説明

水硬性結合剤および熱分解法金属酸化物を含む粉末状組成物

15μm未満の粒度分布のd50値を有する少なくとも1つの水硬性結合剤、および100gの水硬性結合剤に対して20〜600m2の表面積の比率で少なくとも1つの熱分解法金属酸化物を含む、粉末状組成物。水硬性結合剤を含有する製品の製造への前記粉末状組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水硬性結合剤および熱分解法金属酸化物を含む組成物に関する。
【0002】
反応性充填材、例えばマイクロシリカあるいは熱分解法酸化物は、ポゾラン反応性および充填効果を有し、それゆえに硬化セメントベースと骨材との間の接触領域の改善に至り、コンクリート製造に使用し得ることが公知である。先行技術によれば、それらの物質は粉末あるいは分散液の形態で、結合剤とは別個にコンクリートの生産において添加される。さらには、水硬性結合剤、特に非常に微細に分割されたセメントが乏しい流動挙動を示すことが公知である。それゆえに、コンクリートの生産において、水硬性結合剤の不正確でばらついた計量が起きるかも知れず、それはフレッシュコンクリートおよびレディーミクストコンクリートの特性に悪影響を及ぼし得る。
【0003】
さらには、非常に微細に分割されたセメントはケーク化する傾向がある:大気の湿度はセメント粒子のコンクリーション化を起こす。より微細にセメント粒子が粉砕されると、この効果はより明確になり、なぜならこの比表面積が連続的に増加するからである。ケーク化は、生原料の高エネルギー粉砕によって得られるコンクリートあるいはモルタルの強度増加という望ましい特性を消去する。なぜなら、ケーク化した表面はもはや水和反応に利用可能ではないからである。
【0004】
従って本発明の技術的課題は、問題のないそれらの計量を可能にし、ケーク化を避け、且つ同時に、生産されるコンクリートあるいはモルタルの特性にプラスに影響する水硬性結合剤の施与の形態を提供することであった。
【0005】
前記課題は、15μm未満の粒度分布のd50値を有する少なくとも1つの水硬性結合剤、および100gの水硬性結合剤に対して20〜600m2の表面積の比率で少なくとも1つの熱分解法金属酸化物を含む、粉末状組成物によって解決される。
【0006】
本発明による組成物は、述べられた範囲の熱分解法金属酸化物において、実質的に改善された流動性を示し、それにより本発明による組成物を用いて得られたフレッシュコンクリートあるいはフレッシュモルタルの特性に悪影響を及ぼさないで、組成物を正確に計量することを可能にする。
【0007】
100gの水硬性結合剤に対して600m2より大きい熱分解法金属酸化物の表面積の比率は、フレッシュコンクリートあるいはフレッシュモルタルの不所望の増粘をもたらす。100gの水硬性結合剤に対して20m2より小さい比率の場合には、熱分解法金属酸化物を含有しない水硬性結合剤と比較して、流動性がほんのわずかしか増加せず、且つ/またはケーク化傾向がほんのわずかにしか減少しない。
【0008】
水硬性結合剤は水の添加で自発的に硬化する結合剤を意味すると解されるべきである。それらは、例えば、セメントおよび水硬性石灰である。本発明による組成物は、好ましくはセメントを含有する。
【0009】
水硬性結合剤は好ましくは粒度分布のd50値が10μm未満、特にd50が7μm未満である非常に微細なセメントであってよい。
【0010】
水硬性結合剤を含有する製品は、水硬性結合剤と水との反応の結果として硬化される製品を意味すると解されるべきである。それらは、例えばコンクリートおよびモルタルである。
【0011】
前記製品は、骨材を含有してもよい。骨材は、破壊されていないあるいは破壊された粒子(例えば石、砂利)あるいは天然(例えば砂)あるいは合成鉱質物質からなる不活性物質である。
【0012】
従って、水硬性結合剤を含有する製品は、硬化される水硬性結合剤ペースト(即ち、水硬性結合剤および水から骨材なしで製造された)および凝塊物(即ち、水硬性結合剤、骨材および水から製造された)の両方を含む。
【0013】
凝塊物の例は、水硬性モルタル(水硬性結合剤、水および微細骨材の混合物)およびコンクリート(水硬性結合剤、水および粗骨材および微細骨材の混合物)である。
【0014】
熱分解法は、火炎酸化および/または火炎加水分解によって得られる金属酸化物粒子を意味すると解されるべきである。酸化可能なおよび/または加水分解可能な出発原料は、通常、水素/酸素火炎内で酸化あるいは加水分解される。有機および無機物質を、熱分解方法の出発原料として使用することができる。例えば、即座に使用可能な塩化物、例えば四塩化ケイ素、塩化アルミニウムあるいは四塩化チタンが特に適している。適した有機出発化合物は、例えば、アルコラート、例えばSi(OC254、Al(OiC373あるいはTi(OiPr)4であり得る。従って得られる金属酸化物粒子は非常に充分に孔がなく、且つ遊離ヒドロキシル基を表面に有している。通常、金属酸化物粒子は少なくとも部分的に、凝集した一次粒子の形態で存在する。本発明において、半金属酸化物、例えばシリカが金属酸化物として挙げられる。
【0015】
本発明による組成物中に存在する熱分解法金属酸化物は、好ましくは20〜400m2/gのBET比表面積を有している。
【0016】
本発明による組成物は、シリカ、二酸化チタン、アルミナ、二酸化ジルコニウム、ケイ素−アルミニウム混合酸化物、ケイ素−チタン混合酸化物、チタン−アルミニウム混合酸化物および/またはアルカリ金属−シリカ混合酸化物を有利に含有できる。
【0017】
シリカ、アルミナあるいは二酸化チタンを含有する、本発明による組成物が特に好ましい。特に、表1に記載される、Degussa AG社のAEROSIL(登録商標)およびAEROXIDE(登録商標)タイプが熱分解法金属酸化物として適している。
【0018】
表1:本発明による組成物に適した金属酸化物
【表1】

【0019】
さらには、下記のタイプが使用できる:CAB−O−SIL(商標) LM−150、LM−150D、M−5、M−5P、M−5DP、M−7D、PTG、HP−60;SpectrAl(商標)51、81、100、全てCabot社製;HDK(登録商標) S13、V15、V15P、N20、N20P、全てWacker社製;REOLOSIL(商標) QS−10、QS−20、QS−30、QS−40、DM−10、全てTokuyama社製。
【0020】
熱分解法金属酸化物は表面変性形態で存在してもよい。この目的のために、下記のシランを単独あるいは混合物として使用することが可能である:
オルガノシラン (RO)3Si(Cn2n+1)および(RO)3Si(Cn2n-1
[式中、
R=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルあるいはブチル、およびn=1〜20]。
【0021】
オルガノシラン R’x(RO)ySi(Cn2n+1)およびR’x(RO)ySi(Cn2n-1
[式中、
R=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルあるいはブチル;
R’=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルあるいはブチル;
R’=シクロアルキル;n=1〜20;x+y=3、x=1、2;y=1、2]。
【0022】
ハロオルガノシラン X3Si(Cn2n+1)およびX3Si(Cn2n-1
[式中、
X=Cl、Br;n=1〜20]。
【0023】
ハロオルガノシラン X2(R’)Si(Cn2n+1)およびX2(R’)Si(Cn2n-1
[式中、
X=Cl、Br;R’=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルあるいはブチル;R’=シクロアルキル;n=1〜20]。
【0024】
ハロオルガノシラン X(R’)2Si(Cn2n+1)およびX(R’)2Si(Cn2n-1
[式中、
X=Cl、Br;R’=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルあるいはブチル−;R’=シクロアルキル;n=1〜20]。
【0025】
オルガノシラン (RO)3Si(CH2m−R’
[式中、
R=アルキル、例えばメチル、エチルあるいはプロピル;m=0、1〜20;R’=メチル、アリール、例えば−C65、置換されたフェニル基、C49、OCF2−CHF−CF3、C613、OCF2CHF2、NH2、N3、SCN、CH=CH2、NH−CH2−CH2−NH2、N−(CH2−CH2−NH22、OOC(CH3)C=CH2、OCH2−CH(O)CH2、NH−CO−N−CO−(CH25、NH−COO−CH3、NH−COO−CH2−CH3、NH−(CH23Si(OR)3、Sx−(CH23Si(OR)3、SH、
NR’R’’R’’’
[式中、
R’=アルキル、アリール;R’’=H、アルキル、アリール;R’’’=H、アルキル、アリール、ベンジル]
24NR’’’’R’’’’’
[式中、
R’’’’=H、アルキルおよびR’’’’’=H、アルキル]]。
【0026】
オルガノシラン (R’’)x(RO)ySi(CH2m−R’
[式中、
R’’=アルキル、x+y=3;シクロアルキル、x=1、2、y=1、2;m=0、1〜20;R’=メチル、アリール、例えばC65、置換されたフェニル基、C49、OCF2−CHF−CF3、C613、OCF2CHF2、NH2、N3、SCN、CH=CH2、NH−CH2−CH2−NH2、N−(CH2−CH2−NH22、OOC(CH3)C=CH2、OCH2−CH(O)CH2、NH−CO−N−CO−(CH25、NH−COO−CH3、NH−COO−CH2−CH3、NH−(CH23Si(OR)3、Sx−(CH23Si(OR)3、SH、
NR’R’’R’’’
[式中、
R’=アルキル、アリール;R’’=H、アルキル、アリール;R’’’=H、アルキル、アリール、ベンジル]
24NR’’’’R’’’’’
[式中、
R’’’’=H、アルキルおよびR’’’’’=H、アルキル]]。
【0027】
ハロオルガノシラン X3Si(CH2m−R’
[式中、
X=Cl、Br;m=0、1〜20;R’=メチル、アリール、例えばC65、置換されたフェニル基、C49、OCF2−CHF−CF3、C613、O−CF2−CHF2、NH2、N3、SCN、CH=CH2、NH−CH2−CH2−NH2、N−(CH2−CH2−NH22、−OOC(CH3)C=CH2、OCH2−CH(O)CH2、NH−CO−N−CO−(CH25、NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3、−Sx−(CH23Si(OR)3
[式中、
R=メチル、エチル、プロピルあるいはブチル、およびx=1あるいは2、]
SH]
ハロオルガノシラン RX2Si(CH2m−R’
[式中、
X=Cl、Br;m=0、1〜20;R’=メチル、アリール、例えばC65、置換されたフェニル基、C49、OCF2−CHF−CF3、C613、O−CF2−CHF2、NH2、N3、SCN、CH=CH2、NH−CH2−CH2−NH2、N−(CH2−CH2−NH22、−OOC(CH3)C=CH2、OCH2−CH(O)CH2、NH−CO−N−CO−(CH25、NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3、−Sx−(CH23Si(OR)3
[式中、
R=メチル、エチル、プロピルあるいはブチル、およびx=1あるいは2、]
SH]。
【0028】
ハロオルガノシラン R2XSi(CH2m−R’
[式中、
X=Cl、Br;m=0、1〜20;R’=メチル、アリール、例えばC65、置換されたフェニル基、C49、OCF2−CHF−CF3、C613、O−CF2−CHF2、NH2、N3、SCN、CH=CH2、NH−CH2−CH2−NH2、N−(CH2−CH2−NH22、−OOC(CH3)C=CH2、OCH2−CH(O)CH2、NH−CO−N−CO−(CH25、NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3、−Sx−(CH23Si(OR)3
[式中、
R=メチル、エチル、プロピルあるいはブチル、およびx=1あるいは2、]
SH]。
【0029】
シラザン R’R2SiNHSiR2R’
[式中、
R、R’=アルキル、ビニル、アリール]。
【0030】
環状ポリシロキサン D3、D4、D5
[式中、
D3、D4およびD5は、3、4あるいは5ユニットの−O−Si(CH32型を有する環状ポリシロキサンの意味として理解され、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン=D4
【化1】

である]。
【0031】
以下の型のポリシロキサンあるいはシリコーンオイル
【化2】

[式中、
R=アルキル、アリール、(CH2n−NH2、H
R’=アルキル、アリール、(CH2n−NH2、H
R’’=アルキル、アリール、(CH2n−NH2、H
R’’’=アルキル、アリール、(CH2n−NH2、H
Y=CH3、H、Cz2z+1
[式中、
z=1〜20]
Si(CH33、Si(CH32H、Si(CH32OH、Si(CH32(OCH3)、Si(CH32(Cz2z+1
[式中、
R’あるいはR’’あるいはR’’’は(CH2z−NH2および
z=1〜20、
m=0、1、2、3、・・・・∞
n=0、1、2、3、・・・・∞
u=0、1、2、3、・・・・∞]]
以下の物質が、表面変性剤として好ましく使用される:オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、
ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、
ジメチルポリシロキサン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、
グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、
ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、
トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、
トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、
アミノプロピルトリエトキシシラン。
オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシランおよびジメチルポリシロキサンを特に好ましく使用し得る。
【0032】
適した表面変性金属酸化物は、例えば表2で述べるAEROSIL(登録商標)およびAEROXIDE(登録商標)タイプから選択し得る。
【0033】
さらには、例えばEP−A−1199336号、DE−A−10239423号、DE−A−10239424号あるいはWO2005095525号内に開示されるように、構造変性金属酸化物を使用し得る。
【0034】
本発明の組成物内に存在する熱分解法金属酸化物は、通常、粉末として導入される。しかしながら、前記熱分解法金属酸化物を分散液の形態で導入することも可能である。前記分散液は好ましくは、分散液に対して少なくとも30質量%の含有量を有する、高充填された分散液である。
【0035】
さらには、粉末状組成物の水分含有率が、前記分散液を吹き付ける前の組成物の水分含有率と比較して、5%以下、および特に好ましくは1.5%以下だけ上昇する場合に有利である。従って、例えば、前記水硬性結合剤は、吹き付け前に2%の水分含有率、および吹き付け後に7%以下、特に好ましくは3.5%以下の水分含有率を有していてよい。水分含有率のわずかな上昇は、前記組成物が吹き付け後にも粉末の形態で存在していることを保証する。前記吹き付けは当業者に公知の方法、水性分散液の噴霧化で実行され得る。
【0036】
表2:本発明による組成物に適する表面変性金属酸化物
【表2】

【0037】
分散液の導入は好ましくは微細な液滴の形態での吹き付けによって実行され得る。結果として、水硬性結合剤のケーク化を非常に充分に防ぐことができる。
【0038】
本発明による好ましい組成物はセメント100gに対して40〜400m2の表面積、特にセメント100gに対して60〜300m2の表面積を有し、90〜300m2/gのBET比表面積を有する熱分解法シリカを含有し、且つ10μm未満の粒度分布のd50値、および特に7μm未満のd50を有する非常に微細なセメントを含有する組成物であってよい。
【0039】
さらには、本発明による好ましい組成物は、セメント100gに対して20〜200m2の表面積、特にセメント100gに対して25〜100m2の表面積を有し、40〜100m2/gのBET比表面積を有する熱分解法二酸化チタンを含有し、且つ10μm未満の粒度分布のd50値、および特に7μm未満のd50を有する非常に微細なセメントを含有する組成物であってよい。
【0040】
さらには、本発明による特に好ましい組成物は、セメント100gに対して40〜600m2の表面積、特にセメント100gに対して100〜300m2の表面積を有し、100〜300m2/gのBET比表面積を有する疎水化した熱分解法シリカを含有し、且つ10μm未満の粒度分布のd50値、および特に7μm未満のd50を有する非常に微細なセメントを含有する組成物であってよい。
【0041】
本発明はさらには、本発明による組成物の、水硬性結合剤を含有する製品、例えばコンクリートおよびモルタルの製造のための使用に関する。
【0042】
実施例
非常に微細なセメントの製造:Zoz H.et al.(Cement,Lime,Gypsum,vol.57、60〜70ページ、2004)に基づいて、非常に微細なセメントが製造される。剛球による高エネルギーボールミル(Zoz−Simloyer CM 05)を使用する。ローターの速度は550rpmでミリング時間は15分である。使用する出発原料は標準的なセメント(CEM I 32,5R)である。セメントの粒度分布は、イソプロパノール中で従来のレーザー回折測定装置(Horiba LA−920)を使用して測定する。測定のために、試料を一体型の超音波を用いて2分間、セメント粒子のゆるい凝集物を分散するために処理する。粒度分布の中間値(d50値)を、セメント粉砕の判定基準として使用する。前記の値は、出発原料の場合で18μm、および粉砕した非常に微細なセメントの場合で6μmである。
【0043】
実施例1:流動挙動
非常に微細なセメントおよび熱分解法金属酸化物粉末をゾマコン(Somakon)社製ミキサー内で、1000rpmで5分間混合する。そのあと、特定のガラス製流出器から前記混合物が流出するかどうかを測定する(流動特性測定のためのガラス製流出器の使用はDegussa AG社の刊行物シリーズ「Pigmente」 第31号内に記載されている)。ガラス製流出器を、円錐型の出口を有する丸型ホッパーによってシミュレートした:容器の合計高さは80mm、円錐高さ12.8mm、円柱部の内径36.5mm、流出孔の内径24mm。ガラス製流出器をその縁まで試料の材料で充填し、粉末が安定するのを確実にするために10秒間保持する。その後、前記容器を持ち上げ、その後出口を開ける。そのとき、試料の材料が容器から流出したかどうかを記録する。
【0044】
表3は、様々な量の熱分解法金属酸化物粉末が、上記で製造された非常に微細なセメントの流動挙動に及ぼす影響を示す。
【0045】
熱分解法金属酸化物粉末を添加していない、非常に微細なセメントは、ガラス製容器から流出せず、それは計量性に乏しいに過ぎないことを示す。
【0046】
表3は、非常に微細なセメントが、熱分解法金属酸化物粉末の添加によって、それらの比率が100gの水硬性結合剤に対して20m2より大きい表面積の場合、流動が引き起こされることを示す。
表3:熱分解法SiO2の存在下での流動挙動
【表3】

【0047】
実施例2:非常に微細なセメントのケーク化
袋内あるいは貯蔵缶内での積み重ねでの、粉末状製品のケーク化傾向は、圧縮強度の測定によって決定できる(Degussa AG社の刊行物シリーズ「Pigmente」 第31号)。評価する粉末を、内径50mmを有するスチールの円筒に、例えば20mmの高さまで導入し、そして1.2kgの質量を有し、スチール円筒内に正確に嵌るラムで荷重をかける。その後、前記材料を4日間、20℃および約60%の相対湿度で貯蔵する。4日後、円筒を除去し、その後形成したタブレットを表4によって評価する。
【0048】
熱分解法金属酸化物粉末のないセメントは等級6と評価された、即ち、堅いタブレットが形成された。これは、前記セメントが非常に強いケーク化傾向を有していることを意味する。表5は、適切な量で添加された場合、熱分解法シリカの添加によって少なくとも充分な等級が達成できることを示す。試料は単ただゆるくケーク化するだけで、指の圧力で非常に微細な材料に崩壊する。少なくとも充分な等級を有する、本発明による組成物の場合、フレッシュコンクリートの製造の間に生じる剪断力はセメントの完全な分散に充分であることが確認される。この場合のみ、高強度の形成のための非常に微細なセメントの性能が完全に使用される。等級5および6では、これは当てはまらない:粉砕物の一部が貯蔵中のケーク化によって消失する。さらには、表5のAerosil(登録商標)200およびAerosil(登録商標)R972を用いた実施例は、水硬性結合剤のケーク化が、熱分解法金属酸化物粉末の量が多くなればなるほど、常にさらに減らされるわけではないことを示す。等級3と評価されたケーク化特性(Aerosil(登録商標)R812の添加)もまた、実用上は多くの場合、全く必要ではなく、より少ない添加は、問題のより経済的な解決に至るであろう。従って、水硬性結合剤および熱分解法金属酸化物のタイプによって、ケーク化傾向の所望の減少と粉末状組成物の原材料コストの望ましくない上昇との間に最適条件がある。さらには、より多い量の熱分解法金属酸化物はフレッシュコンクリートの望ましくない濃厚化に導く。
表4:圧縮強度評価
【表4】

表5:熱分解法SiO2存在下での圧縮強度
【表5】

【0049】
実施例3:粉末状組成物の注入された円錐高さ
流動性のさらなる尺度は、注入された円錐高さの測定である(Degussa AG社の刊行物シリーズ「Pigmente」 第31号内に記載)。注入された円錐は、吐出の結果として、円柱の上にバルク材料を形成する。粉末の円錐の高さをmmで記載する。小さい数値は、良好な流動性に相当する。本方法は、DIN 4324による安息角、あるいは円錐の底の角度の測定に非常に類似しており、それは規定された条件の下でバルク材料の流出によって得られ、測定される。表6は、より充分に低い円錐高さ、それゆえに充分改善された流動性を、非常に微細なセメントへのAerosil(登録商標)R812の添加によって達成したことを示す。
表6:注入円錐高さ
【表6】

評価:<20:非常に良い;21〜30:良い;31〜40:かろうじて適合;41〜50:不良;>50:不適合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15μm未満の粒度分布のd50値を有する少なくとも1つの水硬性結合剤、および100gの水硬性結合剤に対して20〜600m2の表面積の比率の、少なくとも1つの熱分解法金属酸化物を含む粉末状組成物。
【請求項2】
水硬性結合剤が、10μmより小さいd50を有する非常に微細なセメントであることを特徴とする、請求項1に記載の粉末状組成物。
【請求項3】
熱分解法金属酸化物のBET比表面積が、20〜400m2/gであることを特徴とする、請求項1あるいは2のいずれか1項に記載の粉末状組成物。
【請求項4】
熱分解法金属酸化物が、表面変性形態で存在することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の粉末状組成物。
【請求項5】
熱分解法金属酸化物が、シリカ、二酸化チタン、アルミナ、二酸化ジルコニウム、ケイ素−アルミニウム混合酸化物、ケイ素−チタン混合酸化物、チタン−アルミニウム混合酸化物および/またはアルカリ金属−シリカ混合酸化物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の粉末状組成物。
【請求項6】
水硬性結合剤を含有する製品の製造のための、請求項1から5までのいずれか1項に記載の粉末状組成物の使用。

【公表番号】特表2009−536141(P2009−536141A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508280(P2009−508280)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053099
【国際公開番号】WO2007/128626
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】