説明

水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法

【課題】従来の水性液ゲル化剤は、経日による品質変化を起こす、水系ゲル作成時の原料の水への溶解性が不良、生成した水系ゲルの透明性が低い、水系ゲル作成時にアンモニアが発生し原料である香料を変質させる等の問題があり、芳香剤として好ましくない。
【解決手段】炭素数5〜10のエチレン性不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物、フマル酸並びにエチレン性不飽和モノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(A)を必須構成単位とする重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応による反応生成物(C)と、下記架橋剤(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤とを含んでなる水性液(D)用ゲル化剤。
架橋剤(B1):多価エポキシ基含有化合物
架橋剤(B2):多価オキサゾリン基含有化合物
架橋剤(B3):多価カルボジイミド基含有化合物
架橋剤(B4):多価アジリジン基含有化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲルタイプの消臭及び/又は芳香剤としては、溶剤として水を、ゲル化剤として寒天、カラギーナンなどを用いて形成させた水系タイプの芳香剤(特許文献1〜4)、並びに溶剤としてテルペン系炭化水素などを、ゲル化剤として金属せっけんなどを用いて形成させた油性ゲルタイプの芳香剤(特許文献5〜8)が知られおり、市販されているのは水系タイプのものが主流を占めている。
しかし、このような水系タイプの芳香剤は、有機系溶液、例えばアルコール−水混合溶液の吸収能力が極めて低かったり、あるいは吸収後のゲル強度が低いという欠点がある。
上記の問題を解決したものとして、
(1)香料と水及び/又はエタノールとの混合物を主剤とする液体を、カルボキシルビニルポリマーとアルカリとの中和によりゲル化せしめてなる透明ゲル芳香剤(特許文献9参照)。
(2)N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにN−ビニルピロリドン、ステアリルアクリレート及び架橋性モノマーを共重合したカチオン性増粘剤(特許文献10参照)。
(3)N−ビニルアセトアミド共重合体の架橋物(特許文献11参照)。
(4)ジアセトンアクリルアミド共重合変性ポリビニルアルコールを架橋剤で架橋させたもの(特許文献12参照)。
(5)(a)N,N−ジメチルアクリルアミド(共)重合体架橋物、揮発性物質及び水及び/又は水溶性溶剤を含有することを特徴とする透明ゲル状組成物(特許文献13参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭55−1812号公報
【特許文献2】特開昭50−70532号公報
【特許文献3】特開昭56−57451号公報
【特許文献4】特開平10−226749号公報
【特許文献5】特開昭53−91149号公報
【特許文献6】特開昭56−89261号公報
【特許文献7】特開昭60−53148号公報
【特許文献8】特開昭61−4310号公報
【特許文献9】特開平1−119258号公報
【特許文献10】特開平9−66095号公報
【特許文献11】特開2002−80681号公報
【特許文献12】特開2003−3029号公報
【特許文献13】特開2005−8832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記(1)、(2)、(5)は、容器を移動したり倒した場合、ゲルが変形したりゲルがこぼれたりするなどの不都合があり、上記(3)、(4)は、離液現象を起こす不都合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記問題点を改善した水性液用ゲル化剤及び水性液ゲルの製造方法を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、炭素数5〜10のエチレン性不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物、フマル酸並びにエチレン性不飽和モノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(A)を必須構成単位とする重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応による反応生成物(C)と、下記架橋剤(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤とを含んでなる水性液(D)用ゲル化剤;このゲル化剤で(D)をゲル化させてなる水性液ゲル;並びに、(X)、(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤、並びに(D)を含んでなる組成物を、架橋反応させることを特徴とする水性液ゲルの製造方法である。
架橋剤(B1):多価エポキシ基含有化合物
架橋剤(B2):多価オキサゾリン基含有化合物
架橋剤(B3):多価カルボジイミド基含有化合物
架橋剤(B4):多価アジリジン基含有化合物
【発明の効果】
【0006】
本発明の水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(1)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは保形性が良いため、容器を移動したり倒した場合、ゲルが変形したり、ゲルがこぼれることがなく、取り扱いやすい。
(2)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは透明感があるので、美観に優れる。
(3)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは、ゲルからの離液現象やゲルのひび割れなどが発生しないので,貯蔵安定性に優れる。
(4)高濃度のアルコールを含有する水性液に香料を混合・ゲル化できるので、冬場の気温が低い場合でも香料などの揮散性に優れる。
また、本発明の水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(5)本発明の製造方法は、低い温度でゲルを製造できるので、製造時の香料の揮散や香料の変質が起こりにくい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において反応生成物(C)は、炭素数5〜10のエチレン性不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物、フマル酸並びにエチレン性不飽和モノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(A)を必須構成単位とする重合体(X)を作成した後に、オニウムカチオン及び/又はアンモニアと反応させたものでもよいし、ラジカル重合性単量体(A)とオニウムカチオン及び/又はアンモニアとの反応物を重合したものでもよい。前者は、例えば、単量体(A)を必須構成単位とする重合体(X)を溶媒中で重合して得られた重合体(X)を、オニウムカチオン及び/又はアンモニアと反応させて得られるものである。後者は、例えば、溶剤の存在下又は不存在下に単量体(A)とオニウムカチオン及び/又はアンモニアとの反応物を重合して得られるものである。単量体の反応し易さの観点から、好ましくは前者である。
【0008】
本発明において、重合体(X)の構成単位である炭素数5〜10のエチレン性不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物としては、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキル(アルキル基の炭素数1〜9)エステル、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、ケイ皮酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を意味し、(メタ)アクリル・・はメタクリル・・・及び/又はアクリル・・・を意味する。以下同様に記載する。
単量体(A)の中で、重合性の観点から、(メタ)アクリル酸、フマル酸及びイタコン酸が好ましく、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
【0009】
本発明において、重合体(X)の構成単位としては、単量体(A)以外のラジカル反応性単量体(E)を用いて、(A)と共重合させても良い。
【0010】
ラジカル反応性単量体(E)としては、水酸基含有ラジカル重合性単量体(E−1)、アミド基含有ラジカル重合性単量体(E−2)、3級アミノ基含有ラジカル重合性単量体(E−3)、エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(E−4)、スルホン酸基含有ラジカル重合性単量体(E−5)、リン酸基含有ラジカル重合性単量体(E−6)、その他ラジカル重合性単量体(E−7)が挙げられる。
【0011】
(E−1)としては、アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重量平均分子量(以下Mwと略す):100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mw:100〜4,000)モノ(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E−2)としては、(メタ)アクリルアミド及びN−アルキル(炭素数1〜3)置換(メタ)アクリルアミド(N−メチルアクリルアミド及びN、N−ジメチルアクリルアミド等)等が挙げられる。
(E−3)としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(E−4)としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E−5)としては、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸及びスチレンスルホン酸等)、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸[(メタ)アクリル酸スルホエチル及びメタ)アクリル酸スルホプロピル等]及び(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸[2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]等が挙げられる。
(E−6)としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイルロキシエチルホスフェート等]等が挙げられる。
(E−7)としては、4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0012】
上記のラジカル反応性単量体(E)のうち、重合性の観点から、アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシルアルキルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mw:100〜4000)モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド(N−メチルアクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド)、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸が好ましく、さらに好ましくは、(メタ)アクリルアミド及びアルキル基の炭素数が2〜3のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートである。これらの単量体(E)は、単独で使用しても良いし、必要であれば2種以上併用しても良い。ここで、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド及び/又はメタアクリルアミドを意味し、・・・酸(塩)は、・・・酸及び/又は・・・酸塩を意味し、以下同様に記載する。
【0013】
本発明においてオニウムカチオンとしては、第4級アンモニウムカチオン(I)、3級スルホニウムカチオン(II)、第4級ホスホニウムカチオン(III)及び3級オキソニウムカチオン(IV)からなる群から選ばれる1種又は2種以上のカチオンが挙げられる。
第4級アンモニウムカチオン(I)としては、下記(I−1)〜(I−11)が挙げられる(以下カチオンの言葉は省略)。
(I−1)炭素数4〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第4級アンモニウム;
テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルアンモニウム、エチルメチルジプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム等;
【0014】
(I−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族第4級アンモニウム;
トリメチルフェニルアンモニウム、ジメチルエチルフェニルアンモニウム及びトリエチルフェニルアンモニウム等;
【0015】
(I−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式第4級アンモニウム;
N,N−ジメチルピロジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロジニウム、N,Nジメチルモルホリニウム、N−エチル−N−メチルモルホリニウム、N,Nジエチルモルホリニウム、N,Nジメチルピペリジニウム及びN,N−ジエチルピペリジニウム等;
【0016】
(I−4)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム;
1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム,4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシ−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム及び3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム等;
【0017】
(I−5)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリウム;
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−カルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、N,N’−ジメチルベンゾイミダゾゾリム、N,N’−ジエチルベンゾイミダゾゾリム及びN−メチル−N’−エチルベンゾイミダゾリウム等;
【0018】
(I−6)炭素数4〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム;
1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチルテトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム及び4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等;
【0019】
(I−7)炭素数4〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム;
1,3−ジメチル−2,4−もしくは−2,6−ジヒドロピリミジニウム[これらを1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。]、1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカンジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム及び2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム等;
【0020】
(I−8)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、2−ジメチル−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルイミダゾリニウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等;
【0021】
(I−9)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド−[1,2a]イミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−アセチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチルイミダゾリウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム等;
【0022】
(I−10)炭素数4〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2,3,4,6−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等;
【0023】
(I−11)炭素数4〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,6,7,8−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム及び2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム等;
【0024】
3級スルホニウムカチオン(II)としては、下記(II−1)〜(II−3)が挙げられる。
(II−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族3級スルホニウム;
トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、エチルジメチルスルホニウム及びジエチルメチルスルホニウム等;
(II−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族3級スルホニウム;
フェニルジメチルスルホニウム、フェニルエチルメチルスルホニウム及びフェニルメチルベンジルスルホニウム等;
(II−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式3級スルホニウム;
メチルチオラニウム及びフェニルチオラニウム等;
【0025】
第4級ホスホニウムカチオン(III)としては、下記(III−1)〜(III−3)が挙げられる。
(III−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第4級ホスホニウム;
テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、メチルトリエチルホスホニウム、メチルトリプロピルホスホニウム、メチルトリブチルホスホニウム、ジメチルジエチルホスホニウム、ジメチルジプロピルホスホニウム、ジメチルジブチルホスホニウム、トリメチルエチルホスホニウム、トリメチルプロピルホスホニウム及びトリメチルブチルホスホニウム等;
(III−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族4級ホスホニウム;
トリフェニルメチルホスホニウム、ジフェニルジメチルホスホニウム及びトリフェニルベンジルホスホニウム等;
(III−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式4級ホスホニウム;
【0026】
3級オキソニウムカチオン(IV)としては、下記(IV−1)〜(IV−3)が挙げられる。
(IV−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族3級オキソニウム;
トリメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、エチルジメチルオキソニウム及びジエチルメチルオキソニウム等;
(IV−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族3級オキソニウム;
フェニルジメチルオキソニウム、フェニルエチルメチルオキソニウム及びフェニルメチルベンジルオキソニウム等;
(IV−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式3級オキソニウム;
メチルオキソラニウム及びフェニルオキソラニウム等;
【0027】
これらの中で、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、(I)が好ましく、更に好ましいものは(I−1)、(I−4)及び(I−5)であり、特に好ましいのは(I−4)及び(I−5)である。
これらオニウムカチオンは、1種又は2種以上を併用しても良い。
【0028】
重合体(X)は、上記単量体(A)及び必要によりラジカル反応性単量体(E)を、溶媒の存在下又は不存在下、熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合することにより得ることが出来る。重合は例えば0〜200℃で常圧下又は加圧下にて行われる。
熱ラジカル重合の場合はアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)及び必要により増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が重合開始剤として使用できる。得られた(共)重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままで使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。
【0029】
生成した重合体(X)の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載する)で測定される)は、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、好ましくは2,000〜5,000,000であり、より好ましくは3,000〜3,000,000である。
【0030】
重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応による反応生成物(C)は、重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応させることにより得られる。
【0031】
重合体(X)とオニウムカチオンとの反応は種々の方法を採用することができるが、重合体(X)の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてオニウムカチオン含有化合物を溶媒中に添加しながら接触させる方法あるいは重合体(X)の粉末をオニウムカチオン含有化合物の溶剤溶液に溶解する方法等が好ましく採用される。なお反応の際に使用するオニウムカチオン含有化合物は、オニウムカチオンの水酸化物及びオニウムカチオンの炭酸塩等が使用できる。
【0032】
重合体(X)とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、重合体(X)の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法あるいは重合体(X)の粉末をアンモニア水に溶解する方法等が好ましく採用される。
【0033】
重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニアとの反応は、オニウムカチオン単独、オニウムカチオンとアンモニアの併用及びアンモニア単独のいずれであっても良い。
【0034】
反応生成物(C)は、単量体(A)をオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとを反応させて得られた反応物を重合して得ることもできる。
単量体(A)をオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応は上記と同様の方法で行うことができ、得られた反応物の重合も上記と同様の方法で行うことができる。
【0035】
オニウムカチオン単独もしくはオニウムカチオンとアンモニアの併用と重合体(X)との反応による反応生成物(C)の場合には、反応生成物(C)において、反応しているオニウムカチオン及びアンモニアの合計量は、重合体(X)に含まれる全カルボキシル基(カルボン酸無水物基に由来するカルボキシル基も含む)1モルに対して、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、0.3〜1モルが好ましく、より好ましくは0.3〜0.75モル、特に好ましくは0.3〜0.65モルである。
【0036】
アンモニア単独と重合体(X)との反応による反応生成物(C)の場合には、反応生成物(C)において、反応しているアンモニアの量は、重合体(X)に含まれる全カルボキシル基(カルボン酸無水物基に由来するカルボキシル基も含む)1モルに対して、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、0.3〜1モルが好ましく、より好ましくは0.3〜0.75、特に好ましくは0.3〜0.65モルである。
【0037】
反応生成物(C)の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、5〜100,000mPa・sが好ましく、より好ましくは10〜10,000mPa・sであり、特に好ましくは15〜5,000mPa・sである。
【0038】
本発明において架橋剤(B1)は多価エポキシ基含有化合物であり、分子内に2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ基含有化合物であれば限定はないが、水系ゲルの保形性及び強度の観点から、分子内に含有するエポキシ基の数は3個以上が好ましく、さらに好ましくは3〜8個、特に好ましくは3〜6個である。(B1)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは85〜400g/eqであり、さらに好ましくは85〜300g/eqである。エポキシ当量が400g/eq以下であると、架橋構造がルーズにならずゲルの保形生が良好であり、一方、エポキシ当量が85g/eq以上であるとゲルの保形性がさらに良好な架橋構造となるため好ましい。
(B1)の例としては、下記(B11)から(B15)が挙げられる。
【0039】
(B11)グリシジルエーテル型エポキシ化合物
(i)2価フェノールのジグリシジルエーテル
炭素数6〜30の2価フェノールのジグリシジルエーテル、例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテル、ビスフェノールAEジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル及びビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル;
【0040】
(ii)3〜6価又はそれ以上の、多価フェノールのポリグリシジルエーテル
炭素数6〜50又はそれ以上で、3〜6価又はそれ以上の多価フェノールのポリグリシジルエーテル、例えば、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tert−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール樹脂又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド又はホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル;
【0041】
(iii)脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル
炭素数2〜60のジオールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル及びビスフェノールAのアルキレンオキシド〔エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド(1〜20モル)〕付加物のジグリシジルエーテル;
(vi)3〜6価又はそれ以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル
炭素数3〜50又はそれ以上で、3〜6価又はそれ以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル及びポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル;
【0042】
(B12)グリシジルエステル型エポキシ化合物
(i)炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜6価又はそれ以上の芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステル(なお、カルボン酸の炭素は炭素数に含めない)
芳香族ポリカルボン酸、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル及びトリメリット酸トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル;
(ii)炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜6価又はそれ以上の脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステル(なお、カルボン酸の炭素は炭素数に含めない)
脂肪族又は脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステル、例えば、上記芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステルの芳香核水添化物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体(重合度は例えば2〜10)、トリカルバリル酸トリグリシジルエステル;
【0043】
(B13)グリシジルアミン型エポキシ化合物
(i)炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ芳香族アミンのグリシジルアミン
芳香族アミンのグリシジルアミン、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン及びN,N,O−トリグリシジルアミノフェノール;
(ii)炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ脂肪族アミンのグリシジルアミン
脂肪族アミンのグリシジルアミン、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン;
(iii)炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ脂環式アミンのグリシジルアミン
脂環式アミンのグリシジルアミン、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化合物;
(iv)炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ複素環式アミンのグリシジルアミン
複素環式アミンのグリシジルアミン、例えば、トリスグリシジルメラミン;
【0044】
(B14)鎖状脂肪族エポキサイド
炭素数6〜50又はそれ以上で2〜6価又はそれ以上の鎖状脂肪族エポキサイド、例えばエポキシ当量85〜400g/eqのエポキシ化ポリブタジエン及びエポキシ化大豆油;
【0045】
(B15)脂環式エポキサイド
炭素数6〜50又はそれ以上で、エポキシ基の数2〜4又はそれ以上の脂環式エポキサイド、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、前記フェノールのエポキシ化合物の芳香核水添化物
【0046】
なお(B11)〜(B15)以外のものでも、活性水素と反応可能なエポキシ基をもつエポキシ化合物であれば使用できる。また、これらのエポキシ化合物は、二種以上併用できる。
【0047】
これら(B1)のうち、水系ゲルの保形性及び強度の観点から、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(B11)及びグリシジルエステル型エポキシ化合物(B12)が好ましく、特に好ましいのは(B11)である。
【0048】
また、水性液ゲルの透明性に優れるという観点から、架橋剤(B1)としては水溶性であるエポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレートなど)が好ましい。水溶性の(B1)とは、25℃にて水90gにエポキシ化合物10gを攪拌下混合し、水溶率が50重量%以上であるものをいう。
【0049】
本発明のゲル化剤において、架橋剤(B1)が水溶性又は水分散性である場合には、そのままで反応生成物(C)と混合することができる。
【0050】
一方、架橋剤(B1)が非水溶性又は水に非分散性の場合の混合方法としては、乳化剤を予め架橋剤(B1)に添加してから、もしくは添加しながら、攪拌下徐々に水を投入する方法;乳化剤を予め架橋剤(B1)に添加してから、もしくは添加しながら、反応生成物(C)と混合する方法が挙げられる。この場合、乳化剤の一部もしくは全てを予め反応生成物(C)に添加しておいてもよい。
【0051】
使用できる乳化剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の界面活性剤、高分子型乳化分散剤、並びにこれらの2種以上の併用が含まれ、例えば米国特許第3929678号及び米国特許第4331447号明細書に記載のものが挙げられる。
【0052】
アニオン性界面活性剤には、C8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸及びその塩、C8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩、C8〜24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩、C8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩並びにC8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩及びC8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩等;ノニオン性界面活性剤には、脂肪族アルコール(C8〜24)AO(C2〜8)付加物(重合度1〜100)、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(C8〜24)エステル、脂肪酸(C8〜24)アルカノールアミド、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8、重合度1〜100)アルキル(C1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8、重合度1〜100)アルキル(C8〜24)アミン及びアルキル(C8〜24)ジアルキル(C1〜6)アミンオキシド等;カチオン性界面活性剤には、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型等;両性界面活性剤には、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0053】
高分子型乳化分散剤としては、ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダなどのカルボキシル基含有(共)重合体で数平均分子量が1,000〜50,000のもの、及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型分散剤など[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]が使用できる。
【0054】
これらの乳化剤のうちで水系ゲルの透明性に優れるという観点から、ノニオン性界面活性剤及び高分子型乳化分散剤が好ましく、特に好ましくは、上記公報に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型乳化分散剤である。
乳化剤の添加量は、水系ゲルの透明性に優れるという観点から、架橋剤(B1)の重量に基づいて、5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量%である。
【0055】
本発明において架橋剤(B2)は多価オキサゾリン基含有化合物であり、分子内に2個以上のオキサゾリン基を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド及びビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィドや、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の不飽和オキサゾリンと他の不飽和化合物の重合により得られる水系樹脂等が挙げられ、反応生成物(C)及び/又は水性液(D)に対する相溶性の観点から、水系樹脂が好ましい。水系樹脂とは、水へ溶解できる又は水に分散できる樹脂の意味である。
水系樹脂は、アクリル系の主鎖を有することが好ましく、具体的には4,5−ジヒドロ−2−(イソプロペニル)−1,3−オキサゾ−ル・エチル=アクリラ−ト・メチル=メタクリラ−ト共重合物等が挙げられる。
【0056】
(B2)は、水系樹脂を溶液として用いる、又は水系樹脂をエマルジョンとして用いることが、反応生成物(C)及び/又は水性液(D)に対する相溶性に優れる観点から好ましい。
水系樹脂は、予め適当な溶剤に溶解させて溶液として用いることができ、溶剤としては、具体的には、水及び1−メトキシ−2−プロパノール等の水溶性溶媒が好適に挙げられる。このとき、溶液の固形分が5〜30重量%であることが好ましい。
水系樹脂をエマルジョンとして用いる場合は、エマルジョンの固形分が、10〜60重量%であることが好ましい。
【0057】
水系樹脂、水系樹脂の溶液及び水系樹脂のエマルジョンは公知の方法により製造でき、市販品を用いてもよい。
水系樹脂の市販品としては、エポクロスWS−300、エポクロスWS−500及びエポクロスWS−700(いずれも日本触媒社製)等が挙げられる。水系樹脂のエマルジョンとしては、エポクロスK−1010E、エポクロスK−1020E、エポクロスK−1030E、エポクロスK−2010E、エポクロスK−2020E及びエポクロスK−2030E(いずれも日本触媒社製)等が挙げられる。
【0058】
本発明において架橋剤(B3)は多価カルボジイミド基含有化合物であり、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、カルボジイミド基を分子中に2個以上有するトリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミド等を水に分散した水系樹脂が挙げられ、反応生成物(C)及び/又は水性液(D)に対する相溶性の観点から水系樹脂が好ましい。水系樹脂とは、水へ溶解できる又は水に分散できる樹脂の意味である。
【0059】
(B3)は、水系樹脂を溶液として用いる、又は水系樹脂をエマルジョンとして用いることが、反応生成物(C)及び/又は水性液(D)に対する相溶性に優れる観点から好ましい。
水系樹脂は、予め適当な溶剤に溶解させて溶液として用いることができ、溶剤としては、具体的には、水及び1−メトキシ−2−プロパノール等の水溶性溶媒が好適に挙げられる。このとき、溶液の固形分が5〜30重量%であることが好ましい。
水系樹脂をエマルジョンとして用いる場合は、エマルジョンの固形分が、10〜60重量%であることが好ましい。
【0060】
水系樹脂、水系樹脂の溶液及び水系樹脂のエマルジョンは公知の方法により製造でき、市販品を用いてもよい。
水系樹脂の市販品としては、カルボジライトSV−02、カルボジライトV−02、カルボジライトV−02−L2及びカルボジライトV−04(いずれも日清紡績社製)等が挙げられる。
水系樹脂のエマルジョンとしては、UCARLNK Croslinker XL−29SE(ユニオンカーバイド社製)、カルボジライトE−01、カルボジライトE−02、カルボジライトE−03及びカルボジライトE−04(いずれも日清紡績社製)等が挙げられる。
【0061】
本発明において架橋剤(B4)は多価アジリジン基含有化合物であり、分子内に2個以上のアジリジン基を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2−ビスハイドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕及び2,4,6−トリス(1’−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0062】
本発明の水性液(D)用のゲル化剤に用いられる架橋剤は、(B1)〜(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの架橋剤を含有していれば特に限定されず、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、カルボキシル基と比較的低温で反応する点から多価オキサゾリン基含有化合物(B2)が好ましい。
【0063】
架橋剤(B1)〜(B4)の合計含有量は、ゲル化剤の重量を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、0.5〜25.9重量%が好ましく、さらに好ましくは0.83〜25.0重量%、特に好ましくは1.48〜23.1重量%である。又、水性液ゲル中の架橋剤(B1)〜(B4)の合計含有量は、ゲル強度、水性液ゲルの美観(ゲルから水分や揮発成分が飛散した後の残存架橋剤の量が多くなり残存するゲルの美観が悪くなる)及び残存架橋剤の臭気の観点から、0.1〜7.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.15〜5.0重量%、特に好ましくは0.3〜3.0重量%である。
【0064】
反応生成物(C)の含有量は、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、ゲル化剤の重量を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲルの強度の観点から、74.1〜99.5重量%が好ましく、さらに好ましくは75.0〜99.17重量%、特に好ましくは76.9〜98.52重量%である。又、水性液ゲル中の反応生成物(C)の含有量は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲルの強度、ゲルの臭気抑制の観点から、2.0〜20.0重量%が好ましく、さらに好ましくは4.0〜15.0重量%、特に好ましくは5.0〜12.0重量%である。
【0065】
本発明のゲル化剤におけるゲル化剤の重量を基準とする(B1)〜(B4)の合計含有量とゲル化剤の重量を基準とする(C)の含有量の比{(B1)〜(B4)の合計含有量/(C)の含有量}は、水性液ゲルの保形性に優れるという観点から、0.005〜0.35が好ましく、さらに好ましくは0.0375〜0.30、特に好ましくは0.04〜0.25である。
【0066】
水性液(D)としては、水単独、水に混合可能な水溶性化合物単独及び水に混合可能な水溶性化合物と水との混合物のことであり、水性液ゲルの透明性に優れるという観点から、反応生成物(C)及び使用する架橋剤の何れもが溶解できるものが好ましい。水に混合可能な水溶性化合物としては、水溶性アルコール、水溶性エーテル、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。水溶性アルコールとしては、炭素数1〜6で、価数が1〜5の脂肪族アルコールが好ましく挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が好ましく挙げられる。水溶性エーテルとしては、具体的に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)を可溶化させる観点から、メタノール、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0067】
水性液(D)において、水溶性化合物と水の重量比(水溶性化合物の重量/水の重量)は、反応生成物(C)及び使用する架橋剤の何れもが溶解できる水性液となる重量比が好ましく、疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)の溶解のし易さ及びゲル化後の疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)の香りを阻害しない観点から、0/100〜100/0が好ましく、より好ましくは10/90〜99/1、次に好ましくは30/70〜98.5/1.5、特に好ましくは50/50〜95/5である。
【0068】
本発明のゲル化剤の使用方法としては、ゲル化剤と水性液(D)を使用して、公知の方法(特開2000−192011号公報等)と同様の方法が用いられ、具体的には(i)(C)と(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤と(D)とを直接混合した後、反応させる方法、(ii)(C)の水性液(D)溶液に(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を混合した後、反応させる方法、(iii)(C)に(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤の水性液(D)溶液を混合した後、反応させる方法、(iv)(C)の水性液(D)溶液、並びに(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤の水性液(D)溶液をそれぞれ予め調整した後、両者を混合し、反応させる方法等で水性液ゲルを作成することができる。均一なゲルを得やすい観点から、好ましいゲル化剤の使用方法は(iv)である。
【0069】
水性液ゲルとしては、反応生成物(C)、(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤及び水性液(D)の他に、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)や他の添加剤等を混合しゲル化させることが出来る。他の添加剤としては水溶性又は水不溶性であれ特に制限はないが、溶剤(アルコール、アセトンなど)、顔料、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、界面活性剤及び防腐剤等が挙げられる。目的に応じこれらの配合物の任意の濃度のものが使用出来る。水性液に不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、水性液ゲルの透明性の観点から、水不溶性のものは水性液ゲルの透過率が70%以上になる様に少なく配合することが好ましい。
【0070】
本発明において、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)としては、消臭性、芳香性又は消臭兼芳香性を有する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。
消臭性を有する物質としては、イネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質及び酸又はアルカリ性の水性液等が挙げられる。これらのものを水又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液として使用することもできる。
芳香性を有する物質としては、例えば天然香料や合成香料が挙げられる。これらは水溶性のものであればその水溶液として使用することができ、非水溶性のものであれば水と乳化剤及び必要により溶剤などからなる水性エマルジョン又は水性液として使用することができる。ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
【0071】
天然香料としては、じゃ香、霊猫香及び竜挺香等の動物性香料、アビエス油、アジヨクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ベージル油、ベルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブテ油、カナンガ油、カブシカム、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュベブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーリカ油、フエンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロベージ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はっか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油及びワニラ豆エキストラクト等の植物性香料等が含まれる。
【0072】
合成香料としては、ピネン、リモネンなどの炭化水素、リナロール、ゲラニオール、シトロネオール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール、アネノール及びオイゲノール等のフェノール、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデフド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン及びワニリン等のアルデヒド、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリン、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、P−メチルアセトフェノン及び、イオノン等のケトン、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン又はオキシド、メチルフオーメート、イソプロピルフオーメート、リナリールフオーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ベラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリル酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチン酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルビルベート及びエチルα−ブチルブチレート等のエステル等が含まれる。
【0073】
消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調合物質でもよい。
【0074】
上述した消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)とともに、バッチュリ油などの揮発保留剤、オイゲノールなどの変調剤、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル及びプロピレングリコールアルキルエーテル等の可溶化溶剤又は揮散調整剤並びにその他香料工業に使用される種々の成分を添加しても差し支えない。
【0075】
消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)の使用量は、その種類により多少異なるが消臭性能及び/又は香りの持続性の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、0.1〜15重量%が好ましい。
【0076】
本発明において消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)単独又は(F)の水性液には、必要により他の添加物を配合することができる。この添加物としては、例えば顔料(蛍光性顔料や蓄光顔料を含む)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤、界面活性剤、アルコール、充填剤及び増量剤などが挙げられる。
【0077】
本発明の水性液ゲルの製造方法は、例えば(i)(C)と(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤と(D)を直接混合した後、反応させる方法、(ii)(C)の水性液(D)溶液に(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を混合した後、反応させる方法、(iii)(C)に(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤の水性液(D)溶液を混合した後、反応させる方法、(iv)(C)の水性液(D)溶液、(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤の水性液(D)溶液をそれぞれ予め調整した後、両者を混合した後、反応させる方法等があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は(iv)である。
【0078】
(C)と(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤との反応が進むと反応系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。(C)と(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤とを反応する際の温度及び反応時間は特に限定はないが、水性液が揮散せず、且つ架橋反応のし易さの観点から、反応温度としては、5〜60℃が好ましく、さらに好ましくは15〜58℃、次にさらに好ましくは20〜55℃、特に好ましくは30〜50℃である。
反応時間としては、5〜39℃で反応させる場合は、半日から10日間で反応が完結し、40〜60℃で反応させる場合には数時間〜1日間を要する。
【0079】
本発明の製造方法により、透明性の大きな水性液ゲルが得られる。水性液ゲルの透明性は透過率(%)で測定が出来る。水性液ゲルの透過率(%)は水性液ゲルの美観及びインテリア性の観点(特に、消臭剤及び/又は芳香剤として使用した場合)から、70〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜100、特に好ましくは80〜100である。
【0080】
なお、水性液ゲルの透過率(%)は、下記測定方法により測定される。
(透過率の測定法)
密栓付きの10mm厚のガラス製セル中に架橋前の水性液ゲルを仕込み密閉とし、50℃で24時間架橋反応させて水性液ゲルを作成する。更に25℃で6時間温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定する。
【0081】
本発明の水性液ゲル及び本発明の製造方法により得られる水性液ゲルは、消臭及び/又は芳香剤に広く用いることができる。
【実施例】
【0082】
以下製造例、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を表す。
【0083】
製造例1 反応生成物(C1)の調整
ポリアクリル酸250,000(7.4部)にエタノール(71.1部)、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(21.5部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解した。このようにして得られた水溶液を、減圧乾燥機を用いて乾燥温度80℃、減圧度−100kPaで3時間乾燥した後、クッキングミキサーで粉砕して体積平均粒径350μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)、オニウムカチオン中和率49.2モル%の反応生成物(C1)を得た。なお、中和率はカルボン酸及び酸無水物由来のカルボキシル基を含むカルボキシル基全てに対する比率であり、以下の製造例、実施例及び比較例においても同様である。
なお、ポリアクリル酸250,000は下記のものを用いた。
ポリアクリル酸250,000:ポリアクリル酸、平均分子量 約250,000、和光純薬工業社製。
【0084】
製造例2 重合体(X1)、反応生成物(C2)の調整
5リットルのビーカーに、アクリル酸504g(7mol)、50%アクリルアミド水溶液426g(3mol)及び水1950gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合層に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、35%の過酸化水素水0.0005g、L−アスコルビン酸0.00025g及び4,4‘−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.125gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物が得られた。このゲルを、ミートチョッパーで細分化した後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて120℃で1時間乾燥し、粉砕して平均粒径350ミクロンの重合体(X1)を得た。
製造例1において、ポリアクリル酸250,000に代えて重合体(X1)、エタノール(71.1部)に代えて77.5部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(21.5部)に代えて15.1部を用いた以外は同様にして、オニウムカチオン中和率49.2モル%の反応生成物(C2)を得た。
【0085】
製造例3 反応生成物(C3)の調整
製造例1において、ポリアクリル酸250,000に代えて重合体(X1)、エタノール(71.1部)に代えて83.4部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(21.5部)に代えて9.2部を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率30.0モル%の反応生成物(C3)を得た。
【0086】
製造例4 反応生成物(C4)の調整
製造例1において、ポリアクリル酸250,000に代えて重合体(X1)、エタノール(71.1部)に代えて61.9部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(21.5部)に代えて30.7部を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率100.0モル%の反応生成物(C4)を得た。
【0087】
製造例5 反応生成物(C5)の調整
製造例1において、エタノール(71.1部)に代えて81.1部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(21.5部)に代えて、TEAH−40W(11.5部)を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率30.4モル%の反応生成物(C5)を得た。
なお、TEAH-40Wは下記のものを用いた。
TEAH-40W:テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(分子量:147)の40%水溶液、ライオン・アクゾ社製。
【0088】
製造例6 反応生成物(C6)の調整
ポリアクリル酸250,000(7.4部)にエタノール(80.0部)、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(11.0部)、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(1.56部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解した。このようにして得られた水溶液を、減圧乾燥機を用いて乾燥温度80℃、減圧度−100kPaで3時間乾燥した後、クッキングミキサーで粉砕して体積平均粒径350μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)、オニウムカチオン中和率25.2モル%、アンモニア中和率25.0モル%の反応生成物(C6)を得た。
【0089】
製造例7 反応生成物(C7)の調整
製造例6において、ポリアクリル酸250,000(7.4部)に代えて重合体(X1)、エタノール(80.0部)に代えて83.8部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(11.0部)に代えて7.7部、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(1.56部)に代えて1.10部を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率25.1モル%、アンモニア中和率25.1モル%の反応生成物(C7)を得た。
【0090】
製造例8 反応生成物(C8)の調整
製造例6において、エタノール(80.0部)に代えて63.9部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(11.0部)に代えて26.2部、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(1.56部)に代えて2.50部を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率60.0モル%、アンモニア中和率40.0モル%の反応生成物(C8)を得た。
【0091】
製造例9 反応生成物(C9)の調整
製造例6において、エタノール(80.0部)に代えて52.7部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(11.0部)に代えて39.3部、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(1.56部)に代えて0.63部を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率90.0モル%、アンモニア中和率10.0モル%の反応生成物(C9)を得た。
【0092】
製造例10 反応生成物(C10)の調整
製造例6において、エタノール(80.0部)に代えて80.3部、1,2,3,4−テトラメチレンイミダゾリニウム・モノメチル炭酸塩(分子量:204)の48%メタノール溶液(11.0部)に代えて1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・モノメチル炭酸塩(分子量:187)の45%メタノール溶液(10.7部)を用いた以外は同様な方法によりオニウムカチオン中和率25.1モル%、アンモニア中和率25.0モル%の反応生成物(C10)を得た。
【0093】
製造例11 反応生成物(C11)の調整
ポリアクリル酸250,000(7.4部)にイオン交換水(90.7部)、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(1.9部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解した。このようにして得られた水溶液を、減圧乾燥機を用いて乾燥温度80℃、減圧度−100kPaで3時間乾燥した後、クッキングミキサーで粉砕して体積平均粒径350μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)、アンモニア中和率30.4モル%の反応生成物(C11)を得た。
【0094】
製造例12 反応生成物(C12)の調整
製造例11において、ポリアクリル酸250,000代えて重合体(X1)、イオン交換水(90.7部)に代えて90.4部、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(1.9部)に代えて2.2部を用いた以外は同様な方法によりアンモニア中和率50.2モル%の反応生成物(C12)を得た。
【0095】
製造例13 反応生成物の水性液溶液(C13)の調整
重合体(X1)(10.0部)にTEAH−40W(9.0部)、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.6部)、イオン交換水(124.2部)及びエタノール(14.5部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解し、オニウムカチオン中和率25.0モル%、アンモニア中和率10.0モル%の反応生成物の水性液溶液(C13)を得た。
【0096】
製造例14 水性液(D1)の調整
イオン交換水(60部)にエタノール(40部)を加えて均一で透明な水性液(D1)を調整した。
【0097】
製造例15 水性液(D2)の調整
イオン交換水(90部)にプロピレングリコールモノメチルエーテル(10部)を加えて均一で透明な水性液(D2)を調整した。
【0098】
製造例16 水性液(D3)の調整
消臭性を有する物質としてエポリオンSK−500(5部)にイオン交換水(85.2部)とエタノール(9.8部)を加え均一に溶解し、水性液(D3)を調整した。
なお、エポリオンSK−500は下記のものを用いた。
エポリオンSK−500:ベタイン化合物、アルコールアミン、有機酸塩化合物及びリン酸の混合物の水溶液(純分40%)、新エポリオン社製
【0099】
製造例17 水性液(D4)の調整
フローラル系香料(0.5部)にノニポール120(0.5部)、エタノール(9.9部)及びイオン交換水(89.1部)を加え均一に溶解し、水性液(D4)を調整した。
なお、フローラル系香料及びノニポール120は下記のものを用いた。
フローラル系香料:品名”ラベンダー”、品番”OFR−2321”、長谷川香料社製
ノニポール120:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系非イオン界面活性剤、三洋化成工業(株)製
【0100】
実施例1 水性液ゲル(G1)の調整
製造例1で調製したC1(5.0部)に製造例14で調製したD1(94.7部)を加え25℃で30分間攪拌して均一に溶解した後、さらに多価エポキシ基含有化合物(B1−1)としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(0.3部)を加え、25℃で30分間攪拌して均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G1)を得た。本水性液ゲル(G1)は、反応生成物(C)の量5.0%、多価エポキシ含有化合物(B1−1)の量0.3%、多価エポキシ含有化合物(B1−1)/反応生成物(C)比0.06、及びエタノール/水の比率40/60であった。
【0101】
実施例2 水性液ゲル(G2)の調整
製造例5で調整したC5(5.0部)にエタノール(92.0部)を加え25℃で30分間攪拌して均一に溶解した後、さらに多価オキサゾリン基含有化合物(B2−1)としてエポクロスWS−300(3.0部)を加え、25℃で30分間攪拌して均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(E2)を得た。本水性液ゲル(G2)は、反応生成物(C)の量5.0%、多価オキサゾリン基含有化合物(B2−1)の量0.3%、多価オキサゾリン基含有化合物(B2−1)/反応生成物(C)比0.06、及びエタノール/水の比率97.1/2.9であった。
なお、エポクロスWS−300は下記のものを用いた。
エポクロスWS−300:オキサゾリン基含有ポリマー(3官能)の水溶液、固形分10%、日本触媒社製
【0102】
実施例3 水性液ゲル(G3)の調整
製造例2で調整したC2(5.0部)にイオン交換水(94.37部)を加え25℃で30分間攪拌して均一に溶解した後、さらに多価カルボジイミド基含有化合物(B3−1)としてカルボジライトSV−02(0.63部)を加え、25℃で30分間攪拌して均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G2)を得た。本水性液ゲル(G2)は、反応生成物(C)の量5.0%、多価カルボジイミド基含有化合物(B3−1)の量0.25%、多価カルボジイミド基含有化合物(B3)/反応生成物(C)比0.05、及びエタノール/水の比率0/100であった。
なお、カルボジライトSV−02は下記のものを用いた。
カルボジライトSV−02:多価カルボジイミド基含有化合物の水溶液、固形分40%、日清紡績社製
【0103】
実施例4 水性液ゲル(G4)の調整
製造例5で調整したC5(5.0部)にエタノール(94.9部)を加え25℃で30分間攪拌して均一に溶解した後、さらに多価アジリジン基含有化合物(B4−1)として2,2−ビスハイドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕(0.1部)を加え、25℃で30分間攪拌して均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を50℃恒温槽で24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(G4)を得た。本水性液ゲル(G4)は、反応生成物(C)の量5.0%、多価アジリジン含有化合物(B4−1)の量0.1%、多価アジリジン含有化合物(B4−1)/反応生成物(C)比0.02、及びエタノール/水の比率100/0であった。
【0104】
実施例5及び実施例11〜14
実施例2において、仕込み量を表1及び表2に示す値にした以外は、実施例2と同様にして、水性ゲル(G6)及び(G11)〜(G14)を得た。水性ゲル(G6)及び(G11)〜(G14)の(1)水性液ゲル中の反応生成物(C)の量、(2)水性液ゲル中の架橋剤(B1)〜(B4)の合計量、(3)[(B1)〜(B4)]/(C)の比、(4)アルコール/水の比を表1及び表2に示した。
【0105】
実施例6〜10及び実施例15〜17
実施例1において、仕込み量を表1及び表2に示す値にした以外は、実施例1と同様にして、水性ゲル(G6)〜(G10)及び(G15)〜(G17)を得た。水性ゲル(G6)〜(G10)及び(E15)〜(E17)の(1)水性液ゲル中の反応生成物(C)の量、(2)水性液ゲル中の架橋剤(B1)〜(B4)の合計量、(3)[(B1)〜(B4)]/(C)の比、(4)アルコール/水の比を表1及び表2に示した。
【0106】
比較例1
特許文献9(特開平1−119258号公報)に準じて、次の様にゲルを作成した。カーボポール980(1.5部)に、製造例14で調整したD1(94.5部)を加え、攪拌しながら沸騰するまで加熱しカーボポール980を溶解させた後、25℃まで冷却し(a)液と得た。製造例17で使用したフローラル系香料(0.5部)に製造例17で使用したノニポール120(0.5部)を加え、攪拌し溶解して、(b)液を得た。トリエタノールアミン(3.0部)を(c)液とした。次に、(b)液と(c)液を混合し、この混合液に(a)液を加えながら混合すると瞬時に透明なゲルが生成した。このゲルを水性ゲル(G18)とした。
なお、カーボポール980は下記のものを用いた。
カーボポール980:カルボキシビニルポリマー、ビーエフグッドリッチ(BF Goodrich)社製
【0107】
比較例2
特許文献12(特開2003−3029号公報)の実施例1に準じて、次の様にジアセトアクリルアミド共重合体変性ポリビニルアルコールを作成した。攪拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコ内に、酢酸ビニル(672部)、ジアセトンアクリルアミド(10部)、及びメタノール(178部)を仕込み、系内の室素置換を行なった後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1部)をメタノール(50部)に溶解した溶液を添加し重合を開始した。重合開始後、5時間かけて、ジアセトンアクリルアミド(55部)をメタノール(35部)に溶解した溶液を一定速度で滴下し、6時間後に冷却し、重合を停止した。重合収率は78%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド共重合体成分を含有する酢酸ビニル系重合体の50%メタノール溶液を得た。この混合物(500部)にメタノール(50部)と水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液(10部)とを加えて良く混合し、40℃で鹸化反応を行なった。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥して、ジアセトンアクリルアミド共重合体変性ポリビニルアルコールを得た。得られたジアセトアクリルアミド共重合変性ビニルアルコール(4部)をイオン交換水(77.4部)に分散させ、90℃に加熱し30分間攪拌を続け完全に溶解させた。次いで、得られた溶液を50℃以下に冷却した後、界面活性剤として、製造例17で使用したノニポール120(0.6部)、エタノール(9.4部)、製造例17で使用したフローラル系香料(0.6部)及び架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド10重量%水溶液(8部)を混合し、水性ゲル状芳香剤用組成物を調整した。続いて、得られた組成物を25℃で二日間放置してゲル化反応させることによって透明な水性ゲル状芳香剤を得た。このゲルを水性ゲル(G19)とした。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
実施例1〜17及び比較例1〜2の評価結果を表3に示す。
【0111】
【表3】

【0112】
評価方法は、以下の通りである。
(1)ゲルの外観(1)
上記に記載した透過率の評価方法に準じて作成したゲルの外観を透過率により次のように評価した。
○…透過率70以上100以下のもの
△…透過率30以上70未満のもの
×…透過率0以上30未満のもの
(2)ゲルの外観(2)
ゲルの外観(1)で使用したゲルを−20℃で16時間冷却させたものを25℃で8時間放置し、上記に記載した透過率の評価方法に準じてゲルの外観を透過率により次のように評価した。
○…透過率70以上100以下のもの
△…透過率30以上70未満
×…透過率0以上30未満のもの
【0113】
(3)透過率
上記に記載した評価法に準じて行った。
(4)低温安定性
直径4cmの円柱状の密栓付き容器に試料50gとり、50℃で24時間反応させて作成したゲルを4℃恒温槽中に1週間放置し、さらに25℃で8時間放置した後、ゲルの表面の分離物をキムワイプ ワイパーS−200で拭き取り、キムワイプの重量増加分により次のように評価した。
○…重量増加分0.10g以下のもの
△…重量増加分0.10gを超えて、0.20g以下のもの
×…離水する重量増加分0.20gを超えるもの
キムワイプ ワイパーS−200:パルプシート、パルプ100%、シートサイズ(120mm×215mm)、日本製紙クレシア社製。
【0114】
(5)ゲルの保形性
直径3.5cm、高さ12cmの円柱状密栓付きガラス製の容器に半量(底面から6cm)のゲルを密栓をして50℃で24時間反応させてゲルを調整し、さらに25℃で6時間放置した。ゲル上部表面に接する位置(A)に印を付けた後、容器を真横に寝かせ、寝かせてから1時間後のゲルの先端からガラス面に垂直に下ろした位置(B)に印を付けた。位置(A)から位置(B)までの距離をゲルの移動距離とし、ゲルの保形性を評価した。
○…ゲルの移動距離が2cm以下のもの
△…ゲルの移動距離が2cmを超えて、4cm以下のもの
×…ゲルの移動距離が4cmを超えて、流動したもの
(6)高温安定性
上記に記載の「ゲルの保形性」評価方法で作成した試料を50℃恒温槽中に72時間放置し、50℃の雰囲気下で容器を真横に寝かせ、寝かせてから1時間後に上記に記載の「ゲルの保形性」評価方法に準じてゲルの移動距離を測定し、高温安定性を次のように評価した。
○…ゲルの移動距離が2cm以下のもの
△…ゲルの移動距離が2cmを超えて、4cm以下のもの
×…ゲルの移動距離が4cmを超え、流動したもの
【0115】
(7)アンモニア臭気の有無
直径3.5cm、高さ12cmの円柱状密栓付きガラス製の容器に半量(底面から6cm)のゲルを密栓をして50℃で24時間反応させてゲルを調整し、さらに25℃で6時間放置した。一般の男女各10名により、ガラス製容器の蓋を開けアンモニア臭気の有無を評価した。
○…アンモニアの臭気を感じた者が2名以下のもの
△…アンモニアの臭気を感じた者が3名〜5名のもの
×…アンモニアの臭気を感じた者が6名以上のもの
【0116】
表3の結果から、実施例1〜17の実施例は、ゲルの外観、透過率、低温安定性、保形性、高温安定性及びアンモニア臭気の有無に優れることが分かる。比較例1,2は、低温でゲルからの離水が発生し、低温安定性が悪かった。又、比較例1は、架橋構造が形成されていないため保形性及び高温安定性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の水性液用ゲル化剤で得られた水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法により得られたゲルは、消臭及び/又は芳香剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数5〜10のエチレン性不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物、フマル酸並びにエチレン性不飽和モノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(A)を必須構成単位とする重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応による反応生成物(C)と、下記架橋剤(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤とを含んでなる水性液(D)用ゲル化剤。
架橋剤(B1):多価エポキシ基含有化合物
架橋剤(B2):多価オキサゾリン基含有化合物
架橋剤(B3):多価カルボジイミド基含有化合物
架橋剤(B4):多価アジリジン基含有化合物
【請求項2】
ゲル化剤の重量を基準として、反応生成物(C)の含有量が74.1〜99.5重量%であり、架橋剤(B1)〜(B4)の合計含有量が0.5〜25.9重量%であり、(B1)〜(B4)の合計含有量と(C)の含有量の比{(B1)〜(B4)の合計含有量/(C)の含有量}が0.005〜0.35である請求項1に記載の水性液用ゲル化剤。
【請求項3】
反応生成物(C)において、反応しているオニウムカチオン及びアンモニウムの合計量が、重合体(X)に含まれる全カルボキシル基(カルボン酸無水物基に由来するカルボキシル基も含む)1モルに対して0.3〜1モルである請求項1又は2に記載の水性液用ゲル化剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性液用ゲル化剤で水性液(D)をゲル化させてなる水性液ゲル。
【請求項5】
透過率が70〜100%である請求項4に記載の水性液ゲル。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性液用ゲル化剤、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(F)並びに水性液(D)を含んでなる消臭及び/又は芳香剤。
【請求項7】
炭素数5〜10のエチレン性不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物、フマル酸並びにエチレン性不飽和モノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(A)を必須構成単位とする重合体(X)とオニウムカチオン及び/又はアンモニウムとの反応による反応生成物(C)、下記架橋剤(B1)〜(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤、並びに水性液(D)を含んでなる組成物を架橋反応させる工程を含む水性液ゲルの製造方法。
架橋剤(B1):多価エポキシ基含有化合物
架橋剤(B2):多価オキサゾリン基含有化合物
架橋剤(B3):多価カルボジイミド基含有化合物
架橋剤(B4):多価アジリジン基含有化合物

【公開番号】特開2011−208129(P2011−208129A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50087(P2011−50087)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】