説明

水質診断方法および水質情報管理システム

【課題】 水泳プールや浴場施設などの管理者が容易に導入可能であり、水質診断および水質状態の経緯などの多面的な情報を累積管理でき、かつこれをインターネットから、いつでも容易に閲覧できる水質診断方法および水質情報管理システムを提供する。
【解決手段】 水が貯留・循環される施設で使用される水の水質状態を、該施設の管理者がインターネット網を利用して確認できる水質診断方法であって、管理者または水質分析機関が、水質を分析するステップと、該水質分析結果をサーバーに送信するステップと、サーバーが分析結果に基づき水診断を行なうステップと、サーバーが分析結果等をサーバー上に登録するステップと、管理者が通信端末からサーバーにアクセスし、水質の診断結果を閲覧するステップとを備えてなり、水質診断ステップは、所定の条件に合致する場合に、管理者に警告または注意勧告の電子メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを利用した水質診断方法および水質診断システムに関し、特にサーバー上に格納した詳細な情報群から多面的な判断を行なう水質診断方法および水質管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の人が利用する水泳プールや公衆浴場などにおいて、その施設を利用することによって利用者の健康を害しないように水質の管理をすることは、その施設の経営者や管理者にとっては、必要不可欠な要素である。従来までは、この最適条件の判断基準として、その施設管理者の経験に加えて簡易な水質診断が行なわれていた。また、水質診断方法としては、水のサンプルを水質分析機関などに郵送して診断してもらい、その診断結果をまた郵送してもらい、紙面で確認する方法がある。また、サンプルを郵送という形ではなく、施設の管理者が、簡易の水質診断キットで測定する方法もある。
これに対し、大気、水質等の管理を自動システム化するものとして、各種環境データを単に計測するだけでなく、インターネット網、サーバー等を利用し異常事態発生時には迅速に対応できる環境安全保障体制の実現を図るもの(特許文献1参照)等がある。
一方、健康に関心を持つ人が多くなり、オールシーズン利用できる水泳プールや温泉施設を利用する人も多くなってきた。そこで、その施設を衛生的にきれいにすることや、健康にも安全であることが、経営的にも重要になってきた。
【0003】
しかしながら、上記紙面による診断方法は、水質に関する専門家などがその都度判断して、手書きで診断結果を書くというものであり、このような紙面による管理方法では、時とともに変化する水質の状態を判断するのは難しいという問題がある。また、施設の管理者自身が測定する方法では、日に何回も測定した数値を、その時間経緯の変化を管理するのが困難であるという問題がある。
また、水質判断を自動システム化しても、管理者自身が行なう簡易水質診断の結果や、水質分析専門機関の診断結果は、それぞれを単純に判定するというシステムが多く、これら統合して判断ができず、また時系列に並べた履歴データから今後の水質の状態を推定するのは難しく、活用されていないという問題がある。
施設を運営する企業には、水質に関する専門家が少なく、自分で測定した結果の情報を収集しても、単に記録しておくだけで、水質の状態などの詳細な点については容易に知ることはできないのが現状である。
【特許文献1】特開2002−251453号公報 (段落[0008])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、水泳プールや温泉・公衆浴場の管理者が容易に導入可能であり、水質診断および水質状態の経過などの多面的な情報を累積管理でき、かつこの情報をインターネットから、いつでも容易に閲覧できる水質診断方法および水質情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の水質診断方法は、水が貯留・循環される施設で使用される水の水質状態を、該施設の管理者がインターネット網を利用して確認できる水質診断方法であって、この水質診断方法は、上記管理者または所定の水質分析機関が、該管理者が管理する施設の水の水質を分析する水質分析ステップと、上記管理者または所定の水質分析機関が上記水質分析した結果をインターネット網に接続された所定のサーバーに送信する分析結果送信ステップと、上記サーバーが上記送信された分析結果に基づき該水に対する診断を行なう水質診断ステップと、上記サーバーが上記水質分析結果および上記水質診断結果を該サーバー上に閲覧可能に登録する診断結果登録ステップと、上記管理者がインターネット網に接続された通信端末から上記サーバーにアクセスし、水質の診断結果を閲覧する診断結果確認ステップとを備えてなり、上記水質診断ステップは、上記サーバーが、上記水質分析ステップで得られた水質分析結果を参照し、所定の判定項目の水質分析結果値が、上記サーバーに予め登録された警告の基準値を越える場合には、警告を電子メールで管理者に通知し、また上記判定項目の水質分析結果値が警告の基準値未満であり、かつ上記サーバーに予め登録された注意勧告の基準値を越える場合には、注意勧告を電子メールで管理者に通知することを少なくとも含むステップであることを特徴とする。
なお、本発明において「サーバーに登録する」とは、サーバー内のデータ記憶装置に保存することをいう。また、「サーバーに予め登録された警告の基準値」および「サーバーに予め登録された注意勧告の基準値」とは、それぞれサーバー内のデータ記憶装置に保存されたデータ値である。
【0006】
また、上記水質分析ステップは、上記管理者がインターネット網で、水質分析の申し込みを行ない、その後に送付されてくる水採取キットを使用して該管理者が管理する施設の水のサンプルを採り、これを水質分析機関に郵送し診断を申し込むステップと、該水を受け取った上記水質分析機関が該水サンプルの性質を分析するステップとを備えてなるステップであることを特徴とする。本発明において水質分析ステップがこの手順によるものを、以下「定期検査」と称する。
【0007】
また、上記水質分析ステップは、上記管理者が、該管理者が管理する施設の水の水質を、水質診断簡易試薬を利用して自ら測定し分析するステップを備えてなるステップであることを特徴とする。本発明において水質分析ステップがこの手順によるものを、以下「日常検査」と称する。
【0008】
上記診断結果登録ステップは、上記水質分析ステップで得られた水質分析結果および水質診断ステップで得られた水質診断結果を、該水質の所定の適正範囲と併せてグラフ化して登録することを含むステップであり、上記水質診断ステップは、上記適正範囲を特定する警告の基準値および注意勧告の基準値を、それぞれ予め複数準備しておき、上記サーバーは、所定の判定項目の水質分析結果値が上記注意勧告の基準値を越えた場合には注意を勧告する電子メールを、または上記警告の基準値を越えた時に即時に警告を促す電子メールを上記管理者に自動的に送信することを備えてなるステップであることを特徴とする。
【0009】
上記水質診断方法は、該方法を繰り返し行なうことで上記サーバー上にその診断結果が累積登録されることを特徴とする。
【0010】
上記水質診断方法は、該方法を利用した利用料金を、該方法を実行するシステムと連動させて自動的に決済するステップを備えてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の水質情報管理システムは、上記水質診断方法を実行し、かつ得られた水質に関する情報を管理するための水質情報管理システムであって、該システムは、管理者または所定の水質分析機関より水質分析結果を受け取り、該結果に基づき該水に対する診断を行ない、その水質診断結果を閲覧可能に登録するサーバーと、上記管理者がインターネット網を介して上記サーバーにアクセスし上記水質分析結果および水質診断結果を閲覧するための通信端末とを備えてなり、上記サーバーはデータ記憶装置を有し、該記憶装置内に、水質の適正範囲を特定するための警告の基準値および注意勧告の基準値がそれぞれ複数登録されるとともに、上記水質分析結果および上記水質診断結果を累積して保存することを特徴とする。
【0012】
水質診断結果を、水質の分析結果などから求められる該水質の適正範囲と併せてグラフ化することにより、専門家でなくても判断しやすく、基準値を超えるなどの診断結果を多面的に判断でき、各成分の不足・適正・過剰などの診断結果を理解しやすい。
さらに、水質情報を随時サーバーに登録することにより、水質に関する履歴情報が蓄積されデータの信頼性が向上し、今後、基準値を越える前に、予測も可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水質診断方法は、水泳プールや浴場施設などの管理者が、診断結果を多面的に判断でき、各成分の不足・適正・過剰などの診断結果を理解しやすい。また、水質の一時的な状態だけでなく、水質状態の経緯などの経過情報も蓄積され、これを考慮できるので、信頼性の高い診断結果を得ることができる。この結果、管理者は各成分が、基準値を越えた時は勿論であるが、基準値に近づいた場合でも、警告などの情報を容易に知ることができ、安全に施設の管理を行なうことができる。さらに、この情報をWebなどに公開することにより、利用者は安心して利用できる。
【0014】
本発明の水質情報管理システムは、上記水質診断方法を実行し得られた情報を管理するものなので、管理者が理解しやすい診断結果を提供することができる。また、該診断結果および水質に関連する情報を累積してサーバー内のデータ記憶装置に保存するので、管理者は、外部の通信端末からサーバーにアクセスし、この記憶装置に保存された診断結果などの情報をいつでも閲覧することができる。
また、本発明の水質情報管理システムの導入にあたっては、初期準備として従来と同様に水のサンプルを郵送するだけでよく、あとは市販のパソコンなど、インターネットに接続できる通信端末さえあればよいので、専用の通信装置や分析機械を必要とせず低コストでの導入が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の水質診断方法を図1および図2を参照して説明する。図1は、定期検査における水質診断サービスのフローチャート図である。
本発明の定期検査の水質診断方法は、水泳プールや浴場施設の管理者が、インターネットで申し込みをする(定期検査)診断申込ステップ1と、使用料を振込む用紙が送られてくる(定期検査)振込依頼送付ステップ2と、金融機関へ使用料を振込む(定期検査)銀行振込ステップ3と、水採取キットが送られてくる(定期検査)水採取キット送付ステップ4と、水のサンプルを採取する(定期検査)水サンプル採取送付ステップ5と、水質分析機関が受け取ったサンプル水の水質分析を行なう(定期検査)分析ステップ6aと、水質分析機関が水質分析結果を所定のサーバーに送信する(定期検査)分析結果送信ステップ6bと、該サーバーが送信された分析結果に基づき該水質に対する診断を行なう(定期検査)水質診断ステップ7aと、該水質診断結果をサーバー内のデータ記憶装置に格納する診断結果登録ステップ7bと、管理者がインターネット網を介して上記サーバーにアクセスし、水質の診断結果を閲覧する(定期検査)診断結果確認ステップ8とを備えてなる。
ここで、診断申込ステップ1〜分析ステップ6aまでが水質分析ステップである。
【0016】
また、図2は、日常検査における水質診断サービスのフローチャート図である。
本発明の日常検査の水質診断方法は、水泳プールや浴場施設の管理者が、インターネットで申し込みをする(日常検査)診断申込ステップ9と、使用料を振込む用紙が送られてくる(日常検査)振込依頼送付ステップ10と、金融機関へ使用料を振込む(日常検査)銀行振込ステップ11と、インターネットでの該サービスを可能にする(日常検査)サービス開始ステップ12と、管理者が水のサンプルを採取し、水質診断簡易試薬を利用して水質の簡易診断を行う(日常検査)分析ステップ13bと、水質分析結果を所定のサーバーに送信する(日常検査)分析結果送信ステップ13cと、該サーバーが送信された分析結果に基づき該水質に対する診断を行なう(日常検査)水質診断ステップ14aと、該水質診断結果をサーバー内のデータ記憶装置に格納する診断結果登録ステップ14bと、該管理者がインターネット網を介して上記サーバーにアクセスし、水質の診断結果を閲覧する(日常検査)診断結果確認ステップ15とを備えてなる。
ここで、診断申込ステップ9〜分析ステップ13bまでが水質分析ステップである。
【0017】
また、図3は、日常検査および定期検査における水質診断サービスの使用料の料金回収をシステムで自動決済を行なう時のフローチャート図である。
本発明の日常検査および定期検査の水質診断方法は、水泳プールや浴場施設の管理者が、インターネットで申し込みをする(自動決済)診断申込ステップ16と、使用料を振込む用紙が送られてくる(自動決済)振込依頼送付ステップ17と、金融機関へ使用料を振込む(自動決済)銀行振込ステップ18と、インターネットでの該サービスを可能にする(自動決済)サービス開始ステップ19と、水質の診断結果を閲覧する(自動決済)水質情報インターネット検索ステップ20とを備えてなる。
そして、サービスの期間が一定時期を超過した場合に、使用料の料金が入金されていない場合は、サービスを自動的に停止する(自動決済)期限切れ未納によるサービス停止ステップ21と、使用料の料金が入金されている場合にサービスを自動継続する(自動決済)期限切れ納入によるサービス継続ステップ22とを備えてなる。
【0018】
以上の定期検査または日常検査による水質診断方法、または料金回収方法において、(定期検査)診断申込ステップ1と、(定期検査)銀行振込ステップ3と、(定期検査)水サンプル採取送付ステップ5と、(定期検査)診断結果確認ステップ8とは水泳プールや浴場施設などの管理者が、(定期検査)振込依頼送付ステップ2はシステム運用業者が、(定期検査)水サンプル採取キット送付ステップ4は採取キット販売業者が、(定期検査)分析ステップ6は水質分析機関が、(定期検査)水質診断ステップ7aおよび(定期検査)診断結果登録ステップ7bは所定のサーバーがそれぞれ行なうステップである。
また、(日常検査)診断申込ステップ9と、(日常検査)銀行振込ステップ11と、(日常検査)水サンプル採取分析入力ステップ13(日常検査)と、(日常検査)診断結果確認ステップ15とは水泳プールや浴場施設などの管理者が、(日常検査)振込依頼送付ステップ10および(日常検査)サービス開始ステップ12はシステム運用業者が、(日常検査)水質診断ステップ14aおよび(日常検査)診断結果登録ステップ14bは所定のサーバーがそれぞれ行なうステップである。
また、(自動決済)インターネット申し込みステップ16と、(自動決済)銀行振込ステップ18と、(自動決済)水質情報インターネット検索ステップ20とは水泳プールや浴場施設などの管理者が、(自動決済)振込依頼送付ステップ17はシステム運用業者が、(自動決済)サービス開始ステップ19と、(自動決済)期限切れ未納によるサービス停止ステップ21と、(自動決済)期限切れ納入によるサービス継続ステップ22とは、所定のサーバーがそれぞれ行なうステップである。
【0019】
(定期検査)診断申込ステップ1と(日常検査)診断申込ステップ9と(自動決済)インターネット申し込みステップ16において、水泳プールや浴場施設などの管理者は、まず事前に企業に関する情報を入力し、会員登録を行なう。その後、(定期検査)振込依頼送付ステップ2と(日常検査)振込依頼送付ステップ10と(自動決済)振込依頼送付ステップ17において、システム運用業者から、使用料の振込依頼書が送付されてくる。(定期検査)銀行振込ステップ3と(日常検査)銀行振込ステップ11と(自動決済)銀行振込ステップ18において、上記管理者は、使用料を振込む。(定期検査)水採取キット送付ステップ4においては、採取キット販売業者から、採取キットが送られてくる。(定期検査)水サンプル採取送付ステップ5では、上記管理者が水質診断を依頼するために、採取キットを受け取り(5a)、水のサンプルを採取し(5b)、水質分析機関に郵送する(5c)。
【0020】
郵送された水質を受け取った水質分析機関では、水質分析ステップで該水質の物性分析を行なう(6a)。定期検査における水質分析により得られる情報は、例えば、pH、アルカリ度、濁度、過マンガン酸カリウム消費量、およびアンモニア性窒素、金属類(鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、マンガン)、大腸菌群、レジオネラ、一般細菌などの含有量などである。
次に、分析結果を、インターネット網に接続された所定のサーバーに送信する(6b)。ここで、所定のサーバーは特に限定されるものではなく、水質分析機関が用意するもの、または、別のサーバー運用会社によるものであってもよい。
【0021】
(日常検査)サービス開始ステップ12と(自動決済)サービス開始ステッ19では、システム運用業者が、使用料の振込みを確認後、サービスを使用可能にする。また(日常検査)水サンプル採取分析入力13においては、自ら水を採取し(13a)、自分で簡易診断を行ない(13b)、その結果を所定のサーバーにインターネット網を利用して登録する(13c)。
なお、日常検査において水質診断簡易試薬を利用した水質分析により得られる情報は、例えば、遊離残留塩素、総残留塩素、pH、窒素含有量、水温、濁度、利用者数、アルカリ度などである。
【0022】
(定期検査)水質診断ステップ7aと(日常検査)水質診断ステップ14aにおいて、サーバーでは、受信した水質分析の結果と、該サーバーに予め登録されている適正範囲を定めるデータとから該水質の適正範囲を求め、水に含まれる各成分の不足・適正・過剰などの診断を行なう。
水質分析値が適正範囲(警告範囲)を示す基準値を越えた場合は、警告をインターネットで検索した時に表示すると共に、電子メールにて個別に通知することもサービスとしてできる。更に、境界値を越えそうになる時にも、注意を知らせることもできる。具体的には、適正範囲外に所定の注意範囲を設けておき、分析値が該注意範囲を示す基準値を越えた場合には注意勧告を行なう。この適正範囲および注意範囲を示す基準値は、国(厚生労働省)の基準値ばかりでなく、業者独自の厳しい範囲や、利用者が独自に指定もできる。また、該基準値は、複数準備しておくことができる。
【0023】
(定期検査)水質診断ステップ7aと(日常検査)水質診断ステップ14aにおいて、水質分析結果を統合的に判定して、サーバー上に登録して閲覧可能にする(7b、14b)。
サーバー上では、閲覧時に登録された水質に関する情報を、多面的にわかるようにグラフで表示し、適正範囲なども同時に分かるように表示する。例えば、分析結果について分析項目の幾つかをレーダーチャート図で示し、同図上に重ねて適正な範囲を示す。
経時的な水質情報グラフの一例を図5および図6に示す。図5は定期検査におけるグラフを、図6は日常検査におけるグラフをそれぞれ示す。図5および図6において、横軸は日付け、縦軸は、中央部分が適正範囲になるよう各項目毎に設定した数値軸である。
また、レーダーチャート図の一例を図7および図8に示す。図7は定期検査におけるレーダーチャート図を、図8は日常検査におけるレーダーチャート図をそれぞれ示す。
【0024】
上記図5および図6に示すように、水質検査結果の情報を履歴管理し、グラフ化することにより、管理者に所定の水質分析値が警告の基準値に近づいている等の情報を逐次通知することができる。すなわち、例えば、適正範囲(警告範囲)を示す基準値の前に、注意範囲の基準値を段階的に複数設けておき、所定の分析項目が該注意範囲の基準値に到達する都度、注意勧告の電子メールを送信することで、管理者に水質が警告範囲へ近づいていることを認識させることができる。
このように本発明の水質診断方法では、水質検査結果を履歴管理でき水質変動の傾向を知ることができるので、管理者は自身の管理する水泳プールや公衆浴場の水質が警告範囲のものとなる前に、予め、浄化、薬品等の使用により水質改善を図ることができる。
【0025】
(定期検査)診断結果確認ステップ8と、(日常検査)診断結果確認ステップ15と、(自動決済)水質情報インターネット検索ステップ20では、会員(水泳プールや浴場施設などの管理者)は、診断を依頼した水質分析の結果を、インターネット網を利用していつでも検索できる。また自分が登録した簡易分析結果なども、随時に索引できる。検索した水質に関する情報は、グラフで表示されて多面的分析結果がわかりやすく見ることができる。会員は、該結果を考慮して、施設の水質管理をすることができる。
【0026】
また、(自動決済)期限切れ未納によるサービス停止ステップ21では、会員が使用料を納入しないと、システムで自動的にサービス停止(21a)となり、会員は使用できなくなる(21b)。
【0027】
次に、(自動決済)期限切れ納入によるサービス継続ステップ22では、会員が使用料を納入すると、システムで自動的にサービス継続(22a)となり、会員は継続して使用できる(22b)。
【0028】
水泳プールなどを利用する消費者側の立場においては、水泳プールや浴場施設などの管理者が、インターネット網を介して前記サーバーにアクセスし、水質の診断結果を、Web上等、何らかの形で消費者に公表をすれば、消費者も安心して施設を利用することができる。
【0029】
本発明の水質情報管理システムを、図4を参照して説明する。図4は水質情報管理システムの構成を示す図である。
本発明の水質情報管理システムは、上記水質診断方法を実行し得られた水質に関する情報を管理するための水質情報管理システムであって、サーバー24と、これにインターネット網23を介して接続された会員側通信端末26とからなる。
水質診断方法を実行する場合における水質情報管理システムの各要素の繋がりを説明する。会員は、水質分析機関25に水質サンプルを郵送し水質診断を申し込む(27)。水質分析機関は、水質分析および水質診断結果をサーバー24に送信し、サーバー24上に該結果を閲覧可能に登録する(28)。会員が端末26から簡易水質分析情報をサーバー24に随時登録する(30)。会員が端末26を用いて、サーバー24上の水質診断結果などを確認する(29と31)。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の水質診断方法は、上述のようにインターネット網を利用することにより診断手順およびその結果の蓄積・分析が容易であり、また診断結果が理解しやすく、水泳プールや浴場施設などの水質管理が、信頼性の高いものとなり、衛生上の面でも安心して利用できて、また集客のためのキーワードとなり他社の施設との差別化になり優位に立つことが出来て、事業の安定・拡大にもつながることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の水質診断方法(定期検査)のフローチャート図である。
【図2】本発明の水質診断方法(日常検査)のフローチャート図である。
【図3】本発明の自動決済のフローチャート図である。
【図4】本発明の水質情報管理システムの構成を示す図である。
【図5】経時的な水質に関する情報(定期検査)を示すグラフ図である。
【図6】経時的な水質に関する情報(日常検査)を示すグラフ図である。
【図7】水質に関する情報(定期検査)のレーダーチャート図である。
【図8】水質に関する情報(日常検査)のレーダーチャート図である。
【符号の説明】
【0032】
1 (定期検査)診断申込ステップ
2 (定期検査)振込依頼送付ステップ
3 (定期検査)銀行振込ステップ
4 (定期検査)水採取キット送付ステップ
5 (定期検査)水サンプル採取送付ステップ
6 (定期検査)分析ステップ
7 (定期検査)診断ステップ
8 (定期検査)診断結果確認ステップ
9 (日常検査)診断申込ステップ
10 (日常検査)振込依頼送付ステップ
11 (日常検査)銀行振込ステップ
12 (日常検査)サービス開始ステップ
13 (日常検査)水サンプル採取分析入力ステップ
14 (日常検査)診断ステップ
15 (日常検査)診断結果確認ステップ
16 (自動決済)インターネット申し込みステップ
17 (自動決済)振込依頼送付ステップ
18 (自動決済)銀行振込ステップ
19 (自動決済)サービス開始ステップ
20 (自動決済)水質情報インターネット検索ステップ
21 (自動決済)期限切れ未納によるサービス停止ステップ
22 (自動決済)期限切れ納入によるサービス継続ステップ
23 インターネット網
24 サーバー
25 水質分析機関
26 通信端末
27 定期検査の水質分析依頼ステップ
28 定期検査の水質分析結果入力ステップ
29 定期検査のインターネットによる情報検索ステップ
30 日常検査のインターネットによる結果入力ステップ
31 日常検査のインターネットによる情報検索ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が貯留・循環される施設で使用される水の水質状態を、前記施設の管理者がインターネット網を利用して確認できる水質診断方法であって、
該水質診断方法は、前記管理者または所定の水質分析機関が、該管理者が管理する施設の水の水質を分析する水質分析ステップと、前記管理者または所定の水質分析機関が前記水質分析した結果をインターネット網に接続された所定のサーバーに送信する分析結果送信ステップと、前記サーバーが前記送信された分析結果に基づき該水に対する診断を行なう水質診断ステップと、前記サーバーが前記水質分析結果および前記水質診断結果を該サーバー上に閲覧可能に登録する診断結果登録ステップと、前記管理者がインターネット網に接続された通信端末から前記サーバーにアクセスし、水質の診断結果を閲覧する診断結果確認ステップとを備えてなり、
前記水質診断ステップは、前記サーバーが、前記水質分析ステップで得られた水質分析結果を参照し、所定の判定項目の水質分析結果値が、前記サーバーに予め登録された警告の基準値を越える場合には、警告を電子メールで管理者に通知し、また、前記判定項目の水質分析結果値が警告の基準値未満であり、かつ前記サーバーに予め登録された注意勧告の基準値を越える場合には、注意勧告を電子メールで管理者に通知することを少なくとも含むステップであることを特徴とする水質診断方法。
【請求項2】
前記水質分析ステップは、前記管理者が、インターネット網で水質分析の申し込みを行ない、その後に送付されてくる水採取キットを使用して該管理者が管理する施設の水のサンプルを採り、これを水質分析機関に郵送し診断を申し込むステップと、該水を受け取った前記水質分析機関が該水サンプルの性質を分析するステップとを備えてなるステップであることを特徴とする請求項1記載の水質診断方法。
【請求項3】
前記水質分析ステップは、前記管理者が、該管理者が管理する施設の水の水質を、水質診断簡易試薬を利用して自ら測定し分析するステップを備えてなるステップであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水質診断方法。
【請求項4】
前記診断結果登録ステップは、前記水質分析ステップで得られた水質分析結果および水質診断ステップで得られた水質診断結果を、該水質の所定の適正範囲と併せてグラフ化して登録することを備えてなるステップであり、
前記水質診断ステップは、前記適正範囲を特定する警告の基準値および注意勧告の基準値を、それぞれ予め複数準備しておき、前記サーバーは、所定の判定項目の水質分析結果値が前記注意勧告の基準値を越えた場合には注意を勧告する電子メールを、または前記警告の基準値を越えた時に即時に警告を促す電子メールを前記管理者に自動的に送信することを備えてなるステップであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の水質診断方法。
【請求項5】
前記水質診断方法は、該方法を繰り返し行なうことで前記サーバー上にその診断結果が累積登録されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の水質診断方法。
【請求項6】
前記水質診断方法は、該方法を利用した利用料金を、該方法を実行するシステムと連動させて自動的に決済するステップを備えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の水質診断方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の水質診断方法を実行し、かつ得られた水質に関する情報を管理するための水質情報管理システムであって、
該水質情報管理システムは、前記管理者または所定の水質分析機関より水質分析結果を受け取り、該結果に基づき該水に対する診断を行ない、その水質診断結果を閲覧可能に登録するサーバーと、前記管理者がインターネット網を介して前記サーバーにアクセスし前記水質分析結果および前記水質診断結果を閲覧するための通信端末とを備えてなり、
前記サーバーはデータ記憶装置を有し、該記憶装置内に、水質の適正範囲を特定するための警告の基準値および注意勧告の基準値がそれぞれ複数登録されるとともに、前記水質分析結果および前記水質診断結果を累積して保存することを特徴とする水質情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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