説明

水栓装置

【課題】発電機を振動させることにより、発電機内に侵入した空気を排出しやすくすると共に、発電機の振動に伴って発生する異音を抑制する。
【解決手段】本発明は、電磁弁を駆動して止水、吐水を切り換える水栓装置(1)であって、水栓装置本体(2)と、電磁弁(12)と、吐水口(6)が形成された吐水口形成部(44)と、電磁弁の下流側に配置されると共に、水栓装置本体内部の吐水口と同一の高さ又は吐水口よりも上方に位置決めされ、電磁弁を通過した水の流れによって電磁弁を駆動する電力を生成する羽根車式の発電機(14)と、発電機に振動が励起されるように、発電機を水栓装置本体に対して支持する振動励起手段(58,60)と、吐水口形成部が水栓装置本体と接触しないように、吐水口形成部を発電機と連結し、固定する吐水口側配管(42)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水栓装置に関し、特に、内蔵された発電機の電力により電磁弁を駆動して止水、吐水を切り換える水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−303436号公報(特許文献1)には、水栓用発電機が記載されている。この水栓用発電機は、水栓装置本体に内蔵され、水栓装置から吐出すべき水の流れにより電力を生成するものである。水栓用発電機によって生成された電力は、水栓装置の止水、吐水を切り換える電磁弁の駆動に使用される。
【0003】
このように、発電機を内蔵し、この電力で電磁弁を開閉することが可能になると、センサーで使用者の手指を感知し、これに基づいて電磁弁を開閉して止水、吐水を切り換える自動水栓を、外部電源を使用することなく設置することが可能になる。外部電源が不要な自動水栓は、洗面所等に設置された既存の水栓装置と単純に置き換えるだけで作動するので、設置する場所の電源環境を選ぶことなく、取り付けることができるという大きな利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−303436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水栓装置に内蔵される発電機は、通常、止水、吐水を切り換える電磁弁の下流側に配置される。これは、止水時において、発電機に水道の一次圧が作用すると発電機に不具合が起こりやすいこと、また、電磁弁の上流側にあると発電機のメンテナンスが困難であること等の理由による。
【0006】
このように、発電機の上流側に電磁弁が配置されると、水栓装置本体の基端部の空間は電磁弁によって占有されてしまう。また、水栓装置本体を或る程度小型化するためには、水栓装置本体の概ね鉛直方向に延びる基端部に電磁弁及び発電機の両方を内蔵することは困難である。このため、発電機は、水栓装置本体の鉛直部分から概ね水平方向に延びる部分に内蔵せざるを得なくなる。水栓装置本体のこのような部分に発電機を配置すると、水栓装置の吐水口は、発電機と同程度の高さ、又は、発電機よりも低い位置に配置されることになる。
【0007】
電磁弁の下流側で、吐水口よりも高い位置に発電機を配置した場合には、止水状態に切り換えられた後、発電機内に満たされていた水道水は、吐水口を通って流れ落ちると共に、外気が吐水口を通って発電機の内部に侵入する。発電機内に入った空気は、吐水状態に切り換えられた後も、水道水の流れにより完全に押し出されることはなく、吐水状態においても発電機の内部に滞留してしまう。
【0008】
発電機内に空気が滞留していると、発電機が内部を流れる水流のエネルギーを十分に受けることができなくなり、発電効率が低下するという問題がある。また、発電機内に滞留している空気が動くことにより、発電量が不安定に変化したり、場合によっては発電機に不具合を生じることがある。さらに、発電機内に滞留している空気が、異音を発生する原因となる場合もある。
【0009】
この問題を解決するために、本件発明の発明者は、発電機を水栓装置本体内で振動しやすいように支持し、吐水時に発電機の羽根車が回転されると発電機の振動が励起される水栓装置を開発した。このような水栓装置においては、発電機が振動されることにより、内部に滞留した空気が動かされ、発電機内を流れる水流と共に排出されやすくなる。
【0010】
しかしながら、発電機が振動されやすいように水栓装置を構成すると、発電機に接続された管路等を伝わって、水栓装置の吐水口を形成する部分も振動され、これにより異音が発生するという新たな問題が発生した。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、発電機を振動させることにより、発電機内に侵入した空気を排出しやすくすると共に、発電機の振動に伴って発生する異音を抑制することができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明は、内蔵された発電機の電力により電磁弁を駆動して止水、吐水を切り換える水栓装置であって、水栓装置本体と、この水栓装置本体の内部に配置され、止水、吐水を切り換える電磁弁と、この電磁弁を通過した水を吐出させる吐水口が形成され、水栓装置本体に設けられた吐水口配置開口の中に配置される吐水口形成部と、電磁弁の下流側に配置されると共に、水栓装置本体内部の吐水口と同一の高さ又は吐水口よりも上方に位置決めされ、電磁弁を通過した水の流れによって電磁弁を駆動する電力を生成する羽根車式の発電機と、発電機の振動が励起されるように、発電機を上記水栓装置本体に対して支持する振動励起手段と、吐水口形成部が水栓装置本体と接触しないように、吐水口形成部を発電機と連結し、固定する吐水口側配管と、を有することを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明においては、電磁弁を通過した水は、下流側に配置された発電機に流入し、吐水口から吐出される。発電機の内部を通過する水により羽根車が回転され、電磁弁を駆動する電力が生成される。また、発電機は、吐水口と同一の高さ又は吐水口よりも上方に位置決めされているため、止水状態において吐水口から水栓装置本体内部に外気が侵入すると、外気が発電機の内部に溜まることになる。発電機は、振動励起手段により、水栓装置本体に対して支持されている。このため、発電機の内部に溜まった空気は、発電機の振動により排出されやすくなる。吐水口形成部は、水栓装置本体と接触しないように、吐水口側配管により発電機と連結される。
【0014】
このように構成された本発明によれば、発電機の内部に空気が溜まった場合にも、発電機が振動されることにより空気が外部に排出されやすく、発電機を安定に動作させることができる。この結果、発電機は安定した電力を生成することができると共に、内部に空気が滞留し続けることによる異音の発生を防止することができる。
【0015】
加えて、吐水口形成部が水栓装置本体と接触しないように吐水口側配管に固定されているので、発電機が振動された場合にも、吐水口形成部を介して水栓装置本体に振動が伝わることがなく、水栓装置本体に振動が伝わることによる異音の発生を防止することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、吐水口形成部は、水栓装置本体の吐水口配置開口よりも内側に引っ込んで位置決めされている。
このように構成された本発明によれば、吐水口形成部が吐水口配置開口と接触しないように、吐水口形成部と吐水口配置開口の間に隙間が設けられていても、吐水口形成部が内側に引っ込んで位置決めされているので、この隙間が使用者からは視認されにくく、水栓装置の外観が損なわれることがない。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、水栓装置本体に取り付けられ、吐水口形成部と吐水口配置開口との間の隙間を覆う隙間カバーを有する。
このように構成された本発明によれば、吐水口形成部と吐水口配置開口の間の隙間を覆う隙間カバーが設けられているので、使用者から隙間が見えることがなく、水栓装置の外観が損なわれることがない。
【0018】
本発明において、好ましくは、さらに、吐水口側配管を水栓装置本体に対して弾性支持する支点形成部材を有する。
このように構成された本発明においては、発電機と吐水口形成部の間に接続された吐水口側配管を、水栓装置本体に対して支点形成部材が弾性支持している。このため、発電機及び吐水口形成部は、これらの間の支点形成部材によって弾性支持されている部分を概ね支点として振動する。この結果、支点を持たずに振動している場合に比べ、吐水口形成部の振幅が小さくなる。これにより、吐水口形成部の振幅が大きくなって、吐水口形成部と水栓装置本体が接触し、異音を発生するのを防止することができる。また、吐水口形成部の振幅が大きくなることにより、水栓装置から吐出される水流が振動され、吐出される流れの美観が損なわれるのを防止することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、振動励起手段は、水栓装置本体に対する鉛直方向の振動が励起されるように構成されていると共に、支点形成部材は、鉛直方向よりも他の方向により容易に振動できるように吐水口側配管を弾性支持する。
【0020】
このように構成された本発明によれば、簡単な構造で、吐水口側配管を弾性支持する支点を形成することができる。また、鉛直方向の振動が励起されるように構成されているため、吐水口形成部も主に鉛直方向に振動されるので、吐水口形成部の振動が吐出される流れの美観に与える影響を少なくすることができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、さらに、吐水口側配管と発電機の間に配置され、吐水口側配管と発電機の間の屈曲を許容する屈曲許容部が設けられている。
このように構成された本発明においては、吐水口側配管と発電機の間に屈曲許容部が設けられているので、発電機の振動の一部が屈曲許容部により吸収される。この結果、吐水口形成部の振幅が大きくなって、吐水口形成部と水栓装置本体が接触し、異音を発生するのを防止することができる。また、吐水口形成部の振幅が大きくなることにより、水栓装置から吐出される水流が振動され、吐出される流れの美観が損なわれるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の水栓装置によれば、発電機を振動させることにより、発電機内に侵入した空気を排出しやすくすると共に、発電機の振動に伴って発生する異音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による水栓装置の内部構造を概略的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による水栓装置の側面断面図である。
【図4】図3のIV−IVに沿う平面断面図である。
【図5】本発明の実施形態による水栓装置に内蔵された発電機の分解斜視図である。
【図6】発電機を水栓装置本体に対して支持する弾性部材の断面図である。
【図7】本発明の実施形態による水栓装置の吐水口付近を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓装置本体2と、水栓装置本体2の基端部2aに設けられた温度調節用ツマミ4と、水栓装置本体2の水平部2bの先端部に設けられた吐水口6と、水平部2bの先端に設けられた人感センサー8と、を有する。
【0025】
本実施形態の水栓装置1は、使用者が吐水口6の下方に手指をかざすと、人感センサー8がこれを検知し、内蔵された電磁弁が自動的に開放されて吐水口6から吐水されるように構成されている。また、人感センサー8が手指を検出しなくなると、自動的に電磁弁が閉鎖されて止水状態となる。さらに、温度調節用ツマミ4を調節することにより、吐出される湯水の温度が調節できるように構成されている。
【0026】
次に、図2乃至図7を参照して、本発明の実施形態による水栓装置1の構成を説明する。
図2は、本実施形態の水栓装置1の内部構造を概略的に示すブロック図である。図3は、水栓装置1の側面断面図である。図4は、図3のIV−IVに沿う平面断面図である。図5は、水栓装置1に内蔵された発電機の分解斜視図である。図6は、発電機を水栓装置本体に対して支持する弾性部材の断面図である。図7は、水栓装置1の吐水口付近を拡大して示す断面図である。
【0027】
図2に示すように、水栓装置本体2には、温度調節バルブ10と、電磁弁12と、羽根車式の発電機14と、コントローラ16が内蔵されている。なお、温度調節バルブ10の上流側にフィルタ(図示せず)を設けることができる。また、電磁弁12と発電機14の間に、定流量弁(図示せず)を設けることができる。
【0028】
温度調節バルブ10は、水栓装置本体2の基端部2aに内蔵され、湯供給管18a及び水供給管18bが接続されている。温度調節バルブ10は、各供給管から夫々供給された湯及び水を、温度調節用ツマミ4の設定に基づいて混合し、適温の湯水に調節して流出させるように構成されている。この温度調節バルブ10は一般的なものであるため、詳細な構成の説明は省略する。
【0029】
電磁弁12は、水栓装置本体2の基端部2aに内蔵され、温度調節バルブ10により混合された湯水が流入するように、温度調節バルブ10の下流側に接続されている。また、電磁弁12は、コントローラ16から送られる制御信号に基づいて開閉されるように構成されている。この電磁弁12は一般的なものであるため、詳細な構成の説明は省略する。
【0030】
発電機14は、水栓装置本体2の水平部2bに、概ね水平方向に向けて配置されている。発電機14は、電磁弁12を通過した湯水が電磁弁側配管20を通って流入し、発電機14を通過した湯水は吐水口側配管22を通って吐水口6から吐出されるように接続されている。発電機14により生成された電力は、電磁弁12、コントローラ16、人感センサー8等を作動させるために使用される。発電機14の内部構造は後述する。
【0031】
コントローラ16は、人感センサー8から入力された検出信号に基づいて、電磁弁12を開閉する制御信号を発生するように構成されている。具体的には、コントローラ16は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム等(図示せず)により構成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、発電機14は、発電機通水路形成部材24と、この発電機通水路形成部材24の内部に配置された羽根車26と、この羽根車26に取り付けられた発電用マグネット28と、羽根車26を回転可能に支持する回転軸30と、発電機通水路形成部材24の外側に配置された発電用コイル32と、を有する。
【0033】
発電機通水路形成部材24は、内部に概ね円筒形の通水路を形成する大径部24aと、大径部24aよりも細い概ね円筒形の通水路を形成する小径部24bと、大径部24aと小径部24bを接続する変形許容部である段部24cと、を有する。これらの大径部24a及び小径部24bは、それらの内部に発電機通水路を構成する。
【0034】
大径部24aの内部には、羽根車26が回転可能に配置されている。羽根車26は、その回転軸30が大径部24aの中心軸線と一致するように配置されており、発電機通水路内に湯水が流れると回転軸30を中心に回転されるように構成されている。また、図3に示すように、発電機通水路形成部材24は、その中心軸線が概ね水平方向に向くように配置されている。このため、水栓装置1の止水時において吐水口6から外気が侵入した場合には、外気は、大径部24a内側上部の空気溜チャンバ24dに集まる。即ち、空気溜チャンバ24dは、水栓装置本体2内の通水路において最も上方に位置する空間であり、侵入した空気は通水路内で浮き上がり、空気溜チャンバ24dに集まるようになっている。
【0035】
小径部24bは、大径部24aよりも直径が小さい管であり、その中心軸線が大径部24aの中心軸線と一致するように形成されている。また、小径部24bの上流端には、回転軸30の下流端側を支持する軸受部34が配置されている。即ち、軸受部34は、段部24cに隣接して配置されている。
【0036】
段部24cは、中心軸線に対して直交する方向の壁面によって、大径部24aと小径部24bを接続するように形成されている。本実施形態においては、この段部24cは肉厚が薄く形成されており、発電機通水路形成部材24に力が作用した場合には、主に段部24cが変形されるように構成されている。
【0037】
軸受部34は、小径部24bの内側にはめ込まれる概ね円柱形の部材であり、その中心軸線上には、回転軸30を受け入れる軸受穴34aが設けられ、その周囲には、湯水を通過させる貫通孔34bが複数設けられている。上記のように、軸受部34は段部24cに隣接して配置されており、これにより段部24cの変形量を制限するように作用する。
【0038】
一方、回転軸30の上流端側は、邪魔板36の中央に設けられた軸受穴36aによって回転可能に支持されている。邪魔板36は、円形の浅いカップ形の板であり、その中心に軸受穴36aが設けられている。邪魔板36は、大径部24aの内部に、通水路の中央部を塞ぐように配置されている。上流側から大径部24aに流入した湯水は邪魔板36によって大径部24aの周辺部に誘導され、邪魔板36の外周部と大径部24aの内壁面との間の隙間を下流側に流れる。次いで、湯水は、邪魔板36を通り過ぎると、邪魔板36の周縁から大径部24aの中央に向かって流れ、羽根車26を回転させる。また、金属製の回転軸30が羽根車26を貫通して邪魔板36から軸受部34まで、段部24cを横断するように延びている。このため、段部24cの変形量が、回転軸30により制限される。
【0039】
羽根車26は、概ね円筒形の部材であり、その中心軸線に沿って回転軸30が取り付けられている。羽根車26の上流端側には、羽根26aが設けられており、邪魔板36の周縁から中央に向かう湯水の流れによって羽根車26が回転されるようになっている。また、羽根車26の内部には、軸線方向に貫通した羽根車通水路26bが設けられており、周縁から中央に集まった湯水が、この羽根車通水路26bを通って小径部24bに流入するようになっている。さらに、羽根車26の外周は、その下流側が縮径されており、この縮径部分に発電用マグネット28が取り付けられている。
【0040】
発電用マグネット28は、概ね円環状に構成されており、その円周に沿ってN極とS極が交互に形成されている。
発電用コイル32は、円環状に形成されており、発電機通水路形成部材24の小径部24bを取り囲むように配置されている。また、発電用コイル32の上流側の端部は発電機通水路形成部材24の段部24cに当接されている。発電用コイル32が段部24cに当接されていることにより、発電機14が振動された場合における段部24c(変形許容部)の変形量が制限される。発電用コイル32と発電用マグネット28は、発電機通水路形成部材24の軸線方向に並んで配置されており、発電用マグネット28が羽根車26と共に回転されると、発電用コイル32に起電力が発生する。このように、発電機14には上流側から順に羽根車26、発電用マグネット28、発電用コイル32が配置されている。
【0041】
さらに、図5に示すように、発電機14は、防水カバー38と、磁極片40を有する。
防水カバー38は、発電機通水路形成部材24の一部を覆うように取り付けられる概ね円筒状の部材である。防水カバー38は、小径部24bの上流側の部分から大径部24aの下流側の部分まで延びて、これらの一部を覆うように配置される。また、発電用コイル32及び磁極片40は、発電機通水路形成部材24の外面と防水カバー38の内面の間の空間に収容され、発電機14が振動された際の磁極片40の位置ずれが防止される。また、防水カバー38は、発電用コイル32が防水カバー38と発電機通水路形成部材24の段部24cとの間に挟まれて固定されるように寸法決めされている。防水カバー38と大径部24a間、及び防水カバー38と小径部24bの間には夫々Oリングが配置されており、防水カバー38の内部に湯水が侵入しないようになっている。また、防水カバー38は、小径部24bから大径部24aまで、段部24cを横断するように配置されているので、発電機14が振動された際の段部24cの変形量を制限する。
【0042】
磁極片40は、磁性材の薄板で構成されており、発電用コイル32の内周側及び外周側を取り囲むように形成されている。また、磁極片40は、発電用コイル32から大径部24aを取り囲むように延びる複数の爪部40aを有する。各爪部40aは、大径部24aの外周面に接触するように、大径部24aの軸線方向に延びている。大径部24aの内側には発電用マグネット28が収容されているので、発電用マグネット28の磁気は磁極片40の爪部40aを介して発電用コイル32に誘導される。また、磁極片40の各爪部40aが大径部24aを取り囲むように延びているので、段部24cの変形量が、磁極片40により制限される。
【0043】
次に、図3、4、6及び7を参照して、発電機14の固定構造を説明する。
図4に示すように、発電機通水路形成部材24の小径部24bの先端には、吐水口側通水路形成部材42が接続されている。この吐水口側通水路形成部材42は吐水口側配管22(図2)として機能する。また、吐水口側通水路形成部材42の両側面には、吐水口側支持ブラケット42aが形成されている。さらに、吐水口側通水路形成部材42と小径部24bの間には、パッキン42bが配置されており、小径部24bと吐水口側通水路形成部材42の間の水密性が確保されている。
【0044】
また、図7に示すように、吐水口側通水路形成部材42の先端には、吐水口形成部である吐水口形成リング44、及び整流部材46が取り付けられている。吐水口形成リング44は円筒状の部材であり、小径部24b、吐水口側通水路形成部材42を通過した湯水が吐水口形成リング44の内側を通って吐出される。吐水口形成リング44は、水栓装置本体2の先端部に設けられた吐水口配置開口2cの内側に配置される。この吐水口配置開口2cと吐水口形成リング44の間には隙間が設けられ、吐水口形成リング44は、水栓装置本体2と接触しないように固定されている。また、吐水口形成リング44の下端は、吐水口配置開口2cよりも内側に引っ込んで位置決めされている。さらに、吐水口形成リング44の外周面と吐水口配置開口2cの間の隙間は、隙間カバー48によって覆われている。さらに、吐水口側通水路形成部材42は、支点形成部材である支持用パッキン50を介して水栓装置本体2と接触している。このように、吐水口側通水路形成部材42は、支持用パッキン50により弾性支持される。
【0045】
一方、図4に示すように、発電機通水路形成部材24の大径部24aには、段付き円筒状の第1電磁弁側通水路形成部材52、及び第2電磁弁側通水路形成部材54が挿入され、第2電磁弁側通水路形成部材54には第3電磁弁側通水路形成部材56が接続されている。これら第1電磁弁側通水路形成部材52、第2電磁弁側通水路形成部材54及び第3電磁弁側通水路形成部材56は、電磁弁側配管20として機能する。また、第3電磁弁側通水路形成部材56には磁弁側支持ブラケット56aが設けられている。大径部24aと第1電磁弁側通水路形成部材52の間にはパッキン52aが配置され、第1電磁弁側通水路形成部材52と第2電磁弁側通水路形成部材54の間にはパッキン54aが配置され、第2電磁弁側通水路形成部材54と第3電磁弁側通水路形成部材56の間にはパッキン56bが配置されており、これらの部材の間の水密性が確保されている。
【0046】
このように、吐水口側配管22には、吐水口側通水路形成部材42と小径部24bの間にパッキン42bが配置されているのに対し、電磁弁側配管20には、各電磁弁側通水路形成部材の間にパッキン52a、パッキン54a及びパッキン56bが配置されている。このため、電磁弁側配管20の方が吐水口側配管22よりもパッキンによる変形の余地が大きく、電磁弁側配管20の方が吐水口側配管22よりも容易に変形可能に構成されている。また、発電機通水路形成部材24の小径部24bと、吐水口側通水路形成部材42との間のパッキン42bを介した接続部は、吐水口側配管22と発電機14の間の屈曲を許容する屈曲許容部として機能する。
【0047】
次に、図4及び図6を参照して、発電機14の水栓装置本体2に対する取り付け構造を説明する。図6(a)は吐水口側通水路形成部材42の吐水口側支持ブラケット42aの支持構造を示す断面図であり、図6(b)は第3電磁弁側通水路形成部材56の電磁弁側支持ブラケット56aの支持構造を示す断面図である。
【0048】
図4に示すように、発電機14は、発電機14とは別体の部材である吐水口側通水路形成部材42の吐水口側支持ブラケット42a、及び第3電磁弁側通水路形成部材56の電磁弁側支持ブラケット56aを介して水栓装置本体2に取り付けられている。
【0049】
図6(a)に示すように、吐水口側支持ブラケット42aは、弾性部材である吐水口側ゴムブッシュ58を介して、ビス58aにより水栓装置本体2に取り付けられている。また、図6(b)に示すように、電磁弁側支持ブラケット56aは、弾性部材である電磁弁側ゴムブッシュ60を介して、ビス60aにより水栓装置本体2に取り付けられている。
【0050】
なお、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60は、振動励起手段を構成する。即ち、発電機14は、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60により、非常に振動しやすい状態に支持される。一方、発電機14においては、羽根車26と共に発電用マグネット28が回転され、固定されている発電用コイル32との間に相対的な回転が発生する。これにより、発電用コイル32に起電力が発生すると共に、発電用マグネット28と発電用コイル32の間には電磁力が発生する。この電磁力は発電用マグネット28と発電用コイル32の間の相対的な回転位置により変化するので、発電用マグネット28が回転されると電磁力は振動的に変化する。この振動的な力と、発電機14の振動励起手段による支持の相乗効果により、発電機14には振動が励起される。特に、本実施形態においては、発電用コイル32として単層のコイルを採用することにより、発生する電磁力の変動が大きくされており、発電機14の振動を効果的に励起することができる。
【0051】
ここで、電磁弁側ゴムブッシュ60は、吐水口側ゴムブッシュ58よりも、ブラケットと水栓装置本体2の間に挟まれる部分が厚く形成されている。従って、一定の大きさの弾性変形を起こさせるために必要な力は、電磁弁側ゴムブッシュ60の方が吐水口側ゴムブッシュ58よりも小さくなる。換言すれば、一定の距離だけ上方又は下方に変位させるために必要な力は、電磁弁側支持ブラケット56aの方が、吐水口側支持ブラケット42aよりも小さくなるように構成されている。即ち、発電機14は、下流側よりも上流側の方がより大きく振動されるように支持されている。
【0052】
また、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60は、主に、発電機14の鉛直方向の振動を許容するように構成されている。これに対して、吐水口側通水路形成部材42を弾性支持する支持用パッキン50は、水平に対して傾斜した平面上に配置されている。このため、支持用パッキン50は、鉛直方向に対して傾斜した方向の振動を主に許容するように作用し、この方向の振動と比較して、鉛直方向の振動に対しては、支持用パッキン50は振動を拘束する。これにより、発電機14は、鉛直方向の振動に対し、支持用パッキン50を概ね支点として振動し、支持用パッキン50から離れるほど発電機14の上下方向の振動の振幅が大きくなる。この上下方向の振動は、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60によって許容される。一方、支持用パッキン50の下流側の振動については、吐水口側通水路形成部材42の下流側に取り付けられた吐水口形成リング44は、吐水口配置開口2cに対して隙間を空け、水栓装置本体2と接触しないように取り付けられているので、拘束されることがない。なお、吐水口形成リング44の下端は、発電機14よりも支持用パッキン50の近くに位置するので、支持用パッキン50を支点とする振動の振幅は、吐水口形成リング44の下端よりも発電機14の方が大きくなる。
【0053】
次に、本発明の実施形態による水栓装置1の作用を説明する。
まず、使用者が、水栓装置本体2の先端部に設けられた人感センサー8に手指をかざすと、人感センサー8はこれを検知し、コントローラ16に信号を送る。コントローラ16は、人感センサー8が手指を検知すると、電磁弁12に信号を送り、電磁弁12を開放状態に切り換える。電磁弁12が開放されると、湯供給管18a及び水供給管18bを介して供給された湯及び水が温度調節バルブ10に夫々供給される。供給された湯及び水は、温度調節バルブ10の内部で混合され、図3に矢印で示すように流れて発電機14に到達する。即ち、供給された湯及び水は、温度調節バルブ10により、温度調節用ツマミ4によって設定された温度に調節されて流出する。温度調節バルブ10から流出した湯水は、開放状態の電磁弁12を通過する。
【0054】
電磁弁12を通過した湯水は、電磁弁側配管20を構成する第3電磁弁側通水路形成部材56、第2電磁弁側通水路形成部材54、及び第1電磁弁側通水路形成部材52の内部を流れて発電機14に到達する。次いで、発電機通水路形成部材24の大径部24aに流入した湯水は、大径部24aの中央部に配置されている邪魔板36を迂回して流れ、羽根車26の羽根26aに側面から当たる(図3の矢印参照)。この羽根車26の回転軸30に対して概ね直角な方向の湯水の流れにより、羽根車26が回転される。羽根車26を回転させた湯水は、羽根車26に設けられた羽根車通水路26b、軸受部34に設けられた貫通孔34b、発電機通水路形成部材24の小径部24bを通って発電機14から流出する。発電機14を通過した湯水は、吐水口側配管22を構成する吐水口側通水路形成部材42に流入し、これに連結された吐水口形成リング44、整流部材46を通って吐水口6から吐出される。
【0055】
また、羽根車26に取り付けられた発電用マグネット28は、羽根車26の回転と共に回転され、発電用マグネット28の周囲に形成される磁場が変化される。この磁場の変化は磁極片40により発電用コイル32に誘導され、発電用コイル32に起電力が発生する。発電機14により生成された電力は、コントローラ16に内蔵された充電器(図示せず)に充電され、電磁弁12の開閉、人感センサー8の作動、及びコントローラ16自体の作動に使用される。
【0056】
次いで、使用者の手指が人感センサー8によって検知されなくなると、コントローラ16は、電磁弁12に信号を送り、これを閉鎖状態に切り換える。これにより、水栓装置1は止水状態にされる。水栓装置1が止水状態にされた後、電磁弁12の下流側の通水路である電磁弁側配管20、吐水口側配管22、及び発電機通水路形成部材24の内部の湯水には重力が作用し、これらの通水路よりも下方に位置する吐水口6から湯水を流下させようとする。一方、吐水口6には整流部材46が配置されており、吐水口6から流出される湯水は整流部材46に設けられた多数の細孔を通って流出されるようになっている。このため、内部の湯水を流下させようとする重力に抗して表面張力が作用し、通水路内の湯水の流出は抑制される。しかしながら、通水路内の湯水の一部は整流部材46の細孔を通って流出されてしまい、流出した湯水と入れ代わって外気が通水路内に侵入する。また、通水路内の湯水は、外気に蒸発されることによっても減少される。
【0057】
通水路内に侵入した外気は、気泡となって通水路内で浮き上がり、上方に移動される。これにより、侵入した外気は、通水路内で最も上方に位置する空間である大径部24aの上方の部分である空気溜チャンバ24d(図3)に集まる。通水路、特に、発電機14の内部に侵入した空気は、発電機14の作用に悪影響を及ぼし、発電効率を低下させたり、発電量を不安定にする。さらには、侵入した空気は、発電機14から異音を発生させたり、影響が大きい場合には発電機14の寿命を縮めてしまう場合がある。また、発電機14の内部に溜まった空気は、吐水状態にされた後にも、内部を流れる湯水により全量が容易に押し出されることはなく、従来の水栓装置においては、発電機14内に空気が溜まったままとなる。
【0058】
本発明の実施形態による水栓装置1においては、発電機14は、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60により、水栓装置本体2に対して容易に振動できるように構成されている。このため、水栓装置1が吐水状態にされると、発電機14の内部の湯水の流れにより、発電機14に振動が励起される。発電機14に振動が発生すると、内部に溜まった空気が動かされ、内部を流れる湯水と共に排出されやすくなる。特に、侵入した空気が溜まる空気溜チャンバ24dには、羽根車26の羽根26aが配置されているので、発電機14の振動により気泡が動かされると、気泡は羽根26aの回転により容易に湯水の流れの中に掻き込まれ、湯水と共に排出される。
【0059】
さらに、電磁弁側ゴムブッシュ60は、吐水口側ゴムブッシュ58よりも振動を許容しやすく構成されているため、空気溜チャンバ24dが位置する発電機14の上流側が、下流側よりも、より大きく振動される。これにより、空気溜チャンバ24d内の空気の排出が促進される。さらに、発電機14の上流側には、比較的重量が軽い羽根車26が配置され、重量の重い発電用コイル32、発電用マグネット28が下流側に配置されているので、発電機14の上流側は、下流側よりも大きな振幅で振動されやすくなっている。
【0060】
また、発電機14を振動させるには、これに接続されている電磁弁側配管20及び吐水口側配管22が変形される必要がある。ここで、電磁弁側配管20は、パッキン52a、パッキン54a、及びパッキン56bを各部材の間に介装して構成されているのに対して、吐水口側配管22にはパッキン42bが設けられているのみであり、電磁弁側配管20の方が変形されやすくなっている。
【0061】
また、発電機14の吐水口側は、別体に構成された吐水口側通水路形成部材42に接続され、これに設けられた吐水口側支持ブラケット42aを介して吐水口側ゴムブッシュ58により水栓装置本体2に支持されている。また、発電機14の電磁弁側は、別体に構成された第3電磁弁側通水路形成部材56に接続され、これに設けられた電磁弁側支持ブラケット56aを介して電磁弁側ゴムブッシュ60により水栓装置本体2に支持されている。このため、発電機14と、これを支持する部材との間の相対的な移動が許容され、発電機14は、より振動されやすくなっている。
【0062】
さらに、発電機14が振動されると、これに接続された吐水口側配管22も振動されるが、この先端に取り付けられた吐水口形成リング44は、水栓装置本体2と接触しないように吐水口側配管22に配置されているため、発電機14の振動が吐水口形成リング44により妨げられることはない。また、水栓装置本体2と吐水口形成リング44が接触しないように構成されているため、吐水口形成リング44の振動が水栓装置本体2に伝わることによる異音の発生を防止することができる。
【0063】
また、吐水口側配管22を構成する吐水口側通水路形成部材42は、支持用パッキン50により水栓装置本体2に対して弾性支持されている。このため、発電機14の振動は、概ね、支持用パッキン50を支点とした上下方向の振動となる。ここで、吐水口形成リング44は、発電機14よりも支持用パッキン50の近くに配置されているため、支持用パッキン50を支点とする振動は、吐水口形成リング44の側の振幅が比較的小さくなり、発電機14が大きく振動されても、吐水口形成リング44から吐出される湯水の流れが大きく振られることはない。また、吐水口形成リング44の振動が大きくなり、水栓装置本体2と接触して異音が生じるのを防止することができる。
【0064】
さらに、発電機14の小径部24bと吐水口側通水路形成部材42の間にはパッキン42bを配置して、屈曲許容部を形成している。このため、発電機14の振動の一部は屈曲許容部により吸収され、発電機14から吐水口形成リング44に伝わる振動が小さくなり、吐水口形成リング44の振れが減少される。このため、吐水口形成リング44の振動が大きくなり、水栓装置本体2と接触して異音が生じるのを防止することができる。
【0065】
また、吐水口形成リング44は、水栓装置本体2の吐水口配置開口2cよりも内側に引っ込んで配置されているので、吐水口形成リング44が振動されても、それが外部からは視認され難く、水栓装置1の外観を損なうことがない。さらに、吐水口形成リング44と吐水口配置開口2cの間の隙間は、隙間カバー48によって覆われているので、水栓装置本体2と吐水口形成リング44の間に隙間が空けられていても、水栓装置1の外観を損なうことがなく、また、吐水口形成リング44の振動が外部から見えないようになっている。
【0066】
さらに、発電機14が振動されると、発電機通水路形成部材24には、これを変形させる力が作用する。特に、この力は、大径部24aと小径部24bを接続する段部24cに集中しやすいが、この段部24cを変形許容部として変形しやすく構成することにより、発電機通水路形成部材24作用する応力を逃がしている。しかしながら、段部24cの変形が過大になると、発電機通水路形成部材24の破壊に繋がる虞があるので、この段部24cに隣接して発電用コイル32を配置し、段部24cの変形が過大になるのを防止している。
【0067】
さらに、磁極片40の爪部40aは、段部24cを横断するように配置されており、段部24cの変形量を制限する。また、段部24cに隣接する小径部24bの内側には、軸受部34がはめ込まれているので、段部24cの内周部の変形量が制限される。さらに、羽根車26の回転軸30も、段部24cを横断するように配置されており、段部24cの変形量が制限される。加えて、防水カバー38は、発電用コイル32及び磁極片40を覆い、段部24cの両側の大径部24a及び小径部24bを覆うように配置されているので、段部24cの変形は、防水カバー38によっても制限される。
【0068】
本発明の実施形態の水栓装置1においては、発電機14は、吐水口6よりも上方に位置決めされているため、止水状態において吐水口6から水栓装置本体2内部に外気が侵入すると、外気が発電機14の内部に溜まることになる。発電機14は、振動励起手段である吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60(図6)により、羽根車26が回転されると容易に振動されるように、水栓装置本体2に対して支持されている。このため、発電機14の内部に溜まった空気は、発電機14の振動により排出されやすくなる。
【0069】
これにより、発電機14の内部に空気が溜まった場合にも、発電機14が振動されることにより空気が外部に排出されやすく、発電機14を安定に動作させることができる。この結果、発電機14は安定した電力を生成することができると共に、内部に空気が滞留し続けることによる異音の発生を防止することができる。
【0070】
また、本発明の実施形態の水栓装置1においては、吐水口形成リング44が水栓装置本体2と接触しないように吐水口側配管22に固定されている(図7)ので、発電機14が振動された場合にも、吐水口形成リング44を介して水栓装置本体2に振動が伝わることがなく、水栓装置本体2に振動が伝わることによる異音の発生を防止することができる。
【0071】
さらに、本発明の実施形態の水栓装置1においては、吐水口形成リング44が吐水口配置開口2cと接触しないように、吐水口形成リング44と吐水口配置開口2cの間に隙間が設けられていても、吐水口形成リング44が内側に引っ込んで位置決めされている(図7)ので、この隙間が使用者からは視認されにくく、水栓装置1の外観が損なわれることがない。
【0072】
また、本発明の実施形態の水栓装置1においては、吐水口形成リング44と吐水口配置開口2cの間の隙間を覆う隙間カバー48が設けられている(図7)ので、使用者から隙間が見えることがなく、水栓装置1の外観が損なわれることがない。
【0073】
さらに、本発明の実施形態の水栓装置1においては、発電機14と吐水口形成リング44の間に接続された吐水口側配管22を、水栓装置本体2に対して支持用パッキン50が弾性支持している(図7)。このため、発電機14及び吐水口形成リング44は、これらの間の支持用パッキン50によって弾性支持されている部分を概ね支点として振動する。この結果、支点を持たずに振動している場合に比べ、吐水口形成リング44の振幅が小さくなる。このため、吐水口形成リング44の振幅が大きくなることにより、吐水口形成リング44と水栓装置本体2が接触し、異音を発生するのを防止することができる。また、吐水口形成リング44の振幅が大きくなることにより、水栓装置1から吐出される水流が振動され、吐出される流れの美観が損なわれるのを防止することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態の水栓装置1においては、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60は、水栓装置本体2に対する鉛直方向の振動を許容するように構成されている(図6)と共に、支持用パッキン50は、鉛直方向よりも他の方向により容易に振動できるように吐水口側通水路形成部材42を弾性支持する(図7)。このため、簡単な構造で、吐水口側通水路形成部材42を弾性支持する支点を形成することができる。また、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60が鉛直方向の振動を許容するように構成されているため、吐水口形成リング44も主に鉛直方向に振動されるので、吐水口形成リング44の振動が吐出される流れの美観に与える影響を少なくすることができる。
【0075】
さらに、本発明の実施形態の水栓装置1においては、吐水口側通水路形成部材42と発電機14の間にパッキン42bが配置され(図7)、これが、吐水口側通水路形成部材42と発電機14の間の屈曲を許容する屈曲許容部として機能する。この屈曲許容部が、発電機14の振動の一部を吸収する。この結果、吐水口形成リング44の振幅が大きくなって、吐水口形成リング44と水栓装置本体2が接触し、異音を発生するのを防止することができる。また、吐水口形成リング44の振幅が大きくなることにより、水栓装置1から吐出される水流が振動され、吐出される流れの美観が損なわれるのを防止することができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、振動励起手段として吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60を採用し、発電機14に発生する振動的な力に基づいて発電機14の振動を励起していたが、変形例として、発電機を振動させるためのアクチュエータを別に設け、このアクチュエータにより発電機を水栓装置本体に対して支持しても良い。このように、振動励起手段をアクチュエータによって構成することにより、発電機をより大きく振動させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 本発明の実施形態による水栓装置
2 水栓装置本体
2a 基端部
2b 水平部
2c 吐水口配置開口
4 温度調節用ツマミ
6 吐水口
8 人感センサー
10 温度調節バルブ
12 電磁弁
14 発電機
16 コントローラ
18a 湯供給管
18b 水供給管
20 電磁弁側配管
22 吐水口側配管
24 発電機通水路形成部材
24a 大径部
24b 小径部
24c 段部(変形許容部)
24d 空気溜チャンバ
26 羽根車
26a 羽根
26b 羽根車通水路
28 発電用マグネット
30 回転軸
32 発電用コイル
34 軸受部
34a 軸受穴
34b 貫通孔
36 邪魔板
36a 軸受穴
38 防水カバー
40 磁極片
40a 爪部
42 吐水口側通水路形成部材
42a 吐水口側支持ブラケット
42b パッキン
44 吐水口形成リング(吐水口形成部)
46 整流部材
48 隙間カバー
50 支持用パッキン
52 第1電磁弁側通水路形成部材
52a パッキン
54 第2電磁弁側通水路形成部材
54a パッキン
56 第3電磁弁側通水路形成部材
56a 電磁弁側支持ブラケット
56b パッキン
58 吐水口側ゴムブッシュ(弾性部材、振動励起手段)
58a ビス
60 電磁弁側ゴムブッシュ(弾性部材、振動励起手段)
60a ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵された発電機の電力により電磁弁を駆動して止水、吐水を切り換える水栓装置であって、
水栓装置本体と、
この水栓装置本体の内部に配置され、止水、吐水を切り換える電磁弁と、
この電磁弁を通過した水を吐出させる吐水口が形成され、上記水栓装置本体に設けられた吐水口配置開口の中に配置される吐水口形成部と、
上記電磁弁の下流側に配置されると共に、上記水栓装置本体内部の上記吐水口と同一の高さ又は上記吐水口よりも上方に位置決めされ、上記電磁弁を通過した水の流れによって上記電磁弁を駆動する電力を生成する羽根車式の発電機と、
上記発電機の振動が励起されるように、上記発電機を上記水栓装置本体に対して支持する振動励起手段と、
上記吐水口形成部が上記水栓装置本体と接触しないように、上記吐水口形成部を上記発電機と連結し、固定する吐水口側配管と、
を有することを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
上記吐水口形成部は、上記水栓装置本体の上記吐水口配置開口よりも内側に引っ込んで位置決めされている請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
さらに、上記水栓装置本体に取り付けられ、上記吐水口形成部と上記吐水口配置開口との間の隙間を覆う隙間カバーを有する請求項1記載の水栓装置。
【請求項4】
さらに、上記吐水口側配管を上記水栓装置本体に対して弾性支持する支点形成部材を有する請求項1記載の水栓装置。
【請求項5】
上記振動励起手段は、上記水栓装置本体に対する鉛直方向の振動が励起されるように構成されていると共に、上記支点形成部材は、鉛直方向よりも他の方向により容易に振動できるように上記吐水口側配管を弾性支持する請求項4記載の水栓装置。
【請求項6】
さらに、上記吐水口側配管と上記発電機の間に配置され、上記吐水口側配管と上記発電機の間の屈曲を許容する屈曲許容部が設けられている請求項5記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−208421(P2011−208421A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76784(P2010−76784)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】