水需給最適化システム、制御装置及びプログラム
【課題】 水需要のピークシフトを図ると共に、水処理のコストを抑えることが可能な水需給最適化システムを提供する。
【解決手段】 水需給最適化システムは、管理端末、計測装置、需要情報作成部及び上水制御装置を具備する。管理端末は、複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、宅内設備を予約制御に従って駆動させる。計測装置は、住戸で使用される水量を計測する。需要情報作成部は、複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて都市部での水需要情報を作成する。上水制御装置は、水需要情報で示される水需要を満たし、かつ、電力単価の変動を参照して浄水場での処理コスト、前記浄水の送水コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、配水池の貯水率及びポンプの最適制御を行う。
【解決手段】 水需給最適化システムは、管理端末、計測装置、需要情報作成部及び上水制御装置を具備する。管理端末は、複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、宅内設備を予約制御に従って駆動させる。計測装置は、住戸で使用される水量を計測する。需要情報作成部は、複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて都市部での水需要情報を作成する。上水制御装置は、水需要情報で示される水需要を満たし、かつ、電力単価の変動を参照して浄水場での処理コスト、前記浄水の送水コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、配水池の貯水率及びポンプの最適制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、需要家における水利用時間の最適化、取水源から取水した原水を浄水場及び配水池を介して複数の住戸へ供給する上水道プラントの最適化を行う水需給最適化システム、このシステムで用いられる制御装置及びこのシステムのコンピュータで使用されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上水道プラントは、河川から取水した原水を浄水場で浄水に処理し、この浄水を複数の配水池を介して需要家へ供給する。また、下水道プラントは、需要家が排出する排水を複数のポンプ場を介して下水処理場へ送水し、下水処理場で下水処理を施して河川等へ排水する。
【0003】
つまり、上水道プラントや下水道プラントは、需要家の水需要に応じてその処理を行うことになる。
【0004】
一方、需要家は、エネルギーコストを意識することなく水を使用していることが多く、水需要は朝と晩の2回のピークが来ることが経験的に知られており、それは電力単価が高い時間帯となっている。
【0005】
上下水道プラントは、需要家の水需要に応じてその処理を行うため、電力単価が高い時間帯に水需要のピークがあれば、電力単価の高い時間帯に多くの水処理を行わなければならず、水処理を行うコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−55763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、需要家はエネルギーコストを意識して水利用を行っておらず、また、上下水道プラントは、電力単価の高い時間帯に水需要のピークが位置するため、水処理のコストが高額になる。
【0008】
そこで、目的は、水需要のピークシフトを図ると共に、水処理のコストを抑えることが可能な水需給最適化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムは、管理端末、計測装置、需要情報作成部及び上水制御装置を具備する。管理端末は、前記複数の住戸それぞれに設けられ、前記複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、前記宅内設備を前記予約制御に従って駆動させる。計測装置は、前記複数の住戸それぞれに設けられ、設けられた住戸で使用される水量を計測する。需要情報作成部は、前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて前記都市部での水需要情報を作成する。上水制御装置は、前記水需要情報で示される水需要を満たし、かつ、電力単価の変動を参照して前記浄水場での処理コスト、前記浄水の送水コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、前記配水池の貯水率及び前記ポンプの最適制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る水需給最適化システムの構成を示す図である。
【図2】図1の都市部及び統合制御装置の構成を示す図である。
【図3】電力単価の推移と水需要の推移との関係を示す図である。
【図4】図1の上水道プラント及び上水制御装置の構成を示す図である。
【図5】図1の下水道プラント及び下水制御装置の構成を示す図である。
【図6】図1の統合制御装置及び上水制御装置が上水プラントを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【図7】図1の統合制御装置及び下水制御装置が下水プラントを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【図8】図1の統合制御装置の機能構成のその他の例を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る都市部及び統合制御装置の構成を示す図である。
【図10】電力単価の推移と水道単価の推移との関係を示す図である。
【図11】図9の統合制御装置の機能構成のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る水需給最適化システム10の構成を示す模式図である。図1に示す水需給最適化システム10は、都市部11、統合制御装置12、上水道プラント13、上水制御装置14、下水道プラント15及び下水制御装置16を具備する。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る都市部11及び統合制御装置12の構成を示す模式図である。図2に示す都市部11には、複数の住戸111−1〜111−nが存在する。なお、住戸111−1〜111−nの動作はそれぞれ同様であるため、ここでは、住戸111−1について説明する。
【0014】
住戸111−1には、管理端末1111、宅内設備1112及び計測装置1113が設置される。
【0015】
宅内設備1112は、水を用いて駆動する設備であり、例えば、風呂湯沸し機、洗濯機及び食洗機等が含まれる。宅内設備1112は、管理端末1111からの制御に従って駆動する。
【0016】
管理端末1111は、インタラクティブな通信機能を持つ、例えば、HEMS(Home Energy Management System)サーバ、TV、携帯電話、スマートフォン又はPC等の装置である。管理端末1111は、当該端末を使用する需要家が指示を入力する指示入力部と、統合制御装置12から送信される情報等を表示する表示部とを備える。
【0017】
管理端末1111は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置12から受信する。管理端末1111は、受信したこれらの情報を表示部により需要家に表示する。
【0018】
また、管理端末1111は、電気の時間帯別料金に基づき、電力単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。図3は、電力単価の推移と水需要の推移との関係を示す図である。一般的に、水需要が最大となる時間帯は、電力単価が高い時間帯とほぼ一致する。例えば、管理端末1111は、電力単価の安い0時から7時と、21時から24時との範囲のうち、22時から風呂湯沸し機を駆動させるように制御案を作成する。管理端末1111は、作成した制御案を、表示部から需要家に表示する。なお、管理端末1111で作成される制御案は、1つであっても複数であっても構わない。
【0019】
管理端末1111は、指示入力部を介して需要家により制御案が選択されると、選択された制御案を予約制御として設定する。管理端末1111は、予約制御により指定された時刻に達すると、予約制御により指定された設備を駆動させる。また、管理端末1111は、予約制御を設定すると、予約制御についての情報を予約情報として統合制御装置12へ通知する。
【0020】
これにより、需要家は電力単価が安い時間帯に宅内設備を動作させることになり、使用料金を低減することができる。また、水需要をコントロールすることにもなり、水需要のピークシフトが可能となり、加えて、水需要のピークカットが可能となる。
【0021】
なお、管理端末1111は、需要家からの要望を受け取り、受け取った要望を満たすように予約制御を設定しても良い。例えば、需要家は、宅内設備1112である風呂湯沸し機により19時までにお風呂を沸かすように、管理端末1111に対して要望を入力する。管理端末1111は、需要家からの要望通りに風呂湯沸し機を制御するように予約制御を設定する。また、需要家は、宅内設備1112である洗濯機により、深夜を避けて朝7時までに洗濯乾燥を完了させるように、管理端末1111に対して要望を入力する。管理端末1111は、需要家からの要望通りに洗濯機を制御するように予約制御を設定する。
【0022】
また、管理端末1111は、水、電気及びガスを使用した結果に基づいて統合制御装置12で作成されるフィードバック情報を、統合制御装置12から受信する。フィードバック情報には、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことにより生じる節電効果等が含まれる。管理端末1111は、受信したフィードバック情報を、表示部により需要家に表示する。
【0023】
計測装置1113は、例えば、スマートメータであり、住戸111−1で使用された水、電気及びガスの使用量を計測する。計測装置1113は、計測した使用量を使用量データとして統合制御装置12へ出力する。
【0024】
統合制御装置12は、需要情報作成部121、フィードバック情報作成部122、通信部123及び記憶部124を備える。
【0025】
記憶部124は、予め設定される電気の時間帯別料金情報、及び、住戸111−1〜111−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データを記憶する。
【0026】
需要情報作成部121は、記憶部124に記憶された使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。需要情報は、例えば1日における各時間帯の需要の推移のように、需要の推移を大局的に確認可能な形式をとる。需要情報作成部121は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、通信部123により、住戸111−1〜111−nに設置された管理端末1111へ送信する。また、需要情報作成部121は、作成した水の需要情報を、通信部123により、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、需要情報作成部121は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸111−1〜111−nの管理端末1111で設定される予約情報を考慮して更新し、新たな需要情報として出力するようにしても構わない。
【0027】
フィードバック情報作成部122は、住戸111−1〜111−nに設置された計測装置1113からの使用量データに基づき、住戸111−1〜111−nそれぞれのフィードバック情報を作成する。
【0028】
例えば、フィードバック情報作成部122は、使用量データに含まれる水、電気及びガスの使用時刻と、これらの一般的な使用時刻とを比較する。フィードバック情報作成部122は、使用時刻の変化に伴う電力単価の変化に、水及び電気の使用量を勘案し、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことによる節電効果等をフィードバック情報として作成する。
【0029】
通信部123は、記憶部124に記憶されている電気の時間帯別料金情報を管理端末1111へ送信する。また、通信部123は、需要情報作成部121で作成された水、電気及びガスの需要情報を、住戸111−1〜111−nに設置される管理端末1111へ送信する。また、通信部123は、水の需要情報を、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、通信部123は、フィードバック情報作成部122で住戸111−1〜111−n毎に作成されたフィードバック情報を、対応する住戸へ送信する。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る上水道プラント13及び上水制御装置14の構成を示す模式図である。
【0031】
図4に示す上水道プラント13は、浄水場131、送水ポンプ132−1〜132−6、第一段の配水池133−1,133−2及び第二段の配水池134−1〜134−4を備える。
【0032】
浄水場131は、河川又は地下水等の取水源から、原水を取水し、浄水場131内にある複数の浄水設備系を運用することにより、浄水を生産する。浄水場131で生産された浄水は、送水ポンプ132−1,132−2により、配水池133−1,133−2へそれぞれ送水される。また、配水池133−1に送水された浄水は、送水ポンプ132−3,132−4により、配水池134−1,134−2へそれぞれ送水される。また、配水池133−2に送水された浄水は、送水ポンプ132−5,132−6により、配水池134−3,134−4へそれぞれ送水される。配水池134−1〜134−4に蓄えられた浄水は、都市部11からの需要に応じて都市部11へ給水される。
【0033】
上水制御装置14は、統合制御装置12の需要情報作成部121で作成された水の需要情報を受信する。上水制御装置14は、受信した需要情報と、電気の時間帯別料金とに基づいて、都市部11の水需要を満たし、かつ、浄水場131での処理コストを最小化する、または、電力単価のピーク時の消費電力を最小化するように、第一段の配水池133−1,133−2及び第二段の配水池134−1〜134−4の貯水率の最適制御を行う。
【0034】
浄水場131で、浄水の水質を安定化させ、かつ、浄水生産で使用する薬品類の投入量を適量にし、安定的な浄水生産を行うには、できる限り一定量の浄化処理を継続する必要がある。また、浄水場131内の設備保守の都合上、適切なスケジュールでメンテナンスする必要もある。上水制御装置14により配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率の最適制御を行うことで、浄水場131での処理量を平滑化することが可能となる。また、今後、需要が増大するときには、電力単価の安いときに浄水場131での浄水生産を増大させることもできる。
【0035】
また、上水制御装置14は、受信した需要情報と、電気の時間帯別料金と、配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率とに基づいて、都市部11の水需要を満たし、かつ、送水コストを最小化する、または、電力単価のピーク時の消費電力を最小化するように、送水ポンプ132−1〜132−6の最適制御を行う。例えば、送水ポンプの消費電力は大きなものであり、電力単価が安いときに、需要家近くの配水池まで送水することで、送水コストを低減することができる。
【0036】
図5は、第1の実施形態に係る下水道プラント15及び下水制御装置16の構成を示す模式図である。
【0037】
図5に示す下水道プラント15は、ポンプ場151−1〜151−5、下水処理場152及び雨水滞水池153を備える。
【0038】
都市部11からの排出された排水は、ポンプ場151−1〜151−5を介して下水処理場152へ送水される。下水処理場152は、複数の下水処理設備系を運用することにより、排水を処理し、河川又は海へ放水する。
【0039】
下水制御装置16は、統合制御装置12の需要情報作成部121で作成された水の需要情報を受信する。下水制御装置16は、受信した需要情報と、電気の時間帯別料金とに基づいて、下水処理場152での処理コストを最小化する、または、電力単価のピーク時の消費電力を最小化するように、ポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行う。
【0040】
下水処理場152で、下水処理後の水質を安定化させ、かつ、下水処理設備を効率的に動作させるには、できる限り一定量の下水処理を継続する必要がある。下水処理場152によりポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行うことで、下水処理場152への送水量を平滑化することが可能となる。これにより、下水処理場152での処理量を平滑化することができ、下水処理設備を効率的に動作させることが可能となり、処理コストを低減することができる。
【0041】
次に、上記構成の水需給最適化システムの統合制御装置12及び上水制御装置14による上水プラント13の制御動作を、統合制御装置12及び上水制御装置14の処理手順に従い説明する。
【0042】
図6は、統合制御装置12及び上水制御装置14が上水プラント13を制御する際の処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、統合制御装置12は、住戸111−1〜111−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データに基づいて、水の需要情報を作成する(ステップS61)。
【0044】
上水制御装置14は、統合制御装置12で作成された水の需要情報で示される都市部11の水需要と、電気の時間帯別料金とに基づいて、浄水の送水量のピークをシフトさせ、そのピークを平滑化するのに最適な配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率を設定する(ステップS62)。
【0045】
上水制御装置14は、電力単価の安い時間帯である0時〜7時又は20時〜24時の間に送水ポンプ132−1〜132−6を駆動させ、設定した貯水率を満たすように、上水プラント13に対して指示を出す(ステップS63)。
【0046】
次に、上記構成の水需給最適化システムの統合制御装置12及び下水制御装置16による下水プラント15の制御動作を、統合制御装置12及び下水制御装置16の処理手順に従い説明する。
【0047】
図7は、統合制御装置12及び下水制御装置16が下水プラント15を制御する際の処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、統合制御装置12は、住戸111−1〜111−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データに基づいて、水の需要情報を作成する(ステップS71)。
【0049】
下水制御装置16は、統合制御装置12で作成された水の需要情報から得られる、都市部11から排出される排水の排水量と、電気の時間帯別料金とに基づいて、排水の送水量のピークをシフトさせ、そのピークを平滑化するのに最適なポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率を設定する(ステップS72)。
【0050】
下水制御装置16は、電力単価の安い時間帯である0時〜7時又は20時〜24時の間にポンプ場151−1〜151−5を駆動させ、設定した貯水率を満たすように、下水プラント15に対して指示を出す(ステップS73)。
【0051】
以上のように、上記第1の実施形態では、管理端末1111は、電気の時間帯別料金に基づき、電力単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように宅内設備1112を制御する。これにより、各住戸において水需要のピークがシフトし、このピークシフトに伴い、水需要のピークが平滑化される。
【0052】
統合制御装置12は、住戸111−1〜111−nでの水の使用量データに基づいて、水の需要情報を作成し、作成した需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。これにより、都市部11での水需要のピークシフト及び平滑化を考慮した水の需要情報が、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信されることとなる。
【0053】
上水制御装置14は、受信した需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率の最適制御、及び、送水ポンプ132−1〜132−6の最適制御を行う。これにより、都市部11での水需要のピークシフト及び平滑化に加え、上水プラント13においても浄水の送水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、浄水の送水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、水処理のコストを抑えることが可能となる。また、浄水の送水量の平滑化をより効果的に行うことが可能である。上水プラント13は、水需要のピーク時においても処理がオーバーフローしないように、ピーク時の処理量を基準にプラントの大きさ及び設備の処理応力が設計されているため、上水プラント13の導入コストを抑えることが可能となる。
【0054】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。
【0055】
また、第1の実施形態では、下水制御装置16は、受信した水の需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、ポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行う。これにより、都市部11での水の使用量のピークシフト及び平滑化に加え、下水プラント15においても排水の処理水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、排水の処理水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、排水処理のコストを抑えることが可能となる。また、排水の処理水量の平滑化をより効果的に行うことが可能である。下水プラント15は、水需要のピーク時においても処理がオーバーフローしないように、ピーク時の処理量を基準にプラントの大きさ及び設備の処理応力が設計されているため、下水プラント15の導入コストを抑えることが可能となる。
【0056】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、排水の処理水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0057】
また、第1の実施形態では、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を管理端末1111の表示部により需要家に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、電力単価の高い時間帯を避けて水を使用すると考えられる。つまり、管理端末1111により制御できない設備が有る場合であっても、電力単価の高い時間帯を避けて水を使用するように、需要家を促すことが可能となる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0058】
また、第1の実施形態では、フィードバック情報を管理端末1111の表示部に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、自身の努力により発生した節電効果等を確認することができ、電力単価の高い時間帯を避けた水の使用をより心がけるようになると考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0059】
また、第1の実施形態では、需要情報作成部121は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸111−1〜111−nの管理端末1111で設定される予約情報を考慮して更新するようにしている。これにより、他の住戸の予約状況を反映させた水、電気及びガスの需要情報を提供することが可能となる。
【0060】
なお、第1の実施形態は上述の内容に限定される訳ではない。
【0061】
統合制御装置12は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量を管理端末1111へ送信しても構わない。このとき、管理端末1111は、電気の時間帯別料金、及び、水、電気及びガスの累積使用量に基づき、水、電気及びガスの単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。また、管理端末1111は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量も表示部に表示する。
【0062】
水、電気及びガスの単価が、水、電気及びガスの累積使用量に応じて変動する場合が有り得る。管理端末1111により水、電気及びガスの累積使用量も考慮して制御案を作成することで、各住戸における水、電気及びガスの使用料金を抑えることが可能となる。また、管理端末1111の表示部に、水、電気及びガスの累積使用量も表示させることで、需要家に、水、電気及びガスの使用料金を抑えるための行動を促すことが可能となる。
【0063】
また、管理端末1111で作成される制御案には、各制御案を採用した際に予想される節電効果等が含まれていても構わない。これにより、需要家は、より効果的な制御案を選択することが可能となる。つまり、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0064】
また、第1の実施形態では、管理端末1111、室内設備1112及び計測装置1113が住戸111内にそれぞれ独立して存在する場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、管理端末1111、室内設備1112及び計測装置1113は一体となっていても構わない。
【0065】
また、第1の実施形態では、管理端末1111は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置12から受信し、これらを表示する場合を説明したが、管理端末1111は、現時刻の水、電気及びガスの総使用量を受信し、これを表示するようにしても構わない。このとき、需要情報作成部121は、現時刻の使用量データを積算し、水、電気及びガスの総使用量を算出し、通信部123から管理端末1111へ送信する。現時刻の水、電気及びガスの総使用量の表示を見た需要家は、水需要のピークシフト及び平滑化のため、水の総使用量の多い時間帯には、水の使用を避けることが考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0066】
また、第1の実施形態では、図3に示すように電力単価が時間帯別に予め決定されている場合を例に説明したが、電気の時間帯別料金は、例えば、前日までに予め決定される場合に限らず、電力単価が電気の需給バランスに応じて動的に変動するRTP(Real Time Pricing)を採用する場合であっても構わない。この場合、統合制御装置12は、図8に示すように料金予測部125をさらに備える。料金予測部125は、住戸111−1〜111−nに設置された計測装置1113からの使用量データから電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測する。
【0067】
需要情報作成部121は、予測された電力単価と同一又は類似の電力単価が設定された状況下での使用量データを記憶部124から読み出す。需要情報作成部121は、読み出した使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。
【0068】
通信部123は、予測した電力単価、及び、作成した水、電気及びガスの需要情報を住戸111−1〜111−nに設置される管理端末1111へ送信する。また、通信部123は、作成した水の需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。
【0069】
これにより、電力単価がRTPにより決定される場合であっても、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。また、排水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0070】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、水についても単価が変動する場合を説明する。
【0071】
図9は、第2の実施形態に係る都市部17及び統合制御装置18の構成を示す模式図である。図9に示す都市部17には、複数の住戸171−1〜171−nが存在する。なお、住戸171−1〜171−nの動作はそれぞれ同様であるため、ここでは、住戸171−1について説明する。
【0072】
住戸171−1には、管理端末1711、宅内設備1112及び計測装置1113が設置される。
【0073】
管理端末1711は、インタラクティブな通信機能を持つ、例えば、HEMSサーバ、TV、携帯電話、スマートフォン又はPC等の装置である。管理端末1711は、当該端末を使用する需要家が指示を入力する指示入力部と、統合制御装置18から送信される情報等を表示する表示部とを備える。
【0074】
管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置18から受信する。管理端末1711は、受信したこれらの情報を表示部により需要家に表示する。
【0075】
また、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金に基づき、水道単価及び電力単価が安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。図10は、電力単価の推移と水道単価の推移との関係を示す図である。例えば、管理端末1711は、水道単価及び電力単価の安い22時から風呂湯沸し機を駆動させるように制御案を作成する。管理端末1711は、作成した制御案を、表示部から需要家に表示する。
【0076】
管理端末1711は、指示入力部を介して需要家により制御案が選択されると、選択された制御案を予約制御として設定する。管理端末1711は、予約制御により指定された時刻に達すると、予約制御により指定された設備を駆動させる。また、管理端末1711は、予約制御を設定すると、予約制御についての情報を予約情報として統合制御装置18へ通知する。
【0077】
これにより、需要家は電力単価が安い時間帯に宅内設備を動作させることになり、使用料金を低減することができる。また、水需要をコントロールすることにもなり、水需要のピークシフトが可能となり、加えて、水需要のピークカットが可能となる。
【0078】
なお、管理端末1711は、需要家からの要望を受け取り、受け取った要望を満たすように予約制御を設定しても良い。
【0079】
また、管理端末1711は、水、電気及びガスを使用した結果に基づいて統合制御装置18で作成されるフィードバック情報を、統合制御装置18から受信する。フィードバック情報には、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことにより生じる節電効果及び節水効果等が含まれる。管理端末1711は、受信したフィードバック情報を、表示部により需要家に表示する。
【0080】
統合制御装置18は、需要情報作成部181、フィードバック情報作成部182、通信部183及び記憶部184を備える。
【0081】
記憶部184は、予め設定される水及び電気の時間帯別料金情報、及び、住戸171−1〜171−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データを記憶する。
【0082】
需要情報作成部181は、記憶部184に記憶された使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。需要情報は、例えば1日における各時間帯の需要の推移のように、需要の推移を大局的に確認可能な形式をとる。需要情報作成部181は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、通信部183により、住戸171−1〜171−nに設置された管理端末1711へ送信する。また、需要情報作成部181は、作成した水の需要情報を、通信部183により、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、需要情報作成部181は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸171−1〜171−nの管理端末1711で設定される予約情報を考慮して更新し、新たな需要情報として出力するようにしても構わない。
【0083】
フィードバック情報作成部182は、住戸171−1〜171−nに設置された計測装置1113からの使用量データに基づき、住戸171−1〜171−nそれぞれのフィードバック情報を作成する。
【0084】
例えば、フィードバック情報作成部182は、使用量データに含まれる水、電気及びガスの使用時刻と、これらの一般的な使用時刻とを比較する。フィードバック情報作成部182は、使用時刻の変化に伴う水道単価及び電力単価の変化に、水及び電気の使用量を勘案し、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことによる節電効果及び節水効果等をフィードバック情報として作成する。
【0085】
通信部183は、記憶部184に記憶されている水及び電気の時間帯別料金情報を管理端末1711へ送信する。また、通信部183は、需要情報作成部181で作成された水、電気及びガスの需要情報を、住戸171−1〜171−nに設置される管理端末1711へ送信する。また、通信部183は、水の需要情報を、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、通信部183は、フィードバック情報作成部182で住戸171−1〜171−n毎に作成されたフィードバック情報を、対応する住戸へ送信する。
【0086】
以上のように、上記第2の実施形態では、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金に基づき、水道単価及び電力単価が安い時間帯及び方法で水を使用するように宅内設備1112を制御する。これにより、各住戸において水需要のピークが水道単価及び電力単価のピークからずれるようにシフトし、このピークシフトに伴い、水需要のピークが平滑化される。また、各住戸において水及び電気の使用料金が抑えられることとなる。
【0087】
統合制御装置18は、住戸171−1〜171−nでの水の使用量データに基づいて、水の需要情報を作成し、作成した需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。これにより、都市部17での水需要のピークシフト及び平滑化を考慮した水の需要情報が、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信されることとなる。
【0088】
上水制御装置14は、受信した需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率の最適制御、及び、送水ポンプ132−1〜132−6の最適制御を行う。これにより、都市部17での水需要のピークシフト及び平滑化に加え、上水プラント13においても浄水の送水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、浄水の送水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、水処理のコストを抑えることが可能となる。また、浄水の送水量の平滑化をより効果的に行うことが可能であるため、上水プラント13の導入コストを抑えることが可能となる。
【0089】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。
【0090】
また、第2の実施形態では、下水制御装置16は、受信した水の需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、ポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行う。これにより、都市部11での水需要のピークシフト及び平滑化に加え、下水プラント15においても排水の処理水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、排水の処理水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、排水処理のコストを抑えることが可能となる。また、排水の処理水量の平滑化をより効果的に行うことが可能であるため、下水プラント15の導入コストを抑えることが可能となる。
【0091】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、排水の処理水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0092】
また、第2の実施形態では、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を管理端末1711の表示部により需要家に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、水道単価及び電力単価の高い時間帯を避けて水を使用すると考えられる。つまり、管理端末1711により制御できない設備が有る場合であっても、水道単価及び電力単価の高い時間帯を避けて水を使用するように、需要家を促すことが可能となる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0093】
また、第2の実施形態では、フィードバック情報を管理端末1711の表示部に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、自身の努力により発生した節電効果及び節水効果等を確認することができ、水道単価及び電力単価の高い時間帯を避けた水の使用をより心がけるようになると考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0094】
また、第2の実施形態では、需要情報作成部181は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸171−1〜171−nの管理端末1711で設定される予約情報を考慮して更新するようにしている。これにより、他の住戸の予約状況を反映させた水、電気及びガスの需要情報を提供することが可能となる。
【0095】
なお、第2の実施形態は上述の内容に限定される訳ではない。
【0096】
統合制御装置18は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量を管理端末1711へ送信しても構わない。このとき、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金、及び、水、電気及びガスの累積使用量に基づき、水、電気及びガスの単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。また、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量も表示部に表示する。水、電気及びガスの単価が、水、電気及びガスの累積使用量に応じて変動する場合、管理端末1711により水、電気及びガスの累積使用量も考慮して制御案を作成することで、各住戸における水、電気及びガスの使用料金を抑えることが可能となる。また、管理端末1711の表示部に、水、電気及びガスの累積使用量も表示させることで、需要家に、水、電気及びガスの使用料金を抑えるための行動を促すことが可能となる。
【0097】
また、管理端末1711で作成される制御案には、各制御案を採用した際に予想される節電効果及び節水効果等が含まれていても構わない。これにより、需要家は、より効果的な制御案を選択することが可能となる。つまり、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0098】
また、第2の実施形態では、管理端末1711、室内設備1112及び計測装置1113が住戸171内にそれぞれ独立して存在する場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、管理端末1711、室内設備1112及び計測装置1113は一体となっていても構わない。
【0099】
また、第2の実施形態では、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置18から受信し、これらを表示する場合を説明したが、管理端末1711は、現時刻の水、電気及びガスの総使用量を受信し、これを表示するようにしても構わない。このとき、需要情報作成部181は、現時刻の使用量データを積算し、水、電気及びガスの総使用量を算出し、通信部183から管理端末1711へ送信する。現時刻の水、電気及びガスの総使用量の表示を見た需要家は、水需要のピークシフト及び平滑化のため、水の総使用量の多い時間帯には、水の使用を避けることが考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0100】
また、第2の実施形態では、図10に示すように水道単価及び電力単価が時間帯別に予め決定されている場合を例に説明したが、水道単価及び電力単価が水及び電気の需給バランスに応じてそれぞれ動的に変動するRTP(Real Time Pricing)を採用する場合であっても構わない。この場合、統合制御装置18は、図11に示すように料金予測部185をさらに備える。料金予測部185は、住戸171−1〜171−nに設置された計測装置1113からの使用量データから電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測する。また、料金予測部185は、住戸171−1〜171−nに設置された計測装置1113からの使用量データから水の需給バランスを勘案し、水道単価を予測する。
【0101】
需要情報作成部181は、予測された水道単価及び電力単価と同一又は類似の水道単価及び電力単価が設定された状況下での使用量データを記憶部184から読み出す。需要情報作成部181は、読み出した使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。
【0102】
通信部183は、予測した水道単価及び電力単価、及び、作成した水、電気及びガスの需要情報を住戸171−1〜171−nに設置される管理端末1711へ送信する。また、通信部183は、作成した水の需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。
【0103】
これにより、水道単価及び電力単価がRTPにより決定される場合であっても、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。また、排水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0104】
なお、上記各実施形態では、水、電気及びガスを例に説明したが、エネルギーはこれら以外であっても構わない。
【0105】
また、上記各実施形態では、水及び電気の単価が時間帯毎に変動する例を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、ガスの単価が時間帯毎に変動する場合であっても、同様に実施可能である。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
10…水需給最適化システム、11,17…都市部、111,171…住戸、1111,1711…管理端末、1112…室内設備、1113…計測装置、12,18…統合制御装置、121,181…需要情報作成部、122,182…フィードバック情報作成部、123,183…通信部、124,184…記憶部、125,185…料金予測部、13…上水プラント、131…浄水場、132…ポンプ、133…第一段の配水池、134…第二段の配水池、14…上水制御装置、15…下水プラント、151…ポンプ場、152…下水処理場、153…雨水滞水池、16…下水制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、需要家における水利用時間の最適化、取水源から取水した原水を浄水場及び配水池を介して複数の住戸へ供給する上水道プラントの最適化を行う水需給最適化システム、このシステムで用いられる制御装置及びこのシステムのコンピュータで使用されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上水道プラントは、河川から取水した原水を浄水場で浄水に処理し、この浄水を複数の配水池を介して需要家へ供給する。また、下水道プラントは、需要家が排出する排水を複数のポンプ場を介して下水処理場へ送水し、下水処理場で下水処理を施して河川等へ排水する。
【0003】
つまり、上水道プラントや下水道プラントは、需要家の水需要に応じてその処理を行うことになる。
【0004】
一方、需要家は、エネルギーコストを意識することなく水を使用していることが多く、水需要は朝と晩の2回のピークが来ることが経験的に知られており、それは電力単価が高い時間帯となっている。
【0005】
上下水道プラントは、需要家の水需要に応じてその処理を行うため、電力単価が高い時間帯に水需要のピークがあれば、電力単価の高い時間帯に多くの水処理を行わなければならず、水処理を行うコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−55763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、需要家はエネルギーコストを意識して水利用を行っておらず、また、上下水道プラントは、電力単価の高い時間帯に水需要のピークが位置するため、水処理のコストが高額になる。
【0008】
そこで、目的は、水需要のピークシフトを図ると共に、水処理のコストを抑えることが可能な水需給最適化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムは、管理端末、計測装置、需要情報作成部及び上水制御装置を具備する。管理端末は、前記複数の住戸それぞれに設けられ、前記複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、前記宅内設備を前記予約制御に従って駆動させる。計測装置は、前記複数の住戸それぞれに設けられ、設けられた住戸で使用される水量を計測する。需要情報作成部は、前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて前記都市部での水需要情報を作成する。上水制御装置は、前記水需要情報で示される水需要を満たし、かつ、電力単価の変動を参照して前記浄水場での処理コスト、前記浄水の送水コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、前記配水池の貯水率及び前記ポンプの最適制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る水需給最適化システムの構成を示す図である。
【図2】図1の都市部及び統合制御装置の構成を示す図である。
【図3】電力単価の推移と水需要の推移との関係を示す図である。
【図4】図1の上水道プラント及び上水制御装置の構成を示す図である。
【図5】図1の下水道プラント及び下水制御装置の構成を示す図である。
【図6】図1の統合制御装置及び上水制御装置が上水プラントを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【図7】図1の統合制御装置及び下水制御装置が下水プラントを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【図8】図1の統合制御装置の機能構成のその他の例を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る都市部及び統合制御装置の構成を示す図である。
【図10】電力単価の推移と水道単価の推移との関係を示す図である。
【図11】図9の統合制御装置の機能構成のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る水需給最適化システム10の構成を示す模式図である。図1に示す水需給最適化システム10は、都市部11、統合制御装置12、上水道プラント13、上水制御装置14、下水道プラント15及び下水制御装置16を具備する。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る都市部11及び統合制御装置12の構成を示す模式図である。図2に示す都市部11には、複数の住戸111−1〜111−nが存在する。なお、住戸111−1〜111−nの動作はそれぞれ同様であるため、ここでは、住戸111−1について説明する。
【0014】
住戸111−1には、管理端末1111、宅内設備1112及び計測装置1113が設置される。
【0015】
宅内設備1112は、水を用いて駆動する設備であり、例えば、風呂湯沸し機、洗濯機及び食洗機等が含まれる。宅内設備1112は、管理端末1111からの制御に従って駆動する。
【0016】
管理端末1111は、インタラクティブな通信機能を持つ、例えば、HEMS(Home Energy Management System)サーバ、TV、携帯電話、スマートフォン又はPC等の装置である。管理端末1111は、当該端末を使用する需要家が指示を入力する指示入力部と、統合制御装置12から送信される情報等を表示する表示部とを備える。
【0017】
管理端末1111は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置12から受信する。管理端末1111は、受信したこれらの情報を表示部により需要家に表示する。
【0018】
また、管理端末1111は、電気の時間帯別料金に基づき、電力単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。図3は、電力単価の推移と水需要の推移との関係を示す図である。一般的に、水需要が最大となる時間帯は、電力単価が高い時間帯とほぼ一致する。例えば、管理端末1111は、電力単価の安い0時から7時と、21時から24時との範囲のうち、22時から風呂湯沸し機を駆動させるように制御案を作成する。管理端末1111は、作成した制御案を、表示部から需要家に表示する。なお、管理端末1111で作成される制御案は、1つであっても複数であっても構わない。
【0019】
管理端末1111は、指示入力部を介して需要家により制御案が選択されると、選択された制御案を予約制御として設定する。管理端末1111は、予約制御により指定された時刻に達すると、予約制御により指定された設備を駆動させる。また、管理端末1111は、予約制御を設定すると、予約制御についての情報を予約情報として統合制御装置12へ通知する。
【0020】
これにより、需要家は電力単価が安い時間帯に宅内設備を動作させることになり、使用料金を低減することができる。また、水需要をコントロールすることにもなり、水需要のピークシフトが可能となり、加えて、水需要のピークカットが可能となる。
【0021】
なお、管理端末1111は、需要家からの要望を受け取り、受け取った要望を満たすように予約制御を設定しても良い。例えば、需要家は、宅内設備1112である風呂湯沸し機により19時までにお風呂を沸かすように、管理端末1111に対して要望を入力する。管理端末1111は、需要家からの要望通りに風呂湯沸し機を制御するように予約制御を設定する。また、需要家は、宅内設備1112である洗濯機により、深夜を避けて朝7時までに洗濯乾燥を完了させるように、管理端末1111に対して要望を入力する。管理端末1111は、需要家からの要望通りに洗濯機を制御するように予約制御を設定する。
【0022】
また、管理端末1111は、水、電気及びガスを使用した結果に基づいて統合制御装置12で作成されるフィードバック情報を、統合制御装置12から受信する。フィードバック情報には、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことにより生じる節電効果等が含まれる。管理端末1111は、受信したフィードバック情報を、表示部により需要家に表示する。
【0023】
計測装置1113は、例えば、スマートメータであり、住戸111−1で使用された水、電気及びガスの使用量を計測する。計測装置1113は、計測した使用量を使用量データとして統合制御装置12へ出力する。
【0024】
統合制御装置12は、需要情報作成部121、フィードバック情報作成部122、通信部123及び記憶部124を備える。
【0025】
記憶部124は、予め設定される電気の時間帯別料金情報、及び、住戸111−1〜111−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データを記憶する。
【0026】
需要情報作成部121は、記憶部124に記憶された使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。需要情報は、例えば1日における各時間帯の需要の推移のように、需要の推移を大局的に確認可能な形式をとる。需要情報作成部121は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、通信部123により、住戸111−1〜111−nに設置された管理端末1111へ送信する。また、需要情報作成部121は、作成した水の需要情報を、通信部123により、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、需要情報作成部121は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸111−1〜111−nの管理端末1111で設定される予約情報を考慮して更新し、新たな需要情報として出力するようにしても構わない。
【0027】
フィードバック情報作成部122は、住戸111−1〜111−nに設置された計測装置1113からの使用量データに基づき、住戸111−1〜111−nそれぞれのフィードバック情報を作成する。
【0028】
例えば、フィードバック情報作成部122は、使用量データに含まれる水、電気及びガスの使用時刻と、これらの一般的な使用時刻とを比較する。フィードバック情報作成部122は、使用時刻の変化に伴う電力単価の変化に、水及び電気の使用量を勘案し、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことによる節電効果等をフィードバック情報として作成する。
【0029】
通信部123は、記憶部124に記憶されている電気の時間帯別料金情報を管理端末1111へ送信する。また、通信部123は、需要情報作成部121で作成された水、電気及びガスの需要情報を、住戸111−1〜111−nに設置される管理端末1111へ送信する。また、通信部123は、水の需要情報を、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、通信部123は、フィードバック情報作成部122で住戸111−1〜111−n毎に作成されたフィードバック情報を、対応する住戸へ送信する。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係る上水道プラント13及び上水制御装置14の構成を示す模式図である。
【0031】
図4に示す上水道プラント13は、浄水場131、送水ポンプ132−1〜132−6、第一段の配水池133−1,133−2及び第二段の配水池134−1〜134−4を備える。
【0032】
浄水場131は、河川又は地下水等の取水源から、原水を取水し、浄水場131内にある複数の浄水設備系を運用することにより、浄水を生産する。浄水場131で生産された浄水は、送水ポンプ132−1,132−2により、配水池133−1,133−2へそれぞれ送水される。また、配水池133−1に送水された浄水は、送水ポンプ132−3,132−4により、配水池134−1,134−2へそれぞれ送水される。また、配水池133−2に送水された浄水は、送水ポンプ132−5,132−6により、配水池134−3,134−4へそれぞれ送水される。配水池134−1〜134−4に蓄えられた浄水は、都市部11からの需要に応じて都市部11へ給水される。
【0033】
上水制御装置14は、統合制御装置12の需要情報作成部121で作成された水の需要情報を受信する。上水制御装置14は、受信した需要情報と、電気の時間帯別料金とに基づいて、都市部11の水需要を満たし、かつ、浄水場131での処理コストを最小化する、または、電力単価のピーク時の消費電力を最小化するように、第一段の配水池133−1,133−2及び第二段の配水池134−1〜134−4の貯水率の最適制御を行う。
【0034】
浄水場131で、浄水の水質を安定化させ、かつ、浄水生産で使用する薬品類の投入量を適量にし、安定的な浄水生産を行うには、できる限り一定量の浄化処理を継続する必要がある。また、浄水場131内の設備保守の都合上、適切なスケジュールでメンテナンスする必要もある。上水制御装置14により配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率の最適制御を行うことで、浄水場131での処理量を平滑化することが可能となる。また、今後、需要が増大するときには、電力単価の安いときに浄水場131での浄水生産を増大させることもできる。
【0035】
また、上水制御装置14は、受信した需要情報と、電気の時間帯別料金と、配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率とに基づいて、都市部11の水需要を満たし、かつ、送水コストを最小化する、または、電力単価のピーク時の消費電力を最小化するように、送水ポンプ132−1〜132−6の最適制御を行う。例えば、送水ポンプの消費電力は大きなものであり、電力単価が安いときに、需要家近くの配水池まで送水することで、送水コストを低減することができる。
【0036】
図5は、第1の実施形態に係る下水道プラント15及び下水制御装置16の構成を示す模式図である。
【0037】
図5に示す下水道プラント15は、ポンプ場151−1〜151−5、下水処理場152及び雨水滞水池153を備える。
【0038】
都市部11からの排出された排水は、ポンプ場151−1〜151−5を介して下水処理場152へ送水される。下水処理場152は、複数の下水処理設備系を運用することにより、排水を処理し、河川又は海へ放水する。
【0039】
下水制御装置16は、統合制御装置12の需要情報作成部121で作成された水の需要情報を受信する。下水制御装置16は、受信した需要情報と、電気の時間帯別料金とに基づいて、下水処理場152での処理コストを最小化する、または、電力単価のピーク時の消費電力を最小化するように、ポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行う。
【0040】
下水処理場152で、下水処理後の水質を安定化させ、かつ、下水処理設備を効率的に動作させるには、できる限り一定量の下水処理を継続する必要がある。下水処理場152によりポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行うことで、下水処理場152への送水量を平滑化することが可能となる。これにより、下水処理場152での処理量を平滑化することができ、下水処理設備を効率的に動作させることが可能となり、処理コストを低減することができる。
【0041】
次に、上記構成の水需給最適化システムの統合制御装置12及び上水制御装置14による上水プラント13の制御動作を、統合制御装置12及び上水制御装置14の処理手順に従い説明する。
【0042】
図6は、統合制御装置12及び上水制御装置14が上水プラント13を制御する際の処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、統合制御装置12は、住戸111−1〜111−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データに基づいて、水の需要情報を作成する(ステップS61)。
【0044】
上水制御装置14は、統合制御装置12で作成された水の需要情報で示される都市部11の水需要と、電気の時間帯別料金とに基づいて、浄水の送水量のピークをシフトさせ、そのピークを平滑化するのに最適な配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率を設定する(ステップS62)。
【0045】
上水制御装置14は、電力単価の安い時間帯である0時〜7時又は20時〜24時の間に送水ポンプ132−1〜132−6を駆動させ、設定した貯水率を満たすように、上水プラント13に対して指示を出す(ステップS63)。
【0046】
次に、上記構成の水需給最適化システムの統合制御装置12及び下水制御装置16による下水プラント15の制御動作を、統合制御装置12及び下水制御装置16の処理手順に従い説明する。
【0047】
図7は、統合制御装置12及び下水制御装置16が下水プラント15を制御する際の処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、統合制御装置12は、住戸111−1〜111−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データに基づいて、水の需要情報を作成する(ステップS71)。
【0049】
下水制御装置16は、統合制御装置12で作成された水の需要情報から得られる、都市部11から排出される排水の排水量と、電気の時間帯別料金とに基づいて、排水の送水量のピークをシフトさせ、そのピークを平滑化するのに最適なポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率を設定する(ステップS72)。
【0050】
下水制御装置16は、電力単価の安い時間帯である0時〜7時又は20時〜24時の間にポンプ場151−1〜151−5を駆動させ、設定した貯水率を満たすように、下水プラント15に対して指示を出す(ステップS73)。
【0051】
以上のように、上記第1の実施形態では、管理端末1111は、電気の時間帯別料金に基づき、電力単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように宅内設備1112を制御する。これにより、各住戸において水需要のピークがシフトし、このピークシフトに伴い、水需要のピークが平滑化される。
【0052】
統合制御装置12は、住戸111−1〜111−nでの水の使用量データに基づいて、水の需要情報を作成し、作成した需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。これにより、都市部11での水需要のピークシフト及び平滑化を考慮した水の需要情報が、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信されることとなる。
【0053】
上水制御装置14は、受信した需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率の最適制御、及び、送水ポンプ132−1〜132−6の最適制御を行う。これにより、都市部11での水需要のピークシフト及び平滑化に加え、上水プラント13においても浄水の送水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、浄水の送水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、水処理のコストを抑えることが可能となる。また、浄水の送水量の平滑化をより効果的に行うことが可能である。上水プラント13は、水需要のピーク時においても処理がオーバーフローしないように、ピーク時の処理量を基準にプラントの大きさ及び設備の処理応力が設計されているため、上水プラント13の導入コストを抑えることが可能となる。
【0054】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。
【0055】
また、第1の実施形態では、下水制御装置16は、受信した水の需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、ポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行う。これにより、都市部11での水の使用量のピークシフト及び平滑化に加え、下水プラント15においても排水の処理水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、排水の処理水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、排水処理のコストを抑えることが可能となる。また、排水の処理水量の平滑化をより効果的に行うことが可能である。下水プラント15は、水需要のピーク時においても処理がオーバーフローしないように、ピーク時の処理量を基準にプラントの大きさ及び設備の処理応力が設計されているため、下水プラント15の導入コストを抑えることが可能となる。
【0056】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、排水の処理水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0057】
また、第1の実施形態では、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を管理端末1111の表示部により需要家に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、電力単価の高い時間帯を避けて水を使用すると考えられる。つまり、管理端末1111により制御できない設備が有る場合であっても、電力単価の高い時間帯を避けて水を使用するように、需要家を促すことが可能となる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0058】
また、第1の実施形態では、フィードバック情報を管理端末1111の表示部に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、自身の努力により発生した節電効果等を確認することができ、電力単価の高い時間帯を避けた水の使用をより心がけるようになると考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0059】
また、第1の実施形態では、需要情報作成部121は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸111−1〜111−nの管理端末1111で設定される予約情報を考慮して更新するようにしている。これにより、他の住戸の予約状況を反映させた水、電気及びガスの需要情報を提供することが可能となる。
【0060】
なお、第1の実施形態は上述の内容に限定される訳ではない。
【0061】
統合制御装置12は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量を管理端末1111へ送信しても構わない。このとき、管理端末1111は、電気の時間帯別料金、及び、水、電気及びガスの累積使用量に基づき、水、電気及びガスの単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。また、管理端末1111は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量も表示部に表示する。
【0062】
水、電気及びガスの単価が、水、電気及びガスの累積使用量に応じて変動する場合が有り得る。管理端末1111により水、電気及びガスの累積使用量も考慮して制御案を作成することで、各住戸における水、電気及びガスの使用料金を抑えることが可能となる。また、管理端末1111の表示部に、水、電気及びガスの累積使用量も表示させることで、需要家に、水、電気及びガスの使用料金を抑えるための行動を促すことが可能となる。
【0063】
また、管理端末1111で作成される制御案には、各制御案を採用した際に予想される節電効果等が含まれていても構わない。これにより、需要家は、より効果的な制御案を選択することが可能となる。つまり、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0064】
また、第1の実施形態では、管理端末1111、室内設備1112及び計測装置1113が住戸111内にそれぞれ独立して存在する場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、管理端末1111、室内設備1112及び計測装置1113は一体となっていても構わない。
【0065】
また、第1の実施形態では、管理端末1111は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置12から受信し、これらを表示する場合を説明したが、管理端末1111は、現時刻の水、電気及びガスの総使用量を受信し、これを表示するようにしても構わない。このとき、需要情報作成部121は、現時刻の使用量データを積算し、水、電気及びガスの総使用量を算出し、通信部123から管理端末1111へ送信する。現時刻の水、電気及びガスの総使用量の表示を見た需要家は、水需要のピークシフト及び平滑化のため、水の総使用量の多い時間帯には、水の使用を避けることが考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。
【0066】
また、第1の実施形態では、図3に示すように電力単価が時間帯別に予め決定されている場合を例に説明したが、電気の時間帯別料金は、例えば、前日までに予め決定される場合に限らず、電力単価が電気の需給バランスに応じて動的に変動するRTP(Real Time Pricing)を採用する場合であっても構わない。この場合、統合制御装置12は、図8に示すように料金予測部125をさらに備える。料金予測部125は、住戸111−1〜111−nに設置された計測装置1113からの使用量データから電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測する。
【0067】
需要情報作成部121は、予測された電力単価と同一又は類似の電力単価が設定された状況下での使用量データを記憶部124から読み出す。需要情報作成部121は、読み出した使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。
【0068】
通信部123は、予測した電力単価、及び、作成した水、電気及びガスの需要情報を住戸111−1〜111−nに設置される管理端末1111へ送信する。また、通信部123は、作成した水の需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。
【0069】
これにより、電力単価がRTPにより決定される場合であっても、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。また、排水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0070】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、水についても単価が変動する場合を説明する。
【0071】
図9は、第2の実施形態に係る都市部17及び統合制御装置18の構成を示す模式図である。図9に示す都市部17には、複数の住戸171−1〜171−nが存在する。なお、住戸171−1〜171−nの動作はそれぞれ同様であるため、ここでは、住戸171−1について説明する。
【0072】
住戸171−1には、管理端末1711、宅内設備1112及び計測装置1113が設置される。
【0073】
管理端末1711は、インタラクティブな通信機能を持つ、例えば、HEMSサーバ、TV、携帯電話、スマートフォン又はPC等の装置である。管理端末1711は、当該端末を使用する需要家が指示を入力する指示入力部と、統合制御装置18から送信される情報等を表示する表示部とを備える。
【0074】
管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置18から受信する。管理端末1711は、受信したこれらの情報を表示部により需要家に表示する。
【0075】
また、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金に基づき、水道単価及び電力単価が安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。図10は、電力単価の推移と水道単価の推移との関係を示す図である。例えば、管理端末1711は、水道単価及び電力単価の安い22時から風呂湯沸し機を駆動させるように制御案を作成する。管理端末1711は、作成した制御案を、表示部から需要家に表示する。
【0076】
管理端末1711は、指示入力部を介して需要家により制御案が選択されると、選択された制御案を予約制御として設定する。管理端末1711は、予約制御により指定された時刻に達すると、予約制御により指定された設備を駆動させる。また、管理端末1711は、予約制御を設定すると、予約制御についての情報を予約情報として統合制御装置18へ通知する。
【0077】
これにより、需要家は電力単価が安い時間帯に宅内設備を動作させることになり、使用料金を低減することができる。また、水需要をコントロールすることにもなり、水需要のピークシフトが可能となり、加えて、水需要のピークカットが可能となる。
【0078】
なお、管理端末1711は、需要家からの要望を受け取り、受け取った要望を満たすように予約制御を設定しても良い。
【0079】
また、管理端末1711は、水、電気及びガスを使用した結果に基づいて統合制御装置18で作成されるフィードバック情報を、統合制御装置18から受信する。フィードバック情報には、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことにより生じる節電効果及び節水効果等が含まれる。管理端末1711は、受信したフィードバック情報を、表示部により需要家に表示する。
【0080】
統合制御装置18は、需要情報作成部181、フィードバック情報作成部182、通信部183及び記憶部184を備える。
【0081】
記憶部184は、予め設定される水及び電気の時間帯別料金情報、及び、住戸171−1〜171−nに設置される計測装置1113から出力される使用量データを記憶する。
【0082】
需要情報作成部181は、記憶部184に記憶された使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。需要情報は、例えば1日における各時間帯の需要の推移のように、需要の推移を大局的に確認可能な形式をとる。需要情報作成部181は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、通信部183により、住戸171−1〜171−nに設置された管理端末1711へ送信する。また、需要情報作成部181は、作成した水の需要情報を、通信部183により、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、需要情報作成部181は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸171−1〜171−nの管理端末1711で設定される予約情報を考慮して更新し、新たな需要情報として出力するようにしても構わない。
【0083】
フィードバック情報作成部182は、住戸171−1〜171−nに設置された計測装置1113からの使用量データに基づき、住戸171−1〜171−nそれぞれのフィードバック情報を作成する。
【0084】
例えば、フィードバック情報作成部182は、使用量データに含まれる水、電気及びガスの使用時刻と、これらの一般的な使用時刻とを比較する。フィードバック情報作成部182は、使用時刻の変化に伴う水道単価及び電力単価の変化に、水及び電気の使用量を勘案し、水、電気及びガスの使用時刻をずらしたことによる節電効果及び節水効果等をフィードバック情報として作成する。
【0085】
通信部183は、記憶部184に記憶されている水及び電気の時間帯別料金情報を管理端末1711へ送信する。また、通信部183は、需要情報作成部181で作成された水、電気及びガスの需要情報を、住戸171−1〜171−nに設置される管理端末1711へ送信する。また、通信部183は、水の需要情報を、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。また、通信部183は、フィードバック情報作成部182で住戸171−1〜171−n毎に作成されたフィードバック情報を、対応する住戸へ送信する。
【0086】
以上のように、上記第2の実施形態では、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金に基づき、水道単価及び電力単価が安い時間帯及び方法で水を使用するように宅内設備1112を制御する。これにより、各住戸において水需要のピークが水道単価及び電力単価のピークからずれるようにシフトし、このピークシフトに伴い、水需要のピークが平滑化される。また、各住戸において水及び電気の使用料金が抑えられることとなる。
【0087】
統合制御装置18は、住戸171−1〜171−nでの水の使用量データに基づいて、水の需要情報を作成し、作成した需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。これにより、都市部17での水需要のピークシフト及び平滑化を考慮した水の需要情報が、上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信されることとなる。
【0088】
上水制御装置14は、受信した需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、配水池133−1,133−2,134−1〜134−4の貯水率の最適制御、及び、送水ポンプ132−1〜132−6の最適制御を行う。これにより、都市部17での水需要のピークシフト及び平滑化に加え、上水プラント13においても浄水の送水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、浄水の送水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、水処理のコストを抑えることが可能となる。また、浄水の送水量の平滑化をより効果的に行うことが可能であるため、上水プラント13の導入コストを抑えることが可能となる。
【0089】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。
【0090】
また、第2の実施形態では、下水制御装置16は、受信した水の需要情報と電気の時間帯別料金とに基づいて、ポンプ場151−1〜151−5及び雨水滞水池153の貯水率の最適制御を行う。これにより、都市部11での水需要のピークシフト及び平滑化に加え、下水プラント15においても排水の処理水量のピークシフト及び平滑化が行われることとなる。つまり、排水の処理水量のピークシフトをより効果的に行うことが可能であるため、排水処理のコストを抑えることが可能となる。また、排水の処理水量の平滑化をより効果的に行うことが可能であるため、下水プラント15の導入コストを抑えることが可能となる。
【0091】
したがって、本実施形態に係る水需給最適化システム10によれば、排水の処理水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であると共に、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0092】
また、第2の実施形態では、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を管理端末1711の表示部により需要家に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、水道単価及び電力単価の高い時間帯を避けて水を使用すると考えられる。つまり、管理端末1711により制御できない設備が有る場合であっても、水道単価及び電力単価の高い時間帯を避けて水を使用するように、需要家を促すことが可能となる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0093】
また、第2の実施形態では、フィードバック情報を管理端末1711の表示部に表示するようにしている。この表示を見た需要家は、自身の努力により発生した節電効果及び節水効果等を確認することができ、水道単価及び電力単価の高い時間帯を避けた水の使用をより心がけるようになると考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0094】
また、第2の実施形態では、需要情報作成部181は、作成した水、電気及びガスの需要情報を、住戸171−1〜171−nの管理端末1711で設定される予約情報を考慮して更新するようにしている。これにより、他の住戸の予約状況を反映させた水、電気及びガスの需要情報を提供することが可能となる。
【0095】
なお、第2の実施形態は上述の内容に限定される訳ではない。
【0096】
統合制御装置18は、電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量を管理端末1711へ送信しても構わない。このとき、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金、及び、水、電気及びガスの累積使用量に基づき、水、電気及びガスの単価の安い時間帯及び方法で水を使用するように、宅内設備1112の制御案を作成する。また、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報に加え、水、電気及びガスの累積使用量も表示部に表示する。水、電気及びガスの単価が、水、電気及びガスの累積使用量に応じて変動する場合、管理端末1711により水、電気及びガスの累積使用量も考慮して制御案を作成することで、各住戸における水、電気及びガスの使用料金を抑えることが可能となる。また、管理端末1711の表示部に、水、電気及びガスの累積使用量も表示させることで、需要家に、水、電気及びガスの使用料金を抑えるための行動を促すことが可能となる。
【0097】
また、管理端末1711で作成される制御案には、各制御案を採用した際に予想される節電効果及び節水効果等が含まれていても構わない。これにより、需要家は、より効果的な制御案を選択することが可能となる。つまり、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0098】
また、第2の実施形態では、管理端末1711、室内設備1112及び計測装置1113が住戸171内にそれぞれ独立して存在する場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、管理端末1711、室内設備1112及び計測装置1113は一体となっていても構わない。
【0099】
また、第2の実施形態では、管理端末1711は、水及び電気の時間帯別料金情報、及び、水、電気及びガスの需要情報を統合制御装置18から受信し、これらを表示する場合を説明したが、管理端末1711は、現時刻の水、電気及びガスの総使用量を受信し、これを表示するようにしても構わない。このとき、需要情報作成部181は、現時刻の使用量データを積算し、水、電気及びガスの総使用量を算出し、通信部183から管理端末1711へ送信する。現時刻の水、電気及びガスの総使用量の表示を見た需要家は、水需要のピークシフト及び平滑化のため、水の総使用量の多い時間帯には、水の使用を避けることが考えられる。これにより、各住戸において、水需要のピークシフト及び平滑化がより効果的に行われることとなる。また、各住戸において水及び電気の使用料金がより抑えられることとなる。
【0100】
また、第2の実施形態では、図10に示すように水道単価及び電力単価が時間帯別に予め決定されている場合を例に説明したが、水道単価及び電力単価が水及び電気の需給バランスに応じてそれぞれ動的に変動するRTP(Real Time Pricing)を採用する場合であっても構わない。この場合、統合制御装置18は、図11に示すように料金予測部185をさらに備える。料金予測部185は、住戸171−1〜171−nに設置された計測装置1113からの使用量データから電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測する。また、料金予測部185は、住戸171−1〜171−nに設置された計測装置1113からの使用量データから水の需給バランスを勘案し、水道単価を予測する。
【0101】
需要情報作成部181は、予測された水道単価及び電力単価と同一又は類似の水道単価及び電力単価が設定された状況下での使用量データを記憶部184から読み出す。需要情報作成部181は、読み出した使用量データの統計をとることで、水、電気及びガスの需要情報を作成する。
【0102】
通信部183は、予測した水道単価及び電力単価、及び、作成した水、電気及びガスの需要情報を住戸171−1〜171−nに設置される管理端末1711へ送信する。また、通信部183は、作成した水の需要情報を上水制御装置14及び下水制御装置16へ送信する。
【0103】
これにより、水道単価及び電力単価がRTPにより決定される場合であっても、水需要のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、水処理に要するコスト及び上水プラント13の導入コストを抑えることができる。また、排水量のピークシフト及びフラット化を図ることが可能であるため、排水処理に要するコスト及び下水プラント15の導入コストを抑えることができる。
【0104】
なお、上記各実施形態では、水、電気及びガスを例に説明したが、エネルギーはこれら以外であっても構わない。
【0105】
また、上記各実施形態では、水及び電気の単価が時間帯毎に変動する例を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、ガスの単価が時間帯毎に変動する場合であっても、同様に実施可能である。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
10…水需給最適化システム、11,17…都市部、111,171…住戸、1111,1711…管理端末、1112…室内設備、1113…計測装置、12,18…統合制御装置、121,181…需要情報作成部、122,182…フィードバック情報作成部、123,183…通信部、124,184…記憶部、125,185…料金予測部、13…上水プラント、131…浄水場、132…ポンプ、133…第一段の配水池、134…第二段の配水池、14…上水制御装置、15…下水プラント、151…ポンプ場、152…下水処理場、153…雨水滞水池、16…下水制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムにおいて、
前記複数の住戸それぞれに設けられ、前記複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、前記宅内設備を前記予約制御に従って駆動させる管理端末と、
前記複数の住戸それぞれに設けられ、設けられた住戸で使用される水量を計測する計測装置と、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて前記都市部での水需要情報を作成する需要情報作成部と、
前記水需要情報で示される水需要を満たし、かつ、電力単価の変動を参照して前記浄水場での処理コスト、前記浄水の送水コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、前記配水池の貯水率及び前記ポンプの最適制御を行う上水制御装置と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項2】
前記管理端末は、前記予約制御に関する情報を前記需要情報作成部へ出力し、
前記需要情報作成部は、前記予約制御に関する情報に基づいて前記水需要情報を更新することを特徴とする請求項1記載の水需給最適化システム。
【請求項3】
前記電力単価が電気の需給バランスに応じて動的に変動する場合、前記複数の住戸で使用される電気量から電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測する料金予測部をさらに具備し、
前記計測装置は、前記設けられた住戸で使用される電気量をさらに計測して前記料金予測部へ送信し、
前記需要情報作成部は、前記予測された電力単価と、前記計測装置で計測された水量の統計とに基づいて前記都市部での水需要情報を作成することを特徴とする請求項1又は2記載の水需給最適化システム。
【請求項4】
水の単価が時間帯毎に変動する場合、
前記管理端末は、電力単価及び水道単価の安い時間帯に前記宅内設備を駆動させるように、前記予約制御を作成することを特徴とする請求項1又は2記載の水需給最適化システム。
【請求項5】
前記電力単価及び水道単価が電気及び水の需給バランスに応じてそれぞれ動的に変動する場合、前記複数の住戸で使用される電気量から電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測し、前記複数の住戸で使用される水量から水の需給バランスを勘案し、水道単価を予測する料金予測部をさらに具備し、
前記計測装置は、前記設けられた住戸で使用される電気量をさらに計測して前記料金予測部へ送信し、
前記需要情報作成部は、前記予測された電力単価及び水道単価と、前記計測装置で計測された水量の統計とに基づいて前記都市部での水需要情報を作成することを特徴とする請求項4記載の水需給最適化システム。
【請求項6】
前記水需給最適化システムは、前記都市部からの排水をポンプ場から下水処理場へ送水し、前記下水処理場で前記排水に対して下水処理を行い、
前記水需要情報で示される水需要に応じた排水の下水処理を行い、かつ、前記電力単価の変動を参照して前記下水処理場での処理コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、前記ポンプ場の貯水率の最適制御を行う下水制御装置をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水需給最適化システム。
【請求項7】
水を用いた動作を行う宅内設備と、
電力単価を記憶する記憶手段と、
前記電力単価に基づき電力単価の安い時間帯に前記宅内設備を駆動させるための予約制御情報を作成する予約制御手段と、
前記予約制御情報に基づき前記宅内設備を駆動させる駆動指示手段と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項8】
水を用いた動作を行う宅内設備と、
電力単価を記憶する記憶手段と、
前記電力単価に基づき電力単価の安い時間帯に前記宅内設備を駆動させるための予約制御情報を作成する予約制御手段と、
前記予約制御情報を表示される表示手段と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項9】
複数の住戸それぞれに設けられ、前記複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、前記宅内設備を前記予約制御に従って駆動させる管理端末と、
前記複数の住戸それぞれに設けられ、設けられた住戸で使用される水量を計測する計測装置と、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて水需要情報を作成する需要情報作成部と、
前記水需要情報を外部システムに送信する送信手段と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項10】
取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムで用いられる制御装置において、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置により計測された水量に基づいて水需要情報を作成する需要情報作成手段と、
水需要情報で示される前記都市部の水需要と、電力単価とに基づいて、前記配水池の貯水率を設定する上水貯水率設定手段と、
前記電力単価が安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプを駆動させるように指示を出す上水指示手段と
を具備することを特徴とする制御装置。
【請求項11】
前記水需給最適化システムは、前記都市部からの排水をポンプ場から下水処理場へ送水し、前記下水処理場で前記排水に対して下水処理を行い、
前記制御装置は、
前記水需要情報から得られる、前記都市部から排出される排水の排水量と、電力単価とに基づいて、前記ポンプ場の貯水率を設定する下水貯水率設定手段と、
前記電力単価の安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプ場を駆動させるように指示を出す下水指示手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項10記載の制御装置。
【請求項12】
取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムのコンピュータで使用されるプログラムであって、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置により計測された水量に基づいて水需要情報を作成する需要情報作成処理と、
水需要情報で示される前記都市部の水需要と、電力単価とに基づいて、前記配水池の貯水率を設定する上水貯水率設定処理と、
前記電力単価が安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプを駆動させるように指示を出す上水指示処理と
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
前記水需給最適化システムは、前記都市部からの排水をポンプ場から下水処理場へ送水し、前記下水処理場で前記排水に対して下水処理を行い、
前記プログラムは、
前記水需要情報から得られる、前記都市部から排出される排水の排水量と、電力単価とに基づいて、前記ポンプ場の貯水率を設定する下水貯水率設定処理と、
前記電力単価の安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプ場を駆動させるように指示を出す下水指示処理と
を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【請求項1】
取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムにおいて、
前記複数の住戸それぞれに設けられ、前記複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、前記宅内設備を前記予約制御に従って駆動させる管理端末と、
前記複数の住戸それぞれに設けられ、設けられた住戸で使用される水量を計測する計測装置と、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて前記都市部での水需要情報を作成する需要情報作成部と、
前記水需要情報で示される水需要を満たし、かつ、電力単価の変動を参照して前記浄水場での処理コスト、前記浄水の送水コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、前記配水池の貯水率及び前記ポンプの最適制御を行う上水制御装置と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項2】
前記管理端末は、前記予約制御に関する情報を前記需要情報作成部へ出力し、
前記需要情報作成部は、前記予約制御に関する情報に基づいて前記水需要情報を更新することを特徴とする請求項1記載の水需給最適化システム。
【請求項3】
前記電力単価が電気の需給バランスに応じて動的に変動する場合、前記複数の住戸で使用される電気量から電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測する料金予測部をさらに具備し、
前記計測装置は、前記設けられた住戸で使用される電気量をさらに計測して前記料金予測部へ送信し、
前記需要情報作成部は、前記予測された電力単価と、前記計測装置で計測された水量の統計とに基づいて前記都市部での水需要情報を作成することを特徴とする請求項1又は2記載の水需給最適化システム。
【請求項4】
水の単価が時間帯毎に変動する場合、
前記管理端末は、電力単価及び水道単価の安い時間帯に前記宅内設備を駆動させるように、前記予約制御を作成することを特徴とする請求項1又は2記載の水需給最適化システム。
【請求項5】
前記電力単価及び水道単価が電気及び水の需給バランスに応じてそれぞれ動的に変動する場合、前記複数の住戸で使用される電気量から電気の需給バランスを勘案し、電力単価を予測し、前記複数の住戸で使用される水量から水の需給バランスを勘案し、水道単価を予測する料金予測部をさらに具備し、
前記計測装置は、前記設けられた住戸で使用される電気量をさらに計測して前記料金予測部へ送信し、
前記需要情報作成部は、前記予測された電力単価及び水道単価と、前記計測装置で計測された水量の統計とに基づいて前記都市部での水需要情報を作成することを特徴とする請求項4記載の水需給最適化システム。
【請求項6】
前記水需給最適化システムは、前記都市部からの排水をポンプ場から下水処理場へ送水し、前記下水処理場で前記排水に対して下水処理を行い、
前記水需要情報で示される水需要に応じた排水の下水処理を行い、かつ、前記電力単価の変動を参照して前記下水処理場での処理コスト、または電力単価のピーク時の消費電力の最小化を実現するように、前記ポンプ場の貯水率の最適制御を行う下水制御装置をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水需給最適化システム。
【請求項7】
水を用いた動作を行う宅内設備と、
電力単価を記憶する記憶手段と、
前記電力単価に基づき電力単価の安い時間帯に前記宅内設備を駆動させるための予約制御情報を作成する予約制御手段と、
前記予約制御情報に基づき前記宅内設備を駆動させる駆動指示手段と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項8】
水を用いた動作を行う宅内設備と、
電力単価を記憶する記憶手段と、
前記電力単価に基づき電力単価の安い時間帯に前記宅内設備を駆動させるための予約制御情報を作成する予約制御手段と、
前記予約制御情報を表示される表示手段と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項9】
複数の住戸それぞれに設けられ、前記複数の住戸それぞれで水を用いた動作を行う宅内設備を、電力単価の安い時間帯に駆動させるための予約制御を作成し、前記宅内設備を前記予約制御に従って駆動させる管理端末と、
前記複数の住戸それぞれに設けられ、設けられた住戸で使用される水量を計測する計測装置と、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置で計測された水量に基づいて水需要情報を作成する需要情報作成部と、
前記水需要情報を外部システムに送信する送信手段と
を具備することを特徴とする水需給最適化システム。
【請求項10】
取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムで用いられる制御装置において、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置により計測された水量に基づいて水需要情報を作成する需要情報作成手段と、
水需要情報で示される前記都市部の水需要と、電力単価とに基づいて、前記配水池の貯水率を設定する上水貯水率設定手段と、
前記電力単価が安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプを駆動させるように指示を出す上水指示手段と
を具備することを特徴とする制御装置。
【請求項11】
前記水需給最適化システムは、前記都市部からの排水をポンプ場から下水処理場へ送水し、前記下水処理場で前記排水に対して下水処理を行い、
前記制御装置は、
前記水需要情報から得られる、前記都市部から排出される排水の排水量と、電力単価とに基づいて、前記ポンプ場の貯水率を設定する下水貯水率設定手段と、
前記電力単価の安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプ場を駆動させるように指示を出す下水指示手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項10記載の制御装置。
【請求項12】
取水源から取水した原水を浄水場で浄水にし、前記浄水をポンプで送水し、配水池を介して複数の住戸を含む都市部へ供給する水需給最適化システムのコンピュータで使用されるプログラムであって、
前記複数の住戸それぞれに設けられる計測装置により計測された水量に基づいて水需要情報を作成する需要情報作成処理と、
水需要情報で示される前記都市部の水需要と、電力単価とに基づいて、前記配水池の貯水率を設定する上水貯水率設定処理と、
前記電力単価が安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプを駆動させるように指示を出す上水指示処理と
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
前記水需給最適化システムは、前記都市部からの排水をポンプ場から下水処理場へ送水し、前記下水処理場で前記排水に対して下水処理を行い、
前記プログラムは、
前記水需要情報から得られる、前記都市部から排出される排水の排水量と、電力単価とに基づいて、前記ポンプ場の貯水率を設定する下水貯水率設定処理と、
前記電力単価の安い時間帯に前記設定した貯水率を満たすように、前記ポンプ場を駆動させるように指示を出す下水指示処理と
を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−2091(P2013−2091A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132701(P2011−132701)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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