説明

水路用パネル、水路構造および水路構造の施工方法

【課題】搬入や設置が容易で、錆が発生しない水路用パネル、水路構造および水路構造の施工方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂から成り、長方形の板状であって、2つの長辺側縁部21a,21bと2つの短辺側縁部22a,22bと水路形成面23と背面24とを有している。各長辺側縁部21a,21bに、互いに対になる長辺側挿入片26と長辺側受け部25とを有している。各短辺側縁部22a,22bに、互いに対になる長さ方向係合部27を有している。長辺側受け部25および長さ方向係合部27は、それぞれ底部と側壁とを有して水路形成面23側が開放した細長い凹部から成っている。長辺側挿入片26は、長辺側受け部25の凹部と嵌合する細長いフックから成っている。接続用パネルおよび湾曲パネルとともに並べられ、長辺側挿入片と長辺側受け部とを嵌合し、長さ方向係合部同士を連結して、全体を断面U字状に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路用パネル、水路構造および水路構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨水排水や生活排水、農業用水などに使用される一般的な用水路として、コンクリート製の用水路(例えば、特許文献1参照)や、鋼製のコルゲート用水路(例えば、特許文献2参照)がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−92259号公報
【特許文献2】特開平11−225611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の一般的なコンクリート用水路やコルゲート用水路は、重くてかさばるため、搬入や設置に時間や労力を要するという課題がある。また、コルゲート用水路は、錆が発生するという課題もある。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、搬入や設置が容易で、錆が発生しない水路用パネル、水路構造および水路構造の施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る水路用パネルは、合成樹脂から成り長方形の板状であって2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、一方の長辺側縁部と他方の長辺側縁部とに互いに対になる幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有することを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る水路用パネルは、水路形成面が同じ向きになるよう複数を幅方向に並べ、隣り合う各水路用パネルの対になる各幅方向係合部を互いに係合することができる。また、水路形成面が同じ向きになるよう複数を長さ方向に並べ、隣り合う各水路用パネルの対になる各長さ方向係合部を互いに係合することができる。これにより、幅方向および長さ方向に、任意の数だけ連結して水路を形成することができる。
【0008】
本発明に係る水路用パネルは、合成樹脂から成るため、錆が発生せず、リサイクル可能であり、同じ大きさのコンクリートや鋼材に比べて軽量である。また、長方形の板状であるため積み重ねることができ、かさばらず、搬入や設置が容易である。
【0009】
本発明に係る水路用パネルでは、前記幅方向係合部は一方の長辺側縁部に設けられた長辺側挿入片と他方の長辺側縁部に設けられた長辺側受け部とから成り、前記長辺側受け部および前記長さ方向係合部はそれぞれ底部と側壁とを有して水路形成面側が開放した細長い凹部から成り、前記長辺側挿入片は前記長辺側受け部の凹部と嵌合する細長いフックから成ることが好ましい。この構成では、長辺側挿入片のフックを、隣り合う水路用パネルの長辺側受け部の凹部と嵌合させることにより、複数の水路用パネルを幅方向に容易に連結することができる。また、フックと凹部とを嵌合させるため、各水路用パネルの幅方向に引っ張る力が作用したときに外れにくい。
【0010】
本発明に係る水路構造は、本発明に係る水路用パネルを複数と、複数の接続用パネルと、複数の湾曲パネルと、複数の連結部材と、複数の細長い補強材と、複数の梁材とを有し、各接続用パネルは合成樹脂から成り横断面が平坦な長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の一方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、各湾曲パネルは合成樹脂から成り横断面が湾曲した長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の他方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、前記接続用パネルは2つの前記水路用パネルの間に挟まれてそれぞれ幅方向に並べられ、それらの水路用パネルのそれぞれに対し前記湾曲パネルが幅方向に並べられ、それらの湾曲パネルのそれぞれに対し他の前記水路用パネルが幅方向に並べられ、隣り合う各水路用パネルの幅方向係合部と前記接続用パネルの幅方向係合部、前記湾曲パネルの幅方向係合部と各水路用パネルの幅方向係合部とがそれぞれ係合されて、各水路用パネル、前記接続用パネルおよび各湾曲パネルの全体が断面U字状に構成され、各連結部材は各水路用パネル、各接続用パネルおよび各湾曲パネルをそれぞれ長さ方向に並べて隣り合う各水路用パネル、各接続用パネルおよび各湾曲パネルの各長さ方向係合部を挟んで互いに連結し、各補強材は前記水路用パネルで構成される1対の上縁に沿ってそれぞれ設けられ、各梁材は前記1対の上縁に沿った各補強材の間に架け渡されていることを、特徴とする。
【0011】
本発明に係る水路構造の施工方法は、本発明に係る水路用パネルを複数と、複数の接続用パネルと、複数の湾曲パネルと、複数の連結部材と、複数の細長い補強材と、複数の梁材とを使用し、各接続用パネルは合成樹脂から成り横断面が平坦な長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の一方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、各湾曲パネルは合成樹脂から成り横断面が湾曲した長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の他方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、2つの前記水路用パネルの間に前記接続用パネルを挟んでそれぞれ幅方向に並べ、それらの水路用パネルのそれぞれに対し前記湾曲パネルを幅方向に並べ、それらの湾曲パネルのそれぞれに対し他の前記水路用パネルを幅方向に並べて、隣り合う各水路用パネルの幅方向係合部と前記接続用パネルの幅方向係合部、前記湾曲パネルの幅方向係合部と各水路用パネルの幅方向係合部とをそれぞれ係合することにより各水路用パネル、前記接続用パネルおよび各湾曲パネルの全体を断面U字状に構成し、各水路用パネル、各接続用パネルおよび各湾曲パネルをそれぞれ長さ方向に並べて隣り合う各水路用パネル、各接続用パネルまたは各湾曲パネルの各長さ方向係合部を各連結部材により挟んで互いに連結し、各補強材を前記水路用パネルで構成される1対の上縁に沿ってそれぞれ設け、各梁材を前記1対の上縁に沿った各補強材の間に架け渡すことを、特徴とする。
【0012】
本発明に係る水路構造および水路構造の施工方法では、水路用パネル、接続用パネルおよび湾曲パネルの3種類のパネルにより、水路面を形成することができる。また、水路用パネルの幅方向の数を増減することにより、種々の幅および深さの水路を施工することができる。3種類のパネルの組み合わせで水路を構成することができるため、各パネルの在庫管理が容易で、施工現場で作業効率を向上させることができる。
【0013】
水路用パネル、接続用パネルおよび湾曲パネルは合成樹脂から成るため、錆が発生せず、リサイクル可能であり、同じ大きさのコンクリートや鋼材に比べて軽量である。各補強材で上縁を補強し、各梁材により1対の上縁間の各補強材の間隔を保つことができるので、1対の上縁の間隔が水圧で拡がったり、土圧で狭まったりするのを防ぐことができる。水路構造の一部が壊れたときには、壊れた水路用パネル、接続用パネルまたは湾曲パネルだけを交換可能なため、補修が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搬入や設置が容易で、錆が発生しない水路用パネル、水路構造および水路構造の施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図7は、本発明の実施の形態の水路用パネル、水路構造および水路構造の施工方法を示している。
図1乃至図7に示すように、水路構造1は、複数の水路用パネル2と複数の接続用パネル3と複数の湾曲パネル4と複数の連結部材5と複数の細長い補強材6と複数の梁材7とを有している。
【0016】
図1乃至図3に示すように、各水路用パネル2は、オレフィン系樹脂のポリプロピレン(PP)にタルクを混合した合成樹脂から成っている。各水路用パネル2は、長方形の板状であって、2つの長辺側縁部21a,21bと2つの短辺側縁部22a,22bと水路形成面23と背面24とを有している。各水路用パネル2は、一方の長辺側縁部21aと他方の長辺側縁部21bとに、互いに対になる長辺側受け部25と長辺側挿入片26とを有している。長辺側受け部25は、底部25aと側壁25bとを有して水路形成面23側が開放した細長い凹部25cから成り、水路用パネル2の長さ全体にわたって設けられている。長辺側挿入片26は、長辺側受け部25の凹部25cと嵌合する細長いフック26aから成り、水路用パネル2の長さ全体にわたって設けられている。
【0017】
各水路用パネル2は、長辺側受け部25の凹部25cに他のパネルの長辺側挿入片26のフック26aを嵌合したとき長さ方向にずれないよう、長辺側受け部25の凹部25cの両端にずれ防止壁25dを有している。各水路用パネル2は、一方の短辺側縁部22aと他方の短辺側縁部22bとに、互いに対になる長さ方向係合部27を有している。各長さ方向係合部27は、それぞれ底部27aと側壁27bとを有して水路形成面23側が開放した細長い凹部27cから成り、水路用パネル2の幅全体にわたって設けられている。水路形成面23は、平坦で滑らかに形成されている。背面24は、長さ方向および幅方向に平行で格子状に設けられた複数の補強用のリブ24aを有している。
【0018】
各水路用パネル2は、長辺側受け部25の側壁25bの両端部に切欠部25eを有している。各切欠部25eは、長辺側受け部25の凹部25cに他のパネルの長辺側挿入片26のフック26aを嵌合するとき、他のパネル背面24のリブ24aを嵌合可能になっている。各水路用パネル2は、長辺側受け部25の側壁25b、各長さ方向係合部27の底部27aおよび長辺側挿入片26に沿って、隣り合うパネルを固定するための複数の固定孔28を有している。また、各水路用パネル2は、水路形成面23に、各長さ方向係合部27の底部27aの固定孔28の位置を明示するための三角表示29を有している。
【0019】
図4に示すように、各接続用パネル3は、オレフィン系樹脂のポリプロピレンにタルクを混合した合成樹脂から成っている。各接続用パネル3は、横断面が平坦な長方形の板状であって、各水路用パネル2の長辺側縁部21a,21bと同じ長さの2つの長辺側縁部31a,31bと、2つの短辺側縁部32a,32bと水路形成面33と背面34とを有している。各接続用パネル3は、各長辺側縁部31a,31bに各水路用パネル2の長辺側受け部25と同じ長辺側受け部35を有している。長辺側受け部35は、底部35aと側壁35bとを有して水路形成面33側が開放した細長い凹部35cから成り、接続用パネル3の長さ全体にわたって設けられている。
【0020】
各接続用パネル3は、長辺側受け部35の凹部35cに水路用パネル2の長辺側挿入片26のフック26aを嵌合したとき長さ方向にずれないよう、長辺側受け部35の凹部35cの両端にずれ防止壁35dを有している。各接続用パネル3は、一方の短辺側縁部32aと他方の短辺側縁部32bとに、互いに対になる長さ方向係合部37を有している。各長さ方向係合部37は、それぞれ底部37aと側壁37bとを有して水路形成面33側が開放した細長い凹部37cから成り、接続用パネル3の幅全体にわたって設けられている。水路形成面33は、平坦で滑らかに形成されている。背面34は、長さ方向および幅方向に平行で格子状に設けられた複数の補強用のリブ34aを有している。
【0021】
各接続用パネル3は、各長辺側受け部35の側壁35bの両端部に切欠部35eを有している。各切欠部35eは、長辺側受け部35の凹部35cに水路用パネル2の長辺側挿入片26のフック26aを嵌合するとき、水路用パネル2の背面24のリブ24aを嵌合可能になっている。各接続用パネル3は、各長辺側受け部35の側壁35bおよび各長さ方向係合部37の底部37aに、隣り合うパネルを固定するための複数の固定孔38を有している。また、各接続用パネル3は、水路形成面33に、各長さ方向係合部37の底部37aの固定孔38の位置を明示するための三角表示39を有している。
【0022】
図5に示すように、各湾曲パネル4は、オレフィン系樹脂のポリプロピレンにタルクを混合した合成樹脂から成っている。各湾曲パネル4は、横断面が湾曲した長方形の板状であって、各水路用パネル2の長辺側縁部41a,41bと同じ長さの2つの長辺側縁部41a,41bと、2つの短辺側縁部42a,42bと水路形成面43と背面44とを有している。各湾曲パネル4は、各長辺側縁部41a,41bに各水路用パネル2の長辺側挿入片26と同じ長辺側挿入片46を有している。長辺側挿入片46は、水路用パネル2の長辺側受け部25の凹部25cと嵌合する細長いフック46aから成り、湾曲パネル4の長さ全体にわたって設けられている。
【0023】
各湾曲パネル4は、一方の短辺側縁部42aと他方の短辺側縁部42bとに、互いに対になる長さ方向係合部47を有している。各長さ方向係合部47は、それぞれ底部47aと側壁47bとを有して水路形成面43側が開放した細長い凹部47cから成り、湾曲パネル4の幅全体にわたって設けられている。水路形成面43は、平坦で滑らかに形成されている。背面44は、長さ方向および幅方向に平行で格子状に設けられた複数の補強用のリブ44aを有している。各湾曲パネル4は、各長さ方向係合部47の底部47aおよび長辺側挿入片46に沿って、隣り合うパネルを固定するための複数の固定孔48を有している。また、各湾曲パネル4は、水路形成面43に、各長さ方向係合部47の底部47aの固定孔48の位置を明示するための三角表示49を有している。
【0024】
なお、具体的な一例では、水路用パネル2は、長さが1800mm、幅が350mm、400mm、550mmの三種類である。接続用パネル3は、長さが1800mm、幅が300mm、400mm、500mmの三種類である。湾曲パネル4は、長さが1800mm、曲率半径が250mmである。
【0025】
図7(d)に示すように、各連結部材5は、ポリ塩化ビニル(PVC)製で、細長く形成されている。各連結部材5は、パッキン材51とカバー52とを有している。パッキン材51は、細長い底板部51aとその両縁部に沿って垂直に設けられた側板部51bとを有している。底板部51aは、各水路用パネル2、各接続用パネル3および各湾曲パネル4の長さ方向係合部27,37,47の側壁27b,37b,47bの厚さの2倍の幅を有している。側板部51bは、各水路用パネル2、各接続用パネル3および各湾曲パネル4の長さ方向係合部27,37,47の側壁27b,37b,47bの高さと同じ高さを有している。
【0026】
カバー52は、パッキン材51を底板部51aおよび側板部51bの外側から覆うよう、パッキン材51より一回り大きく形成されている。カバー52は、両側部に沿って、各水路用パネル2、各接続用パネル3および各湾曲パネル4の長さ方向係合部27,37,47の底部27a,37a,47aの幅と同じ幅のフランジ部52aを有している。フランジ部52aは、複数の固定孔を有している。
図6に示すように、各補強材6は、細長く、断面がL型の鋼材から成っている。
図6に示すように、各梁材7は、細長い鋼材から成っている。
【0027】
図6および図7に示すように、水路構造1は、以下の施工方法により施工される。
図6に示すように、2つの水路用パネル2a,2bの間に接続用パネル3を挟んでそれぞれ幅方向に並べ、図7(a)に示すように、接続用パネル3の各長辺側受け部35の凹部35cに、各水路用パネル2a,2bの長辺側挿入片26のフック26aを嵌合する。図6に示すように、それらの水路用パネル2a,2bのそれぞれに対し他の水路用パネル2c,2dを幅方向に並べ、図7(b)に示すように、各水路用パネル2a,2bの各長辺側受け部25の凹部25cに、各水路用パネル2c,2dの長辺側挿入片26のフック26aを嵌合する。図6に示すように、それらの水路用パネル2c,2dのそれぞれに対し湾曲パネル4a,4bを幅方向に並べ、図7(c)に示すように、各水路用パネル2c,2dの各長辺側受け部25の凹部25cに、各湾曲パネル4の長辺側挿入片46のフック46aを嵌合する。図6(a)に示すように、それらの湾曲パネル4a,4bのそれぞれに対し他の水路用パネル2e,2fを幅方向に並べ、図7(c)に示すように、各湾曲パネル4a,4bの長辺側挿入片46のフック46aを、各水路用パネル2e,2fの各長辺側受け部25の凹部25cに嵌合する。さらに、図6(a)に示すように、それらの水路用パネル2e,2fのそれぞれに対し他の水路用パネル2g,2hを幅方向に並べ、各水路用パネル2e,2fの長辺側挿入片26のフック26aを、各水路用パネル2g,2hの各長辺側受け部25の凹部25cに嵌合する。各水路用パネル2、接続用パネル3および各湾曲パネル4の、各長辺側受け部25,35の側壁25b,35bの固定孔28,38と長辺側挿入片26,46に沿った固定孔28,48とを合わせ、そこにネジを貫通して固定する。こうして、図6に示すように、各水路用パネル2、接続用パネル3および各湾曲パネル4の全体を断面U字状に構成する。
【0028】
図6(b)に示すように、各水路用パネル2、各接続用パネル3および各湾曲パネル4をそれぞれ長さ方向に並べ、図7(d)に示すように、隣り合う各水路用パネル2、各接続用パネル3または各湾曲パネル4の各長さ方向係合部27,37,47の側壁27b,37b,47bを、パッキン材51の各側板部51bの間に挟んで互いに連結する。さらに、パッキン材51を覆うようにカバー52を被せ、カバー52のフランジ部52aの固定孔と各長さ方向係合部27,37,47の底部27a,37a,47aの固定孔28とを合わせ、そこにネジを貫通して固定する。
【0029】
図6に示すように、水路用パネル2g,2hで構成される1対の上縁1a,1bに沿って、各補強材6を取り付け、ボルトで水路用パネル2g,2hに固定する。このとき、各補強材6の内側の2つの面が水路用パネル2g,2hの上部と水路形成面23に接するよう取り付ける。1対の上縁1a,1bに沿った各補強材6の間に、各梁材7を架け渡し、ボルトで各補強材6および水路用パネル2g,2hに固定する。
【0030】
次に、作用について説明する。
水路構造1および水路構造1の施工方法では、水路用パネル2、接続用パネル3および湾曲パネル4の3種類のパネルにより、水路面を形成することができる。また、水路用パネル2が幅方向に任意の数だけ連結可能であるため、水路用パネル2の幅方向の数を増減することにより、種々の幅および深さの水路を施工することができる。3種類のパネルの組み合わせで水路を構成することができるため、各パネルの在庫管理が容易で、施工現場で作業効率を向上させることができる。
【0031】
各補強材6で上縁1a,1bを補強し、各梁材7により1対の上縁1a,1b間の各補強材6の間隔を保つことができるので、1対の上縁1a,1bの間隔が水圧で拡がったり、土圧で狭まったりするのを防ぐことができる。水路構造1の一部が壊れたときには、壊れた水路用パネル2、接続用パネル3または湾曲パネル4だけを交換可能なため、補修が容易である。
【0032】
水路用パネル2、接続用パネル3および湾曲パネル4は、合成樹脂から成るため、錆が発生せず、リサイクル可能であり、同じ大きさのコンクリートや鋼材に比べて軽量である。また、長方形の板状であるため積み重ねることができ、かさばらず、搬入や設置が容易である。長辺側挿入片26,46のフック26a,46aを、隣り合うパネルの長辺側受け部25,35の凹部25c,35cと嵌合させることにより、複数を幅方向に容易に連結することができる。また、フック26a,46aと凹部25c,35cとを嵌合させるため、幅方向に引っ張る力が作用したときに外れにくい。
【0033】
水路用パネル2、接続用パネル3および湾曲パネル4は、ポリプロピレンにタルクを混合した合成樹脂から成っているため、剛性およびタップ強度が大きい。なお、ポリプロピレンにガラス繊維を混合した合成樹脂では、ガラス繊維が脱落して流水に混入する可能性があり、環境破壊のおそれがあるため、ガラス繊維の代わりにタルクを混合している。
【0034】
水路用パネル2、接続用パネル3および湾曲パネル4は、産業廃棄物の合成樹脂製品をリサイクルすることにより製造される再利用製品とすることができる。また、連結部材5は、農業用ビニルハウスで使用されていたポリ塩化ビニル製のフィルムを、異型押出成型した再利用製品とすることができる。これにより、地球環境の保全や改善に寄与することができる。
【0035】
水路構造1は、連結部材5の形状により、流水の速度を調整することができる。
なお、水路構造1は、既存のコンクリート製水路やコルゲート水路の内側に設けられてもよい。この場合、各梁材7として既存の水路のものを使用することができる。また、既存の水路が破損したときなどに、その水路を撤去することなく施工することができる。これにより、既存の水路の撤去費用や、廃棄物の処理にかかる費用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態の水路用パネルを示す(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【図2】図1に示す水路用パネルの(a)底面図、(b)背面図である。
【図3】図1に示す水路用パネルの(a)A−A線断面図、(b)長さ方向係合部の拡大図、(c)B−B線断面図、(d)長辺側受け部の拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態の水路構造の接続用パネルを示す(a)平面図、(b)横断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の水路構造の湾曲パネルを示す(a)平面図、(b)横断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の水路構造を示す(a)横断面図、(b)平面図である。
【図7】図6に示す水路構造の(a)A−A線断面図、(b)B−B線断面図、(c)C−C線断面図、(d)D−D線断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 水路構造
2 水路用パネル
3 接続用パネル
4 湾曲パネル
5 連結部材
6 補強材
7 梁材
21a,21b 長辺側縁部
22a,22b 短辺側縁部
23 水路形成面
24 背面
25 長辺側受け部
25a 底部
25b 側壁
25c 凹部
25d ずれ防止壁
25e 切欠部
26 長辺側挿入片
26a フック
27 長さ方向係合部
27a 底部
27b 側壁
27c 凹部
28 固定孔
29 三角表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂から成り長方形の板状であって2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、一方の長辺側縁部と他方の長辺側縁部とに互いに対になる幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有することを、特徴とする水路用パネル。
【請求項2】
前記幅方向係合部は一方の長辺側縁部に設けられた長辺側挿入片と他方の長辺側縁部に設けられた長辺側受け部とから成り、前記長辺側受け部および前記長さ方向係合部はそれぞれ底部と側壁とを有して水路形成面側が開放した細長い凹部から成り、前記長辺側挿入片は前記長辺側受け部の凹部と嵌合する細長いフックから成ることを、特徴とする水路用パネル。
【請求項3】
請求項1または2記載の水路用パネルを複数と、複数の接続用パネルと、複数の湾曲パネルと、複数の連結部材と、複数の細長い補強材と、複数の梁材とを有し、
各接続用パネルは合成樹脂から成り横断面が平坦な長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の一方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、
各湾曲パネルは合成樹脂から成り横断面が湾曲した長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の他方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、
前記接続用パネルは2つの前記水路用パネルの間に挟まれてそれぞれ幅方向に並べられ、それらの水路用パネルのそれぞれに対し前記湾曲パネルが幅方向に並べられ、それらの湾曲パネルのそれぞれに対し他の前記水路用パネルが幅方向に並べられ、隣り合う各水路用パネルの幅方向係合部と前記接続用パネルの幅方向係合部、前記湾曲パネルの幅方向係合部と各水路用パネルの幅方向係合部とがそれぞれ係合されて、各水路用パネル、前記接続用パネルおよび各湾曲パネルの全体が断面U字状に構成され、
各連結部材は各水路用パネル、各接続用パネルおよび各湾曲パネルをそれぞれ長さ方向に並べて隣り合う各水路用パネル、各接続用パネルおよび各湾曲パネルの各長さ方向係合部を挟んで互いに連結し、
各補強材は前記水路用パネルで構成される1対の上縁に沿ってそれぞれ設けられ、
各梁材は前記1対の上縁に沿った各補強材の間に架け渡されていることを、
特徴とする水路構造。
【請求項4】
請求項1または2記載の水路用パネルを複数と、複数の接続用パネルと、複数の湾曲パネルと、複数の連結部材と、複数の細長い補強材と、複数の梁材とを使用し、
各接続用パネルは合成樹脂から成り横断面が平坦な長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の一方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、
各湾曲パネルは合成樹脂から成り横断面が湾曲した長方形の板状であって前記水路用パネルの長辺側縁部と同じ長さの2つの長辺側縁部と2つの短辺側縁部と水路形成面と背面とを有し、各長辺側縁部に前記水路用パネルの1対の幅方向係合部の他方と同じ幅方向係合部を有し、一方の短辺側縁部と他方の短辺側縁部とに互いに対になる長さ方向係合部を有し、
2つの前記水路用パネルの間に前記接続用パネルを挟んでそれぞれ幅方向に並べ、それらの水路用パネルのそれぞれに対し前記湾曲パネルを幅方向に並べ、それらの湾曲パネルのそれぞれに対し他の前記水路用パネルを幅方向に並べて、隣り合う各水路用パネルの幅方向係合部と前記接続用パネルの幅方向係合部、前記湾曲パネルの幅方向係合部と各水路用パネルの幅方向係合部とをそれぞれ係合することにより各水路用パネル、前記接続用パネルおよび各湾曲パネルの全体を断面U字状に構成し、
各水路用パネル、各接続用パネルおよび各湾曲パネルをそれぞれ長さ方向に並べて隣り合う各水路用パネル、各接続用パネルまたは各湾曲パネルの各長さ方向係合部を各連結部材により挟んで互いに連結し、
各補強材を前記水路用パネルで構成される1対の上縁に沿ってそれぞれ設け、
各梁材を前記1対の上縁に沿った各補強材の間に架け渡すことを、
特徴とする水路構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−183342(P2006−183342A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378800(P2004−378800)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(395001161)日の丸合成樹脂工業株式会社 (3)