説明

水溶性重合体の製造方法

【課題】 スチールベルト上などの基材上において、重合して得られた水溶性重合体を基材から剥離する際に基材が磨耗すること、および剥離後に重合体の残留物により基材の表面に膜が形成されることを防止する。
【解決手段】 粘稠液が浸透しない基材上において、単量体成分を含む粘稠液を、たとえば、水玉状のように、基材上に粘稠液が展開されていない領域が存在する不連続な形状とした後に重合する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単量体成分を含む粘稠液を重合して水溶性重合体を製造する方法に関し、特に、粘稠液が浸透しない基材上において、粘稠液を不連続な形状とした後に重合させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、テフロン(登録商標)ライニングベルトや樹脂フィルムラミネートベルト等の基材上で、単量体成分を含む液を重合させる方法においては、基材上に単量体を含む液を均一に供給した後に、該単量体を重合せしめてシート状重合体とすることが行われている。そして、得られたシート状重合体を解砕して重合体粗粒とした後に乾燥して製品としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の重合体の製造方法においては、基材上に単量体を含む液を均一に供給した後、すなわち、基材上に単量体を含む液の連続的な形状を形成した後に重合する。このため、重合が行われる領域の全体において基材と接しているシート状重合体が得られる。このため、スクラバーを用いて基材からシート状重合体を剥がす際に、基材の表面に大きな力を加える必要が生じる。従って、スクラバーとの接触による基材の磨耗が早く進行し、基材の交換を頻繁に行う必要が生じるという問題点がある。また、単量体を重合することにより基材上にシート状重合体が形成されるため、スクラバーにより剥離できなかった重合体の残留物が薄膜として基材上に残り易い。このため、基材を定期的に洗浄して残留物の薄膜を取り除く必要があるという問題点がある。さらに、解砕機によりシート状重合体を解砕する際に生じる重合体粗粒は、解砕機のハウジングなどに付着しやすいため、解砕機の整備を頻繁に行って重合体粗粒を取り除く必要があるという問題点もある。
【0004】本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、重合体を基材から剥離する際の基材の磨耗、および剥離後の重合体の残留物が基材へ付着することを抑制あるいは防止することができ、重合体の解砕工程を簡略化または省略することができる水溶性重合体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、単量体成分を含む粘稠液を、基材上において、たとえば、水玉状、筋状、棒状等の不連続な形状とした後に重合させることにより、上記問題点を解消できることを見出した。すなわち、粘稠液を基材上に不連続に展開し、基材上の粘稠液を展開することが可能な領域に粘稠液により覆われていない領域が存在している状態で、重合させて得られた重合体は基材から容易に剥離させることができるため、スクラバーによる基材の磨耗および基材への重合体の付着を防止することができる。また、基材上において、粘稠液により所望の形状を形成した後に重合することにより、重合体の解砕工程を省略または簡略化し、乾燥効率および製品歩留まりを向上させられることを確認して、本発明を完成させるに至った。
【0006】本発明の水溶性重合体の製造方法は、上記の課題を解決するために、粘稠液が浸透しない基材上において、単量体成分を含む粘稠液を不連続な形状とした後に重合することを特徴としている。
【0007】上記の発明によれば、粘稠液中の単量体成分を重合して重合体とした状態において、基材上に重合体が形成されていない領域が存在する。このため、重合体が形成されている基材表面の重合体と接触している面積を小さくすることができる。
【0008】また、重合体の製造方法に用いられている基材は、粘稠液が浸透しないものである。このため、基材上の粘稠液の形状を不連続な形状とすると、表面張力により粘稠液は基材との接触面積を小さくしようとするため、粘稠液と基材との間に隙間が形成される。
【0009】たとえば、基材上において、粘稠液により水玉状(水玉模様状)の形状を形成すると、基材と粘稠液との界面において働く表面張力(界面張力)により、粘稠液が小さな表面積をとろうとするため、粘稠液により形成された水玉状の形状の各円形状の周縁部において、基材との間に隙間が形成される。さらに、通常、重合することにより粘稠液は収縮するが、この際にも水玉状の形状を形成する各円形状の周縁部において、基材との間に隙間が形成される。このように、基材上の粘稠液の形状を不連続な形状として重合することにより、得られる重合体と基材との接触面積を小さくすることができる。そして、粘稠液により形成されている各円形状の周縁部、すなわち、基材表面の、重合体と接している領域と重合体と接していない領域との境界においては、上述した粘稠液の表面張力および重合の際の収縮によって、重合体が基材から浮いた状態となっている。
【0010】すなわち、粘稠液の形状を不連続な形状とした後に重合することにより、基材と重合体との接触面積を従来のシート状重合体よりも小さくすることができる。さらに、基材上の重合体に、基材表面から浮いた状態となっている部分を形成することができる。このため、重合体を剥離する際に、スクラバー等の剥離手段を重合体と基材表面との間に容易に進入させることができる。
【0011】したがって、基材の表面に大きな力を加えることなく基材上の重合体を剥離し、基材上に残留物が残ることを防止または抑制することができる。これより、粘稠液を不連続な形状として重合して重合体とした後に、該重合体を基材から剥離することが容易となる。このため、重合体を基材から剥離する際に基材が磨耗することを防止または抑制すること、および、重合体の残留物により形成された薄膜を取り除くための基材の洗浄を不要とすることまたはその回数を少なくすることができる。
【0012】さらに、基材上で粘稠液を所望の不連続な形状とした後に重合して重合体を得るため、粘稠液を重合体の製品に必要とされる形状として重合することにより、得られた重合体の解砕工程および乾燥工程を簡略化または省略することが可能となり、歩留まりも向上する。
【0013】なお、基材上における粘稠液の重合は、基材上から粘稠液を剥離することができる程度にまで進行させれば良い。すなわち、粘稠液中の単量体成分の重合を基材上で完結させることとしてもよく、あるいは単量体成分の重合を基材上で完結させずに、粘稠液を基材から剥離した後に完結させることとしてもよい。
【0014】本発明において「基材」とは、その表面上で粘稠液の重合が行われるものをいう。また、「粘稠液」とは単量体成分、単量体成分が部分的に重合してなる重合体成分および/または増粘剤を含んでなるものをいい、これら成分の他に、重合開始剤、溶媒などを含む。また、「不連続な形状」とは、基材上の粘稠液を展開することができる領域の少なくとも一部に粘稠液が存在しない領域が存在する形状をいう。
【0015】本発明の水溶性重合体の製造方法は、上記粘稠液の粘度が、25℃において10mPa・s以上20,000,000mPa・s以下の範囲内であることを特徴としている。
【0016】これにより、基材上において、単量体成分を含む粘稠液により所望の形状をより確実に形成することができる。すなわち、粘稠液の粘度を上記範囲内にすることにより、粘稠液に保形性を与えることができるため、粘稠液により所望の形状を確実に形成することが可能となる。
【0017】本発明の水溶性重合体の製造方法は、上記基材がベルトであることを特徴としている。
【0018】これにより、基材上に形成された不連続な形状の単量体成分を含む粘稠液に、たとえば光を照射したり熱を加えたりすることにより、重合体を形成することができる。したがって、所望の形状の重合体をより効率的に製造することが可能となる。なお、本発明においてベルト」とは、2以上のベルト車にかけて循環させ運ぶために用いられる平帯状や湾曲状のものをいう。また、ベルトとしては、継ぎ目のないエンドレスベルトを用いることが好ましい。
【0019】本発明の水溶性重合体の製造方法は、上記粘稠液の不連続な形状が、複数の独立した同一形状であることを特徴としている。
【0020】上記の発明によれば、粘稠液中の単量体成分を重合することにより同一形状の重合体が得られる。このため、従来のシート状重合体を解砕して得られた重合体粗粒のように、形状の違いによる乾燥状態の相異が生じないため、乾燥効率を良くすること、および製品の歩留まりを向上させることができる。なお、本発明において「独立した同一形状」とは、基材上において、互いに接していない粘稠液により形成されている形状が同一であることをいう。たとえば、基材上において、同じ大きさの複数の円形状よりなる水玉状の形状が形成されている場合には、各円形状が独立した同一形状である。
【0021】本発明の水溶性重合体の製造方法は、上記粘稠液の不連続な形状が、水玉状であることを特徴としている。また、上記粘稠液の不連続な形状は、棒状であってもよい。
【0022】本発明の水溶性重合体の製造方法は、上記単量体が酸型単量体であることを特徴としている。また、上記単量体はアクリル酸であってもよい。
【0023】上記の発明によれば、基材上の重合体を容易に剥離することができる。したがって、重合体を基材から剥離する際の基材の磨耗を、より確実に、防止または抑制することができる。そして、重合体の残留物により形成された薄膜を取り除くために必要な基材の洗浄を不要とすること、またはその回数を少なくすることをより確実とすることができる。さらに、得られた重合体の解砕工程をより確実に簡略化または省略することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の水溶性重合体の製造方法の実施の一形態について、以下に説明する。
【0025】本実施の形態の水溶性重合体(以下、重合体と記す)の製造方法は、単量体が浸透しない基材上において、単量体成分を含む粘稠液を不連続な形状とした後に重合する方法である。
【0026】上記重合体となるべき単量体成分を構成する単量体、つまり、重合体の原料として用いられる単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;上記不飽和モノカルボン酸系単量体を、一価金属、ニ価金属、アンモニア、有機アミン等で部分中和または完全中和してなる中和物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;上記不飽和ジカルボン酸系単量体を、一価金属、ニ価金属、アンモニア、有機アミン等で部分中和または完全中和してなる中和物;(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;上記不飽和スルホン酸系単量体を、一価金属、ニ価金属、アンモニア、有機アミン等で部分中和または完全中和してなる中和物;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、α−ヒドロキシアクリル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の含リン単量体;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0027】これら単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の単量体のうち、不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和モノカルボン酸系単量体を部分中和または完全中和してなる中和物、不飽和スルホン酸系単量体、および、不飽和スルホン酸系単量体を部分中和または完全中和してなる中和物がより好ましい。そして、単量体成分がアクリル酸(塩)を含んでいることがさらに好ましく、アクリル酸(塩)を主成分として、具体的には単量体全体の50モル%以上として含んでいることが特に好ましい。
【0028】粘稠液中の重合前の単量体成分の濃度は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。単量体成分の濃度を10重量%以上にすることにより、重合により得られる重合体の分子量および重合率を所望の範囲にすることが容易になる。
【0029】粘稠液の粘度は、10mPa・s以上20,000,000mPa・s以下の範囲内であることが好ましく、50mPa・s以上10,000,000Pa・s以下の範囲内であることがより好ましく、100mPa・s以上1,000,000Pa・s以下の範囲内であることがさらに好ましい。単量体を含む粘稠液の粘度を上記範囲内とすることにより、粘稠液にある程度の保形性を与えることができる。このため、基材上において、粘稠液を用いて所望の形状を形成しやすくなり、所望の不連続な形をした重合体を容易に形成することができる。
【0030】粘稠液の粘度を上記範囲とする方法としては、たとえば、単量体成分を含む液中の単量体成分の一部を重合する方法や、単量体成分を含む液中に増粘剤を添加する方法等が挙げられる。
【0031】単量体成分の一部を重合させる方法としては、単量体成分を含む液に熱を加えて重合反応を進行させる方法、単量体成分を含む液に光を照射することにより重合反応を進行させる方法などが挙げられる。
【0032】増粘剤としては、たとえば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、澱粉、アルギン酸、グアガム、アラビアゴム、トラガントガム等の天然物、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、架橋ポリアクリル酸、水性ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水溶性エポキシ化合物、水溶性ポリエステル等の合成高分子が挙げられる。
【0033】粘稠液の粘度を所望の範囲内にするために添加される増粘剤は、増粘剤の種類に応じて必要な量を添加すればよいが、粘稠液に含まれる量として0.1重量%以上10重量%以下の範囲内とすることが好ましい。
【0034】基材の形状は特に限定されないが、その表面は粘稠液が浸透しない素材により形成されているものである。基材としては、たとえば、スチールベルトやゴムベルト等のベルト、平板等が挙げられる。前記例示の基材中では、ベルトが好ましい。ベルト上おいて、粘稠液の不連続な形状を形成して重合することにより、所望の形状の重合体を連続して製造することが可能であり、重合体の生産性を向上させることができる。
【0035】また、粘稠液が浸透しない基材表面を構成する材料としては、テフロン(登録商標)、アルミニウム、鉄、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0036】上記基材の表面形状としては、平面や、湾曲した形状などがあるが、平面であることが好ましい。表面の形状が平面である基材を用い、その上で粘稠液を不連続な形状とし、単量体成分を重合して重合体とすると、平板状のスクラバーを用いて基材から重合体を剥離することが容易となる。
【0037】基材上において、粘稠液により形成された不連続な形状の厚みは、1mm以上50mm以下の範囲内であることが好ましく、3mm以上30mm以下の範囲内であることがより好ましく、3mm以上20mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。これにより、重合反応を行う場合等において、粘稠液に光や熱を均一に加えることができる。このため、重合反応を均一に進行させて、単量体の重合にムラが生じることを防止することができる。また、重合体の基材からの剥離性、および重合体の乾燥性を良好にすることができる。
【0038】本実施の形態の重合体の製造方法において、粘稠液を基材上に不連続に展開して得られる好ましい展開形状としては、水玉状(水玉模様状)、棒状、曲線状を挙げることができる。これら粘稠液の形状は、基材からの重合体の剥離性、製造された重合体の取り扱い性、乾燥性が良好であるという効果が発揮されるものであれば、形状が同一である必要はなく、異なる複数の形状が混在したものであってもよい。すなわち、円形状の直径や、楕円形状の長軸の長さ、短軸の長さが、異なるものが混在して構成されていてもよい。しかしながら、水溶性重合体の製造方法の工程を簡略化することができ、かつ得られた重合体の取り扱い性、および乾燥性を良好にすることができるため、基材上の粘稠液は同一な形状に揃えることが好ましい。
【0039】ここで、基材上に形成される粘稠液の形状の一例として、水玉状の形状を例に挙げて、不連続な形状について以下に説明する。水玉状の形状を構成する単位となる各形状は、円形状のみに限られず、楕円形状であってもよい。また、水玉状の形状は、円形状、楕円形状のいずれかのみから形成されていても、円形状と楕円形状とが混在してなるものであってもよい。
【0040】また、基材上において、粘稠液が同一な形状に揃えられているとは、水玉状の形状を構成する単位となる各形状が、円形状である場合にはその直径が揃っていることをいい、楕円形状である場合にはその長軸の長さおよび短軸の長さが揃っていることをいう。具体的には、上記各形状が円形状である場合は、基材上に形成されている円形状の形状において70%以上のものが、該円形状の直径の平均値の50%以上150%以下の範囲内であることが好ましく、60%から140%以内の範囲内であることがより好ましく、70%以上130%以下の範囲内であることがさらに好ましい。また、上記各形状が楕円形状である場合は、基材上の楕円形状の形状において70%以上のものが、該楕円形状の長軸の長さの平均値の50%以上150%以下の範囲内であることが好ましく、60%から140%以内の範囲内であることがより好ましく、70%以上130%以下の範囲内であることがさらに好ましい。すなわち、基材上において水玉状の形状を構成する円形状の直径、楕円形状の長軸の長さは、これらの平均値を基準とした変動率が、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
【0041】粘稠液により形成されている水玉状の形状を構成する円形状の直径は、1mm以上70mm以下の範囲内であることが好ましく、3mm以上50mm以下の範囲内であることがより好ましく、5mm以上30mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。また、水玉状の形状を構成する楕円形状の長軸の長さが3mmよりも大きく70mm以下であり、かつ、短軸の長さが3mm以上70mm未満であることが好ましい。また、上記水玉状の形状を構成する各形状間の距離は、最も近接する形状間の距離、すなわち隣接する形状の最近接部の距離が1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましい。
【0042】基材上に水玉状の形状を形成する場合、円形状または楕円形状の数は、50cm四方の基材における任意の場所の面積中に、4個以上16000個以下の範囲内であることが好ましく、10個以上15000個以下の範囲内であることがより好ましく、20個以上10000個以下の範囲内であることがさらに好ましく、40個以上8000個以下の範囲内であることがさらに好ましく、100個以上6000個以下の範囲内であることがさらに好ましい。基材上の50cm四方の面積中に形成される円形状の直径、隣接する形状の最近接部の距離、および円形状の個数の例について、下記の表1に示す。
【0043】
【表1】


【0044】また、基材上における粘稠液が棒状または曲線状の形状である場合には、その幅、すなわち、粘稠液の幅が、1mm以上70mm以下の範囲内であることが好ましく、3mm以上50mm以下の範囲内であることがより好ましい。また、上記棒状または曲線状の形状を構成する各形状間の距離は、互いに接触しない距離であればよいが、最も近接する形状の間の距離、すなわち隣接する形状の最近接部の距離が1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましい。
【0045】基材上において、粘稠液を所望の形状にする方法としては、たとえば、粘稠液を基材上に滴下する方法が挙げられる。この方法は、熱可塑性樹脂を加熱溶融して、滴下、冷却、固化させてタブレット(錠剤)状にするために用いられる一般的な装置を用いて実施することができる。具体的には、樹脂類の製造の際に、造粒装置として用いられている、ロートフォーマー(商品名、サンドビック株式会社製)、ロールドロップ(商品名、日本ベルディング株式会社製)等を用いることができる。
【0046】また、基材上において、粘稠液を筋(ストリップ)状や、細棒状に展開し、棒状または曲線状の形状を形成する方法としては、等間隔の細孔が形成されている供給管より基材上に粘稠液を供給する方法、複数の定量ポンプを並列に設置して、粘稠液を基材上に供給する方法等が挙げられる。この方法は、熱可塑性樹脂を加熱溶融した状態で筋状とし、冷却、固化させるために用いられる一般的な装置を用いて実施することができる。具体的には、樹脂類の製造の際に、造粒装置として用いられている、ストリップフォーマー(商品名、サンドビック株式会社製)等を用いることができる。
【0047】また、基材状において、展開した棒状または曲線状の形状であるが、種々の形状が混在していてもよく、同じ形状の筋や棒や線状であってもよい。
【0048】また、基材上において粘稠液を不連続な形状とした後に重合し重合体とされた状態において、基材表面の重合体と接している領域の総面積は、基材表面の粘稠液を展開することが可能な領域の面積の1%以上90%以下の範囲内とすることが好ましく、10%以上70%以下の範囲内とすることがより好ましく、20%以上60%以下の範囲内とすることがさらに好ましい。基材表面の重合体と接している領域の総面積を上記範囲内とすることにより、粘稠液により従来の連続な形状(例えば、基材上面の有効平面部分のほとんどに展開するような板状の展開形状)を形成して重合する従来の方法に比較して、基材から重合体を容易に剥離して、取り除くことができる。また、基材表面の重合体と接している領域の総面積を上記範囲とすることで、より均一で、短い時間での重合も可能となる。
【0049】本実施の形態の重合体の製造方法における、上記の不連続な粘稠液の基材上への展開状態とは、より具体的には、基材の長手方向、例えば、基材がベルトである場合には、基材の移動方向に対して、直角方向からその粘稠液の展開状態を観察した場合、基材が、板状に展開された展開物で覆われているような従来の板状による展開状態ではなく、少なくとも長手方向、例えば、基材がベルトである場合には、基材の移動方向に対して、直角方向からその粘稠液の展開状態を観察した場合、その展開物が直角方向に対して連続していないような展開状態を示すものである。具体的には、上記のように、基材の長手方向から観測した場合、少なくとも展開物で覆われていない状態の基材が観測されるような状態のことを示す。この観測時において観測される、基材表面と重合体が接している領域の総面積としては上記の総面積であることが好ましい。
【0050】本実施の形態の重合体の製造方法を実施する際の重合反応は、熱重合開始剤が添加されている粘稠液を加熱すること、光重合開始剤が添加されている粘稠液に光照射を行うこと等により進行させることができる。
【0051】本実施の形態の重合体の製造方法に用いることができる熱重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;ペルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)、ペルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム)等のペルオキソ二硫酸塩(過硫酸塩);2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0052】また、単量体成分1モルに対する熱重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、0.0001モル以上0.05モル以下の範囲内が好適である。なお、重合をより促進させるために、上記重合開始剤と、(重)亜硫酸塩や遷移金属塩等の還元剤とを併用することもできる。
【0053】本実施の形態の重合体の製造方法において、粘稠液に光照射を行うことにより重合反応を進行させる場合、すなわち、光重合反応により重合を行う場合の条件について、以下に説明する。
【0054】単量体成分を光重合して重合体とする場合に用いられる光源は、主要波長が100nm以上800nm以下の範囲内にあるものであればよい。光源としては、たとえば、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、炭素アーク灯、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、白熱電球、蛍光ランプ、アルゴングロウランプ、ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。光強度(照度)は、粘稠液に含まれる単量体成分の濃度、基材上の粘稠液の形状等に応じて設定されるが、通常、1〜100W/m2が賞用される。
【0055】光重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2、2’アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、1,1’−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−N−シクロヘキシルアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)およびその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(1,1’−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等の水溶性アゾ系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチルおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、ジフェニルジスルフィドおよびその誘導体、ベンゾフェノンおよびその誘導体、ベンジルおよびその誘導体、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなど様々な化合物があり、これら例示したもの以外の光重合開始剤を使用することもできる。上記例示した光重合開始剤は、それぞれ単独で使用することができ、また複数を組み合わせて使用することもできる。
【0056】上記光重合開始剤の使用量は、単量体成分100重量部対して、0.0001重量部以上5重量部以下の範囲内とすることが好ましく、0.001重量部以上1重量部以下の範囲内とすることがより好ましい。光重合開始剤の添加量を、単量体成分100重量部に対して上記の範囲内とすることにより、光重合反応により得られる重合体の分子量および重合率を十分なものとすることができる。
【0057】本実施形態の重合体の製造方法を適用して粘稠液中の単量体成分を重合する際に好適に用いることができる溶媒としては、例えば、水;水と相溶性を有する水性溶媒;水と水性溶媒との混合溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の、非水性溶媒;が挙げられるが、特に限定されるものではない。該水性溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の低級エーテル;等が挙げられる。上記例示の溶媒のうち、水がより好ましい。また、溶媒として上記混合溶媒を用いる場合における水の割合は、特に限定されるものではないが、40重量%以上であることがより好ましい。単量体成分1モルに対する溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。
【0058】本実施の形態の重合体の製造方法における、単量体成分の重合反応の反応条件は、特に限定されるものではないが、反応温度は、50℃〜120℃の範囲内がより好ましく、60℃〜115℃の範囲内がさらに好ましく、90℃〜110℃の範囲内が特に好ましい。
【0059】以上のように、本発明の水溶性重合体の製造方法は、重合体が浸透しない基材上において、単量体成分を含む粘稠液を不連続な形状として、その状態で重合して重合体とするものである。このため、基材の表面に大きな力を加えることなく基材上の重合体を剥離し、基材上に残留物が残ることを防止または抑制することができる。これにより、基材の交換・洗浄を不要または抑制することができる。さらに、不連続な形状の重合体が得られるため、その解砕工程および乾燥工程を簡略化または省略することできる。
【0060】
【実施例】以下に、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例においては、「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表している。
【0061】〔実施例1〕容量500mlのビーカーに、単量体成分としてのアクリル酸43.1部と、溶媒としてのイオン交換水103.1部とをとり、アクリル酸水溶液とした。次に、サランラップ(登録商標)で覆った後、マグネチックスターラーにより攪拌しながら、窒素をバブリングさせることによりアクリル酸水溶液中の溶存酸素を除去した。
【0062】次に、上記アクリル酸水溶液に、光重合開始剤であるダロキュア1173(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカル株式会社製)の1%アクリル酸溶液1.87部(最終的にアクリル酸1モルに対して、ダロキュアとして0.03gの添加量となる量)、および次亜リン酸ナトリウムの1%水溶液1.87部(最終的にアクリル酸1モルに対して、次亜塩素酸ナトリウムとして0.03gの添加量となる量)を添加した。この時点での、アクリル酸水溶液の温度は23℃であった。
【0063】上記ビーカー中のダロキュア1173の1%アクリル酸溶液および次亜塩素酸ナトリウムの1%水溶液が添加されたアクリル酸水溶液の入っているビーカーを、サランラップで覆った状態で、ブラックライト水銀ランプ(H400BL−L、東芝ライテック株式会社製)を用いて上記ビーカー中の水溶液の表面における光量が1.7mW/cm2となる強度で光照射を行った。この照射により、アクリル酸水溶液中のアクリル酸の重合反応を開始させて、上記条件の下、50秒間の光照射を行い、粘稠液Aを得た。この粘稠液Aの粘度を測定した結果、47℃において1230mPa・sであった。このようにして、その一部が光重合反応により重合された重合体成分を含む粘稠液である粘稠液Aを得た。
【0064】上記のようにして得られた粘稠液Aにより、窒素雰囲気内に設置された基材としてのSUS316板上に、平均の厚みが3mmであり、かつ、基材上の粘稠液Aによる水玉状の形状が形成されている面積の合計が、基材表面のうち、該水玉状の形状が形成されている面の、粘稠液Aを展開すること(のせること)ができる領域の面積(以下、基材表面積と記す)に対して45%となるように、水玉状の形状を形成した。なお、水玉状の形状を構成する各円形状は同じ大きさとし、その直径を10mmとした。
【0065】ついで、SUS316板上の水玉状の粘稠液Aに、上記ブラックライト水銀ランプを用いて、SUS316板の表面における光量が1.7mW/cm2となる強度で3分間の光照射を行い、アクリル酸の光重合反応を完結させた。このようにして、上記粘稠液A中のアクリル酸の重合反応を完結させて得られた重合体を、予め105℃に調整された熱風循環式乾燥機で90分間乾燥した。乾燥後の重合体は、基材であるSUS316板から容易に剥離するものであり、その形状は、粘稠液Aにより形成された水玉状、すなわちタブレット状であった。また、乾燥後の重合体は、その水分量が2.2%であり、卓上粉砕機を用いて容易に粉砕することができるものであった。結果を表1に示す。
【0066】〔実施例2〕実施例1と同様にして、ダロキュア1173の1%アクリル酸溶液および次亜塩素酸ナトリウムの1%水溶液が添加されたアクリル酸水溶液を調製し、このアクリル酸水溶液にカルボキシメチルセルロース(CMC)を添加して、系の粘度を330mPa・sとした。このようにして得られた水溶液を以下粘稠液Bと記す。
【0067】上記粘稠液Bにより、窒素雰囲気内に設置された基材としてのSUS316板上に、平均の厚みが3mmであり、かつ、基材上の粘稠液Bによる筋形状が形成されている面積の合計が、基材表面積の30%となるように、筋状の形状を形成した。
【0068】ついで、SUS316板上の筋状の形状の粘稠液Bに、上記ブラックライト水銀ランプを用いて、SUS316板の表面における光量が1.7mW/cm2となる強度で4分間の光照射を行い、アクリル酸の光重合反応を完結させた。このようにして、上記粘稠液B中のアクリル酸の重合反応を完結させて得られた重合体を、予め105℃に調整された熱風循環式乾燥機で90分間乾燥した。乾燥後の重合体は、基材であるSUS316板から容易に剥離するものであり、その形状は、粘稠液Bにより形成された筋状、すなわち紐状であった。また、乾燥後の重合体は、その水分量が1.3%であり、卓上粉砕機を用いて容易に粉砕することができるものであった。結果を表1に示す。
【0069】〔比較例1〕上記実施例1と同様にして粘稠液Aを作製し、窒素雰囲気内に設置された基材としてのSUS316板表面の粘稠液Aを展開することができる領域の全てに、その厚みを3mmとして、粘稠液Aを展開した。すなわち、粘稠液Aによる連続的な厚さ3mmの膜が形成されている面積が、基材の表面積の100%となるように、粘稠液Aの膜を形成した。
【0070】ついで、粘稠液Aに、上記ブラックライト水銀ランプを用いて、SUS316板表面における光量が1.7mW/cm2となる強度で3分間の光照射を行い、アクリル酸の光重合反応を完結させた。このようにして、上記粘稠液A中のアクリル酸の重合反応を完結させて得られた重合体を、予め105℃に調整された熱風循環式乾燥機で90分間乾燥した。乾燥後の重合体は、基材であるSUS316板に強固に付着しており、容易に剥離することができないものであった。また、その形状は、SUS316板上に、粘稠液Aにより形成されたシート状形状(平板状)であった。また、乾燥後の重合体は、その水分量が8.9%であり、卓上粉砕機を用いて容易に粉砕することができないものであった。結果を表2に示す。
【0071】
【表2】


【0072】上記の表2に示すように、単量体成分を含む粘稠液が基材上に不連続な部分を有する形状として、重合反応を行うことにより、重合反応により得られた重合体を、基材から容易に剥離することが可能となる。さらに、このようにして得られた重合体は不連続な形状であり、その表面積が大きいため、乾燥効率が良く、水分量が少ない粉砕性の良好なものとなる。
【0073】
【発明の効果】本発明の水溶性重合体の製造方法は、以上のように、粘稠液が浸透しない基材上において、単量体成分を含む粘稠液を不連続な形状とした後に重合するものである。
【0074】それゆえ、基材と重合体との接触面積を小さくすること、および基材上の重合体に、基材表面から浮いた状態となっている部分を形成することができる。このため、基材の表面に大きな力を加えることなく基材上の重合体を剥離し、基材上に残留物が残ることを防止または抑制することが可能となり、生産性の良好な水溶性重合体の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【0075】また、上記粘稠液の粘度は25℃において10mPa・s以上20,000,000mPa・s以下の範囲内であってもよい。これにより粘稠液に保形性を与えることができるため、基材上において、粘稠液により所望の形状を確実に形成することができるという効果を奏する。
【0076】また、上記基材はベルトであってもよい。これにより、基材上において、連続的に重合体を形成し、所望の形状の重合体をより効率的に製造することができるという効果を奏する。
【0077】上記粘稠液の不連続な形状は、複数の独立した同一形状であってもよい。これにより、粘稠液中の単量体成分を重合することにより同一形状の重合体が得られる。このため、重合体の乾燥効率を良くすること、および製品の歩留まりを向上させることができるという効果を奏する。
【0078】上記粘稠液の不連続な形状は、水玉状または棒状であってもよい。また、上記単量体は、酸型単量体またはアクリル酸であってもよい。これにより、重合体を基材から剥離する際の基材の磨耗を、より確実に、防止または抑制することができるという効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】粘稠液が浸透しない基材上において、単量体成分を含む粘稠液を不連続な形状とした後に重合することを特徴とする水溶性重合体の製造方法。
【請求項2】上記粘稠液の粘度が、25℃において10mPa・s以上20,000,000mPa・s以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体の製造方法。
【請求項3】上記基材がベルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性重合体の製造方法。
【請求項4】上記粘稠液の不連続な形状が、複数の独立した同一形状であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の水溶性重合体の製造方法。
【請求項5】上記粘稠液の不連続な形状が、水玉状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水溶性重合体の製造方法。
【請求項6】上記単量体成分が酸型単量体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水溶性重合体の製造方法。

【公開番号】特開2003−137908(P2003−137908A)
【公開日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−338409(P2001−338409)
【出願日】平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】