説明

水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法

【課題】太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における電解電圧との間の電圧差を確実に無くし得る、簡素な構成、構造を有する水素ガス発生装置を提供する。
【解決手段】水素ガス発生装置は、絶縁材料から成り、離間して並置された複数の分離壁11を備え、対向する2つの分離壁に挟まれた空間は、高分子電解質膜13によって2つの空間14,15に区画されており、分離壁の対向面には、複数の第1電極21及び第2電極22が設けられており、各電極21,22は、その一端に、分離壁11の側面に露出した接続部を備えており、第1の空間14に連通した液体導入部及び液体排出部、並びに、第2の空間15に連通した液体排出部を更に備えており、一対の第1電極21及び第2電極22によって1つの電気分解セル10が構成されており、第2の空間15において水素ガスが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能なエネルギーシステム社会の構築を目指し、化石燃料の代替エネルギーとして、太陽光エネルギーと水とから得た水素の利用が検討されている。このシステムは、有限な化石燃料の消費を抑制し、主要な温暖化ガスの1つである二酸化炭素ガスを排出しないことから、エネルギー問題と環境問題とを解決するシステムとして期待されている。
【0003】
水素を太陽光エネルギーと水とから生成する実効性の高い、即ち、水素変換効率の高い水素生成システムの1つとして、太陽電池モジュールと水素ガス発生装置とを組み合わせた発電・水素ガス発生装置が検討されている。水素ガス発生装置は、例えば、特許公報第3772261号から周知である。ところで、このような発電・水素ガス発生装置を用いた場合、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における水素ガスを発生させるための電解電圧との間に電圧差(以下、単に『電圧差』と呼ぶ場合がある)が存在すると、電圧差分だけ水素変換効率が低減する(図7の(B)及び(C)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公報第3772261号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電圧差を無くすための方策として、水素ガス発生装置を複数の電気分解セルから構成し、複数の電気分解セルの電気的な接続状態における直列接続及び並列接続を、適宜、変更する方法が考えられる。しかしながら、上記の特許公報に開示された水素ガス発生装置にあっては、構造上、このような電気分解セルの電気的接続状態を任意に変更することは極めて困難である。
【0006】
従って、本発明の目的は、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における電解電圧との間の電圧差を確実に無くし得る、あるいは又、減少させ得る、簡素な構成、構造を有する発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、係る発電・水素ガス発生装置を構成する水素ガス発生装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の水素ガス発生装置は、
離間して並置された複数の分離壁を備え、
対向する2つの分離壁に挟まれた空間は、分離壁と平行に配された高分子電解質膜によって第1の空間及び第2の空間に区画されており、
対向する2つの分離壁の内の一方の分離壁の対向面には、第1の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接した複数の第1電極が設けられており、他方の分離壁の対向面には、第2の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接し、第1電極と対向した第2電極が設けられており、
各第1電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した(例えば、分離壁の側面から突出した)第1接続部を備えており、
各第2電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した(例えば、分離壁の側面から突出した)第2接続部を備えており、
第1の空間に連通した液体導入部及び液体排出部、並びに、第2の空間に連通した液体排出部を更に備えており、
一対の第1電極及び第2電極によって、1つの電気分解セルが構成されており、
第2の空間において水素ガスが生成される。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の発電・水素ガス発生装置は、
水素ガス発生装置及び太陽電池モジュールを備えており、
本発明の発電・水素ガス発生装置における水素ガス発生装置は、上記の本発明の水素ガス発生装置から構成されており、
本発明の発電・水素ガス発生装置における水素ガス発生装置は、第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えており、
太陽電池モジュールから制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置は電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の水素ガス発生装置の駆動方法は、水素ガス発生装置が上記の本発明の水素ガス発生装置から構成されており、
第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えている水素ガス発生装置の駆動方法であって、
外部から制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置の制御下、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の発電・水素ガス発生装置の駆動方法は、
水素ガス発生装置及び太陽電池モジュールを備えており、
本発明の発電・水素ガス発生装置における水素ガス発生装置は、上記の本発明の水素ガス発生装置から構成されており、
本発明の発電・水素ガス発生装置における水素ガス発生装置は、第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えている発電・水素ガス発生装置の駆動方法であって、
太陽電池モジュールから制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置の制御下、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水素ガス発生装置、本発明の水素ガス発生装置の駆動方法、本発明の発電・水素ガス発生装置における水素ガス発生装置、本発明の発電・水素ガス発生装置の駆動方法における水素ガス発生装置にあっては、離間して並置された複数の分離壁を備えており、対向する2つの分離壁に挟まれた空間内には高分子電解質膜が配され、高分子電解質膜を挟んで複数の第1電極及び第2電極が設けられており、各電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した接続部を備えており、一対の第1電極及び第2電極によって1つの電気分解セルが構成されている。従って、水素ガス発生装置を第1電極及び第2電極が延びる方向と直交する仮想平面で切断したとき、電気分解セルが2次元マトリクス状に配置された状態となっており、しかも、各電極の接続部は分離壁の側面に露出しているので、例えば、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における電解電圧との間の電圧差を無くし、あるいは又、減少させるために、電気分解セルの電気的な接続状態における直列接続及び並列接続を、適宜、容易に、しかも、適切に変更することができる。それ故、最大出力(最大変換効率)の電気エネルギーで、例えば水を電気分解して水素ガスを得る際のエネルギーロスを低減することができ、高効率で水素ガスを生成することができる。
【0012】
しかも、1つの分離壁に対して複数の電極を設けるので、水素ガス発生装置の構成部品点数を削減することができるだけでなく、電極と電極との間のスペースを、水素ガスの原料となる液体の流路及び生成ガスの排出流路として用いることができる。それ故、水素ガス発生装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な断面図、及び、1つの分離壁等の模式的な断面図である。
【図2】図2は、図1の矢印A−Aに沿った実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な断面図である。
【図3】図3は、図1の矢印B−Bに沿った実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な断面図である。
【図4】図4は、図2の矢印A方向から眺めた実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な側面図である。
【図5】図5は、図2の矢印B方向から眺めた実施例1の水素ガス発生装置等の別の模式的な側面図である。
【図6】図6は、図2の矢印C方向から眺めた実施例1の水素ガス発生装置等の別の模式的な側面図である。
【図7】図7の(A)は、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における水素ガスを発生させるための電解電圧の最適化を図ったときのグラフであり、図7の(B)及び(C)は、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における水素ガスを発生させるための電解電圧との間に電圧差が存在すると、電圧差分だけ水素変換効率が低減することを説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法)、その他
【0015】
[本発明の水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法、全般に関する説明]
本発明の水素ガス発生装置においては、
第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えており、
外部から制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置は電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する形態とすることができる。
【0016】
上記の好ましい形態を含む本発明の水素ガス発生装置、本発明の水素ガス発生装置の駆動方法における水素ガス発生装置、本発明の発電・水素ガス発生装置を構成する水素ガス発生装置、あるいは、本発明の発電・水素ガス発生装置の駆動方法における水素ガス発生装置(以下、これらを総称して、『本発明の水素ガス発生装置等』と呼ぶ場合がある)において、分離壁は、絶縁材料、具体的には、プラスチック材料あるいはセラミックス材料から成る構成とすることができる。ここで、プラスチック材料として、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂);ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂(PA系樹脂);ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーで例示される熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂で例示される熱硬化性樹脂を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではなく、分離壁を金属や合金といった導電材料から構成いてもよい。分離壁は、構成材料に依存するが、公知の成形技術や焼結技術等に基づき作製すればよい。
【0017】
更には、上記の好ましい構成を含む本発明の水素ガス発生装置等において、各電極の後部は分離壁に埋め込まれている構成とすることができる。分離壁と電極を別々に作製し、分離壁と電極とを組み立ててもよいし、電極を予め作製しておき、分離壁と電極とを一体に作製してもよい。
【0018】
更には、上記の好ましい構成を含む本発明の水素ガス発生装置等において、高分子電解質膜は、フッ素樹脂系イオン交換膜あるいはプロトン伝導性の固体高分子膜(PEM膜)、具体的には、側鎖の末端にスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸系高分子膜から成る構成とすることができる。ここで、高分子電解質膜として、具体的には、ナフィオン(デュポン株式会社の登録商標)膜やDow膜を例示することができる。
【0019】
更には、上記の各種の好ましい構成を含む本発明の発電・水素ガス発生装置あるいはその駆動方法にあっては、太陽電池モジュールの最大出力電圧(Vpm)の±10%の範囲内、好ましくは、太陽電池モジュールの最大出力電圧(Vpm)の±5%の範囲内に、直列接続された電気分解セルに印加される電圧が納まるように、制御装置は電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更し、また、制御装置の制御下、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更することが望ましい。
【0020】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の水素ガス発生装置あるいはその駆動方法、本発明の発電・水素ガス発生装置あるいはその駆動方法(以下、これらを総称して、単に『本発明』と呼ぶ場合がある)において、第1電極(陽極)は、例えば、第1電極本体部、及び、第1電極本体部の先端部に設けられ、高分子電解質膜に接する触媒層から構成されている。同様に、第2電極(陰極)は、例えば、第2電極本体部、及び、第2電極本体部の先端部に設けられ、高分子電解質膜に接する触媒層から構成されている。ここで、第1電極本体部は、耐酸性、耐酸化性を有する材料から構成すればよく、係る材料として、例えば、チタン(Ti)、ステンレス鋼を挙げることができるし、第2電極本体部は、耐酸性を有する材料から構成すればよく、係る材料として、例えば、ニッケル(Ni)を挙げることができる。また、第1電極を構成する触媒層として、イリジウム(Ir)、酸化イリジウム、チタン(Ti)を挙げることができるし、第2電極を構成する触媒層として、チタン(Ti)、白金(Pt)を挙げることができる。分離壁が導電材料から構成されている場合、分離壁を接する第1電極及び第2電極の部分に絶縁材料層を設けることで、第1電極や第2電極を分利壁から絶縁することができる。
【0021】
第1の空間には、液体導入部から液体を流し、液体排出部から排出し、第2の空間には、第1の空間から高分子電解質膜を介して液体を流し、液体排出部から排出するが、ここで、液体として、水を挙げることができる。液体排出部から排出された液体を液体導入部に戻すことで循環させればよい。液体として水を用いる場合、第1の空間における液体排出部から排出される水には酸素ガスが同搬されるが、係る酸素ガスは、周知の方法に基づき、適切な分離装置を用いて水と分離すればよい。また、第2の空間における液体排出部から排出される水には水素ガスが同搬されるが、係る水素ガスは、周知の方法に基づき、適切な分離装置を用いて水と分離し、周知の方法に基づき、ボンベに貯蔵してもよいし、水素吸蔵合金に吸蔵させてもよい。場合によっては、液体排出部とは別に酸素ガス及び水素ガスを取り出す排出ポートを水素ガス発生装置等に設けてもよい。
【0022】
制御装置は、外部あるいは太陽電池モジュールから制御装置に供給される電圧を測定するための電圧測定回路、マイクロコンピュータ、記憶装置、スイッチング回路を含み、外部あるいは太陽電池モジュールから制御装置に供給された電圧の値をパラメータとした電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続組合せが、予め決定されており、記憶装置に記憶されている。そして、外部あるいは太陽電池モジュールから制御装置に供給された電圧の値に応じて、マイクロコンピュータは、記憶装置から電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続組合せの内、最適な組合せを選択し、係る組合せに基づきスイッチング回路を制御する。そして、これによって、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態の最適化を図ることができる。
【0023】
一般に、水素ガス発生装置等において、第1の空間及び第2の空間を流れる液体の温度に依存して、水素ガスを生成する際の効率が変化する。それ故、第1の空間及び第2の空間を流れる液体の温度を監視し、第1の空間及び第2の空間を流れる液体の温度を一定に保持することが望ましい。また、外部あるいは太陽電池モジュールから制御装置に供給された電圧の値だけでなく、第1の空間及び第2の空間を流れる液体の温度をもパラメータとした電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続組合せを、予め決定し、記憶装置に記憶しておいてもよい。
【0024】
太陽電池モジュールは複数の太陽電池セルから構成されている。ここで、太陽電池セルとして、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池を含む有機系太陽電池を挙げることができる。
【実施例1】
【0025】
実施例1は、本発明の水素ガス発生装置及びその駆動方法、並びに、本発明の発電・水素ガス発生装置及びその駆動方法に関する。実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な断面図を図1の(A)に示し、1つの分離壁等の模式的な断面図を図1の(B)に示し、図1の(A)の矢印A−Aに沿った実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な断面図、及び、図1の(A)の矢印B−Bに沿った実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な断面図を、それぞれ、図2及び図3に示す。更には、図2の矢印A方向、図2の矢印B方向及び図2の矢印C方向から眺めた実施例1の水素ガス発生装置等の模式的な側面図を、それぞれ、図4、図5及び図6に示す。尚、各分離壁を含む仮想平面と平行な仮想平面で水素ガス発生装置等を切断したときの模式的な断面図は、実質的に同じである。また、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における水素ガスを発生させるための電解電圧の最適化を図ったときのグラフを図7の(A)に示す。
【0026】
実施例1の水素ガス発生装置等は、絶縁材料、具体的には、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)から成り、離間して並置された複数の分離壁(セパレータ)11を備えている。ここで、複数の分離壁11が離間して並置されているが、分離壁11は、垂直方向に積層された状態で離間して並置されていてもよいし、水平方向に離間して並置されていてもよい。尚、前者の場合、分離壁11を含む仮想平面は水平面であり、後者の場合、分離壁11を含む仮想平面は垂直面である。そして、対向する2つの分離壁11に挟まれた空間は、分離壁11と平行に配された高分子電解質膜13によって第1の空間14及び第2の空間15に区画されている。尚、分離壁11と高分子電解質膜13とは、厳密に平行に配されている必要はない。図示した例では、水素ガス発生装置等は、5枚の分離壁11を備えており、4つの空間が存在し、1つの空間当たり5個の電気分解セル10が設けられているが、これに限定するものではない。尚、複数の分離壁11は、複数の分離壁11の四隅を貫通する複数のボルト及びナット(これらは図示せず)を用いて相互に固定されている。
【0027】
更には、対向する2つの分離壁11の内の一方の分離壁11の対向面には、第1の空間14内に位置し、先端部が高分子電解質膜13に接した複数の第1電極21が設けられており、他方の分離壁11の対向面には、第2の空間15内に位置し、先端部が高分子電解質膜13に接し、第1電極21と対向した第2電極22が設けられている。ここで、各第1電極21は、その一端に、分離壁11の側面12Aに露出した(具体的には、分離壁11の側面12Aから突出した)第1接続部21Cを備えており、各第2電極22は、その一端に、分離壁11の側面12Aに露出した(具体的には、分離壁11の側面12Aから突出した)第2接続部22Cを備えている。ここで、各電極21,22の後部は分離壁11に埋め込まれている。具体的には、分離壁11の対向面には凹部が形成され、電極21,22が、対向面から突出した状態でこれらの凹部に嵌合している。電極21,22を予め作製しておき、分離壁11と電極21,22とを一体に作製することで、図示した構造を得ることができる。
【0028】
更には、第1の空間14に連通した液体導入部16A及び液体排出部17A、並びに、第2の空間15に連通した液体排出部17Bを更に備えている。尚、液体導入部16Aは、分離壁11の側面12Aに設けられており、液体排出部17A,17Bは、分離壁11の側面12Cに設けられている。第1の空間14には、循環用ポンプ(図示せず)を用いて、液体導入部16Aから液体、具体的には水を流し、第1の空間14を流れた液体は液体排出部17Aから排出される。また、第1の空間14から高分子電解質膜13を介して第2の空間15に導入された液体は液体排出部17Bから排出される。液体排出部17A,17Bから排出された液体を液体導入部16Aに戻すことで循環させる。第1の空間14における液体排出部17Aから排出される水には酸素ガスが同搬されるが、係る酸素ガスは、周知の方法に基づき、適切な分離装置(図示せず)を用いて水と分離すればよい。また、第2の空間15における液体排出部17Bから排出される水には水素ガスが同搬されるが、係る水素ガスは、周知の方法に基づき、適切な分離装置(図示せず)を用いて水と分離し、周知の方法に基づき、ボンベ(図示せず)に貯蔵してもよいし、水素吸蔵合金(図示せず)に吸蔵させてもよい。尚、液体導入部16Aを1箇所、設け、マニホールドによって各第1の空間14に液体を供給してもよい。また、液体排出部17Aを1箇所、設け、マニホールドによって各第1の空間14から液体を排出してもよい。同様に、液体排出部17Bを1箇所、設け、マニホールドによって各第2の空間15から液体を排出してもよい。場合によっては、液体排出部17A,17Bとは別に酸素ガス及び水素ガスを取り出す排出ポートを第1の空間14及び第2の空間15に設けてもよい。
【0029】
ここで、一対の第1電極21及び第2電極22によって、1つの電気分解セル10が構成されている。そして、第2の空間15において水素ガスが生成される。
【0030】
複数の第1電極21(酸素ガス発生用触媒電極)は、図示したとおり、離間した状態で設けられており、第1電極21と第1電極21との間の隙間は、電気分解の原料となる水(純水)の流路、及び、生成した酸素ガスの排出流路に相当する。同様に、複数の第2電極22(水素発生用触媒電極)は、図示したとおり、離間した状態で設けられており、第2電極22と第2電極22との間の隙間は、電気分解の原料となる水(純水)の流路、及び、生成した水素ガスの排出流路に相当する。
【0031】
高分子電解質膜13は、フッ素樹脂系イオン交換膜あるいはプロトン伝導性の固体高分子膜(PEM膜)、具体的には、側鎖の末端にスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸系高分子膜、より具体的には、ナフィオン膜から成る。高分子電解質膜13の端部は、ガスケット18を介して分離壁11に挟まれた状態で固定されている。
【0032】
また、第1電極21(陽極)は、チタンから成る第1電極本体部21A、及び、第1電極本体部21Aの先端部に設けられ、高分子電解質膜13に接し、酸化イリジウムから成る触媒層21Bから構成されている。一方、第2電極22(陰極)は、ニッケルから成る第2電極本体部22A、及び、第1電極本体部22Aの先端部に設けられ、高分子電解質膜13に接し、チタンから成る触媒層22Bから構成されている。
【0033】
実施例1の水素ガス発生装置等には、制御装置30が更に備えられている。制御装置30は、配線31及びコネクタ(図示せず)を介して、第1接続部21C及び第2接続部22Cに接続されており、電気分解セル10に電圧を印加する。そして、外部から、あるいは、複数のシリコン系太陽電池セルから成る太陽電池モジュール40から制御装置30に供給される電圧に応じて、制御装置30は電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0034】
また、実施例1の発電・水素ガス発生装置は、実施例1の水素ガス発生装置、及び、太陽電池モジュール40を備えている。そして、発電・水素ガス発生装置における水素ガス発生装置は、上述したとおり、第1接続部21C及び第2接続部22Cが接続され、電気分解セル10に電圧を印加する制御装置30を更に備えており、太陽電池モジュール40から制御装置30に供給される電圧に応じて、制御装置30は電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0035】
また、実施例1の水素ガス発生装置の駆動方法にあっては、水素ガス発生装置が実施例1の水素ガス発生装置から構成されており、第1接続部21C及び第2接続部22Cが接続され、電気分解セル10に電圧を印加する制御装置30を更に備えており、
外部から制御装置30に供給される電圧に応じて、制御装置30の制御下、電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0036】
また、実施例1の発電・水素ガス発生装置の駆動方法は、実施例1の水素ガス発生装置、及び、太陽電池モジュール40を備えており、水素ガス発生装置は、第1接続部21C及び第2接続部22Cが接続され、電気分解セル10に電圧を印加する制御装置30を更に備えており、
太陽電池モジュール40から制御装置30に供給される電圧に応じて、制御装置30の制御下、電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0037】
具体的には、制御装置30は、外部あるいは太陽電池モジュール40から制御装置30に供給される電圧を測定するための電圧測定回路、マイクロコンピュータ、記憶装置、スイッチング回路(これらは図示せず)を含んでいる。ここで、外部あるいは太陽電池モジュール40から制御装置30に供給された電圧の値をパラメータとした電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続組合せが、予め決定されており、記憶装置に記憶されている。そして、外部あるいは太陽電池モジュール40から制御装置30に供給された電圧の値に応じて、マイクロコンピュータは、記憶装置から電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続組合せの内、最適な組合せを選択し、係る組合せに基づきスイッチング回路を制御する。そして、これによって、電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態の最適化を図っている。
【0038】
更には、太陽電池モジュール40を構成する太陽電池セルの最大出力電圧(Vpm)の値をパラメータとした太陽電池セルの直列接続及び並列接続の接続組合せが、予め決定されており、記憶装置に記憶されている。そして、制御装置30は太陽電池セルの最大出力電圧(Vpm)を測定し、その測定結果に基づき、マイクロコンピュータは、記憶装置から太陽電池セルの直列接続及び並列接続の接続組合せの内、最適な組合せを選択し、係る組合せに基づきスイッチング回路を制御する。そして、これによって、太陽電池セルの直列接続及び並列接続の接続状態の最適化を図っている。
【0039】
例えば、電気分解セル10の水電解電圧[理論電位(平衡電極電位、理論電解電圧)と、実際に反応が進行するときの電極の電位との和]が1.5ボルトとなるように、電極を構成する材料等が組み合わされ、水素ガス発生装置等が構成されているとする。そして、太陽電池モジュール40の太陽電池セル1つ当たりの最大出力電圧(Vpm)が2.2ボルトである場合、太陽電池40を15個の太陽電池セルの直列接続から構成すれば、太陽電池モジュール40から供給される電圧は、
2.2×15=33.0ボルト
となる。従って、電気分解セル10を22個、直列に接続すればよい。
【0040】
また、太陽電池モジュール40の太陽電池セル1つ当たりの最大出力電圧(Vpm)が2.1ボルトに低下した場合、太陽電池モジュール40を5個の太陽電池セルの直列接続から構成すれば、太陽電池モジュール40から供給される電圧は、
2.1×5=10.5ボルト
となる。従って、電気分解セル10を7個、直列に接続すればよい。
【0041】
更には、太陽電池モジュール40の太陽電池セル1つ当たりの最大出力電圧(Vpm)が2.0ボルトに低下した場合、太陽電池モジュール40を3個の太陽電池セルの直列接続から構成すれば、太陽電池モジュール40から供給される電圧は、
2.0×3=6.0ボルト
となる。従って、電気分解セル10を4個、直列に接続すればよい。
【0042】
従って、電気分解セル10の数を、22と7と4の最小公倍数である308個とし、天候に応じて、太陽電池モジュール40における太陽電池セルの直列/並列の接続状態と、電気分解セル10における直列/並列の接続状態とを、制御装置30の制御下、適宜、変更することで、常に、太陽電池モジュール40と水素ガス発生装置との間の電圧差を減少・低減させることができ、太陽電池モジュール40の電気エネルギー変換効率を最大限有効活用して水素ガスを生成することができる。尚、水素ガス発生装置の構成要素を構成する材料、駆動条件、太陽電池モジュール40の構成要素を構成する材料、想定する最大出力電圧(Vpm)に応じて、電気分解セル10の数を、適宜、決定すればよい。ここで、広くは、太陽電池モジュール40の最大出力電圧の±10%の範囲内、好ましくは、太陽電池モジュール40の最大出力電圧の±5%の範囲内に、直列接続された電気分解セル10に印加される電圧が納まるように、制御装置30は電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態を変更し、また、制御装置30の制御下、電気分解セル10の直列接続及び並列接続の接続状態を変更する。
【0043】
また、もしも、太陽電池モジュール40の太陽電池セル1つ当たりの最大出力電圧(Vpm)が1.9ボルトに低下した場合、太陽電池モジュール40を15個の太陽電池セルの直列接続から構成すれば、太陽電池モジュール40から供給される電圧は、
1.9×15=28.5ボルト
となる。従って、電気分解セル10を19個、直列に接続すればよい。この場合、電気分解セル10の個数は304個であり、308個の電気分解セル10の内、4個の電気分解セル10を不使用とすればよい。
【0044】
一般には、電気分解セル10の水電解電圧をV0ボルトとし、太陽電池モジュール40の太陽電池セル1つ当たりの最大出力電圧をVpm-iボルト、太陽電池モジュール40における直列接続された太陽電池セルの個数をNSC-iとしたとき、太陽電池モジュール40から供給される電圧は、
pm-i×NSC-i
である。そして、電気分解セル10を直列に接続すべき個数をNNC-iとすれば、
NC-i=(Vpm-i/V0)×NSC-i
を満足すればよい。ここで、太陽電池セル1つ当たりの最大出力電圧の変化がIケースあると想定した場合、IケースのNNC-i(i=1,2・・・I)の最小公倍数が、水素ガス発生装置等において必要とされる電気分解セル10の個数となる。但し、場合によっては、上述したとおり、多少の電気分解セル10を駆動させること無く、水素ガス発生装置等によって水素ガスを生成させてもよい。
【0045】
以上に説明したように、実施例1の水素ガス発生装置にあっては、水素ガス発生装置を第1電極21及び第2電極22が延びる方向と直交する仮想平面で切断したとき、電気分解セル10が2次元マトリクス状に配置された状態となっており、しかも、各電極21,22の接続部21C,22Cは分離壁11の側面12Aに露出しているので、例えば、太陽電池モジュールの最大出力電圧と水素ガス発生装置における電解電圧との間の電圧差を無くし、あるいは又、減少させるために、電気分解セル10の直列/並列接続の状態を、適宜、しかも、容易に変更することができる。それ故、最大出力(最大変換効率)の電気エネルギーで、例えば水を電気分解して水素ガスに変換する際に、エネルギーロスを低減することができ、高効率で水素ガスを生成することが可能となる。しかも、電極21,22を分離壁11に設けることで、水素ガス発生装置の構成部品点数を削減することができるだけでなく、電極21,22を分離するためのスペースを、水素ガスの原料となる液体の導入流路及び生成ガスの排出流路として用いることができるので、水素ガス発生装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0046】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した水素ガス発生装置、発電・水素ガス発生装置の構成、構造、用いた材料や仕様等は例示であり、適宜、選択、変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
10・・・電気分解セル、11・・・分離壁、12A・・・電極の接続部が突出した分離壁の側面、12B,12C,12D・・・分離壁のその他の側面、13・・・高分子電解質膜、14・・・第1の空間、15・・・第2の空間、16A・・・液体導入部、17A,17B・・・液体排出部、18・・・ガスケット、21・・・第1電極、21A・・・第1電極本体部、21B・・・触媒層、21C・・・第1接続部、22・・・第2電極、22A・・・第2電極本体部、22B・・・触媒層、22C・・・第2接続部、30・・・制御装置、40・・・太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間して並置された複数の分離壁を備え、
対向する2つの分離壁に挟まれた空間は、分離壁と平行に配された高分子電解質膜によって第1の空間及び第2の空間に区画されており、
対向する2つの分離壁の内の一方の分離壁の対向面には、第1の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接した複数の第1電極が設けられており、他方の分離壁の対向面には、第2の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接し、第1電極と対向した第2電極が設けられており、
各第1電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第1接続部を備えており、
各第2電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第2接続部を備えており、
第1の空間に連通した液体導入部及び液体排出部、並びに、第2の空間に連通した液体排出部を更に備えており、
一対の第1電極及び第2電極によって、1つの電気分解セルが構成されており、
第2の空間において水素ガスが生成される水素ガス発生装置。
【請求項2】
第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えており、
外部から制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置は電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する請求項1に記載の水素ガス発生装置。
【請求項3】
分離壁は、プラスチック材料から成る請求項1又は請求項2に記載の水素ガス発生装置。
【請求項4】
各電極の後部は分離壁に埋め込まれている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水素ガス発生装置。
【請求項5】
高分子電解質膜はフッ素樹脂系イオン交換膜から成る請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の水素ガス発生装置。
【請求項6】
水素ガス発生装置及び太陽電池モジュールを備えた発電・水素ガス発生装置であって、
水素ガス発生装置は、
離間して並置された複数の分離壁を備え、
対向する2つの分離壁に挟まれた空間は、分離壁と平行に配された高分子電解質膜によって第1の空間及び第2の空間に区画されており、
対向する2つの分離壁の内の一方の分離壁の対向面には、第1の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接した複数の第1電極が設けられており、他方の分離壁の対向面には、第2の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接し、第1電極と対向した第2電極が設けられており、
各第1電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第1接続部を備えており、
各第2電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第2接続部を備えており、
第1の空間に連通した液体導入部及び液体排出部、並びに、第2の空間に連通した液体排出部を更に備えており、
一対の第1電極及び第2電極によって、1つの電気分解セルが構成されており、
第2の空間において水素ガスが生成され、
水素ガス発生装置は、第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えており、
太陽電池モジュールから制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置は電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する発電・水素ガス発生装置。
【請求項7】
太陽電池モジュールの最大出力電圧の±10%の範囲内に、直列接続された電気分解セルに印加される電圧が納まるように、制御装置は電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する請求項6に記載の発電・水素ガス発生装置。
【請求項8】
離間して並置された複数の分離壁を備え、
対向する2つの分離壁に挟まれた空間は、分離壁と平行に配された高分子電解質膜によって第1の空間及び第2の空間に区画されており、
対向する2つの分離壁の内の一方の分離壁の対向面には、第1の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接した複数の第1電極が設けられており、他方の分離壁の対向面には、第2の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接し、第1電極と対向した第2電極が設けられており、
各第1電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第1接続部を備えており、
各第2電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第2接続部を備えており、
第1の空間に連通した液体導入部及び液体排出部、並びに、第2の空間に連通した液体排出部を更に備えており、
一対の第1電極及び第2電極によって、1つの電気分解セルが構成されており、
第2の空間において水素ガスが生成され、
第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えている水素ガス発生装置の駆動方法であって、
外部から制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置の制御下、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する水素ガス発生装置の駆動方法。
【請求項9】
水素ガス発生装置及び太陽電池モジュールを備えており、
水素ガス発生装置は、
離間して並置された複数の分離壁を備え、
対向する2つの分離壁に挟まれた空間は、分離壁と平行に配された高分子電解質膜によって第1の空間及び第2の空間に区画されており、
対向する2つの分離壁の内の一方の分離壁の対向面には、第1の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接した複数の第1電極が設けられており、他方の分離壁の対向面には、第2の空間内に位置し、先端部が高分子電解質膜に接し、第1電極と対向した第2電極が設けられており、
各第1電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第1接続部を備えており、
各第2電極は、その一端に、分離壁の側面に露出した第2接続部を備えており、
第1の空間に連通した液体導入部及び液体排出部、並びに、第2の空間に連通した液体排出部を更に備えており、
一対の第1電極及び第2電極によって、1つの電気分解セルが構成されており、
第2の空間において水素ガスが生成され、
水素ガス発生装置は、第1接続部及び第2接続部が接続され、電気分解セルに電圧を印加する制御装置を更に備えている発電・水素ガス発生装置の駆動方法であって、
太陽電池モジュールから制御装置に供給される電圧に応じて、制御装置の制御下、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する発電・水素ガス発生装置の駆動方法。
【請求項10】
太陽電池モジュールの最大出力電圧の±10%の範囲内に、直列接続された電気分解セルに印加される電圧が納まるように、制御装置の制御下、電気分解セルの直列接続及び並列接続の接続状態を変更する請求項9に記載の発電・水素ガス発生装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−36413(P2012−36413A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174671(P2010−174671)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】