説明

水酸化マグネシウムを用いるセルロース性基材の脱インクのための組成物及び方法

本発明は:(a)活性化水酸化マグネシウム;(b)任意に前記活性化水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;(c)水;(d)任意に乳化剤;(e)任意に苛性ソーダを除外すること;及び(f)任意に過酸化水素を除外すること、を含むセルロース性基材の脱インクのための組成物を提供する。前記組成物を用いるセルロース性基材の脱インクのための方法も請求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース性基材の脱インクのための組成物及び方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
繊維品質に影響を与えずに、二次繊維から効率的にインクを除くことは、紙の再生利用における主要な課題である。近年、最も広く行き渡った二次繊維からインクを除去する方法は、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、過酸化水素、界面活性剤及びケラントを用いるアルカリ処理法である。苛性物は再パルプ化されるもののpHを上昇させ、繊維の膨潤を引き起こし、これによりインクの脱離が支援されるが、機械的なレベルでのリグニンの相互作用に起因して繊維を黄色化させ、白色度の損失をもたらす。過酸化物は繊維の黄色化を低減させるために加えられ、及びケラントは金属による過酸化物の分解を防止するために添加される。界面活性剤は脱離したインクを管理し、繊維上への再付着を防止するために加えられる。
【0003】
脱インクの従来法がインク脱離に有効である一方、この方法には不利益もある。苛性物の望まれない効果を克服する化学物質の費用が考慮されると、このアルカリ処理法は極めて高価である。使用される化学物質の費用を別にしても、苛性物の取り扱いは有害であり、及び所望の光学的性質を有する繊維を製造するためには苛性物、過酸化物及びケイ酸塩の適正なバランスを保つことが極めて重要である。更に、漂白により除去できない、苛性物により引き起こされた残余の繊維の黄色化又は色素体生成は、繊維に青色色素を加えて相殺される。この方法は中和的な色のバランスを達成するために有効であるが、これによりISO白色度が低減され、目的の輝度に達することが困難になる。加えて、最近の研究はアルカリ条件下で脱インクされた二次繊維では強度及び引っ張り強度が低下することを示している。最終的に再パルプ中の上昇したpHにより接着剤が鹸化され、それによって製紙システムにより高い粘着性が取り込まれ、そのために製紙機械の走行性の問題が引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改善された方法論が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は:(a)活性化水酸化マグネシウム;(b)任意に前記活性化水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;(c)水;(d)任意に乳化剤;(e)任意に苛性ソーダを除外すること;及び(f)任意に過酸化水素を除外すること、を含む組成物を提供する。
【0006】
本発明は:(a)水酸化マグネシウム;(b)前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;(c)水;(d)任意に乳化剤;(e)任意に苛性ソーダを除外すること;及び(f)任意に過酸化水素を除外すること、を含む組成物を提供する。
【0007】
本発明は更に:(a)物質に:(1)活性化水酸化マグネシウム、(2)水、(3)任意に前記活性化水酸化マグネシウムのための懸濁化剤、及び(4)任意に乳化剤;を含む組成物を添加すること;(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダの添加を除外すること;及び(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素の添加を除外すること、を含むセルロース誘導体を含む物質からのインクの除去方法も提供する。
【0008】
本発明は更に:(a)物質に:(1)水酸化マグネシウム、(2)前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤、(3)水、及び(4)任意に乳化剤;を含む組成物を添加すること;(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダの添加を除外すること;及び(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素の添加を除外すること、を含むセルロース誘導体を含む物質からのインクの除去方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】活性化水酸化マグネシウム及び乳化されたTOFA製剤を繊維に加えた後の残余のインクのデータを示す。
【図2】活性化水酸化マグネシウム及び乳化されたTOFA製剤を繊維に加えた後のISO白色度を示す。
【図3】活性化水酸化マグネシウム及び乳化されたTOFA製剤を繊維に加えた後の黄色度を示す。
【図4】活性化水酸化マグネシウム及び乳化されたTOFA製剤を繊維に加えた後の白色度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.定義
「懸濁化剤」とは、溶液中のコロイド状微粒子の安定された分散物の沈降を防止する1つ以上の化学物質を意味する。
【0011】
「活性化水酸化マグネシウム」とは、水酸化マグネシウムに加えて、水酸化マグネシウム単独の上に追加的な脱インク性能を与える、例えば水酸化マグネシウムに製剤成分として加えられる油などの1つ以上の構成要素を含む製剤を意味する。例えば水酸化マグネシウムが油と混合され、その油が追加的な脱インク性能を与える条件を満たすものであれば、その水酸化マグネシウムは活性化水酸化マグネシウムである。
【0012】
「再生利用処理過程」とは、二次繊維の取り扱いを含む任意の処理過程を意味する。
【0013】
「TOFA」とは、トールオイル(tall oil)脂肪酸を意味する。
【0014】
「%」とは、組成物の重量に基づくパーセントを意味する。
【0015】
B.組成物
上述されたように、本発明は:(a)活性化水酸化マグネシウム;(b)任意に前記活性化水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;(c)水;(d)任意に乳化剤;(e)任意に苛性ソーダを除外すること;及び(f)任意に過酸化水素を除外すること、を含む組成物を提供する。
【0016】
本発明は更に:(a)水酸化マグネシウム;(b)前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;(c)水;(d)任意に乳化剤;(e)任意に苛性ソーダを除外すること;及び(f)任意に過酸化水素を除外すること、を含む組成物を提供する。
【0017】
1実施形態では、前記懸濁化剤は増粘剤である。
【0018】
他の実施形態では、前記増粘剤は:ガラクトマンナン;グアーガム;ローカストビーンガム;キサンタンガム;パラガム;セルロース誘導体;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;カラギーナン;アルギン酸塩;アルギン酸ナトリウム塩;アルギン酸カリウム塩;アルギン酸アンモニウム塩;及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる。
【0019】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約5%〜約70%の前記活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウムを含む。
【0020】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約47%の前記活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウムを含む。
【0021】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約0.05%〜約20%の前記懸濁化剤を含む。
【0022】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約0.4%の前記懸濁化剤を含む。
【0023】
他の実施形態では、前記組成物は油を含む。
【0024】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約2%〜約55%の前記油を含む。
【0025】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約30%の前記油を含む。
【0026】
他の実施形態では、前記油は脂肪酸を含む。
【0027】
他の実施形態では、前記油は油及び水の乳化物を形成するために用いられる。
【0028】
他の実施形態では、前記組成物は約0.5%〜約20%の前記乳化剤を含む。
【0029】
他の実施形態では、前記組成物は約3%の前記乳化剤を含む。
【0030】
他の実施形態では、前記乳化剤は界面活性剤である。
【0031】
他の実施形態では、前記脂肪酸はトールオイル脂肪酸を含む。
【0032】
他の実施形態では、前記乳化剤は:ソルビトール誘導体;ポリソルベート80;ソルビタンラウリン酸モノエステル;ポリソルベート20;エトキシ化アルコール;ラウレス硫酸ナトリウム;ポリエチレングリコール;硫酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウム;及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる。
【0033】
他の実施形態では、前記組成物は:(a)活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウム;(b)キサンタンガム;(c)トールオイル脂肪酸;(d)ラウリル硫酸ナトリウム;及び(e)水を含む。
【0034】
更なる実施形態では、前記組成物は約47%の前記活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウム;約0.395%のキサンタンガム;約30%のトールオイル脂肪酸;及び約3%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0035】
他の実施形態では、前記組成物は苛性ソーダを除外し、任意に松脂を含み、前記組成物中の松脂の含有率は、前記脂肪酸の重量に基づき0%を超える値〜約30%である。
【0036】
これらの組成物は、セルロース誘導体を含む物質/基材からインクを除去する方法において適用され得る。次章において、これらの適用のさまざまな実施形態が議論される。
【0037】
C.方法
上述したように、本発明は更に:(a)物質に:(1)活性化水酸化マグネシウム、(2)水、(3)任意に前記活性化水酸化マグネシウムのための懸濁化剤、及び(4)任意に乳化剤;を含む組成物を添加すること;(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダの添加を除外すること;及び(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素の添加を除外すること、を含むセルロース誘導体を含む物質からのインクの除去方法も提供する。
【0038】
本発明は更に:(a)物質に:(1)水酸化マグネシウム、(2)前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤、(3)水、及び(4)任意に乳化剤;を含む組成物を添加すること;(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダの添加を除外すること;及び(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素の添加を除外すること、を含むセルロース誘導体を含む物質からのインクの除去方法も提供する。
【0039】
脱インク処理過程の性能は、さまざまな方式において測定され得る。典型的には、輝度(B)、白色度(L)、赤/緑色バランス(a)及び黄/青色バランス(b*)などの光学的性質が、脱インクされた繊維から形成されるシートについて測定される。光学的性質に加えて、インクの染みの計数が脱インク剤の効率の評価に用いられる。残余のインクは、染み/単位面積、一定区域がインクにより覆われる百分率、又は通常はppmにより表される、有効残インク濃度(ERIC)の単位により表される。
【0040】
1実施形態では、前記セルロース性物質は、1回以上の浮選が受け入れられる限り再生利用過程の任意の場所に配置され得る。
【0041】
他の実施形態では、前記乳化剤はセルロース誘導体を含む物質に別個に添加される。
【0042】
他の実施形態では、前記懸濁化剤は増粘剤である。
【0043】
他の実施形態では、前記増粘剤は:ガラクトマンナン;グアーガム;ローカストビーンガム;キサンタンガム;パラガム;セルロース誘導体;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;カラギーナン;アルギン酸塩;アルギン酸ナトリウム塩;アルギン酸カリウム塩;アルギン酸アンモニウム塩;及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる。
【0044】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約5%〜約70%の前記活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウムを含む。
【0045】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約47%の前記活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウムを含む。
【0046】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき0.05%〜約20%の前記懸濁化剤を含む。
【0047】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約0.4%の前記懸濁化剤を含む。
【0048】
他の実施形態では、前記組成物は更に油を含む。
【0049】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約2%〜約55%の前記油を含む。
【0050】
他の実施形態では、前記組成物は前記組成物の重量に基づき約30%の前記油を含む。
【0051】
他の実施形態では、前記組成物は約0.5%〜約20%の前記乳化剤を含む。
【0052】
他の実施形態では、前記組成物は約3%の前記乳化剤を含む。
【0053】
他の実施形態では、前記油は脂肪酸を含む。
【0054】
他の実施形態では、前記油は油及び水の乳化物を形成するために用いられる。
【0055】
他の実施形態では、前記乳化剤は界面活性剤である。
【0056】
他の実施形態では、前記脂肪酸はトールオイル脂肪酸を含む。
【0057】
他の実施形態では、前記乳化剤は:ソルビトール誘導体;ポリソルベート80;ソルビタンラウリン酸モノエステル;ポリソルベート20;エトキシ化アルコール;ラウレス硫酸ナトリウム;ポリエチレングリコール;硫酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウム;及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる。
【0058】
他の実施形態では、前記組成物は苛性ソーダを除外する。
【0059】
他の実施形態では、前記組成物は更に松脂を含み、任意に前記組成物中の松脂の含有率は前記脂肪酸の重量に基づき、0%を超える値〜約30%である。
【0060】
他の実施形態では、セルロース誘導体を含む物質からインクを除去する方法は:(a)物質に:(1)活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウム、(2)キサンタンガム、(3)トールオイル脂肪酸、(4)ラウリル硫酸ナトリウム、及び(5)水;を含む組成物を添加すること;(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダの添加を除外すること;及び(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素の添加を除外すること、を含む。
【0061】
更なる実施形態では、前記組成物は約47%の前記活性化水酸化マグネシウム/水酸化マグネシウム;約0.395%のキサンタンガム;約30%のトールオイル脂肪酸;及び約3%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0062】
本発明の方法論は、脱インクが所望されるときに、紙の再生利用処理過程において適用されることができる。
【0063】
1実施形態では、前記組成物は、紙の再生利用処理過程において以下の少なくとも1つの配置において加えられる:パルパー;希釈段階;浮選セル濃縮段階;及び混練機。
【0064】
他の実施形態では、前記組成物は、紙の再生利用処理過程のパルパーの段階で添加される。
【0065】
他の実施形態では、前記組成物は、紙の再生利用処理過程の希釈段階で添加される。
【0066】
他の実施形態では、前記組成物は紙の再生利用処理過程の濃縮段階で添加される。
【0067】
他の実施形態では、前記組成物は紙の再生利用処理過程の浮選セルにおいて添加される。
【0068】
他の実施形態では、前記組成物は紙の再生利用処理過程の混練機において添加される。
【0069】
他の実施形態では、前記物質は1つ以上の紙繊維を含む。
【0070】
他の実施形態では、前記紙繊維は紙の再生利用処理過程における二次繊維である。
【0071】
以下の実施例は本発明を制限することを意図していない。
【実施例】
【0072】
低下されたアルカリ性条件下での二次繊維からのインク除去用の製剤は、脱イオン(「DI」)水と2.0重量%のキサンタンガムのサンプルを穏やかに撹拌することにより濃縮することにより最良に実現され得る。ポリソルベート80及びポリソルベート20の50/50混合物を2.5重量%で混合界面活性剤として前記キサンタンガムに添加することにより、5.15重量%のトールオイル脂肪酸を乳化させて前記溶液に混合することが可能になる。混合する間に、1ミクロンの粒子サイズを有する水酸化マグネシウム微粒子が前記乳化物に5.15重量%の濃度で添加された。ポンプにより移送可能な流体粘度を保ちながら安定な製剤を実現するために、前記製剤中の合計固体量は15%の範囲とされるが、より高い固体百分率に増加することもできる。
【0073】
例えば0.4gのキサンタンガムが粉末の溶解を支援するために穏やかに撹拌されながら20mLのDI水に加えられた。0.25gのポリソルベート20及び0.25gのポリソルベート80が前記キサンタンガム溶液に加えられた。1.2gのTOFAが1.2gの水酸化マグネシウムと共に加えられ、穏やかな撹拌により乳化され、活性化水酸化マグネシウム及びTOFAの安定な乳化スラリーが生成された。調製されたサンプルは120gの二次繊維からインクを除去するために適していた。
【0074】
この脱インク処理は再生紙処理過程において、シートが繊維に崩壊する、昇温条件下(約35〜60℃)、高い繊維稠度において、二次繊維に加えられることができる。より高い輝度を持つシートの製造を支援するために、開示された製剤が添加されると、過酸化物が再生紙に添加される。伝統的に、再生紙に対して過酸化水素は0.6:1の苛性物対過酸化水素の比率で苛性脱インク剤中に含まれて加えられる。苛性物(水酸化ナトリウム)を水酸化マグネシウムで置き換えることが所与のときに、この置換比率は1.0:0.73NaOH:Mg(OH)であり、過酸化水素は、2.28:1.0の過酸化水素対活性化水酸化マグネシウムの比率で加えられる。
【0075】
再パルプ化が完結すると、分解された二次繊維は希釈され、及び浮選セルに配置され、そこにおいて、撹拌機及びセルの底部から上部まで通過する気泡を用いて離脱されたインクが繊維から分離され、除去されたインク微粒子は収集される。このことにより、インクを運ぶ泡が形成され、この泡は浮選セルの上部から除去される。典型的な浮選温度は約35〜60℃の範囲である。浮選段階が完結すると、前記脱インクされた繊維は収集され並びに残余のインク及び光学的測定が行われる。
【0076】
測定方法:
この試験のために、パルプ製紙業界技術協会(TAPPI)の方法T218に従い調製された手抄紙(handsheet)について、脱インク化繊維の光学的性質がTechnidyne Colortouch2を用いて測定された。サンプル調製の影響を低下させるために、インク染みの計数は、光学的特性のためにPAPRICAN Ink Scannerを用いて、同一のシートについてOp−Testにより遂行された。
【0077】
サンプルの結果:
図1に示すように、脱インク化された繊維から生成された手抄紙(handsheet)について脱インク処理過程の後に残存する残余のインクを計数した。他の製剤及び従来の苛性脱インクを基準として比較した場合に、活性化水酸化マグネシウム及び乳化されたTOFA製剤の有効性は明白である。
【0078】
図2に示すように、脱インク化された繊維から生成された手抄紙についてISO白色度が測定された。そのデータは本開示の脱インク製剤が、従来の苛性脱インク処理を、輝度獲得の点においてしのぐ能力があることを示している。
【0079】
図3に示すように、脱インク化された繊維から生成された手抄紙について測定された黄色度では、本開示の製剤はわずかに高いが、本発明の製剤がインク除去及び他の光学的特性において有する利益を見劣りさせるほどのものではない。
【0080】
図4に示すように、実験的な製剤により脱インク化された繊維から生成された手抄紙について繊維の白色度が測定された。前記輝度測定において観察された傾向と同様に、提示される本発明は、従来の苛性脱インク処理を性能においてしのいでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって:
a.活性化水酸化マグネシウム;
b.任意に前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;
c.水;
d.任意に乳化剤;
e.任意に苛性ソーダを除外すること;及び
f.任意に過酸化水素を除外すること、
を含む組成物。
【請求項2】
前記懸濁化剤がガラクトマンナン;グアーガム;ローカストビーンガム;キサンタンガム;パラガム;セルロース誘導体;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;カラギーナン;アルギン酸塩;アルギン酸ナトリウム塩;アルギン酸カリウム塩;アルギン酸アンモニウム塩;及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる増粘剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が前記組成物の重量に基づき約5%〜約70%の前記活性化水酸化マグネシウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が前記組成物の重量に基づき約0.05%〜約20%の前記懸濁化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
任意に前記組成物の重量に基づき約2%〜約55%の油を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が約0.5%〜約20%の前記乳化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記油が脂肪酸、任意に更に松脂を含み、任意に前記組成物中の前記松脂の含有率は前記脂肪酸の重量に基づき、0%を超える値〜約30%である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記油が油及び水の乳化物を形成するために使用される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記乳化剤が界面活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪酸がトールオイル脂肪酸を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記乳化剤が:ソルビトール誘導体;ポリソルベート80;ソルビタンラウリン酸モノエステル;ポリソルベート20;エトキシ化アルコール;ラウレス硫酸ナトリウム;ポリエチレングリコール;硫酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウム;及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
a.活性化水酸化マグネシウム;b.キサンタンガム;c.トールオイル脂肪酸;d.ラウリル硫酸ナトリウム;及びe.水を含む組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約47%の前記活性化水酸化マグネシウム;約0.395%のキサンタンガム;約30%のトールオイル脂肪酸;及び約3%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
セルロース誘導体を含む物質からインクを除去する方法であって:
(a)物質に:(1)活性化水酸化マグネシウム、(2)任意に前記活性化水酸化マグネシウムのための懸濁化剤、(3)任意に乳化剤、及び(4)水;を含む組成物を添加すること;
(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダの添加を除外すること;及び
(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素の添加を除外すること、
を含む方法。
【請求項15】
前記セルロース性物質が再生利用処理過程の、1つ以上の浮選を受けられる処理過程に配置される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が紙の再生利用処理過程において少なくとも以下の1つの配置において添加される請求項14に記載の方法:パルパー;希釈段階;浮選セル濃縮段階;及び混練機。
【請求項17】
セルロース誘導体を含む物質からインクを除去する方法であって:
(a)物質に:(1)活性化水酸化マグネシウム、(2)キサンタンガム、(3)トールオイル脂肪酸、(4)ラウリル硫酸ナトリウム、及び(5)水;を含む組成物を添加すること;
(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダを添加することを除外すること;及び
(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素を添加することを除外すること、を含む方法。
【請求項18】
前記組成物が約47%の前記活性化水酸化マグネシウム;約0.395%のキサンタンガム;約30%のトールオイル脂肪酸;及び約3%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
a.水酸化マグネシウム;
b.前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤;
c.水;
d.任意に乳化剤;
e.任意に苛性ソーダを除外すること;及び
f.任意に過酸化水素を除外すること、
を含む組成物。
【請求項20】
セルロース誘導体を含む物質からインクを除去する方法であって:
(a)物質に:(1)水酸化マグネシウム、(2)前記水酸化マグネシウムのための懸濁化剤、(3)水、及び(4)任意に乳化剤;を含む組成物を添加すること;
(b)セルロース誘導体を含む物質に、任意に苛性ソーダを添加することを除外すること;及び
(c)セルロース誘導体を含む物質に、任意に過酸化水素を添加することを除外すること、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−527733(P2011−527733A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517620(P2011−517620)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050095
【国際公開番号】WO2010/006163
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】