説明

水性硬化性樹脂組成物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規にして有用なる水性硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、N−アシル環状ウレア基という特定の基を有する重合体をベースとする、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成するという、極めて実用性の高い水性硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】そして、本発明のこうした硬化性樹脂組成物は、塗料用として、あるいは、接着剤用として、さらには、シーリング剤用などとして、各種の分野に利用されるものである。
【0003】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギーならびに環境対策などを目的として、塗料分野を中心に、水性硬化性樹脂組成物の開発が活発に行われている。その一つとして、たとえば、水酸基やアミド基などの、いわゆる活性水素を有する官能基と、酸基ないしは中和された酸基とを併有するビニル系重合体の水分散化物または水溶化物に、硬化剤として、アミノ樹脂やブロックイソシアネート化合物を配合せしめた形の組成物が検討されて、実用化に供されて来てはいる。
【0004】しかしながら、かかる配合物から得られる硬化物は、アミノ樹脂を硬化剤とするものにあっては、耐水性、耐薬品性ならびに耐食性などに劣るし、しかも、厚塗りした場合には、ピンホールを発生し易く、外観にも劣るなどの難点があるし、一方、ブロックイソシアネート化合物を配合するものにあっては、加熱時にブロック剤が揮散するという処から、厚塗りした場合には、ピンホールを発生し易く、外観にも劣るし、しかも、焼き付け炉に“ヤニ”を発生するという難点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者らは、こうした現状に鑑み、上述した如き従来技術における種々の欠点ないしは難点の存在に鑑みて、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成し得るような、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物を求めて、鋭意、研究を開始した。
【0006】したがって、本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成するという、極めて実用性の高い水性硬化性樹脂組成物を提供しようとするにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、架橋用の官能基として、N−アシル環状ウレア基という特定の基を有する重合体をベースとする硬化系のものが、硬化性に優れるものであるし、しかも、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などにも優れる硬化物を与えることを見出し、上述した課題を見事に解決するに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0008】《構成》
すなわち、本発明は、基本的には、それぞれ、一分子中に少なくとも2個の此のN−アシル環状ウレア基、とりわけ、一般式[I]
【0009】
【化2】


[ただし、式中のXは炭素数が1〜5のアルキレン基を表わすものとする。]て示される、特定のN−アシル環状ウレア基と、酸基および/または中和された酸基と、アミノ基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基とを併有するビニル系重合体(C)と、アミノ基、カルボキシル基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する分子量60〜472の化合物(B)とを必須の成分として含有する、
【0010】硬化性に優れるし、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を与える水性硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0011】さらには、上記した各組成物に、硬化触媒(D)をも配合せしめることによって、一段と、硬化性を向上化せしめるようにした形の、水性硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0012】ここにおいて、まず、上記した、N−アシル環状ウレア基と、酸基および/または中和された酸基と、アミノ基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基とを併有するビニル系重合体(C)とは、N−アシル環状ウレア基と、酸基および/または中和された酸基と共に、さらに、此のN−アシル環状ウレア基と反応し得る活性水素を有する官能基として、たとえば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基および/またはアセトアセチル基などをも有するようなビニル系重合体を指称するものである。
【0013】当該重合体(C)として特に代表的なものとしては、アクリル系重合体、芳香族ビニル系重合体、ビニルエステル系重合体またはフルオロオレフィン系重合体の如き、各種のビニル系重合体などである。
【0014】ここにおいて、重合体(C)を調製するには、たとえば、(1)N−アシル環状ウレア基を有する種々のビニル系単量体類と、酸基を有する種々のビニル系単量体類と、アミノ基、水酸基またはアセトアセチル基などを有する単量体類とを共重合せしめるという方法とか、あるいは、(2)N−アシル環状ウレア基と酸基とを併有する種々のビニル系単量体類と、アミノ基、水酸基またはアセトアセチル基などを有する単量体類とを共重合せしめるという方法などを挙げることができる。
【0015】ここにおいて、まず、上掲の(1)なる方法に従って、当該重合体(C)を得る際に使用される、N−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体として特に代表的なものとしては、それぞれ、次のような一般式[II]あるいは[III]で以て示されるような、各種の化合物を挙げることが出来る。
【0016】
C=CR−Y [II]
【0017】[ただし、式中のR1 、R2 およびR3 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、水素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる群から選ばれる基を表わすものとし、また、Yは前掲の一般式[I]で以て示されるようなN−アシル環状ウレア基を表わすものとする。]
【0018】
CH=CH−OCO−(CH−Y [III]
【0019】[ただし、式中のYは、前掲の一般式[I]で以て示されるようなN−アシル環状ウレア基を表わすものとし、また、nは1〜12なる整数であるものとする。]
【0020】そして、まず、此の一般式[II]で示される化合物を具体的に例示するに当たって、当該化合物として特に代表的なものとしては、N−(メタ)アクリロイルエチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルプロピレン尿素、N−(メタ)アクリロイルテトラメチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルペンタメチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルヘキサメチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルヘプタメチレン尿素などをはじめ、
【0021】2−(エチレンウレイドカルバミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(プロピレンウレイドカルバミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(テトラメチレンウレイドカルバミド)エチル(メタ)アクリレート、メチル3−(N−エチレンウレイドカルボニル)アクリレート、ブチル3−(N−エチレンウレイドカルボニル)アクリレート、イソブチル3−(N−プロピレンウレイドカルボニル)メタクリレート類などである。
【0022】次いで、上掲した一般式[III]で示される化合物を具体的に例示するに当たって、当該化合物として特に代表的なものとしては、N−(2−ビニルオキシカルボニルアセチル)エチレン尿素、N−(3−ビニルオキシカルボニルプロパノイル)プロピレン尿素、N−(4−ビニルオキシカルボニルブタノイル)テトラメチレン尿素、N−(5−ビニルオキシカルボニルペンタノイル)テトラメチレン尿素などのような、種々のN−(ω−ビニルオキシカルボニルアルカノイル)アルキレン尿素類などである。
【0023】また、前掲した(1)なる方法で以て重合体(C)を調製するに当たって用いられる、酸基を有するビニル系単量体のうちで、カルボキシル基含有単量体として特に代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0024】あるいは、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチルもしくはフマル酸モノブチルの如き、各種の不飽和ジカルボン酸類と飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類)をはじめ、
【0025】さらには、アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸;あるいは無水コハク酸もしくは無水グルタル酸または無水フタル酸もしくは無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリカルボン酸無水物などと、後掲するような種々の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物などである。
【0026】カルボキシル基以外の酸基を導入するために用いられる、酸基含有ビニル系単量体として特に代表的なものとしては、2−スルフォノオキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくは2−フォスフォノオキシエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のスルホン酸基ないしは燐酸基含有ビニル系単量体などである。
【0027】さらに、前掲した(2)なる方法で以て当該重合体(C)を調製するために用いられる、N−アシル環状ウレア基と酸基とを併有するビニル系単量体としては、次のような一般式[IV]で以て示されるような化合物が挙げられる。
【0028】
C=CR−Y [IV]
【0029】[ただし、式中のR4 、R5 またはR6 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、水素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基およびカルボキシアルキル基よりなる群から選ばれる原子団または基を表わすものとするが、これらのR4 、R5 またはR6のうち、いずれか一つはカルボキシル基またはカルボキシアルキル基であるものとし、またYは前出の通りであるものとする。]
【0030】かかるビニル系単量体として特に代表的なものとしては、エチレン尿素、プロピレン尿素もしくはテトラメチレン尿素の如き、各種のアルキレン尿素化合物と、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種の不飽和ジカルボン酸との1:1付加反応生成物などである。
【0031】さらにまた、当該重合体(C)として、中和された酸基とを併有する重合体(C)を調製するには、たとえば、(3) N−アシル環状ウレア基を有する種々のビニル系単量体と、中和された酸基を有する種々のビニル系単量体とに加えて、アミノ基、水酸基またはアセトアセチル基などを有する単量体類とを共重合せしめるという方法とか、あるいは、(4)予め、(1)または(2)の方法で調製された酸基含有ビニル系重合体中のカルボキシル基を塩基性化合物で以て中和せしめるという方法などが挙げられる。
【0032】ここにおいて、まず、上記(4)なる方法に従って当該重合体(C)中の酸基を中和せしめる際に用いられる塩基性化合物として特に代表的なものとしては、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの如き、各種のアルカリ金属塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムまたは炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸水素カリウムの如き、各種のアルカリ金属の炭酸塩ないしは炭酸水素塩;
【0033】テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロキサイドもしくはトリメチルベンジルアンモニウムハイドロキサイドの如き、各種の4級アンモニウムハイドロキサイド類;またはメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミンもしくはn−ブチルアミンの如き、各種の1級アミン類などをはじめ、
【0034】ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンの如き、各種の2級アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノエタノールもしくは1−ジメチルアミノ−2−プロパノールの如き、各種の3級アミン類;またはアンモニウムハイドロキサイドなどである。
【0035】次いで、前述した(3)なる方法に従って、重合体(C)中に中和された酸基を導入せしめる目的で用いられる、中和された酸基含有ビニル系単量体として特に代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウムまたは(メタ)アクリル酸のトリエチルアミン塩などで代表されるような、前掲した如き、種々のカルボキシル基含有ビニル系単量体類のナトリウム塩、カリウム塩ないしはアミン塩などである。
【0036】当該重合体(C)を調製するに当たって用いられるアミノ基含有単量体として特に代表的なものとしては、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチルクロトネート、2−(N−メチルアミノ)−エチルクロトネート、2−アミノエチルビニルエーテル、4−アミノブチルビニルエーテル、
【0037】アリルアミン、N−メチルアリルアミン、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミドまたはダイアセトンアクリルアミドなどをはじめ、さらには、2−イソシアネートエチルアクリレートの如き、各種のイソシアネート基含有単量体と、ヒドラジンとを反応せしめて得られるような、種々のヒドラジン残基含有単量体などで以て代表されるような、1級ないしは2級アミノ基含有単量体類などである。
【0038】また、水酸基含有単量体として特に代表的なものとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、または2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテルまたはアリルアルコールなどをはじめ、さらには、これらの種々の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンとの付加反応生成物などである。
【0039】さらに、アセトアセチル基含有単量体類として特に代表的なものとしては、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、4−アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチルビニルエーテルまたは4−アセトアセトキシブチルビニルエーテルなどである。
【0040】前掲した、それぞれ、(1)、(2)、(3)または(4)などの各方法で以て当該重合体(C)を調製するに際しては、これらの各方法で用いられるものとして上掲した各種のビニル系単量体のほかに、該ビニル系単量体と共重合可能なるその他の単量体類をも、用いることが出来るのは勿論であるが、かかる共重合可能なる他の単量体として特に代表的なものとしては、
【0041】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22なる各種のアルキル(メタ)アクリレート類をはじめ、
【0042】シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボルニル(メタ)アクリレートの如き、各種の脂環式アルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレートもしくはフェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;
【0043】クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしくはジブチルイタコネートの如き、各種の不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル類;
【0044】スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル単量体類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドの如き、各種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルもしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;
【0045】フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のハロオレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレンもしくは1−ブテンの如き、各種のα−オレフィン類;
【0046】または酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルもしくはバーサテイック酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニルエステル類などであり、さらには、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のアルキル−ないしはシクロアルキルビニルエーテル類などである。
【0047】以上に掲げられたような種々の単量体類を用いて、本発明において使用される、それぞれ、ビニル系重合体(C)を調製するには、溶液重合法ないしは塊状重合法などのような、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来るが、それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジカル重合法によるのが、簡便である。
【0048】その際に、重合開始剤として、公知慣用の種々の化合物を使用することが出来るが、それらのうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、各種のアゾ系化合物;
【0049】tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドもしくはジクミルパーオキサイドなどをはじめ、
【0050】tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の有機過酸化物類などであり、これらは、単独使用であっても2種以上の併用であってもよいことは、勿論である。
【0051】また、有機溶剤としては、勿論、公知慣用のものが使用され得るが、それらのうちでも特に代表的なるものとしては、プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、tert−ブタノール、アミルアルコール、i−アミルアルコール、tert−アミルアルコールの如き、各種のアルコール類;
【0052】またはエチルセロソルブ、ブチルセロソルブの如き、各種のグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートの如き、各種のエーテルエステル類;あるいはN−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートなどであるが、これらは、単独使用であっても2種以上の併用であってもよいことは、勿論である。
【0053】このような重合開始剤や有機溶剤を使用して、常法により、溶液ラジカル重合法に従って、当該重合体(C)を得ることが出来るが、その際の、これらの重合開始剤や有機溶剤などの使用量としては、公知慣用の範囲内で、たとえば、該重合開始剤の場合には、ビニル系単量体の総使用量に対して、0.1〜5重量%程度が適切である。
【0054】かくして得られる、重合体(C)の数平均分子量としては、250〜50,000なる範囲内が、さらに好ましくは、300〜30,000なる範囲内が適切である。
【0055】この際に、250未満の場合には、どうしても、最終的に得られる、本発明の組成物の硬化性が不十分となり易いし、一方、50,000を超えて余りに高くなる場合には、どうしても、水分散化ないしは水溶化が困難となり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0056】この重合体(C)に導入すべき、酸基および/または中和された酸基の量としては、当該重合体(C)の固形分1,000g当たり、0.1〜3.0モルなる範囲内が、さらに好ましくは、0.2〜2.5モルなる範囲内が適切である。
【0057】0.1モル未満の場合には、どうしても、かかる各重合体の安定なる水溶液ないしは水分散液を得ることが困難となり易いし、一方、3.0モルを超えて余りの多く用いる場合には、どうしても、得られる塗膜の耐水性などが低下するようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0058】また、この重合体(C)に導入すべき、N−アシル環状ウレア基の量としては、当該重合体(C)の固形分1,000g当たり、0.2〜6モルなる範囲内が、さらに好ましくは、0.3〜5モルなる範囲内が適切である。
【0059】0.2モル未満の場合には、どうしても、硬化性に劣る処となり易いし、一方、6モルを超えて余りに多く用いる場合には、どうしても、得られる塗膜の耐水性などが低下するようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0060】さらに、当該重合体(C)中に導入すべき、アミノ基、水酸基またはアセトアセチル基などの官能基、いわゆる活性水素を含有する基の量としては、先述した当該重合体(C)中に導入すべき、それぞれ、酸基および/または中和された酸基と、N−アシル環状ウレア基との量に応じて、適宜、選択され得るが、概ね、当該重合体(C)の固形分1,000g当たり、0.2〜6モル程度でよい。
【0061】そして、前述した如き、当該重合体(C)の水分散液ないしは水溶液を得るには、たとえば、(i) 当該重合体(C)の有機溶剤溶液に水を加えて、水分散化ないしは水溶化せしめ、必要に応じて、有機溶剤を除去せしめるという方法であるとか、
【0062】(ii) 保護コロイドや乳化剤などを含む水中に、当該重合体(C)の有機溶剤溶液を加えて水分散化ないし水溶化せしめ、必要に応じて脱溶剤する方法であるとか、(iii) 当該重合体(C)の有機溶剤溶液に水を加えたのちに、脱溶剤−転相乳化せしめるという方法であるとか、
【0063】あるいは、(iv) 当該重合体(C)の有機溶剤溶液に、保護コロイドや乳化剤などを含む水を加えたのちに、脱溶剤−転相乳化せしめるという方法などの、種々の方法が、そのまま、適用できる。
【0064】次に、本発明において、この重合体(C)と併用される、前記した、それぞれ、アミノ基、カルボキシル基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(B)、つまり、いわゆる活性水素を含有する化合物(以下活性水素性官能基含有化合物という)(B)とは、こうした水酸基、カルボキシル基、アミノ基またはアセトアセチル基の如き、N−アシル環状ウレア基を除く、各種の活性水素性官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を、一分子中に少なくとも2個有するようなものであって、いわゆる高分子量重合体類を除いた、分子量が60〜472の比較的に分子量の低い化合物を指称するものである。
【0065】そして、そのうちのカルボキシル基にあっては、各種の揮発性のアミン類またはアンモニウムハイドロキサイドなどで以て中和された形のものでもよいし、また、アミノ基にあっては、各種の揮発性カルボン酸類などで以て中和された形のものでもよい。
【0066】かかる化合物(B)として特に代表的なものとしては、多価アルコール類、多価カルボン酸類またはそれらのアミン中和物、ポリアミン化合物類またはそれらの酸中和物、ポリアミド化合物、多価アルコールのアセト酢酸エステル類、アミノカルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類またはそれらのアミン中和物、ポリヒドラジド化合物などをはじめ、
【0067】あるいは、ポリイソシアネート化合物と、ヒドラジンとを反応せしめて得られるような、ヒドラジン残基を有する化合物の如き、比較的、低分子量の化合物などである。
【0068】そのうちの、上記多価アルコール類として特に代表的なものとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコールもしくはソルビトールの如き、ジオール類;
【0069】あるいは、グリセリン、トリメチロールエタンもしくはトリメチロールプロパンの如き、各種のトリオール類;さらには、ペンタエリスリトールもしくはソルビトールの如き、各種の4価以上の、各種の低分子量化合物類などである。
【0070】また、上記した多価カルボン酸類として特に代表的なものとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸もしくはセバシン酸またはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸もしくはメチルヘキサヒドロフタル酸の如き、各種のジカルボン酸類;あるいは、トリメリット酸、ピロメリット酸もしくはブタンテトラカルボン酸の如き、3価以上の、各種の低分子量化合物類などである。
【0071】さらに、上記したポリアミン類として特に代表的なものとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサンもしくはジエチレントリアミンの如き、各種の低分子量化合物類などである。
【0072】さらにまた、上記したポリアミド類として特に代表的なものとしては、アジピン酸ジアミド、コハク酸ジアミドもしくはセバシン酸ジアミドの如き、各種の低分子量化合物類などである。
【0073】次いで、前記した多価アルコールのアセト酢酸エステル類として特に代表的なものとしては、前掲した如き各種の多価アルコール類と、ジケテン類との反応によって得られるような、各種の比較的に低分子量の化合物類などである。
【0074】次いでまた、前記したアミノカルボン酸として特に代表的なものとしては、グリシンもしくはアミノカプロン酸の如き、各種の低分子量化合物類などである。
【0075】次いでさらに、前記したヒドロキシカルボン酸として特に代表的なものとしては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、3−ヒドロキシピロピオン酸もしくは12−ヒドロキシステアリン酸の如き、各種の低分子量化合物類などであるし、前記したポリヒドラジド化合物として特に代表的なものとしては、アジピン酸ヒドラジドもしくはセバシン酸ヒドラジドの如き、各種の低分子量化合物類などである。
【0076】また、本発明の水性硬化性樹脂組成物には、前述した、それぞれ、N−アシル環状ウレア基と、アミノ基、カルボキシル基、水酸基またはアセトアセチル基などのような、いわゆる種々の活性水素性官能基との反応のために用いられる触媒(硬化触媒)を配合せしめることにより、本発明組成物の硬化性を、一層、向上化させることが出来る。
【0077】かかる硬化触媒(D)のうちでも特に代表的なものとしては、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセンもしくはジアザビシクロノネンの如き、各種の強塩基性の3級アミン類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートもしくはトリブチル錫−2,2−ジメチルペンタノエートなどのような、種々の有機錫化合物類;
【0078】テトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムアセテート、トリエチルベンジルアンモニウムオクトエートもしくはトリメチルベンジルアンモニウム−2,2−ジメチルペンタノエートの如き、各種の4級アンモニウム塩類;
【0079】トリフェニルベンジルホスホニウムフルオライド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテートもしくはテトラブチルホスホニウム−2,2−ジメチルペンタノエートの如き、各種のホスホニウム塩類などのようなものである。
【0080】また、強塩基性の3級アミノ基、錫カルボキシレート基、4級アンモニウム基またはホスホニウム基の如き、触媒活性(能)を有する基を含有するビニル系重合体などのような、特殊の重合体類をも使用することが出来る。
【0081】そして、これらの種々の触媒の中で、硬化性などの面からは、強塩基性の3級アミン類や、4級アンモニウム塩類などの使用が、特に望ましい。
【0082】また、前述した、それぞれ、(C)成分と、(B)成分とから、本発明の水性硬化性樹脂組成物を調製するには、(C)成分中のN−アシル環状ウレア基と、(C)成分および(B)成分中の活性水素性官能基の総量との当量比が、0.1:1〜1:0.1となるような比率で以て、好ましくは、0.2:1〜1:0.2となるような比率で以て、これらの両成分を混合せしめるようにすればよい。
【0083】さらに、(C)成分と(B)成分との混合物に、硬化触媒(D)を配合せしめることによって、本発明の水性硬化性樹脂組成物を調製するには、これらの各成分の混合物の固形分1,000gに対して、触媒活性を有する基ないしは原子団の量が、2〜400ミリモルとなるような比率で以て、好ましくは、4〜200ミリモルとなるような比率で以て、当該(D)成分を配合せしめるようにすればよい。
【0084】本発明の水性硬化性樹脂組成物は、そのままで以て、あるいは、さらに、この形の樹脂組成物に、溶剤、顔料または充填剤などをはじめ、さらには、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または顔料分散剤などのような、公知慣用の種々の添加剤類などをも配合せしめた形で以て、使用することが出来る。
【0085】さらに、本発明の組成物には、本発明の目的を逸脱しない範囲内で以て、本発明の効果を、そして、本発明の特徴を損なわない範囲内で以て、尿素樹脂、メラミン樹脂またはベンゾグアナミン樹脂などのような、種々のアミノ樹脂や、ブロックイソシアネートの如き、公知慣用の種々の硬化剤類をも添加せしめた形で以て、使用することも出来る。
【0086】かくして得られる、本発明の水性硬化性樹脂組成物は、基材などに塗布したのちに、100〜250℃程度で、1分間〜2時間程度の加熱硬化を行うことによって、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成するというものである。
【0087】そして、本発明の、こうした硬化性樹脂組成物は、セメント系などのような種々の無機窯業系基材をはじめ、さらには、鉄やアルミニウム合金などのような種々の金属基材用の塗料用として使用することが出来るが、さらに具体的な用途としては、缶の内面ないしは外面用塗料、プレコート・メタル用塗料、自動車用上塗りのためのベース・コート塗料またはトップ・コート用塗料などのような、種々の塗料用として使用することが出来る。
【0088】また、接着剤またはシーリング剤などのような、いわゆる塗料以外の、種々の分野にも、有効に、利用され得るものである。
【0089】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0090】参考例 1[N−アシル環状ウレア基・カルボキシル基・水酸基併有ビニル系重合体(C)の調製例]
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルの1,000部、N−メタクリロイルプロピレン尿素の164部およびtert−ブチルパーオキシオクトエート(TBO)の3部を仕込んで、攪拌しながら、窒素ガス気流中で、80℃にまで昇温した。
【0091】次いで、同温度で、スチレン(St)の200部、n−ブチルメタクリレート(BMA)の526部、アクリル酸(AA)の60部および2−ヒドロキシエチルメタクリレートの50部と、TBOの25部とからなる混合物を、5時間に亘って滴下した。
【0092】滴下終了後も、同温度で、15時間のあいだ保持して、反応を継続せしめることによって、数平均分子量(Mn)が8,400で、不揮発分(NV)が54%で、かつ、固形分酸価が47なる、目的重合体を得た。以下、これを重合体(C−1)と略記する。
【0093】参考例 2[N−アシル環状ウレア基・カルボキシル基・アセトアセチル基併有ビニル系重合体(C)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、エチルセロソルブの1,000部を仕込んで、攪拌しながら、窒素ガス気流中で、80℃にまで昇温した。次いで、同温度で、Stの260部、BMAの430部、N−メタクリロイルテトラメチレン尿素の200部、2−アセトアセトキシエチルメタクリレートの50部およびメタクリル酸(MAA)の60部と、TBOの28部とからなる混合物を、5時間に亘って滴下した。
【0094】滴下終了後も、同温度で、15時間のあいだ保持して、反応を継続せしめることによって、Mnが9,800で、NVが52%で、かつ、固形分酸価が39なる、目的重合体を得た。以下、これを重合体(C−2)と略記する。
【0095】参考例 3[N−アシル環状ウレア基・カルボキシル基・アミノ基併有ビニル系重合体(C)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、エチルセロソルブの800部を仕込んで、攪拌しながら、窒素ガス気流中で、80℃にまで昇温した。次いで、同温度で、Stの300部、BMAの320部、n−ブチルアクリレート(BA)の100部、AAの50部およびN−メタクリロイルエチレン尿素の200部と、TBOの28部とからなる混合物と、N−メチルアクリルアミドの30部とイソプロピルアルコール(イソプロパノール)の200部とからなる混合物とを、各別に、5時間に亘って滴下した。
【0096】滴下終了後も、同温度で、15時間のあいだ保持して、反応を継続せしめることによって、Mnが9,500で、NVが51%で、かつ、固形分酸価が39なる、目的重合体を得た。以下、これを重合体(C−3)と略記する。
【0097】参考例 4(対照用の水酸基・カルボキシル基併有ビニル系重合体の調製例)
参考例1と同様の反応容器に、エチルセロソルブの1,000部を仕込んで、攪拌しながら、窒素ガス気流中で、80℃にまで昇温した。次いで、同温度で、Stの200部、BMAの418部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの232部、BAの100部およびAAの50部と、TBOの28部とからなる混合物を、5時間に亘って滴下した。
【0098】滴下終了後も、同温度で、15時間のあいだ保持して、反応を継続せしめることによって、Mnが8,700で、NVが51%で、かつ、固形分酸価が39なる、対照用重合体を得た。以下、これを重合体(R−1)と略記する。
【0099】実施例 1〜4第1表に示される通りの比率で以て、(C)成分に、トリエチルアミンを添加してカルボキシル基を中和したのち、さらに、イオン交換水を加えることによって、各種の水性樹脂を得た。
【0100】次いで、同表に示される通りの比率で以て、(B)成分または(D)成分を添加せしめ、充分に攪拌することによって、目的とする、各種の水性硬化性樹脂組成物を調製した。
【0101】しかるのち、それぞれの組成物を、各別に、アプリケーターを使用して、0.8mmなる厚さの燐酸亜鉛処理鋼板上に、50ミクロン(μm)なる乾燥膜厚となるように塗装せしめたのち、同表に示されるような条件で以て、加熱硬化せしめることによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0102】引き続いて、かくして得られた、それぞれの硬化塗膜について、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観の評価検討の試験を行った。それらの結果は、まとめて、同表に示す。
【0103】なお、上記耐薬品性としての、それぞれ、「耐酸性」および「耐アルカリ性」は、次のような要領で行ったものである。
「耐酸性」…………硬化塗膜を、40℃に保持した、10%硫酸水溶液中に、24時間のあいだ浸漬せしめたのちの塗面の状態を、目視により判定した。
【0104】「耐アルカリ性」…硬化塗膜を、40℃に保持した、10%水酸化ナトリウム水溶液中に、24時間のあいだ浸漬せしめたのちの塗面の状態を、目視により判定した。
【0105】また、上記「耐水性」は、硬化塗膜を、70℃の温水中に、14日間のあいだ浸漬せしめたのちの塗面の状態を、目視により判定した。さらに、上記「耐食性」は、クロスカットを入れた硬化塗膜について、240時間に亘る塩水噴霧試験を行ったのちの塗面の状態を、目視により判定した。
【0106】さらにまた、上記した「外観」は、塗面の、それぞれ、平滑性、鮮映性ならびに光沢などから、総合的に判断したものである。
【0107】比較例 1参考例4で得られた、対照用ビニル系重合体(R−1)の100部に、トリエチルアミンの3.5部を添加せしめて、充分に攪拌を行ったのち、イオン交換水の50部を加えることによって、対照用の水性樹脂を得た。
【0108】次いで、此の樹脂に、「ウォーターゾール S−695」[大日本インキ化学工業(株)製のメチルエーテル化メラミン樹脂;NV=66%]の18.9部を加えることによって、対照用の水性硬化性樹脂組成物を調製した。
【0109】しかるのち、かくして得られた対照用の組成物を、実施例1〜4と同様にして、燐酸亜鉛処理鋼板上に、50μmなる乾燥膜厚となるように塗装せしめたのち、160℃で30分間の焼き付けを行って、対照用の硬化塗膜を得た。
【0110】引き続いて、この硬化塗膜についても、各実施例と同様の、評価試験の試験を行った。それらの結果をも、併せて、第2表に示す。
【0111】
【表1】


【0112】《第1表の脚注》表中の各成分の数字は、いずれも、「重量部」を表わす。
【0113】(B)成分中の、それぞれ、■、■および■は、次の通りである。
■…………………トリメチロールプロパン■…………………アジピン酸ジヒドラジド■…………………トリメチロールプロパン・トリスアセトアセテート
【0114】また、「C−1」、「C−2」および「C−3」は、それぞれ、ビニル系重合体(C)なる成分としての、「重合体(C−1)」、「重合体(C−2」および「重合体(C−3)」の略記である。
【0115】(D)成分中の、それぞれ、■および■は、次の通りである。
■…………………ベンジルトリメチルアンモニウムアセテート■…………………テトラブチルアンモニウムアセテート
【0116】
「TEA」………トリエチルアミン
【0117】
【表2】


【0118】《第2表の脚注》
「耐アル性」………「耐アルカリ性」の略記“硬化条件”………単位としては、「℃×分」であり、たとえば、「140×30」は、『220℃の温度で、30分間のあいだ』という意味である。以下同様。
【0119】
【発明の効果】本発明の水性硬化性樹脂組成物は、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成するという、極めて実用性の高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一分子中に、少なくとも2個のN−アシル環状ウレア基と、酸基および/または中和された酸基と、アミノ基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基とを併有するビニル系重合体(C)、アミノ基、カルボキシル基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する分子量が60〜472の化合物(B)とを必須の皮膜形成成分として含有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
【請求項2】 一分子中に、少なくとも2個のN−アシル環状ウレア基と、酸基および/または中和された酸基と、アミノ基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基とを併有するビニル系重合体(C)、アミノ基、カルボキシル基、水酸基およびアセトアセチル基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する分子量が60〜472の化合物(B)と、硬化触媒(D)とを必須の皮膜形成成分として含有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
【請求項3】 前記したビニル系共重合体(C)が、N−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体のラジカル重合法によって得られるものである、請求項1または2記載の水性硬化性樹脂組成物。
【請求項4】 前記したN−アシル環状ウレア基が、一般式[I]で示されるものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の水性硬化性樹脂組成物。
【化1】


[ただし、式中のXは炭素数が1〜5のアルキレン基を表わすものとする。]
【請求項5】 前記したビニル系重合体(C)中の酸基が、カルボキシル基であり、該重合体(C)中の中和された酸基がカルボキシラートである、請求項1または2記載の水性硬化性樹脂組成物。

【特許番号】特許第3419043号(P3419043)
【登録日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【発行日】平成15年6月23日(2003.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−255712
【出願日】平成5年10月13日(1993.10.13)
【公開番号】特開平7−109379
【公開日】平成7年4月25日(1995.4.25)
【審査請求日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【参考文献】
【文献】特開 平4−139255(JP,A)
【文献】特開 平2−276877(JP,A)