説明

水遊び玩具

【課題】乳幼児や幼児の興味を引き、吐水等の操作を行って遊ぶように促す事により、指先や手の随意運動による操作機能の発達を促す事が出来る水遊び玩具を提供することを課題とする。
【解決手段】乳幼児が把持可能で水面に浮遊可能とされた玩具において、前記玩具本体の側部対向位置で玩具本体から突出する少なくとも二つ以上であって相互に近接方向に変位可能とされる釦部を有し、釦部の一つは、ポンプ部と連結されて吐水を操作する吐水釦とされ、釦部の他の一つは、玩具本体における第一動作部に連結されて第一動作部の動きを操作する動作釦として構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
おおよそ生後6ヶ月乃至3歳程度になるまでの乳幼児の発育を促す水遊び玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、お風呂やプール等で乳幼児が使用する水遊び用玩具として、浮遊機能やジョウロ機能、水鉄砲機能がついた玩具が多数発売されている。特に、実開昭61−156996では、「吐出構造に特徴って、浮遊させても遊ぶ事ができる水鉄砲玩具」が提案されており、その他にも実開昭63−090794や実開昭59−167597等でも、水を吐出させて遊ぶことのできる構造に関する提案が行われている。
【0003】
しかし、乳幼児の興味を引き、吐水等の操作を促す事で、最終的には、乳幼児の手指の操作機能の発達を促す事を想定した商品は存在していなかった。
【特許文献1】実開昭61−156996号公報
【特許文献2】実開昭63−090794号公報
【特許文献3】実開昭59−167597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に斯かる実情に鑑みなされたもので、乳幼児や幼児の興味を引き、吐水等の操作を行って遊ぶように促す事により、指先や手の随意運動による操作機能の発達を促す事が出来る水遊び玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、乳幼児に把持可能とされ且つ水面に浮遊可能とされた玩具において、前記玩具本体の対向位置で玩具本体から突出する少なくとも二つ以上であって相互に近接方向に変位可能とされる釦部を有し、釦部の一つは、ポンプ部と連結されて吐水を操作する吐水釦とされ、釦部の他の一つは、玩具本体における第一動作部に連結されて第一動作部の動きを操作する動作釦とされており、前記各釦を近接する方向に変位させた際に、吐水と第一動作部の動作とが各々行われ、操作を中止する事で前記各釦が変位状態から突出状態に戻ることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記吐水釦又は動作釦を押すことで、前記第一動作部とは異なる第二動作部の動作が可能とされており、前記第二動作部の動作は、第一動作部の動作よりも小さな動きとされていることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、前記動作釦により動作する第一動作部は、ポンプ部に連結された吐水口を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記玩具本体の対向位置に設けられる吐水釦と動作釦の頂点間の距離が50mm〜90mmであり、各釦の動作量が3mm〜10mmとしたことにより、乳幼児用玩具としたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、水面に前記水遊び玩具を配置した状態で、吐水釦と動作釦が吃水線上に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、玩具本体の対向する位置で近接方向に移動するよう配置された一つの釦である吐水釦に連動するポンプによる吐水動作と、他の釦である動作釦による第一動作部の動作とが同時に行われる為、強く乳幼児の興味を引くことが出来、積極的に対向位置に配置された2つの釦の操作を促す事ができ、更に操作を中止すると元の状態に戻る。つまり、使用を開始する時期である6ヶ月から1才程度の乳幼児は元々随意運動として手指を操作する事が困難である。そのような時期においては母親等の介助者が釦を操作しながら浮遊玩具として遊ぶ事になるが、発達に伴って手指の操作が身に付きだすと、乳幼児が水遊び玩具を片手で操作する場合には、「親指で一方の釦を押しながら、他の指で他方の釦を押す」という動きが必要となり、水遊び玩具を動かないよう保持する事や、釦のストロークを調整しながらバランスよく押す事等の手や指による細かな操作を繰り返して学習することができる。さらに、その前段階であって、乳幼児の手・指の発達段階が低い場合には、指による操作ではなく、手による動きとして両手を協調させながら、水上に不安定な状態で浮かぶ水遊び玩具を保持して、一方の手で一方の釦を押しつつ他方の手で他方の釦を押すという働きが必要となり、両手で操作することを学習することもできる等、発達状態に応じて手による異なる動きを行うよう促す事ができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、水遊び玩具の動作を増やすことにより、更に強く乳幼児の興味を引く事ができると共に、1つの釦操作によって、より複雑な吐水動作や機構的動作を行うことを学習することができる。しかも、第二動作部の動作は、第一動作部の動作よりも小さくされている為、釦操作における重さに影響がでにくく、動作が増えた事に伴う乳幼児が釦を押す操作への影響を抑えている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、さらに動作部に吐水口を設けることによって、動作釦による動作を行いつつ、吐水釦による吐水を行う為、強く乳幼児の興味を引いて操作を促すことが出来ると共に、噴水の様に吐水状態を変化させることが出来る。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項の効果に加え、吐水釦と動作釦の頂点間の距離を制限することによって、乳幼児にも把持することが可能な大きさとしており、その状態から乳幼児が更に指先の動きを中心とした操作として、押圧するにあたって適切に押した事を認識しつつ、操作可能なように動作量を制限した。
【0014】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか1項の効果に加え、手の動きに追随して揺れてしまう水面で、吃水線上に配置された吐水釦と動作釦を操作するために、乳幼児に対して、手の動きに注意しながら導く事や、操作する手とは逆側の手を使用して動きを抑える事等を身に付けるよう促す事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
乳幼児が把持可能な大きさとされ、且つ水面に浮遊可能とされる玩具において、前記玩具本体の対向位置で玩具本体から突出する少なくとも二つ以上であって相互に近接方向に変位可能とされる釦部を有し、釦部の一つは、ポンプ部と連結されて吐水を操作する吐水釦とされ、釦部の他の一つは、玩具本体における第一動作部に連結されて第一動作部の動きを操作する動作釦とされて操作を中止する事で各釦が変位状態から突出状態に戻り、前記第一動作部とは、異なる第二動作部を設け、前記吐水釦又は動作釦を押すことで吐水口から吐水させると共に、前記第一動作部の動きとは異なる動きである第二動作部の動作を可能とし、前記動作釦により動作する第一動作部には、ポンプ部に連結された吐水口を設けるように構成する。また、玩具本体対向位置に設けられる吐水釦と動作釦の釦の頂点間の距離を50mm〜90mmとし、各釦の動作量を3mm〜10mmとする。
【実施例】
【0016】
図1を用いて、水遊び玩具の外観の説明を行う。水遊び玩具の外観は、鯨を模しており、水遊び玩具の本体下方に設けられた鯨は、親鯨10で、水遊び玩具の本体上方、即ち親鯨10背中面に子鯨11が設けられており、親鯨10と子鯨11で、親子の鯨を模した形に形成されている。また、親鯨10の前方には、鯨の目を表す為の2つの孔が設けられている。この実施の例の外観では、遊技者である乳幼児に親子の関係を認識させることもできるようになっている。また、該水遊び玩具の外観として、実施の例のように、動物の親子を模した形状でも構わないが、動物単体を模した外観にしても構わない。動物を模して形成することによって、動作させることによって動物の動きや、動物の行動(実施の例では、潮を吹くなど)の学習を行うことも可能となっており、乳幼児に対して強く興味を引くことができる。このほかに、水遊びの玩具の外観として、例えば、イカのお腹と背中に吐水釦18と動作釦19を設け、足を動かしながら口から水を出すよう構成する等、釦は対向位置にあれば、前後方向や上下方向等に配置されるよう構成してもよく、また、消防艇などの船を模した場合では、消防艇の側面部に吐水釦18及び動作釦19の釦部を設け放水砲を回転させつつ放水するように設ける場合や、キャビン又は放水砲を上方に伸ばすように設けても構わない。このように船や潜水艦等の乗り物及び動物などの他にもキャラクターなどを模しても構わない。
【0017】
水遊び玩具の本体側部に対向させて突出するよう設けられた釦部である吐水釦18と動作釦19をそれぞれ押圧すると、吐水釦18の操作によって、ポンプ20が動作を行い吐水口16から、水が吐水されるようになっている。また吐水釦18が突出状態に復帰する際に、給水口15よりポンプ20に水を吸入する。また、動作釦19の操作によって、水遊び玩具の親鯨10の目が左右に揺動するように設けられている。尚、この実施の例は、吐水釦18によりポンプ部を、動作釦19により第一動作部を動作させるものであり、動作部を一つだけ設けた例である。
【0018】
図2は本発明の第一実施例である水遊び玩具の上面から見た断面図である。図3は、水遊び玩具の第一動作部の動作にあたる親鯨10の目玉の動きを示した図である。また、図4は、水遊び玩具の横から見た断面図であり、水遊び玩具の後方に設けられた注水口17aや側方に設けられた17bから水を注水した状態を示した図である。図5は、水遊び玩具の前方からの断面図であり、玩具内の吐水における水の動きを示す図である。
【0019】
水遊び玩具には、係合溝14・注水口17a,17b・吐水釦18・動作釦19と給水口15・吐水口16を含むポンプ部及び第一動作部となる目玉板22・目玉板ヒンジ26等とが設けられている。係合溝14は、水遊び玩具の前方に円弧状に設けられた目玉板22と係合するよう目玉板22に沿って設けられた溝である。また、注水口17a,17bは、水遊び玩具の後方及び側方に設けられ、水遊び玩具内に水を注水して安定的に浮遊させる為に設けられた穴であり、図4に示すように該各注水口17から水遊び玩具内に水を注水することによって、バランス良く水上で姿勢を保持すると共に、水遊び玩具内に残された空気が浮力となり水遊び玩具のバランスを保つ働きをする。なお、浮力機能を発現する為に、水遊び玩具内に残された空気ではなく、水遊び玩具内上方に図示しない発泡体等を配置して、より確実に浮力を確保しても良い。また、各注水口17によって、水面(吃水線)に各釦18,19が配置されるよう設計されている。
【0020】
図2及び図5を用いて吐水釦の説明を行う。吐水釦18は、動作釦19と動作軸を一致させて動作釦19と対向する位置に設けられ、吐水釦18と動作釦19は、水遊び玩具本体両側で各々玩具本体からに突出して設けられ本体側に押し込めるように動作可能としている。また、吐水釦18の動作量(ストローク)は、5〜7mmに設けられている。該吐水釦18を押圧すると、ポンプ部を動作させ、水遊び玩具の吐水口16から水が吐水するように設けられている。
【0021】
即ちこのポンプ部は、ポンプ20・給水口15・吐水口16・ポンプ部用復帰バネによって構成されている。ポンプ20は、吐水釦18が押圧されることによって、給水口15より給水された水を、吐水口16から外部へ送り出すようになっている。また、図示しないポンプ部用復帰バネは、吐水釦18が押圧された後、操作を止めると該吐水釦18を復帰させる為の圧縮バネとして設けている。また、給水口15は、水遊び玩具の底面に設けられ、ポンプ20と連結し、ポンプ20が動作することによって、該給水口15から水が給水される口である。なお、給水口15を水遊び玩具の外方に露出するのではなく、水遊び玩具内に給った水を給水するよう構成してもよい。吐水口16は、水遊び玩具の子鯨11の上面に設けられ、ポンプ20と連結し、ポンプ20が動作することによって、ポンプ20より送り出された水を吐水する口となっている。
【0022】
吐水釦18を押圧時の動作の説明を行う。吐水釦18が押圧されると、ポンプ20に貯水されていた水を吐水口16に送り、吐水用復帰バネ24の力によって、吐水釦18が復帰する際に、ポンプ20内に水を貯水する為に、給水口15から、水を給水するようになっている。ポンプ20内部を図示しないが、2つの弁を用いて、吐水と給水を行うようになっている。
【0023】
図2及び図3を用いて動作釦の説明を行う。動作釦19は、該吐水釦18と同様に、水遊び玩具の本体側面から突出して設けられ、本体側即ち吐水釦18の近接方向へ動作可能なようになっている。動作釦19の動作量(ストローク)も吐水釦18と同様に、5〜7mmに設けられている。該動作釦19を押圧すると、第一動作部とした目玉板22が移動することとなり、親鯨10前方に設けられた2つの孔を介して目玉板22外周面に表示された鯨の目が、動くように見える。
【0024】
この第一動作部は、目玉板22・目玉板ヒンジ26・動作部用復帰バネ23で構成されている。目玉板22は、円弧状に設けられた板で、図1に示すように目玉板22の外周面に目玉22aが表示されている。また目玉板22の内周面に目玉板ヒンジ26と関節状に係合する係合部が設けられている。水遊び玩具には、該目玉板22が左右方向へ滑動可能なような目玉板22と略同等の円弧状の係合溝14が設けられ、該目玉板22は、目玉板ヒンジ26の動きに合わせ左右方向に滑動するようになっている。目玉板22ヒンジは、水遊び玩具に回動自在に軸止され、目玉板ヒンジ26の一端は、目玉板22の係合部と係合し、目玉板ヒンジ26の他端は、動作釦19と関節状に係合するように設けられている。また、動作部用復帰バネ23は、動作釦19が押圧された後に、該動作釦19を復帰させる為の圧縮バネである。
【0025】
動作釦19を押圧時の動作の説明を行う。動作釦19が押圧されると、動作釦19の内面に設けられて関節状に目玉板ヒンジ26と係合された凸部が、目玉板ヒンジ26一端を押圧するようになっている。該目玉板ヒンジ26の一端が押圧されると、水遊び玩具に軸止されている軸を中心に、該目玉板ヒンジ26が回転を行う。該目玉板ヒンジ26が回転すると、該目玉板ヒンジ26の他端に関節状に係合している目玉板22が引っ張られ、目玉板22が、係合溝14内を滑動するようになっている。このように動作することによって、水遊び玩具の親鯨10の目が左右どちらかに移動するようになる(図1においては右側に移動する)。また、該動作釦用復帰バネ23の作用によって、再び動作釦19と共に親鯨10の目が復帰位置へと戻るように設けられている。
【0026】
吐水釦18と動作釦19の設けられた位置と、その動作量について説明する。吐水釦18及び動作釦19は、実施の例では、水遊び玩具の側面に対向した位置に設けられている。該両釦を該水遊び玩具で遊戯し、主対象となる自ら水遊び玩具を使用する生後18ヶ月児〜36ヶ月児の手掌の大きさは、各指が離れるように最も手掌を開いた状態における(人指し指の先中央から親指の先中央までの距離)は、65mm〜95mmの範囲となっている。片手で操作させることから、吐水釦18と動作釦19の頂点間の距離が50mm〜90mmの範囲であることが望ましい。また頂点間の距離が50mmより小さい場合では、手掌全体を使用した操作ではなく、指先を中心とした操作となり難易度が高くなる。さらに頂点間の距離が90mmより大きい場合では、乳幼児は、片手で水遊び玩具を把持し閉じる動作を行う事ができなくなるからである。
【0027】
また、吐水釦18と、動作釦19の動作量(ストローク)については、3mm〜10mmの範囲であることが望ましい。これは、動作量が3mmより小さい場合では、乳幼児は、手掌全体で使用した操作した実感が無いために、繰り返して操作を促す事ができなくことがあり、また動作量が10mmより大きい場合では、乳幼児が手掌を閉じる方向に操作するに当たって、変位した状態を維持しつつ釦を変形することができなくなるからである。
【0028】
さらに、吐水釦18と動作釦19を押圧し、動作させる力は、ポンプ部を動作させる為の力と、第一動作部を動作させる為の力が異なるが、水遊び玩具内に設けられている釦を元の位置に復帰させるバネの力によって調整されており、吐水釦18と動作釦19を押圧する力は、ほぼ同じになるように構成されている。押圧する力をほぼ同じにする事によって吐水動作及び第一動作部の動作は、ほぼ同時に行われるようになる。また、吐水釦18と、動作釦19の押圧する力が異なるように設けた場合では、例えば、最初に動作釦19が押圧され、水遊び玩具の動作を行い、その後、吐水釦18が押圧され、水遊び玩具から吐水するように設けることによって、二段階で動作を行うこともでき、異なる認識を促すこともできる。
【0029】
図6は、本発明の第一実施例である水遊び玩具の使用例を示す斜視図である。水遊び玩具をお風呂などの水面に浮かべた状態で、本体側部に対向させて設けられた吐水釦18と動作釦19のバランスを取りながらそれぞれ押圧すると、吐水釦18の操作によって、ポンプ部が動作を行い吐水口16から、水が吐水される。この時、吃水線に各釦18,19が配置されているため、水面に浮かぶ水遊び玩具の釦に上手く手を配置する事を練習することができる。また、動作釦19の操作によって、水遊び玩具の親鯨10の目が左右に揺動するようになっている。このことにより、乳幼児の興味を引くと共に、該操作を行って遊べる事によって、指先や手の操作機能の発達を促すことが可能である。なお、遊び終わった後に水遊び玩具を収納する際には、各注水口17から水抜きを行って衛生的に保管する事ができる。
【0030】
次に、第一動作部と第二動作部を備え、水遊び玩具の動作を増やすことによって、先の実施の例よりも、更に乳幼児の興味を引く事のできる第二実施例を示す。まず、吐水釦18を押圧した際に、吐水動作の他に別の動作を同時に行う例の説明を行う。玩具内の外形については、図1に示す上述した実施の例と同様であるが、親鯨10の上方、即ち親鯨背中面に設けられている子鯨11が、第一動作部として垂直方向への滑動可能に設けられている。該子鯨11の背中面には、吐水口16が設けられている。水遊び玩具の側面部に設けられた吐水釦18と動作釦19をそれぞれ押圧すると、吐水釦18の操作によって、吐水口16から、水が吐水されと共に、この吐水釦18の操作によって水遊び玩具の親鯨10の目が左右に揺動するように設けられている。また、動作釦19の操作によって、吐水口16が設けられた子鯨11が垂直方向へ移動するようになっている。
【0031】
図7は、本発明の第二実施例である水遊び玩具の分解斜視図面である。図8は、本発明の一実施例である水遊び玩具の上面から見た断面図であり、図9は、水遊び玩具の前方からの断面図である。図10は、水遊び玩具の第一動作部13の動作にあたる子鯨11の移動の動きを示した図である。第二動作部にあたる目玉の動きを示す図は、図3と左右反転である。
【0032】
この水遊び玩具には、係合溝14・注水口17・吐水釦18・動作釦19・ポンプ部・第一動作部・第二動作部が設けられている。係合溝14・注水口17・吐水釦18・動作釦19・ポンプ部は、先に示した実施の例とほぼ同様であるが、図7・図8に示すように吐水釦18に第二動作部の目玉板ヒンジ26が係合されている。
【0033】
図9及び図10を用いて第一動作部の説明を行う。第一動作部は、子鯨移動片21・子鯨復帰バネ22・動作部用復帰バネ23・子鯨11によって構成され、第一動作部の動作として、子鯨11が垂直方向へ移動するようになっている。子鯨移動片21は、子鯨11側と、動作釦19側にそれぞれ設けられ、子鯨移動片21は、それぞれテーパー加工されており、該テーパー面同士をあわせるように直交して配設されている。動作釦19側の子鯨移動片21が水平に滑動することにより、子鯨11側の子鯨移動片21が垂直方向に滑動するように設けられ、その動作は、直交方向へ変化するようになっている。動作釦19は、該動作釦19側の子鯨移動片21に接続され、動作釦19を押圧することにより、動作釦19側の子鯨移動片21が左右方向に滑動するように設けられている。
【0034】
また、子鯨11も同様に、子鯨11側の子鯨移動片21に接続され、子鯨移動片21が上下方向に移動するに伴って、子鯨11も垂直方向に上下に滑動するように設けられている。また、子鯨11側の移動片には、ポンプ20と、吐水口16を接続する、穴が設けられており、子鯨11の移動が行われても連通するよう構成されている。そして、動作釦19の操作を終了すると、子鯨復帰バネ22及び動作用復帰バネ23によって、子鯨11が下方に移動すると共に、操作釦19が待機状態に戻る事となる。
【0035】
図8を用いて第二動作部の説明を行う。尚動作例は、図示しない。第二動作部は、目玉板22・目玉板ヒンジ26・ポンプ部用復帰バネ・吐水釦18で構成され、先に示した実施の例で、動作釦19に関節状に係合させていた目玉板ヒンジ26を吐水釦18に係合し、第一動作部の動作を吐水釦18の動きによって行わせるものである。
【0036】
第二動作部の吐水釦18を押圧時の動作の説明を行う。吐水釦18が押圧されると、吐水釦18の内面に設けられて関節状に目玉板ヒンジ26と係合された凸部が、目玉板ヒンジ26一端を押圧するようになっている。該目玉板ヒンジ26の一端が押圧されると、水遊び玩具に軸止されている軸を中心に、該目玉板ヒンジ26が回転を行う。該目玉板ヒンジ26が回転すると、該目玉板ヒンジ26の他端に関節状に係合している目玉板22が引っ張られ、目玉板22が、係合溝14内を滑動するようになっている。このように動作することによって、水遊び玩具の親鯨10の目が左右どちらかに移動するようになる。また、該ポンプ部用復帰バネの作用によって、吐水釦18と共に再び親鯨10の目が復帰位置へと戻るように設けられている。また、ポンプ20内に貯水されていた水を吐水口16に送り、ポンプ部用復帰バネの力によって、吐水釦18が復帰する際に、ポンプ20内に水を貯水する為に、給水口15から、水を給水するようになっている。吐水釦18を押圧すると吐水及び、第二の動作を行うように設けられている。
【0037】
図11は、本発明の第二実施例である水遊び玩具の使用例を示す斜視図である。水遊び玩具をお風呂などの水面に浮かべた状態で、水遊び玩具の側面部に設けられ吃水線上に配置された吐水釦18と動作釦19のバランスを取りながらそれぞれ押圧すると、吐水釦18の操作によって、ポンプ部が動作を行い、吐水口16から、水が吐水されと共に、水遊び玩具の親鯨10の目が左右に揺動するように設けられている。また、同時に動作釦19の操作によって、吐水口16が設けられた子鯨11が垂直方向へ移動するようになっており、先に示した実施の例よりも乳幼児の興味を強く引くと共に、該操作を行って遊べる事によって、指先や手の操作機能の発達を促すことが可能である。
【0038】
参考までに、乳幼児の発育について説明する。1〜3歳の乳幼児の発育は、歩く・走るが自由に出来るようになり、指先の動きも発達して積み木を重ねたりコップを持って水を飲んだりスプーンで食事をする事も1人で出来るようになる。また、道具や品物の使い方を理解していくつか組み合わせて使えるようになり、新しい物に興味をもったりさわって観察したりするようになる。さらに、繰り返し操作をしながら道具に親しみように発達し、お風呂では、水遊びをしたり石鹸で遊んだり自分の身体を洗いながら自分の身体に興味をもつようになる。
【0039】
この水遊び玩具は、丁度生後6ヶ月程度〜3歳程度の乳幼児の発育にあわせて、お風呂場などで、早い段階では母親等の介助者と共に遊び、その後、1才を過ぎて自ら遊ぶようになり始めると、玩具を浮かべることによって、物が浮くことを知る事ができ、また、水遊び玩具の吐水釦18・動作釦19を押圧することによって、吐水口16から水が吐水する動きと、玩具自体の様々な動作を行うようにすることによって、大変乳幼児の興味を引く事ができると共に、乳幼児が水遊び玩具を用いて、繰り返し遊ぶことによって、指や手を操作機能の発達を中心として様々な発達を促すことが出来る玩具である。
【0040】
以上説明したように構成することにより乳幼児や幼児の興味を引く事で、操作を促すし、指先や手の操作機能の発達を促す事が出来る水遊び玩具である。また、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変できる。
【0041】
応用した実施の例として、釦部は、吐水釦と動作釦とを各々1個とする場合に限らず、第二動作釦を玩具本体に付加し、玩具本体の尾ひれなどを動作させるようにすることもできる。
【0042】
また、船の形は両舷に水車を設けた外輪船形状として、水車形に釦部を突出させ、キャビンや放水砲を甲板に設け、見張台キャビンを上下させつつ放水砲から吐水することもできる。
その他、本実施の各形態では、機構的に釦に伴う吐水及び動作を発現するよう構成していたが、水遊び玩具を中空に形成し、釦として機能する突出部を対向面に設け、中空体中に含ませた水を吐出すると共に、目やヒレ等の身体の一部が動くよう構成しても良く、更には、電気的に吐水や動作を発現するよう構成して、釦部を適切な突出量とするよう構成しても良い。
【0043】
また、乳幼児の発達を促す玩具としてだけではなく、介護等におけるリハビリ用として、手の機能を回復する道具として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例である水遊び玩具の外観を示す図である。
【図2】本発明の一実施例である水遊び玩具の上面から見た断面図である。
【図3】本発明の一実施例である水遊び玩具の第一動作部の動きを示す図である。
【図4】本発明の一実施例である水遊び玩具の横から見た断面図であり、水遊び玩具内に水を注水した状態を示した図である。
【図5】本発明の一実施例である水遊び玩具の前方からの断面図であり、玩具内の吐水における水の動きを示す図である。
【図6】本発明の一実施例である水遊び玩具を使用した状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施例である別の水遊び玩具を分解した分解斜視図面である。
【図8】本発明の一実施例である別の水遊び玩具の上面から見た断面図である。
【図9】本発明の一実施例である別の水遊び玩具の前方から見た断面図である。
【図10】本発明の一実施例である別の水遊び玩具の第一動作部の動作を示す図である。
【図11】本発明の一実施例である別の水遊び玩具を使用した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 水遊び玩具
10 親鯨
11 子鯨
14 係合溝
15 給水口
16 吐水口
17 注水口
17a 注水口
17b 注水口
18 吐水釦
19 動作釦
20 ポンプ
21 子鯨移動片
22 目玉板
22a 目玉
23 動作部用復帰バネ
26 目玉板ヒンジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児が把持可能で水面に浮遊可能とされた玩具において、前記玩具本体の対向位置で玩具本体から突出する少なくとも二つ以上であって相互に近接方向に変位可能とされる釦部を有し、釦部の一つは、ポンプ部と連結されて吐水を操作する吐水釦とされ、釦部の他の一つは、玩具本体における第一動作部に連結されて第一動作部の動きを操作する動作釦とされており、前記各釦を近接する方向に変位させた際に、吐水と第一動作部の動作とが各々行われ、操作を中止する事で前記各釦が変位状態から突出状態に戻ることを特徴とした水遊び玩具。
【請求項2】
請求項1において、前記吐水釦又は動作釦を押すことで、前記第一動作部とは異なる第二動作部の動作が可能とされており、前記第二動作部の動作は、第一動作部の動作よりも小さな動きとされていることを特徴とした水遊び玩具。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記動作釦により動作する第一動作部は、ポンプ部に連結された吐水口を有することを特徴とした水遊び玩具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記玩具本体対向位置に設けられる吐水釦と動作釦の頂点間の距離が50mm〜90mmであり、各釦の動作量が3mm〜10mmとしたことにより、乳幼児用玩具としたことを特徴とした水遊び玩具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、水面に前記水遊び玩具を配置した状態で、吐水釦と動作釦が吃水線上に配置されることを特徴とした水遊び玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−6374(P2006−6374A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183579(P2004−183579)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000112288)ピジョン株式会社 (144)
【Fターム(参考)】