説明

水質制御装置、それを用いた植物栽培システム、及び植物栽培方法

【課題】植物に供給する水の水質を制御し、水による養分の供給と、その水等の除菌を容易に行えるようにする。
【解決手段】窒素源を含んだ水を供給する窒素源供給装置(104)を設ける。また、窒素源を含んだ水が前記窒素源供給装置(104)から供給され、供給された水中で放電(例えばストリーマ放電)を行う放電ユニット(62)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の成分の調整や除菌を行う水質制御装置、それを用いた植物栽培システム、及び植物栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物の栽培では、植物を栽培するための養分を供給しつつ、病害の予防(例えば除菌)が必要になる。養分補給や除菌の方法としては、空気中での放電により生成したオゾン及びNOXを含むガスを、植物が植えられる土壌などに注入し、除菌と植物の成長促進を図った例がある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3002226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、植物の水耕栽培において特許文献1の方法を適用しようとすれば、オゾンガスは溶解効率が悪いので、十分な効果を得るためには、大量のガスを生成する設備が必要になる。また、残存ガスの処理にコストがかかる可能性がある。
【0005】
また、河川などの自然環境にある水は窒素や有機態窒素、アンモニウムイオンの含有量が多いので、河川などの自然環境にある水を栽培に使えば、水中の硝化微生物の作用によって、より多くのNOイオン(硝酸態窒素)やNOイオン(亜硝酸態窒素)を供給できるとも考えられる。しかしながら、自然環境にある水は、植物の病害を防ぐために一旦除菌する必要があり、これでは、硝化微生物も殺してしまうので、十分な硝酸態窒素や亜硝酸態窒素を得るのは難しい。
【0006】
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、植物に供給する水の水質を制御し、水による養分の供給と、その水等の除菌を容易に行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、第1の発明は、
窒素源を含んだ水を供給する窒素源供給装置(104)と、
前記窒素源供給装置(104)から供給された水中で放電を行う放電ユニット(62)を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成では、窒素源を含んだ水の中で放電が行われると、水中に存在する窒素、有機態窒素、NHイオンの分解が促進され、無機態の硝酸イオン、亜硝酸イオンが生成される。また、放電ユニット(62)が養液中で放電を行うことで、養液中には水酸ラジカルが発生し、発生した水酸ラジカルは過酸化水素となる。この過酸化水素は、配管(51,52)の汚れの原因となる物質を分解(付着防止)したり、養液中の雑菌を除菌する。
【0009】
また、放電による硝酸態窒素、亜硝酸態窒素の生成方法を利用すれば、電気的な制御だけで水中の硝酸イオン等の濃度を自在に制御できる。
【0010】
また、第2の発明は、
第1の発明の水質制御装置において、
前記放電ユニット(62)は、水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)を有し、該電極対(64,65)には直流電圧を印加する直流電源(70)が接続されていることを特徴とする。
【0011】
この構成では、ストリーマ放電を利用しているので、無機態の硝酸イオン等を効率よく生成できる。
【0012】
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明の水質制御装置において、
前記窒素源供給装置(104)は、アンモニア化合物を窒素源とすることを特徴とする。
【0013】
この構成では、アンモニア化合物を溶かすだけなので、作業が簡単である。
【0014】
また、第4の発明は、
第1又は第2の発明の水質制御装置において、
前記窒素源供給装置(104)は、大気中の窒素を窒素源とすることを特徴とする。
【0015】
この構成では、大気中の窒素を窒素源としているので、無機態の硝酸イオン等の原料代が不要で低コストで生成できる。
【0016】
また、第5の発明は、
第1又は第2の発明の水質制御装置において、
前記窒素源供給装置(104)は、湖沼、河川、地下水、及び雨水のうちの何れかを窒素源とすることを特徴とする。
【0017】
この構成では、自然界の水を窒素源としているので、無機態の硝酸イオン等の原料代が不要で低コストで生成できる。
【0018】
また、第6の発明は、
第1から第5の発明のうちの何れか1つの水質制御装置において、
前記送放電ユニット(62)で処理した水を植物(200)に供給することを特徴とする。
【0019】
この構成では、生成された水、すなわち硝酸イオン等を含んだ水が植物に供給される。
【0020】
また、第7の発明は、
窒素源を含んだ水を供給する窒素源供給装置(104)と、
前記窒素源供給装置(104)から供給された水中で放電を行う放電ユニット(62)を備えた水質制御装置(60)と、
前記水質制御装置(60)で放電処理された水を植物(200)に供給する水供給部(52,53,102)を備えたことを特徴とする植物栽培システムである。
【0021】
この構成では、水質制御装置によって生成された水、すなわち硝酸イオン等を含んだ水が植物に供給される。
【0022】
また、第8の発明は、
第7の発明の植物栽培システムにおいて、
前記放電ユニット(62)は、水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)を有し、該電極対(64,65)には直流電圧を印加する直流電源(70)が接続されていることを特徴とする。
【0023】
この構成では、ストリーマ放電を利用しているので、無機態の硝酸イオン等を効率よく生成できる。
【0024】
また、第9の発明は、
有機態窒素、及びアンモニウム態窒素の少なくとも一方を含む水中で放電を発生させ、硝酸態窒素、及び亜硝酸態窒素の少なくとも一方を含む水を生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成した水を植物に供給する供給ステップとを有することを特徴とする植物栽培方法である。
【0025】
この方法では、機態窒素、及びアンモニウム態窒素の少なくとも一方を含む水中での放電によって生成された水、すなわち硝酸態窒素、及び亜硝酸態窒素の少なくとも一方を含む水が植物に供給される。
【0026】
また、第10の発明は、
第9の発明の植物栽培方法において、
前記生成ステップでは、直流電源を用いたストリーマ放電を水中で行うことを特徴とする。
【0027】
この方法では、ストリーマ放電を利用しているので、無機態の硝酸イオン等を効率よく生成できる。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明によれば、窒素源を有する水から硝酸イオンを含んだ水を容易に生成できる。硝酸イオンを含んだ水を植物に与えれば、植物の成長促進が期待できる。また、放電で発生した水酸ラジカルや過酸化水素により、水の除菌や浄化が可能になる。
【0029】
また、電気的な制御だけで水中の硝酸イオン等の濃度を自在に制御できるので、人為的に養分を加えるのに比べて、濃度の平準化や自動制御などが容易となる。その結果、植物の成長を促進する環境を安定的に実現できる。
【0030】
また、第2の発明によれば、直流電源(70)を用いてストリーマ放電を行っているので、例えばパルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。また、パルス電源を用いると、放電に伴って水中で発生する衝撃波や騒音が大きくなってしまう。これに対し、直流電源(70)を用いると、このような衝撃波や騒音も低減できる。
【0031】
また、無機態の硝酸イオン等を効率よく生成できるので、生成した水を植物に与えれば、植物の成長を促進が容易になる。
【0032】
また、第3の発明によれば、作業が簡単なので、生成した水を植物に与えれば、植物の栽培が容易になる。
【0033】
また、第4、5の発明によればそれぞれ、無機態の硝酸イオン等の原料代が不要で低コストで生成できるので、生成した水を植物に与えれば、植物の栽培がより低コストになる。
【0034】
また、第6の発明によれば、硝酸イオン等を含んだ水が植物に供給されるので、効率よく植物の成長促進を図ることが可能になる。
【0035】
また、第7の発明によれば、放電によって生成した硝酸イオン等を含んだ水が植物に供給されるので、効率よく植物の成長促進を図ることが可能になる。
【0036】
また、第8の発明によれば、無機態の硝酸イオン等を効率よく生成できるので、より効率よく植物の成長促進を図ることが可能になる。また、直流電源(70)を用いてストリーマ放電を行っているので、例えばパルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。
【0037】
また、第9の発明によれば、放電によって生成した硝酸イオン等を含んだ水が植物に供給されるので、効率よく植物の成長促進を図ることが可能になる。
【0038】
また、第10の発明によれば、無機態の硝酸イオン等を効率よく生成できるので、より効率よく植物の成長促進を図ることが可能になる。また、直流電源(70)を用いてストリーマ放電を行っているので、例えばパルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる水耕栽培システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る水質制御装置の全体構成図であり、動作を開始する前の状態を示すものである。
【図3】図3は、実施形態1に係る絶縁ケーシングの斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る水質制御装置の全体構成図であり、動作中に気泡が安定した状態を示すものである。
【図5】図5は、実施形態1の変形例に係る水質制御装置の全体構成図である。
【図6】図6は、実施形態1の変形例に係る絶縁ケーシングの斜視図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る水質制御装置の全体構成図であり、動作を開始する前の状態を示すものである。
【図8】図8は、実施形態2に係る水質制御装置の全体構成図であり、動作中に気泡が安定した状態を示すものである。
【図9】図9は、実施形態2の変形例に係る絶縁ケーシングの蓋部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0041】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態にかかる水耕栽培システム(10)の構成を示す図である。この水耕栽培システム(10)は、いわゆる施設園芸(例えばビニールハウス)や、閉鎖環境で人工光を用いて植物を栽培する植物工場等で使用される。図1に示すように、水耕栽培システム(10)は、栽培床(101)、配管(51,52,53)、ポンプ(102)、水質制御装置(60)、制御装置(103)、及び窒素源供給装置(104)を備えている。この水耕栽培システム(10)では、栽培床(101)、ポンプ(102)、水質制御装置(60)、及び窒素源供給装置(104)は、配管(51,52,53)で互いに接続され、植物の栽培に必要な養分を含んだ養液(L)が循環する。図1では、養液の循環方向を矢印で示してある。
【0042】
栽培床(101)は、養液(L)を、所定の量だけ溜めるようになっている。栽培床(101)には、植物(200)が植えつけられる。植えつけられた植物(200)は、栽培床(101)に溜められた養液(L)を吸収し、吸収した養液(L)中の養分を利用する。この栽培床(101)には養液(L)が流入する流入孔と、養液(L)が流出する流出孔が設けられ、流出孔には配管(51)、流入孔には配管(52)がそれぞれ接続されている。
【0043】
水質制御装置(60)は、水中(具体的には養液(L))でのストリーマ放電によって水中に過酸化水素等の浄化成分を生成し、この浄化成分によって水の浄化を行う。また、水質制御装置(60)は、硝酸イオンの生成を行う。水質制御装置(60)の構成は後に詳述する。この水質制御装置(60)には養液(L)が流入する流入孔と、養液(L)が流出する流出孔が設けられ、流入孔が栽培床(101)よりも下流側の配管(51)に接続され、栽培床(101)を通過した養液(L)が該配管(51)で供給されている。また、水質制御装置(60)の流出孔には、配管(52)が接続されている。
【0044】
ポンプ(102)は、養液(L)を循環させるためのポンプである。このポンプ(102)の吸入孔は、水質制御装置(60)の流出孔と配管(52)で接続され、吐出孔は、栽培床(101)の流入孔と配管(52)で接続されている。このポンプ(102)の運転状態は、制御装置(103)が制御する。
【0045】
本実施形態では、配管(51,52)は、一部が銅配管であり、残りの部分が樹脂の配管である。より詳しくは、水質制御装置(60)とポンプ(102)の間の配管(52)が銅配管である。配管(51,52)とポンプ(102)とは、本発明の水供給部の一例を構成している。
【0046】
窒素源供給装置(104)は、窒素源を含んだ水を供給する。この例では、窒素源供給装置(104)は、配管(54)を介して、雨水、湖沼、河川、あるいは井戸など(以下、河川等という)の水を、例えばポンプを用いて取り込んで、配管(51)の途中に接続された配管(53)を介して、取り込んだ水を水質制御装置(60)に供給する。河川等の水には窒素、有機態窒素、NHイオンが存在する。すなわち、窒素源供給装置(104)は、窒素源として河川等の水を供給するのである。なお、窒素源供給装置(104)は、制御装置(103)の制御を受けて、水の取り込みや、水質制御装置(60)への供給の動作が制御される。
【0047】
制御装置(103)は、ポンプ(102)、水質制御装置(60)、及び窒素源供給装置(104)に所定の制御信号(SIG)を出力し、ポンプ(102)の運転状態(オンオフ)の制御と、水質制御装置(60)の運転状態(ストリーマ放電のオンオフ)、水質制御装置(60)の運転状態(水の取り込み、供給のオンオフ)の制御を行う。
【0048】
〈水質制御装置(60)の構成〉
図2は、水質制御装置(60)の構成例を示す図である。水質制御装置(60)は、水中でのストリーマ放電によって水中に過酸化水素等の浄化成分を生成し、この浄化成分によって水の浄化を行うものである。また、水質制御装置(60)は、硝酸イオンの生成を行う。水質制御装置(60)は、水浄化タンク(61)と放電ユニット(62)とを有している(図2を参照)。
【0049】
水浄化タンク(61)は、密閉型の容器状に形成され、栽培床(101)の養液(L)が流入する。具体的に、水浄化タンク(61)には、栽培床(101)の流出孔に繋がる配管(51)と、ポンプ(102)の吸入孔に繋がる配管(52)が接続されている。即ち、水浄化タンク(61)は、栽培床(101)の下流側に配設されている。
【0050】
放電ユニット(62)は、放電電極(64)及び対向電極(65)とからなる電極対(64,65)と、この電極対(64,65)に電圧を印加する電源部(70)と、放電電極(64)を内部に収容する絶縁ケーシング(71)とを備えている。
【0051】
電極対(64,65)は、水中でストリーマ放電を生起するためのものである。放電電極(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に配置されている。放電電極(64)は、上下に扁平な板状に形成されている。放電電極(64)は、電源部(70)の正極側に接続されている。放電電極(64)は、例えばステンレス、銅等の導電性の金属材料で構成されている。
【0052】
対向電極(65)は、絶縁ケーシング(71)の外部に配置されている。対向電極(65)は、放電電極(64)の上方に設けられている。対向電極(65)は、上下に扁平な板状であって、且つ上下に複数の貫通孔(66)を有するメッシュ形状ないしパンチングメタル形状に構成されている。対向電極(65)は、放電電極(64)と略平行に配設されている。対向電極(65)は、電源部(70)の負極側に接続されている。対向電極(65)は、例えばステンレス、真鍮等の導電性の金属材料で構成されている。
【0053】
電源部(70)は、電極対(64,65)に所定の直流電圧を印加する直流電源で構成されている。即ち、電源部(70)は、電極対(64,65)に対して瞬時的に高電圧を繰り返し印加するようなパルス電源ではなく、電極対(64,65)に対して常に数キロボルトの直流電圧を印加する。電源部(70)のうち、対向電極(65)が接続される負極側は、アースと接続されている。また、電源部(70)には、電極対(64,65)の放電電力を一定に制御する定電力制御部が設けられている(図示省略)。
【0054】
絶縁ケーシング(71)は、水浄化タンク(61)の底部に設置されている。絶縁ケーシング(71)は、例えばセラミックス等の絶縁材料で構成されている。絶縁ケーシング(71)は、一面(上面)が開放された容器状のケース本体(72)と、該ケース本体(72)の上方の開放部を閉塞する板状の蓋部(73)とを有している。
【0055】
ケース本体(72)は、角型筒状の側壁部(72a)と、該側壁部(72a)の底面を閉塞する底部(72b)とを有している。放電電極(64)は、底部(72b)の上側に敷設されている。絶縁ケーシング(71)では、蓋部(73)と底部(72b)との間の上下方向の距離が、放電電極(64)の厚さよりも長くなっている。つまり、放電電極(64)と蓋部(73)との間には、所定の間隔が確保されている。これにより、絶縁ケーシング(71)の内部では、放電電極(64)とケース本体(72)と蓋部(73)との間に空間(S)が形成される。
【0056】
図2及び図3に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)には、該蓋部(73)を厚さ方向に貫通する1つの開口(74)が形成されている。この開口(74)により、放電電極(64)と対向電極(65)との間の電界の形成が許容されている。蓋部(73)の開口(74)の内径は、0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましい。以上のような開口(74)は、電極対(64,65)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部を構成する。
【0057】
以上のように、絶縁ケーシング(71)は、電極対(64,65)のうちの一方の電極(放電電極(64))のみを内部に収容し、且つ電流密度集中部としての開口(74)を有する絶縁部材を構成している。
【0058】
加えて、絶縁ケーシング(71)の開口(74)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、水がジュール熱によって気化して気泡(B)が形成される。つまり、絶縁ケーシング(71)の開口(74)は、該開口(74)に気相部としての気泡(B)を形成する気相形成部として機能する。
【0059】
〈水耕栽培システム(10)の動作〉
水耕栽培システム(10)では、制御装置(103)によって、ポンプ(102)がオン状態にされると、養液(L)が栽培床(101)に供給される。栽培床(101)では、それぞれの植物(200)が必要量の養液(L)を吸収する。植物(200)に吸収されなかった養液(L)は、栽培床(101)から配管(51)を通って流出し、水質制御装置(60)を通過する。その後、養液は、ポンプ(102)を経由して再び栽培床(101)に供給される。なお、養液(L)の循環は、連続して行うようにしてもよいし、適当な時間間隔をあけて行うようにしてもよい。
【0060】
水質制御装置(60)では、流路の浄化、養液の除菌、及び養液への硝酸イオンの供給が行われる。以下では、これ等の動作について説明する。
【0061】
〈本実施形態における除菌、配管の浄化〉
水耕栽培システム(10)において配管(51,52)を浄化するには、水質制御装置(60)でストリーマ放電を行わせる。また、ポンプ(102)もオンにする。具体的には、制御装置(103)が水質制御装置(60)やポンプ(102)をオンにする。
【0062】
水質制御装置(60)の運転の開始時には、図2に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の直流電圧(例えば1kV)が印加されると、電極対(64,65)の間に電界が形成される。この際、放電電極(64)の周囲は、絶縁ケーシング(71)で覆われている。このため、電極対(64,65)の間での漏れ電流が抑制されとともに、開口(74)内の電流経路の電流密度が上昇した状態となる。
【0063】
開口(74)内の電流密度が上昇すると、開口(74)内のジュール熱が大きくなる。その結果、絶縁ケーシング(71)では、開口(74)の近傍において、水の気化が促進されて気泡(B)が形成される。この気泡(B)は、図4に示すように、開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、対向電極(65)に導通する負極側の水と、正極側の放電電極(64)との間に気泡(B)が介在する。従って、この状態では、気泡(B)が、放電電極(64)と対向電極(65)との間での水を介した導電を阻止する抵抗として機能する。これにより、放電電極(64)と対向電極(65)との間の漏れ電流が抑制され、電極対(64,65)間では、所望とする電位差が保たれることになる。すると、気泡(B)内では、絶縁破壊に伴いストリーマ放電が発生する。
【0064】
以上のようにして、気泡(B)でストリーマ放電が行われると、水浄化タンク(61)内の水中では、水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素等が生成される。水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素は、ストリーマ放電に伴う熱によって水浄化タンク(61)内を対流する。これにより、水中での活性種や過酸化水素の拡散が促される。また、気泡(B)でストリーマ放電が行われると、このストリーマ放電に伴ってこの気泡(B)でイオン風を生成し易くなる。よって、水浄化タンク(61)内では、このイオン風を利用して、活性種や過酸化水素の拡散効果を更に向上できる。
【0065】
そして、ストリーマ放電によって生成した過酸化水素は、養液(L)の循環にともなって、水耕栽培システム(10)全体に広がる。この過酸化水素には、配管(51,52)の汚れの原因となる物質を分解(付着防止)したり、養液(L)中の雑菌を除菌する作用がある。そのため、過酸化水素が到達した部位では、配管(51,52)の浄化や除菌が行われる。なお、過酸化水素は、一般的には、植物には安全である。また、放電ユニット(62)が栽培床(101)の下流に配置されているので、水酸ラジカルが栽培床(101)に入り込まないようにできる。そのため、本実施形態では、水酸ラジカルが植物(200)に悪影響を与えることがない。
【0066】
また、配管(51,52)の一部として設けられた銅配管(イオン供給部)からは、銅イオンが養液(L)中に溶出する。過酸化水素と銅イオンの存在下では、フェントン反応により、銅イオンが触媒的に作用して水酸ラジカルの生成が促進される。これにより、水酸ラジカルによる水の浄化効率が向上する。加えて、銅イオンは菌の繁殖を抑制する効果があるため、水中での殺菌作用も高くなる。
【0067】
なお、水質制御装置(60)による除菌や汚れ分解は、常時行ってもよいが、適当な時間間隔をあけて行うようにしてもよい。水質制御装置(60)の運転の開始や休止の制御は制御装置(103)で行えばよい。
【0068】
〈硝酸イオンの供給〉
また、水質制御装置(60)では、硝酸イオンを生成できる。これには、制御装置(103)が、窒素源供給装置(104)をオンにして、河川等から水を取り込ませ、水質制御装置(60)に供給させる。また、ポンプ(102)もオンにする。そして、制御装置(103)は、水質制御装置(60)においてストリーマ放電を行わせる。
【0069】
水中でストリーマ放電が起こると、水中に存在する窒素、有機態窒素、NHイオンの分解が促進され、無機態の硝酸イオンが生成される(下記の式を参照)。
【0070】
【化1】

【0071】
これにより、水浄化タンク(61)内の養液(L)における、無機態の硝酸イオン濃度が上昇する。このようにして生成された硝酸イオンは、ポンプ(102)の動作によって、配管(52)を通って栽培床(101)に供給される。栽培床(101)では植物(200)が、この硝酸イオンを利用する。
【0072】
なお、硝酸イオンの供給は、常時行うようにしてもよいし、養液(L)中の硝酸イオン濃度を検知し、検知結果に応じて硝酸イオンの供給の有無を制御してもよい。
【0073】
また、硝酸イオンの生成中は、ポンプ(102)をオフにしておいて、水浄化タンク(61)中の硝酸イオン濃度がある程度高くなってからポンプ(102)を運転して、植物に硝酸イオンを供給するようにしてもよい。
【0074】
〈本実施形態における効果〉
以上のように、本実施形態によれば、河川等の自然環境の水から硝酸イオンを容易に生成できる。これにより、植物の成長促進が期待できる。また、このように自然環境の水を水耕栽培に利用できると、コストの大幅な削減が期待できる。
【0075】
また、放電による硝酸態窒素、亜硝酸態窒素の生成方法を利用すれば、電気的な制御だけで水中の硝酸イオン等の濃度を自在に制御できる。それゆえ、人為的に養分を加えるのに比べて、濃度の平準化や自動制御などが容易となる。その結果、植物の成長を促進する環境を安定的に実現できる。
【0076】
また、水質制御装置(60)において発生した水酸ラジカルや過酸化水素によって養液(L)中の汚れの原因物質の分解や雑菌の除菌ができるので、養液(L)の循環経路(配管(51,52))の汚れを抑制できる。また、水中(養液(L)中)でストリーマ放電を行って水酸ラジカルを発生させるので、例えばオゾンを溶解させるものと比べ、水酸ラジカルを効率的に利用することができる。また、過酸化水素は、水酸ラジカルよりも安定なので、水酸ラジカルよりもより広範囲の循環経路に行き渡らせることができる。それゆえ、汚れの原因物質の分解や除菌効果をより広範囲で期待できる。すなわち、本実施形態では、汚れの原因物質の分解や雑菌の除菌を効率的に行うことが可能になる。また、フィルタなどで汚れを除去するものと比べ、メンテナンスコストの低減を期待できる。
【0077】
また、本実施形態では、水質制御装置(60)が栽培床(101)よりも下流側に設けられているので、栽培床(101)において養液(L)中に入り込んだ汚れの原因物質を、システムに広がる前に分解することが可能になる。すなわち、養液(L)の循環経路の汚れをより効果的に抑制できる。
【0078】
また、フェントン反応によって過酸化水素から水酸ラジカルが生成されるので、銅配管(イオン供給部)の周辺において、より強力に除菌や汚れ分解(付着防止)を行うことが可能になる。
【0079】
《実施形態1の変形例》
上記実施形態1では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に1つの開口(74)が形成されている。しかしながら、例えば図5及び図6に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。この変形例では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)が、略正方形板状に形成され、この蓋部(73)に複数の開口(74)が等間隔を置きながら碁盤目状に配列されている。一方、放電電極(64)及び対向電極(65)は、全ての開口(74)に跨るような正方形板状に形成されている。
【0080】
この変形例においても、各開口(74)が、電流密度集中部、及び気相形成部として機能する。これにより、電源部(70)から電極対(64,65)に直流電圧が印加されると、各開口(74)の電流密度が上昇し、各開口(74)で気泡(B)が形成される。その結果、各気泡(B)でそれぞれストリーマ放電が生起され、水酸ラジカル等の活性種や、過酸化水素が生成される。
【0081】
また、実施形態1と同様に、窒素源供給装置(104)で河川等の水を水質制御装置(60)に供給すれば、硝酸イオンの生成も可能になる。
【0082】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る水耕栽培システム(10)は、上述した実施形態1とは放電ユニット(62)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点を主として説明する。
【0083】
図7に示すように、実施形態2の放電ユニット(62)は、水浄化タンク(61)の外側から内部に向かって挿入されて固定される、いわゆるフランジユニット式に構成されている。また、実施形態2の放電ユニット(62)は、放電電極(64)と対向電極(65)と絶縁ケーシング(71)とが一体的に組立てられている。
【0084】
実施形態2の絶縁ケーシング(71)は、大略の外形が円筒状に形成されている。絶縁ケーシング(71)は、ケース本体(72)と蓋部(73)とを有している。
【0085】
実施形態2のケース本体(72)は、ガラス質又は樹脂製の絶縁材料で構成されている。ケース本体(72)は、円筒状の基部(76)と、該基部(76)から水浄化タンク(61)側に向かって突出する筒状壁部(77)と、該筒状壁部(77)の外縁部から更に水浄化タンク(61)側に向かって突出する環状凸部(78)とを有している。また、ケース本体(72)には、環状凸部(78)の先端側に先端筒部(79)が一体に形成されている。基部(76)の軸心部には、円柱状の挿入口(76a)が軸方向に延びて貫通形成されている。筒状壁部(77)の内側には、挿入口(76a)と同軸となり、且つ挿入口(76a)よりも大径となる円柱状の空間(S)が形成されている。
【0086】
実施形態2の蓋部(73)は、略円板状に形成されて環状凸部(78)の内側に嵌合している。蓋部(73)は、セラミックス材料で構成されている。蓋部(73)の軸心には、実施形態1と同様、蓋部(73)を上下に貫通する円形状の1つの開口(74)が形成されている。
【0087】
放電電極(64)は、軸直角断面が円形状となる縦長の棒状の電極で構成されている。放電電極(64)は、基部(76)の挿入口(76a)に嵌合している。これにより、放電電極(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に収容されている。実施形態2では、放電電極(64)のうち水浄化タンク(61)とは反対側の端部が、水浄化タンク(61)の外部に露出される状態となる。このため、水浄化タンク(61)の外部に配置される電源部(70)と、放電電極(64)とを電気配線によって容易に接続することができる。
【0088】
放電電極(64)のうち水浄化タンク(61)側の端部(64a)は、絶縁ケーシング(71)の内部の空間(S)に臨んでいる。なお、図7に示す例では、放電電極(64)の端部(64a)が、挿入口(76a)の開口面よりも上側(水浄化タンク(61)側)に突出しているが、この端部(64a)の先端面を挿入口(76a)の開口面と略面一としてもよいし、端部(64a)を挿入口(76a)の開口面よりも下側に陥没させてもよい。また、放電電極(64)は、実施形態1と同様、開口(74)を有する蓋部(73)との間に所定の間隔が確保されている。
【0089】
対向電極(65)は、円筒状の電極本体(65a)と、該電極本体(65a)から径方向外方へ突出する鍔部(65b)とを有している。電極本体(65a)は、絶縁ケーシング(71)のケース本体(72)に外嵌している。鍔部(65b)は、水浄化タンク(61)の壁部に固定されて放電ユニット(62)を保持する固定部を構成している。放電ユニット(62)が水浄化タンク(61)に固定された状態では、対向電極(65)の電極本体(65a)の一部が浸水された状態となる。
【0090】
対向電極(65)は、電極本体(65a)よりも小径の内側筒部(65c)と、該内側筒部(65c)と電極本体(65a)との間に亘って形成される連接部(65d)とを有している。内側筒部(65c)及び連接部(65d)は、水浄化タンク(61)内の水中に浸漬している。内側筒部(65c)は、その内部に円柱空間(67)を形成している。内側筒部(65c)の軸方向の一端は、蓋部(73)と当接して該蓋部(73)を保持する保持部を構成している。また、電極本体(65a)と内側筒部(65c)と連接部(65d)の間には、ケース本体(72)の先端筒部(79)が内嵌している。内側筒部(65c)の軸方向の他端側には、円柱空間(67)を覆うようにメッシュ状の漏電防止材(68)が設けられている。この漏電防止材(68)は、対向電極(65)と接触することで、実質的にアースされている。これにより、漏電防止材(68)は、水浄化タンク(61)の内部の空間(水中)のうち、円柱空間(67)の内側から外側への漏電を防止している。
【0091】
対向電極(65)は、電極本体(65a)の一部が水浄化タンク(61)の外部に露出される状態となる。このため、電源部(70)と対向電極(65)とを電気配線によって容易に接続することができる。
【0092】
〈水質制御装置の運転動作〉
実施形態2の水耕栽培システム(10)においても、水質制御装置(60)が運転されることで、配管(51,52)を流れる水の浄化がなされる。
【0093】
水質制御装置(60)の運転の開始時には、図7に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の直流電圧(例えば1kV)が印加されると、開口(74)の内部の電流密度が上昇してく。
【0094】
図7に示す状態から、電極対(64,65)へ更に直流電圧が継続して印加されると、開口(74)内の水が気化されて気泡(B)が形成される(図8を参照)。この状態では、気泡(B)が開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、円柱空間(67)内の負極側の水と、放電電極(64)との間に気泡(B)の抵抗が付与される。これにより、放電電極(64)と対向電極(65)との間の電位差が保たれ、気泡(B)でストリーマ放電が発生する。その結果、水中では、水酸ラジカルや過酸化水素を生成され、これらの成分が水の浄化に利用される。
【0095】
また、本実施形態でも、実施形態1と同様に、窒素源供給装置(104)で河川等の水を水質制御装置(60)に供給すれば、硝酸イオンも生成できる。
【0096】
《実施形態2の変形例》
実施形態2では、円板状の蓋部(73)の軸心に1つの開口(74)を形成しているが、この蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。図9に示す例では、蓋部(73)の軸心を中心とする仮想ピッチ円上に、5つの開口(74)が等間隔置きに配列されている。このように蓋部(73)に複数の開口(74)を形成することで、各開口(74)の近傍でそれぞれストリーマ放電を生起させることができる。
【0097】
《その他の実施形態》
〈窒素源供給装置の構成〉
窒素源供給装置(104)では、河川等の水を窒素源とする代わりに、空気を利用してもよい。具体的には、ポンプなどで空気を取り込んで養液(L)中で曝気し、空気中の窒素を養液(L)中に溶かし込むようにする。空気を使用するこの方法は、ガスを生成する手間や余剰のガスを処理する手間が不要になり、従来のオゾンガスを使用する方法に比べ、低コスト且つ容易に実現できる。
【0098】
また、水酸化アンモニウムを養液(L)に溶かすことでも窒素を供給することができる。この場合も肥料などを調整して水耕栽培システム(10)に投入する場合と比べ、設備を簡略化してコスト削減することが期待できるし、放電ユニット(62)の運転を制御することで濃度の制御も容易にできる。
【0099】
〈放電ユニットの構成〉
上述した各実施形態の電源部(70)には、ストリーマ放電の放電電力を一定に制御する定電力制御部を用いている。しかしながら、定電力制御部に代えて、ストリーマ放電時の放電電流を一定に制御する定電流制御部を設けることもできる。この定電流制御を行うと、洗浄水の導電率によらず放電が安定するため、スパークの発生も未然に回避できる。
【0100】
また、上述した各実施形態では、電源部(70)の正極に放電電極(64)を接続し、電源部(70)の負極に対向電極(65)を接続している。しかしながら、電源部(70)の負極に放電電極(64)を接続し、電源部(70)の正極に対向電極(65)を接続することで、電極対(64,65)の間で、いわゆるマイナス放電を行うようにしてもよい。
【0101】
〈イオン供給部の構成〉
上述した各実施形態では、配管(52)を銅配管とすることで、配管(52)を銅イオンのイオン供給部としている。しかしながら、イオン供給部としては、例えば鉄イオンを生成する鉄製の配管を用いることもできる。鉄イオンも銅イオンと同様、過酸化水素の存在下でフェントン反応を促進させるため、水酸ラジカルの生成量を増大できる。
【0102】
銅配管や鉄配管は、水浄化タンク(61)と連通する配管であれば、他の箇所に設けることもできる。例えば、配管(51)を銅配管や鉄配管としたり、配管(51,52)の全てを銅配管や鉄配管としてもよい。また、例えば銅片や鉄片を水浄化タンク(61)内に浸漬することで、これらをイオン供給部とすることもできる。
【0103】
なお、水質制御装置(60)を設ける位置は例示である。例えば、栽培床(101)の上流側に設けることも可能である。
【0104】
また、水耕栽培システム(10)の構成は例示である。例えば、養液を貯留するタンクを設けたり、水を補給する装置を設けるなど種々の変形が可能である。
【0105】
また、放電ユニット(62)を養液のタンク内に設ければ、タンク内の養液を攪拌して均一化するという効果も得られる。
【0106】
また、ストリーマ放電の代わりに、スパーク放電などの熱プラズマ放電を用いてもよい。
【0107】
また、水耕栽培以外の方法で植物を栽培する場合にも、上記の水質制御装置(60)で生成した水を利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、水の成分の調整や除菌を行う水質制御装置、それを用いた植物栽培システム、及び植物栽培方法として有用である。
【符号の説明】
【0109】
10 水耕栽培システム(植物栽培システム)
60 水質制御装置
62 放電ユニット
64 放電電極
65 対向電極
70 電源部(直流電源)
104 窒素源供給装置
200 植物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素源を含んだ水を供給する窒素源供給装置(104)と、
前記窒素源供給装置(104)から供給された水中で放電を行う放電ユニット(62)を備えたことを特徴とする水質制御装置。
【請求項2】
請求項1の水質制御装置において、
前記放電ユニット(62)は、水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)を有し、該電極対(64,65)には直流電圧を印加する直流電源(70)が接続されていることを特徴とする水質制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の水質制御装置において、
前記窒素源供給装置(104)は、アンモニア化合物を窒素源とすることを特徴とする水質制御装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2の水質制御装置において、
前記窒素源供給装置(104)は、大気中の窒素を窒素源とすることを特徴とする水質制御装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2の水質制御装置において、
前記窒素源供給装置(104)は、湖沼、河川、地下水、及び雨水のうちの何れかを窒素源とすることを特徴とする水質制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちの何れか1つの水質制御装置において、
前記送放電ユニット(62)で処理した水を植物(200)に供給することを特徴とする水質制御装置。
【請求項7】
窒素源を含んだ水を供給する窒素源供給装置(104)と、
前記窒素源供給装置(104)から供給された水中で放電を行う放電ユニット(62)を備えた水質制御装置(60)と、
前記水質制御装置(60)で放電処理された水を植物(200)に供給する水供給部(52,53,102)を備えたことを特徴とする植物栽培システム。
【請求項8】
請求項7の植物栽培システムにおいて、
前記放電ユニット(62)は、水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)を有し、該電極対(64,65)には直流電圧を印加する直流電源(70)が接続されていることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項9】
有機態窒素、及びアンモニウム態窒素の少なくとも一方を含む水中で放電を発生させ、硝酸態窒素、及び亜硝酸態窒素の少なくとも一方を含む水を生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成した水を植物に供給する供給ステップとを有することを特徴とする植物栽培方法。
【請求項10】
請求項9の植物栽培方法において、
前記生成ステップでは、直流電源を用いたストリーマ放電を水中で行うことを特徴とする植物栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−75347(P2012−75347A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221303(P2010−221303)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)