水電解および他の電気化学技術のための組成物、電極、方法、およびシステム
水電解および他の電気化学的技術のための組成物、電極、システム、および/または方法が提供される。ある場合には、該組成物、電極、システム、および/または方法は、エネルギー貯蔵、特にエネルギー変換の領域において、および/または酸素、水素、および/または酸素含有種および/または水素含有種の生成のために使用できる電解のためである。いくつかの態様において、電解のための水は、電極の性能にほとんどまたは実質的な影響を有さない少なくとも1種の不純物および/または少なくとも1種の添加物を含む。いくつかの態様において、モリブデン、亜鉛、およびニッケルの具体的組成物が提供されこれらは(例えば、水素ガスを酸化および/または生成するための)触媒材料として使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年8月27日出願のEssweinらの発明の名称”Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/237、507号明細書、2009年12月4日出願のReeceらの名称”Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/266、826号明細書、2009年12月11日出願のEssweinらの名称”Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/285、844号明細書、2010年3月3日出願のReeceらの名称”Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/310、084号明細書、および2010年7月16日出願のReeceらの名称”Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques、”の米国仮特許出願第61/365、102号明細書(それぞれ参照により本明細書中に 取り込まれる。)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、水電解および他の電気化学的技術のための組成物、電極、方法、およびシステムに関する。ある場合には、本発明は、水素の生成または酸化に関する。
【背景技術】
【0003】
水の電解、すなわち、水を酸素ガスおよび水素ガスに分離することは、酸素および/または水素ガスの生成だけでなく、エネルギー貯蔵においても非常に重要なプロセスである。水を水素ガスおよび酸素ガスに分離することで、エネルギーが消費され、そして水素および酸素ガスが再化合して水を生成する場合、エネルギーが開放される。
【0004】
電解を介してエネルギーを貯蔵するために、O2およびH2への結合を再配置する「水分離」反応を媒介する材料が必要である。O2/H2OおよびH2O/H2半反応の標準還元電位は、式(1)および式(2)によって与えられる。
【0005】
【数1】
【0006】
この変換に効率的な材料として、この材料は、それぞれの半反応の熱力学的電位に近い電位で作用することが好ましく、この熱力学的電位は、式(1)および式(2)中の半電池電位、E°によって規定される。所与の活性を達成するのに必要であるE°に追加された電圧は、過電圧と呼ばれ、変換効率を制約し、そしてこれらの反応における過電圧を低下させるために多くの研究者により相当な努力が費やされてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水素は、炭素のないエネルギー貯蔵媒体として多くの利点を示し、すべての化学燃料の質量で、最も高いエネルギー密度を有し、そして水素は、再生可能エネルギーにより駆動された水の電解を介して持続可能な様式で容易に生成できる。しかし、水の電解による水素の概念的に簡素な生成にもかかわらず、水の電解に関連するエネルギー効率および資本コストにより、限定された商業的用途となっている。したがって多くの試みが、水素の電解生成の改善に向けられてきた。特に、水素の生成に使用される多くの電極は、添加物および/または不純物を含む水から水素ガスを生成させるためには、不安定および/または非効率である。
【0008】
したがって、改善された方法、システム、および電極が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの態様において、本組成物は、約0.1wt%〜約90wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約90wt%の間の量の亜鉛、および約0.1wt%〜約90wt%の間の量のニッケルを含むように提供される。
【0010】
いくつかの態様において、水素ガスを酸化、および/または水素ガスを生成できる触媒材料が提供され、この触媒材料は、ニッケル、モリブデン、および亜鉛を含む。
【0011】
いくつかの態様において、コバルトイオンおよび/またはニッケルイオンを含む第1の電極、ならびにリンおよび/またはホウ素を含むアニオン性種、ニッケルおよびモリブデンを含む第2の電極を含む、水素および/または酸素ガスを生成できるシステムが提供される。
【0012】
いくつかの態様において、アニオン性種の存在下で、水素ガスを生成できる電極が提供され、この電極は、水素ガスを生成できるように選択された第1の種類の金属、アニオン性種と103未満の結合定数(an association constant)を有するように選択された第2の種類の金属、および触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属を含む触媒材料を含み、このアニオン性種は、酸化物または水酸化物ではない。
【0013】
いくつかの態様において、水素ガスを酸化できる電極が提供され、電極は、水素ガスを酸化できるように選択された第1の種類の金属、第2の種類の金属、および触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属を含む触媒材料を含む。
【0014】
いくつかの態様において、水素および/または酸素ガスを生成できるシステムが提供され、このシステムは、水から水素の生成を触媒できるように選択された第1の種類の金属、第2の種類の金属、および触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属を含む触媒材料、ならびに光活性組成物を含む。
【0015】
いくつかの態様において、水素ガスを生成する方法が提供され、この方法は少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程を含み、そして水のpHは約6〜約10であり、そして水素ガスの生成を生じ、そして少なくとも約1mA/cm2の電流密度において約0.3V未満の過電圧の絶対値で水素が生成される。
【0016】
いくつかの態様において、水素ガスを生成する方法が提供され、この方法は、少なくとも0.1Mの濃度の少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程を含み、ここで水のpHは約6〜約10であり、そして水素ガスの生成を生じ、ここで、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面と伴に考慮される場合、本発明の他の形態、態様、および特徴は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。添付の図は具体的に説明し、そして縮小されることを意図しない。明確さの目的のために、すべての図において必ずしもすべての構成部分にラベルが付いておらず、また具体的な説明は、本発明を当業者が理解できるために必要でなく、本発明のそれぞれの態様のすべての構成部分が示されているわけではない。参照により本明細書中に取り込まれたすべての特許出願および特許は、参照によりそれらの全てを取り込む。矛盾がある場合、定義を含む本明細書による。
【0018】
【図1】図1は、電解装置の非限定の例を示す。
【図2】図2は、本発明の電気化学装置の非限定の例を示す。
【図3】図3は、ガス状態の水を用いる電解装置の非限定の例を具体的に示す。
【図4A】図4Aは、−200mVの過電圧で、A)1.0M KPiを含む水中における、白金電極およびNiMo合金含有電極のバルク電解を示す。
【図4B】図4Bは、−200mVの過電圧で、B)1.0M KBiを含む水中における、白金電極およびNiMo合金含有電極のバルク電解を示す。
【図5A】図5Aは、A)1.0M KPiを含む水中におけるバルク電解前および後の、NiMo合金含有電極のTafelプロットを示す。
【図5B】図5Aは、B)1。0M KBiを含む水中におけるバルク電解前および後の、NiMo合金含有電極のTafelプロットを示す。
【図6A】図6Aは、(A)1M KBi、pH9.2電解質における新たに調製されたPt、NiMo、NiFeZn、およびNiMoCd水素発生触媒のTafelプロットを示す。
【図6B】図6Bは、(B)1M KPi、pH7電解質における新たに調製されたPt、NiMo、NiFeZn、およびNiMoCd水素発生触媒のTafelプロットを示す。
【図7A】図7Aは、(A)1M KPi、pH7の電解質におけるPt、Ni、NiMo、NiFeZnおよびNiMoCdのバルク電解プロットを示す。
【図7B】図7Bは、(B)1M KBi、pH9.2の電解質におけるPt、Ni、NiMo、NiFeZnおよびNiMoCdのバルク電解プロットを示す。
【図8A】図8Aは、1M KPi、pH7の電解質におけるNi発泡体カソード上NiMoCdの稼働での時間に対する過電圧のプロットを示す。
【図8B】図8Bは、1M KBiおよび1M KPiの電解質におけるNiフォームカソード上NiMoCdのTafelプロットを示す。
【図8C】図8Cは、1M KBi、pH9.2電解質におけるNiフォームカソード上NiMoCdの稼働での時間に対する過電圧のプロットを示す。
【図9】図9は、非限定の態様によるチャールズ川の水中で稼働した電極での、時間に対する電流密度のプロットを示す。
【図10】図10は、Ni発泡体上に位置するNiMo合金電極のSEM(左)、および0.1M KPi(pH7)におけるPt箔(●)、Ni箔(□)、およびNi箔上NiMoFe(▼)のTafelプロット(右)を示す。
【図11A】図11Aは、1.0M KOH、1.0M KPi、および1。0M KBi電解質中で稼働した場合のNiMoZn水素発生カソードのTafelプロットを示す。
【図11B】図11Bは、NiMoZn、NiMoCd、およびPtのバルク電解を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、組成物、電極、システム、および水の電解のための方法および他の電気化学的技術に関する。ある場合には、本発明は、水素および/または酸素ガスの生成および/または水素の酸化に関する。本発明の一つの形態は、典型的には水素発生または水素酸化に使用される、触媒材料を含み、ここで触媒材料は、この目的のために選択された2種、または3種以上の金属を含む。本発明は、低い絶対値の過電圧、高電流密度、大幅な効率、安定性、またはこれら任意の組み合わせにおいて、改善された活性で稼働できるシステムを提供する。本発明のシステムはまた、非常に純粋な水の供給を必ずしも必要とせずに、中性pHにおいてまたは中性のpH近辺で稼働できる。本発明の種々の形態の組み合わせは、著しく改善されたエネルギーの貯蔵、エネルギーの使用、および任意選択的に水素および/または酸素ガスの市販用の生産において有用である。本発明の主題は、ある場合には、相互に関連した製品、特別な問題への代わりの解決、および/または1種または2種以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を含む。
【0020】
本明細書中に記載された組成物、電極、システム、および方法は、主として、水電解(すなわち、水からの、酸素ガス、水素ガス、および/または他の生成物)の生成、および/または水素の酸化(例えば、水素ガス)に関連するが、本発明は、そのように限定されない。本発明は、第1の電極および/または第2の電極(その一方または両方が触媒材料を含むことができる)を含み、第1の電極における水の電解を介した酸素ガスの生成があり、そして/または第2の電極における酸素ガスの生成があることを含んで記載され、当然のことながら、第1の電極は、任意の種、水またはそれ以外の酸化を促進でき、酸素ガスまたは別の酸化された生成物を生成できる。これに関連して酸化されることができる反応物の例は、メタノール、ギ酸、アンモニア等を含むことができる。酸化された生成物の例は、CO2、N2等を含むことができる。第2の電極において、反応は、水(または水素イオン)が還元されて水素ガスを生成するように促進されることができるが、当然のことながら、水に限定されない種々の反応物(例えば、酢酸、リン酸等)は、還元されて、水素ガスおよび任意の数の還元反応の生成物(例えば、酢酸塩、リン酸塩等)を生成できる。第2の電極におけるこの反応は、「燃料電池」の稼働において逆転して行わせることができ、水素ガス(および/または上記の他の例示的な製品)が酸化されて、水(および/または上記の他の例示的な反応物)を生成できる。ある場合には、組成物、電極、方法、および/またはシステムは、水素ガスを還元するために使用できる。ある場合には、組成物、電極、方法、および/またはシステムは、光電気化学電池と関連して使用できる。当然のことながら、本明細書中の用途の多くは、水からの水素および/または酸素ガスの生成に焦点を置くが、これは、決して限定せず、そして本明細書中に記載された組成物、電極、方法、および/またはシステムは、本明細書中に記載されたような他の目的のために使用できる。本発明により提供された電気化学装置の非限定の例は、電解装置および燃料電池を含む。エネルギーは、光電池、風力発電、または他のエネルギー源によって電解装置に適用できる。これらのおよび他の機器が本明細書中に記載されている。ある場合には、本明細書中に記載された触媒材料および組成物は、本明細書中に記載されたような光活性材料と関連して使用できる。
【0021】
本明細書中に記載されているのは、いくつかの態様において、水等の供給元から、水素ガス、酸素ガス、または別の種を「生成させる」ために使用される触媒、電極、システム、およびその同類のものである。当然のことながら、これは触媒される反応が、供給源から生成物へと直接反応であることができること、または触媒が反応物から生成物への反応を触媒することによってそうした反応を促進でき、この反応物が供給元に由来するが、供給元ではないことを意味する。例えば、水から水素ガスを「生成させること」は、塩基性条件下の水における一つの例として、水素ガスを生成する水の反応、および酸性条件下での水のもう一つの例として、水素ガスを生成する(究極的には供給元、水からの)水素イオンの反応を含む。
【0022】
本明細書中の電解のための水の使用のすべての記載において、当然のことながら、水を、液体状態および/またはガス状態で提供できる。使用される水は、比較的純粋であることができるが、純粋である必要はなく、そして本発明の1つの利点は、比較的純粋でない水を使用できることである。提供された水は、本明細書中に記載されたように、例えば、少なくとも1種の不純物(例えば、クロライドイオン等のハロゲン化物イオン)および/または少なくとも1種の添加物(例えば、アニオン性種)を含むことができる。少なくとも1種の不純物および/または少なくとも1種の添加物の存在は、本明細書中に記載されたような電極の性能にほとんどまたは全く実質的な影響を有さないことができる。いくつかの態様において、水の供給元のpHは、ほぼ中性であることができる。
【0023】
いくつかの態様において、本発明の電極は、触媒材料を含む。ある場合には、触媒材料は、電流コレクタと関連する。複数の金属元素および分子触媒を含む触媒材料を含む種々の触媒材料が本明細書中に記載されている。
【0024】
いくつかの態様において、触媒材料は、複数の金属元素(例えば、2種、3種、4種、5種以上の金属元素)を含む。例えば、触媒材料は、合金であることができる。用語「合金」は、本明細書中で使用される場合、技術的に所与のその通常の意味を有し、そして2種または3種以上の金属、または任意の金属のそれ自体と異なる物理的特性を有する半金属を含む組成物をいう。混合物中に存在する金属または半金属の数によって、合金は、二成分、三成分、四成分等であることができる。合金は、混合結晶、固溶体、または化合物を形成できる。合金は、単相の固溶体、化学量論的化合物、またはそれぞれの相が固溶体または化学量論的化合物であることができる2種または3種以上の相からなることができる。合金は、全体にわたって同じ組成を有することができ、同じ組成でないことができる。全触媒材料中に、例えば、材料中に欠陥が存在でき、そして/または合金成分の1つまたは2つ以上のより高濃度のまたはより低濃度の領域が存在できる。その用語が本明細書中で使用されるように合金のもう一つの例は、1種の金属の(例えば、マイクロまたはナノスケールの)小さい領域が、別の金属で、および/または第1の金属の隙間を部分的にまたは充分に満たす別の金属で被覆されて提供されることができる。合金のもう一つの例は、金属の混合物を含み、この混合物は、分子スケールでは均質ではないが、マイクロまたはナノ寸法の単一の金属の個々の領域を有する異なる金属の混合した相を含むことができる。しかし合金は、例えば、多層化構造を規定する一連の薄層の金属とは区別される。この合金は、中性または帯電していることができる。「金属」または「種類の金属」または「金属元素」が本明細書中で使用される場合、当然のことながら、半金属は、金属の目的を果たすために使用でき、半金属は、本発明の目的に好適である。
【0025】
いくつかの態様において、触媒材料は、本明細書中に記載されたような本発明の種々の形態および態様の目的に合う組成物を含むことができる。本開示の指針に基づいて、当業者は、好適な組成物を選択でき、そして過度の実験なしに、本発明にしたがってそれらの潜在的な使用のために効率的それらを試験できる。いくつかの態様において、組成物(例えば、合金)は、ニッケルを含む。組成物の非限定の態様は、二成分合金(例えば、NiMo、NiFe、NiSn、NiS、NiZn、NiP、NiW、NiCu、NiCo、NiAl、CoP、CoMo、NiTi等)、三成分合金(例えば、NiMoX(式中、XはFe、Cu、Zn、Co、W、Cr、Cd、V、Ti、またはその同類のもの等の金属である)、NiCoP、NiFeP、NiFeZn、NiCoZn、NiCuFe、NiCuMo、LaNiSi等)、または四成分合金(例えば、NiCoMnAl等)を含む。金属、半金属、および/または他の元素または化合物の全原子%が、合計で約100%を示すように、組成物中でのそれぞれの金属または半金属は、0.001〜99.999%の間の原子%で存在できる。組成物のそれぞれの金属または半金属構成部分の量は、組成物中で変化できる。例えば、組成物を生成する前に異なる量のそれぞれの出発材料を提供することによって、これは当業者に公知の技術を使用して達成されることができる。特定の態様では、触媒材料は、ニッケルおよびモリブデンを含むか、またはニッケルおよびモリブデンからなる。
【0026】
特定の態様では、モリブデン、ニッケル、および亜鉛を含む組成物が提供される。ある場合には、モリブデン、ニッケル、および亜鉛を含む組成物は、(例えば、本明細書中に記載されたこの方法およびシステムを使用して)水素ガスを生成することおよび/または水素ガスを酸化することができる。
【0027】
ある場合には、この組成物は、(例えば、組成物の全質量に対して)約0.1wt%〜約90wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約90wt%の間の量の亜鉛、約0.1%〜約90%のニッケルを含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約25wt%の間の量の亜鉛、および残余のニッケル(例えば、約25wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約10wt%の間の量の亜鉛、および残りのニッケル(例えば、約40wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約5wt%の間の量の亜鉛、および残りのニッケル(例えば、約45wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約1wt%の間の量の亜鉛、および残りのニッケル(例えば、約49wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、亜鉛は、約90wt%、約80wt%、約70wt%、約60wt%、約50wt%、約40wt%、約30wt%、約25wt%、約20wt%、約10wt%、または約5wt%以下の量で存在できる。ある場合には、ニッケルまたはモリブデンは、約90wt%、約80wt%、約70wt%、約60wt%、約50wt%、約40wt%、約30wt%、約25wt%、約20wt%、約10wt%、または約5wt%以下の量で存在できる。特定の態様では、亜鉛は、約25wt%以下の量で存在する。ある場合には、この組成物は、約50wt%、約40wt%、約30wt%、約20wt%、約10wt%、約5wt%以下の量までの少なくとも1種の第4の種類の金属をさらに含む。ある場合には、この組成物は、(例えば、電着を介して、バインダーを使用してなどで)電極と関連できる。
【0028】
金属または金属酸化物構成部分に加えて、この組成物はまた、電極を調製するために利用される特別な方法によりさらなる元素または化合物を含むことができる。そうしたさらなる材料は、組成物の全質量に基づいて約50%の量で存在できる。
【0029】
本発明の一つの形態は、電極中に含まれる(例えば、第1の種類の金属、第2の種類の金属、および/または第3の種類の金属を含む)触媒材料が、電極の効率、安定性、および/または稼働に本質的に全くまたはほとんど影響せずに、そうでなければ、電極の稼働および/または安定性に著しく影響することが予期されるであろう、アニオン性種の存在下で電極を稼働できるように調製でき、一方(例えば、触媒材料を含む)多くの電極は、不安定であり、そして/またはアニオン性種の存在下で効率的に稼働されないという発見を含む。具体的な実施形態において、触媒材料を含む電極は、電気化学反応(例えば、水の電解)と関連した水素ガスを触媒的に生成するために、および電気化学反応を促進するアニオン性種を含む電解質を用いた使用のために使用できる。ある場合には、アニオン性種は、対電極(例えば、水の電解を介して酸素ガスが生成される電極)と関連した触媒材料の生成、稼働、および/または安定性を助ける。したがって、一組の態様において、触媒材料は、少なくとも第1の種類の金属、第2の種類の金属、および第3の種類の金属を含むように選択され、ここで第2の種類の金属はアニオン性種の存在と関連した何らかの逆効果を緩和または除くように選択され、稼働のある条件下で、多くの公知の電極と比較して、触媒材料を含む電極は、高められた効率、安定性、および/または出力となる。
【0030】
第1の、第2の、および第3の種類の金属は、それぞれ、1種または2種以上の金属元素を含むことができる。例えば、第1の種類の金属は、1種の金属元素、2種の金属元素、3種の金属元素、4種の金属元素、またはそれ以上を含むことができる。第1の、第2の、および第3の種類の金属を含む触媒材料は、少なくとも3種の金属元素を含むか、または3種超の金属元素(例えば、4種の、5種の、6種の、7種の、またはそれ以上の金属元素)を含むことができる。具体例として、一態様では、第1の種類の金属は2種の金属元素を含み、第2の種類の金属は1種の金属元素を含む、そして第3の種類の金属は1種の金属元素を含む。したがって、この態様における触媒材料は、4種の金属元素を含む。任意選択的に、そうした使用のために提案されたこれらの金属または金属の種類が存在する限り、本発明の特定の態様のために提案された金属または金属の種類の目的の役に立たないが、他の金属または他の種類の金属が、触媒材料中に含まれることができ、または触媒材料と伴に使用されることができる。
【0031】
第1の、第2の、および第3の種類の金属の選択をここで詳細に記載する。いくつかの態様において、第1の種類の金属は、(例えば、プロトンおよび電子からの)水素ガスの生成および/または(例えば、水素ガスからプロトンおよび電子を生成する)水素ガスの酸化を触媒できるように選択できる。第2の種類の金属は、電極上のアニオン性種を含む材料の堆積を防ぐように選択できる。例えば、第2の種類の金属は、アニオン性種と約1×10−3M−1未満、約1×10−2M−1未満、約1×10−1M−1未満、約1M−1未満、約10M−1未満、約1×102M’1未満、約1×103M−1未満、約1×104M−1未満、約1×105M’1未満等、の結合定数を有することができる。第3の種類の金属は、(例えば、本明細書中に記載されたように)触媒材料の表面積を増加させるように選択できる。
【0032】
第1の種類の金属での使用に好適な金属元素は、(例えば、水から)水素ガスを生成でき、そして/または水素ガスの酸化(または本明細書中に記載されたような他の酸化反応)のための、金属元素である。当業者は、選択された金属反応を行うことができる金属元素に気付くであろう。水素ガスの生成および/または水素ガスの酸化のための第1の種類の金属として使用されるのに好適な金属元素の非限定の例は、Ni、Co、Fe、Cu、Mo、W、Rh、Ru、Os、Ir、Pt、Pdを含む。電気化学反応が水の電解以外の反応である態様において、第1の種類の金属は、電解を介して反応から生成物の生成を触媒できる。
【0033】
しかし、ある場合には、第2の種類の金属元素が電気化学反応と関連して使用されるアニオン性種で、約1×10−3M−1未満、約1×10−2M−1未満、1×約10−1M−1未満、約1M−1未満、約10M−1未満、約1×102M−1未満、約1×103M−1未満、約1×104M−1未満、約1×105M−1未満等の結合定数を有するように、第2の種類の金属としての使用のために好適な金属元素を選択できる。ある場合には、アニオン性種は、対電極と関連する触媒材料の生成、安定性、および/または稼働を助けるように存在する。触媒材料は、対電極において、電気化学反応の一部分、例えば、触媒の酸素生成を助けることができる。ある場合には、対電極は、電流コレクタおよび金属イオン性種およびアニオン性種を含む触媒材料を含む。例えば、Noceraらの2010年4月29日公開の米国特許出願公開第2010/0101955号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’; Noceraらの2010年6月2日公開の米国特許出願公開第2010/0133110号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials、 Photoanodes、 and Photoelectrochemical Cells For Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’;および/またはNoceraらの2010年6月2日公開の米国特許出願公開第2010/0133111号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials、 Photoanodes、 and Photoelectrochemical Cells For Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’(参照により本明細書中に取り込まれる)に記載された例えば水から酸素を生成させるために好適であることが示された触媒からのアニオン性種を、触媒材料が含むことができる。一組の態様において、このアニオン性種は、リンおよび/またはホウ素を含み、そしてこの金属アニオン性種は、コバルトイオンおよび/またはニッケルイオンを含む。
【0034】
当業者は、好適な第2の種類の金属と103M−1未満の結合定数を有するアニオン性種との組み合わせを知るであろう。一組の態様において、第2の種類の金属での使用に好適な金属元素は、電気化学反応と関連して使用され、そして電解質中で最も高い濃度であるアニオン性種と、1×10−3M−1未満、1×10−1M−1未満、1×102M−1未満、1×103M−1未満、1×105M−1未満等の結合定数を有する金属元素を含む。別の組の態様では、第2の種類の金属としての使用に好適な金属元素は、単独でまたは他のアニオン性種と伴に、電解質中に存在するすべてのアニオン性種の少なくとも約20%、または少なくとも約40%、または少なくとも約60%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%を規定する任意のアニオン性種とともに、103M−1未満の結合定数を有するものを含む。別の組の態様では、水酸化物イオンおよび/酸化物イオンは、「アニオン性種」の群から除外され、これに関連して第2の種類の金属の結合定数が測定された。アニオン性種は、少なくとも約0.05M、または少なくとも約0.1M、または少なくとも約0.2M、または少なくとも約0.3M、または少なくとも約0.4M、または少なくとも約0.5M、または少なくとも約0.6M、または少なくとも約0.7M、または少なくとも約0.8M、または少なくとも約0.9M、または少なくとも約1M、または少なくとも約1。5、または少なくとも約2M以上の濃度で提供されることができる。
【0035】
ある場合には、アニオン性種は、リン酸塩の形態、硫酸塩の形態、炭酸塩の形態、ヒ酸塩の形態、亜リン酸塩の形態、ケイ酸塩の形態、またはホウ酸塩の形態を含む群から選択される。特定の態様では、アニオン性種は、リンまたはホウ素を含む。リンを含むアニオン性種の非限定の例は、H3P04、H2P04−、HP04−2、P04−3、H3P03、H2P03−、HP03−2、P03−3、R1PO(OH)2、R1P02(OH)−、R1P03−2、またはその同類のもの(式中、R1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、またはヘテロアリールであって、すべて任意選択的に置換されている)を含む。特定の態様では、アニオン性種は、HP04−2である。リン酸塩と低い結合定数を有する金属元素の非限定の例は、Zn、Cd、Sn、In、Pb、Sb、Te、およびBiを含む。
【0036】
ある場合には、アニオン性種は、ポリアニオンであることができる。用語ポリアニオンは所与のその通常の技術的意味であり、そして1超の部位で1超の負の帯電を有するアニオン分子または化学的錯体をいう。
【0037】
ある場合には、第2の種類の金属を、当業者に知られているような、ハード(hard)/ソフト(soft)化学の知識の知識に基づいて選択できる。ある場合には、第2の種類の金属は、ハードな金属元素を含むことができ、そしてアニオン性種は、ソフトなアニオンであることができ、または第2の種類の金属は、ソフトな金属元素を含むことができ、そしてアニオン性種は、ハードなアニオンであることができる。通常、当業者に理解されているように、ハードなイオン/原子は、より小さくかつ比較的非分極性であり、そしてソフトなイオン/原子は、より大きくかつさらに分極性である。ハードな金属元素/ソフトなアニオン性種またはソフトな金属元素/ハードアニオン性種の間の相互作用は、ハードな金属元素/ハードなアニオン性種またはソフトな金属元素/ソフトなアニオン性種の間の相互作用より通常弱い。したがって、ソフト/ハードの化学は、弱く相互作用することができる金属元素/アニオン種の組み合わせを認識するために、当業者により使用されることができ、したがって、通常、より低い結合定数を有する。ある場合には、相互作用は、酸化状態であって、かつ基底状態でない金属(例えば、(M)n+、(式中、nは1、2、3、4等である)に基づいて決定できる。ソフト金属元素の非限定の例は、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、およびPtを含む。ハード金属元素の非限定の例は、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Al、およびCrを含む。ソフトなアニオン性種の非限定の例は、Se−2、S−2およびCN−を含む。ハードアニオン性種の非限定の例は、OR−、CO3−、CO3−2、NO3−、NO2−、ClO4−2、B(OH)4−、B4O7−2、SO4−2、H2PO4−、HPO4−2PO4−3、およびOH−を含む。
【0038】
当然のことながら、多くの態様におけるように、本発明の触媒材料は、本明細書中に記載されたような特別なアニオン性種と低い結合定数を提供するように機能する第2の種類の金属を含む、これは決して限定するものではなく、そしてアニオン性種が存在しない態様を含め、ある場合には、第2の種類の金属は、必ずしもこのように機能しない。例えば、合金が酸化反応(例えば、水素ガスの酸化)に使用される態様において、アニオン性種は、溶液中に存在できず、したがって第2の種類の金属は、特別なアニオン性種と特別な結合定数を有することができない。そうした態様において、第2の種類の金属での使用に好適な金属元素は、第1の種類の金属および第3の種類の金属と伴に触媒材料を形成できる金属元素であることができる。
【0039】
第3の種類の金属に好適な金属元素は、触媒材料の表面積を増加させるように選択された金属を含む。例えば、いくつかの態様において、第3の種類の金属は、脱合金化および/またはさもなければ、電極の形成および/または稼働のために選択されたある条件下での合金または金属混合物から部分的にまたは充分に除去されることができる。
【0040】
いくつかの態様において、第3の種類の金属は、第3の種類の金属を触媒材料に含める間および/または後に、少なくとも部分的に溶解する第3の種類の金属を含むメカニズムを通して、表面積を増加できる。例えば、第3の種類の金属は、触媒材料に含まれる他の種類の金属への第3の種類の金属の効果により表面積を増加できる。すなわち、ある場合には、第3の種類の金属の存在は、第3の種類の金属の触媒材料への包含によりまたは後で、触媒材料を再配向または再構造化させることができる。そうした再配向は、凝集体、小塊、沈殿物、相分離された構造、およびその同類のものの形成を含むことができるがこれらに限られない。含まれるメカニズムは、触媒材料中における種の中での反発相互作用、1つの種の表面分離、触媒材料からの種の溶解、およびその同類のものを含むことができるがこれらに限られない。金属は、基材、支持体および/または触媒材料中に含まれる他の種類の金属の1種へのその反発力および/または引力により表面へ分離することができる。第3の種類の金属は、触媒材料の中へ取り込まれることができる、いくつかの態様において、触媒材料中に含まれる別の種との反発力および/または引力により、表面での触媒材料中に他の種を残し、これはその後に上記の種々のメカニズムを通して表面積を大きくするように相互作用する。これらの種々のメカニズムは、1つのステップまたは、連続したもしくは並行した多数のステップの工程を経て、そして種々の程度の完了度で起こることができる。
【0041】
当業者に理解されるであろうように、「脱合金化」は、本明細書中で使用される場合、金属の混合物(例えば、触媒材料)からの腐食工程を含む好適な工程による1種の元素の選択的な除去をいう。合金からの1種または2種以上の金属元素の脱合金化は、合金の表面積を増加でき、したがって合金/電極の活性表面または領域への電解質または反応物のよりさらなるアクセスを可能にする。
【0042】
脱合金化は、電気化学反応の前および/または電気化学反応の間に起こることができる。ある場合には、第3の金属の少なくとも1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%以上が脱合金化されるように、第3の種類の金属が選択される。ある場合には、脱合金化工程の平衡点が生じる場合、脱合金化された第3の種類の金属のパーセンテージを、決定できる。すなわち、選択された条件下での電極の形成および/または稼働の後で、合金を含む電極の電流密度(または他の測定できるパラメーター)が、約5分、または約10分、または約30分、または約1時間、または約2時間、または約4時間またはそれ以上の時間にわたって、本質的に一定の電気化学的条件下で、約1%、または約2%、または約3%、または約5%、または約10%、または約20%、または約25%、または約30%またはそれ以上より多く、減少も増加もしない場合に、脱合金化のパーセンテージを決定できる。
【0043】
脱合金化した第3の種類の金属の量は当業者に公知の方法を使用して、決定できる。例えば、脱合金化の量は、X線光電子分光法(XPS)またはエネルギー分散X線分光法(EDX)を使用して決定できる。ある場合には、脱合金化のパーセンテージは、その技術が調べられる合金の部分を決定できる。例えば、XPSは、触媒材料の表面の最初の約1nm〜約10nmの元素状組成物を決定できる。いくつかの態様において、脱合金化された第3の種類の金属のパーセンテージを決定するために分析される触媒材料の部分は、触媒材料の最初の約1nm、約2nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、またはそれ以上である。
【0044】
特定の態様では、第3の種類の金属のパーセンテージは、次のように決定できる。電極は、本明細書中に記載された技術(例えば、電流コレクタ上の合金の電気めっき)を使用して電流コレクタとの協働により生成できる。触媒材料は、触媒材料中の第1の種類の金属、第2の種類の金属、および第3の種類の金属のそれぞれの金属元素のパーセンテージを決定するように、XPSまたはEDX分光法を使用して分析できる。第3の種類の金属は、本明細書中に記載されたような選択された条件下で脱合金化されることができる。ある場合には、第3の種類の金属は、(例えば、本明細書中に記載されたように、例えば、電極の電流密度が2時間期間にわたって10%超増加または減少しない)平衡に到達するまで、脱合金化される。次に、XPSまたはEDX分析を繰り返すことができ、それによって脱合金化された第3の種類の金属の量を決定する。
【0045】
当業者は、合金から金属元素の脱合金化のための好適な方法を知っているであろう。ある場合には、脱合金化は、化学的脱合金化技術を使用して行うことができる。例えば、合金は、溶液成分が第3の種類の金属を具体的に脱合金化するように選択されている時間の間、(例えば、強酸および/または鉱酸を含む)溶液に曝されることができる。他の場合には、第3の種類の金属は、電極に電圧を適用することによって、脱合金化できる。例えば、第3の種類の金属は、選択された条件下で、第1の種類の金属および第2の種類の金属のために含まれた元素に比較してより低い電気化学的電位を有するように選択されることができる。この適用された電位差は、当業者に知られているように、第1の種類の金属および第2の種類の金属と比較して、第3の種類の金属の脱合金化を推進できる。
【0046】
当業者によって理解されるであろうように、ある場合には、第1の種類の金属および第2の種類の金属に含まれた元素の一部分はまた、合金から脱合金化されることができる。ある場合には、しかし、第1の種類の金属、第2の種類の金属、第3の種類の金属の選択は、合金から脱合金化する第3の種類の金属のパーセンテージが、第1の種類の金属および第2の種類の金属の全量の少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、またはそれ以上であるようである。ある場合には、第3の種類の金属は、設定された条件下で、M’およびM’’の脱合金化の速度の少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約50倍合金から脱合金化するように選択される。第3の種類の金属の非限定の例は、V、Cr、Mo、W、Mn、Ca、Mg、Si、Zn、Al、Ag、およびSeを含む。
【0047】
合金は、当業者によって知られるであろうような任意の好適な技術を使用して電流コレクタと関連できる。いくつかの態様において、合金は、好適な電気めっき溶液または浴中で電着によって電流コレクタと関連できる。電着技術および方法は当業者に公知であろう。例えば、ある場合には、電流コレクタは、合金中に含まれるであろう金属を含む1種または2種以上の前駆体を含む溶液中に浸されることができる。電圧が電流コレクタに掛けられることができ、それによって合金が形成され、そして電流コレクタと関連することができる。例えば、溶液は、ニッケル塩およびモリブデン塩を含んで提供されることができ、そして電圧は、電流コレクタに掛けられることができる。他の非限定の方法は、蒸着、熱蒸着、プラズマスプレー、フレーム溶射、溶融めっき法、または機械的なめっきを含む。ある場合には、合金は最初に形成されることができ、次に電流コレクタと関連できる。例えば、第1の種類の金属、第2の種類の金属、および/または第3の種類の金属の塩は、(任意選択的に沈殿において助けることができる基材を含む)溶液と還元剤とで提供されることができ、合金が溶液中で(例えば、存在する場合、基材と関連して;懸濁液および/または粒子状物として:など)形成されることができる。固体材料は、電流コレクタ(例えば、バインダーの使用など)と関連できる。
【0048】
めっき浴を使用して電流コレクタ上に合金を形成させる前に、電流コレクタは、クリーニングされて、被膜の良好な接着を確かにすることができる。クリーニングのための方法および技術は、従来技術および周知技術である。例えば、蒸気脱脂、砂または粒子ブラスティング、研磨、および/または音波処理を利用でき、電流コレクタは、酸性溶液中でエッチングされ、または苛性溶液中でカソード的にクリーニングされ、または電流コレクタは、正の電圧の適用によって、酸化の化学を開始し、続いて負の電圧の適用によって、還元の化学を開始することによって、調整されることができる。クリーニングの後で、電流コレクタは、めっき浴中に浸されて、電流コレクタ上に合金を堆積させることができる。
【0049】
いくつかの態様において、本発明の電極は、電流コレクタおよび電流コレクタと関連する分子触媒または金属被膜を含むことができる。当然のことながら、本明細書における適用の多くは、電流コレクタおよび合金を含む電極に焦点を当てているが、これは、決して限定するものではなく、そして電極は代わりに、本明細書中に記載されたような電流コレクタおよび分子触媒または金属被膜を含むことができる。
【0050】
いくつかの態様において、分子触媒は、(例えば、SiWOを含む)ポリオキソメタレート等の酸化物であることができる。ポリオキソメタレート(POM)は、無機金属酸素クラスターの類である。これらは、通常かごの外にあるカチオンによってバランスを取られている少なくとも1つの負の電荷を有する多面体のかご構造または骨格を含む。ポリオキソメタレートの骨格は、通常、同一であるかまたは異なることができる、酸素原子に結合した複数の金属原子を含む。POMはまた、かご骨格によって囲まれた中心に位置するヘテロ原子を含むことができる。当業者に公知であろうPOMの類の非限定の例Keggin−タイプのPOM(例えば、[XM12O40]n−)、Dawson−タイプのPOM(例えば、[X2M18O62]n−)、Lindqvist−タイプのPOM(例えば、[M6O19]n−_)、およびAnderson−タイプのPOM(例えば、[XM6O24]n−)(式中、Xは、ヘテロ原子であり、nは、化合物の電荷であり、Mは、金属(例えば、Mo、W、V、Nb、Ta、Co、Zn等、またはそれらの組み合わせ)であり、そしてOは、酸素である。)通常、好適なヘテロ原子は、リン、アンチモン、ケイ素、ホウ素、硫黄、アルミニウム、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。当業者は、プロトンおよび電子から水素ガスの生産のための他の好適な分子触媒を知るであろう。分子触媒の他の非限定の例は、Co(ジグリオキシム)錯体、[Ni(ジホスフィン)2]2+錯体、および金属ポルフィリン錯体(例えば、ここで、金属は、Pd、Fe、Co、Pt、Ir、Ru等である)を含む。電極を被覆する金属の非限定の例は、Pt、Ni、Co、Fe等を含むことができる。
【0051】
一態様では、触媒的に水素ガスを生成する方法は、電気化学装置を提供する工程を含み、第1の電極、電流コレクタおよび電流コレクタと関連した合金または分子触媒を含む第2の電極、および水を含み、ここで水は、少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含み、そして水のpHは、約6〜約10の間であり。ある場合には、電気化学的システムは、水素ガスの生成を触媒し、ここで少なくとも約1mA/cm2の電流密度において約0.3V未満の過電圧の絶対値で、または本明細書中に記載された任意の範囲で水素ガスが生成される。ある場合には、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【0052】
いくつかの態様において、電気化学反応と関連して触媒的に水素ガスを生成するための、および電気化学反応を促進するアニオン性種を含む電解質との使用のためのシステムであって、このシステムは、水素ガスの生成を触媒できるように選択された第1の種類の金属、電極上にアニオン性種を含む材料の堆積を防止するようにアニオン性種と103M−1未満の結合定数を有するように選択された第2の種類の金属および電解質に暴露可能な電極の表面積を増加させるように設定された条件下で合金から脱合金化するように選択された第3の種類の金属を含む触媒合金を含む電極を含む。
【0053】
ある場合には、触媒的に水素ガスを生成する方法は、少なくとも0.1Mの濃度でアニオン性種を含む電解質、第1の電極、および電流コレクタおよび第1の種類の金属、第2の種類の金属、および第3の種類の金属を含む触媒合金を含む第2の電極を含む電気化学装置を提供する工程を含み、第1の種類の金属は、水素ガスの生成を触媒でき、第2の種類の金属は、アニオン性種と103M−1未満の結合定数を有し、そして第3の種類の金属は、設定された条件下で、脱合金化できる。このシステムは、水から水素ガスの生成を触媒でき、ここで、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【0054】
本発明の種々の形態全般を上記に記載し、そして電極の形成、特徴、および組成物、方法、およびシステムの他の特性および構成部分に関する情報を含む組成物、電極、システム、および方法の他の形態をさらに詳細に記載するであろう。
【0055】
いくつかの態様において、本発明の電極は、電流コレクタおよび電流コレクタと関連した合金(または分子触媒または金属被膜)を含む。「電流コレクタ」は、本明細書中で使用される場合、所与の2つの代替的定義である。本発明の典型的な配置において、合金は、電源またはその同類のものによって生成された電子の形態の力の受け取りのために、電圧および/または電流の電流コレクタへの適用のための外部回路に接続された電流コレクタと関連している。当業者は、これに関連して電流コレクタの意味を理解するであろう。さらに具体的に言うと、電流コレクタは、それを通って本発明の反応の間または電極の形成の間に電流が流れる合金と外部回路との間の材料をいう。ここで材料のスタックは、アノードおよびカソードの両方、およびカソードおよび/またはアノードと関連する1種または2種以上の合金を含んで提供され、ここで電流コレクタは、膜または他の材料によって分離されていることができ、それぞれの電極(例えば、アノードおよび/またはカソード)の電流コレクタは、電流コレクタに接続された合金および外部の回路にまたはこれらから電流が流れる材料である。これまで記載された電流コレクタの場合、電流コレクタは、典型的には、外部回路から分離した物体であろうし、したがって当業者によって容易に特定可能であろう。電流コレクタは、本明細書中に記載されたような1超の材料を含むことができる。別の配置において、外部回路に接続されたワイヤーは、それ自身、電流コレクタを規定できる。例えば、外部回路に接続されたワイヤーは、溶液と接触するための合金が吸収される終端部分または電解のための他の材料を有することができる。そうした場合、電流コレクタは、合金が吸収されるワイヤーのその部分として規定される。
【0056】
「電解」は、本明細書中で使用される場合、非自発的な化学反応を駆動する電流の使用をいう。例えば、ある場合には、電解は、電流の適用により、少なくとも1つの種の酸化還元状態の変化ならびに/または少なくとも1つの化学結合の形成および/もしくは開裂を含むことができる。本発明によって提供されるように水の電解は、水を酸素ガスおよび水素ガス、または酸素ガスおよび別の水素を含有する種、または水素ガスおよび別の酸素を含有する種、またはそれらの組み合わせに分離することを含む。いくつかの態様において、本発明の機器は、逆反応を触媒できる。すなわち、機器は、水素と酸素ガス(または他の燃料)とを化合させて水を生成させ、エネルギーを生成させるように使用できる。
【0057】
ある場合には、合金は、イオン性結合、共有結合(例えば、炭素−炭素、炭素−酸素、酸素−ケイ素、硫黄−硫黄、リン−窒素、炭素−窒素、金属−酸素、または他の共有結合)、(例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオール、および/または類似の官能基間の)水素結合、配位結合(例えば、金属イオンと単座または多座配位子との間の錯体形成またはキレート化)、ファンデルワールス相互作用、およびその同類のもの等の結合の形成を介して電流コレクタと関連できる。触媒材料の電流コレクタとの「関連」は、当業者によりこの記載に基づいて理解されるであろう。
【0058】
電流コレクタと関連した合金は、最も多くの場合、本明細書中に記載されたような本発明の目的を行うために、電流コレクタと充分な電気連通にあるように、電流コレクタに対して並べられるであろう。「電気連通」は、本明細書中で使用される場合、それによって電子が本明細書中に記載されたように電極を駆動するのに充分容易な様式で電流コレクタと合金との間を流れることができる当業者によって理解されるであろう所与のその通常の意味である。すなわち、電荷は、電流コレクタと合金との間を移送されることができる。「電気連通」は、内部抵抗を有する全体的なシステムの電極または他の要素を通したそうした連通を含む。
【0059】
ある場合には、触媒材料は、電流コレクタ(または光活性材料)と「直接電気連通」にあることができる。「直接電気連通」は、本明細書中で使用される場合、電気連通に関して上記で規定されたような所与のその通常の意味であるが、この場合には、電流コレクタおよび触媒材料は、(例えば、第2材料を通して、回路の使用を通して等とは対照的に)相互に直接接触している。いくつかの態様において、合金および電流コレクタは、統合して接続されていることができる。用語「統合して接続された」は、2つまたは3つ以上の物体または材料を参照する場合、通常の使用の過程において相互に分離されるようにならない物体および/または材料を意味し、例えば、この分離は、例えば、道具の使用を含む、少なくとも物体および/または材料の内部の分離を必要とする。いくつかの態様において、触媒材料は、電流コレクタ(または光活性材料)と「間接的電気連通」にあることができる。すなわち、材料および/または回路が触媒材料と電流コレクタとの間に介在することできる。
【0060】
いくつかの態様において、(例えば、電流コレクタおよび合金を含む)電極は、性能に関して特徴付けられることができる。多くの中でこれを行う1つの方法は、電流コレクタのみに対して電極の電流密度を比較することである。典型的な電流コレクタは下記にさらに充分に記載され、そして白金、およびその同類のものを含むことができる。電流コレクタは、水電解において電極としてそれ自身機能でき、そして過去そうするように使用されてきたであろう。そうであるので、電流コレクタと合金との両方を含む電極を含む電極を使用した(同じ対電極、同じ電解質、同じ外部回路、同じ水源等を有する)本質的に同一の条件と比較して、(電極がプロトンおよび電子から水素ガスを生成する)電流コレクタを使用した水電解の間に電流密度を比較できる。ほとんどの場合、電極の電流密度は、電流コレクタのみの電流密度より高いであろうし、それぞれは本質的に同一の条件下で独立して試験される。例えば、電極の電流密度は、少なくとも約10、約100、約1000、約104、約105、約106、約108、約1010、およびその同類のもの倍で、電流コレクタの電流密度を超えることができる。特定の場合、電流密度の相違は、少なくとも約105であり、いくつかの態様において、電極の電流密度は、約104〜約1010、約105〜約109、または約104〜約108倍電流コレクタの密度を超えることができる。電流密度は、本明細書中に記載されたような幾何学的電流密度(geometric current density)または全電流密度のいずれかであることができる。
【0061】
合金は、多孔質、実質的に多孔質、無孔性、および/または実質的に無孔性であることができる。孔は、ある範囲のサイズを含むことができ、そして/または実質的に均一のサイズであることができる。ある場合には、孔は、画像技術(例えば、操作電子顕微鏡)を使用して見ることができるかまたは見ることができない。孔は、開孔であることができ、そして/または閉孔であることができる。ある場合には、孔は、バルク電解質表面と電流コレクタの表面との間の経路を提供できる。
【0062】
合金の物理的構造は、変化できる。例えば、合金は、溶液に浸される電流コレクタ(例えば、表面および/または孔)の少なくとも一部分と関連した膜および/または粒子であることができる。いくつかの態様において、合金は、電流コレクタと関連した膜を形成しない場合がある。ある場合には、合金は、電流コレクタ(例えば、合金を含む電流コレクタのすべてのまたは本質的に全ての表面)の表面を規定することができる。あるいはまたはさらに、合金は、堆積されるか、もしくはさもなければ、パッチ、島、またはいくつかの他のパターン(例えば、線、点、長方形)として電流コレクタと関連でき、またはデンドリマー、ナノ粒子、ナノロッド、またはその同類のものの形態を取ることができる。パターンは、ある場合には電流コレクタ上への合金の堆積により自発的に形成されることができ、そして/または当業者に公知の種々の技術(マイクロ接触印刷等を介してリソグラフ的に)当業者に知られた種々の技術により電流コレクタ上でパターン化されることができる。さらに、電流コレクタは、ある範囲が合金の関連を促進し、一方他の範囲は促進しないか、またはより低い程度で促進するように、それ自身パターン化されることができ、それによって電極が形成されるにつれて、電流コレクタ上に合金のパターン化された配置を作り出すことができる。合金が電極上にパターン化される場合、パターンは、合金の範囲および合金の完全にない範囲、または特定量の合金のある範囲および異なる量の合金のある他の範囲を画定できるであろう。合金は、滑らかなおよび/または凸凹な外観を有することができる。ある場合には、合金は、材料が無水の場合にある場合があるようなクラックを含むことができる。
【0063】
ある場合には、合金の厚さは、材料を通して実質的に同じであることができる。他の場合、合金の厚さは、材料を通して変化できる(例えば、膜は必ずしも均一の厚さを有さない)。合金の厚さは、複数の範囲(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、またはそれ以上の範囲)の材料の厚さを決定し、そして平均厚さを計算することによって、決定できる。合金の厚さが複数の範囲を調べることを介して決定される場合、その範囲は、パターンに基づいて多くまたは少なく存在する合金の範囲を特に表わさないように選択されることができる。当業者は、表面上の合金の任意の不均一性またはパターニングを説明する厚さ決定手順を容易に確立することができるであろう。例えば、この技術は、全体的な平均厚さを与えるために、ランダムに選択された、充分に大きな数の範囲の決定を含むことができるであろう。合金の平均厚さは、少なくとも約10nm、少なくとも約100nm、少なくとも約300nm、少なくとも約500nm、少なくとも約700nm、少なくとも約1μm(マイクロメートル)、少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、少なくとも約1mm、少なくとも約1cm、およびその同類のものであることができる。ある場合には、合金の平均厚さは、約1mm未満、約500μm未満、約100μm未満、約10μm未満、約1μm未満、約100nm未満、約10nm未満、約1nm未満、約0.1nm未満、またはその同類のものであることができる。幾つかの例において、合金の平均厚さは、約1mm〜約0.1nm、約500μm〜約1nm、約100μm〜約1nm、約100μm〜約0.1nm、約0.2μm〜約2μm、約200μm〜約0.1μm、またはその同類のものであることができる。特定の態様では、合金は、約0.2μm未満の平均厚さを有することができる。別の態様では、合金は、平均厚さ約0.2μm〜約2μmを有することができる。
【0064】
ある場合には、電極は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1月、少なくとも約2月、少なくとも約3月、少なくとも約6月、少なくとも約1年、少なくとも約18月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約5年、少なくとも約10年、またはそれ以上で、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、またはそれ以下の選択された性能尺度(例えば、具体的電流密度での過電圧、固定電池電圧での酸素の生産速度等)の変化で、水から水素ガスを生成するのに使用できる。
【0065】
当業者は、選択された性能尺度を決定するためのシステムおよび方法を知っているであろう。この方法は、(例えば、室温、雰囲気圧力等)下で行われることができる。ある場合には、(例えば、水素発生のための電流コレクタおよび合金または分子触媒を含む)本発明の電極は、選択された電解質(例えば、約7のpHを有する1Mリン酸カリウム溶液、または約9.2のpHを有する1Mホウ酸カリウム溶液)中に少なくとも部分的に浸される。電流コレクタは、Pt回転環ディスク電極を含むことができる。システムはまた、Ag/AgCl参照電極およびPtワイヤー対電極を含むことができる。水素発生のための電極は、特定の速度(例えば、約500回転/分、約1000回転/分、約1500回転/分、約2000回転/分、約2500回転/分、約3000回転/分、約3500回転/分等)で回転でき、そして電位が電極に適用されることができる。特定の場合には、電極は、約2000回転/分の速度で回転する。所望の性能パラメーターは、これら作動条件下で決定できる。ある場合には、適用された電位は、水素発生反応のための過電圧として記載できる。過電圧は、対象の反応のための熱力学的電位に加えて、電極に適用された電位(Eカソード)として規定できる。水素発生の場合、水素発生のための熱力学的電位は、NHEに対して0.0Vであり、したがって過電圧(η)式:
η =(NHEに対する)Eカソード−0.0V
から決定できる。
【0066】
決定できる性能パラメーターの例として、過電圧が0と選択された電圧との間で変化するにつれて、電流密度は、回転電極で測定されることができる。生じるデータは、過電圧対電流密度の対数(すなわち、Tafelプロット)としてプロットできる。例えば、図6Aおよび6B、および関連した例を参照のこと。通常、所与の電流密度において、より低い(より負でない)過電圧で作動する電極を形成させることが望ましい。
【0067】
もう一つの例として、電極の安定性は、上記の様な類似の実験的設定を使用して決定できる。水素発生電極は、約2500回転/分の速度で回転できる。選択された過電圧(例えば、約−0.1V、約−0.2V、約−0.3V、約−0.4V等)を電極に適用することができ、そして生じた電流密度は、時間の関数として測定できる。例えば、図7Aおよび7B、および関連した例を参照のこと。特定の態様では、過電圧は、約−0.3Vに設定され。通常、増加した安定性を有する電極は、より安定でない電極に比較して、反応時間が進むにつれて電極の電流密度におけるより小さい変化を示す。
【0068】
電流コレクタは、単一の材料を含むことができ、または、複数の材料を含むことができる、ただし、材料の少なくとも1種は実質的に導電性である。ある場合には、電流コレクタは、単一の材料、例えば、ITO、白金、FTO、ニッケル、導電性炭素メッシュおよび/またはフエルト、またはその同類のものを含むことができる。他の場合、電流コレクタは、少なくとも2種の材料を含むことができる。いくつかの例において、電流コレクタは、コア材料、およびコア材料を実質的に覆う少なくとも1種の材料を含むことができる。他の例において、電流コレクタは、2種の材料を含むことができ、ここで、第2の材料は、第1の材料の一部分と関連できる(例えば、第1の材料と合金との間に位置できる)。材料は、実質的に非導電性(例えば、絶縁性)および/または実質的に導電性であることができる。非限定の例として、電流コレクタは、実質的に非導電性コア材料および実質的に導電性材料の外側層を含むことができる(例えば、コア材料は、Vicorガラスを含むことができ、そしてVicorガラスは、実質的導電性材料(例えば、ITO、FTO等))により実質的に被覆(例えば、層で被覆)されていることができる)。非導電性コア材料の非限定の例は、無機基材、(例えば、石英、ガラス等)およびポリマー基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン等)を含む。もう一つの例として、電流コレクタは、実質的に導電性のコア材料および実質的に導電性または実質的に非導電性の材料を含むことができる。ある場合には、当業者に公知であろうように、材料の少なくとも1種は膜材料である。例えば、膜材料は、ある場合には、プロトンまたは水酸化物イオンの伝導を可能にできる。
【0069】
実質的に導電性材料の非限定の例として、電流コレクタは、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガラス質炭素、炭素メッシュ、金属、合金、リチウム含有化合物、金属酸化物(例えば、白金酸化物、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化バナジウム、亜鉛酸化スズ、酸化インジウム、インジウム酸化亜鉛)、グラファイト、ゼオライト、およびその同類のものを含むことができる。好適な金属の非限定の例として、電流コレクタは、(合金および金属酸化物に含まれる金属を含む)、鉄、金、銅、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、ニッケル、カドミウム、スズ、リチウム、クロム、カルシウム、チタン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、バナジウム、ニッケル、パラジウム、タングステン、またはその同類のもの、およびそれらの組み合わせ(例えば、パラジウム銀、スチール、および/またはステンレススチール等の合金)を含むことができる。
【0070】
電流コレクタはまた、導電性(例えば、セラミック、導電性ポリマー)として当業者に公知の他の金属および/または非金属を含むことができる。ある場合には、電流コレクタは、無機導電性材料(例えば、銅ヨウ化物、銅スルフィド、窒化チタン等)、(例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性ポリマー)有機導電性材料、および積層物および/またはそれらの組み合わせを含むことができる。ある場合には、電流コレクタは、半導体材料を含むことができる。
【0071】
いくつかの例において、電流コレクタは、ニッケル(例えば、ニッケル発泡体またはニッケルメッシュ)等の金属を含むことができる。当業者に公知であろうニッケル発泡体およびニッケルメッシュ材料は、商業的供給元から購入できる。ニッケルメッシュは、通常、編まれたニッケル繊維をいう。ニッケル発泡体は、通常、複数の穴および/または孔を含むわずかな厚さでない(例えば、約2mm)の材料をいう。ある場合には、ニッケル発泡体は、開放気孔ポリマー発泡体の構造に基づく開放気孔の、金属性構造であることができ、ニッケル金属は、ポリマー発泡体上に被覆される。他の種類の発泡体材料は、当業者に公知であろうし、そして電流コレクタとして使用できる。発泡体電流コレクタ材料の非限定の例は、チタン、銅、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、およびステンレススチールを含むことができる。
【0072】
電流コレクタは、透明、半透明、半不透明、および/または不透明であることができる。電流コレクタは、固体、半多孔質、および/または多孔質であることができる。電流コレクタは、実質的に結晶または実質的に非結晶、かつ/または均質であるか、もしくは異成分からなることができる。
【0073】
いくつかの態様において、(何らかの合金の添加前の)電流コレクタおよび/または合金は、高い表面積を有することができる。ある場合には、電流コレクタの表面積は、約0.01m2/g超、約0.05m2/g超、約0.1m/g超、約0.5m/g超、約1m/g超、約5m2/g超、約10m2/g超、約20m2/g超、約30m2/g超、約50m2/g超、約100m2/g超、約150m2/g超、約200m2/g超、約250m2/g超、約300m2/g超、またはその同類のものであることができる。他のケースの場合、電流コレクタの表面積は、約0.01m2/g〜約300m2/g、約0.1m2/g〜約300m2/g、約1m2/g〜約300m2/g、約10m2/g〜約300m2/g約0.1m2/g〜約250m2/g、約50m2/g〜約250m/g、またはその同類のものであることができる。ある場合には、電流コレクタの表面積は、非常に高い多孔質の材料を含む電流コレクタによることができる。電流コレクタおよび/または合金の表面積は、当業者に公知であろうように、種々の技術、例えば、光学技術(例えば、光学プロファイル、光散乱等)、電子ビーム技術、機械的技術(例えば、原子間力顕微鏡、表面プロファイル等)、電気化学的技術(例えば、サイクリックボルタンメトリー等)等を使用して測定できる。
【0074】
電流コレクタの多孔度(または他の構成部分、例えば、電極)は、電流コレクタ中のボイド空間のパーセンテージまたは部分として測定できる。電流コレクタの多孔度パーセンテージは、当業者に公知の技術を使用して、例えば、体積/密度方法、水飽和法、水蒸発法、水銀侵入ポロシメトリー法、および窒素ガス吸着法を使用して測定できる。いくつかの態様において、電流コレクタは、少なくとも約10%多孔質、少なくとも約20%多孔質、少なくとも約30%多孔質、少なくとも約40%多孔質、少なくとも約50%多孔質、少なくとも約60%多孔質、またはそれ以上であることができる。孔は、(例えば、少なくとも一部が電極および/または別の孔の外側表面に開いた孔を有する)通気孔および/または閉じた孔(例えば、孔は電極または別の孔の外側表面に開いた開口を含まない)であることができる。ある場合には、電流コレクタの孔は、通気孔(例えば、電流コレクタの孔では、孔の少なくとも70%超、少なくとも80%超、少なくとも90%超、少なくとも95%超、またはそれ以上は、通気孔である)から本質的に成ることができる。ある場合には、電流コレクタの一部分のみは、実質的に多孔質であることができる。例えば、ある場合には、電流コレクタの単一表面だけは、実質的に多孔質であることができる。もう一つの例として、ある場合には、電流コレクタの外側表面は、実質的に多孔質であることができ、そして電流コレクタの内側のコアは、実質的に無孔性であることができる。特定の態様では、電流コレクタ全体は、実質的に多孔質である。
【0075】
電流コレクタは、当業者に公知の技術を使用して、非常に多孔質に作られていることができ、そして/または大きな表面積を含むことができる。例えば、ITO電流コレクタは、エッチング技術を使用して非常に多孔質にできていることができる。もう一つの例として、Vicorガラスは、エッチング技術を使用して非常に多孔質に製造され、続いてVicorガラスの実質的にすべての表面が実質的に導電性材料(例えば、ITO、FTO等)を用いて実質的に被覆されることができる。ある場合には、非導電性コアを実質的に被覆する材料は、(例えば、コア材料実質的に被覆する層ように)フィルムまたは複数の粒子を含むことができる。
【0076】
ある場合には、電流コレクタは、コア材料の少なくともの一部分が少なくとも1種の異なる材料と関連したコア材料を含むことができる。コア材料は、少なくとも1種の異なる材料で実質的にまたは部分的に被覆されていることができる。非限定の例として、ある場合には、外側の材料は、コア材料を実質的に覆うことができ、および合金は、外側の材料と関連できる。外側の材料は、合金、例えば、水から水素ガスの生成のために合金によって使用されることができる電子がコア材料と合金との間で流れることを可能にする。何らかの理論に拘束されることを望まないが、外側の材料は膜として働くことができ、そして合金に送られたコア材料において電子が生成されることを可能にする。膜はまた、水素が合金から生成され材料を通って横断することを減らし、そして/または防ぐことによって機能する。この配置は、水の酸化で生成された酸素ガスおよび水素ガスの分離が重要である機器内で好都合である。ある場合には、膜中または膜における水素ガスの生成が制限されるように膜は選択できる。
【0077】
電流コレクタは、実質的に平面であることができ、または実質的に平面でないことができる。例えば、電流コレクタは、波紋、波、デンドリマー、(例えば、ナノ粒子)球、(例えば、ナノロッド)棒、粉末、沈殿物、複数の粒子、およびその同類のものを含むことができる。いくつかの態様において、電流コレクタの表面は、凹凸間の距離および/または凹凸の高さがナノメートル、マイクロメートル、ミリメーター、センチメートルのスケール、またはその同類のものである、凹凸であることができる。いくつかの例において、電流コレクタの平面性は、電流コレクタの粗さを決定することによって決定できる。本明細書中で使用される場合、当業者に公知であろうように、用語「粗さ」は、表面(例えば、電流コレクタ)の織地の尺度をいう。電流コレクタの粗さは、量化、例えば、平面の表面からの電流コレクタの垂直偏差を決定することによって量化できる。接触(例えば、表面形状測定装置等の、表面にかけて測定針をドラグすること)または非接触方法(例えば、干渉法、共焦点顕微鏡、電気的静電容量、電子顕微鏡等)を使用して、粗さを測定できる。ある場合には、表面粗さ、Ra(式中、Raはマイクロメートルで表された表面の谷およびピークの算術平均偏差である)を決定できる。非平面のRaは、約0.1μm超、約1μm超、約5μm超、約10μm超、約50μm超、約100μm超、約500μm超、約1000μm超、またはその同類のものであることができる。
【0078】
溶液は任意の好適な材料から生成できる。多くの場合、溶液は、液体であることができ、そして水を含むことができる。いくつかの態様において、溶液は水からなるかまたは水から本質的に成ることができ、すなわち、溶液は、電気化学装置が機能するのに必要な最低の電気伝導度で、それぞれの場合において、本質的に純粋な水または純粋な水と本質的に同じように挙動する水溶液であることができる。いくつかの態様において、金属イオン性種およびアニオン性種が実質的に可溶性であるように溶液は選択される。ある場合には、電極が形成後直ちに機器において使用される場合、本明細書中に記載されたような機器および/または方法によって酸化される水(または他の燃料)を含むように溶液は選択されることができる。例えば、水素ガスが水から生成されることになる例では、溶液は、(例えば、水源から供給された)水を含むことができる。
【0079】
ある場合には、溶液のpHは、ほぼ中性であることができる。すなわち、溶液のpHは、約6.0〜約8.0、約6.5〜約7.5であることができ、そして/またはpHは、約7.0である。他の場合、溶液のpHは、ほぼ中性または酸性である。これらの場合、pHは、約0〜約8、約1〜約8、約2〜約8、約3〜約8、約4〜約8、約5〜約8、約0〜約7.5、約1〜約7.5、約2〜約7.5、約3〜約7.5、約4〜約7.5、または約5〜約7.5であることができる。また他の場合、pHは、約6〜約10、約6〜約11、約7〜約14、約2〜約12、およびその同類のものであることができる。いくつかの態様において、溶液のpHは、ほぼ中性および/または塩基性、例えば、約7〜約14、約8〜約14、約8〜約13、約10〜約14、14超、またはその同類のものであることができる。アニオン性種および金属イオン性種は、所望の状態にあるように、溶液のpHを選択できる。例えば、いくつかのアニオン性種は、pHレベル、例えば、リン酸塩の変化によって影響される場合がある。溶液が塩基性(約pH12超)の場合、リン酸塩の大部分はPO4−3の形態である。溶液がほぼ中性の場合、リン酸塩はほぼ当量のHPO4−2の形態およびH2P04−1の形態である。溶液がわずかに酸性(約pH6未満)である場合、リン酸塩はH2P04の形態である。pHレベルはまた、アニオン性種および金属イオン性種の溶解度定数に影響できる。
【0080】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような電極は、低絶対値の過電圧でプロトンおよび電子から水素ガスを生成できる。所与の活性を達成するのに必要な熱力学的に決定される還元または酸化電位に追加された電圧を本明細書中において「過電圧」といい、そしてこれは電解装置の効率を制限する場合がある。したがって、過電圧は技術的に所与のその通常の意味であり、すわなち、反応に必要な熱力学的ポテンシャルを差し引いた電気化学反応(例えば、水からの水素ガスの生成)を生じるために、システム、または電極等のシステムの構成部分に適用されなければならない電位である。当業者は、反応を駆動するために特定のシステムに適用されなければならないすべての電位が、典型的には、システムの種々の構成部分に適用されなければならないすべての電位であることができることを理解するであろう。例えば、システム全体のための電位は、典型的には、水の電解から水素ガスが生成される例えば電極において測定される電位より高いことができる。当業者は、水電解からの水素生成のための過電圧が本明細書中において記載される場合、これは、水素そのものへのプロトンおよび電子の変換に必要な電圧に適用され、そして対電極(他の可能な反応の内、酸素およびプロトンおよび電子への水の酸化が生じると推定される)対電極における電圧低下を含まないことを認めるであろう。
【0081】
プロトンおよび電子からの水素ガスの生成のための熱力学的電位は、反応(例えば、pH、温度、圧力等)の条件により通常変化する。当業者は、実験的条件によってプロトンおよび電子からの水素ガスの生成のための理論上の熱力学的電位を決定できるであろう。
【0082】
いくつかの例において、本明細書中に記載されたような電極は、約1ボルト未満、約0.75ボルト未満、約0.5ボルト未満、約0.4ボルト未満、約0.35ボルト未満、約0.325ボルト未満、約0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、約0.1ボルト未満、約0.075ボルト未満またはその同類のものである過電圧の絶対値を用いてプロトンおよび電子(例えば、ガス状のおよび/または液体水)から水素ガスを生成できる。いくつかの態様において、過電圧の絶対値は、約0.1ボルト〜約0.4ボルト、約0.2ボルト〜約0.4ボルト、約0.25ボルト〜約0.4ボルト、約0.3ボルト〜約0.4ボルト、約0.25ボルト〜約0.35ボルト、約0.1〜約0.2ボルト、約0.1〜約0.3ボルト、またはその同類のものである。ある場合には、電極の過電圧の絶対値は、中性pH(例えば、約pH7.0)、周囲温度(例えば、約25℃)、周囲圧力(例えば、約1気圧)、無孔性かつ平面である電流コレクタ(例えば、ITOプレート)を有する電解質の標準化された条件下で決定される、および約1mA/cm2の(本明細書中に記載されたような)幾何学的電流密度(geometric current density)において。当然のことながら、本発明のシステムは、直前に記載されたこれらの条件以外の下で使用でき、そして非常に広範な条件が本発明の使用において存在できることを実際当業者は認識するであろう。しかし、上記に記載した条件は、過電圧、生成される酸素および/または水素の量、および本明細書中に規定された性能特徴等の特徴をどのように規定するかの目的のためのみに提供される。具体的な実施形態において、電極は、少なくとも1mA/cm2の電極電流密度において、0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、または約0.1ボルト未満の過電圧の絶対値でプロトンおよび電子から水素ガスを生成できる。別の態様では、電極は、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度において、0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、約0.1ボルト未満、または約0.075ボルト未満の過電圧の絶対値で水から水素ガスを生成できる。また別の態様において、電極は、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度において、0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、または約0.1ボルト未満の過電圧の絶対値で水から水素ガスを生成できる。
【0083】
いくつかの態様において、電極は、約100%、約99.8%超、約99.5%超、約99%超、約98%超、約97%超、約96%超、約95%超、約90%超、約85%超、約80%超、約70%超、約60%超、約50%超等のファラデー効率で、水素ガスから水(例えば、ガス状の水および/または液体水)を生成できる。用語「ファラデー効率」は、本明細書中で使用される場合、所与のその通常の技術的意味であり、そして電荷(例えば、電子)が特別な電気化学反応を促進するシステムにおいて移送される有効性をいう。例えば、非生産的な反応、生成物の再結合、システムの短絡、および電子の他の分散に参加できる電子の誤った方向性によってシステムのファラデー効率における損失が生じる場合があり、そして熱の生成および/または化学的副生成物となる場合がある。
【0084】
ファラデー効率は、ある場合には、知られた量の試薬が、化学量論的に生成物に転化するバルク電解を通して、通過した電流によって測定されるように決定でき、そしてこの量は、別の分析的な方法を通して測定された観察された量の生成物と比較できる。例えば、機器または電極は、プロトンおよび電子から水素ガスを生成するために使用できる。生成された水素ガスの全量は、当業者(例えば、水素センサー、電気化学的方法等を使用して)当業者に知られた技術を使用して測定できる。生成されることが期待される水素の全量は、単純な計算を使用して決定できる。ファラデー効率は、生成された水素ガス対生成される水素ガスの期待される量を決定することによって、決定できる。ある場合には、電極のファラデー効率は、約1日、約2日、約3日、約5日、約15日、約1月、約2月、約3月、約6月、約12月、約18月、約2年等の電極の稼働の期間にわたって、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約1.0%未満、約2.0%未満、約3.0%未満、約4.0%未満、約5.0%未満等変化する。
【0085】
いくつかの態様において、上記の電極および/または上記の方法を使用して調製された電極を含むシステムおよび/または機器を提供できる。特に、機器は、電気化学装置(例えば、エネルギー変換機器)であることができる。電気化学装置の非限定の例は、本明細書中に記載されたような、電解装置、燃料電池、および再生燃料電池を含む。いくつかの態様において、機器は、電解装置である。電解装置は、電解的に水(例えば、液体および/またはガス状の水)を分解して酸素および/または水素ガスを生成することによって、酸素ガスおよび/または水素ガス発生器として機能できる。電解装置は、電解的に水(例えば、液体および/またはガス状の水)を分解して、酸素および/または水素ガスを生成することにより、酸素ガスおよび/または水素ガス発生器として機能できる。エネルギー変換機器は、いくつかの態様において、自動車、家、村、冷却機器(例えば、冷蔵庫)等を運転させるのに必要なエネルギーの少なくとも一部分を提供するのに使用できる。いくつかの態様において、機器はO2および/またはH2を生成するのに使用できる。O2および/またはH2を、例えば、燃料電池等の機器を使用して、電気および水に戻して変換できる。ある場合には、しかし、O2および/またはH2は、他の目的(例えば、医療的、工業的、および/または化学的目的)のために使用できる。機器使用の他の非限定の例は、O2の生成(例えば、ガス状酸素)、H2の生成(例えば、ガス状水素)、H2O2の生成、アンモニアの酸化、炭化水素(例えば、メタノール、メタン、エタノール、およびその同類のもの)の酸化、排気ガス処理等を含む。
【0086】
いくつかの態様において、電気化学的に水から酸素および水を生成するための電解装置およびシステムおよびこれらに関連した方法を提供できる。1つの設定において、機器は、(例えば、本明細書中に記載されたような)チャンバー、第1の電極、第2の電極を含み、ここで第1の電極は、第2の電極、電解質に対して正にバイアスが掛けられており、ここでそれぞれの電極は、電解質、水の供給元および第1のおよび第2の電極と電気連通した電源と流体接触している。ある場合には、水の供給元は、少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含むことができる。第1の電極は、第2の電極手段に向かって、負にまたは正にバイアスが掛けられていると考えることができ、これは第2の電極の第2の電圧電位に対して第1の電極の第1の電圧電位が負または正であることを意味する。第2の電極は、第2の電極に対して、(例えば、水を酸素および水素ガスに変換する熱力学によって規定された最小値)約1.23V未満、約1.3V未満、約1.4V未満、約1.5V未満、約1.6V未満、約1.7V未満、約1.8V未満、約2V未満、約2.5V未満、およびその同類のもので負にまたは正にバイアスを掛けられることができる。ある場合には、バイアスは、約1.5V〜約2.0V、約2.0および2.5V、約1.6V〜約1。9Vであることができ、または約1。6Vである。
【0087】
プロトンは、当業者に公知であろうような任意の好適なプロトン源を使用して本明細書中に記載された機器に提供できる。プロトン源は、プロトン、例えば、H+、H3O+、NH4+等を供給できる任意の分子または化学品であることができる。(例えば、燃料電池における燃料としての使用のための)水素源は、例えば、水素ガス、水素リッチガス、天然ガス等の水素を含む任意の物質、化合物、または溶液であることができる。機器に供給される酸素ガスは、実質的に純粋であることができ、または実質的に純粋でないことができる。例えば、ある場合には、酸素リッチガス、空気等の酸素を含む任意の物質、化合物または溶液を提供できる。
【0088】
電解装置の例が図1に記載されている。電源120は第1の電極122および第2の電極124に電気的に接続されており、ここで第2の電極は、本明細書中に記載されたような電極である。第1の電極122および第2の電極124は、電解質126と接触している。この例において、電解質126は、水を含む。しかし、ある場合には、物理的バリアー(例えば、アスベスト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微小孔性分離器からなる多孔質隔膜)、およびその同類のものは、第2の電極と接触して電解質溶液から、第1の電極と接触して電解質溶液を分離でき、一方、依然片側から別の側にイオンが流れるようにできる。他の態様において、電解質は、溶液でないことができ、そしてイオンを伝導する固体ポリマーであることができる。そうした場合には、水を任意の好適な水の供給元を使用して機器に提供できる。
【0089】
この非限定の態様において、電解装置は以下のように稼働できる。電源が入れられ、そして電子正孔対を生成できる。正孔128は第1の電極122に注入され、そして電子130は第2の電極124に注入される。第1の電極において、半反応132に示すように、水は酸化されて、酸素ガス、4つのプロトン、および4つの電子を生成する。第2の電極において、電子は、半反応134に示すように、(例えば、電解質等のプロトン源からの)プロトンと化合して水素を生成する。第1の電極から第2の電極への電子の正味での流れがある。生成された酸素および水素ガスは、燃料電池を含むか、または商業的もしくは別の用途における使用を含む、他の機器において貯蔵され、そして/または使用されることができる。
【0090】
いくつかの態様において、電解装置は、第2の電気化学電池と電気連通した第1の電気化学電池を含むことができる。第1の電気化学電池は、本明細書中に記載されたような電極を含むことができ、そして水から酸素および/または水素ガスを生成できる。酸素ガスの生成の間に電極から生成された電子は、(例えば、回路を通して)第2の電気化学電池に移送されることができる。電子は、(例えば、水素イオンからの水素ガスの生成のための)第2の反応において、第2の電気化学電池中で使用できる。いくつかの態様において、第1の電気化学電池中で生成された水素イオンの、第2の電気化学電池への輸送を可能にする材料を提供できる。当業者は、そうした機器のために好適な設定および材料を知っているであろう。
【0091】
いくつかの場合において、例えば、図2に示すように、機器は、第1の材料および第2の材料を含む電流コレクタと関連した合金を含む電極を含むことができ。機器は、ハウジング298、水の酸化の間に生成されたO2およびH2ガスの収集のための第1の出口320および第2の出口322、第1の電極302および(第1の材料306、第2の材料316、および合金308を含む)第2の電極307を含むことができる。ある場合には、材料304は、第1の電極302と第2の電極306(例えば、非ドープ半導体)との間に存在できる。機器は、電解質(例えば、300、318)を含む。第2の材料316は、電解質(例えば、318)が材料の孔を満たす多孔質導電性材料(例えば、バルブ金属、金属性化合物)であることができる。何らかの理論に拘束されることを望まないが、材料316は、膜として機能でき、そして第1の材料306で生成された電子の第2の材料316の外側表面324への透過を可能にできる。第2の材料316は、第2の材料316の孔中で酸素ガスが生成されないように選択されることができ、例えば、酸素ガスの生成のための過電圧が高い場合。酸素ガスは、第2の材料316の表面324の上またはその近傍(例えば、または第2の材料316の外側表面324と関連する合金を介して)で生成される場合がある。第2の材料316での使用に好適であることができる材料の非限定の例は、チタンジルコニウム、バナジウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、タングステン、またはそれらの合金を含む。ある場合には、材料は、バルブ金属窒化物、炭化物、ホウ化物等、例えば、窒化チタン、炭化チタン、またはホウ化チタンであることができる。ある場合には、材料は、酸化チタン、または(例えば、ニオブタンタル、タングステン、フッ素等を用いて)ドープされた酸化チタンであることができる。
【0092】
ある場合には、燃料電池(または燃料からエネルギーへの変換機器)ならびにそれに関連したシステムおよび方法を提供できる。典型的な、従来の燃料電池は、2つの電極、第1の電極および第2の電極、第1の電極と第2の電極との両方に接触した電解質、および機器によって作り出された電力が引き出される第1の電極および第2の電極中の電気の回路を含む。
【0093】
燃料電池の製造および稼働は、当業者に公知であろう。電極および/または触媒材料を含むことができる燃料電池機器の非限定の例は、プロトン交換膜(PEM)燃料電池、リン酸燃料電池、溶融した炭酸塩燃料電池、固体オキサイド燃料電池、アルカリ性燃料電池、直接のメタノール燃料電池、亜鉛空気燃料電池、プロトンセラミック燃料電池、および微生物燃料電池を含む。いくつかの態様において、機器は、本明細書中に記載されたような触媒材料、電極、または機器を使用して再生燃料電池であることができる。再生燃料電池は、燃料電池および電解装置を含む機器である。
【0094】
いくつかの態様において、機器は、本明細書中に記載されたような電極または機器を使用する再生燃料電池であることができる。再生燃料電池は、燃料電池および電解装置を含む機器である。電解装置および燃料電池は、電解または燃料電池のいずれかとして稼働できる同じ構成部分によって主として規定できるか、または電解装置と燃料電池との一方もしくは両方は、機器のためのみに使用されるが他のためには使用されない構成部分を含むことができる。例えば、再生燃料電池は、電位、燃料等の入手可能性および設定によって、第1の電極と第2の電極との両方が電解装置と燃料電池との両方のために使用される第1の電極および第2の電極を含むことができる。もう一つの例として、再生燃料電池は、それ自身の一式の電極、電解質、区画、および種々の連結によって規定された電解槽、ならびに電解槽のいくつかまたは全ての構成部分と異なる、それ自身の電極等によって規定される別個の燃料電池を含むことができる。使用の例として、電解装置および燃料電池が同じ構成部分によって主として規定され、機器が電解装置として機能する場合、酸素および水素ガスを、一組の少なくとも2つの電極を使用して水から生成できる。
酸素および水素ガスは貯蔵でき、そして機器が燃料電池として機能する場合、これらの同じ電極を使用して、または同じ電極の少なくとも1つを使用して燃料として使用できる。この配置において、システムが実質的に含まれ、そして繰り返し使用できる。
【0095】
いくつかの態様において、本明細書中に記載された電極および組成物は、光起電利用(photovoltaic assisted)光電気化学電池および/または光活性組成物と連結して使用できる。ある場合には、光活性組成物は、光電池、三接合アモルファスシリコン(triple−junction a−Si)光電池、半導体、またはp−タイプ半導体フォトカソードである。光電気化学電池、機器、および関連した方法は、当業者に公知であろう。ある場合には、触媒材料は、光活性組成物と直接的に関連でき(例えば、触媒材料は光活性組成物と直接接触している)、または光活性組成物は間接的に関連できる(例えば、触媒材料は光活性組成物と連結して使用されるが、触媒材料と直接接触しない)。例えば、一態様では、光起電利用光電気化学電池で起こるであろうプロセスは以下のようである。第1の電極は、電磁照射に曝されることができ、第1の電極は、光電池の片側に適用された透明導電性被膜を含む。第2の電極は、光電池の反対側に適用されることができ、そして本明細書中に記載されたような合金と接合した導電性層を含むことができる。光は透明被膜を透過でき、そして第1の電極の下の光電池を励起でき、そして電荷キャリアー(例えば、電子正孔対)の生成となることができる。水は、第1の電極において生成された正孔によって酸化できる。第1の電極で生成された水素イオンは、(例えば、電解質を通して)本明細書中に記載された合金水素発生触媒を含む第2の電極に輸送されることができ、そして第1の電極で生成された電子は、光電池を通して第2の電極に移送されることができる。輸送された水素イオン(例えば、H+またはH2P04−などの別の形態)は、第2の電極において輸送された電子で還元されることができ、それによって水素ガスを生成する。
【0096】
一態様では、タンデムのフォトアノード光起電性、光電気化学電池で起こるプロセスは以下のようである。第1の電極は、電磁照射にさらされることができ、第1の電極は、n−タイプ半導体を含み、そして第2の電極に対して正にバイアスされることができる。光は第1の電極の半導体材料を励起でき、そして電荷キャリアー(例えば、電子正孔対)の生成となることができる。水は第1の電極で生成された正孔によって酸化されることができる。第1の電極で生成された水素イオンは、(例えば、電解質をとおして)本明細書中に記載されたような合金を含む第2の電極に輸送されることができ、そして第1の電極で生成された電子は、回路を通して第2の電極に移送されることができる。輸送された水素イオン(例えば、H+またはH2P04−などの別の形態)は、第2の電極において輸送された電子で還元されることができ、それによって水素ガスを生成する。
【0097】
光活性組成物は、当業者に公知であろう。光活性材料の非限定の例は、TiO2、WO3、SrTiO3、TiO2−Si、BaTiO3、LaCrO3−TiO2、LaCrO3−RuO2、TiO2−In2O3、GaAs、GaP、p−GaAs/n−GaAs/pGao.2In0.48P、AIGaAs/SiRuO2、PbO、FeTiO3、TaO3、MnTiO3、SnO2、Bi2O3、Fe2O3(ヘマタイトを含む)、ZnO、CdS、MoS2、CdTe、CdSe、CdZnTe、ZnTe、HgTe、HgZnTe、HgSe、ZnTe、ZnS、HgCdTe、HgZnSe等、またはそれらの複合物を含む。ある場合には、光活性組成物はドープされることができる。例えば、TiO2は、Y、V、Mo、Cr、Cu、Al、Ta、B、Ru、Mn、Fe、Li、Nb、In、Pb、Ge、C、N、S等によりドープされることができ、そしてSrTiO3は、Zrによりドープされることができる。光活性組成物は、例えば、単結晶ウェハー、被膜(例えば、薄膜)、ナノ構造の配列、ナノワイヤー等を含む任意の好適なモルホロジーまたは配置に提供されることができる。当業者は、選択された形態の光活性組成物を調製するための方法および技術を知っているであろう。例えば、ドープTiO2は、スパッタリング、ゾルゲル、および/またはTiの陽極酸化によって調製されることができる。例示的な態様では、光活性組成物は、任意選択的にドープされた、またヘマタイトとしても知られているα−Fe2O3を含むことができる。
【0098】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような(例えば、水の電解のための)電気化学システムおよび/または機器は、本明細書中に記載された過電圧の任意の1つにおいて主として維持される電圧で稼働できる。すなわち、そうしてシステムにおいて、過電圧は、本明細書中に記載された1つのレベル、または1つの範囲内の一定のレベルで維持されることができるが、一定に維持される必要はない。システムの電位は、使用の間、工程ごとの様式またはその同類のもので、線形に、非線形に調整されることができる。しかし、ある場合には、本明細書中に記載された過電圧でまたは本明細書中に記載された範囲内で、システムが稼働される時間の少なくとも約25%、少なくとも約45%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも98%、システムは稼働される。一態様では、電圧は、システムおよび/または機器が稼働される実質的に100%の間そうした過電圧に保たれる。これは、システムは、記載された過電圧に保たれることができるが、使用の期間の間そのレベルまたはその範囲の外であるが、本発明にこの形態に従って、上記時間パーセンテージを超えないで、動かされることができることを意味する。
【0099】
機器の電極の性能は、電流密度(例えば、幾何学的なおよび/または全電流密度)によって測定されることができ、ここで電流密度は、保存された電荷の流れの密度の尺度である。例えば、電流密度は、断面図の単位面積当たり電流である。ある場合には、本明細書中に記載されたような電極の電流密度(例えば、本明細書中に記載されたような幾何学的電流密度および/または全電流密度、)は、約0.1mA/cm2超、約1mA/cm2超、約5mA/cm2超、約10mA/cm2超、約20mA/cm2超、約25mA/cm2超、約30mA/cm2超、約50mA/cm2超、約100mA/cm2超、約200mA/cm2超、およびその同類のものである。
【0100】
いくつかの態様において、電流密度は、幾何学的電流密度として記載されたように記載されることができる。本明細書中で使用される場合、幾何学的電流密度は、電極の幾何学的な表面積によって割った電流である。電極の幾何学的な表面積は当業者によって理解されるであろうし、そして電極(または電流コレクタ)の外側境界を画定する表面、例えば、巨視的測定具(例えば、定規)によって測定できる範囲をいい、そして表面積(例えば、発泡体等の多孔質材料の孔の内側の面積、またはメッシュ内に含まれ、そして外側境界等を画定しないメッシュのこれらの繊維の表面積)を含まない。
【0101】
いくつかの態様において、電流密度は、幾何学的電流密度として記載されたように記載されることができる。本明細書中で使用される場合、幾何学的電流密度は、電極の幾何学的な表面積によって割った電流である。電極の幾何学的な表面積は当業者によって理解されるであろうし、そして電極(または電流コレクタ)の外側境界を画定する表面、例えば、巨視的測定具(例えば、定規)によって測定できる範囲をいい、そして表面積(例えば、発泡体等の多孔質材料の孔の内側の面積、またはメッシュ内に含まれ、そして外側境界等を画定しないメッシュのこれらの繊維の表面積)を含まない。
【0102】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような機器および/または電極は、酸素生成または水素生成が生じる電極においてcm2当りで、それぞれ、時間当り少なくとも約1μmol(マイクロモル)、少なくとも約5μmol、少なくとも約10μmol、少なくとも約20μmol、少なくとも約50μmol、少なくとも約100μmol、少なくとも約200μmol、少なくとも約500μmol、少なくとも約1000μmol、またはそれ以上のの酸素および/または水素を生成できる。電極の面積は、本明細書中に記載されたような幾何学的な表面積または全表面積であることができる。
【0103】
ある場合には、電解装置は、光電池に電気的に接続可能であり、そして光電池によって駆動されることができるように組み立てられかつ並べられることができる(例えば、光電池は、水の電解用機器のための電源であることができる)。光電池は、光を吸収し、そして電気エネルギーに変換する光活性材料を含む。当業者は、光電池「に電気的に接続可能であり、そして」光電池に「よって駆動されることができるように組み立てられかつ並べられることができる」機器の意味を理解するであろう。この配置は、梱包、取扱説明書、独自の(機械的および/または電気的)接続上の特徴、またはその同類のものを通して、相互に連結されることを明らかに示された光電池および電解装置を含む。この態様または他の態様において、2つの(光電池および電解装置)は、キットとして共に梱包されることができる。電解装置は、本明細書中に記載されたような電極または機器のいずれかを含むことができる。光電池、ならびにこれを提供する方法およびシステムは、当業者に公知であろう。ある場合には、本明細書中に記載されたような電極の使用で、時間当りで、光電池のcm2当り、少なくとも約1μmol(マイクロモル)、少なくとも約5μmol、少なくとも約10μmol、少なくとも約20μmol、少なくとも約50μmol、少なくとも約100μmol、少なくとも約200μmol、少なくとも約500μmol、少なくとも約1000μmolの酸素および/または水素ガスの生成速度で水の電解を進めることができる。特定の態様では、本明細書中に記載されたような光起電性機器および電解装置を含む機器は、時間当り、光電池のcm2当り、少なくとも約10μmolの酸素および/または水素ガスを生成できる。
【0104】
ある場合には、本明細書中に記載されたような機器および方法は、ほぼ周囲条件において行うことができる。周囲条件は、機器および/または方法に関連する温度および圧力を規定する。例えば、周囲条件は、約25℃の温度および約1.0気圧(例えば、1気圧、14psi)の圧力によって規定されることができる。ある場合には、この条件は本質的に周囲のものであることができる。本質的に周囲温度範囲の非限定の例は、約0℃〜約40℃、約5℃〜約35℃、約10℃〜約30℃、約15℃〜約25℃、約20℃において、約25℃において、およびその同類のものを含む。本質的に周囲圧力範囲の非限定の例は、約0.5気圧〜約1.5気圧、約0.7気圧〜約1。3気圧、約0.8〜約1。2気圧、約0.9気圧〜約1。1気圧、およびその同類のものを含む。特定の場合には、圧力は、約1。0気圧であることができる。周囲または本質的に周囲条件は、任意の条件(例えば、pH等の条件)とともに、本明細書中に記載された、機器、組成物、触媒材料および/または方法のいずれかとともに、使用されることができる。
【0105】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような方法および/または機器の使用の間に提供され、そして/または生成された水は、ガス状態であることができる。当業者は、蒸気を用いて、ある場合には、過度の実験なしで行われる公知の電気化学的技術を適用できる。例示的な態様として、ある場合には、水は、電極を含む電解装置(例えば、高温度電解または蒸気電解)に、ガス状態で提供されることができる。ある場合には、機器に提供されたガス状の水は、蒸気を本来的に生成する機器またはシステム(例えば、原子力発電所)によって、生成されることができる。ある場合には、電解装置は、第1の多孔質電極および第2の多孔質電極(例えば、本明細書中に記載されたような電極、ニッケルサーメット蒸気/水素電極、混合酸化物電極(例えば、ランタン、ストロンチウム等を含む、コバルト酸素電極等)および電解質を含むことができる。電解質は、選択されたガス(例えば、酸素、オキサイド、分子ガス(例えば、水素、窒素等))に非浸透性であることができる。電解質の非限定の例は、イットリア安定化ジルコニア、バリウム安定化ジルコニア等を含む。ガス状態の水を使用できる1つの電解装置の非限定の例が図3に示されている。電解装置は、第1の電極200、第2の電極202、非浸透性の電解質204、電源208、および第1の電極と第2の電極とを接続する回路206を含んで提供され、ここで第2の電極202は、第1の電極200に対して正にバイアスされている。ガス状の水210は、第1の電極200に提供される。
酸素ガス212は、第1の電極200に提供され、そして時々ガス状の水214を含むことができる。水素ガス216は、第2の電極202で生成される。いくつかの態様において、蒸気電解は、約100℃〜約1000℃、約100℃〜約500℃、約100℃〜約300℃、約100℃〜約200℃、またはその同類のものの温度で行われることができる。何らかの理論に拘束されることを望まないが、ある場合には、ガス状態の水を提供することは、水が液体状態中で提供される類似の機器に比較して、さらに効率的に電解を進めることができる。これは、水蒸気のより高い入力エネルギーによることができる。いくつかの例において、提供されるガス状の水は、他のガス(例えば、水素ガス、窒素ガス等)を含むことができる。
【0106】
本明細書中に記載されたもの等の電気化学装置に含まれる全体的な電気化学および/または化学の個々の形態は通常公知であり、そして本明細書中に必ずしもすべて詳細に記載されていないであろう。当然のことながら、本明細書中に記載された具体的な電気化学装置は、例示的であるのみであり、そして本明細書中に記載されたような構成部分、連結、および技術は、種々の固体、液体、および/またはガス状燃料、および種々の電極、および電解質(これらは、操作条件下で液体または固体(隣接した構成部分のために実現可能な所では;通常、1種が固体であり、そして液体がある場合には、1種が液体であろう。))を含む任意の好適な電気化学装置に実際に適用できる。記載された電気化学装置ユニット配置が、本明細書中に記載されたように電極を使用できる電気化学装置の単なる例であることがまた理解される。本明細書中に記載されたように、使用され、そして可能とするこれらの本明細書中に開示された以外の多くの構造的な配置は、当業者に明らかであろう。
【0107】
したがって、電気化学装置は、より大きい機器またはシステムを形成するように追加の電気化学装置と組み合わせられることができる。いくつかの態様において、これはユニットまたは機器(例えば、燃料電池および/または電解装置)のスタックの形態を取ることができる。1超の電気化学装置が組み合わせられる場合、機器はすべて本明細書中に記載されたような機器であることができ、または本明細書中に記載されたような1種または2種以上の機器は、従来の固体酸化物燃料電池等の他の電気化学装置と組み合わせることができる。当然のことながら、この用語が使用される場合、本発明のシステムおよび技術に従って機能できると当業者が理解するであろう任意の好適な電気化学装置は、置き換えられることができる。
【0108】
上記のように、いくつかの態様において、水は、少なくとも1種の不純物(水の供給源中に自然に存在する、例えば、物質、化合物、化学品等)および/または少なくとも1種の添加物(水の供給源に故意に加えられた、例えば、物質、化合物、化学的等)を含むことができる。少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物の存在は、電極の性能にほとんど影響できないか、または実質的に全く影響できない。例えば、ある場合には、本質的に同一の条件下で不純物または添加物を実質的に含まない水を使用した活性に対して、少なくとも1種の不純物または添加物を含む水を使用した活性レベルとほぼ同じで、約95%超で、約90%超で、約80%超で、約70%超で、約60%超で、約50%超で、またはその同類のもので電極は稼働できる。ある場合には、電極の電流密度(または他の性能パラメーター)は、本質的に一定の電気化学的条件下で、約1時間、約2時間、約4時間、約8時間、約12時間、約18時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約1週間、約2週間、約1月、またはそれ以上の時間にわたって、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約8%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、またはそれ以下を超えては決して低下できない。ある場合には、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【0109】
用語「本質的に一定の電気化学的条件」は、本明細書中で使用される場合、電極が、本質的に稼働条件になんら調整がされずに、ある時間期間の間稼働される一式の条件をいう。例えば、具体的にシステムの性能を高めるためまたは低下させるために、調整はなんらなされない。しかし、当然のことながら、必要な場合、補充反応物および/または消費される試薬に関連した条件の変化、またはシステムの稼働による条件における固有の変化(例えば、機器の稼働による温度の上昇)は、通常本質的に一定の条件のための用語「本質的に一定の電気化学の条件。」に含まれるものと考えられ、システムの物理的配置および/または操作パラメーターは、所望の時間の間の稼働の間に変化しない。例えば、電圧または電流(これらの1つのが一定に保たれる場合)、入力または出力電源、生成または消費されたガス、回路、構成部分配置、材料等は、本質的に一定の条件の稼働の間に本質的に類似の状態(例えば、システムに適用された電圧/電流が上昇または低下しない、システムの配置において変化しない等)に維持される。ある場合には、反応物および/または試薬は、消費されることができ、そして必要な場合、反応物および/または試薬の濃度または他の測定可能なパラメーター(例えば、pH)が稼働の間に本質的に一定であるように、(例えば、約0.01M未満、約0.03M未満、約0.05M未満、約0.1M未満、約0.2M未満、約0.3M未満等)のアニオン性種の濃度の変化がないように)追加量の反応物および/または試薬が提供されることができる。ある場合には、システムの温度は、システム(例えば、回路加熱)における固有のプロセスにより使用の間上昇または低下でき、そしてこれは、用語「本質的に一定の条件」に含まれるものと理解されるべきである。しかし、外部の熱源への暴露によりシステムの温度における変化は、用語「本質的に一定の条件。」に含まれるとは考えられない。
【0110】
機器、電極、および/または任意の好適な供給元を使用して本明細書中に記載された方法のために、水を供給できる。ある場合には、水は、実質的に純粋な水の供給元(例えば、蒸留水、脱イオン水、化学的グレードの水等)から供給されることができる。ある場合には、水は、瓶詰め水であることができる。ある場合には、水は、天然の供給元および/または純粋でない水の供給元(例えば、水道水、湖の水、海水、雨水、川/小川の水、湖の水、池水、海水、飲料水、汽水、工業用プロセス水等)から提供されることができる。ある場合には、水は、使用の前に(例えば、電解のためのシステム/電極に提供される前に)精製されない。いくつかの例において、水は、使用の前に、粒子および/または他の不純物を除去するためにろ過されることができる。いくつかの態様において、酸素ガス(例えば、本明細書中に記載された電極および/または機器を使用して)酸素ガスを生成するために電解される水は、実質的に純粋であることができる。水の純度は、当業者に公知の1種または2種以上の方法、例えば、抵抗率、(例えば、全有機炭素分析器の使用を通して)炭素含有量、UV吸光度、酸素吸光度試験、カブトガニ血球抽出成分(limulus ameobocyte lysate)試験等を使用して、決定できる。
【0111】
少なくとも1種の不純物または添加物は、固体(例えば、粒子状物)、液体、および/またはガスであることができる。ある場合には、不純物または添加物は、可溶化され、そして/または溶解されることができる。例えば、不純物は、イオン性種を含むことができる。ある場合には、不純物は、水の供給元(例えば、水道水、非飲料水、飲料水、海水等)に存在する場合がる不純物であることができる。特定の態様では、上記さらにはここに記載したように、水の供給元は、海水であることができ、そして不純物の1種は、クロライドイオンであることができる。ある場合には、不純物または添加物は、(重金属を含む)金属元素、金属イオン、少なくとも1種の金属を含む化合物、金属を含むイオン性種等の金属を含むことができる。例えば、金属を含む不純物または添加物は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、遷移金属、またはその同類のものを含むことができる。金属の具体的非限定の例は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カリウム、水銀、鉛、バリウム等を含む。ある場合には、不純物または添加物は、有機材料、例えば、有機分子(例えば、ビスフェノールA、トリメチルベンゼン、ジオキサン、ニトロフェノール等)、(バクテリア(例えば、エシェリキア、大腸菌等)、細菌、菌類、藻等の)微生物、他の生物学的物質、薬剤的化合物(例えば、薬物、薬物からの分解性性物)、除草剤、ピロゲン、殺虫剤、タンパク質、放射性化合物、無機化合物(例えば、ホウ素、ケイ素、硫黄、窒素、シアン化、リン、ヒ素、ナトリウム等;二酸化炭素、ケイ酸塩(例えば、H4S1O4)、第一鉄および第二鉄化合物、クロライド、アルミニウム、リン酸塩、硝酸塩等を含む化合物)、溶解されたガス、懸濁された粒子(例えば、コロイド)、またはその同類のものを含むことができる。ある場合には、不純物または添加物は、ガス、例えば、一酸化炭素、アンモニア、二酸化炭素、酸素ガス、および/または水素ガスであることができる。ある場合には、ガス不純物は、水中に溶解されていることができる。ある場合には、約5モル%未満、約3モル%未満、約2モル%未満、約1モル%未満、約0.5モル%未満、約0.1モル%未満、約0.01モル未満%の生成された生成物が少なくとも1種の不純物の任意の部分を含むように、電極は、少なくとも1種の不純物を含む水から水素を生成できる。
【0112】
ある場合には、不純物は、約1ppt超、約10ppt超、約100ppt超、約1ppb超、約10ppb超、約100ppb超、約1ppm超、約10ppm超、約100ppm超、約1000ppm超、またはそれ以上の量で水中に存在できる。他の場合、不純物は、約1000ppm未満、約100ppm未満、約10ppm未満、約1ppm未満、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、約1ppt未満、またはその同類のものの量で水中に存在できる。ある場合には、水は、少なくとも1種の不純物、少なくとも2種の不純物、少なくとも3種の不純物、少なくとも5種の不純物、少なくとも10種の不純物、少なくとも15種の不純物、少なくとも20種の不純物、それ以上の不純物を含むことができる。ある場合には、不純物の量は、電極および/または機器の稼働の間に増加または減少できる。すなわち、不純物は、電極および/または機器の使用の間にセ制されることができる。例えば、ある場合には、不純物は、水の電解の間に生成されたガス(例えば、酸素ガスおよび/または水素ガス)であることができる。したがって、ある場合には、水は、電極および/または機器の稼働の前に、約1000ppm未満、約100ppm未満、約10ppm未満、約1ppm未満、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、約1ppt未満、またはその同類のものの不純物を含むことができる。
【0113】
いくつかの態様において、少なくとも1種の不純物は、イオン性種であることができる。ある場合には、水が少なくとも1種のイオン性種を含む場合、水の純度を、水の抵抗率を測定することにより、少なくとも部分的に決定できる。25℃で水の理論上の抵抗率は、約18.2ΜΩ・cmである。実質的に純粋でない水の抵抗率は、約18ΜΩ・cm未満、約17ΜΩ・cm未満、約16ΜΩ・cm未満、約15ΜΩ・cm未満、約12ΜΩ・cm未満、約10ΜΩ・cm未満、約5ΜΩ・cm未満、約3ΜΩ・cm未満、約2ΜΩ・cm未満、約1ΜΩ・cm未満、約0.5ΜΩ・cm未満、約0.1ΜΩ・cm未満、約0.01ΜΩ・cm未満、約1000Ω・cm未満、約500Ω・cm未満、約100Ω・cm未満、約10Ω・cm未満、またはそれ以下であることができる。ある場合には、水の抵抗率は、約10MΩ・cm〜約1Ω・cm、約1Ω・cm〜約10Ω・cm、約0.1MΩ・cm〜約100Ω・cm、約0.01MΩ・cm〜約1000Ω・cm、約10、000Ω・cm〜約1、000Ω・cm、約10、000Ω・cm〜約100Ω・cm、約1、000Ω・cm〜約1Ω・cm、約1、000Ω・cm〜約10Ω・cm、およびその同類のものであることができる。ある場合には、水の供給元が水道水である場合、水の抵抗率は、約10、000Ω・cm〜約1、000Ω・cmであることができる。ある場合には、水の供給元が海水である場合、水の抵抗率は、約1、000Ω・cm〜約10Ω・cmであることができる。いくつかの例において、水が純粋でない供給元から取られ、そして使用の前に精製された場合、水は、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約50%、またはその同類のもの超増の抵抗率でない様式で精製されることができる。当業者は、水の抵抗率を決定する方法を知っているであろう。例えば、水中に浸された平行電極の間の電気抵抗を測定できる。
【0114】
ある場合には、水は、純粋でない水の供給元から得られ、そして/または約16ΜΩ・cm未満の抵抗率を有する場合、水は、電解における使用の前に供給元から引かれた後で、約50%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、またはそれ以下だけその抵抗率を変化する様式で、精製(例えば、ろ過)されることができる。
【0115】
いくつかの態様において、例えば、電極を海水の脱塩に使用できるように、水は、ハロゲン化物イオン(例えば、フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド)を含むことができる。ある場合には、ハロゲン化物イオンは、水からの水素ガスの生成の間、(例えば、Cl2等のハロゲンガスを生成するように)酸化されないことができる。ある場合には、約5モル%未満、約3モル%未満、約2モル%未満、約1モル%未満、約0.5モル%未満、約0.1モル%未満、約0.01モル%未満の発生したガスが酸化されたハロゲン化物種を含むように、電極はハロゲン化物イオンを含む水から水素を触媒的に生成できる。いくつかの態様において、不純物は、塩化ナトリウムである。
【0116】
ある場合には、水の酸化は、動力学、溶解度、およびその同類のものを含む種々の因子により、ハロゲン化物イオン(または他の不純物)の酸化を支配する。例えば、金属イオン性種の配位圏が、アニオン性種によって占有されるように、アニオン性種への金属イオン性種の結合親和性は、ハロゲン化物イオンへの金属イオン性種の結合親和性より大きいことができる。本明細書中に記載されたような電極が、例えば、好適な技術、例えば、質量分析を使用してハロゲンガス(または酸化されたハロゲン化物イオンを含む種)の生成を監視することによって、ハロゲン化物イオンを含む水を使用して水素ガスを生成できる場合、当業者は決定できるであろう。
【0117】
ある場合には、水の供給元は、少なくとも1種の添加物(例えば、水の供給元に故意に加えられた化合物または物質)を含むことができる。いくつかの態様において、添加物は、アニオン性種であることができる。例えば、ある場合には、機器は、電流コレクタおよび合金を含む第1の電極ならびに電流コレクタおよび少なくとも1種のアニオン性種および少なくとも1種の金属イオン性種を含む触媒材料を含む第2の電極を含むことができる。水の供給元は、少なくとも1種のアニオン性種を含むことができる。ある場合には、電解質は、触媒材料中に含まれる少なくとも1種のアニオン性種と異なるアニオン性種を含むことができる。例えば、触媒材料は、リン酸塩アニオンを含むことができ、そして電解質は、ホウ酸塩アニオンを含むことができる。
【0118】
ある場合には、添加物がアニオン性種である場合、電解質は、(例えば、アニオン性種が錯体、塩等として加えられる場合)対カチオンを含むことができる。アニオン性種は、良好なプロトン受容種であることができる。ある場合には、添加物は、アニオン性でない(例えば、中性の塩基である)良好なプロトン受容種であることができる。中性である良好なプロトン受容種の非限定の例は、ピリジン、イミダゾール、およびその同類のものを含む。水中で添加物または不純物の濃度は、ほぼもしくは少なくとも約0.01M、約0.1M、約0.5M、約1M、約2M、約5M、約10M、もしくはその同類のもの、または約0.01M〜約10M、約0.1M〜約5M、約0.5M〜約2M、もしくはその同類のものであることができる。ある場合には、水の少なくとも1種の不純物の濃度は、ほぼまたは少なくとも約1pM(ピコモル)、約10pM、約100pM、約1μM(マイクロモル)、約10μM、約100μM、約0.001M、約0.1M、またはそれ以上であることができる。
【0119】
ある場合には、添加物(例えば、アニオン性種)、例えば、H2PO4−またはHPO−2は、水素イオンを受け取り、そして/または与えることができる。アニオン性種の非限定の例は、リン酸塩(H3PO4またはHPO4−2、H2PO4−2またはPO4−3)の形態、硫酸塩(H2SO4またはHSO4−、SO4−2)の形態、炭酸塩(H2CO3またはHCO3−、CO3−2)の形態、ヒ酸塩(H3AsO4またはHAsO4−2、H2AsO4−2またはAsO4−3)の形態、亜リン酸塩(H3PO3またはHPO3−2、H2PO3−2またはPO3−3)の形態、亜硫酸塩(H2SO3またはHSO3−、SO3−2)の形態、ケイ酸塩の形態、ホウ酸塩(例えば、H3BO3、H2BO3−、HBO3−2等)の形態、硝酸塩の形態、亜硝酸塩の形態、およびその同類のものを含む。いくつかの態様において、添加物は、(例えば、水のpHが6〜10、またはほぼ中性、または本明細書中に記載された任意の他のpH範囲にあるように)バッファーとして機能できる。いくつかの態様において、添加物は、水を塩基性(例えば、OH、NaOH等)となるようにする化合物または物質ではない。すなわち、添加物は、水が約10以上のpHを有するようにさせない。
【0120】
ある場合には、添加物(例えば、アニオン性種)は、ホスホネートの形態であることができる。ホスホネートは、構造PO(OR1)(OR2)(R3)[式中R1、R2、およびR3は同一であるかまたは相違することができ、そしてH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、またはヘテロアリールであって、これらすべては任意選択的に置換されているか、または(例えば、化合物がアニオン、ジアニオン等であることができるように)任意選択的に存在しない]を含む化合物である。特定の態様では、R1、R2、およびR3は、同一であるかまたは相違することができ、そしてH、アルキル、またはアリールであって、すべて任意選択的に置換されている。ホスホネートの非限定の例は、PO(OH)2R1(例えば、PO2(OH)(R1)−y、PO3(R1)−2)(式中、R1は、上記で規定された(例えば、メチル、エチル、プロピル等のアルキル;フェノール等のアリール等)の形態である。特定の態様では、ホスホネートは、メチルホスホネート(PO(OH)2Me)、またはフェニルホスホネート(PO(OH)2Ph)の形態であることができる。リン含有アニオン性種の他の非限定の例は、亜ホスフィン酸エステル(phosphinites)(例えば、P(OR1)R2R3)の形態および亜ホスホン酸エステル(phosphonites)(例えば、P(OR1)(OR2)R3)(式中、R1、R2、およびR3は上記の様である)の形態を含む。他の場合、アニオン性種は、以下の化合物:R1SO2(OR2))、SO(OR1)(OR2)、CO(OR1)(OR2)、PO(OR1)(OR2)、AsO(OR1)(OR2)R3)、(式中R1、R1、およびR3上記の様である)の1つの任意の形態を含むことができる。上記のアニオン性種に関して、当業者は、アニオン性種のための適当な置換基を決定できるであろう。
【0121】
いくつかの態様において、添加物(例えば、アニオン性種)は、良好なプロトン受容種であることができる。本明細書中で使用される場合、「良好なプロトン受容種」は、特定のpHレベルで良好な塩基として機能する種である。例えば、種は、第1のpHで良好なプロトン受容種であることができ、そして第2のpHで貧弱なプロトン受容種であることができる。当業者はこれに関連した良好な塩基を特定できる。ある場合には、良好な塩基は、溶液中で共役酸のpKaがプロトン供与体のpKaより大きい化合物であることができる。具体例として、SO−2は、約pH2.0で良好なプロトン受容種であることができ、そして約pH7.0で良好でないプロトン受容種でないことができる。種は、共役酸のpKa値当りで良好な塩基として機能できる。例えば、HPO4−2の共役酸は、約7.2のpKa値を有するH2PO4−である。したがって、HPO4−2は、pH7.2の周りでは良好な塩基として機能できる。ある場合には、種は、共役酸のpKa値より少なくとも約4pH単位、約3pH単位、約2pH単位、または約1pH単位上および/または下のpHレベルを有する溶液中で良好な塩基として機能できる。当業者は、どのpHレベルでアニオン性種が良好なプロトン受容種であるかを決定できるであろう。
【0122】
アニオン性種は、アニオン性種および対カチオンを含むアニオン性化合物として提供されることができる。対カチオンは、任意のカチオン性種、例えば、金属イオン(例えば、K+、Na+、Li+、Mg+2、Ca+2、Sr+2)、NR4+(例えば、NH4+);H+、およびその同類のものであることができる。具体的な実施形態において、用いられるアニオン性化合物は、K2HPO4であることができる。いくつかの態様において、添加物は、商業的供給元から供給されることができる。商業的供給元は、少なくとも1種の不純物を含むことができ(例えば、リン酸塩の場合、カリウムが存在できる)、商業的供給元中の少なくとも1種の不純物はまた、電極の性能にほとんどまたは実質的に全く影響しない。
【0123】
電極、電源、電解質、分離器、容器、回路、絶縁材料、ゲート電極等の機器の種々の構成部分は、種々の構成部分のいずれか、ならびに本明細書中に記載された特許出願のいずれかに記載されたものから当業者によって加工されることができる。構成部分は、成形され、機械加工され、押し出され、プレスされ、アイソプレスされ(isopressed)、浸透処理され、被覆され、未熟状態(in green state)または焼成状態とされ、または任意の他の好適な技術によって生成されることができる。当業者は、本明細書中に記載された機器の構成部分を形成するための技術を容易に気付くであろう。
【0124】
当業者に公知の電解質は、イオン的に導電性の媒体として機能できる自由イオンを含む任意の物質である。ある場合には、電解質は、液体、ゲル、および/または固体であることができる。ある場合には、電解質は、水を含むことができ、水の供給元として機能できる。しかし、他の態様において、電解質は、例えば、i電解質が固体である態様において、水を含まない。電解質は、メタノール、エタノール、硫酸、メタンスルホン酸、硝酸、HClの混合物、酢酸のような有機酸等をまた含むことができる。ある場合には、電解質は、水、有機溶媒、アミンおよびその同類のもの等の溶媒の混合物を含むことができる。ある場合には、電解質(または水の供給元)のpHは、ほぼ中性であることができる。すなわち、電解質(または水の供給元)のpHは、約5.5〜約8.5、約6.0〜約8.0、約6.5約7.5であることができ、そして/またはpHは、約7.0である。特定の場合には、pHは、約7.0である。他の場合、電解質のpHは、ほぼ中性または酸性である。これらの場合、pHは、約0〜約8、約1〜約8、約2〜約8、約3〜約8、約4〜約8、約5〜約8、約0〜約7.5、約1〜約7.5、約2〜約7.5、約3〜約7.5、約4〜約7.5、約5〜約7.5の範囲であることができる。また他の場合、pHは、約6〜約10、約6〜約11、約7〜約14、約2〜約12、およびその同類のものであることができる。具体的な実施形態において、pHは、約6〜約8、約5.5〜約8.5、約5.5〜約9.5、約5〜約9、約3〜約11、約4〜約10、または任意の他のそれらの組み合わせである。ある場合には、電解質が固体である場合、電解質は、固体ポリマー電解質を含むことができる。固体ポリマー電解質は、プロトン等のカチオンまたはアニオンを伝導する固体電解質として機能でき、そして電気化学電池内で生成され、そして/または利用されるガスを分離できる。固体ポリマー電解質の非限定の例は、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、硬化または架橋されたポリアクリレートおよび/またはポリウレタン、および市販されているNAFION(商標)である。非液体電解質の非限定の態様は、リチウム塩およびポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイド等のイオン導電性ポリマー;ポリビニルクロライド)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(ビニル)スルホン等の非イオン性導電性ポリマーを使用して生成されたゲルポリマー電解質、またはそれらの組み合わせを使用して生成された電解質を含む。
【0125】
いくつかの態様において、システムは、イオン交換膜を含むことができる。例えば、イオン交換膜および/またはカチオン交換膜(すなわち、アニオンおよび/またはカチオン交換可能イオンを有するもの)を使用でき、そして商業的供給元(例えば、Tokuyama(Japan)またはFuma−Tech(Germany)−ポリマーと関連した第四級アンモニウム基)から容易に入手可能である。アニオン性交換膜の非限定の例は、複数のカチオン性種(例えば、第四級アンモニウム基、ホスホニウム基等)と関連したポリ(エチレンコ−テトラフルオロエチレン)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンコ−テトラフルオロエチレン)、ポリ(エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテル)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)カルド(cardo)、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレンオキサイド)、ポリスルホン、またはポリエーテルスルホンを含む。
【0126】
ある場合には、電解質は、1種または2種以上のイオン性種を選択的に輸送するために使用されることができる。いくつかの態様において、電解質は、酸素イオン導電性膜、プロトン伝導体、炭酸塩(CO32)伝導体、OH−伝導体、および/またはそれらの混合物の少なくとも1種である。ある場合には、電解質は、立方晶系蛍石構造、ドープされた立方晶系蛍石、プロトン交換ポリマー、プロトン交換セラミック、およびそれらの混合物の少なくとも1種である。さらに、電解質として使用できる酸素イオン導電性オキサイドは、ガドリニウムドープセリア(Gdx1−xCexO2−d)またはサマリウムドープセリア(Sm1−xCexO2−d)等のドープされたセリア化合物、イットリウムドープジルコニア(Y1−xZrxO2−d)等のドープされたジルコニア化合物またはスカンジウムドープジルコニア(Sc1−xZrxO2−d)、La1−xSrxGa1−yMgyO3−d等のペロブスカイト材料、イットリア安定化ビスマスオキサイド、および/またはそれらの混合物を含む。電解質として使用できるプロトン導電性オキサイドの例は、未ドープおよびイットリウムドープBaZrO3−d、BaCeO3−d、およびSrCeO3−d、ならびにLa1−xSrxNbO3−dを含むがこれらに限られない。
【0127】
ある場合には、電解質は、電気化学装置中で再循環させことができる。すなわち、電気化学装置中で電解質を動かすことができる機器を提供できる。電気化学装置中の電解質の動きは、電解質の境界層を減少させることを助けることができる。境界層は、電極の直ぐ近傍にある流体の層である。通常、境界層が存在する程度は、溶液中の流体の流速の関数である。したがって、流体が流れない場合、境界層は、流体が流れる場合より遙かに大きい。
したがって、電気化学装置中の電解質の動きは、境界層を減少させることができ、そして機器の効率を改善できる。
【0128】
大部分の態様において、機器は、本明細書中に記載されたような少なくとも1つの電極を含むことができる。いくつかの例において、機器は、本明細書中に記載されたようなものの他に電極を含むことができる。いくつかの態様において、機器は、例えば、2008年6月18日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/073、701号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、2008年7月30日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/084、948号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’2008年10月8日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/103、879号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、2009年1月22日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/146、484号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、2009年5月19日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/179、581号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、および2009年6月17日出願のNoceraらの米国特許出願公開第12/486、694号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials, Electrodes, and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’(参照により本明細書中に取り込む)に記載されたような電流コレクタおよび電流コレクタと関連する(例えば、コバルトイオンおよびリンを含むアニオン性種を含む)触媒材料を含む電極を含むことができる。電流コレクタは、本明細書中に記載されたような水から水素を生成するための電極の電流コレクタに含まれるのと同一または相違できる材料を含むことができる。
【0129】
いくつかの態様において、電源は、電気化学装置にDCまたはAC電圧を供給できる。非限定の例は、電池、送電網、再生電力供給源(例えば、風力発電機、光電池、潮力エネルギー発電機)、発電奇異、およびその同類のものを含む。電源は、1種または2種以上のそうした電源(例えば、電池および光電池)を含むことができる。特定の態様では、電源は、光電池である。
【0130】
ある場合には、電気化学装置は、分離膜を含むことができる。電気化学装置のための分離膜または分離器は好適な材料、例えば、プラスチックフィルムでできていることができる。含まれるプラスチックフィルムの非限定の例は、ポリアミド、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはアクリル樹脂およびそこに分散された炭酸リチウム、または水酸化カリウム、またはナトリウムカリウム過酸化物を含む。
【0131】
本発明の電極が燃料電池と連結して使用される場合、任意の好適な燃料、酸化剤、および/または反応物等が電気化学装置に提供されることができる。特定の態様では、燃料は、酸素と反応して生成物としての水を生成する水素ガスである。しかし、他の燃料および酸化剤を使用できる。例えば、メタン等の炭化水素ガスは、生成物としての水および二酸化炭素を生成するように燃料として使用できる。天然のガス、プロパン、ヘキサン等の他の炭化水素ガスはまた、燃料として使用できる。さらに、これらの炭化水素材料は、炭素一酸化炭素等の含有燃料に改質できるか、またはあらかじめ供給され一酸化炭素はまた、燃料として使用できる。
【0132】
参照により以下の参照文献:2009年8月27日出願のEssweinらの米国仮特許出願第61/237、507号明細書、発明の名称’Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’、2009年12月4日出願のReeceらの米国仮特許出願第61/266、826号明細書、発明の名称’’Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’、2009年12月11日出願のEssweinらの米国仮特許出願第61/285、844号明細書、発明の名称’’Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’、2010年3月3日出願のReeceらの米国仮特許出願第61/310、084号明細書、発明の名称’’Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’および2010年7月16日出願のReeceらの米国仮特許出願第61/365、102号明細書、発明の名称’’Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’を本明細書中に取り込む。
【0133】
本発明の種々の形態の理解を助けることができる種々の定義を提供する。
【0134】
通常、用語「脂肪族」は、本明細書中で使用される場合、下記に記載するように、任意選択的に1つまたは2つ以上の官能基で置換された飽和および不飽和、直鎖(すなわち、非分枝)または分枝脂肪族炭化水素のいずれをも含む。当業者によって理解されるであろうように、「脂肪族」は、本明細書中では、アルキル、アルケニル、アルキニル部分を含むがこれに限られないことを意図する。したがって、具体的な脂肪族基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、部分およびその同類のもの、(そしてこれらはまた、上記に記載したように1つまたは2つ以上の置換基を有する)を含むがこれらに限られない。
【0135】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、所与のその通常の技術的意味であり、そして直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式の)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を含むことができる。類似の慣例が「アルケニル」「アルキニル」およびその同類のもの等の他の一般的な用語に適用される。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」「アルケニル」「アルキニル」およびその同類のものは、置換された基と非置換の基の両方を含む。
【0136】
いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖中に、30以下の炭素原子、そしてある場合には、20以下の炭素原子を有することができる。いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖中に、12以下の炭素原子(例えば、直鎖でC1〜C12、分枝鎖でC3〜C12)を有するか、6以下の炭素原子を有するか、または4以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、それらの環構造中に3〜10の炭素原子またはそれらの環構造中に5、6もしくは7の炭素を有する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。ある場合には、アルキル基は環状でないことができる。非環状アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−unデシル、およびドデシルを含むがこれらに限られない。
【0137】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、上記のアルキル基に長さが類似で置換可能であるが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を有する不飽和脂肪族基をいう。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。アルキニル基の非限定の例は、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニル、およびその同類のものを含む。
【0138】
用語「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、上記のアルキル基に長さが類似で置換可能であるが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を有する不飽和脂肪族基をいう。
【0139】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、−F、−Cl、−Br、または−Iを指定する。
用語「アリール」は、任意選択的に置換された、単環(例えば、フェニル)、複数環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である(例えば、1、2、3、4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)複数の縮合環を有する芳香族炭素環式基をいう。すなわち、少なくとも1つの環は、共役π電子系を有することができ、一方他の、隣接する環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/または複素環であることができる。アリール基は、本明細書中に記載されたように任意選択的に置換されていることができる。「炭素環式アリール基」は、芳香族環上の環原子が炭素原子であるアリール基をいう。炭素環式アリール基は、単環状炭素環式アリール基および多環式またはナフチル基等の(例えば、2つまたは3つ以上の隣接した環原子が2つ隣接する環に共通である)縮合環化合物を含む。アリール基の非限定の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルおよびその同類のものを含む。
【0140】
用語「ヘテロアリール」は、複素環等の環原子として少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基をいう。ヘテロアリール基の非限定の例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、およびその同類のものを含む。
【0141】
また当然のことながら、本明細書中に規定されたように、アリールおよびヘテロアリール部分は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アルキルまたはヘテロアルキル部分を介して結合されていることができ、したがってまた、−(脂肪族)アリール、−(ヘテロ脂肪族)アリール、−(脂肪族)ヘテロアリール、−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、および−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分を含む。したがって、本明細書中で使用される場合、語句「アリールまたはヘテロアリール」および「アリール、ヘテロアリール、(脂肪族)アリール、−(ヘテロ脂肪族)アリール、−(脂肪族)ヘテロアリール、−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、および−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール」は、置き換え可能である。
【0142】
上記の基はいずれも任意選択的に置換されていることができる。本明細書中で使用される場合、用語「置換」は、有機化合物のすべての許容できる置換基を含むと考えられ、「許容できる」とは、当業者に公知の原子価の化学的規則の概念である。「置換」はまた、例えば、転位、環化、除去等によるなどの転化を自発的に受けない安定な化合物となる置換を含むと理解されるであろう。ある場合には、「置換」は、通常水素の本明細書中に記載されたような置換基との置換をいうことができる。しかし、「置換」は、本明細書中で使用される場合、「置換された」官能基が、置換を通して、例えば、異なる官能基になるような、それによって分子が特定される重要な官能基の置換および/または変更を含まない。例えば、「置換フェニル基」は、依然フェニル部分を含まなければならず、そして置換によって、この定義において、例えば、ピリジン環に変更されることはできない。広い形態では、許容できる置換基は、有機化合物の非環式および環状、分枝および非分枝、炭素環式および複素環、芳香族および非芳香族置換基を含む。具体的な置換基は、例えば、本明細書中に記載されたものを含む。許容できる置換基は、1種または2種以上のかつ同一であるかまたは相違する適当な有機化合物であることができる。本発明の目的のために、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の価数を満たす本明細書中に記載された有機化合物の任意の許容できる置換基を有することができる。
【0143】
置換基の例は、脂肪族の、脂環式の、ヘテロ脂肪族の、ヘテロ脂環式の、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、ヘテロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN、アリール、アリールオキシ、パーハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン化物、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキサミド、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、シアノ、アルコキシアルキル、パーハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキル、(例えば、SO4(R’)2)、リン酸塩(例えば、PO4(R’)3)、シラン(例えば、Si(R’)4)、ウレタン(例えば、R’O(CO)NHR’)、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。さらに、置換基は、F、Cl、Br、I、−OH、−NO2、−CN、−NCO、−CF3、−CH2CF3、−CHC12、−CH2ORx、−CH2CH2ORx、−CH2N(RX)2、−CH2SO2CH3、−C(O)Rx、−CO2(Rx)、−CON(Rx)2、−OC(O)Rx、−C(O)OC(O)Rx、−OCO2Rx、−OCON(Rx)2、−N(RX)2、−S(O)2Rx、−OCO2Rx、−NRx(CO)Rx、−NRx(CO)N(Rx)2から選択でき、ここでそれぞれのRxは、独立して、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリールを含むがこれらに限られず、本明細書中の任意の、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリール置換基は、置換または非置換、分枝または非分枝、環状または非環式であることができ、そして本明細書中のいずれの、アリールまたはヘテロアリール置換基は、置換または非置換であることができる。
【0144】
以下の例は本発明のある態様を具体的に示すことを目的とするが、本発明の全範囲を例示することを目的としない。
【実施例】
【0145】
例1
以下の例は、ニッケル合金(例えば、触媒材料)を含む電極の合成および水からの水素ガスの生成のための電極の使用を記載する。具体的に、白金(Pt)およびニッケルモリブデン(NiMo)について、リン酸カリウム(KPi)およびホウ酸カリウム(KBi)を含むバッファー化された溶液中での水素(H2)を発生させるそれらの触媒能力を評価した。
【0146】
材料および一般的な方法。リン酸カリウム(一塩基性)、リン酸二カリウム(二塩基性)、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム(KOH)(VWR)、ホウ酸(Sigma−Aldrich)、硫酸ニッケル六水和物(Alfa Aesar)、およびモリブデン酸ナトリウム二水和物(EMD Chemicals)を入手したまま使用した。バッファー溶液を1.0M濃度に調整し、pHをKOHで調整し、そして使用前に、溶液を0.2μmのNylaflo膜(VWR)を通してろ過した。すべての電気化学的実験を、Ag/AgCl参照電極(BASi)およびa Ptワイヤー対電極(Alfa Aesar)を有するポテンショスタット(CH instrumentsモデル760C)を使用して3電極電池設定中で行った。
【0147】
電極の調製
NiMo合金(18% Mo)を、Pt回転円盤電極(RDE)上の電気めっきにより調製した。堆積前に、Pt RDEを、アルミナを用いて研磨し、そして電解質中において1分間、超音波分解した。以下の順序:+2V(60秒);−2V(60秒);+2V(60秒);−2V(10秒)による酸化電位と還元電位との間の電位サイクルの適用により6MHCl電解質中で、電極をさらに調整した。Pt RDEを、水酸化アンモニウムを使用して10.5にpHを調整した硫酸ニッケル六水和物(64g/L)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(48g/L)、およびクエン酸ナトリウム二水和物(105g/L)を含む溶液に浸した。電極回転機(Pine instruments)を使用して2000回転/分で電極を回転させながら、100mA/cm2のカソード電流を定電流で、作用ROE電極に1時間適用した。
【0148】
電気化学的方法。
PtおよびNiMo RDEのバルク電解を、2500回転/分で回転させながら、両電解質溶液(KPi:Ag/AgClに対し−0.810V;KBi:Ag/AgClに対し−0.940V)中で、H2の発生のための−200mV過電圧で行った。類似のバルク電解測定をまたぜん動ポンプ(Cole−Parmer Masterflex)を使用して110mL/分で電解質を流す特製ポリカーボネートフローセル中でPt箔(1cm2)を用いて行った。それぞれを別個の溶液中で行った。Tafelプロットを1.0M KPiおよび1.0M KBi中のバルク電解前または後のPtおよびNiMoの触媒活性を比較するために使用した。種々の適用された電位で電流を測定することによって、電流電位データを得た。すべてのTafel実験を、2500回転/分で回転させたRDEを用いて行った。従来の伝導度プローブを使用して測定された報告された電位は、溶液の抵抗で較正されている。Pt RDEでは、電極を、それぞれの電流測定の前に、上記の手順により定電圧に調整した。
【0149】
結果および検討
KPiおよびKBi中のPtのバルク電解は、水素発生の間に電極の活性が急速に低下することを示す(図4A、図4B)。KPi電解質の場合(図4A)、初期活性は、約15mA/cm2(Pt箔)および47mA/cm2(Pt RDE)であり、3時間かけて約0.6mA/cm2に低下する。類似の挙動がKBi電解質中のPt RDEで観察された(図4B)。対照的に、水素発生活性が、NiMo合金で被覆した電極を使用した電解の間維持された。図4Aは、約10mA/cm2の初期電流が電圧の適用により得られることを示し、これは1時間かけてわずかに12mA/cm2に上がり、そして電解実験の残りの間維持される。類似の性能が、2.4mA/cm2の活性を有するKBi電解質(図4B)で観察された。
【0150】
KPi (図5A)およびKBi (図5B)の両電解質における電解の前および後のNiMo合金でのTafel活性プロット(過電圧対対数の電流密度)を生成する適用された電位の関数として、活性を測定した。このプロットは、Tafel勾配および交換電流密度(x−intercept)が、カソードの稼働でわずかに増加することを示し、そしてNiMoで機能化された電極がこれらの操作条件下およびこの時間尺度で水素発生に向けてわずかにさらに活性となることを示す。これらのデータは、上記のバルク電解データと一致する。
【0151】
例2
以下の例は、pH7のリン酸塩およびpH9.2のホウ酸塩電解質中での水素発生反応のための高活性を有する安定な合金の調製を記載する。
【0152】
NiMo合金の堆積
NiMoめっき浴は、硫酸ニッケル(II)六水和物(64gL−1;Alfa Aesar)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(48gL〜1;EMD)、およびクエン酸ナトリウム二水和物(60gL−1;VWR)からなる。浴のpHを、水酸化アンモニウム(VWR)を使用して10.5に調整した。NiMoを、1時間で2000回転/分の回転速度で、100mAcm−2の電流密度でPt RDE基材上に堆積させた。生じた堆積は、堆積中に回転が含まれていたため目立ったらせんパターンで現われた。らせん中の着色は、光沢のある金属から主になる端を有する、暗黒色と光沢のある金属との間で変化した。NiMoを、75原子% Niおよび20原子% Moの存在を報告された類似のめっき浴を使用して堆積させた。
【0153】
NiFeZn合金の堆積
NiFeZnめっき浴は、硫酸ニッケル(II)六水和物(300g L−1)、硫酸亜鉛水和物(0.7g L−1; Sigma−Aldrich)および硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(10g L−1;Sigma−Aldrich)からなる。NiFeZnを、100mA・cm−2の電流密度で、1時間に2000回転/分の回転速度で、Pt RDE基材上に堆積させた。生じる活性をNiMoと関連させるために、この電流密度を選択した。生じたフィルムを、塩基中で3時間放置して、評価の前に抽出物Znを浸出させた。堆積物は厚く、明るい灰色であり、そして触ると硬かった。泡は浸出の間に観察されなかった。
【0154】
NiMoCd合金の堆積
NiMoCdめっき浴は、塩化ニッケル(II)六水和物(9.51g L−1)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(4.84g L−1)、硝酸カドミウム四水和物(0.0925g L−1;Sigma−Aldrich)、ピロリン酸ナトリウム四塩基性(34.57g L−1;Sigma−Aldrich)および重炭酸ナトリウム(74.77g L−1;VWR)からなる。ヒドラジン水和物(1.21mL L−1; Alfa Aesar)を、めっきの直前に加えた。NiMoCdを、0.0775A cm−2の電流密度で30分間、3000回転/分の回転速度で、Pt RED基材上に堆積させた。表面上の水素発生が2000回転/分での電気めっきプロセスを妨げたので、より早い回転速度が必要であった。評価の前に、Moを抽出するために、堆積物を塩基中に18時間放置し浸出させた。浸出の前には、堆積物は暗い下層を有し不透明に見えた。浸出では、堆積物は暗く見えた。
結果
これらの研究で、作用電極(Pine instruments)としてPt RDEを有する変更したディスクRDE先端を有する調節された速度の回転体、参照電極としてAg/AgClおよび対電極としてPtワイヤーを使用した。Niを、Ni RDE (Pine)を使用して評価した。図6A、図6Bは、(A)1M KBi、pH9.2および(B)1M Pi、pH7電解質中2000回転/分で電極を回転しながら、得られたPt、NiMo、NiFeZn、およびNiMoCd水素発生カソードでのTafelプロット(過電圧対電流密度)を示す。データは、ホウ酸塩電解質と比較して、リン酸塩中で稼働された場合に、それぞれの材料がさらに活性であることを示す。触媒活性は、Pt>NiMoCd>NiFeZn:NiMoの順番でランク付けできる。
【0155】
リン酸塩およびホウ酸塩電解質で稼働した場合の、触媒安定性を評価するためにバルク電解を行った。図7Aおよび図7Bは、4時間にわたる電解時間での水素発生反応のための300mV過電圧での電極の稼働で観察された電流密度をプロットしている。具体的には、図7Aおよび図7Bは、(A)1M KPi、pH7および(B)1M KBi、pH9.2電解質中で、300mV過電圧および2500回転/分回転速度でのPt、Ni、NiMo、NiFeZnおよびNiMoCdのバルク電解をプロットしている。Ptは、高い初期電流密度を示し、これは>70%で急速に衰えている。活性の低下は、稼働の間に電極表面上に積み上げられた電解質溶液(例えば、Fe)中の不純物によるのであろう。類似の不安定性の結果が、新たに調製されたNi電極で得られた。対照的に、NiMoCdは、pH7のリン酸塩中42.5mA・cm−2の活性電流密度を有する両電解質中で、安定な稼働を示した。NiMoおよびNiFeZnはまた、それぞれ、21.1および26.5mA・cm−2のリン酸塩中での電流密度を有する安定な活性を示した。
【0156】
例3
以下の例は、pH7のリン酸塩およびpH9.2のホウ酸塩電解質中での水素発生のための高い活性を有する安定な、多孔質電極の調製を記載する。
【0157】
材料および方法
Ni発泡体(Inco Advanced Technology Materials (Dalian)Co.Ltd;320g/m2、1。7mm厚)、Ptlr (20% Ir)ワイヤー(Strem Chemicals、Inc.)、モリブデン酸ナトリウム(Na2MoO4・2H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、硝酸カドミウム(Cd(NO3)2・4H2O)、ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7・4H2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、およびヒドラジン水和物(N2Η4・Η2O)(Aldrich)を、そのまま使用した。
【0158】
Ni発泡体上でのNiMoCd合金の堆積
あらかじめ記載したように1cm2のNi発泡体(1つの側面当り0.5cm2)上にNiMoCd合金を堆積させた。手短に、Ni発泡体の基材を、pH7.5〜9のNa2MoO4・2H2O(0.02M)、NiCl2・6H2O(0.04M)、Cd(NO3)2・4H2O(0.3mM)、Na4P2O7・4H2O(0.13M)、NaHCO3(0.89M)、およびΝ2Η4・Η2O(25mM)を含む3電極電気化学電池中のめっき溶液中に浸した。ガルバノスタットを、30分間室温でNi発泡体の465mA/cm2の幾何学的表面積の電流を適用するために使用した。Ag/AgCl参照電極およびPtワイヤー対電極を用いて攪拌溶液中で、めっきを行った。次に電極をめっき溶液から除去し、そしてAg/AgCl参照電極およびPt lr(20%Ir)ワイヤー対電極を用いて、電解質を流しながら(1Mリン酸カリウム(Pi)pH7、250mL/分)3電極電池中に配置した。次に、電極を、1.15A/cmカソード電流密度で100時間稼働させて、エージングした。
【0159】
結果
図8Aは、流れる1M KPi(pH7)電解質中でのNi発泡体カソード上のエージングされたNiMoCdでの過電圧対時間プロットを示す。電極は、稼働と伴にエージングし続けるので、1A/cm2で電極を稼働するのに必要な過電圧は低下し続け、そして70(ずべてで170)時間の稼働の後で、最終的に65mV近辺の高原となる。電極は、16日超の期間にかけて安定な稼働を示した。次に、電極の活性を電流密度の範囲にわたって電極を稼働するのに必要な過電圧を測定することによって、評価した。図8Bは、1M KPi (pH7)および1M KBi (pH9.2)電解質中での稼働でNi発泡体カソード上での過電圧対電流密度(Tafelプロット)の対数のプロットを示す。プロットからTafel勾配は、27であり、そして100mVでそれぞれ、KPiおよびKBi電解質中での稼働で電流密度を低下させる。KBi電解質中での稼働の間の電極の安定性をまた評価した。図8Cは、流れる1M KBi(pH9.2)電解質中において、0.5A/cm2カソード電流密度の電極を稼働するに必要な過電圧をプロットする。初期増加の後で、約120mVの過電圧が実験の停止(21時間)まで維持された。
【0160】
例4
以下の例は、天然の供給元からの未調整水中で稼働する水素発生カソード電極の調製を記載する。
【0161】
水素発生カソードを、例2で記載された方法によって、RDE上に調製し、そしてチャールズ川(Cambridge、MA)からの水を使用して調製された1M KPi電解質(pH7)中に配置した。Ag/AgCl参照電極およびPtワイヤー対電極を溶液中に配置し、そしてポテンショスタットの使用を通して、電位がRDEに適用された。RDEは、水素発生のために−300mV過電圧でバイアスされ、そして2500回転/分で回転させられた。図9は、電解時間の関数として得られた電流密度をプロットする。最初の2時間で初期活性が低下した後、約31mA/cm2の安定なおよび活性電流密度を電解時間の残り(31時間)の間観察した。
【0162】
例5
図10(左)は、Ni発泡体上の調製されたNiMo合金に位置する電極のSEMを示す。合金は、滑らかなおよび均質な様式で発泡体を被覆する。図10(右)は、Ni箔上に調製されたNiMoFe合金に沿ったPtおよびNi箔でのTafel活性プロットを示す。すべての実験を、0.1M KPiバッファー中pH7で行った。NiMoFe合金は、Pt電極までもを上回り、調べられた材料の所与の電流密度でもっと低い過電圧を与えた。図10中で:(左) Ni発泡体上に位置するNiMo合金(20% Mo)電極のSEM;(右)0.1M KPi(pH7)中Pt箔(●)、Ni箔(□)、およびNi箔上NiMoFe(▼)のTafelプロットである。
【0163】
例6
以下の例は、NiMoZn合金の調製およびpH7のリン酸塩、pH9.2のホウ酸塩、およびpH14の水酸化物電解質における水素発生でのそれらの使用を示す。
【0164】
NiMoZn合金の堆積
NiMoZnめっき浴は、塩化ニッケル(II)六水和物(9.51g L−1)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(4.84g L−1)、無水塩化亜鉛(0.0409g L−1)、ピロリン酸ナトリウム四塩基性(34.57g L−1)および重炭酸ナトリウム(74.77g L−1;VWR)からなる。ヒドラジン水和物(1.21mL L−1;Alfa Aesar)をめっきの直前に加えた。NiMoZnは、3000回転/分の回転速度で、30分間の0.0775A cm−2の電流密度で研磨されたPt RDE基材に堆積された。堆積物は、10M KOH中で16+時間の間塩基中で浸出された。浸出の正孔が電極表面から発生した泡により示された。浸出後で、堆積物は、外観上わずかに暗い色になった。
【0165】
結果
これらの研究で、作用電極(Pine instruments)としてPt RDEおよび対電極としてRu02を有する変更されたディスクRDE先端を有する調節された速度の回転体を使用した。Ag/AgCl参照電極を、1.0M KPiおよび1.0M KBi中で合金を評価するために使用し、一方Hg/HgO参照電極を1.0M KOH中で合金を評価するために使用した。
【0166】
図11Aは、2500回転/分で、1.0M KOH (pH14.0)、1.0M KPi (pH7.0)および1.0M KBi (pH9.2)電解質中で稼働された場合の、NiMoZn水素発生カソードのTafelプロット(過電圧対電流密度)を示す。このデータは、1.0M KOH中での稼働が最も高い活性を与えたことを示す。1.0M KBi中でNiMoZn、NiMoCdおよびPtのバルク電解を完了させて、触媒安定性を評価した。図11Bは、水素発生のための300mV過電圧で稼働された電極の4時間にわたる電流密度の変化を示す。さらに具体的に言うと、図11Bは、1.0M KBi (pH9.2)電解質中で、300mV過電圧および2500回転/分における、NiMoZn、NiMoCd、およびPtのバルク電解を示す。Ptは、最初に高い電流密度を示したが、急速に90%低下した。何らかの理論に拘束されることを望まないが、これは、稼働の間に電極表面で積み上がった溶液中の不純物の存在によるかもしれない。NiMoCdおよびNiMoZnの両者は高くかつ安定な電流活性を示した。NiMoZnは、25mA/cm2の電流密度を有する最大値を示し、一方NiMoCdは、14mA/cm2の電流密度を維持した。
【0167】
本発明の幾つかの態様は、本明細書中に記載され、そして具体的に説明されたが、当業者は、機能を果たし、そして/または結果および/または本明細書中に記載された1種または2種以上の利点を得るために、種々の他の手段および/または構造を容易に想像するであろうし、そしてそうした変化および/または改質のそれぞれは、本発明の範囲内にあるものとみなされる。さらに通常、当業者は、本明細書中に記載されたすべての、パラメーター、寸法、材料、および設定が例示的であることを意図され、そして実際のパラメーター、寸法、材料、および/または設定が具体的用途または本発明の教示が使用される用途によることを容易に認識するであろう。当業者は、所定より多くない実験を使用して、多くが本明細書中に記載された本発明の具体的な実施形態に均等であることを確認または解明するであろう。したがって、一例としてのみ示され、そして付属の請求項およびそれらの均等の範囲内にあることを理解するであろう、本発明は、具体的に記載されたそして請求されたもの以外で実施できる。本発明は、本明細書中に記載された、個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれを対象にする。さらに、2種または3種以上のそうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に一貫性のない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0168】
不定の関し「a」および「an」は、本明細書中および請求項中で使用される場合、そうでないと明らかに示さない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0169】
語句「および/または」は、本明細書中および請求項中で使用される場合、そのように接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接合的に示され、そして他の場合には非接合的に示された要素意味するものと理解されるべきである。「および/または」の句により具体的に示された要素以外の、具体的に示されたこれらの要素に関連しているかまたは関連していない他の要素は、そうでないと明らかに示さない限り、任意選択的に存在できる。したがって、非限定の例として、「を含む」等のオープンエンドの用語と伴に使用される場合、「Aおよび/またはB」への参照は、一態様では、(任意選択的にB以外の要素を含む)BのないA;別の態様では、(任意選択的にA以外の要素を含む)AのないB;また別の態様では、(任意選択的に他の要素を含むことができる)AとBとの両方;などをいうことができる。
【0170】
本明細書中および請求項中で使用される場合、「または」は、上記で規定された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包含的であり、すなわち、要素の数またはリストを少なくとも1つを含むが、また1超を含み、そして、任意選択的に、追加の挙げられていない項目を含むと理解される。そうでないと明らかに示さない限り、「1つのみの」または「正確に1つの」または、請求項中で使用される場合、「からなる」等の用語のみは、1つの数または要素のリストの正確に1つの要素を含むことをいうであろう。通常、用語「または」は、本明細書中で使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」または「の正確に1つ」等の独占的用語が前にある場合、独占的代替(すなわち、「一方または他方であるが両方でない」)を示すとしてのみ理解されるであろう。請求項中で使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するであろう。
【0171】
本明細書中および請求項中で使用される場合、1種または2種以上の要素の列挙を参照する語句「少なくとも1種の」は、要素の列挙中の任意の1種または2種以上の要素から選択された少なくとも1種の要素を意味するが、要素の列挙中に具体的に挙げられた要素のありとあらゆるものの少なくとも1種を必ずしも含むとは限らず、そして要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に示された要素に関連しているかまたは関連していない、語句「少なくとも1つの」が意味する要素の列挙内で具体的に特定された要素以外の要素が任意選択的に存在することを可能にする。したがって、非限定の例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、「AまたはBの少なくとも1つ」に等しく、または「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」に等しい)は、一態様では、Bが存在せず、任意選択的に1超のAを含む(および任意選択的にB以外の要素を含む)少なくとも1つ;別の態様では、Aが存在せず1超のBを任意選択的に含む(そして任意選択的にA以外の要素を含む)少なくとも1つ;また別の態様では、任意選択的に1超のAを含む少なくとも1つ、および任意選択的に1超のBを含む少なくとも1つ(そして任意選択的に他の要素を含む);などをいうことができる。
【0172】
請求項において、ならびに上記の明細書中において、「を含む」、「を包含する」、「を有する」、「を持つ」、「を含有する」、「を含んでいる」「保持する」およびその同類のもの等の暫定的な語句は、オープンエンドと理解される、すなわちを含むがこれらに限られないを意味すると理解されるべきである。暫定的語句「からなる」および「から本質的になる」のみは、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、 Section 21 1 1.03に記載されているように、それぞれ、クローズドまたはセミクローズドの暫定的語句であろう。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年8月27日出願のEssweinらの発明の名称”Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/237、507号明細書、2009年12月4日出願のReeceらの名称”Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/266、826号明細書、2009年12月11日出願のEssweinらの名称”Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/285、844号明細書、2010年3月3日出願のReeceらの名称”Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques”の米国仮特許出願第61/310、084号明細書、および2010年7月16日出願のReeceらの名称”Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques、”の米国仮特許出願第61/365、102号明細書(それぞれ参照により本明細書中に 取り込まれる。)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、水電解および他の電気化学的技術のための組成物、電極、方法、およびシステムに関する。ある場合には、本発明は、水素の生成または酸化に関する。
【背景技術】
【0003】
水の電解、すなわち、水を酸素ガスおよび水素ガスに分離することは、酸素および/または水素ガスの生成だけでなく、エネルギー貯蔵においても非常に重要なプロセスである。水を水素ガスおよび酸素ガスに分離することで、エネルギーが消費され、そして水素および酸素ガスが再化合して水を生成する場合、エネルギーが開放される。
【0004】
電解を介してエネルギーを貯蔵するために、O2およびH2への結合を再配置する「水分離」反応を媒介する材料が必要である。O2/H2OおよびH2O/H2半反応の標準還元電位は、式(1)および式(2)によって与えられる。
【0005】
【数1】
【0006】
この変換に効率的な材料として、この材料は、それぞれの半反応の熱力学的電位に近い電位で作用することが好ましく、この熱力学的電位は、式(1)および式(2)中の半電池電位、E°によって規定される。所与の活性を達成するのに必要であるE°に追加された電圧は、過電圧と呼ばれ、変換効率を制約し、そしてこれらの反応における過電圧を低下させるために多くの研究者により相当な努力が費やされてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水素は、炭素のないエネルギー貯蔵媒体として多くの利点を示し、すべての化学燃料の質量で、最も高いエネルギー密度を有し、そして水素は、再生可能エネルギーにより駆動された水の電解を介して持続可能な様式で容易に生成できる。しかし、水の電解による水素の概念的に簡素な生成にもかかわらず、水の電解に関連するエネルギー効率および資本コストにより、限定された商業的用途となっている。したがって多くの試みが、水素の電解生成の改善に向けられてきた。特に、水素の生成に使用される多くの電極は、添加物および/または不純物を含む水から水素ガスを生成させるためには、不安定および/または非効率である。
【0008】
したがって、改善された方法、システム、および電極が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの態様において、本組成物は、約0.1wt%〜約90wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約90wt%の間の量の亜鉛、および約0.1wt%〜約90wt%の間の量のニッケルを含むように提供される。
【0010】
いくつかの態様において、水素ガスを酸化、および/または水素ガスを生成できる触媒材料が提供され、この触媒材料は、ニッケル、モリブデン、および亜鉛を含む。
【0011】
いくつかの態様において、コバルトイオンおよび/またはニッケルイオンを含む第1の電極、ならびにリンおよび/またはホウ素を含むアニオン性種、ニッケルおよびモリブデンを含む第2の電極を含む、水素および/または酸素ガスを生成できるシステムが提供される。
【0012】
いくつかの態様において、アニオン性種の存在下で、水素ガスを生成できる電極が提供され、この電極は、水素ガスを生成できるように選択された第1の種類の金属、アニオン性種と103未満の結合定数(an association constant)を有するように選択された第2の種類の金属、および触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属を含む触媒材料を含み、このアニオン性種は、酸化物または水酸化物ではない。
【0013】
いくつかの態様において、水素ガスを酸化できる電極が提供され、電極は、水素ガスを酸化できるように選択された第1の種類の金属、第2の種類の金属、および触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属を含む触媒材料を含む。
【0014】
いくつかの態様において、水素および/または酸素ガスを生成できるシステムが提供され、このシステムは、水から水素の生成を触媒できるように選択された第1の種類の金属、第2の種類の金属、および触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属を含む触媒材料、ならびに光活性組成物を含む。
【0015】
いくつかの態様において、水素ガスを生成する方法が提供され、この方法は少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程を含み、そして水のpHは約6〜約10であり、そして水素ガスの生成を生じ、そして少なくとも約1mA/cm2の電流密度において約0.3V未満の過電圧の絶対値で水素が生成される。
【0016】
いくつかの態様において、水素ガスを生成する方法が提供され、この方法は、少なくとも0.1Mの濃度の少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程を含み、ここで水のpHは約6〜約10であり、そして水素ガスの生成を生じ、ここで、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面と伴に考慮される場合、本発明の他の形態、態様、および特徴は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。添付の図は具体的に説明し、そして縮小されることを意図しない。明確さの目的のために、すべての図において必ずしもすべての構成部分にラベルが付いておらず、また具体的な説明は、本発明を当業者が理解できるために必要でなく、本発明のそれぞれの態様のすべての構成部分が示されているわけではない。参照により本明細書中に取り込まれたすべての特許出願および特許は、参照によりそれらの全てを取り込む。矛盾がある場合、定義を含む本明細書による。
【0018】
【図1】図1は、電解装置の非限定の例を示す。
【図2】図2は、本発明の電気化学装置の非限定の例を示す。
【図3】図3は、ガス状態の水を用いる電解装置の非限定の例を具体的に示す。
【図4A】図4Aは、−200mVの過電圧で、A)1.0M KPiを含む水中における、白金電極およびNiMo合金含有電極のバルク電解を示す。
【図4B】図4Bは、−200mVの過電圧で、B)1.0M KBiを含む水中における、白金電極およびNiMo合金含有電極のバルク電解を示す。
【図5A】図5Aは、A)1.0M KPiを含む水中におけるバルク電解前および後の、NiMo合金含有電極のTafelプロットを示す。
【図5B】図5Aは、B)1。0M KBiを含む水中におけるバルク電解前および後の、NiMo合金含有電極のTafelプロットを示す。
【図6A】図6Aは、(A)1M KBi、pH9.2電解質における新たに調製されたPt、NiMo、NiFeZn、およびNiMoCd水素発生触媒のTafelプロットを示す。
【図6B】図6Bは、(B)1M KPi、pH7電解質における新たに調製されたPt、NiMo、NiFeZn、およびNiMoCd水素発生触媒のTafelプロットを示す。
【図7A】図7Aは、(A)1M KPi、pH7の電解質におけるPt、Ni、NiMo、NiFeZnおよびNiMoCdのバルク電解プロットを示す。
【図7B】図7Bは、(B)1M KBi、pH9.2の電解質におけるPt、Ni、NiMo、NiFeZnおよびNiMoCdのバルク電解プロットを示す。
【図8A】図8Aは、1M KPi、pH7の電解質におけるNi発泡体カソード上NiMoCdの稼働での時間に対する過電圧のプロットを示す。
【図8B】図8Bは、1M KBiおよび1M KPiの電解質におけるNiフォームカソード上NiMoCdのTafelプロットを示す。
【図8C】図8Cは、1M KBi、pH9.2電解質におけるNiフォームカソード上NiMoCdの稼働での時間に対する過電圧のプロットを示す。
【図9】図9は、非限定の態様によるチャールズ川の水中で稼働した電極での、時間に対する電流密度のプロットを示す。
【図10】図10は、Ni発泡体上に位置するNiMo合金電極のSEM(左)、および0.1M KPi(pH7)におけるPt箔(●)、Ni箔(□)、およびNi箔上NiMoFe(▼)のTafelプロット(右)を示す。
【図11A】図11Aは、1.0M KOH、1.0M KPi、および1。0M KBi電解質中で稼働した場合のNiMoZn水素発生カソードのTafelプロットを示す。
【図11B】図11Bは、NiMoZn、NiMoCd、およびPtのバルク電解を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、組成物、電極、システム、および水の電解のための方法および他の電気化学的技術に関する。ある場合には、本発明は、水素および/または酸素ガスの生成および/または水素の酸化に関する。本発明の一つの形態は、典型的には水素発生または水素酸化に使用される、触媒材料を含み、ここで触媒材料は、この目的のために選択された2種、または3種以上の金属を含む。本発明は、低い絶対値の過電圧、高電流密度、大幅な効率、安定性、またはこれら任意の組み合わせにおいて、改善された活性で稼働できるシステムを提供する。本発明のシステムはまた、非常に純粋な水の供給を必ずしも必要とせずに、中性pHにおいてまたは中性のpH近辺で稼働できる。本発明の種々の形態の組み合わせは、著しく改善されたエネルギーの貯蔵、エネルギーの使用、および任意選択的に水素および/または酸素ガスの市販用の生産において有用である。本発明の主題は、ある場合には、相互に関連した製品、特別な問題への代わりの解決、および/または1種または2種以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を含む。
【0020】
本明細書中に記載された組成物、電極、システム、および方法は、主として、水電解(すなわち、水からの、酸素ガス、水素ガス、および/または他の生成物)の生成、および/または水素の酸化(例えば、水素ガス)に関連するが、本発明は、そのように限定されない。本発明は、第1の電極および/または第2の電極(その一方または両方が触媒材料を含むことができる)を含み、第1の電極における水の電解を介した酸素ガスの生成があり、そして/または第2の電極における酸素ガスの生成があることを含んで記載され、当然のことながら、第1の電極は、任意の種、水またはそれ以外の酸化を促進でき、酸素ガスまたは別の酸化された生成物を生成できる。これに関連して酸化されることができる反応物の例は、メタノール、ギ酸、アンモニア等を含むことができる。酸化された生成物の例は、CO2、N2等を含むことができる。第2の電極において、反応は、水(または水素イオン)が還元されて水素ガスを生成するように促進されることができるが、当然のことながら、水に限定されない種々の反応物(例えば、酢酸、リン酸等)は、還元されて、水素ガスおよび任意の数の還元反応の生成物(例えば、酢酸塩、リン酸塩等)を生成できる。第2の電極におけるこの反応は、「燃料電池」の稼働において逆転して行わせることができ、水素ガス(および/または上記の他の例示的な製品)が酸化されて、水(および/または上記の他の例示的な反応物)を生成できる。ある場合には、組成物、電極、方法、および/またはシステムは、水素ガスを還元するために使用できる。ある場合には、組成物、電極、方法、および/またはシステムは、光電気化学電池と関連して使用できる。当然のことながら、本明細書中の用途の多くは、水からの水素および/または酸素ガスの生成に焦点を置くが、これは、決して限定せず、そして本明細書中に記載された組成物、電極、方法、および/またはシステムは、本明細書中に記載されたような他の目的のために使用できる。本発明により提供された電気化学装置の非限定の例は、電解装置および燃料電池を含む。エネルギーは、光電池、風力発電、または他のエネルギー源によって電解装置に適用できる。これらのおよび他の機器が本明細書中に記載されている。ある場合には、本明細書中に記載された触媒材料および組成物は、本明細書中に記載されたような光活性材料と関連して使用できる。
【0021】
本明細書中に記載されているのは、いくつかの態様において、水等の供給元から、水素ガス、酸素ガス、または別の種を「生成させる」ために使用される触媒、電極、システム、およびその同類のものである。当然のことながら、これは触媒される反応が、供給源から生成物へと直接反応であることができること、または触媒が反応物から生成物への反応を触媒することによってそうした反応を促進でき、この反応物が供給元に由来するが、供給元ではないことを意味する。例えば、水から水素ガスを「生成させること」は、塩基性条件下の水における一つの例として、水素ガスを生成する水の反応、および酸性条件下での水のもう一つの例として、水素ガスを生成する(究極的には供給元、水からの)水素イオンの反応を含む。
【0022】
本明細書中の電解のための水の使用のすべての記載において、当然のことながら、水を、液体状態および/またはガス状態で提供できる。使用される水は、比較的純粋であることができるが、純粋である必要はなく、そして本発明の1つの利点は、比較的純粋でない水を使用できることである。提供された水は、本明細書中に記載されたように、例えば、少なくとも1種の不純物(例えば、クロライドイオン等のハロゲン化物イオン)および/または少なくとも1種の添加物(例えば、アニオン性種)を含むことができる。少なくとも1種の不純物および/または少なくとも1種の添加物の存在は、本明細書中に記載されたような電極の性能にほとんどまたは全く実質的な影響を有さないことができる。いくつかの態様において、水の供給元のpHは、ほぼ中性であることができる。
【0023】
いくつかの態様において、本発明の電極は、触媒材料を含む。ある場合には、触媒材料は、電流コレクタと関連する。複数の金属元素および分子触媒を含む触媒材料を含む種々の触媒材料が本明細書中に記載されている。
【0024】
いくつかの態様において、触媒材料は、複数の金属元素(例えば、2種、3種、4種、5種以上の金属元素)を含む。例えば、触媒材料は、合金であることができる。用語「合金」は、本明細書中で使用される場合、技術的に所与のその通常の意味を有し、そして2種または3種以上の金属、または任意の金属のそれ自体と異なる物理的特性を有する半金属を含む組成物をいう。混合物中に存在する金属または半金属の数によって、合金は、二成分、三成分、四成分等であることができる。合金は、混合結晶、固溶体、または化合物を形成できる。合金は、単相の固溶体、化学量論的化合物、またはそれぞれの相が固溶体または化学量論的化合物であることができる2種または3種以上の相からなることができる。合金は、全体にわたって同じ組成を有することができ、同じ組成でないことができる。全触媒材料中に、例えば、材料中に欠陥が存在でき、そして/または合金成分の1つまたは2つ以上のより高濃度のまたはより低濃度の領域が存在できる。その用語が本明細書中で使用されるように合金のもう一つの例は、1種の金属の(例えば、マイクロまたはナノスケールの)小さい領域が、別の金属で、および/または第1の金属の隙間を部分的にまたは充分に満たす別の金属で被覆されて提供されることができる。合金のもう一つの例は、金属の混合物を含み、この混合物は、分子スケールでは均質ではないが、マイクロまたはナノ寸法の単一の金属の個々の領域を有する異なる金属の混合した相を含むことができる。しかし合金は、例えば、多層化構造を規定する一連の薄層の金属とは区別される。この合金は、中性または帯電していることができる。「金属」または「種類の金属」または「金属元素」が本明細書中で使用される場合、当然のことながら、半金属は、金属の目的を果たすために使用でき、半金属は、本発明の目的に好適である。
【0025】
いくつかの態様において、触媒材料は、本明細書中に記載されたような本発明の種々の形態および態様の目的に合う組成物を含むことができる。本開示の指針に基づいて、当業者は、好適な組成物を選択でき、そして過度の実験なしに、本発明にしたがってそれらの潜在的な使用のために効率的それらを試験できる。いくつかの態様において、組成物(例えば、合金)は、ニッケルを含む。組成物の非限定の態様は、二成分合金(例えば、NiMo、NiFe、NiSn、NiS、NiZn、NiP、NiW、NiCu、NiCo、NiAl、CoP、CoMo、NiTi等)、三成分合金(例えば、NiMoX(式中、XはFe、Cu、Zn、Co、W、Cr、Cd、V、Ti、またはその同類のもの等の金属である)、NiCoP、NiFeP、NiFeZn、NiCoZn、NiCuFe、NiCuMo、LaNiSi等)、または四成分合金(例えば、NiCoMnAl等)を含む。金属、半金属、および/または他の元素または化合物の全原子%が、合計で約100%を示すように、組成物中でのそれぞれの金属または半金属は、0.001〜99.999%の間の原子%で存在できる。組成物のそれぞれの金属または半金属構成部分の量は、組成物中で変化できる。例えば、組成物を生成する前に異なる量のそれぞれの出発材料を提供することによって、これは当業者に公知の技術を使用して達成されることができる。特定の態様では、触媒材料は、ニッケルおよびモリブデンを含むか、またはニッケルおよびモリブデンからなる。
【0026】
特定の態様では、モリブデン、ニッケル、および亜鉛を含む組成物が提供される。ある場合には、モリブデン、ニッケル、および亜鉛を含む組成物は、(例えば、本明細書中に記載されたこの方法およびシステムを使用して)水素ガスを生成することおよび/または水素ガスを酸化することができる。
【0027】
ある場合には、この組成物は、(例えば、組成物の全質量に対して)約0.1wt%〜約90wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約90wt%の間の量の亜鉛、約0.1%〜約90%のニッケルを含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約25wt%の間の量の亜鉛、および残余のニッケル(例えば、約25wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約10wt%の間の量の亜鉛、および残りのニッケル(例えば、約40wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約5wt%の間の量の亜鉛、および残りのニッケル(例えば、約45wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、この組成物は、約1wt%〜約50wt%の間の量のモリブデン、約0.1wt%〜約1wt%の間の量の亜鉛、および残りのニッケル(例えば、約49wt%〜約98.9wt%)を含む。ある場合には、亜鉛は、約90wt%、約80wt%、約70wt%、約60wt%、約50wt%、約40wt%、約30wt%、約25wt%、約20wt%、約10wt%、または約5wt%以下の量で存在できる。ある場合には、ニッケルまたはモリブデンは、約90wt%、約80wt%、約70wt%、約60wt%、約50wt%、約40wt%、約30wt%、約25wt%、約20wt%、約10wt%、または約5wt%以下の量で存在できる。特定の態様では、亜鉛は、約25wt%以下の量で存在する。ある場合には、この組成物は、約50wt%、約40wt%、約30wt%、約20wt%、約10wt%、約5wt%以下の量までの少なくとも1種の第4の種類の金属をさらに含む。ある場合には、この組成物は、(例えば、電着を介して、バインダーを使用してなどで)電極と関連できる。
【0028】
金属または金属酸化物構成部分に加えて、この組成物はまた、電極を調製するために利用される特別な方法によりさらなる元素または化合物を含むことができる。そうしたさらなる材料は、組成物の全質量に基づいて約50%の量で存在できる。
【0029】
本発明の一つの形態は、電極中に含まれる(例えば、第1の種類の金属、第2の種類の金属、および/または第3の種類の金属を含む)触媒材料が、電極の効率、安定性、および/または稼働に本質的に全くまたはほとんど影響せずに、そうでなければ、電極の稼働および/または安定性に著しく影響することが予期されるであろう、アニオン性種の存在下で電極を稼働できるように調製でき、一方(例えば、触媒材料を含む)多くの電極は、不安定であり、そして/またはアニオン性種の存在下で効率的に稼働されないという発見を含む。具体的な実施形態において、触媒材料を含む電極は、電気化学反応(例えば、水の電解)と関連した水素ガスを触媒的に生成するために、および電気化学反応を促進するアニオン性種を含む電解質を用いた使用のために使用できる。ある場合には、アニオン性種は、対電極(例えば、水の電解を介して酸素ガスが生成される電極)と関連した触媒材料の生成、稼働、および/または安定性を助ける。したがって、一組の態様において、触媒材料は、少なくとも第1の種類の金属、第2の種類の金属、および第3の種類の金属を含むように選択され、ここで第2の種類の金属はアニオン性種の存在と関連した何らかの逆効果を緩和または除くように選択され、稼働のある条件下で、多くの公知の電極と比較して、触媒材料を含む電極は、高められた効率、安定性、および/または出力となる。
【0030】
第1の、第2の、および第3の種類の金属は、それぞれ、1種または2種以上の金属元素を含むことができる。例えば、第1の種類の金属は、1種の金属元素、2種の金属元素、3種の金属元素、4種の金属元素、またはそれ以上を含むことができる。第1の、第2の、および第3の種類の金属を含む触媒材料は、少なくとも3種の金属元素を含むか、または3種超の金属元素(例えば、4種の、5種の、6種の、7種の、またはそれ以上の金属元素)を含むことができる。具体例として、一態様では、第1の種類の金属は2種の金属元素を含み、第2の種類の金属は1種の金属元素を含む、そして第3の種類の金属は1種の金属元素を含む。したがって、この態様における触媒材料は、4種の金属元素を含む。任意選択的に、そうした使用のために提案されたこれらの金属または金属の種類が存在する限り、本発明の特定の態様のために提案された金属または金属の種類の目的の役に立たないが、他の金属または他の種類の金属が、触媒材料中に含まれることができ、または触媒材料と伴に使用されることができる。
【0031】
第1の、第2の、および第3の種類の金属の選択をここで詳細に記載する。いくつかの態様において、第1の種類の金属は、(例えば、プロトンおよび電子からの)水素ガスの生成および/または(例えば、水素ガスからプロトンおよび電子を生成する)水素ガスの酸化を触媒できるように選択できる。第2の種類の金属は、電極上のアニオン性種を含む材料の堆積を防ぐように選択できる。例えば、第2の種類の金属は、アニオン性種と約1×10−3M−1未満、約1×10−2M−1未満、約1×10−1M−1未満、約1M−1未満、約10M−1未満、約1×102M’1未満、約1×103M−1未満、約1×104M−1未満、約1×105M’1未満等、の結合定数を有することができる。第3の種類の金属は、(例えば、本明細書中に記載されたように)触媒材料の表面積を増加させるように選択できる。
【0032】
第1の種類の金属での使用に好適な金属元素は、(例えば、水から)水素ガスを生成でき、そして/または水素ガスの酸化(または本明細書中に記載されたような他の酸化反応)のための、金属元素である。当業者は、選択された金属反応を行うことができる金属元素に気付くであろう。水素ガスの生成および/または水素ガスの酸化のための第1の種類の金属として使用されるのに好適な金属元素の非限定の例は、Ni、Co、Fe、Cu、Mo、W、Rh、Ru、Os、Ir、Pt、Pdを含む。電気化学反応が水の電解以外の反応である態様において、第1の種類の金属は、電解を介して反応から生成物の生成を触媒できる。
【0033】
しかし、ある場合には、第2の種類の金属元素が電気化学反応と関連して使用されるアニオン性種で、約1×10−3M−1未満、約1×10−2M−1未満、1×約10−1M−1未満、約1M−1未満、約10M−1未満、約1×102M−1未満、約1×103M−1未満、約1×104M−1未満、約1×105M−1未満等の結合定数を有するように、第2の種類の金属としての使用のために好適な金属元素を選択できる。ある場合には、アニオン性種は、対電極と関連する触媒材料の生成、安定性、および/または稼働を助けるように存在する。触媒材料は、対電極において、電気化学反応の一部分、例えば、触媒の酸素生成を助けることができる。ある場合には、対電極は、電流コレクタおよび金属イオン性種およびアニオン性種を含む触媒材料を含む。例えば、Noceraらの2010年4月29日公開の米国特許出願公開第2010/0101955号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’; Noceraらの2010年6月2日公開の米国特許出願公開第2010/0133110号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials、 Photoanodes、 and Photoelectrochemical Cells For Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’;および/またはNoceraらの2010年6月2日公開の米国特許出願公開第2010/0133111号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials、 Photoanodes、 and Photoelectrochemical Cells For Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’(参照により本明細書中に取り込まれる)に記載された例えば水から酸素を生成させるために好適であることが示された触媒からのアニオン性種を、触媒材料が含むことができる。一組の態様において、このアニオン性種は、リンおよび/またはホウ素を含み、そしてこの金属アニオン性種は、コバルトイオンおよび/またはニッケルイオンを含む。
【0034】
当業者は、好適な第2の種類の金属と103M−1未満の結合定数を有するアニオン性種との組み合わせを知るであろう。一組の態様において、第2の種類の金属での使用に好適な金属元素は、電気化学反応と関連して使用され、そして電解質中で最も高い濃度であるアニオン性種と、1×10−3M−1未満、1×10−1M−1未満、1×102M−1未満、1×103M−1未満、1×105M−1未満等の結合定数を有する金属元素を含む。別の組の態様では、第2の種類の金属としての使用に好適な金属元素は、単独でまたは他のアニオン性種と伴に、電解質中に存在するすべてのアニオン性種の少なくとも約20%、または少なくとも約40%、または少なくとも約60%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%を規定する任意のアニオン性種とともに、103M−1未満の結合定数を有するものを含む。別の組の態様では、水酸化物イオンおよび/酸化物イオンは、「アニオン性種」の群から除外され、これに関連して第2の種類の金属の結合定数が測定された。アニオン性種は、少なくとも約0.05M、または少なくとも約0.1M、または少なくとも約0.2M、または少なくとも約0.3M、または少なくとも約0.4M、または少なくとも約0.5M、または少なくとも約0.6M、または少なくとも約0.7M、または少なくとも約0.8M、または少なくとも約0.9M、または少なくとも約1M、または少なくとも約1。5、または少なくとも約2M以上の濃度で提供されることができる。
【0035】
ある場合には、アニオン性種は、リン酸塩の形態、硫酸塩の形態、炭酸塩の形態、ヒ酸塩の形態、亜リン酸塩の形態、ケイ酸塩の形態、またはホウ酸塩の形態を含む群から選択される。特定の態様では、アニオン性種は、リンまたはホウ素を含む。リンを含むアニオン性種の非限定の例は、H3P04、H2P04−、HP04−2、P04−3、H3P03、H2P03−、HP03−2、P03−3、R1PO(OH)2、R1P02(OH)−、R1P03−2、またはその同類のもの(式中、R1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、またはヘテロアリールであって、すべて任意選択的に置換されている)を含む。特定の態様では、アニオン性種は、HP04−2である。リン酸塩と低い結合定数を有する金属元素の非限定の例は、Zn、Cd、Sn、In、Pb、Sb、Te、およびBiを含む。
【0036】
ある場合には、アニオン性種は、ポリアニオンであることができる。用語ポリアニオンは所与のその通常の技術的意味であり、そして1超の部位で1超の負の帯電を有するアニオン分子または化学的錯体をいう。
【0037】
ある場合には、第2の種類の金属を、当業者に知られているような、ハード(hard)/ソフト(soft)化学の知識の知識に基づいて選択できる。ある場合には、第2の種類の金属は、ハードな金属元素を含むことができ、そしてアニオン性種は、ソフトなアニオンであることができ、または第2の種類の金属は、ソフトな金属元素を含むことができ、そしてアニオン性種は、ハードなアニオンであることができる。通常、当業者に理解されているように、ハードなイオン/原子は、より小さくかつ比較的非分極性であり、そしてソフトなイオン/原子は、より大きくかつさらに分極性である。ハードな金属元素/ソフトなアニオン性種またはソフトな金属元素/ハードアニオン性種の間の相互作用は、ハードな金属元素/ハードなアニオン性種またはソフトな金属元素/ソフトなアニオン性種の間の相互作用より通常弱い。したがって、ソフト/ハードの化学は、弱く相互作用することができる金属元素/アニオン種の組み合わせを認識するために、当業者により使用されることができ、したがって、通常、より低い結合定数を有する。ある場合には、相互作用は、酸化状態であって、かつ基底状態でない金属(例えば、(M)n+、(式中、nは1、2、3、4等である)に基づいて決定できる。ソフト金属元素の非限定の例は、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、およびPtを含む。ハード金属元素の非限定の例は、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Al、およびCrを含む。ソフトなアニオン性種の非限定の例は、Se−2、S−2およびCN−を含む。ハードアニオン性種の非限定の例は、OR−、CO3−、CO3−2、NO3−、NO2−、ClO4−2、B(OH)4−、B4O7−2、SO4−2、H2PO4−、HPO4−2PO4−3、およびOH−を含む。
【0038】
当然のことながら、多くの態様におけるように、本発明の触媒材料は、本明細書中に記載されたような特別なアニオン性種と低い結合定数を提供するように機能する第2の種類の金属を含む、これは決して限定するものではなく、そしてアニオン性種が存在しない態様を含め、ある場合には、第2の種類の金属は、必ずしもこのように機能しない。例えば、合金が酸化反応(例えば、水素ガスの酸化)に使用される態様において、アニオン性種は、溶液中に存在できず、したがって第2の種類の金属は、特別なアニオン性種と特別な結合定数を有することができない。そうした態様において、第2の種類の金属での使用に好適な金属元素は、第1の種類の金属および第3の種類の金属と伴に触媒材料を形成できる金属元素であることができる。
【0039】
第3の種類の金属に好適な金属元素は、触媒材料の表面積を増加させるように選択された金属を含む。例えば、いくつかの態様において、第3の種類の金属は、脱合金化および/またはさもなければ、電極の形成および/または稼働のために選択されたある条件下での合金または金属混合物から部分的にまたは充分に除去されることができる。
【0040】
いくつかの態様において、第3の種類の金属は、第3の種類の金属を触媒材料に含める間および/または後に、少なくとも部分的に溶解する第3の種類の金属を含むメカニズムを通して、表面積を増加できる。例えば、第3の種類の金属は、触媒材料に含まれる他の種類の金属への第3の種類の金属の効果により表面積を増加できる。すなわち、ある場合には、第3の種類の金属の存在は、第3の種類の金属の触媒材料への包含によりまたは後で、触媒材料を再配向または再構造化させることができる。そうした再配向は、凝集体、小塊、沈殿物、相分離された構造、およびその同類のものの形成を含むことができるがこれらに限られない。含まれるメカニズムは、触媒材料中における種の中での反発相互作用、1つの種の表面分離、触媒材料からの種の溶解、およびその同類のものを含むことができるがこれらに限られない。金属は、基材、支持体および/または触媒材料中に含まれる他の種類の金属の1種へのその反発力および/または引力により表面へ分離することができる。第3の種類の金属は、触媒材料の中へ取り込まれることができる、いくつかの態様において、触媒材料中に含まれる別の種との反発力および/または引力により、表面での触媒材料中に他の種を残し、これはその後に上記の種々のメカニズムを通して表面積を大きくするように相互作用する。これらの種々のメカニズムは、1つのステップまたは、連続したもしくは並行した多数のステップの工程を経て、そして種々の程度の完了度で起こることができる。
【0041】
当業者に理解されるであろうように、「脱合金化」は、本明細書中で使用される場合、金属の混合物(例えば、触媒材料)からの腐食工程を含む好適な工程による1種の元素の選択的な除去をいう。合金からの1種または2種以上の金属元素の脱合金化は、合金の表面積を増加でき、したがって合金/電極の活性表面または領域への電解質または反応物のよりさらなるアクセスを可能にする。
【0042】
脱合金化は、電気化学反応の前および/または電気化学反応の間に起こることができる。ある場合には、第3の金属の少なくとも1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%以上が脱合金化されるように、第3の種類の金属が選択される。ある場合には、脱合金化工程の平衡点が生じる場合、脱合金化された第3の種類の金属のパーセンテージを、決定できる。すなわち、選択された条件下での電極の形成および/または稼働の後で、合金を含む電極の電流密度(または他の測定できるパラメーター)が、約5分、または約10分、または約30分、または約1時間、または約2時間、または約4時間またはそれ以上の時間にわたって、本質的に一定の電気化学的条件下で、約1%、または約2%、または約3%、または約5%、または約10%、または約20%、または約25%、または約30%またはそれ以上より多く、減少も増加もしない場合に、脱合金化のパーセンテージを決定できる。
【0043】
脱合金化した第3の種類の金属の量は当業者に公知の方法を使用して、決定できる。例えば、脱合金化の量は、X線光電子分光法(XPS)またはエネルギー分散X線分光法(EDX)を使用して決定できる。ある場合には、脱合金化のパーセンテージは、その技術が調べられる合金の部分を決定できる。例えば、XPSは、触媒材料の表面の最初の約1nm〜約10nmの元素状組成物を決定できる。いくつかの態様において、脱合金化された第3の種類の金属のパーセンテージを決定するために分析される触媒材料の部分は、触媒材料の最初の約1nm、約2nm、約5nm、約10nm、約20nm、約50nm、約100nm、またはそれ以上である。
【0044】
特定の態様では、第3の種類の金属のパーセンテージは、次のように決定できる。電極は、本明細書中に記載された技術(例えば、電流コレクタ上の合金の電気めっき)を使用して電流コレクタとの協働により生成できる。触媒材料は、触媒材料中の第1の種類の金属、第2の種類の金属、および第3の種類の金属のそれぞれの金属元素のパーセンテージを決定するように、XPSまたはEDX分光法を使用して分析できる。第3の種類の金属は、本明細書中に記載されたような選択された条件下で脱合金化されることができる。ある場合には、第3の種類の金属は、(例えば、本明細書中に記載されたように、例えば、電極の電流密度が2時間期間にわたって10%超増加または減少しない)平衡に到達するまで、脱合金化される。次に、XPSまたはEDX分析を繰り返すことができ、それによって脱合金化された第3の種類の金属の量を決定する。
【0045】
当業者は、合金から金属元素の脱合金化のための好適な方法を知っているであろう。ある場合には、脱合金化は、化学的脱合金化技術を使用して行うことができる。例えば、合金は、溶液成分が第3の種類の金属を具体的に脱合金化するように選択されている時間の間、(例えば、強酸および/または鉱酸を含む)溶液に曝されることができる。他の場合には、第3の種類の金属は、電極に電圧を適用することによって、脱合金化できる。例えば、第3の種類の金属は、選択された条件下で、第1の種類の金属および第2の種類の金属のために含まれた元素に比較してより低い電気化学的電位を有するように選択されることができる。この適用された電位差は、当業者に知られているように、第1の種類の金属および第2の種類の金属と比較して、第3の種類の金属の脱合金化を推進できる。
【0046】
当業者によって理解されるであろうように、ある場合には、第1の種類の金属および第2の種類の金属に含まれた元素の一部分はまた、合金から脱合金化されることができる。ある場合には、しかし、第1の種類の金属、第2の種類の金属、第3の種類の金属の選択は、合金から脱合金化する第3の種類の金属のパーセンテージが、第1の種類の金属および第2の種類の金属の全量の少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、またはそれ以上であるようである。ある場合には、第3の種類の金属は、設定された条件下で、M’およびM’’の脱合金化の速度の少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約50倍合金から脱合金化するように選択される。第3の種類の金属の非限定の例は、V、Cr、Mo、W、Mn、Ca、Mg、Si、Zn、Al、Ag、およびSeを含む。
【0047】
合金は、当業者によって知られるであろうような任意の好適な技術を使用して電流コレクタと関連できる。いくつかの態様において、合金は、好適な電気めっき溶液または浴中で電着によって電流コレクタと関連できる。電着技術および方法は当業者に公知であろう。例えば、ある場合には、電流コレクタは、合金中に含まれるであろう金属を含む1種または2種以上の前駆体を含む溶液中に浸されることができる。電圧が電流コレクタに掛けられることができ、それによって合金が形成され、そして電流コレクタと関連することができる。例えば、溶液は、ニッケル塩およびモリブデン塩を含んで提供されることができ、そして電圧は、電流コレクタに掛けられることができる。他の非限定の方法は、蒸着、熱蒸着、プラズマスプレー、フレーム溶射、溶融めっき法、または機械的なめっきを含む。ある場合には、合金は最初に形成されることができ、次に電流コレクタと関連できる。例えば、第1の種類の金属、第2の種類の金属、および/または第3の種類の金属の塩は、(任意選択的に沈殿において助けることができる基材を含む)溶液と還元剤とで提供されることができ、合金が溶液中で(例えば、存在する場合、基材と関連して;懸濁液および/または粒子状物として:など)形成されることができる。固体材料は、電流コレクタ(例えば、バインダーの使用など)と関連できる。
【0048】
めっき浴を使用して電流コレクタ上に合金を形成させる前に、電流コレクタは、クリーニングされて、被膜の良好な接着を確かにすることができる。クリーニングのための方法および技術は、従来技術および周知技術である。例えば、蒸気脱脂、砂または粒子ブラスティング、研磨、および/または音波処理を利用でき、電流コレクタは、酸性溶液中でエッチングされ、または苛性溶液中でカソード的にクリーニングされ、または電流コレクタは、正の電圧の適用によって、酸化の化学を開始し、続いて負の電圧の適用によって、還元の化学を開始することによって、調整されることができる。クリーニングの後で、電流コレクタは、めっき浴中に浸されて、電流コレクタ上に合金を堆積させることができる。
【0049】
いくつかの態様において、本発明の電極は、電流コレクタおよび電流コレクタと関連する分子触媒または金属被膜を含むことができる。当然のことながら、本明細書における適用の多くは、電流コレクタおよび合金を含む電極に焦点を当てているが、これは、決して限定するものではなく、そして電極は代わりに、本明細書中に記載されたような電流コレクタおよび分子触媒または金属被膜を含むことができる。
【0050】
いくつかの態様において、分子触媒は、(例えば、SiWOを含む)ポリオキソメタレート等の酸化物であることができる。ポリオキソメタレート(POM)は、無機金属酸素クラスターの類である。これらは、通常かごの外にあるカチオンによってバランスを取られている少なくとも1つの負の電荷を有する多面体のかご構造または骨格を含む。ポリオキソメタレートの骨格は、通常、同一であるかまたは異なることができる、酸素原子に結合した複数の金属原子を含む。POMはまた、かご骨格によって囲まれた中心に位置するヘテロ原子を含むことができる。当業者に公知であろうPOMの類の非限定の例Keggin−タイプのPOM(例えば、[XM12O40]n−)、Dawson−タイプのPOM(例えば、[X2M18O62]n−)、Lindqvist−タイプのPOM(例えば、[M6O19]n−_)、およびAnderson−タイプのPOM(例えば、[XM6O24]n−)(式中、Xは、ヘテロ原子であり、nは、化合物の電荷であり、Mは、金属(例えば、Mo、W、V、Nb、Ta、Co、Zn等、またはそれらの組み合わせ)であり、そしてOは、酸素である。)通常、好適なヘテロ原子は、リン、アンチモン、ケイ素、ホウ素、硫黄、アルミニウム、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。当業者は、プロトンおよび電子から水素ガスの生産のための他の好適な分子触媒を知るであろう。分子触媒の他の非限定の例は、Co(ジグリオキシム)錯体、[Ni(ジホスフィン)2]2+錯体、および金属ポルフィリン錯体(例えば、ここで、金属は、Pd、Fe、Co、Pt、Ir、Ru等である)を含む。電極を被覆する金属の非限定の例は、Pt、Ni、Co、Fe等を含むことができる。
【0051】
一態様では、触媒的に水素ガスを生成する方法は、電気化学装置を提供する工程を含み、第1の電極、電流コレクタおよび電流コレクタと関連した合金または分子触媒を含む第2の電極、および水を含み、ここで水は、少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含み、そして水のpHは、約6〜約10の間であり。ある場合には、電気化学的システムは、水素ガスの生成を触媒し、ここで少なくとも約1mA/cm2の電流密度において約0.3V未満の過電圧の絶対値で、または本明細書中に記載された任意の範囲で水素ガスが生成される。ある場合には、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【0052】
いくつかの態様において、電気化学反応と関連して触媒的に水素ガスを生成するための、および電気化学反応を促進するアニオン性種を含む電解質との使用のためのシステムであって、このシステムは、水素ガスの生成を触媒できるように選択された第1の種類の金属、電極上にアニオン性種を含む材料の堆積を防止するようにアニオン性種と103M−1未満の結合定数を有するように選択された第2の種類の金属および電解質に暴露可能な電極の表面積を増加させるように設定された条件下で合金から脱合金化するように選択された第3の種類の金属を含む触媒合金を含む電極を含む。
【0053】
ある場合には、触媒的に水素ガスを生成する方法は、少なくとも0.1Mの濃度でアニオン性種を含む電解質、第1の電極、および電流コレクタおよび第1の種類の金属、第2の種類の金属、および第3の種類の金属を含む触媒合金を含む第2の電極を含む電気化学装置を提供する工程を含み、第1の種類の金属は、水素ガスの生成を触媒でき、第2の種類の金属は、アニオン性種と103M−1未満の結合定数を有し、そして第3の種類の金属は、設定された条件下で、脱合金化できる。このシステムは、水から水素ガスの生成を触媒でき、ここで、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【0054】
本発明の種々の形態全般を上記に記載し、そして電極の形成、特徴、および組成物、方法、およびシステムの他の特性および構成部分に関する情報を含む組成物、電極、システム、および方法の他の形態をさらに詳細に記載するであろう。
【0055】
いくつかの態様において、本発明の電極は、電流コレクタおよび電流コレクタと関連した合金(または分子触媒または金属被膜)を含む。「電流コレクタ」は、本明細書中で使用される場合、所与の2つの代替的定義である。本発明の典型的な配置において、合金は、電源またはその同類のものによって生成された電子の形態の力の受け取りのために、電圧および/または電流の電流コレクタへの適用のための外部回路に接続された電流コレクタと関連している。当業者は、これに関連して電流コレクタの意味を理解するであろう。さらに具体的に言うと、電流コレクタは、それを通って本発明の反応の間または電極の形成の間に電流が流れる合金と外部回路との間の材料をいう。ここで材料のスタックは、アノードおよびカソードの両方、およびカソードおよび/またはアノードと関連する1種または2種以上の合金を含んで提供され、ここで電流コレクタは、膜または他の材料によって分離されていることができ、それぞれの電極(例えば、アノードおよび/またはカソード)の電流コレクタは、電流コレクタに接続された合金および外部の回路にまたはこれらから電流が流れる材料である。これまで記載された電流コレクタの場合、電流コレクタは、典型的には、外部回路から分離した物体であろうし、したがって当業者によって容易に特定可能であろう。電流コレクタは、本明細書中に記載されたような1超の材料を含むことができる。別の配置において、外部回路に接続されたワイヤーは、それ自身、電流コレクタを規定できる。例えば、外部回路に接続されたワイヤーは、溶液と接触するための合金が吸収される終端部分または電解のための他の材料を有することができる。そうした場合、電流コレクタは、合金が吸収されるワイヤーのその部分として規定される。
【0056】
「電解」は、本明細書中で使用される場合、非自発的な化学反応を駆動する電流の使用をいう。例えば、ある場合には、電解は、電流の適用により、少なくとも1つの種の酸化還元状態の変化ならびに/または少なくとも1つの化学結合の形成および/もしくは開裂を含むことができる。本発明によって提供されるように水の電解は、水を酸素ガスおよび水素ガス、または酸素ガスおよび別の水素を含有する種、または水素ガスおよび別の酸素を含有する種、またはそれらの組み合わせに分離することを含む。いくつかの態様において、本発明の機器は、逆反応を触媒できる。すなわち、機器は、水素と酸素ガス(または他の燃料)とを化合させて水を生成させ、エネルギーを生成させるように使用できる。
【0057】
ある場合には、合金は、イオン性結合、共有結合(例えば、炭素−炭素、炭素−酸素、酸素−ケイ素、硫黄−硫黄、リン−窒素、炭素−窒素、金属−酸素、または他の共有結合)、(例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオール、および/または類似の官能基間の)水素結合、配位結合(例えば、金属イオンと単座または多座配位子との間の錯体形成またはキレート化)、ファンデルワールス相互作用、およびその同類のもの等の結合の形成を介して電流コレクタと関連できる。触媒材料の電流コレクタとの「関連」は、当業者によりこの記載に基づいて理解されるであろう。
【0058】
電流コレクタと関連した合金は、最も多くの場合、本明細書中に記載されたような本発明の目的を行うために、電流コレクタと充分な電気連通にあるように、電流コレクタに対して並べられるであろう。「電気連通」は、本明細書中で使用される場合、それによって電子が本明細書中に記載されたように電極を駆動するのに充分容易な様式で電流コレクタと合金との間を流れることができる当業者によって理解されるであろう所与のその通常の意味である。すなわち、電荷は、電流コレクタと合金との間を移送されることができる。「電気連通」は、内部抵抗を有する全体的なシステムの電極または他の要素を通したそうした連通を含む。
【0059】
ある場合には、触媒材料は、電流コレクタ(または光活性材料)と「直接電気連通」にあることができる。「直接電気連通」は、本明細書中で使用される場合、電気連通に関して上記で規定されたような所与のその通常の意味であるが、この場合には、電流コレクタおよび触媒材料は、(例えば、第2材料を通して、回路の使用を通して等とは対照的に)相互に直接接触している。いくつかの態様において、合金および電流コレクタは、統合して接続されていることができる。用語「統合して接続された」は、2つまたは3つ以上の物体または材料を参照する場合、通常の使用の過程において相互に分離されるようにならない物体および/または材料を意味し、例えば、この分離は、例えば、道具の使用を含む、少なくとも物体および/または材料の内部の分離を必要とする。いくつかの態様において、触媒材料は、電流コレクタ(または光活性材料)と「間接的電気連通」にあることができる。すなわち、材料および/または回路が触媒材料と電流コレクタとの間に介在することできる。
【0060】
いくつかの態様において、(例えば、電流コレクタおよび合金を含む)電極は、性能に関して特徴付けられることができる。多くの中でこれを行う1つの方法は、電流コレクタのみに対して電極の電流密度を比較することである。典型的な電流コレクタは下記にさらに充分に記載され、そして白金、およびその同類のものを含むことができる。電流コレクタは、水電解において電極としてそれ自身機能でき、そして過去そうするように使用されてきたであろう。そうであるので、電流コレクタと合金との両方を含む電極を含む電極を使用した(同じ対電極、同じ電解質、同じ外部回路、同じ水源等を有する)本質的に同一の条件と比較して、(電極がプロトンおよび電子から水素ガスを生成する)電流コレクタを使用した水電解の間に電流密度を比較できる。ほとんどの場合、電極の電流密度は、電流コレクタのみの電流密度より高いであろうし、それぞれは本質的に同一の条件下で独立して試験される。例えば、電極の電流密度は、少なくとも約10、約100、約1000、約104、約105、約106、約108、約1010、およびその同類のもの倍で、電流コレクタの電流密度を超えることができる。特定の場合、電流密度の相違は、少なくとも約105であり、いくつかの態様において、電極の電流密度は、約104〜約1010、約105〜約109、または約104〜約108倍電流コレクタの密度を超えることができる。電流密度は、本明細書中に記載されたような幾何学的電流密度(geometric current density)または全電流密度のいずれかであることができる。
【0061】
合金は、多孔質、実質的に多孔質、無孔性、および/または実質的に無孔性であることができる。孔は、ある範囲のサイズを含むことができ、そして/または実質的に均一のサイズであることができる。ある場合には、孔は、画像技術(例えば、操作電子顕微鏡)を使用して見ることができるかまたは見ることができない。孔は、開孔であることができ、そして/または閉孔であることができる。ある場合には、孔は、バルク電解質表面と電流コレクタの表面との間の経路を提供できる。
【0062】
合金の物理的構造は、変化できる。例えば、合金は、溶液に浸される電流コレクタ(例えば、表面および/または孔)の少なくとも一部分と関連した膜および/または粒子であることができる。いくつかの態様において、合金は、電流コレクタと関連した膜を形成しない場合がある。ある場合には、合金は、電流コレクタ(例えば、合金を含む電流コレクタのすべてのまたは本質的に全ての表面)の表面を規定することができる。あるいはまたはさらに、合金は、堆積されるか、もしくはさもなければ、パッチ、島、またはいくつかの他のパターン(例えば、線、点、長方形)として電流コレクタと関連でき、またはデンドリマー、ナノ粒子、ナノロッド、またはその同類のものの形態を取ることができる。パターンは、ある場合には電流コレクタ上への合金の堆積により自発的に形成されることができ、そして/または当業者に公知の種々の技術(マイクロ接触印刷等を介してリソグラフ的に)当業者に知られた種々の技術により電流コレクタ上でパターン化されることができる。さらに、電流コレクタは、ある範囲が合金の関連を促進し、一方他の範囲は促進しないか、またはより低い程度で促進するように、それ自身パターン化されることができ、それによって電極が形成されるにつれて、電流コレクタ上に合金のパターン化された配置を作り出すことができる。合金が電極上にパターン化される場合、パターンは、合金の範囲および合金の完全にない範囲、または特定量の合金のある範囲および異なる量の合金のある他の範囲を画定できるであろう。合金は、滑らかなおよび/または凸凹な外観を有することができる。ある場合には、合金は、材料が無水の場合にある場合があるようなクラックを含むことができる。
【0063】
ある場合には、合金の厚さは、材料を通して実質的に同じであることができる。他の場合、合金の厚さは、材料を通して変化できる(例えば、膜は必ずしも均一の厚さを有さない)。合金の厚さは、複数の範囲(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、またはそれ以上の範囲)の材料の厚さを決定し、そして平均厚さを計算することによって、決定できる。合金の厚さが複数の範囲を調べることを介して決定される場合、その範囲は、パターンに基づいて多くまたは少なく存在する合金の範囲を特に表わさないように選択されることができる。当業者は、表面上の合金の任意の不均一性またはパターニングを説明する厚さ決定手順を容易に確立することができるであろう。例えば、この技術は、全体的な平均厚さを与えるために、ランダムに選択された、充分に大きな数の範囲の決定を含むことができるであろう。合金の平均厚さは、少なくとも約10nm、少なくとも約100nm、少なくとも約300nm、少なくとも約500nm、少なくとも約700nm、少なくとも約1μm(マイクロメートル)、少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、少なくとも約1mm、少なくとも約1cm、およびその同類のものであることができる。ある場合には、合金の平均厚さは、約1mm未満、約500μm未満、約100μm未満、約10μm未満、約1μm未満、約100nm未満、約10nm未満、約1nm未満、約0.1nm未満、またはその同類のものであることができる。幾つかの例において、合金の平均厚さは、約1mm〜約0.1nm、約500μm〜約1nm、約100μm〜約1nm、約100μm〜約0.1nm、約0.2μm〜約2μm、約200μm〜約0.1μm、またはその同類のものであることができる。特定の態様では、合金は、約0.2μm未満の平均厚さを有することができる。別の態様では、合金は、平均厚さ約0.2μm〜約2μmを有することができる。
【0064】
ある場合には、電極は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1月、少なくとも約2月、少なくとも約3月、少なくとも約6月、少なくとも約1年、少なくとも約18月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約5年、少なくとも約10年、またはそれ以上で、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、またはそれ以下の選択された性能尺度(例えば、具体的電流密度での過電圧、固定電池電圧での酸素の生産速度等)の変化で、水から水素ガスを生成するのに使用できる。
【0065】
当業者は、選択された性能尺度を決定するためのシステムおよび方法を知っているであろう。この方法は、(例えば、室温、雰囲気圧力等)下で行われることができる。ある場合には、(例えば、水素発生のための電流コレクタおよび合金または分子触媒を含む)本発明の電極は、選択された電解質(例えば、約7のpHを有する1Mリン酸カリウム溶液、または約9.2のpHを有する1Mホウ酸カリウム溶液)中に少なくとも部分的に浸される。電流コレクタは、Pt回転環ディスク電極を含むことができる。システムはまた、Ag/AgCl参照電極およびPtワイヤー対電極を含むことができる。水素発生のための電極は、特定の速度(例えば、約500回転/分、約1000回転/分、約1500回転/分、約2000回転/分、約2500回転/分、約3000回転/分、約3500回転/分等)で回転でき、そして電位が電極に適用されることができる。特定の場合には、電極は、約2000回転/分の速度で回転する。所望の性能パラメーターは、これら作動条件下で決定できる。ある場合には、適用された電位は、水素発生反応のための過電圧として記載できる。過電圧は、対象の反応のための熱力学的電位に加えて、電極に適用された電位(Eカソード)として規定できる。水素発生の場合、水素発生のための熱力学的電位は、NHEに対して0.0Vであり、したがって過電圧(η)式:
η =(NHEに対する)Eカソード−0.0V
から決定できる。
【0066】
決定できる性能パラメーターの例として、過電圧が0と選択された電圧との間で変化するにつれて、電流密度は、回転電極で測定されることができる。生じるデータは、過電圧対電流密度の対数(すなわち、Tafelプロット)としてプロットできる。例えば、図6Aおよび6B、および関連した例を参照のこと。通常、所与の電流密度において、より低い(より負でない)過電圧で作動する電極を形成させることが望ましい。
【0067】
もう一つの例として、電極の安定性は、上記の様な類似の実験的設定を使用して決定できる。水素発生電極は、約2500回転/分の速度で回転できる。選択された過電圧(例えば、約−0.1V、約−0.2V、約−0.3V、約−0.4V等)を電極に適用することができ、そして生じた電流密度は、時間の関数として測定できる。例えば、図7Aおよび7B、および関連した例を参照のこと。特定の態様では、過電圧は、約−0.3Vに設定され。通常、増加した安定性を有する電極は、より安定でない電極に比較して、反応時間が進むにつれて電極の電流密度におけるより小さい変化を示す。
【0068】
電流コレクタは、単一の材料を含むことができ、または、複数の材料を含むことができる、ただし、材料の少なくとも1種は実質的に導電性である。ある場合には、電流コレクタは、単一の材料、例えば、ITO、白金、FTO、ニッケル、導電性炭素メッシュおよび/またはフエルト、またはその同類のものを含むことができる。他の場合、電流コレクタは、少なくとも2種の材料を含むことができる。いくつかの例において、電流コレクタは、コア材料、およびコア材料を実質的に覆う少なくとも1種の材料を含むことができる。他の例において、電流コレクタは、2種の材料を含むことができ、ここで、第2の材料は、第1の材料の一部分と関連できる(例えば、第1の材料と合金との間に位置できる)。材料は、実質的に非導電性(例えば、絶縁性)および/または実質的に導電性であることができる。非限定の例として、電流コレクタは、実質的に非導電性コア材料および実質的に導電性材料の外側層を含むことができる(例えば、コア材料は、Vicorガラスを含むことができ、そしてVicorガラスは、実質的導電性材料(例えば、ITO、FTO等))により実質的に被覆(例えば、層で被覆)されていることができる)。非導電性コア材料の非限定の例は、無機基材、(例えば、石英、ガラス等)およびポリマー基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン等)を含む。もう一つの例として、電流コレクタは、実質的に導電性のコア材料および実質的に導電性または実質的に非導電性の材料を含むことができる。ある場合には、当業者に公知であろうように、材料の少なくとも1種は膜材料である。例えば、膜材料は、ある場合には、プロトンまたは水酸化物イオンの伝導を可能にできる。
【0069】
実質的に導電性材料の非限定の例として、電流コレクタは、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガラス質炭素、炭素メッシュ、金属、合金、リチウム含有化合物、金属酸化物(例えば、白金酸化物、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化バナジウム、亜鉛酸化スズ、酸化インジウム、インジウム酸化亜鉛)、グラファイト、ゼオライト、およびその同類のものを含むことができる。好適な金属の非限定の例として、電流コレクタは、(合金および金属酸化物に含まれる金属を含む)、鉄、金、銅、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、ニッケル、カドミウム、スズ、リチウム、クロム、カルシウム、チタン、アルミニウム、コバルト、亜鉛、バナジウム、ニッケル、パラジウム、タングステン、またはその同類のもの、およびそれらの組み合わせ(例えば、パラジウム銀、スチール、および/またはステンレススチール等の合金)を含むことができる。
【0070】
電流コレクタはまた、導電性(例えば、セラミック、導電性ポリマー)として当業者に公知の他の金属および/または非金属を含むことができる。ある場合には、電流コレクタは、無機導電性材料(例えば、銅ヨウ化物、銅スルフィド、窒化チタン等)、(例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性ポリマー)有機導電性材料、および積層物および/またはそれらの組み合わせを含むことができる。ある場合には、電流コレクタは、半導体材料を含むことができる。
【0071】
いくつかの例において、電流コレクタは、ニッケル(例えば、ニッケル発泡体またはニッケルメッシュ)等の金属を含むことができる。当業者に公知であろうニッケル発泡体およびニッケルメッシュ材料は、商業的供給元から購入できる。ニッケルメッシュは、通常、編まれたニッケル繊維をいう。ニッケル発泡体は、通常、複数の穴および/または孔を含むわずかな厚さでない(例えば、約2mm)の材料をいう。ある場合には、ニッケル発泡体は、開放気孔ポリマー発泡体の構造に基づく開放気孔の、金属性構造であることができ、ニッケル金属は、ポリマー発泡体上に被覆される。他の種類の発泡体材料は、当業者に公知であろうし、そして電流コレクタとして使用できる。発泡体電流コレクタ材料の非限定の例は、チタン、銅、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、およびステンレススチールを含むことができる。
【0072】
電流コレクタは、透明、半透明、半不透明、および/または不透明であることができる。電流コレクタは、固体、半多孔質、および/または多孔質であることができる。電流コレクタは、実質的に結晶または実質的に非結晶、かつ/または均質であるか、もしくは異成分からなることができる。
【0073】
いくつかの態様において、(何らかの合金の添加前の)電流コレクタおよび/または合金は、高い表面積を有することができる。ある場合には、電流コレクタの表面積は、約0.01m2/g超、約0.05m2/g超、約0.1m/g超、約0.5m/g超、約1m/g超、約5m2/g超、約10m2/g超、約20m2/g超、約30m2/g超、約50m2/g超、約100m2/g超、約150m2/g超、約200m2/g超、約250m2/g超、約300m2/g超、またはその同類のものであることができる。他のケースの場合、電流コレクタの表面積は、約0.01m2/g〜約300m2/g、約0.1m2/g〜約300m2/g、約1m2/g〜約300m2/g、約10m2/g〜約300m2/g約0.1m2/g〜約250m2/g、約50m2/g〜約250m/g、またはその同類のものであることができる。ある場合には、電流コレクタの表面積は、非常に高い多孔質の材料を含む電流コレクタによることができる。電流コレクタおよび/または合金の表面積は、当業者に公知であろうように、種々の技術、例えば、光学技術(例えば、光学プロファイル、光散乱等)、電子ビーム技術、機械的技術(例えば、原子間力顕微鏡、表面プロファイル等)、電気化学的技術(例えば、サイクリックボルタンメトリー等)等を使用して測定できる。
【0074】
電流コレクタの多孔度(または他の構成部分、例えば、電極)は、電流コレクタ中のボイド空間のパーセンテージまたは部分として測定できる。電流コレクタの多孔度パーセンテージは、当業者に公知の技術を使用して、例えば、体積/密度方法、水飽和法、水蒸発法、水銀侵入ポロシメトリー法、および窒素ガス吸着法を使用して測定できる。いくつかの態様において、電流コレクタは、少なくとも約10%多孔質、少なくとも約20%多孔質、少なくとも約30%多孔質、少なくとも約40%多孔質、少なくとも約50%多孔質、少なくとも約60%多孔質、またはそれ以上であることができる。孔は、(例えば、少なくとも一部が電極および/または別の孔の外側表面に開いた孔を有する)通気孔および/または閉じた孔(例えば、孔は電極または別の孔の外側表面に開いた開口を含まない)であることができる。ある場合には、電流コレクタの孔は、通気孔(例えば、電流コレクタの孔では、孔の少なくとも70%超、少なくとも80%超、少なくとも90%超、少なくとも95%超、またはそれ以上は、通気孔である)から本質的に成ることができる。ある場合には、電流コレクタの一部分のみは、実質的に多孔質であることができる。例えば、ある場合には、電流コレクタの単一表面だけは、実質的に多孔質であることができる。もう一つの例として、ある場合には、電流コレクタの外側表面は、実質的に多孔質であることができ、そして電流コレクタの内側のコアは、実質的に無孔性であることができる。特定の態様では、電流コレクタ全体は、実質的に多孔質である。
【0075】
電流コレクタは、当業者に公知の技術を使用して、非常に多孔質に作られていることができ、そして/または大きな表面積を含むことができる。例えば、ITO電流コレクタは、エッチング技術を使用して非常に多孔質にできていることができる。もう一つの例として、Vicorガラスは、エッチング技術を使用して非常に多孔質に製造され、続いてVicorガラスの実質的にすべての表面が実質的に導電性材料(例えば、ITO、FTO等)を用いて実質的に被覆されることができる。ある場合には、非導電性コアを実質的に被覆する材料は、(例えば、コア材料実質的に被覆する層ように)フィルムまたは複数の粒子を含むことができる。
【0076】
ある場合には、電流コレクタは、コア材料の少なくともの一部分が少なくとも1種の異なる材料と関連したコア材料を含むことができる。コア材料は、少なくとも1種の異なる材料で実質的にまたは部分的に被覆されていることができる。非限定の例として、ある場合には、外側の材料は、コア材料を実質的に覆うことができ、および合金は、外側の材料と関連できる。外側の材料は、合金、例えば、水から水素ガスの生成のために合金によって使用されることができる電子がコア材料と合金との間で流れることを可能にする。何らかの理論に拘束されることを望まないが、外側の材料は膜として働くことができ、そして合金に送られたコア材料において電子が生成されることを可能にする。膜はまた、水素が合金から生成され材料を通って横断することを減らし、そして/または防ぐことによって機能する。この配置は、水の酸化で生成された酸素ガスおよび水素ガスの分離が重要である機器内で好都合である。ある場合には、膜中または膜における水素ガスの生成が制限されるように膜は選択できる。
【0077】
電流コレクタは、実質的に平面であることができ、または実質的に平面でないことができる。例えば、電流コレクタは、波紋、波、デンドリマー、(例えば、ナノ粒子)球、(例えば、ナノロッド)棒、粉末、沈殿物、複数の粒子、およびその同類のものを含むことができる。いくつかの態様において、電流コレクタの表面は、凹凸間の距離および/または凹凸の高さがナノメートル、マイクロメートル、ミリメーター、センチメートルのスケール、またはその同類のものである、凹凸であることができる。いくつかの例において、電流コレクタの平面性は、電流コレクタの粗さを決定することによって決定できる。本明細書中で使用される場合、当業者に公知であろうように、用語「粗さ」は、表面(例えば、電流コレクタ)の織地の尺度をいう。電流コレクタの粗さは、量化、例えば、平面の表面からの電流コレクタの垂直偏差を決定することによって量化できる。接触(例えば、表面形状測定装置等の、表面にかけて測定針をドラグすること)または非接触方法(例えば、干渉法、共焦点顕微鏡、電気的静電容量、電子顕微鏡等)を使用して、粗さを測定できる。ある場合には、表面粗さ、Ra(式中、Raはマイクロメートルで表された表面の谷およびピークの算術平均偏差である)を決定できる。非平面のRaは、約0.1μm超、約1μm超、約5μm超、約10μm超、約50μm超、約100μm超、約500μm超、約1000μm超、またはその同類のものであることができる。
【0078】
溶液は任意の好適な材料から生成できる。多くの場合、溶液は、液体であることができ、そして水を含むことができる。いくつかの態様において、溶液は水からなるかまたは水から本質的に成ることができ、すなわち、溶液は、電気化学装置が機能するのに必要な最低の電気伝導度で、それぞれの場合において、本質的に純粋な水または純粋な水と本質的に同じように挙動する水溶液であることができる。いくつかの態様において、金属イオン性種およびアニオン性種が実質的に可溶性であるように溶液は選択される。ある場合には、電極が形成後直ちに機器において使用される場合、本明細書中に記載されたような機器および/または方法によって酸化される水(または他の燃料)を含むように溶液は選択されることができる。例えば、水素ガスが水から生成されることになる例では、溶液は、(例えば、水源から供給された)水を含むことができる。
【0079】
ある場合には、溶液のpHは、ほぼ中性であることができる。すなわち、溶液のpHは、約6.0〜約8.0、約6.5〜約7.5であることができ、そして/またはpHは、約7.0である。他の場合、溶液のpHは、ほぼ中性または酸性である。これらの場合、pHは、約0〜約8、約1〜約8、約2〜約8、約3〜約8、約4〜約8、約5〜約8、約0〜約7.5、約1〜約7.5、約2〜約7.5、約3〜約7.5、約4〜約7.5、または約5〜約7.5であることができる。また他の場合、pHは、約6〜約10、約6〜約11、約7〜約14、約2〜約12、およびその同類のものであることができる。いくつかの態様において、溶液のpHは、ほぼ中性および/または塩基性、例えば、約7〜約14、約8〜約14、約8〜約13、約10〜約14、14超、またはその同類のものであることができる。アニオン性種および金属イオン性種は、所望の状態にあるように、溶液のpHを選択できる。例えば、いくつかのアニオン性種は、pHレベル、例えば、リン酸塩の変化によって影響される場合がある。溶液が塩基性(約pH12超)の場合、リン酸塩の大部分はPO4−3の形態である。溶液がほぼ中性の場合、リン酸塩はほぼ当量のHPO4−2の形態およびH2P04−1の形態である。溶液がわずかに酸性(約pH6未満)である場合、リン酸塩はH2P04の形態である。pHレベルはまた、アニオン性種および金属イオン性種の溶解度定数に影響できる。
【0080】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような電極は、低絶対値の過電圧でプロトンおよび電子から水素ガスを生成できる。所与の活性を達成するのに必要な熱力学的に決定される還元または酸化電位に追加された電圧を本明細書中において「過電圧」といい、そしてこれは電解装置の効率を制限する場合がある。したがって、過電圧は技術的に所与のその通常の意味であり、すわなち、反応に必要な熱力学的ポテンシャルを差し引いた電気化学反応(例えば、水からの水素ガスの生成)を生じるために、システム、または電極等のシステムの構成部分に適用されなければならない電位である。当業者は、反応を駆動するために特定のシステムに適用されなければならないすべての電位が、典型的には、システムの種々の構成部分に適用されなければならないすべての電位であることができることを理解するであろう。例えば、システム全体のための電位は、典型的には、水の電解から水素ガスが生成される例えば電極において測定される電位より高いことができる。当業者は、水電解からの水素生成のための過電圧が本明細書中において記載される場合、これは、水素そのものへのプロトンおよび電子の変換に必要な電圧に適用され、そして対電極(他の可能な反応の内、酸素およびプロトンおよび電子への水の酸化が生じると推定される)対電極における電圧低下を含まないことを認めるであろう。
【0081】
プロトンおよび電子からの水素ガスの生成のための熱力学的電位は、反応(例えば、pH、温度、圧力等)の条件により通常変化する。当業者は、実験的条件によってプロトンおよび電子からの水素ガスの生成のための理論上の熱力学的電位を決定できるであろう。
【0082】
いくつかの例において、本明細書中に記載されたような電極は、約1ボルト未満、約0.75ボルト未満、約0.5ボルト未満、約0.4ボルト未満、約0.35ボルト未満、約0.325ボルト未満、約0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、約0.1ボルト未満、約0.075ボルト未満またはその同類のものである過電圧の絶対値を用いてプロトンおよび電子(例えば、ガス状のおよび/または液体水)から水素ガスを生成できる。いくつかの態様において、過電圧の絶対値は、約0.1ボルト〜約0.4ボルト、約0.2ボルト〜約0.4ボルト、約0.25ボルト〜約0.4ボルト、約0.3ボルト〜約0.4ボルト、約0.25ボルト〜約0.35ボルト、約0.1〜約0.2ボルト、約0.1〜約0.3ボルト、またはその同類のものである。ある場合には、電極の過電圧の絶対値は、中性pH(例えば、約pH7.0)、周囲温度(例えば、約25℃)、周囲圧力(例えば、約1気圧)、無孔性かつ平面である電流コレクタ(例えば、ITOプレート)を有する電解質の標準化された条件下で決定される、および約1mA/cm2の(本明細書中に記載されたような)幾何学的電流密度(geometric current density)において。当然のことながら、本発明のシステムは、直前に記載されたこれらの条件以外の下で使用でき、そして非常に広範な条件が本発明の使用において存在できることを実際当業者は認識するであろう。しかし、上記に記載した条件は、過電圧、生成される酸素および/または水素の量、および本明細書中に規定された性能特徴等の特徴をどのように規定するかの目的のためのみに提供される。具体的な実施形態において、電極は、少なくとも1mA/cm2の電極電流密度において、0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、または約0.1ボルト未満の過電圧の絶対値でプロトンおよび電子から水素ガスを生成できる。別の態様では、電極は、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度において、0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、約0.1ボルト未満、または約0.075ボルト未満の過電圧の絶対値で水から水素ガスを生成できる。また別の態様において、電極は、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度において、0.3ボルト未満、約0.25ボルト未満、約0.2ボルト未満、約0.15ボルト未満、または約0.1ボルト未満の過電圧の絶対値で水から水素ガスを生成できる。
【0083】
いくつかの態様において、電極は、約100%、約99.8%超、約99.5%超、約99%超、約98%超、約97%超、約96%超、約95%超、約90%超、約85%超、約80%超、約70%超、約60%超、約50%超等のファラデー効率で、水素ガスから水(例えば、ガス状の水および/または液体水)を生成できる。用語「ファラデー効率」は、本明細書中で使用される場合、所与のその通常の技術的意味であり、そして電荷(例えば、電子)が特別な電気化学反応を促進するシステムにおいて移送される有効性をいう。例えば、非生産的な反応、生成物の再結合、システムの短絡、および電子の他の分散に参加できる電子の誤った方向性によってシステムのファラデー効率における損失が生じる場合があり、そして熱の生成および/または化学的副生成物となる場合がある。
【0084】
ファラデー効率は、ある場合には、知られた量の試薬が、化学量論的に生成物に転化するバルク電解を通して、通過した電流によって測定されるように決定でき、そしてこの量は、別の分析的な方法を通して測定された観察された量の生成物と比較できる。例えば、機器または電極は、プロトンおよび電子から水素ガスを生成するために使用できる。生成された水素ガスの全量は、当業者(例えば、水素センサー、電気化学的方法等を使用して)当業者に知られた技術を使用して測定できる。生成されることが期待される水素の全量は、単純な計算を使用して決定できる。ファラデー効率は、生成された水素ガス対生成される水素ガスの期待される量を決定することによって、決定できる。ある場合には、電極のファラデー効率は、約1日、約2日、約3日、約5日、約15日、約1月、約2月、約3月、約6月、約12月、約18月、約2年等の電極の稼働の期間にわたって、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約1.0%未満、約2.0%未満、約3.0%未満、約4.0%未満、約5.0%未満等変化する。
【0085】
いくつかの態様において、上記の電極および/または上記の方法を使用して調製された電極を含むシステムおよび/または機器を提供できる。特に、機器は、電気化学装置(例えば、エネルギー変換機器)であることができる。電気化学装置の非限定の例は、本明細書中に記載されたような、電解装置、燃料電池、および再生燃料電池を含む。いくつかの態様において、機器は、電解装置である。電解装置は、電解的に水(例えば、液体および/またはガス状の水)を分解して酸素および/または水素ガスを生成することによって、酸素ガスおよび/または水素ガス発生器として機能できる。電解装置は、電解的に水(例えば、液体および/またはガス状の水)を分解して、酸素および/または水素ガスを生成することにより、酸素ガスおよび/または水素ガス発生器として機能できる。エネルギー変換機器は、いくつかの態様において、自動車、家、村、冷却機器(例えば、冷蔵庫)等を運転させるのに必要なエネルギーの少なくとも一部分を提供するのに使用できる。いくつかの態様において、機器はO2および/またはH2を生成するのに使用できる。O2および/またはH2を、例えば、燃料電池等の機器を使用して、電気および水に戻して変換できる。ある場合には、しかし、O2および/またはH2は、他の目的(例えば、医療的、工業的、および/または化学的目的)のために使用できる。機器使用の他の非限定の例は、O2の生成(例えば、ガス状酸素)、H2の生成(例えば、ガス状水素)、H2O2の生成、アンモニアの酸化、炭化水素(例えば、メタノール、メタン、エタノール、およびその同類のもの)の酸化、排気ガス処理等を含む。
【0086】
いくつかの態様において、電気化学的に水から酸素および水を生成するための電解装置およびシステムおよびこれらに関連した方法を提供できる。1つの設定において、機器は、(例えば、本明細書中に記載されたような)チャンバー、第1の電極、第2の電極を含み、ここで第1の電極は、第2の電極、電解質に対して正にバイアスが掛けられており、ここでそれぞれの電極は、電解質、水の供給元および第1のおよび第2の電極と電気連通した電源と流体接触している。ある場合には、水の供給元は、少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含むことができる。第1の電極は、第2の電極手段に向かって、負にまたは正にバイアスが掛けられていると考えることができ、これは第2の電極の第2の電圧電位に対して第1の電極の第1の電圧電位が負または正であることを意味する。第2の電極は、第2の電極に対して、(例えば、水を酸素および水素ガスに変換する熱力学によって規定された最小値)約1.23V未満、約1.3V未満、約1.4V未満、約1.5V未満、約1.6V未満、約1.7V未満、約1.8V未満、約2V未満、約2.5V未満、およびその同類のもので負にまたは正にバイアスを掛けられることができる。ある場合には、バイアスは、約1.5V〜約2.0V、約2.0および2.5V、約1.6V〜約1。9Vであることができ、または約1。6Vである。
【0087】
プロトンは、当業者に公知であろうような任意の好適なプロトン源を使用して本明細書中に記載された機器に提供できる。プロトン源は、プロトン、例えば、H+、H3O+、NH4+等を供給できる任意の分子または化学品であることができる。(例えば、燃料電池における燃料としての使用のための)水素源は、例えば、水素ガス、水素リッチガス、天然ガス等の水素を含む任意の物質、化合物、または溶液であることができる。機器に供給される酸素ガスは、実質的に純粋であることができ、または実質的に純粋でないことができる。例えば、ある場合には、酸素リッチガス、空気等の酸素を含む任意の物質、化合物または溶液を提供できる。
【0088】
電解装置の例が図1に記載されている。電源120は第1の電極122および第2の電極124に電気的に接続されており、ここで第2の電極は、本明細書中に記載されたような電極である。第1の電極122および第2の電極124は、電解質126と接触している。この例において、電解質126は、水を含む。しかし、ある場合には、物理的バリアー(例えば、アスベスト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微小孔性分離器からなる多孔質隔膜)、およびその同類のものは、第2の電極と接触して電解質溶液から、第1の電極と接触して電解質溶液を分離でき、一方、依然片側から別の側にイオンが流れるようにできる。他の態様において、電解質は、溶液でないことができ、そしてイオンを伝導する固体ポリマーであることができる。そうした場合には、水を任意の好適な水の供給元を使用して機器に提供できる。
【0089】
この非限定の態様において、電解装置は以下のように稼働できる。電源が入れられ、そして電子正孔対を生成できる。正孔128は第1の電極122に注入され、そして電子130は第2の電極124に注入される。第1の電極において、半反応132に示すように、水は酸化されて、酸素ガス、4つのプロトン、および4つの電子を生成する。第2の電極において、電子は、半反応134に示すように、(例えば、電解質等のプロトン源からの)プロトンと化合して水素を生成する。第1の電極から第2の電極への電子の正味での流れがある。生成された酸素および水素ガスは、燃料電池を含むか、または商業的もしくは別の用途における使用を含む、他の機器において貯蔵され、そして/または使用されることができる。
【0090】
いくつかの態様において、電解装置は、第2の電気化学電池と電気連通した第1の電気化学電池を含むことができる。第1の電気化学電池は、本明細書中に記載されたような電極を含むことができ、そして水から酸素および/または水素ガスを生成できる。酸素ガスの生成の間に電極から生成された電子は、(例えば、回路を通して)第2の電気化学電池に移送されることができる。電子は、(例えば、水素イオンからの水素ガスの生成のための)第2の反応において、第2の電気化学電池中で使用できる。いくつかの態様において、第1の電気化学電池中で生成された水素イオンの、第2の電気化学電池への輸送を可能にする材料を提供できる。当業者は、そうした機器のために好適な設定および材料を知っているであろう。
【0091】
いくつかの場合において、例えば、図2に示すように、機器は、第1の材料および第2の材料を含む電流コレクタと関連した合金を含む電極を含むことができ。機器は、ハウジング298、水の酸化の間に生成されたO2およびH2ガスの収集のための第1の出口320および第2の出口322、第1の電極302および(第1の材料306、第2の材料316、および合金308を含む)第2の電極307を含むことができる。ある場合には、材料304は、第1の電極302と第2の電極306(例えば、非ドープ半導体)との間に存在できる。機器は、電解質(例えば、300、318)を含む。第2の材料316は、電解質(例えば、318)が材料の孔を満たす多孔質導電性材料(例えば、バルブ金属、金属性化合物)であることができる。何らかの理論に拘束されることを望まないが、材料316は、膜として機能でき、そして第1の材料306で生成された電子の第2の材料316の外側表面324への透過を可能にできる。第2の材料316は、第2の材料316の孔中で酸素ガスが生成されないように選択されることができ、例えば、酸素ガスの生成のための過電圧が高い場合。酸素ガスは、第2の材料316の表面324の上またはその近傍(例えば、または第2の材料316の外側表面324と関連する合金を介して)で生成される場合がある。第2の材料316での使用に好適であることができる材料の非限定の例は、チタンジルコニウム、バナジウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、タングステン、またはそれらの合金を含む。ある場合には、材料は、バルブ金属窒化物、炭化物、ホウ化物等、例えば、窒化チタン、炭化チタン、またはホウ化チタンであることができる。ある場合には、材料は、酸化チタン、または(例えば、ニオブタンタル、タングステン、フッ素等を用いて)ドープされた酸化チタンであることができる。
【0092】
ある場合には、燃料電池(または燃料からエネルギーへの変換機器)ならびにそれに関連したシステムおよび方法を提供できる。典型的な、従来の燃料電池は、2つの電極、第1の電極および第2の電極、第1の電極と第2の電極との両方に接触した電解質、および機器によって作り出された電力が引き出される第1の電極および第2の電極中の電気の回路を含む。
【0093】
燃料電池の製造および稼働は、当業者に公知であろう。電極および/または触媒材料を含むことができる燃料電池機器の非限定の例は、プロトン交換膜(PEM)燃料電池、リン酸燃料電池、溶融した炭酸塩燃料電池、固体オキサイド燃料電池、アルカリ性燃料電池、直接のメタノール燃料電池、亜鉛空気燃料電池、プロトンセラミック燃料電池、および微生物燃料電池を含む。いくつかの態様において、機器は、本明細書中に記載されたような触媒材料、電極、または機器を使用して再生燃料電池であることができる。再生燃料電池は、燃料電池および電解装置を含む機器である。
【0094】
いくつかの態様において、機器は、本明細書中に記載されたような電極または機器を使用する再生燃料電池であることができる。再生燃料電池は、燃料電池および電解装置を含む機器である。電解装置および燃料電池は、電解または燃料電池のいずれかとして稼働できる同じ構成部分によって主として規定できるか、または電解装置と燃料電池との一方もしくは両方は、機器のためのみに使用されるが他のためには使用されない構成部分を含むことができる。例えば、再生燃料電池は、電位、燃料等の入手可能性および設定によって、第1の電極と第2の電極との両方が電解装置と燃料電池との両方のために使用される第1の電極および第2の電極を含むことができる。もう一つの例として、再生燃料電池は、それ自身の一式の電極、電解質、区画、および種々の連結によって規定された電解槽、ならびに電解槽のいくつかまたは全ての構成部分と異なる、それ自身の電極等によって規定される別個の燃料電池を含むことができる。使用の例として、電解装置および燃料電池が同じ構成部分によって主として規定され、機器が電解装置として機能する場合、酸素および水素ガスを、一組の少なくとも2つの電極を使用して水から生成できる。
酸素および水素ガスは貯蔵でき、そして機器が燃料電池として機能する場合、これらの同じ電極を使用して、または同じ電極の少なくとも1つを使用して燃料として使用できる。この配置において、システムが実質的に含まれ、そして繰り返し使用できる。
【0095】
いくつかの態様において、本明細書中に記載された電極および組成物は、光起電利用(photovoltaic assisted)光電気化学電池および/または光活性組成物と連結して使用できる。ある場合には、光活性組成物は、光電池、三接合アモルファスシリコン(triple−junction a−Si)光電池、半導体、またはp−タイプ半導体フォトカソードである。光電気化学電池、機器、および関連した方法は、当業者に公知であろう。ある場合には、触媒材料は、光活性組成物と直接的に関連でき(例えば、触媒材料は光活性組成物と直接接触している)、または光活性組成物は間接的に関連できる(例えば、触媒材料は光活性組成物と連結して使用されるが、触媒材料と直接接触しない)。例えば、一態様では、光起電利用光電気化学電池で起こるであろうプロセスは以下のようである。第1の電極は、電磁照射に曝されることができ、第1の電極は、光電池の片側に適用された透明導電性被膜を含む。第2の電極は、光電池の反対側に適用されることができ、そして本明細書中に記載されたような合金と接合した導電性層を含むことができる。光は透明被膜を透過でき、そして第1の電極の下の光電池を励起でき、そして電荷キャリアー(例えば、電子正孔対)の生成となることができる。水は、第1の電極において生成された正孔によって酸化できる。第1の電極で生成された水素イオンは、(例えば、電解質を通して)本明細書中に記載された合金水素発生触媒を含む第2の電極に輸送されることができ、そして第1の電極で生成された電子は、光電池を通して第2の電極に移送されることができる。輸送された水素イオン(例えば、H+またはH2P04−などの別の形態)は、第2の電極において輸送された電子で還元されることができ、それによって水素ガスを生成する。
【0096】
一態様では、タンデムのフォトアノード光起電性、光電気化学電池で起こるプロセスは以下のようである。第1の電極は、電磁照射にさらされることができ、第1の電極は、n−タイプ半導体を含み、そして第2の電極に対して正にバイアスされることができる。光は第1の電極の半導体材料を励起でき、そして電荷キャリアー(例えば、電子正孔対)の生成となることができる。水は第1の電極で生成された正孔によって酸化されることができる。第1の電極で生成された水素イオンは、(例えば、電解質をとおして)本明細書中に記載されたような合金を含む第2の電極に輸送されることができ、そして第1の電極で生成された電子は、回路を通して第2の電極に移送されることができる。輸送された水素イオン(例えば、H+またはH2P04−などの別の形態)は、第2の電極において輸送された電子で還元されることができ、それによって水素ガスを生成する。
【0097】
光活性組成物は、当業者に公知であろう。光活性材料の非限定の例は、TiO2、WO3、SrTiO3、TiO2−Si、BaTiO3、LaCrO3−TiO2、LaCrO3−RuO2、TiO2−In2O3、GaAs、GaP、p−GaAs/n−GaAs/pGao.2In0.48P、AIGaAs/SiRuO2、PbO、FeTiO3、TaO3、MnTiO3、SnO2、Bi2O3、Fe2O3(ヘマタイトを含む)、ZnO、CdS、MoS2、CdTe、CdSe、CdZnTe、ZnTe、HgTe、HgZnTe、HgSe、ZnTe、ZnS、HgCdTe、HgZnSe等、またはそれらの複合物を含む。ある場合には、光活性組成物はドープされることができる。例えば、TiO2は、Y、V、Mo、Cr、Cu、Al、Ta、B、Ru、Mn、Fe、Li、Nb、In、Pb、Ge、C、N、S等によりドープされることができ、そしてSrTiO3は、Zrによりドープされることができる。光活性組成物は、例えば、単結晶ウェハー、被膜(例えば、薄膜)、ナノ構造の配列、ナノワイヤー等を含む任意の好適なモルホロジーまたは配置に提供されることができる。当業者は、選択された形態の光活性組成物を調製するための方法および技術を知っているであろう。例えば、ドープTiO2は、スパッタリング、ゾルゲル、および/またはTiの陽極酸化によって調製されることができる。例示的な態様では、光活性組成物は、任意選択的にドープされた、またヘマタイトとしても知られているα−Fe2O3を含むことができる。
【0098】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような(例えば、水の電解のための)電気化学システムおよび/または機器は、本明細書中に記載された過電圧の任意の1つにおいて主として維持される電圧で稼働できる。すなわち、そうしてシステムにおいて、過電圧は、本明細書中に記載された1つのレベル、または1つの範囲内の一定のレベルで維持されることができるが、一定に維持される必要はない。システムの電位は、使用の間、工程ごとの様式またはその同類のもので、線形に、非線形に調整されることができる。しかし、ある場合には、本明細書中に記載された過電圧でまたは本明細書中に記載された範囲内で、システムが稼働される時間の少なくとも約25%、少なくとも約45%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも98%、システムは稼働される。一態様では、電圧は、システムおよび/または機器が稼働される実質的に100%の間そうした過電圧に保たれる。これは、システムは、記載された過電圧に保たれることができるが、使用の期間の間そのレベルまたはその範囲の外であるが、本発明にこの形態に従って、上記時間パーセンテージを超えないで、動かされることができることを意味する。
【0099】
機器の電極の性能は、電流密度(例えば、幾何学的なおよび/または全電流密度)によって測定されることができ、ここで電流密度は、保存された電荷の流れの密度の尺度である。例えば、電流密度は、断面図の単位面積当たり電流である。ある場合には、本明細書中に記載されたような電極の電流密度(例えば、本明細書中に記載されたような幾何学的電流密度および/または全電流密度、)は、約0.1mA/cm2超、約1mA/cm2超、約5mA/cm2超、約10mA/cm2超、約20mA/cm2超、約25mA/cm2超、約30mA/cm2超、約50mA/cm2超、約100mA/cm2超、約200mA/cm2超、およびその同類のものである。
【0100】
いくつかの態様において、電流密度は、幾何学的電流密度として記載されたように記載されることができる。本明細書中で使用される場合、幾何学的電流密度は、電極の幾何学的な表面積によって割った電流である。電極の幾何学的な表面積は当業者によって理解されるであろうし、そして電極(または電流コレクタ)の外側境界を画定する表面、例えば、巨視的測定具(例えば、定規)によって測定できる範囲をいい、そして表面積(例えば、発泡体等の多孔質材料の孔の内側の面積、またはメッシュ内に含まれ、そして外側境界等を画定しないメッシュのこれらの繊維の表面積)を含まない。
【0101】
いくつかの態様において、電流密度は、幾何学的電流密度として記載されたように記載されることができる。本明細書中で使用される場合、幾何学的電流密度は、電極の幾何学的な表面積によって割った電流である。電極の幾何学的な表面積は当業者によって理解されるであろうし、そして電極(または電流コレクタ)の外側境界を画定する表面、例えば、巨視的測定具(例えば、定規)によって測定できる範囲をいい、そして表面積(例えば、発泡体等の多孔質材料の孔の内側の面積、またはメッシュ内に含まれ、そして外側境界等を画定しないメッシュのこれらの繊維の表面積)を含まない。
【0102】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような機器および/または電極は、酸素生成または水素生成が生じる電極においてcm2当りで、それぞれ、時間当り少なくとも約1μmol(マイクロモル)、少なくとも約5μmol、少なくとも約10μmol、少なくとも約20μmol、少なくとも約50μmol、少なくとも約100μmol、少なくとも約200μmol、少なくとも約500μmol、少なくとも約1000μmol、またはそれ以上のの酸素および/または水素を生成できる。電極の面積は、本明細書中に記載されたような幾何学的な表面積または全表面積であることができる。
【0103】
ある場合には、電解装置は、光電池に電気的に接続可能であり、そして光電池によって駆動されることができるように組み立てられかつ並べられることができる(例えば、光電池は、水の電解用機器のための電源であることができる)。光電池は、光を吸収し、そして電気エネルギーに変換する光活性材料を含む。当業者は、光電池「に電気的に接続可能であり、そして」光電池に「よって駆動されることができるように組み立てられかつ並べられることができる」機器の意味を理解するであろう。この配置は、梱包、取扱説明書、独自の(機械的および/または電気的)接続上の特徴、またはその同類のものを通して、相互に連結されることを明らかに示された光電池および電解装置を含む。この態様または他の態様において、2つの(光電池および電解装置)は、キットとして共に梱包されることができる。電解装置は、本明細書中に記載されたような電極または機器のいずれかを含むことができる。光電池、ならびにこれを提供する方法およびシステムは、当業者に公知であろう。ある場合には、本明細書中に記載されたような電極の使用で、時間当りで、光電池のcm2当り、少なくとも約1μmol(マイクロモル)、少なくとも約5μmol、少なくとも約10μmol、少なくとも約20μmol、少なくとも約50μmol、少なくとも約100μmol、少なくとも約200μmol、少なくとも約500μmol、少なくとも約1000μmolの酸素および/または水素ガスの生成速度で水の電解を進めることができる。特定の態様では、本明細書中に記載されたような光起電性機器および電解装置を含む機器は、時間当り、光電池のcm2当り、少なくとも約10μmolの酸素および/または水素ガスを生成できる。
【0104】
ある場合には、本明細書中に記載されたような機器および方法は、ほぼ周囲条件において行うことができる。周囲条件は、機器および/または方法に関連する温度および圧力を規定する。例えば、周囲条件は、約25℃の温度および約1.0気圧(例えば、1気圧、14psi)の圧力によって規定されることができる。ある場合には、この条件は本質的に周囲のものであることができる。本質的に周囲温度範囲の非限定の例は、約0℃〜約40℃、約5℃〜約35℃、約10℃〜約30℃、約15℃〜約25℃、約20℃において、約25℃において、およびその同類のものを含む。本質的に周囲圧力範囲の非限定の例は、約0.5気圧〜約1.5気圧、約0.7気圧〜約1。3気圧、約0.8〜約1。2気圧、約0.9気圧〜約1。1気圧、およびその同類のものを含む。特定の場合には、圧力は、約1。0気圧であることができる。周囲または本質的に周囲条件は、任意の条件(例えば、pH等の条件)とともに、本明細書中に記載された、機器、組成物、触媒材料および/または方法のいずれかとともに、使用されることができる。
【0105】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されたような方法および/または機器の使用の間に提供され、そして/または生成された水は、ガス状態であることができる。当業者は、蒸気を用いて、ある場合には、過度の実験なしで行われる公知の電気化学的技術を適用できる。例示的な態様として、ある場合には、水は、電極を含む電解装置(例えば、高温度電解または蒸気電解)に、ガス状態で提供されることができる。ある場合には、機器に提供されたガス状の水は、蒸気を本来的に生成する機器またはシステム(例えば、原子力発電所)によって、生成されることができる。ある場合には、電解装置は、第1の多孔質電極および第2の多孔質電極(例えば、本明細書中に記載されたような電極、ニッケルサーメット蒸気/水素電極、混合酸化物電極(例えば、ランタン、ストロンチウム等を含む、コバルト酸素電極等)および電解質を含むことができる。電解質は、選択されたガス(例えば、酸素、オキサイド、分子ガス(例えば、水素、窒素等))に非浸透性であることができる。電解質の非限定の例は、イットリア安定化ジルコニア、バリウム安定化ジルコニア等を含む。ガス状態の水を使用できる1つの電解装置の非限定の例が図3に示されている。電解装置は、第1の電極200、第2の電極202、非浸透性の電解質204、電源208、および第1の電極と第2の電極とを接続する回路206を含んで提供され、ここで第2の電極202は、第1の電極200に対して正にバイアスされている。ガス状の水210は、第1の電極200に提供される。
酸素ガス212は、第1の電極200に提供され、そして時々ガス状の水214を含むことができる。水素ガス216は、第2の電極202で生成される。いくつかの態様において、蒸気電解は、約100℃〜約1000℃、約100℃〜約500℃、約100℃〜約300℃、約100℃〜約200℃、またはその同類のものの温度で行われることができる。何らかの理論に拘束されることを望まないが、ある場合には、ガス状態の水を提供することは、水が液体状態中で提供される類似の機器に比較して、さらに効率的に電解を進めることができる。これは、水蒸気のより高い入力エネルギーによることができる。いくつかの例において、提供されるガス状の水は、他のガス(例えば、水素ガス、窒素ガス等)を含むことができる。
【0106】
本明細書中に記載されたもの等の電気化学装置に含まれる全体的な電気化学および/または化学の個々の形態は通常公知であり、そして本明細書中に必ずしもすべて詳細に記載されていないであろう。当然のことながら、本明細書中に記載された具体的な電気化学装置は、例示的であるのみであり、そして本明細書中に記載されたような構成部分、連結、および技術は、種々の固体、液体、および/またはガス状燃料、および種々の電極、および電解質(これらは、操作条件下で液体または固体(隣接した構成部分のために実現可能な所では;通常、1種が固体であり、そして液体がある場合には、1種が液体であろう。))を含む任意の好適な電気化学装置に実際に適用できる。記載された電気化学装置ユニット配置が、本明細書中に記載されたように電極を使用できる電気化学装置の単なる例であることがまた理解される。本明細書中に記載されたように、使用され、そして可能とするこれらの本明細書中に開示された以外の多くの構造的な配置は、当業者に明らかであろう。
【0107】
したがって、電気化学装置は、より大きい機器またはシステムを形成するように追加の電気化学装置と組み合わせられることができる。いくつかの態様において、これはユニットまたは機器(例えば、燃料電池および/または電解装置)のスタックの形態を取ることができる。1超の電気化学装置が組み合わせられる場合、機器はすべて本明細書中に記載されたような機器であることができ、または本明細書中に記載されたような1種または2種以上の機器は、従来の固体酸化物燃料電池等の他の電気化学装置と組み合わせることができる。当然のことながら、この用語が使用される場合、本発明のシステムおよび技術に従って機能できると当業者が理解するであろう任意の好適な電気化学装置は、置き換えられることができる。
【0108】
上記のように、いくつかの態様において、水は、少なくとも1種の不純物(水の供給源中に自然に存在する、例えば、物質、化合物、化学品等)および/または少なくとも1種の添加物(水の供給源に故意に加えられた、例えば、物質、化合物、化学的等)を含むことができる。少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物の存在は、電極の性能にほとんど影響できないか、または実質的に全く影響できない。例えば、ある場合には、本質的に同一の条件下で不純物または添加物を実質的に含まない水を使用した活性に対して、少なくとも1種の不純物または添加物を含む水を使用した活性レベルとほぼ同じで、約95%超で、約90%超で、約80%超で、約70%超で、約60%超で、約50%超で、またはその同類のもので電極は稼働できる。ある場合には、電極の電流密度(または他の性能パラメーター)は、本質的に一定の電気化学的条件下で、約1時間、約2時間、約4時間、約8時間、約12時間、約18時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約1週間、約2週間、約1月、またはそれ以上の時間にわたって、約50%、約40%、約30%、約20%、約15%、約10%、約8%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、またはそれ以下を超えては決して低下できない。ある場合には、電極の電流密度は、本質的に一定の電気化学的条件下で4時間の間にわたって約10%超低下しない。
【0109】
用語「本質的に一定の電気化学的条件」は、本明細書中で使用される場合、電極が、本質的に稼働条件になんら調整がされずに、ある時間期間の間稼働される一式の条件をいう。例えば、具体的にシステムの性能を高めるためまたは低下させるために、調整はなんらなされない。しかし、当然のことながら、必要な場合、補充反応物および/または消費される試薬に関連した条件の変化、またはシステムの稼働による条件における固有の変化(例えば、機器の稼働による温度の上昇)は、通常本質的に一定の条件のための用語「本質的に一定の電気化学の条件。」に含まれるものと考えられ、システムの物理的配置および/または操作パラメーターは、所望の時間の間の稼働の間に変化しない。例えば、電圧または電流(これらの1つのが一定に保たれる場合)、入力または出力電源、生成または消費されたガス、回路、構成部分配置、材料等は、本質的に一定の条件の稼働の間に本質的に類似の状態(例えば、システムに適用された電圧/電流が上昇または低下しない、システムの配置において変化しない等)に維持される。ある場合には、反応物および/または試薬は、消費されることができ、そして必要な場合、反応物および/または試薬の濃度または他の測定可能なパラメーター(例えば、pH)が稼働の間に本質的に一定であるように、(例えば、約0.01M未満、約0.03M未満、約0.05M未満、約0.1M未満、約0.2M未満、約0.3M未満等)のアニオン性種の濃度の変化がないように)追加量の反応物および/または試薬が提供されることができる。ある場合には、システムの温度は、システム(例えば、回路加熱)における固有のプロセスにより使用の間上昇または低下でき、そしてこれは、用語「本質的に一定の条件」に含まれるものと理解されるべきである。しかし、外部の熱源への暴露によりシステムの温度における変化は、用語「本質的に一定の条件。」に含まれるとは考えられない。
【0110】
機器、電極、および/または任意の好適な供給元を使用して本明細書中に記載された方法のために、水を供給できる。ある場合には、水は、実質的に純粋な水の供給元(例えば、蒸留水、脱イオン水、化学的グレードの水等)から供給されることができる。ある場合には、水は、瓶詰め水であることができる。ある場合には、水は、天然の供給元および/または純粋でない水の供給元(例えば、水道水、湖の水、海水、雨水、川/小川の水、湖の水、池水、海水、飲料水、汽水、工業用プロセス水等)から提供されることができる。ある場合には、水は、使用の前に(例えば、電解のためのシステム/電極に提供される前に)精製されない。いくつかの例において、水は、使用の前に、粒子および/または他の不純物を除去するためにろ過されることができる。いくつかの態様において、酸素ガス(例えば、本明細書中に記載された電極および/または機器を使用して)酸素ガスを生成するために電解される水は、実質的に純粋であることができる。水の純度は、当業者に公知の1種または2種以上の方法、例えば、抵抗率、(例えば、全有機炭素分析器の使用を通して)炭素含有量、UV吸光度、酸素吸光度試験、カブトガニ血球抽出成分(limulus ameobocyte lysate)試験等を使用して、決定できる。
【0111】
少なくとも1種の不純物または添加物は、固体(例えば、粒子状物)、液体、および/またはガスであることができる。ある場合には、不純物または添加物は、可溶化され、そして/または溶解されることができる。例えば、不純物は、イオン性種を含むことができる。ある場合には、不純物は、水の供給元(例えば、水道水、非飲料水、飲料水、海水等)に存在する場合がる不純物であることができる。特定の態様では、上記さらにはここに記載したように、水の供給元は、海水であることができ、そして不純物の1種は、クロライドイオンであることができる。ある場合には、不純物または添加物は、(重金属を含む)金属元素、金属イオン、少なくとも1種の金属を含む化合物、金属を含むイオン性種等の金属を含むことができる。例えば、金属を含む不純物または添加物は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、遷移金属、またはその同類のものを含むことができる。金属の具体的非限定の例は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カリウム、水銀、鉛、バリウム等を含む。ある場合には、不純物または添加物は、有機材料、例えば、有機分子(例えば、ビスフェノールA、トリメチルベンゼン、ジオキサン、ニトロフェノール等)、(バクテリア(例えば、エシェリキア、大腸菌等)、細菌、菌類、藻等の)微生物、他の生物学的物質、薬剤的化合物(例えば、薬物、薬物からの分解性性物)、除草剤、ピロゲン、殺虫剤、タンパク質、放射性化合物、無機化合物(例えば、ホウ素、ケイ素、硫黄、窒素、シアン化、リン、ヒ素、ナトリウム等;二酸化炭素、ケイ酸塩(例えば、H4S1O4)、第一鉄および第二鉄化合物、クロライド、アルミニウム、リン酸塩、硝酸塩等を含む化合物)、溶解されたガス、懸濁された粒子(例えば、コロイド)、またはその同類のものを含むことができる。ある場合には、不純物または添加物は、ガス、例えば、一酸化炭素、アンモニア、二酸化炭素、酸素ガス、および/または水素ガスであることができる。ある場合には、ガス不純物は、水中に溶解されていることができる。ある場合には、約5モル%未満、約3モル%未満、約2モル%未満、約1モル%未満、約0.5モル%未満、約0.1モル%未満、約0.01モル未満%の生成された生成物が少なくとも1種の不純物の任意の部分を含むように、電極は、少なくとも1種の不純物を含む水から水素を生成できる。
【0112】
ある場合には、不純物は、約1ppt超、約10ppt超、約100ppt超、約1ppb超、約10ppb超、約100ppb超、約1ppm超、約10ppm超、約100ppm超、約1000ppm超、またはそれ以上の量で水中に存在できる。他の場合、不純物は、約1000ppm未満、約100ppm未満、約10ppm未満、約1ppm未満、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、約1ppt未満、またはその同類のものの量で水中に存在できる。ある場合には、水は、少なくとも1種の不純物、少なくとも2種の不純物、少なくとも3種の不純物、少なくとも5種の不純物、少なくとも10種の不純物、少なくとも15種の不純物、少なくとも20種の不純物、それ以上の不純物を含むことができる。ある場合には、不純物の量は、電極および/または機器の稼働の間に増加または減少できる。すなわち、不純物は、電極および/または機器の使用の間にセ制されることができる。例えば、ある場合には、不純物は、水の電解の間に生成されたガス(例えば、酸素ガスおよび/または水素ガス)であることができる。したがって、ある場合には、水は、電極および/または機器の稼働の前に、約1000ppm未満、約100ppm未満、約10ppm未満、約1ppm未満、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、約1ppt未満、またはその同類のものの不純物を含むことができる。
【0113】
いくつかの態様において、少なくとも1種の不純物は、イオン性種であることができる。ある場合には、水が少なくとも1種のイオン性種を含む場合、水の純度を、水の抵抗率を測定することにより、少なくとも部分的に決定できる。25℃で水の理論上の抵抗率は、約18.2ΜΩ・cmである。実質的に純粋でない水の抵抗率は、約18ΜΩ・cm未満、約17ΜΩ・cm未満、約16ΜΩ・cm未満、約15ΜΩ・cm未満、約12ΜΩ・cm未満、約10ΜΩ・cm未満、約5ΜΩ・cm未満、約3ΜΩ・cm未満、約2ΜΩ・cm未満、約1ΜΩ・cm未満、約0.5ΜΩ・cm未満、約0.1ΜΩ・cm未満、約0.01ΜΩ・cm未満、約1000Ω・cm未満、約500Ω・cm未満、約100Ω・cm未満、約10Ω・cm未満、またはそれ以下であることができる。ある場合には、水の抵抗率は、約10MΩ・cm〜約1Ω・cm、約1Ω・cm〜約10Ω・cm、約0.1MΩ・cm〜約100Ω・cm、約0.01MΩ・cm〜約1000Ω・cm、約10、000Ω・cm〜約1、000Ω・cm、約10、000Ω・cm〜約100Ω・cm、約1、000Ω・cm〜約1Ω・cm、約1、000Ω・cm〜約10Ω・cm、およびその同類のものであることができる。ある場合には、水の供給元が水道水である場合、水の抵抗率は、約10、000Ω・cm〜約1、000Ω・cmであることができる。ある場合には、水の供給元が海水である場合、水の抵抗率は、約1、000Ω・cm〜約10Ω・cmであることができる。いくつかの例において、水が純粋でない供給元から取られ、そして使用の前に精製された場合、水は、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約50%、またはその同類のもの超増の抵抗率でない様式で精製されることができる。当業者は、水の抵抗率を決定する方法を知っているであろう。例えば、水中に浸された平行電極の間の電気抵抗を測定できる。
【0114】
ある場合には、水は、純粋でない水の供給元から得られ、そして/または約16ΜΩ・cm未満の抵抗率を有する場合、水は、電解における使用の前に供給元から引かれた後で、約50%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、またはそれ以下だけその抵抗率を変化する様式で、精製(例えば、ろ過)されることができる。
【0115】
いくつかの態様において、例えば、電極を海水の脱塩に使用できるように、水は、ハロゲン化物イオン(例えば、フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド)を含むことができる。ある場合には、ハロゲン化物イオンは、水からの水素ガスの生成の間、(例えば、Cl2等のハロゲンガスを生成するように)酸化されないことができる。ある場合には、約5モル%未満、約3モル%未満、約2モル%未満、約1モル%未満、約0.5モル%未満、約0.1モル%未満、約0.01モル%未満の発生したガスが酸化されたハロゲン化物種を含むように、電極はハロゲン化物イオンを含む水から水素を触媒的に生成できる。いくつかの態様において、不純物は、塩化ナトリウムである。
【0116】
ある場合には、水の酸化は、動力学、溶解度、およびその同類のものを含む種々の因子により、ハロゲン化物イオン(または他の不純物)の酸化を支配する。例えば、金属イオン性種の配位圏が、アニオン性種によって占有されるように、アニオン性種への金属イオン性種の結合親和性は、ハロゲン化物イオンへの金属イオン性種の結合親和性より大きいことができる。本明細書中に記載されたような電極が、例えば、好適な技術、例えば、質量分析を使用してハロゲンガス(または酸化されたハロゲン化物イオンを含む種)の生成を監視することによって、ハロゲン化物イオンを含む水を使用して水素ガスを生成できる場合、当業者は決定できるであろう。
【0117】
ある場合には、水の供給元は、少なくとも1種の添加物(例えば、水の供給元に故意に加えられた化合物または物質)を含むことができる。いくつかの態様において、添加物は、アニオン性種であることができる。例えば、ある場合には、機器は、電流コレクタおよび合金を含む第1の電極ならびに電流コレクタおよび少なくとも1種のアニオン性種および少なくとも1種の金属イオン性種を含む触媒材料を含む第2の電極を含むことができる。水の供給元は、少なくとも1種のアニオン性種を含むことができる。ある場合には、電解質は、触媒材料中に含まれる少なくとも1種のアニオン性種と異なるアニオン性種を含むことができる。例えば、触媒材料は、リン酸塩アニオンを含むことができ、そして電解質は、ホウ酸塩アニオンを含むことができる。
【0118】
ある場合には、添加物がアニオン性種である場合、電解質は、(例えば、アニオン性種が錯体、塩等として加えられる場合)対カチオンを含むことができる。アニオン性種は、良好なプロトン受容種であることができる。ある場合には、添加物は、アニオン性でない(例えば、中性の塩基である)良好なプロトン受容種であることができる。中性である良好なプロトン受容種の非限定の例は、ピリジン、イミダゾール、およびその同類のものを含む。水中で添加物または不純物の濃度は、ほぼもしくは少なくとも約0.01M、約0.1M、約0.5M、約1M、約2M、約5M、約10M、もしくはその同類のもの、または約0.01M〜約10M、約0.1M〜約5M、約0.5M〜約2M、もしくはその同類のものであることができる。ある場合には、水の少なくとも1種の不純物の濃度は、ほぼまたは少なくとも約1pM(ピコモル)、約10pM、約100pM、約1μM(マイクロモル)、約10μM、約100μM、約0.001M、約0.1M、またはそれ以上であることができる。
【0119】
ある場合には、添加物(例えば、アニオン性種)、例えば、H2PO4−またはHPO−2は、水素イオンを受け取り、そして/または与えることができる。アニオン性種の非限定の例は、リン酸塩(H3PO4またはHPO4−2、H2PO4−2またはPO4−3)の形態、硫酸塩(H2SO4またはHSO4−、SO4−2)の形態、炭酸塩(H2CO3またはHCO3−、CO3−2)の形態、ヒ酸塩(H3AsO4またはHAsO4−2、H2AsO4−2またはAsO4−3)の形態、亜リン酸塩(H3PO3またはHPO3−2、H2PO3−2またはPO3−3)の形態、亜硫酸塩(H2SO3またはHSO3−、SO3−2)の形態、ケイ酸塩の形態、ホウ酸塩(例えば、H3BO3、H2BO3−、HBO3−2等)の形態、硝酸塩の形態、亜硝酸塩の形態、およびその同類のものを含む。いくつかの態様において、添加物は、(例えば、水のpHが6〜10、またはほぼ中性、または本明細書中に記載された任意の他のpH範囲にあるように)バッファーとして機能できる。いくつかの態様において、添加物は、水を塩基性(例えば、OH、NaOH等)となるようにする化合物または物質ではない。すなわち、添加物は、水が約10以上のpHを有するようにさせない。
【0120】
ある場合には、添加物(例えば、アニオン性種)は、ホスホネートの形態であることができる。ホスホネートは、構造PO(OR1)(OR2)(R3)[式中R1、R2、およびR3は同一であるかまたは相違することができ、そしてH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、またはヘテロアリールであって、これらすべては任意選択的に置換されているか、または(例えば、化合物がアニオン、ジアニオン等であることができるように)任意選択的に存在しない]を含む化合物である。特定の態様では、R1、R2、およびR3は、同一であるかまたは相違することができ、そしてH、アルキル、またはアリールであって、すべて任意選択的に置換されている。ホスホネートの非限定の例は、PO(OH)2R1(例えば、PO2(OH)(R1)−y、PO3(R1)−2)(式中、R1は、上記で規定された(例えば、メチル、エチル、プロピル等のアルキル;フェノール等のアリール等)の形態である。特定の態様では、ホスホネートは、メチルホスホネート(PO(OH)2Me)、またはフェニルホスホネート(PO(OH)2Ph)の形態であることができる。リン含有アニオン性種の他の非限定の例は、亜ホスフィン酸エステル(phosphinites)(例えば、P(OR1)R2R3)の形態および亜ホスホン酸エステル(phosphonites)(例えば、P(OR1)(OR2)R3)(式中、R1、R2、およびR3は上記の様である)の形態を含む。他の場合、アニオン性種は、以下の化合物:R1SO2(OR2))、SO(OR1)(OR2)、CO(OR1)(OR2)、PO(OR1)(OR2)、AsO(OR1)(OR2)R3)、(式中R1、R1、およびR3上記の様である)の1つの任意の形態を含むことができる。上記のアニオン性種に関して、当業者は、アニオン性種のための適当な置換基を決定できるであろう。
【0121】
いくつかの態様において、添加物(例えば、アニオン性種)は、良好なプロトン受容種であることができる。本明細書中で使用される場合、「良好なプロトン受容種」は、特定のpHレベルで良好な塩基として機能する種である。例えば、種は、第1のpHで良好なプロトン受容種であることができ、そして第2のpHで貧弱なプロトン受容種であることができる。当業者はこれに関連した良好な塩基を特定できる。ある場合には、良好な塩基は、溶液中で共役酸のpKaがプロトン供与体のpKaより大きい化合物であることができる。具体例として、SO−2は、約pH2.0で良好なプロトン受容種であることができ、そして約pH7.0で良好でないプロトン受容種でないことができる。種は、共役酸のpKa値当りで良好な塩基として機能できる。例えば、HPO4−2の共役酸は、約7.2のpKa値を有するH2PO4−である。したがって、HPO4−2は、pH7.2の周りでは良好な塩基として機能できる。ある場合には、種は、共役酸のpKa値より少なくとも約4pH単位、約3pH単位、約2pH単位、または約1pH単位上および/または下のpHレベルを有する溶液中で良好な塩基として機能できる。当業者は、どのpHレベルでアニオン性種が良好なプロトン受容種であるかを決定できるであろう。
【0122】
アニオン性種は、アニオン性種および対カチオンを含むアニオン性化合物として提供されることができる。対カチオンは、任意のカチオン性種、例えば、金属イオン(例えば、K+、Na+、Li+、Mg+2、Ca+2、Sr+2)、NR4+(例えば、NH4+);H+、およびその同類のものであることができる。具体的な実施形態において、用いられるアニオン性化合物は、K2HPO4であることができる。いくつかの態様において、添加物は、商業的供給元から供給されることができる。商業的供給元は、少なくとも1種の不純物を含むことができ(例えば、リン酸塩の場合、カリウムが存在できる)、商業的供給元中の少なくとも1種の不純物はまた、電極の性能にほとんどまたは実質的に全く影響しない。
【0123】
電極、電源、電解質、分離器、容器、回路、絶縁材料、ゲート電極等の機器の種々の構成部分は、種々の構成部分のいずれか、ならびに本明細書中に記載された特許出願のいずれかに記載されたものから当業者によって加工されることができる。構成部分は、成形され、機械加工され、押し出され、プレスされ、アイソプレスされ(isopressed)、浸透処理され、被覆され、未熟状態(in green state)または焼成状態とされ、または任意の他の好適な技術によって生成されることができる。当業者は、本明細書中に記載された機器の構成部分を形成するための技術を容易に気付くであろう。
【0124】
当業者に公知の電解質は、イオン的に導電性の媒体として機能できる自由イオンを含む任意の物質である。ある場合には、電解質は、液体、ゲル、および/または固体であることができる。ある場合には、電解質は、水を含むことができ、水の供給元として機能できる。しかし、他の態様において、電解質は、例えば、i電解質が固体である態様において、水を含まない。電解質は、メタノール、エタノール、硫酸、メタンスルホン酸、硝酸、HClの混合物、酢酸のような有機酸等をまた含むことができる。ある場合には、電解質は、水、有機溶媒、アミンおよびその同類のもの等の溶媒の混合物を含むことができる。ある場合には、電解質(または水の供給元)のpHは、ほぼ中性であることができる。すなわち、電解質(または水の供給元)のpHは、約5.5〜約8.5、約6.0〜約8.0、約6.5約7.5であることができ、そして/またはpHは、約7.0である。特定の場合には、pHは、約7.0である。他の場合、電解質のpHは、ほぼ中性または酸性である。これらの場合、pHは、約0〜約8、約1〜約8、約2〜約8、約3〜約8、約4〜約8、約5〜約8、約0〜約7.5、約1〜約7.5、約2〜約7.5、約3〜約7.5、約4〜約7.5、約5〜約7.5の範囲であることができる。また他の場合、pHは、約6〜約10、約6〜約11、約7〜約14、約2〜約12、およびその同類のものであることができる。具体的な実施形態において、pHは、約6〜約8、約5.5〜約8.5、約5.5〜約9.5、約5〜約9、約3〜約11、約4〜約10、または任意の他のそれらの組み合わせである。ある場合には、電解質が固体である場合、電解質は、固体ポリマー電解質を含むことができる。固体ポリマー電解質は、プロトン等のカチオンまたはアニオンを伝導する固体電解質として機能でき、そして電気化学電池内で生成され、そして/または利用されるガスを分離できる。固体ポリマー電解質の非限定の例は、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、硬化または架橋されたポリアクリレートおよび/またはポリウレタン、および市販されているNAFION(商標)である。非液体電解質の非限定の態様は、リチウム塩およびポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイド等のイオン導電性ポリマー;ポリビニルクロライド)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(ビニル)スルホン等の非イオン性導電性ポリマーを使用して生成されたゲルポリマー電解質、またはそれらの組み合わせを使用して生成された電解質を含む。
【0125】
いくつかの態様において、システムは、イオン交換膜を含むことができる。例えば、イオン交換膜および/またはカチオン交換膜(すなわち、アニオンおよび/またはカチオン交換可能イオンを有するもの)を使用でき、そして商業的供給元(例えば、Tokuyama(Japan)またはFuma−Tech(Germany)−ポリマーと関連した第四級アンモニウム基)から容易に入手可能である。アニオン性交換膜の非限定の例は、複数のカチオン性種(例えば、第四級アンモニウム基、ホスホニウム基等)と関連したポリ(エチレンコ−テトラフルオロエチレン)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンコ−テトラフルオロエチレン)、ポリ(エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテル)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)カルド(cardo)、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレンオキサイド)、ポリスルホン、またはポリエーテルスルホンを含む。
【0126】
ある場合には、電解質は、1種または2種以上のイオン性種を選択的に輸送するために使用されることができる。いくつかの態様において、電解質は、酸素イオン導電性膜、プロトン伝導体、炭酸塩(CO32)伝導体、OH−伝導体、および/またはそれらの混合物の少なくとも1種である。ある場合には、電解質は、立方晶系蛍石構造、ドープされた立方晶系蛍石、プロトン交換ポリマー、プロトン交換セラミック、およびそれらの混合物の少なくとも1種である。さらに、電解質として使用できる酸素イオン導電性オキサイドは、ガドリニウムドープセリア(Gdx1−xCexO2−d)またはサマリウムドープセリア(Sm1−xCexO2−d)等のドープされたセリア化合物、イットリウムドープジルコニア(Y1−xZrxO2−d)等のドープされたジルコニア化合物またはスカンジウムドープジルコニア(Sc1−xZrxO2−d)、La1−xSrxGa1−yMgyO3−d等のペロブスカイト材料、イットリア安定化ビスマスオキサイド、および/またはそれらの混合物を含む。電解質として使用できるプロトン導電性オキサイドの例は、未ドープおよびイットリウムドープBaZrO3−d、BaCeO3−d、およびSrCeO3−d、ならびにLa1−xSrxNbO3−dを含むがこれらに限られない。
【0127】
ある場合には、電解質は、電気化学装置中で再循環させことができる。すなわち、電気化学装置中で電解質を動かすことができる機器を提供できる。電気化学装置中の電解質の動きは、電解質の境界層を減少させることを助けることができる。境界層は、電極の直ぐ近傍にある流体の層である。通常、境界層が存在する程度は、溶液中の流体の流速の関数である。したがって、流体が流れない場合、境界層は、流体が流れる場合より遙かに大きい。
したがって、電気化学装置中の電解質の動きは、境界層を減少させることができ、そして機器の効率を改善できる。
【0128】
大部分の態様において、機器は、本明細書中に記載されたような少なくとも1つの電極を含むことができる。いくつかの例において、機器は、本明細書中に記載されたようなものの他に電極を含むことができる。いくつかの態様において、機器は、例えば、2008年6月18日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/073、701号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、2008年7月30日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/084、948号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’2008年10月8日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/103、879号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、2009年1月22日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/146、484号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、2009年5月19日出願のNoceraらの米国仮特許出願第61/179、581号明細書、発明の名称’’Catalyst Compositions and Electrodes for Photosynthesis Replication and Other Electrochemical Techniques’’、および2009年6月17日出願のNoceraらの米国特許出願公開第12/486、694号明細書、発明の名称’’Catalytic Materials, Electrodes, and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’(参照により本明細書中に取り込む)に記載されたような電流コレクタおよび電流コレクタと関連する(例えば、コバルトイオンおよびリンを含むアニオン性種を含む)触媒材料を含む電極を含むことができる。電流コレクタは、本明細書中に記載されたような水から水素を生成するための電極の電流コレクタに含まれるのと同一または相違できる材料を含むことができる。
【0129】
いくつかの態様において、電源は、電気化学装置にDCまたはAC電圧を供給できる。非限定の例は、電池、送電網、再生電力供給源(例えば、風力発電機、光電池、潮力エネルギー発電機)、発電奇異、およびその同類のものを含む。電源は、1種または2種以上のそうした電源(例えば、電池および光電池)を含むことができる。特定の態様では、電源は、光電池である。
【0130】
ある場合には、電気化学装置は、分離膜を含むことができる。電気化学装置のための分離膜または分離器は好適な材料、例えば、プラスチックフィルムでできていることができる。含まれるプラスチックフィルムの非限定の例は、ポリアミド、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはアクリル樹脂およびそこに分散された炭酸リチウム、または水酸化カリウム、またはナトリウムカリウム過酸化物を含む。
【0131】
本発明の電極が燃料電池と連結して使用される場合、任意の好適な燃料、酸化剤、および/または反応物等が電気化学装置に提供されることができる。特定の態様では、燃料は、酸素と反応して生成物としての水を生成する水素ガスである。しかし、他の燃料および酸化剤を使用できる。例えば、メタン等の炭化水素ガスは、生成物としての水および二酸化炭素を生成するように燃料として使用できる。天然のガス、プロパン、ヘキサン等の他の炭化水素ガスはまた、燃料として使用できる。さらに、これらの炭化水素材料は、炭素一酸化炭素等の含有燃料に改質できるか、またはあらかじめ供給され一酸化炭素はまた、燃料として使用できる。
【0132】
参照により以下の参照文献:2009年8月27日出願のEssweinらの米国仮特許出願第61/237、507号明細書、発明の名称’Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’、2009年12月4日出願のReeceらの米国仮特許出願第61/266、826号明細書、発明の名称’’Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’、2009年12月11日出願のEssweinらの米国仮特許出願第61/285、844号明細書、発明の名称’’Improved Methods and Compositions Involving Catalytic Materials、 Electrodes、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’、2010年3月3日出願のReeceらの米国仮特許出願第61/310、084号明細書、発明の名称’’Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’および2010年7月16日出願のReeceらの米国仮特許出願第61/365、102号明細書、発明の名称’’Electrodes、 Methods、 and Systems for Water Electrolysis and Other Electrochemical Techniques’’を本明細書中に取り込む。
【0133】
本発明の種々の形態の理解を助けることができる種々の定義を提供する。
【0134】
通常、用語「脂肪族」は、本明細書中で使用される場合、下記に記載するように、任意選択的に1つまたは2つ以上の官能基で置換された飽和および不飽和、直鎖(すなわち、非分枝)または分枝脂肪族炭化水素のいずれをも含む。当業者によって理解されるであろうように、「脂肪族」は、本明細書中では、アルキル、アルケニル、アルキニル部分を含むがこれに限られないことを意図する。したがって、具体的な脂肪族基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、部分およびその同類のもの、(そしてこれらはまた、上記に記載したように1つまたは2つ以上の置換基を有する)を含むがこれらに限られない。
【0135】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、所与のその通常の技術的意味であり、そして直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式の)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を含むことができる。類似の慣例が「アルケニル」「アルキニル」およびその同類のもの等の他の一般的な用語に適用される。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」「アルケニル」「アルキニル」およびその同類のものは、置換された基と非置換の基の両方を含む。
【0136】
いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖中に、30以下の炭素原子、そしてある場合には、20以下の炭素原子を有することができる。いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖中に、12以下の炭素原子(例えば、直鎖でC1〜C12、分枝鎖でC3〜C12)を有するか、6以下の炭素原子を有するか、または4以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、それらの環構造中に3〜10の炭素原子またはそれらの環構造中に5、6もしくは7の炭素を有する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。ある場合には、アルキル基は環状でないことができる。非環状アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−unデシル、およびドデシルを含むがこれらに限られない。
【0137】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、上記のアルキル基に長さが類似で置換可能であるが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を有する不飽和脂肪族基をいう。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。アルキニル基の非限定の例は、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニル、およびその同類のものを含む。
【0138】
用語「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、上記のアルキル基に長さが類似で置換可能であるが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を有する不飽和脂肪族基をいう。
【0139】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、−F、−Cl、−Br、または−Iを指定する。
用語「アリール」は、任意選択的に置換された、単環(例えば、フェニル)、複数環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である(例えば、1、2、3、4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)複数の縮合環を有する芳香族炭素環式基をいう。すなわち、少なくとも1つの環は、共役π電子系を有することができ、一方他の、隣接する環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/または複素環であることができる。アリール基は、本明細書中に記載されたように任意選択的に置換されていることができる。「炭素環式アリール基」は、芳香族環上の環原子が炭素原子であるアリール基をいう。炭素環式アリール基は、単環状炭素環式アリール基および多環式またはナフチル基等の(例えば、2つまたは3つ以上の隣接した環原子が2つ隣接する環に共通である)縮合環化合物を含む。アリール基の非限定の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルおよびその同類のものを含む。
【0140】
用語「ヘテロアリール」は、複素環等の環原子として少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基をいう。ヘテロアリール基の非限定の例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、およびその同類のものを含む。
【0141】
また当然のことながら、本明細書中に規定されたように、アリールおよびヘテロアリール部分は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アルキルまたはヘテロアルキル部分を介して結合されていることができ、したがってまた、−(脂肪族)アリール、−(ヘテロ脂肪族)アリール、−(脂肪族)ヘテロアリール、−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、および−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分を含む。したがって、本明細書中で使用される場合、語句「アリールまたはヘテロアリール」および「アリール、ヘテロアリール、(脂肪族)アリール、−(ヘテロ脂肪族)アリール、−(脂肪族)ヘテロアリール、−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、および−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール」は、置き換え可能である。
【0142】
上記の基はいずれも任意選択的に置換されていることができる。本明細書中で使用される場合、用語「置換」は、有機化合物のすべての許容できる置換基を含むと考えられ、「許容できる」とは、当業者に公知の原子価の化学的規則の概念である。「置換」はまた、例えば、転位、環化、除去等によるなどの転化を自発的に受けない安定な化合物となる置換を含むと理解されるであろう。ある場合には、「置換」は、通常水素の本明細書中に記載されたような置換基との置換をいうことができる。しかし、「置換」は、本明細書中で使用される場合、「置換された」官能基が、置換を通して、例えば、異なる官能基になるような、それによって分子が特定される重要な官能基の置換および/または変更を含まない。例えば、「置換フェニル基」は、依然フェニル部分を含まなければならず、そして置換によって、この定義において、例えば、ピリジン環に変更されることはできない。広い形態では、許容できる置換基は、有機化合物の非環式および環状、分枝および非分枝、炭素環式および複素環、芳香族および非芳香族置換基を含む。具体的な置換基は、例えば、本明細書中に記載されたものを含む。許容できる置換基は、1種または2種以上のかつ同一であるかまたは相違する適当な有機化合物であることができる。本発明の目的のために、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の価数を満たす本明細書中に記載された有機化合物の任意の許容できる置換基を有することができる。
【0143】
置換基の例は、脂肪族の、脂環式の、ヘテロ脂肪族の、ヘテロ脂環式の、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、ヘテロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN、アリール、アリールオキシ、パーハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン化物、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキサミド、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、シアノ、アルコキシアルキル、パーハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキル、(例えば、SO4(R’)2)、リン酸塩(例えば、PO4(R’)3)、シラン(例えば、Si(R’)4)、ウレタン(例えば、R’O(CO)NHR’)、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。さらに、置換基は、F、Cl、Br、I、−OH、−NO2、−CN、−NCO、−CF3、−CH2CF3、−CHC12、−CH2ORx、−CH2CH2ORx、−CH2N(RX)2、−CH2SO2CH3、−C(O)Rx、−CO2(Rx)、−CON(Rx)2、−OC(O)Rx、−C(O)OC(O)Rx、−OCO2Rx、−OCON(Rx)2、−N(RX)2、−S(O)2Rx、−OCO2Rx、−NRx(CO)Rx、−NRx(CO)N(Rx)2から選択でき、ここでそれぞれのRxは、独立して、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリールを含むがこれらに限られず、本明細書中の任意の、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリール置換基は、置換または非置換、分枝または非分枝、環状または非環式であることができ、そして本明細書中のいずれの、アリールまたはヘテロアリール置換基は、置換または非置換であることができる。
【0144】
以下の例は本発明のある態様を具体的に示すことを目的とするが、本発明の全範囲を例示することを目的としない。
【実施例】
【0145】
例1
以下の例は、ニッケル合金(例えば、触媒材料)を含む電極の合成および水からの水素ガスの生成のための電極の使用を記載する。具体的に、白金(Pt)およびニッケルモリブデン(NiMo)について、リン酸カリウム(KPi)およびホウ酸カリウム(KBi)を含むバッファー化された溶液中での水素(H2)を発生させるそれらの触媒能力を評価した。
【0146】
材料および一般的な方法。リン酸カリウム(一塩基性)、リン酸二カリウム(二塩基性)、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム(KOH)(VWR)、ホウ酸(Sigma−Aldrich)、硫酸ニッケル六水和物(Alfa Aesar)、およびモリブデン酸ナトリウム二水和物(EMD Chemicals)を入手したまま使用した。バッファー溶液を1.0M濃度に調整し、pHをKOHで調整し、そして使用前に、溶液を0.2μmのNylaflo膜(VWR)を通してろ過した。すべての電気化学的実験を、Ag/AgCl参照電極(BASi)およびa Ptワイヤー対電極(Alfa Aesar)を有するポテンショスタット(CH instrumentsモデル760C)を使用して3電極電池設定中で行った。
【0147】
電極の調製
NiMo合金(18% Mo)を、Pt回転円盤電極(RDE)上の電気めっきにより調製した。堆積前に、Pt RDEを、アルミナを用いて研磨し、そして電解質中において1分間、超音波分解した。以下の順序:+2V(60秒);−2V(60秒);+2V(60秒);−2V(10秒)による酸化電位と還元電位との間の電位サイクルの適用により6MHCl電解質中で、電極をさらに調整した。Pt RDEを、水酸化アンモニウムを使用して10.5にpHを調整した硫酸ニッケル六水和物(64g/L)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(48g/L)、およびクエン酸ナトリウム二水和物(105g/L)を含む溶液に浸した。電極回転機(Pine instruments)を使用して2000回転/分で電極を回転させながら、100mA/cm2のカソード電流を定電流で、作用ROE電極に1時間適用した。
【0148】
電気化学的方法。
PtおよびNiMo RDEのバルク電解を、2500回転/分で回転させながら、両電解質溶液(KPi:Ag/AgClに対し−0.810V;KBi:Ag/AgClに対し−0.940V)中で、H2の発生のための−200mV過電圧で行った。類似のバルク電解測定をまたぜん動ポンプ(Cole−Parmer Masterflex)を使用して110mL/分で電解質を流す特製ポリカーボネートフローセル中でPt箔(1cm2)を用いて行った。それぞれを別個の溶液中で行った。Tafelプロットを1.0M KPiおよび1.0M KBi中のバルク電解前または後のPtおよびNiMoの触媒活性を比較するために使用した。種々の適用された電位で電流を測定することによって、電流電位データを得た。すべてのTafel実験を、2500回転/分で回転させたRDEを用いて行った。従来の伝導度プローブを使用して測定された報告された電位は、溶液の抵抗で較正されている。Pt RDEでは、電極を、それぞれの電流測定の前に、上記の手順により定電圧に調整した。
【0149】
結果および検討
KPiおよびKBi中のPtのバルク電解は、水素発生の間に電極の活性が急速に低下することを示す(図4A、図4B)。KPi電解質の場合(図4A)、初期活性は、約15mA/cm2(Pt箔)および47mA/cm2(Pt RDE)であり、3時間かけて約0.6mA/cm2に低下する。類似の挙動がKBi電解質中のPt RDEで観察された(図4B)。対照的に、水素発生活性が、NiMo合金で被覆した電極を使用した電解の間維持された。図4Aは、約10mA/cm2の初期電流が電圧の適用により得られることを示し、これは1時間かけてわずかに12mA/cm2に上がり、そして電解実験の残りの間維持される。類似の性能が、2.4mA/cm2の活性を有するKBi電解質(図4B)で観察された。
【0150】
KPi (図5A)およびKBi (図5B)の両電解質における電解の前および後のNiMo合金でのTafel活性プロット(過電圧対対数の電流密度)を生成する適用された電位の関数として、活性を測定した。このプロットは、Tafel勾配および交換電流密度(x−intercept)が、カソードの稼働でわずかに増加することを示し、そしてNiMoで機能化された電極がこれらの操作条件下およびこの時間尺度で水素発生に向けてわずかにさらに活性となることを示す。これらのデータは、上記のバルク電解データと一致する。
【0151】
例2
以下の例は、pH7のリン酸塩およびpH9.2のホウ酸塩電解質中での水素発生反応のための高活性を有する安定な合金の調製を記載する。
【0152】
NiMo合金の堆積
NiMoめっき浴は、硫酸ニッケル(II)六水和物(64gL−1;Alfa Aesar)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(48gL〜1;EMD)、およびクエン酸ナトリウム二水和物(60gL−1;VWR)からなる。浴のpHを、水酸化アンモニウム(VWR)を使用して10.5に調整した。NiMoを、1時間で2000回転/分の回転速度で、100mAcm−2の電流密度でPt RDE基材上に堆積させた。生じた堆積は、堆積中に回転が含まれていたため目立ったらせんパターンで現われた。らせん中の着色は、光沢のある金属から主になる端を有する、暗黒色と光沢のある金属との間で変化した。NiMoを、75原子% Niおよび20原子% Moの存在を報告された類似のめっき浴を使用して堆積させた。
【0153】
NiFeZn合金の堆積
NiFeZnめっき浴は、硫酸ニッケル(II)六水和物(300g L−1)、硫酸亜鉛水和物(0.7g L−1; Sigma−Aldrich)および硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(10g L−1;Sigma−Aldrich)からなる。NiFeZnを、100mA・cm−2の電流密度で、1時間に2000回転/分の回転速度で、Pt RDE基材上に堆積させた。生じる活性をNiMoと関連させるために、この電流密度を選択した。生じたフィルムを、塩基中で3時間放置して、評価の前に抽出物Znを浸出させた。堆積物は厚く、明るい灰色であり、そして触ると硬かった。泡は浸出の間に観察されなかった。
【0154】
NiMoCd合金の堆積
NiMoCdめっき浴は、塩化ニッケル(II)六水和物(9.51g L−1)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(4.84g L−1)、硝酸カドミウム四水和物(0.0925g L−1;Sigma−Aldrich)、ピロリン酸ナトリウム四塩基性(34.57g L−1;Sigma−Aldrich)および重炭酸ナトリウム(74.77g L−1;VWR)からなる。ヒドラジン水和物(1.21mL L−1; Alfa Aesar)を、めっきの直前に加えた。NiMoCdを、0.0775A cm−2の電流密度で30分間、3000回転/分の回転速度で、Pt RED基材上に堆積させた。表面上の水素発生が2000回転/分での電気めっきプロセスを妨げたので、より早い回転速度が必要であった。評価の前に、Moを抽出するために、堆積物を塩基中に18時間放置し浸出させた。浸出の前には、堆積物は暗い下層を有し不透明に見えた。浸出では、堆積物は暗く見えた。
結果
これらの研究で、作用電極(Pine instruments)としてPt RDEを有する変更したディスクRDE先端を有する調節された速度の回転体、参照電極としてAg/AgClおよび対電極としてPtワイヤーを使用した。Niを、Ni RDE (Pine)を使用して評価した。図6A、図6Bは、(A)1M KBi、pH9.2および(B)1M Pi、pH7電解質中2000回転/分で電極を回転しながら、得られたPt、NiMo、NiFeZn、およびNiMoCd水素発生カソードでのTafelプロット(過電圧対電流密度)を示す。データは、ホウ酸塩電解質と比較して、リン酸塩中で稼働された場合に、それぞれの材料がさらに活性であることを示す。触媒活性は、Pt>NiMoCd>NiFeZn:NiMoの順番でランク付けできる。
【0155】
リン酸塩およびホウ酸塩電解質で稼働した場合の、触媒安定性を評価するためにバルク電解を行った。図7Aおよび図7Bは、4時間にわたる電解時間での水素発生反応のための300mV過電圧での電極の稼働で観察された電流密度をプロットしている。具体的には、図7Aおよび図7Bは、(A)1M KPi、pH7および(B)1M KBi、pH9.2電解質中で、300mV過電圧および2500回転/分回転速度でのPt、Ni、NiMo、NiFeZnおよびNiMoCdのバルク電解をプロットしている。Ptは、高い初期電流密度を示し、これは>70%で急速に衰えている。活性の低下は、稼働の間に電極表面上に積み上げられた電解質溶液(例えば、Fe)中の不純物によるのであろう。類似の不安定性の結果が、新たに調製されたNi電極で得られた。対照的に、NiMoCdは、pH7のリン酸塩中42.5mA・cm−2の活性電流密度を有する両電解質中で、安定な稼働を示した。NiMoおよびNiFeZnはまた、それぞれ、21.1および26.5mA・cm−2のリン酸塩中での電流密度を有する安定な活性を示した。
【0156】
例3
以下の例は、pH7のリン酸塩およびpH9.2のホウ酸塩電解質中での水素発生のための高い活性を有する安定な、多孔質電極の調製を記載する。
【0157】
材料および方法
Ni発泡体(Inco Advanced Technology Materials (Dalian)Co.Ltd;320g/m2、1。7mm厚)、Ptlr (20% Ir)ワイヤー(Strem Chemicals、Inc.)、モリブデン酸ナトリウム(Na2MoO4・2H2O)、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)、硝酸カドミウム(Cd(NO3)2・4H2O)、ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7・4H2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、およびヒドラジン水和物(N2Η4・Η2O)(Aldrich)を、そのまま使用した。
【0158】
Ni発泡体上でのNiMoCd合金の堆積
あらかじめ記載したように1cm2のNi発泡体(1つの側面当り0.5cm2)上にNiMoCd合金を堆積させた。手短に、Ni発泡体の基材を、pH7.5〜9のNa2MoO4・2H2O(0.02M)、NiCl2・6H2O(0.04M)、Cd(NO3)2・4H2O(0.3mM)、Na4P2O7・4H2O(0.13M)、NaHCO3(0.89M)、およびΝ2Η4・Η2O(25mM)を含む3電極電気化学電池中のめっき溶液中に浸した。ガルバノスタットを、30分間室温でNi発泡体の465mA/cm2の幾何学的表面積の電流を適用するために使用した。Ag/AgCl参照電極およびPtワイヤー対電極を用いて攪拌溶液中で、めっきを行った。次に電極をめっき溶液から除去し、そしてAg/AgCl参照電極およびPt lr(20%Ir)ワイヤー対電極を用いて、電解質を流しながら(1Mリン酸カリウム(Pi)pH7、250mL/分)3電極電池中に配置した。次に、電極を、1.15A/cmカソード電流密度で100時間稼働させて、エージングした。
【0159】
結果
図8Aは、流れる1M KPi(pH7)電解質中でのNi発泡体カソード上のエージングされたNiMoCdでの過電圧対時間プロットを示す。電極は、稼働と伴にエージングし続けるので、1A/cm2で電極を稼働するのに必要な過電圧は低下し続け、そして70(ずべてで170)時間の稼働の後で、最終的に65mV近辺の高原となる。電極は、16日超の期間にかけて安定な稼働を示した。次に、電極の活性を電流密度の範囲にわたって電極を稼働するのに必要な過電圧を測定することによって、評価した。図8Bは、1M KPi (pH7)および1M KBi (pH9.2)電解質中での稼働でNi発泡体カソード上での過電圧対電流密度(Tafelプロット)の対数のプロットを示す。プロットからTafel勾配は、27であり、そして100mVでそれぞれ、KPiおよびKBi電解質中での稼働で電流密度を低下させる。KBi電解質中での稼働の間の電極の安定性をまた評価した。図8Cは、流れる1M KBi(pH9.2)電解質中において、0.5A/cm2カソード電流密度の電極を稼働するに必要な過電圧をプロットする。初期増加の後で、約120mVの過電圧が実験の停止(21時間)まで維持された。
【0160】
例4
以下の例は、天然の供給元からの未調整水中で稼働する水素発生カソード電極の調製を記載する。
【0161】
水素発生カソードを、例2で記載された方法によって、RDE上に調製し、そしてチャールズ川(Cambridge、MA)からの水を使用して調製された1M KPi電解質(pH7)中に配置した。Ag/AgCl参照電極およびPtワイヤー対電極を溶液中に配置し、そしてポテンショスタットの使用を通して、電位がRDEに適用された。RDEは、水素発生のために−300mV過電圧でバイアスされ、そして2500回転/分で回転させられた。図9は、電解時間の関数として得られた電流密度をプロットする。最初の2時間で初期活性が低下した後、約31mA/cm2の安定なおよび活性電流密度を電解時間の残り(31時間)の間観察した。
【0162】
例5
図10(左)は、Ni発泡体上の調製されたNiMo合金に位置する電極のSEMを示す。合金は、滑らかなおよび均質な様式で発泡体を被覆する。図10(右)は、Ni箔上に調製されたNiMoFe合金に沿ったPtおよびNi箔でのTafel活性プロットを示す。すべての実験を、0.1M KPiバッファー中pH7で行った。NiMoFe合金は、Pt電極までもを上回り、調べられた材料の所与の電流密度でもっと低い過電圧を与えた。図10中で:(左) Ni発泡体上に位置するNiMo合金(20% Mo)電極のSEM;(右)0.1M KPi(pH7)中Pt箔(●)、Ni箔(□)、およびNi箔上NiMoFe(▼)のTafelプロットである。
【0163】
例6
以下の例は、NiMoZn合金の調製およびpH7のリン酸塩、pH9.2のホウ酸塩、およびpH14の水酸化物電解質における水素発生でのそれらの使用を示す。
【0164】
NiMoZn合金の堆積
NiMoZnめっき浴は、塩化ニッケル(II)六水和物(9.51g L−1)、モリブデン酸ナトリウム二水和物(4.84g L−1)、無水塩化亜鉛(0.0409g L−1)、ピロリン酸ナトリウム四塩基性(34.57g L−1)および重炭酸ナトリウム(74.77g L−1;VWR)からなる。ヒドラジン水和物(1.21mL L−1;Alfa Aesar)をめっきの直前に加えた。NiMoZnは、3000回転/分の回転速度で、30分間の0.0775A cm−2の電流密度で研磨されたPt RDE基材に堆積された。堆積物は、10M KOH中で16+時間の間塩基中で浸出された。浸出の正孔が電極表面から発生した泡により示された。浸出後で、堆積物は、外観上わずかに暗い色になった。
【0165】
結果
これらの研究で、作用電極(Pine instruments)としてPt RDEおよび対電極としてRu02を有する変更されたディスクRDE先端を有する調節された速度の回転体を使用した。Ag/AgCl参照電極を、1.0M KPiおよび1.0M KBi中で合金を評価するために使用し、一方Hg/HgO参照電極を1.0M KOH中で合金を評価するために使用した。
【0166】
図11Aは、2500回転/分で、1.0M KOH (pH14.0)、1.0M KPi (pH7.0)および1.0M KBi (pH9.2)電解質中で稼働された場合の、NiMoZn水素発生カソードのTafelプロット(過電圧対電流密度)を示す。このデータは、1.0M KOH中での稼働が最も高い活性を与えたことを示す。1.0M KBi中でNiMoZn、NiMoCdおよびPtのバルク電解を完了させて、触媒安定性を評価した。図11Bは、水素発生のための300mV過電圧で稼働された電極の4時間にわたる電流密度の変化を示す。さらに具体的に言うと、図11Bは、1.0M KBi (pH9.2)電解質中で、300mV過電圧および2500回転/分における、NiMoZn、NiMoCd、およびPtのバルク電解を示す。Ptは、最初に高い電流密度を示したが、急速に90%低下した。何らかの理論に拘束されることを望まないが、これは、稼働の間に電極表面で積み上がった溶液中の不純物の存在によるかもしれない。NiMoCdおよびNiMoZnの両者は高くかつ安定な電流活性を示した。NiMoZnは、25mA/cm2の電流密度を有する最大値を示し、一方NiMoCdは、14mA/cm2の電流密度を維持した。
【0167】
本発明の幾つかの態様は、本明細書中に記載され、そして具体的に説明されたが、当業者は、機能を果たし、そして/または結果および/または本明細書中に記載された1種または2種以上の利点を得るために、種々の他の手段および/または構造を容易に想像するであろうし、そしてそうした変化および/または改質のそれぞれは、本発明の範囲内にあるものとみなされる。さらに通常、当業者は、本明細書中に記載されたすべての、パラメーター、寸法、材料、および設定が例示的であることを意図され、そして実際のパラメーター、寸法、材料、および/または設定が具体的用途または本発明の教示が使用される用途によることを容易に認識するであろう。当業者は、所定より多くない実験を使用して、多くが本明細書中に記載された本発明の具体的な実施形態に均等であることを確認または解明するであろう。したがって、一例としてのみ示され、そして付属の請求項およびそれらの均等の範囲内にあることを理解するであろう、本発明は、具体的に記載されたそして請求されたもの以外で実施できる。本発明は、本明細書中に記載された、個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれを対象にする。さらに、2種または3種以上のそうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に一貫性のない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0168】
不定の関し「a」および「an」は、本明細書中および請求項中で使用される場合、そうでないと明らかに示さない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0169】
語句「および/または」は、本明細書中および請求項中で使用される場合、そのように接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接合的に示され、そして他の場合には非接合的に示された要素意味するものと理解されるべきである。「および/または」の句により具体的に示された要素以外の、具体的に示されたこれらの要素に関連しているかまたは関連していない他の要素は、そうでないと明らかに示さない限り、任意選択的に存在できる。したがって、非限定の例として、「を含む」等のオープンエンドの用語と伴に使用される場合、「Aおよび/またはB」への参照は、一態様では、(任意選択的にB以外の要素を含む)BのないA;別の態様では、(任意選択的にA以外の要素を含む)AのないB;また別の態様では、(任意選択的に他の要素を含むことができる)AとBとの両方;などをいうことができる。
【0170】
本明細書中および請求項中で使用される場合、「または」は、上記で規定された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包含的であり、すなわち、要素の数またはリストを少なくとも1つを含むが、また1超を含み、そして、任意選択的に、追加の挙げられていない項目を含むと理解される。そうでないと明らかに示さない限り、「1つのみの」または「正確に1つの」または、請求項中で使用される場合、「からなる」等の用語のみは、1つの数または要素のリストの正確に1つの要素を含むことをいうであろう。通常、用語「または」は、本明細書中で使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」または「の正確に1つ」等の独占的用語が前にある場合、独占的代替(すなわち、「一方または他方であるが両方でない」)を示すとしてのみ理解されるであろう。請求項中で使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するであろう。
【0171】
本明細書中および請求項中で使用される場合、1種または2種以上の要素の列挙を参照する語句「少なくとも1種の」は、要素の列挙中の任意の1種または2種以上の要素から選択された少なくとも1種の要素を意味するが、要素の列挙中に具体的に挙げられた要素のありとあらゆるものの少なくとも1種を必ずしも含むとは限らず、そして要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に示された要素に関連しているかまたは関連していない、語句「少なくとも1つの」が意味する要素の列挙内で具体的に特定された要素以外の要素が任意選択的に存在することを可能にする。したがって、非限定の例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、「AまたはBの少なくとも1つ」に等しく、または「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」に等しい)は、一態様では、Bが存在せず、任意選択的に1超のAを含む(および任意選択的にB以外の要素を含む)少なくとも1つ;別の態様では、Aが存在せず1超のBを任意選択的に含む(そして任意選択的にA以外の要素を含む)少なくとも1つ;また別の態様では、任意選択的に1超のAを含む少なくとも1つ、および任意選択的に1超のBを含む少なくとも1つ(そして任意選択的に他の要素を含む);などをいうことができる。
【0172】
請求項において、ならびに上記の明細書中において、「を含む」、「を包含する」、「を有する」、「を持つ」、「を含有する」、「を含んでいる」「保持する」およびその同類のもの等の暫定的な語句は、オープンエンドと理解される、すなわちを含むがこれらに限られないを意味すると理解されるべきである。暫定的語句「からなる」および「から本質的になる」のみは、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、 Section 21 1 1.03に記載されているように、それぞれ、クローズドまたはセミクローズドの暫定的語句であろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1wt%〜約90wt%の量のモリブデンと、
約0.1wt%〜約90wt%の量の亜鉛と、
約0.1wt%〜約90wt%の量のニッケルと、
を含んでなる、組成物。
【請求項2】
水素ガスを酸化でき、そして/または水素ガスを生成できる触媒材料であって、ニッケル、モリブデン、および亜鉛を含む、触媒材料。
【請求項3】
コバルトイオンおよび/またはニッケルイオンを含む第1の電極、ならびにリンおよび/またはホウ素を含むアニオン性種と、
ニッケルおよびモリブデンを含む第2の電極と、
を含んでなる、水素ガスおよび/または酸素ガスを生成できる、システム。
【請求項4】
アニオン性種の存在下で水素ガスを生成できる電極であって、該電極が、
水素ガスを生成できるように選択された第1の種類の金属と、
該アニオン性種と103M−1未満の結合定数を有するように選択された第2の種類の金属と、
触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属と、
を含む触媒材料を含み、
該アニオン性種が、酸化物または水酸化物ではない、電極。
【請求項5】
水素ガスを酸化できる電極であって、該電極が、
水素ガスを酸化できるように選択された第1の種類の金属と、
第2の種類の金属と、
触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属と、
を含む触媒材料を含む、電極。
【請求項6】
水素ガスおよび/または酸素ガスを生成できるシステムであって、
水から水素ガスの生成を触媒できるように選択された第1の種類の金属と、第2の種類の金属と、触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属とを含む触媒材料と、光活性組成物とを含む、システム。
【請求項7】
少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程であって、該水のpHが約6〜約10である工程と、
水素ガスを生成させる工程であって、少なくとも約1mA/cm2の電流密度において、約0.3V未満の過電圧の絶対値で、水素ガスが生成される工程と、
を含む、水素ガスの生成方法。
【請求項8】
少なくとも0.1Mの濃度の少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程であって、該水のpHが約6〜約10である工程と、
水素ガスの生成を生じさせる工程であって、該電極の電流密度が、本質的に一定の電気化学的条件下で、4時間の間にわたって約10%超低下しない、工程と、
を含む、水素ガスの生成方法。
【請求項9】
請求項4に記載の電極を含む水素ガスおよび酸素ガスの両方を生成できるシステム。
【請求項10】
請求項3または9に記載のシステムを用いて、水素ガスおよび/または酸素ガスを生成する工程を含む方法。
【請求項11】
該電極が水素ガスを酸化できる、請求項3〜10のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項12】
該電極がさらに電流コレクタを含む、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法または電極。
【請求項13】
該触媒材料が、ニッケルおよびモリブデンを含むか、またはニッケルおよびモリブデンから本質的になる、請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項14】
該少なくとも1種の添加物および/または該アニオン性種が、リンを含むアニオン性種である、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項15】
該リンを含む少なくとも1種のアニオン性種が、HPO4−2、H2PO4−2、PO4−3、H3PO3、HPO3−2、H2PO3−2、またはPO−3からなる群から選択される、請求項14に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項16】
該少なくとも1種の添加物および/または該アニオン性種が、リン酸塩の形態、硫酸塩の形態、炭酸塩の形態、ヒ酸塩の形態、亜リン酸塩の形態、ケイ酸塩の形態、またはホウ酸塩の形態からなる群から選択される、請求項7〜14のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項17】
約0.2V未満である過電圧の絶対値、少なくとも1mA/cm2の電極電流密度で、または約0.15V未満である過電圧の絶対値、少なくとも1mA/cm2の電極電流密度で、または約0.1V未満である過電圧の絶対値、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度で、または約0.2V未満である過電圧の絶対値、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度で、または約0.1V未満である過電圧の絶対値、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度で、または約0.3V未満である過電圧の絶対値、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度で、または約0.2V未満である過電圧の絶対値、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度で、または約0.1V未満である過電圧の絶対値、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度で、水素ガスが生成される、請求項3〜16のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項18】
約0.01m2/g〜約300m2/g、または約10m2/g超、または約50m2/g超、または約100m2/g超、または約150m2/g超、または約200m2/g超の表面積を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項19】
少なくとも1つの電流コレクタをさらに含み、該触媒材料が該電流コレクタと関連している、請求項3〜18のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項20】
電流コレクタが、金属、金属酸化物、または合金の少なくとも1種を含む、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の電極を含む、電解装置。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の電極を含む、燃料電池。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の電極を含む、再生燃料電池。
【請求項24】
該少なくとも1種の不純物が、金属、有機材料、小さい有機分子、バクテリア、薬剤的化合物、除草剤、殺虫剤、タンパク質、または無機化合物を含む、請求項7〜23のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項25】
該少なくとも1種の不純物が、約1000ppm、約500ppm、約300ppm、約100ppm、約10ppm、または約1ppm未満の量で存在する、請求項7〜24のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項26】
該電極が、約100%、または少なくとも約99%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約60%、または約50%のファラデー効率で、水から触媒的に水素ガスを生成できる、請求項3〜25のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項27】
該不純物または添加物が、約0.05M、または約0.1M、または約0.5M、または約1M、または約2M、または約5M、または約10M、または約0.01M〜約10M、または約0.1M〜約5M、または約0.5M〜約2Mの濃度で存在する、請求項7〜26のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項28】
該第1の種類の金属が、Niであり、該第2の種類の金属がCdであり、そして該第3の種類の金属がMoである、請求項6〜27のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項29】
該結合定数が、約1×10−3M−1未満、または約1×10−2M−1未満、または1×約10−1M−1未満、または約1M−1未満、または約10M−1未満、または約1×102M〜’未満、または約1×103M−1未満、または約1×104M−1未満、または1×105約M−1未満である、請求項4〜28のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項30】
該第3の種類の金属が、該触媒材料から脱合金化するように選択される、請求項6〜29のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項31】
該電解質に暴露可能な電極の表面積を増加させるように、該第3の金属が、設定された条件下で、該条件下におけるM’およびM’’の脱合金化の任意の速度の少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約50倍で、該触媒材料から脱合金化するように選択される、請求項30に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項32】
該第3の金属の少なくとも1%が、該電極の形成および/または稼働後に脱合金化するように、該第3の種類の金属が選択され、該電極の電流密度が、本質的に一定の電気化学的条件下で、2時間の期間にかけて約10%超低下も増加もしない、請求項30に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項33】
該アニオン性種が、酸化物イオンまたは水酸化物イオンでない、請求項3〜32のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項34】
該光活性組成物が、光電池、三接合アモルファスシリコン光電池、半導体、またはp−タイプ半導体フォトカソードを含む、請求項6〜33のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項1】
約0.1wt%〜約90wt%の量のモリブデンと、
約0.1wt%〜約90wt%の量の亜鉛と、
約0.1wt%〜約90wt%の量のニッケルと、
を含んでなる、組成物。
【請求項2】
水素ガスを酸化でき、そして/または水素ガスを生成できる触媒材料であって、ニッケル、モリブデン、および亜鉛を含む、触媒材料。
【請求項3】
コバルトイオンおよび/またはニッケルイオンを含む第1の電極、ならびにリンおよび/またはホウ素を含むアニオン性種と、
ニッケルおよびモリブデンを含む第2の電極と、
を含んでなる、水素ガスおよび/または酸素ガスを生成できる、システム。
【請求項4】
アニオン性種の存在下で水素ガスを生成できる電極であって、該電極が、
水素ガスを生成できるように選択された第1の種類の金属と、
該アニオン性種と103M−1未満の結合定数を有するように選択された第2の種類の金属と、
触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属と、
を含む触媒材料を含み、
該アニオン性種が、酸化物または水酸化物ではない、電極。
【請求項5】
水素ガスを酸化できる電極であって、該電極が、
水素ガスを酸化できるように選択された第1の種類の金属と、
第2の種類の金属と、
触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属と、
を含む触媒材料を含む、電極。
【請求項6】
水素ガスおよび/または酸素ガスを生成できるシステムであって、
水から水素ガスの生成を触媒できるように選択された第1の種類の金属と、第2の種類の金属と、触媒材料の表面積を増加させるように選択された第3の種類の金属とを含む触媒材料と、光活性組成物とを含む、システム。
【請求項7】
少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程であって、該水のpHが約6〜約10である工程と、
水素ガスを生成させる工程であって、少なくとも約1mA/cm2の電流密度において、約0.3V未満の過電圧の絶対値で、水素ガスが生成される工程と、
を含む、水素ガスの生成方法。
【請求項8】
少なくとも0.1Mの濃度の少なくとも1種の添加物および/または少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種の不純物を含む水に、触媒材料を含む電極を曝す工程であって、該水のpHが約6〜約10である工程と、
水素ガスの生成を生じさせる工程であって、該電極の電流密度が、本質的に一定の電気化学的条件下で、4時間の間にわたって約10%超低下しない、工程と、
を含む、水素ガスの生成方法。
【請求項9】
請求項4に記載の電極を含む水素ガスおよび酸素ガスの両方を生成できるシステム。
【請求項10】
請求項3または9に記載のシステムを用いて、水素ガスおよび/または酸素ガスを生成する工程を含む方法。
【請求項11】
該電極が水素ガスを酸化できる、請求項3〜10のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項12】
該電極がさらに電流コレクタを含む、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法または電極。
【請求項13】
該触媒材料が、ニッケルおよびモリブデンを含むか、またはニッケルおよびモリブデンから本質的になる、請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項14】
該少なくとも1種の添加物および/または該アニオン性種が、リンを含むアニオン性種である、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項15】
該リンを含む少なくとも1種のアニオン性種が、HPO4−2、H2PO4−2、PO4−3、H3PO3、HPO3−2、H2PO3−2、またはPO−3からなる群から選択される、請求項14に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項16】
該少なくとも1種の添加物および/または該アニオン性種が、リン酸塩の形態、硫酸塩の形態、炭酸塩の形態、ヒ酸塩の形態、亜リン酸塩の形態、ケイ酸塩の形態、またはホウ酸塩の形態からなる群から選択される、請求項7〜14のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項17】
約0.2V未満である過電圧の絶対値、少なくとも1mA/cm2の電極電流密度で、または約0.15V未満である過電圧の絶対値、少なくとも1mA/cm2の電極電流密度で、または約0.1V未満である過電圧の絶対値、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度で、または約0.2V未満である過電圧の絶対値、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度で、または約0.1V未満である過電圧の絶対値、少なくとも10mA/cm2の電極電流密度で、または約0.3V未満である過電圧の絶対値、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度で、または約0.2V未満である過電圧の絶対値、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度で、または約0.1V未満である過電圧の絶対値、少なくとも100mA/cm2の電極電流密度で、水素ガスが生成される、請求項3〜16のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項18】
約0.01m2/g〜約300m2/g、または約10m2/g超、または約50m2/g超、または約100m2/g超、または約150m2/g超、または約200m2/g超の表面積を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項19】
少なくとも1つの電流コレクタをさらに含み、該触媒材料が該電流コレクタと関連している、請求項3〜18のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項20】
電流コレクタが、金属、金属酸化物、または合金の少なくとも1種を含む、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の電極を含む、電解装置。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の電極を含む、燃料電池。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の電極を含む、再生燃料電池。
【請求項24】
該少なくとも1種の不純物が、金属、有機材料、小さい有機分子、バクテリア、薬剤的化合物、除草剤、殺虫剤、タンパク質、または無機化合物を含む、請求項7〜23のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項25】
該少なくとも1種の不純物が、約1000ppm、約500ppm、約300ppm、約100ppm、約10ppm、または約1ppm未満の量で存在する、請求項7〜24のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項26】
該電極が、約100%、または少なくとも約99%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約60%、または約50%のファラデー効率で、水から触媒的に水素ガスを生成できる、請求項3〜25のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項27】
該不純物または添加物が、約0.05M、または約0.1M、または約0.5M、または約1M、または約2M、または約5M、または約10M、または約0.01M〜約10M、または約0.1M〜約5M、または約0.5M〜約2Mの濃度で存在する、請求項7〜26のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項28】
該第1の種類の金属が、Niであり、該第2の種類の金属がCdであり、そして該第3の種類の金属がMoである、請求項6〜27のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項29】
該結合定数が、約1×10−3M−1未満、または約1×10−2M−1未満、または1×約10−1M−1未満、または約1M−1未満、または約10M−1未満、または約1×102M〜’未満、または約1×103M−1未満、または約1×104M−1未満、または1×105約M−1未満である、請求項4〜28のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項30】
該第3の種類の金属が、該触媒材料から脱合金化するように選択される、請求項6〜29のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項31】
該電解質に暴露可能な電極の表面積を増加させるように、該第3の金属が、設定された条件下で、該条件下におけるM’およびM’’の脱合金化の任意の速度の少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約50倍で、該触媒材料から脱合金化するように選択される、請求項30に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項32】
該第3の金属の少なくとも1%が、該電極の形成および/または稼働後に脱合金化するように、該第3の種類の金属が選択され、該電極の電流密度が、本質的に一定の電気化学的条件下で、2時間の期間にかけて約10%超低下も増加もしない、請求項30に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項33】
該アニオン性種が、酸化物イオンまたは水酸化物イオンでない、請求項3〜32のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【請求項34】
該光活性組成物が、光電池、三接合アモルファスシリコン光電池、半導体、またはp−タイプ半導体フォトカソードを含む、請求項6〜33のいずれか一項に記載の方法、電極またはシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2013−503257(P2013−503257A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526733(P2012−526733)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/002366
【国際公開番号】WO2011/028262
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512048686)サン カタリティクス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/002366
【国際公開番号】WO2011/028262
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512048686)サン カタリティクス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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