、数平均分子量が、好ましくは1000〜15000、さらに好ましくは2000〜12000、エポキシ当量が、好ましくは1000〜12000、さらに好ましくは3000〜10000の範囲であることが、本発明の水性塗料組成物から得られる塗膜の耐食性の観点から好適である。
上記変性エポキシ樹脂において使用されるカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸等のモノマーが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
上記変性エポキシ樹脂において使用されるラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーは、上記カルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーと共重合可能なモノマーであればよく、求められる性能に応じて適宜選択して使用することができるものであり、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどの芳香族系ビニル単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−,i−又はt−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−,i−又はt−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のC〜Cヒドロキシアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド系又はN−置換メタクリルアミド系モノマーなどの1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
【0027】
上記エステル化法において、カルボキシル基を有するアクリル共重合体は、モノマーの構成比率、種類は特に制限されるものではないが、通常、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーが15〜80質量%、特に20〜60質量%であることが好ましく、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーが85〜20質量%、特に80〜40質量%であることが好ましい。
カルボキシル基を有するアクリル共重合体の調製は、例えば、上記したモノマー組成物を重合開始剤の存在下、有機溶剤中で溶液重合反応することにより容易に行うことができる。カルボキシル基を有するアクリル共重合体は、酸価が100〜500mgKOH/g、特に100〜400mgKOH/g、数平均分子量が5000〜100000、特に5000〜50000の範囲内であるのが好ましい。
上記エステル化法は、従来公知の方法で行なうことができ、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリル共重合体との均一な有機溶剤溶液中にエステル化触媒を配合せしめ、実質的にエポキシ基の全てが消費されるまで、通常、60〜130℃の反応温度にて約1〜6時間反応させることによって行うことができる。上記エステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどの第3級アミン類やトリフェニルフォスフィンなどの第4級塩化合物などを挙げることができ、なかでも第3級アミン類を好適に使用することができる。
【0028】
ビスフェノール型エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリル共重合体との反応における固形分濃度は、反応系が反応に支障のない粘度範囲内である限り特に限定されるものではない。また、エステル付加反応させる際にエステル化触媒を使用する場合には、その使用量はビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して通常、0.1〜1当量の範囲で使用するのがよい。
【0029】
ビスフェノール型エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリル共重合体の含有割合としては特に制限されるものではないが、通常、ビスフェノール型エポキシ樹脂が60〜90質量%、特に70〜90質量%であることが好ましく、カルボキシル基を有するアクリル共重合体が10〜40質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。
上記グラフト法は、従来公知の方法で行うことができ、例えば80〜150℃に加熱されたビスフェノール型エポキシ樹脂の有機溶剤溶液中に、ラジカル発生剤と、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーの混合物との均一な混合溶液を徐々に添加し、同温度に1〜10時間程度保持することによって行うことができる。上記ラジカル発生剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾイルオクタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどを使用することができる。
【0030】
変性エポキシ樹脂を調製する際の有機溶剤としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、カルボキシル基を有するアクリル共重合体又はカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーの混合物とを溶解し、且つこれらの反応生成物である変性エポキシ樹脂を中和、水性化する際にエマルションの形成に支障を来さない有機溶剤である限り、従来公知のものを使用することができる。
【0031】
上記有機溶媒の具体例としては、イソプロパノール、ブチルアルコール、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン、2−エチルヘキシルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。
【0032】
変性エポキシ樹脂は、カルボキシル基を有するものであり、水分散性及び塗膜性能などの観点から、酸価が10〜160mgKOH/g、特に20〜100mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。
【0033】
変性エポキシ樹脂は、塩基性化合物で樹脂中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和することによって水性媒体中に分散可能となる。
【0034】
上記カルボキシル基の中和に用いられる塩基性化合物としては、アミン類やアンモニアが好適に使用される。上記アミン類の代表例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアルキルアミン類;ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルカノールアミン類;モルホリンなどの環状アミン類などを挙げることができる。変性エポキシ樹脂の中和度は、特に限定されるものではないが、変性エポキシ樹脂中のカルボキシル基に対して通常0.1〜2.0当量中和の範囲であることが好ましい。
【0035】
上記水性媒体は、水のみであってもよいが、水と有機溶剤との混合物であってもよい。この有機溶剤としては、従来公知のものをいずれも使用でき、前記変性エポキシ樹脂の製造の際に使用できる有機溶剤として挙げたものを好適に使用することができる。本発明の水性塗料組成物おける有機溶剤の量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して、環境保護の観点等から20質量%以下の範囲であることが望ましい。
【0036】
変性エポキシ樹脂を水性媒体中に中和、分散するには、常法に従えばよく、例えば、中和剤である塩基性化合物を含有する水性媒体中に、撹拌下に変性エポキシ樹脂を徐々に添加する方法、変性エポキシ樹脂を塩基性化合物によって中和した後、撹拌下にて、この中和物に水性媒体を添加するか又はこの中和物を水性媒体中に添加する方法などにより行なうことができる。
また、変性エポキシ樹脂を水性媒体中に分散する工程において、ワックスを投入して、変性エポキシ樹脂とワックスの水性媒体中への分散をあわせて行うこともできる。
本発明の水性塗料組成物は、(A)成分及び(B)成分を必須構成成分として含有するものであり、例えば、下記(1)又は(2)の方法で製造することができるが、(A)成分及び(B)成分を必須構成成分として含有するものであれば、これら(1)又は(2)の方法に限定されることなく製造することができる。
(1)ワックス水性分散体(A)及び変性エポキシ樹脂水性分散体(B)を混合することにより、水性塗料組成物を得る。
(2)変性エポキシ樹脂の中和物の溶液とワックス水性分散体(A)を混合した後、この混合物を水性化することにより、水性塗料組成物を得る。
本発明の水性塗料組成物は、必要に応じて、さらに、レゾール型フェノール樹脂(C)、ノボラック型フェノール樹脂等を含有することができる。
レゾール型フェノール樹脂(C)としては、任意のフェノール成分とホルムアルデヒドなどのアルデヒド成分とを塩基性触媒の存在下に縮合反応させて得られる樹脂をあげることができる。フェノール成分としては、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、p−tert−アミノフェノール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール等の2官能性フェノール類、石炭酸、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール等の3官能性フェノール類、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール等の1官能性フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF等の4官能性フェノール類等をあげることができ、これらは単独であるいは2種以上を組合せて使用することができる。塩基性触媒としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような強塩基が望ましいが、炭酸ナトリウム、アンモニア等も使用することができ、これらは単独であるいは2種以上を組合せて使用することができる。ホルムアルデヒドは、ホルマリン、パラホルムアルデヒドとしても使用することができる。
なお、レゾール型フェノール樹脂(C)としては、導入されたメチロール基の一部を、さらに、例えば炭素原子数6以下のアルコールでアルキルエーテル化したフェノール樹脂等も包含される。
【0037】
レゾール型フェノール樹脂(C)は、数平均分子量が、好ましくは200〜2000、さらに好ましくは300〜1200の範囲内であり、かつ、ベンゼン核1核当りのメチロール基の平均数が好ましくは0.3〜3.0個、さらに好ましくは0.5〜3.0個、さらに特に好ましくは0.7〜3.0個の範囲内であることが適当である。
レゾール型フェノール樹脂(C)は、変性エポキシ樹脂の架橋剤として、作用するものであり、硬化性を向上し、得られる塗膜の密着性、耐レトルト性を向上させることができる。さらには、硬化性が向上することにより、ワックス水性分散体(A)中のワックスの浮上を促進し、滑り性により優れる塗膜を得ることができる。
本発明の水性塗料組成物に、レゾール型フェノール樹脂(C)を含有せしめる方法としては、例えば、下記(3)〜(5)の方法を挙げることができる。
(3)上記(1)又は(2)の方法で得られた水性塗料組成物に、さらにレゾール型フェノール樹脂(C)を混合することにより、水性塗料組成物を得る。
(4)変性エポキシ樹脂の中和物の溶液と、レゾール型フェノール樹脂(C)とを混合した後、この混合物を水性化し、得られた水性分散体とワックス水性分散体(A)を混合することにより、水性塗料組成物を得る。
(5)変性エポキシ樹脂の中和物の溶液、ワックス水性分散体(A)及びレゾール型フェノール樹脂(C)を混合した後、この混合物を水性化することにより、水性塗料組成物を得る。
【0038】
本発明の水性塗料組成物は、ワックス水性分散体(A)及び変性エポキシ樹脂水性分散体(B)を構成成分とするものであり、ワックス自体の含有量は変性エポキシ樹脂の固形分総量に対して、好ましくは0.05〜2.0質量%、特に好ましくは0.05〜1.0質量%、さらに特に好ましくは0.05〜0.5質量%の範囲内である。
上記ワックス自体の含有量が、0.05質量%未満であると、ワックスの濃度が低すぎるために得られる塗膜の滑性が不十分となる場合がある。また、2.0質量%を越えると、過剰なワックスによる塗面の濁りやムラが観察されたり、得られる塗膜の耐水性が低下する場合がある。
また、さらにレゾール型フェノール樹脂(C)を含有する場合には、レゾール型フェノール樹脂(C)の含有量は、変性エポキシ樹脂の固形分総量に対して、0.1〜20質量%、特に、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
上記レゾール型フェノール樹脂(C)の含有量が、20質量%よりも多いと、得られる塗膜の加工性が不十分となる場合がある。
なお、水性塗料に比較的疎水性の有機溶剤を添加することにより、耐ワキ性や成膜性などの塗装作業性を向上させる手法が一般的に行なわれているが、ワックスを含有する水性塗料組成物におけるワックスの分散安定性不良は、水性塗料組成物中に有機溶剤(特に疎水性のもの)を相当量以上含有する場合に、特に発生しやすい。
本発明の水性塗料組成物は、水性塗料組成物中、有機溶剤を8.0質量%以上含有し、かつ、有機溶剤中、水に対する溶解度が10未満の有機溶剤を10.0質量%以上含有する場合においても、該ワックスの塗料中における分散安定性に優れ、仕上がり外観にも優れた塗膜を得ることができるものである。
尚、水に対する溶解度は、20℃の温度で水100gに対して溶解する有機溶剤の質量をグラム単位で表わした数値である。
【0039】
水に対する溶解度が10未満の有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、オクチレングリコール、2−エチルヘキシレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、n−ブタノール、イソブタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等をあげることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0040】
これらのうち、塗装作業性向上の観点から、特に、アルコール系溶剤およびグリコール系溶剤を好適に使用することができる。
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて、ワックス水性分散体(A)に使用される界面活性剤以外の界面活性剤、消泡剤、顔料、香料など通常、水性塗料に使用される添加成分を含有することができる。
本発明の水性塗料組成物は、種々の被塗物に適用することができ、例えばアルミニウム板、鋼板、ブリキ板等の無処理の又は表面処理した金属板、及びこれらの金属板にエポキシ系、ビニル系などのプライマーが塗装された金属板等、さらに、これらの金属板を缶などに加工したもの等を挙げることができる。
本発明の水性塗料組成物は、缶用途の水性塗料組成物として、特に好適に使用することができる。
【0041】
本発明の水性塗料組成物を被塗物に塗装する方法としては、公知の方法、例えばロールコータ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装や電着塗装等をあげることができる。なかでもロールコータ塗装又はスプレー塗装が好ましい。塗装膜厚は用途によって適宜選定すればよいが、通常3〜20μm程度が好ましい。塗装した塗膜の乾燥条件としては、通常、素材到達最高温度が120〜300℃程度、好ましくは200〜280℃程度となる条件で、10秒間〜30分間、好ましくは15秒間〜10分間の範囲内であることが好ましい。
以下、製造例、実施例及び比較例をあげて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
【実施例】
【0042】
ワックス水性分散体(A)の製造
製造例1
精製カルナウバ1号(mp.82℃)100部、ポリグリセリンモノステアレート(ノニオン性界面活性剤、数平均分子量1300、HLB値12.0)10部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤)3部を4ッ口フラスコに仕込み、撹拌しながら90℃に加熱し、混合溶解した。撹拌速度600RPMで撹拌しながら徐々に90度に加熱した脱イオン水 339部を添加した。そのまま撹拌しながら30℃以下まで冷却し、固形分25.3%(ワックス分22.1%)のワックス水性分散体(A−1)を得た。ワックス水性分散体(A−1)の平均粒子径は350nmであった。また、ワックス水性分散体(A−1)を25℃で1ヶ月間貯蔵したところ、異常は認められなかった。
製造例2〜15
下記表1に示す組成で製造例1と同様にして製造することにより、各ワックス水性分散体(A−2)〜(A−15)を得た。併せて各ワックス水性分散体の平均粒子径、25℃で1ヶ月間貯蔵後の評価結果を表1に示す。なお、表1において、各成分の量は固形分である。また、ワックス水性分散体(A−10)〜(A−15)は比較例用のワックス水性分散体である。
なお、表1中のポリグリセリンモノステアレート以外のノニオン性界面活性剤の数平均分子量及びHLB値は以下のとおりである。
(注1)POEソルビタンモノステアレート;数平均分子量1500、HLB値15
(注2)POEモノイソステアレート;数平均分子量1500、HLB値15
(注3)POEラウリレート;数平均分子量500、HLB値14.5
(注4)POE硬化ヒマシ油;数平均分子量4300、HLB値14
(注5)ポリグリセリントリステアレート;数平均分子量1650、HLB値7.5
(注6)POEモノステアレート;数平均分子量2300、HLB値17.5
表1におけるワックス水性分散体の分散性及び貯蔵性の評価基準は以下のとおりである。
分散性 ◎;分散性が極めて良好(平均粒子径400nm以下)
○;分散性が良好
×;分散性が不良
貯蔵性 ○;分散状態に異常が認められない
△;若干の粗粒子の沈降もしくは浮上が認められる
×;プリン状となる、又は2層に分離する
製造例13及び15のワックス水性分散体(A−13)及び(A−15)は分散性が不良であったため、該分散体を使用して塗料組成物を製造することができなかった。
【0043】
【表1】

【0044】
変性エポキシ樹脂水性分散体(B)の製造
製造例イ:エポキシ樹脂の製造
還流管、温度計、撹拌機を装着した四つ口フラスコにエピコート828EL(注1)558部、ビスフェノールA 329部、テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.6部を仕込み、窒素気流下で160℃にて反応させた。反応はエポキシ当量で追跡し、約5時間反応させることにより数平均分子量約11000、エポキシ当量約8000のビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。
(注1)エピコート828EL:ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量約190、分子量約350
製造例ロ−1:カルボキシル基を有するアクリル共重合体溶液の製造
還流管、温度計、滴下ロート、撹拌機を装着した四つ口フラスコにn−ブタノール(水に対する溶解度6.4) 294部、エチレングリコールモノブチルエーテル(水に対する溶解度無限大)588部を仕込み、100℃まで加熱した。次に、メタクリル酸180部、スチレン240部 、アクリル酸エチル180部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート18部の混合物を窒素気流下で滴下ロートを用いて約3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに100℃で、2時間撹拌を続けた。次いで室温まで冷却することにより、固形分40%のアクリル共重合体1の溶液を得た。得られた共重合体(固形分)は、酸価196mgKOH/g、数平均分子量約19000であった。
製造例ロ−2:カルボキシル基を有するアクリル共重合体溶液の製造
還流管、温度計、滴下ロート、撹拌機を装着した四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル882部を仕込み、100℃まで加熱した。次に、メタクリル酸180部、スチレン240部 、アクリル酸エチル180部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート18部の混合物を窒素気流下で滴下ロートを用いて約3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに100℃で、2時間撹拌を続けた。次いで室温まで冷却することにより、固形分40%のアクリル共重合体2の溶液を得た。得られた共重合体(固形分)は、酸価196mgKOH/g、数平均分子量約17000であった。
製造例ハ−1:変性エポキシ樹脂水性分散体の製造
還流管、温度計、撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例イで得たビスフェノールA型エポキシ樹脂80部 (固形分)、製造例ロ−1で得た40%アクリル共重合体1の溶液50部 (固形分20部)及びジエチレングリコールモノブチルエーテル(水に対する溶解度無限大)33部を加えて100℃に加熱して溶解させた後、N,N−ジメチルアミノエタノール2部を加えて約2時間反応を行った後、N,N−ジメチルアミノエタノール3部を加えてさらに20分間反応を行なった。その後、脱イオン水165部を1時間かけて滴下し水分散を行なうことにより、酸価34mgKOH/g、固形分30%の変性エポキシ樹脂水性分散体(B−1)を得た。
製造例ハ−2:変性エポキシ樹脂水性分散体の製造
還流管、温度計、撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例イで得たビスフェノールA型エポキシ樹脂80部 (固形分)、製造例ロ−2で得た40%アクリル共重合体2の溶液50部 (固形分20部)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル23部、n−ブタノール5部及びイソブタノール5部(水に対する溶解度8.5)を加えて100℃に加熱して溶解させた後、N,N−ジメチルアミノエタノール2部を加えて約2時間反応を行ない、N,N−ジメチルアミノエタノール3部を加えてさらに20分間反応を行なった。その後、脱イオン水165部を1時間かけて滴下し水分散を行うことにより、酸価34mgKOH/g、固形分30%の変性エポキシ樹脂水性分散体(B−2)を得た。
レゾール型フェノール樹脂(C)の製造
製造例ニ:レゾール型フェノール樹脂溶液の製造
還流管、温度計、撹拌機を装着した四つ口フラスコに、フェノール188部及び37%ホルムアルデヒド水溶液324部を仕込み、50℃に加熱して内容物を均一に溶解した。次に、酢酸亜鉛を添加、混合して系内のpHを5.0に調整した後、90℃に加熱し、5時間反応させた。ついで、50℃に冷却し、32%水酸化カルシウム水分散液をゆっくり添加し、pHを8.5に調整した後、50℃で4時間反応を行った。
【0045】
反応終了後、20%塩酸を添加してpHを4.5に調整した後、キシレン/n−ブタノール/シクロヘキサン=1/2/1(質量比)の混合溶剤で樹脂分の抽出を行い、触媒、中和塩を除去し、ついで減圧下で共沸脱水することにより、固形分60%の淡黄色で透明なレゾール型フェノール樹脂(C−1)溶液を得た。
水性塗料組成物の製造
実施例1
製造例ハ−1で得た固形分30%の変性エポキシ樹脂分散体(B−1)333部(固形分100部)に、製造例1で得た固形分25.0%のワックス水性分散体(A−1)1.4部(ワックス固形分として、0.35部)を加え約30分間撹拌した後、脱イオン水67部を徐々に加えて調整し、固形分25%の水性塗料組成物No.1を得た。
なお、水性塗料組成物No.1中、有機溶剤は、18.9質量%で、有機溶剤中、水に対する溶解度が10未満の有機溶剤の量は15.9質量%であった。
実施例2〜11及び比較例1〜4
下表2に示す組成で、実施例1と同様にして製造することにより、固形分25%の各水性塗料組成物No.2〜No.15を得た。なお、表2において、各成分の量は固形分である。なお、水性塗料組成物No.12〜No.15は比較例用の塗料である。
表2には、各水性塗料組成物中の有機溶剤の濃度(質量%)(有機溶剤濃度1)及び有機溶剤中、水に対する溶解度が10未満の有機溶剤の濃度(質量%)(有機溶剤濃度2)を併せて示す。また、各水性塗料組成物を試験管へ15ml取り分け、振動の起こらない場所で、25℃で1か月間貯蔵した貯蔵試験の結果を併せて示す。評価方法は以下のとおりである。
貯蔵した塗料の最上層2ml部分を採取して試料とし、透過光で顕微鏡観察(倍率500倍)を行ない、初期状態と比較した。
○;分散状態に変化が認められない
△;ワックス分散体および基体樹脂分散体の凝集物が若干観察される
×;ワックス分散体および変性エポキシ樹脂の凝集物が多く観察される
試験板の作成
上記実施例及び比較例で得た各水性塗料組成物を試験管へ15ml取り分け、振動の起こらない場所で、25℃で1ヶ月間貯蔵した。
貯蔵後の各水性塗料組成物を未攪拌のまま最上層2ml部分と最下層2ml部分とをそれぞれ採取し、各塗料につき、最上層と最下層の各塗料を塗装した試験板を作製した。
塗装はリン酸クロメート処理が施された厚さ0.26mmの#5182アルミニウム板に膜厚が約10μmとなるように各試料塗料につき、バーコーターを用いて塗装し、200℃で3分間加熱して硬化させることにより各試験板を得た。
性能試験は、下記の試験方法及び評価基準に従って行った。なお、ワックス跡、耐レトルト白化性の試験は、各最下層の塗料を塗装した試験板を用いて行なった。
動摩擦係数(最上層試料塗料及び最下層試料塗料をそれぞれにつき試験板を作製し、それぞれの試験板につき評価を行なった):鋼球3点より支持された荷重1kgを、150cm/分の速度で引っ張り、動摩擦係数を求めた。
滑性ムラ:上記方法で求めた最上層試料塗料及び最下層試料塗料を塗装した両塗板の動摩擦係数の差を算出することにより、滑性ムラとして評価した。
◎;差がない(差が0である)
○;差が0を越えて0.02以下である
△;差が0.02を超えて0.1以下である
×;差が0.1より大きい
ワックス跡:試験板から剥離した塗膜を透過光下で観察し、塗面の濁りを評価した。
【0046】
◎;全く塗面の濁りが認められない
○;ほとんど塗面の濁りが認められない
△;塗面の濁り若しくはスジ状のムラが認められる
×;著しい塗面の濁りが認められる
耐レトルト白化性:試験板をオートクレーブ中で125℃で30分間処理した後の塗膜の白化状態を下記基準により評価した。
【0047】
◎;白化が認められない
○;かすかに白化が認められる
△;明らかに白化が認められる
×;著しい白化が認められる
【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が600〜4000、HLB値が8〜16であるノニオン性界面活性剤、及びスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を乳化剤として、ワックスを水性媒体中に分散せしめてなるワックス水性分散体(A)、及び変性エポキシ樹脂水性分散体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
【請求項2】
ノニオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びペンタエリスリトール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の水性塗料組成物。
【請求項3】
アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩である請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
【請求項4】
ワックスが、カルナウバワックスである請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
【請求項5】
ワックスに対して、ノニオン性界面活性剤を5〜15質量%、アニオン性界面活性剤を0.5〜5質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
【請求項6】
水性塗料組成物中、有機溶剤を8質量%以上含有し、かつ、有機溶剤中、水に対する溶解度が10未満の有機溶剤を10質量%以上含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性塗料組成物が塗装された金属板及び金属缶。

【公開番号】特開2011−178897(P2011−178897A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44564(P2010−44564)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】