説明

水素化ブロックコポリマーから作製した物品

本発明は、モノアルケニルアレーンおよび共役ジエンの新規のアニオンブロックコポリマーから作製される物品に関し、このようなブロックコポリマーと他のポリマーとのブレンドに関する。本ブロックコポリマーは、選択的に水素化され、モノアルケニルアレーン末端ブロックおよび共役ジエン中央ブロックを有する。本ブロックコポリマーは、オレフィンポリマー、スチレンポリマー、アモルファス樹脂およびエンジニアリング熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の他のポリマーとブレンドすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアルケニルアレーンと共役ジエンとの新規のアニオン性ブロックコポリマーから作製された物品に関し、このようなブロックコポリマーと他のポリマーとのブレンド関する。本発明はまた、成形された物品およびこのような新規ブロックコポリマーから物品を成形するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノアルケニルアレーンと共役ジエンとのブロックコポリマーの調製は、周知である。スチレンとブタジエンとで作られた線形ABAブロックコポリマーに関する最初の特許の1つが米国特許第3,149,182号である。これらのポリマーは、米国特許第3,595,942号および再発行特許Re.27,145で記述されたように、順番に水素化し、より安定したブロックコポリマーを形成することができた。これ以来、多数の新しいスチレンジエンポリマーが開発されてきた。今や、モノアルケニルアレーンの末端ブロックおよび共役ジエンの中央ブロックをベースとした、アルコキシシランカップリング剤で調製された線形構造を主に有する新規のアニオン性ブロックコポリマーが発見され、同時係属の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願番号60/385,663、発明の名称「ブロックコポリマーと結果として生じている組成物を調製するプロセス」に記述されている。このようなポリマーを作るための方法は、上記の特許出願において詳細に記述されている。
【0003】
現在のところ見出されているのは、プロセスオイルおよび他のポリマーとの新規ブロックコポリマーとのブレンドまたは配合物が、驚くべき有利な特性を有し、射出成形、押出製品およびポリマー修飾を含めた種々の最終用途において有望な実用性を示していることである。
【発明の開示】
【0004】
(発明の要旨)
本発明の1つの側面では、本発明者らは、主に線形の構造を有し、アルコキシシランカップリング剤で作られた少なくとも1つの水素化ブロックコポリマーを含む新規組成物が、多くの用途のために優れた特性を有することを見いだした。本発明者らはまた、これらの組成物が種々の形成プロセスで使うことができ、これらが加工における多くの利点を有することを見いだした。
【0005】
したがって、本発明の広い範囲での側面は、少なくとも1つの水素化ブロックコポリマー組成物、および、場合により、オレフィンポリマー、スチレンポリマー、粘着性付与(tackifying)樹脂、ポリマーエクステンダーオイルおよびエンジニアリング熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を含む物品である。水素化ブロックコポリマー組成物は、AポリマーブロックおよびBポリマーブロックを有する。ここで、水素化の前に、水素化ブロックコポリマー組成物は、以下のものを含む構造を有する:a.一般式(A−B)Xによって表される100,000から800,000の数平均分子量を有する四分岐ブロックコポリマー(IV);b.一般式(A−B)Xによって表される75,000から600,000の数平均分子量を有する三分岐ブロックコポリマー(III);c.一般式(A−B)Xによって表される50,000から400,000の数平均分子量を有する二分岐ブロックコポリマー(II);およびd.一般式A−Bによって表される25,000から200,000の数平均分子量を有する線形ジブロックコポリマー(I)。上記において、i)Aはモノアルケニルアレーンのポリマーブロックを表し、ii)Bは共役ジエンのポリマーブロックを表し、iii)Xはアルコキシシランカップリング剤の残部分を表し、およびiv)コポリマーI、II、IIIおよびIVの相対量は、IVが0から5重量%、IIIが0から60重量%、IIが40から95重量%、およびIが2から10重量%であり、I、II、IIIおよびIVの合計が100重量%に等しくなる。アルコキシシランカップリング剤は、式R−Si−(OR’)を有する。ここで、xは0または1、x+y=4であり、RおよびR’は同じまたは異なるものであり、Rはアリール炭化水素基、線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択され、R’は1から12個の炭素原子を有する線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択される。類似のCDEブロックコポリマーもまた含まれ、ここでCブロックおよびEブロックは同じまたは異なった共役ブロックであり、Dブロックはモノアルケニルアレーンブロックである。
【0006】
別の本発明の側面において、本発明者らは、射出成形、圧縮成形、オーバーモールディング(over molding)、ディッピング、押出、回転成形、スラッシュ成形、紡糸、ブロー成形、ポリマー修飾、キャストフィルム製造、ブロンフィルム製造、および発泡を含めた多種多様なプロセスで、本発明の物品が成形可能であることを示した。
【0007】
さらに別の本発明の側面において、本発明の物品は、フィルム、シート、多層ラミネート、コーティング、帯状物、細片、形状成形、成型、発泡体、テープ、布地、糸、フィラメント、リボン、繊維、多数の繊維、または繊維ウエブの形に加工することができる。
【0008】
最終的に、本発明のコポリマーは、コポリマー特性に悪影響を与えない他の成分と混合することができる。追加の成分として使用されることが可能とされる例示的な物質は、限定はしないが、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックスおよびフロー促進剤が挙げられるであろう。本発明のポリマーは、例えば、おもちゃ、グリップ、ハンドル、靴底、管類、スポーツ用品、密封剤、ガスケットおよびオイルゲルのような成型製品および押出製品を含めた多種多様な用途において有用である。本組成物はまた、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびエポキシ樹脂のためのゴム強化剤としての使用が見いだされる。本発明のポリマーはまた、合金およびブレンドにおいて、および多様なポリマーおよび他の物質のための相溶化剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の主要成分は、新規ブロックコポリマー組成物である。このようなブロックコポリマーは、60/385,663仮特許出願、および‘663出願に基づく優先権を主張しており、この出願と同時に出願された条約上の米国特許出願に記載され、特許請求されている。
【0010】
本発明の分布制御された新規コポリマーを調製するための出発物質には、最初のモノマーが含まれている。アルケニルアレーンは、スチレン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタリンおよびパラ−ブチルスチレンまたはこの混合物から選択することができる。この中で、スチレンが最も好ましく、種々の製造会社から比較的安価で市販されている。本明細書中で使用するための共役ジエンは、1,3−ブタジエン、ならびにイソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび1−フェニル−1,3−ブタジエンのような置換ブタジエン、またはこれらの混合物である。好ましいジエンとしては、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。ある場合には、ジエンは1,3−ブタジエンとイソプレンとの混合であってもよい。ある場合には、1,3−ブタジエンが最も好ましい。本明細書および特許請求の範囲で使われる「ブタジエン」は、特に「1,3−ブタジエン」を意味する。
【0011】
本発明の主要な側面は、新規ポリマーを調製するために使われるカップリング剤である。上記のように、本発明で使われるカップリング剤は、式R−Si−(OR’)を有する。ここで、xは0または1、x+y=4であり、RおよびR’は同じまたは異なるものであり、Rはアリール炭化水素基、線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択され、R’は線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択される。アリール基は、好ましくは6から12個の炭素原子を有する。アルキル基は、好ましくは1から12個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する。好ましいテトラアルコキシシランは、テトラメトキシシラン(「TMSi」)、テトラエトキシシラン(「TESi」)、テトラブトキシシラン(「TBSi」)およびテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン(「TEHSi」)である。好ましいトリアルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン(「MTMS」)、メチルトリエトキシシラン(「MTES」)、イソブチルトリメトキシシラン(「IBTMO」)およびフェニルトリメトキシシラン(「PhTMO」)である。この中で最も好ましいのは、テトラエトキシシランおよびメチルトリメトキシシランである。
【0012】
種々のブロックの分子量を制御することもまた重要である。各Aブロックに対して、望ましいブロック分子量は、3,000から約60,000、好ましくは約5,000から約50,000である。各Bブロックに対して、望ましいブロック分子量は、約20,000から約200,000、好ましくは約25,000から約150,000である。CDEブロックコポリマー組成物に関しては、各Dブロックに対して、望ましいブロック分子量は、3,000から約60,000、好ましくは約5,000から約50,000である。各Eブロックに対して、望ましいブロック分子量は、約20,000から約200,000、好ましくは約20,000から約150,000である。各Cブロックに対して、望ましいブロック分子量は、約1,000から約25,000、好ましくは約3,000から約15,000である。これらの分子量は、光散乱測定によって最も正確に決定され、数平均分子量として表される。
【0013】
四分岐ブロックコポリマー(IV)種、三分岐ブロックコポリマー(III)種、二分岐ブロックコポリマー(II)種および線形ジブロック(I)種の相対量は、四分岐IVが0から5重量%、三分岐IIIが0から60重量%、二分岐IIが40から95重量%、および線形ジブロックIが2から10重量%である。好ましい量は、IVが0から5重量%、IIIが0から36重量%、IIが60から95重量%、およびIが4から8重量%である。
【0014】
本ブロックコポリマー組成物は、約90から98重量パーセント、好ましくは約92から約96重量パーセントのカップリング効率(「CE」)を有する。カップリング効率は、共役反応の完了時にカップリング剤の残部分を介して結合するカップリング剤が加えられた時点で生きているポリマー鎖末端(P−Li)の割合と定義される。実際は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のデータが、ポリマー生成物に対するカップリング効率を計算するために使われる。カップリングされた種(II+III+IV)すべてについてのGPC曲線の下の面積の合計が、カップリングされた種すべてのGPC曲線の下の面積の合計、および出発ポリマー種、カップリングしていないポリマー種(I+II+III+IV)のGPC曲線の下の面積の合計で割られる。この比は、カップリング効率を百分率値に換えるために100を掛けられる。
【0015】
ブロックコポリマー中のAブロックおよびDブロックの百分率は、約5から約50重量%、好ましくは約10から約40重量%であることが望ましい。
【0016】
別の重要な本発明の側面は、Bブロックにおける共役ジエンの微細構造またはビニル含有量を制御することである。用語「ビニル」は、1,3−ブタジエンが1,2−付加機構によって重合されるとき、作られるポリマー生成物を記述するために使われている。結果物は、ポリマー骨格にぶら下がっている一置換オレフィン基、つまりビニル基である。イソプレンのアニオン重合の場合、3,4−付加機構を介したイソプレンの挿入により、ポリマー骨格にぶら下がったジェミナルのジアルキルC=C部分が得られる。ブロックコポリマーの最終特性へのイソプレンの3,4―付加重合の影響は、ブタジエンの1,2−付加から受ける影響と同様のものとなる。共役ジエンモノマーとしてのブタジエンの使用について述べる場合、ポリマーブロックの中の縮合ブタジエンユニットの約10から80モル%が1,2−付加配置を有することが好ましい。好ましくは、縮合ブタジエンユニットの約30から約80モル%が、1,2−付加配置を有するべきである。共役ジエンモノマーとしてのイソプレンの使用について述べる場合、ブロックの中の縮合イソプレンユニットの約5から80モル%が3,4−付加配置を有することが望ましい。ポリマー微細構造(共役ジエンの付加様式)は、微細構造モディファイヤーとして、ジエチルエーテルのようなエーテル、1,2−ジエトキシプロパンのようなジエーテル、またはアミンを希釈剤に添加することによって効果的に制御される。リチウムポリマー鎖末端に対する微細構造モディファイヤーの適切な比率は、米国再発行特許Re.27,145において開示および教唆されている。
【0017】
ブロックコポリマーは、選択的に水素と化合している。水素化は、先行技術で知られているいくつかの水素化プロセスまたは選択的水素化プロセスのいずれかによって実行することができる。例えば、このような水素化は、例として米国特許第3,494,942号、第3,634,594号、第3,670,054号、第3,700,633号、および再発行特許Re.27,145で教示されているような方法を使って達成される。水素化は、共役ジエンの二重結合の少なくとも約90%が還元され、0から10%の間のアレーンの二重結合が還元されているというような条件下で実行することができる。好ましい範囲は、共役ジエンの二重結合の少なくとも約95%が還元されていることであり、より好ましくは、共役ジエンの二重結合の約98%が還元されている。また、芳香族の不飽和部が上記の10%レベルを越えて還元されるように、ポリマーを水素化することもまた可能である。この場合、共役ジエンおよびアレーンの両方の二重結合は、90パーセント以上まで還元することができる。
【0018】
水素化ブロックコポリマーは、ポリマーエクステンダーオイルと混練することができる。ブロックコポリマーのエラストマーセグメントと相溶可能なタイプのオイルが、特に好ましい。より高い芳香族配合物含有量のオイルが満足できるものであるが、低揮発性および50%未満の芳香族含有量を有するこれらの石油系ホワイトオイルが好ましい。一般的なパラフィン系プロセスオイルを使って、本発明のポリマーを軟化および伸張することができる。しかしながら、より高いナフテン系含有量を有するプロセスオイルは、ゴムブロックといっそう相溶することができる。40%から55%の間のナフテン系含有量および10%未満の芳香族含有量を有するプロセスオイルが好ましい。オイルは低い揮発性を有し、好ましくは約500°Fを超える初留点を有するべきである。使用されるオイルの量は、ゴムまたはブロックコポリマーの100重量部あたり約5から約300重量部、好ましくは約20から約150重量部の範囲で変動する。
【0019】
本発明のブロックコポリマーは、オレフィンポリマー、スチレンポリマー、粘着性付与樹脂およびエンジニアリング熱可塑性樹脂を含めた多種多様の他のポリマーとブレンドすることができる。
【0020】
さらに、本発明のブロックポリマーは、KRATONポリマーから入手可能なスチレンブロックコポリマーのような、通常のスチレン/ジエンブロックコポリマーおよび水素化スチレン/ジエンブロックコポリマーとブレンドすることができる。これらのスチレンブロックコポリマーとしては、線形S−B−S、S−I−S、S−EB−S、S−EP−Sブロックコポリマーが挙げられる。イソプレンおよび/またはブタジエンと共にスチレンをベースとしたラジアルブロックコポリマーおよび選択的に水素化されたラジアルブロックコポリマーもまた挙げられる。
【0021】
オレフィンポリマーとしては、例えば、エチレンホモポリマー、エチレン/α−オレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンコポリマー、高衝撃ポリプロピレン、ブチレンホモポリマー、ブチレン/α−オレフィンコポリマーおよび他のα−オレフィンコポリマーまたはインターポリマーが挙げられる。代表的なポリオレフィンとしては、例えば、以下に限定されないが、低密度ポリエチレン(LLDPE)、極超低密度ポリエチレンもしくは超低密度ポリエチレン(ULDPEもしくはVLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)および高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含めた実質的な線形エチレンポリマー、均一に分岐した線形エチレンポリマー、不均一に分岐した線形エチレンポリマーが挙げられる。本明細書に含まれる他のポリマーは、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、エチレン/環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマーおよびポリプロピレンコポリマー、プロピレン/スチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブチレン、エチレン一酸化炭素インターポリマー(例えば、エチレン/一酸化炭素(ECO)コポリマー、エチレン/アクリル酸/一酸化炭素ターポリマーなどである。さらに本明細書に含まれる他のポリマーとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)およびPVCと他の物質とのブレンドである。使用されるオレフィンポリマーの量は、100重量部のゴムまたはブロックコポリマーあたり、約5から約100重量部、好ましくは約20から約50部の範囲で変動する。
【0022】
スチレンポリマーとしては、例えば、結晶ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、中衝撃ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン(ABS)ポリマー、シンジオタクチックポリスチレンおよびスチレン/オレフィンコポリマーが挙げられる。代表的なスチレン/オレフィンコポリマーは、好ましくは少なくとも20の重量パーセントの共重合されたスチレンモノマーを含んでいる実質上不規則なエチレン/スチレンコポリマーまたはプロピレン/スチレンコポリマーである。使用されるスチレンポリマーの量は、100重量部のゴムまたはブロックコポリマーあたり、約5から約100重量部、好ましくは約20から約50部の範囲で変動する。
【0023】
元々はHimont社(現Basell)によって開発された商品名Interloy(登録商標)で提供されるもののようなスチレングラフトポリプロピレンポリマーもまた挙げられる。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲の目的のために、用語「エンジニアリング熱可塑性樹脂」は、下に表Aにリストされ、さらに米国特許第4,107,131号(この開示は参照により本明細書で組込まれる。)で定義された分類の中に見出される種々のポリマーを包含する。
【0025】
【表1】

【0026】
粘着性付与樹脂としては、ポリスチレンブロック相溶性樹脂および中央ブロック相溶性樹脂が挙げられる。ポリスチレンブロック相溶性樹脂は、クマロンインデン樹脂、ポリインデン樹脂、ポリ(メチルインデン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン樹脂、αメチルスチレン樹脂およびポリフェニレンエーテル、特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)からなる群から選択することができる。このような樹脂は、例えば、「HERCURES」、「ENDEX」、「KRISTALEX」、「NEVCHEM」および「PICCOTEX」の商標の下で販売されている。水素化(中央)ブロックと相溶可能な樹脂は、相溶性C炭化水素樹脂、水素化C炭化水素樹脂、スチレン化C樹脂、C/C樹脂、スチレン化テルペン樹脂、完全または部分的に水素化されたC炭化水素樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。これらの樹脂は、例えば、「REGALITE」、「REGALREZ」、「ESCOREZ」および「ARKON」の商標の下で販売されている。粘着性付与樹脂の量は、100重量部のゴムまたはブロックコポリマーあたり、約5から約100重量部、好ましくは約20から約50重量部の範囲で変動する。また、ポリスチレンブロック相溶性樹脂および中央ブロック相溶性樹脂の両方を使うこともできる。
【0027】
本発明のポリマーブレンドは、本発明の範囲から逸脱することなく、他のポリマー、オイル、フィラー、補強剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、抗ブロッキング剤、潤滑剤、ならびに他のゴムおよびプラスチック配合成分とさらに混練することができる。
【0028】
使用することができる種々のフィラーの例は、「1971−1972 Modern Plastics Encyclopedia、240から247ページ」に見いだされる。補強剤は、ポリマーの強度を向上させるための樹脂マトリックスに加えられる物質として単に定義することができる。これらの補強物質の大部分は、高分子量の無機製品または有機製品である。種々の例としては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、粘土、ガラス繊維、アスベスト、ホウ素繊維、炭素繊維および黒鉛繊維、ウィスカー、クォーツ繊維およびシリカ繊維、セラミック繊維、金属繊維、天然有機繊維および合成有機繊維が挙げられる。特に、得られた補強ブレンドの全体重量に対して約2から約80重量%の炭酸カルシウムを含んでいる本発明の補強ポリマーブレンドが好ましい。
【0029】
種々の成分の相対量に関して、これは、1つには特定の最終用途、および最終用途のために選択される特定のブロックコポリマーに依存する。下の表Bは、重量%で表されたいくつかの観念的な組成物を示す。これらは、本発明に含まれる。「ポリマー」量について、部分的には通常のスチレンブロックコポリマーを含むことができる。
【0030】
【表2】

【0031】
本発明のポリマーは、純粋なポリマーとして、または配合物の状態のいずれかで多くの用途において使うことができる。以下の種々の最終用途および/またはプロセスは、例示的なものであり、本発明を限定するものではない。
【0032】
・ポリマー修飾用途
・玩具、医療デバイスの射出成形
・フィルム押出、チューブ押出、プロファイル押出
・介護用途、グリップ用途、ソフトタッチ用途のための、およびエアバッグ、ハンドルなどのような自動車部品のためのオーバーモールディング用途
・手袋のようなディップ製品
・トレー用のシート成形配合物またはバルク成形配合物のような熱硬化用途
・玩具および他の物品のための回転成形
・自動車外板のスラッシュ成形
・コーティング用熱スプレー
・医療デバイス用ブローフィルム
・自動車部品用/工業部品用ブロー成形
・個人衛生用途のためのフィルムおよび繊維
・機能性ポリマーのための結合(tie)層
(実施例)
以下の実施例は、本発明を示すために提供される。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図せず、このように解釈されるべきではない。他に示されない限り、量は、重量部または重量%を単位とする。
【実施例1】
【0033】
本発明の種々の水素化ブロックコポリマー組成物を、上記で参照した同時係属の特許出願番号60/385,663で開示されたプロセスに従って調製した。種々のポリマーは、下の表1に示される。次いで、これらのポリマーを他の実施例で記述された種々の用途で使った。
【0034】
【表3】

【0035】
メタノールの存在下で水素化されたポリマーから調製されたポリマーの平均機械特性(水素化後のCE=95.7%)を、以下の表2において、S−EB−S連続重合トリブロックポリマーから調製されたこと以外は同一の配合物と比較する。100部のポリマーあたり200、300または500部のPenrico製Drakeol 34とポリマーとを混ぜた。サンプルを圧縮成形し、ASTM D412に従ってテストした。本発明のカップリング生成物で作られた配合物の特性は、連続トリブロックで作られた配合物の特性に非常に匹敵するものである。
【0036】
【表4】

【実施例2】
【0037】
21.7%のブロックコポリマー、54.3%のDrakeol 34、23.9%のProfax6301ポリプロピレンおよび0.1%のIrganox1010を含んでいる配合物を調製した。ポリマーとしては、本発明のポリマー1およびポリマー4、およびC1(比較のために使われる連続調製された水素化スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)を挙げた。ポリマー4は、テトラエトキシシランカップリング剤で調製されている以外は、ポリマー1と同様のものである。ポリマーおよびオイルを混ぜ、数時間吸収させておいた。ポリプロピレンペレットを加え、水中ペレタイザーを装備した20mmのBerstorff二軸押出機で混合物を押出した。テストのためのプラークをKrauss Maffai射出成形機で射出成形した。硬度および引張特性を、射出方向および射出と垂直な方向においてASTM D412に従って測定した。特性は、実験誤差内で等方性であることが判明した。平均をとった結果を表3に記載する。
【0038】
【表5】

【実施例3】
【0039】
17.9%のブロックコポリマー、44.75%のDrakeol 34、10.42%のProfax6301ポリプロピレン、26.85%のVicron25−11炭酸カルシウムおよび0.1%のIrganox1010を含んでいるフィラー充填配合物を調製した。ブロックコポリマーとしては、本発明の#2および#4、比較のためにC2およびC1を挙げた。C1およびC2は、共に連続的に調製された水素化SBSブロックコポリマーである。ポリマーおよびオイルを混ぜ、数時間吸収させておいた。ポリプロピレンペレットおよび炭酸カルシウムを加え、水中ペレタイザーを装備したBerstorff二軸押出機で混合物を押出した。テストのためのプラークをKrauss Maffai射出成形機で射出成形した。硬度および引張特性を、射出方向および射出と垂直な方向において測定した。特性は、実験誤差内で等方性であることが判明した。平均をとった結果を表4に記載する。驚くべきことに、カップリングポリマーは、連続調製の比較ポリマーと比べて同等の強度を示している。
【0040】
【表6】

【実施例4】
【0041】
微細構造モディファイヤーとしてジエチルエーテルの代わりに1,2−ジエトキシプロパンを使って、実施例1で記述したポリマーの高カップリング、非常に線形な、およびビニル高含有の類似物を調製した。上記のテトラエトキシシランカップリング技術を使用することで、表5に記載されたポリマーを得た。
【0042】
実施例1で記述されたCo/Alを使った水素化技法は、GPCで分析されるように、本質的にデカップリングをもたらさなかった。
【0043】
【表7】

【0044】
n=1、2、3または4の場合の(CDE)Xタイプのポリマーを実施例1で記述したカッププリング技術を使って調製した。カプリングの前では、ポリマーは、トリブロックリビングコポリマー(PBd−PS−PBd−Li)であった。テトラエトキシシランとカップリングすることで、表6で記述された高結合ポリマーを得た。このポリマーをNi/Alを使って水素化し、E/B−S−E/B−S−E/Bペンタブロックコポリマーを作った。GPCによって分析されるように、このポリマーのデカップリングが水素化の間に起こる証拠はなかった。
【0045】
【表8】

【0046】
表5および表6でのポリマーを、表7に記載の条件の下でWerner−Pfleiderer二軸押出機の中でMoplen 340Nポリプロピレンと混練した。各実施例において使われたブロックコポリマーおよびPPの量は、70重量%のブロックコポリマーおよび30重量%のポリプロピレンであった。チューブを記載のように200から230℃の溶融温度で押出した。射出成形プラークもまた、透明度および曇価の測定のために調製した。表7に示されるように、本発明のポリマーは、比較のポリマーC3およびC4(共に、ビニル高含有で選択的に水素化した連続重合SBSブロックコポリマー)より良い透明度を有する。
【0047】
【表9】

【実施例5】
【0048】
ポリプロピレンMoplen HF568X(20重量%)、粘着性付与樹脂RegaliteR−1125(5重量%)および末端ブロック樹脂KristallexF−100(10重量%)と実施例4のポリマー(65重量%)とのブレンドを25mmのWerner & Pfleiderer同方向回転押出機の中で49L/Dで製造した。成分をPapenmeierインターナルミキサーでプレブレンドし、1つの給送用ポートの中に供給した。ストランドを水浴で冷やし、ストランドカッターを使って粒状とした。
【0049】
ストランドをASTM D1238−95(230℃、2.16kg)に従ってGoettfertメルトインデックス試験機で作成した。メルトインデックス試験機によって作り出されたストランドをZwick機械試験機に固定した。ストランドを100mm/秒の速度で150%伸びまで伸張し(負荷段階)、すぐにゼロの力に緩めた(無負荷段階)。第2サイクルを第1サイクルの直後に続けた。50%伸びおよび100%伸びにおける力を第1サイクルについて記録する。負荷段階および無負荷段階のエネルギーの差としてヒステリシスを測定した。最初のサイクル(力がゼロに等しい)のオリジナルのサンプル長さと第2サイクルの前(力がゼロに等しい)のサンプル長さの間の相違として、永久歪みを測定する。
【0050】
メルトインデックス試験機によって作り出されたストランドを、Zwick機械試験機に固定することにより、応力緩和もまた測定した。ストランドを熱風オーブンの中で40℃において50%伸びまで伸張した。このサンプルを2時間この位置で保持した。力の減衰を測定した。応力緩和は、最終の力と最初の力との間の比率として表される。
【0051】
【表10】

【0052】
表8は、ポリマー5および6で調製した配合物が、より低い永久歪みを有する連続SEB−Sコントロールより堅いことを示している。ポリマー6での配合物は、驚異的に堅く、降伏応力を示した。カップリングされたビニル高含有トリブロックコポリマー5および6は、各用途に望ましい加工性(フロー)および弾性特性の利点が得られる。
【実施例6】
【0053】
実施例7のポリマー#5、6およびC5を粘着性付与樹脂Regalrez R1126および低密度ポリエチレンEpolene C10(共にEastman Chemicalから入手)と共にブラベンダーミキサーの中で混練した。結果を表9に示す。
【0054】
【表11】

【0055】
本発明のポリマーは、コントロールSEBS C5と比較してヒステリシス回復の改善を示した。
【実施例7】
【0056】
種々のテトラエトキシシランでカップリングした水素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(すなわち、(A−B)Xブロックコポリマー)を上記の実施例1で記述されたのと同様の重合プロセスで製造した。結果を表10において以下に示す。これらのポリマーの調製は、以下の点で、実施例1で記述されたものとは違った。1)これらのポリマーは、テトラエトキシシランをカップリング剤として使用した。2)カップリングの前で、リビングブロックコポリマーにおけるブロックの分子量は、より小さかった(PS−PBd−Li(A−B−Li))。および、3)Ni/A1水素化触媒を使用した。実施例1での結果と一致して、カップリング反応は進行し、カップリングされた生成物の中で良い線形性を有する高い含有量のカップリングポリマーを得た。これらのポリマーの水素化は、最小限の分解を伴って進行した。これらの混合物のカップリングされた線形成分のセグメント分子量は、項目「線形ポリマーの大きさ」の下に示される。この項目で、最初の数および3番目の数は単位1000のAブロック分子量であり、第2、すなわち中央の数は単位1000のBブロック分子量である。水素添加の前のブタジエンユニットのビニル含有量(「%1,2−ブタジエン含有量(%)」)、カップリング効率(「カップリング効率(%)」)、線形2アームの重量%(「線形カップリングポリマー(%)(II)」)およびラジアル3アーム種および4アーム種(「分岐ポリマー(%)(111+IV)」、アーム%)、ジブロックの重量%(「カップリングされていないポリマー(%)(I)」)および水素化後のカップリングされていないポリマー重量%(「水素化後のカップリングされていないポリマー(%)」)もまた示される。この後の測定は、水素化の間に起こった分解(デカップリング)の程度のために用意された分析である。水素化の際にカップリングされないポリマーの増加は、1から3%の範囲にあった。このレベルのデカップリングは、生産能力の見地からは重要ではない。17という番号が付いた生成物は、生成物14、15および16の物理的なブレンドである。
【0057】
【表12】

【0058】
さまざまな量の低密度ポリエチレン(Eastman製Epolene C10またはEquistar製Petrothene NA601)および粘着性付与樹脂(Eastman製Regalrez 1126またはExxon製EMPR100)を有するポリマーで配合物を製造した。成分をタンブラー混合(tumbling)することで、この配合物を製造し、次いで水中ペレタイザーを備えたBerstorff二軸押出機に供給した。これから単軸押出機を使用して、Davis Standardフィルムラインの上で、ペレットをフィルムにキャスト成形した。ASTM D412に従って、このフィルムを押出方向および横方向においてテストした。69%カップリング効率まで種々のカップリング剤とカップリングされているポリマーC5(水素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー)が含まれる。これは、ポリマー#10と同様の分子量を有する。これらのフィルムからのデータを表11に示す。
【0059】
【表13】

【0060】
本発明のポリマーの特性は、比較ポリマーC5(異なるカップリング剤で作られた、より低いCEを有している水素化SBSブロックコポリマー)の特性より優れている。同じ配合で比較されるとき、この100%弾性率および300%弾性率によって測定されたように、本発明のポリマーはより堅くて、比較ポリマーより高い引張強度を有する。
【実施例8】
【0061】
実施例7のポリマー#17もまた、粘着性付与樹脂、ポリスチレンおよびポリエチレンと様々な比率で混練した。これらの配合物を調製し、フィルムキャストし、実施例7で記述されたようにテストを行った。
【0062】
【表14】

【0063】
表12のデータは、本発明のポリマーの引張特性およびヒステレシス特性が、広い範囲の成分での広い範囲の配合においてC5の特性よりも優れていることを示している。表12はまた、ポリスチレンの添加が、他の特性を維持したまま弾性率を向上させるのに、低密度ポリエチレンよりさらに効果的であることを示している。
【実施例9】
【0064】
実施例7のポリマーのうちの2つを、低密度のポリエチレンEpolene C−10(Eastman Chemical社製)およびメタロセン低密度ポリエチレンExact 4023(密度0.88およびメルトインデックス30、Exxon Chemical製)と混合した。結果を表13での同じ配合の比較ポリマーC5と比較する。
【0065】
【表15】

【0066】
表13のデータは、本発明のポリマーがポリエチレンと配合される場合、比較のSEBS C5よりすべてのカテゴリー(高い引張強度、高い弾性率、良いヒステリシス回復、低い永久歪み、および少ない応力緩和)において驚くほど良い特性を有することを示す。
【実施例10】
【0067】
ポリマー#17を低密度ポリエチレンNA952(密度0.91、MF2.0、Equistar Chemical製)と混合し、強靭性および弾性率を向上させた。70%のNA952および30%の実施例7のポリマー#17もしくはC5 SEBSのいずれかを含んでいるブレンドを表14に示された条件の下においてブラベンダーミキサーで調製した。驚くべきことに、ポリマー#17の添加により、弾性率は減少したが、引張破断伸びおよび引張強度が増加した。C5は弾性率を減少させるが、引張破断伸びおよび引張強度もまた減少させる。
【0068】
【表16】

【実施例11】
【0069】
配合物を実施例7のポリマーで作った。表15に示されたポリプロピレンHL508FB(Borealis製、MFR800)およびEpoleneC−10(Eastman Chemical製LDPE)とのブレンドをWP二軸押出機で調製した。表15に示された特性を、射出成形プラーク、および実施例5の方法によって押出したストランドにおいて測定した。
【0070】
【表17】

【0071】
コントロールポリマーと比較される場合、ポリマー#11をベースとしたブレンドは、十分により高い強度および剛性ならびに際立ってさらに良い応力緩和を示した。
【実施例12】
【0072】
20重量%のメルトフロー5のポリプロピレンを含む配合物を本発明のポリマーとブラベンダーミキサーで混練した。ポリマー#7を連続SEB−Sポリマー(表16でのC4)と比較する。驚くべきことに、本発明のポリマーは、連続S−EB−Sと比較して強度および引張破断伸びの向上を示した。
【0073】
【表18】

【0074】
同様に、同じポリマーを80%の同じポリプロピレンとブラベンダーミキシングヘッドで混合した。表17のデータは、本発明のポリマーがポリプロピレンの引張破断伸びを向上させて、強靭性の向上を実証することを示す。
【0075】
【表19】

【実施例13】
【0076】
3つの実験において、5%のポリマー#7を15%のポリプロピレン(メルトフロー5)および80%の以下のポリエチレンの1つとブレンドした:Exact 8201(密度0.882のメタロセンLLDPE)、またはExact 0201(密度0.902のメタロセンLLDPE、Exxon Chemical製)またはNA952(密度0.91のLDPE、Equistar Chemical製)。ポリマーをブラベンダーミキサーで混ぜ、プラークの形にプレスした。このプラークをASTM D412に従って引張テストを行った。たった5%のポリマー#7を添加することで、ポリプロピレンとポリエチレンとを相溶させることにおいて有効なものとなり、このため、応力白化は、3つのポリエチレンのいずれについても500%を超える伸張の間に起こらなかった。
【実施例14】
【0077】
40%の本発明のポリマーとMFR6を有するPP X1804ポリプロピレン(40重量%、Nippon Poly−Chem製)およびRegalite R−1125粘着性付与樹脂(20重量%、Eastman Chemical製)とをブレンドすることにより、ストレッチラップ用途での使用に適したフィルムを調製した。各成分および酸化防止剤をPapenmeier インターナルミキサーでプレブレンドし、25mmのWerner & Pfleiderer同方向回転二軸押出機の中で49L/Dで混練した。ストランドを水浴で冷却し、ストランドカッターを使って粒状にした。次いで、フィルムをDr Collinフィルムラインでブロー成形した。このフィルムサンプルにおける引張特性をASTM D882−81に従って測定した。
【0078】
【表20】

【0079】
表18に示されるように、本発明の配合物は、良好な強度および加工性と組み合わせられて、フィルムにおいて高い異方性を有する。
【実施例15】
【0080】
実施例15において、高分子量でビニル高含有の本発明の水素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーをメチルトリメトキシシランカップリング剤で調製した。ジブロックポリマーアニオン(S−B−Li)を最初に以下のように調製した。6kgのシクロヘキサン、0.22kgのスチレンおよび4.8gのジエトキシプロパンを60℃において反応器の中に充填し、続いて2重量%のsec−ブチルリチウム30gのシクロヘキサン溶液を充填した。重合の完了後、0.45kgのブタジエンを加え、反応器を80℃まで加熱した。ブタジエンの98%が変換した後、メチルトリメトキシシラン(「MTMS」)の5%シクロヘキサン溶液を11g加えた。最後に、0.8gの2−エチルヘキサノールをポリマー溶液に加えた。最終生成物は、約92%の全体的なカップリング効率(すべての生成物プロダクト/カップリングされたプロダクト+カップリングしていないジブロック)を有する、71.2%の2アーム(線形)生成物からなっている。スチレンブロックは37,500の分子量を有し、SBジブロックは、約60%の1,2−ブタジエンを含有して372,000の分子量を有する。コバルトネオデカノエート−アルミニウムトリエチル触媒(Al/Co=1.6モル/モル)の10ppmCo溶液の存在下で、ポリマーのサンプルを5meq/g未満の残留オレフィン濃度にまで水素化した。これらの条件下での水素化の後、ポリマーは89%のカップリングを維持していた。硫酸水溶液で洗滌することにより触媒を除去し、水素化ポリマーのための一般的な条件下で、ポリマーを水蒸気蒸留によって回収した。このポリマーをポリマー#18とした。ポリマー#18を2つの他のポリマーと比較した。C6は、約29,000モル重量の末端ブロック、約67モルパーセントの中央ブロックのための1,2−ビニル含有量を有する完全に連続的な水素化SBSブロックコポリマーであって、およそ31重量%のスチレンを含む。一方、C7もまた、完全に連続的な水素化SBSブロックコポリマーであるが、約40モル%の1,2−ビニル含有量を有し、C6より約50%大きい分子量を有する。様々なポリマーを、上記の実施例4で記述されたようにWerner&Pfleiderer同方向回転二軸押出機の中でポリプロピレン(HP502L)およびプロセスオイル(Primol352)と混練した。ペレットを圧縮永久歪みテストのためのプラークの形態に射出成形した。表19の結果は、本発明のポリマーがC8と同様の圧縮永久歪みを有しているが、硬度がずっと低いことを示している。同様の硬度のポリマーC7と比べると、本発明のポリマーは優れた圧縮永久歪みを示している。
【0081】
【表21】

【実施例16】
【0082】
実施例15のポリマーを、実施例15と同じ成分で混練したが、量は次の通りであった。100重量部のブロックコポリマー、150部のエクステンダーオイルおよび60部のポリプロピレン。ポリマーは発泡させ、結果として表20に示されるような密度を有する。
【0083】
【表22】

【0084】
本発明のブロックポリマーは、C7の優れた発泡特性(発泡後の低密度)およびC8の優れた高温性能(70℃および100℃における低い圧縮永久歪み)を併せ持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの水素化ブロックコポリマー組成物、ならびにオレフィンポリマー、スチレンポリマー、粘着性付与樹脂、ポリマーエクステンダーオイル、フィラー、補強剤、潤滑剤およびエンジニアリング熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を含む物品であって、前記水素化ブロックコポリマー組成物が、
a.一般式(P)Xによって表される100,000から800,000の数平均分子量を有する四分岐ブロックコポリマー(IV);
b.一般式(P)Xによって表される75,000から600,000の数平均分子量を有する三分岐ブロックコポリマー(III);
c.一般式(P)Xによって表される50,000から400,000の数平均分子量を有する二分岐ブロックコポリマー(II);および
d.一般式Pによって表される25,000から200,000の数平均分子量を有する線形ジブロックコポリマー(I)
を含み、
ここで、PはA−BまたはC−D−Eに等しく、および
i)それぞれA、Dは、8から18個の炭素原子を有する1つまたはそれ以上のモノアルケニルアレーンのポリマーブロックを表し、
ii)それぞれB、CおよびEは、4から12個の炭素原子を有する1つまたはそれ以上の水素化共役ジエンのポリマーブロックを表し、
iii)Xは、式R−Si−(OR’)を有するアルコキシシランカップリング剤の残部分を表し、ここで、xは0または1、x+y=4であり、RおよびR’は同じまたは異なるものであり、Rはアリール炭化水素基、線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択され、R’は線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択され、
iv)コポリマーIV、III、IIおよびIの相対量は、IVが0から5重量%、IIIが0から60重量%、IIが40から95重量%、およびIが2から10重量%であり、I、II、IIIIVの合計が100重量%に等しくなる、
前記物品。
【請求項2】
前記モノアルケニルアレーンがスチレンであり、前記共役ジエンがイソプレンおよびブタジエンからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記共役ジエンがブタジエンであり、水素化の前で、ブロックBの中の縮合ブタジエンユニットの約10から約45モル%が1,2−配置を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の物品。
【請求項4】
前記ブロックコポリマー組成物が選択的に水素化され、このためCブロックおよびEブロックの中の95%を超えるオレフィン不飽和が還元されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記アルコキシシランカップリング剤が、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランおよびイソブチルトリメトキシシランからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記のAブロック、Dブロックが、それぞれ約3,000から約60,000の間の数平均分子量を有し、前記のBブロック、CブロックおよびEブロックがそれぞれ約20,000から約200,000の数平均分子量を有し、ここで、Bポリマーブロックに対するAポリマーブロックの重量比、ポリマーブロックCおよびEに対するポリマーブロックDの重量比がそれぞれ5/95から50/50である、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
100重量部の前記水素化ブロックコポリマーおよび:
a.5から300重量部のポリマーエクステンダーオイル;または
b.エチレンホモポリマー、エチレン/αオレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/αオレフィンコポリマー、高衝撃ポリプロピレン、およびエチレン/酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される5から100重量部のオレフィンポリマー;または
c.5から100重量部の粘着性付与樹脂;または
d.結晶ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、およびアクリロニトリル/ブタジエン/スチレンターポリマーからなる群から選択される5から100重量部のスチレンポリマー;または
e.エチレンホモポリマー、エチレン/αオレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/αオレフィンコポリマー、高衝撃ポリプロピレン、およびエチレン/酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される5から100重量部のオレフィンポリマー;または
f.これらの混合物
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記物品が、フィルム、シート、コーティング、帯状物、細片、形状成形、成型、発泡体、テープ、布地、糸、フィラメント、リボン、繊維、多数の繊維、または繊維ウエブの形態である、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、射出成形、オーバーモールディング、ディッピング、押出、回転成形、スラッシュ成形、紡糸、フィルム製造、および発泡からなる群から選択されるプロセスで成形される、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの水素化ブロックコポリマー組成物、ならびにオレフィンポリマー、スチレンポリマー、粘着性付与樹脂、ポリマーエクステンダーオイル、フィラー、補強剤、潤滑剤およびエンジニアリング熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を含む物品であって、前記水素化ブロックコポリマー組成物が、
a.一般式(P)Xによって表される100,000から800,000の数平均分子量を有する四分岐ブロックコポリマー(IV);
b.一般式(P)Xによって表される75,000から600,000の数平均分子量を有する三分岐ブロックコポリマー(III);
c.一般式(P)Xによって表される50,000から400,000の数平均分子量を有する二分岐ブロックコポリマー(II);および
d.一般式Pによって表される25,000から200,000の数平均分子量を有する線形ジブロックコポリマー(I)
を含み、
ここで、PはA−BまたはC−D−Eに等しく、および
i)それぞれA、Dは、8から18個の炭素原子を有する1つまたはそれ以上のモノアルケニルアレーンのポリマーブロックを表し、
ii)それぞれB、CおよびEは、4から12個の炭素原子を有する1つまたはそれ以上の水素化共役ジエンのポリマーブロックを表し、
iii)Xは、式R−Si−(OR’)を有するアルコキシシランカップリング剤の残部分を表し、ここで、xは0または1、x+y=4であり、RおよびR’は同じまたは異なるものであり、Rはアリール炭化水素基、線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択され、R’は線形アルキル炭化水素基および分岐アルキル炭化水素基から選択され、
iv)コポリマーIV、III、IIおよびIの相対量は、IVが0から5重量%、IIIが0から60重量%、IIが40から95重量%、およびIが2から10重量%であり、I、II、IIIIVの合計が100重量%に等しくなる、
前記物品。

【公表番号】特表2006−526699(P2006−526699A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515088(P2006−515088)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017332
【国際公開番号】WO2004/108784
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(501140348)クレイトン・ポリマーズ・リサーチ・ベー・ベー (44)
【Fターム(参考)】