説明

氷蓄熱式冷凍装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、氷蓄熱式冷凍装置に係り、特に、蓄熱量の適正化に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電力需要のピークカット等を目的に、安価な深夜電力を用いて夜間に氷を生成及び貯留し、この氷を昼間の冷房に利用する氷蓄熱式冷凍装置が開発されている。
【0003】この種の氷蓄熱式冷凍装置として、例えば、特開平7−301438号公報に開示されたような空気調和装置が知られている。図10に示すように、この空気調和装置は、圧縮機(c) 、室外熱交換器(d) 、電子膨張弁(e1)、電子膨張弁(e2)、及び室内熱交換器(f) から成る主冷媒回路(a) に、いわゆるスタティック方式の氷蓄熱装置(g) が設けられた蓄熱回路(b) が付加されて構成されている。
【0004】製氷を行う蓄熱運転の際には、冷媒は、図中の実線矢印に示すように循環する。すなわち、圧縮機(c) から吐出された冷媒は、室外熱交換器(d) において凝縮し、電子膨張弁(e1)で減圧され、氷蓄熱装置(g) の伝熱コイル(h) で蒸発し、圧縮機(c) に戻る循環を行う。この際、氷蓄熱装置(g) の蓄熱槽(i) に貯留された水は、冷媒によって冷却されて氷化する。
【0005】一方、上記のようにして生成された氷を利用する蓄熱利用運転時には、冷媒は、図中の破線矢印に示すように循環する。すなわち、圧縮機(c) から吐出された冷媒は、室外熱交換器(d) において冷却されて凝縮し、所定の過冷却度を有する液冷媒となる。この液冷媒は氷蓄熱装置(g) の伝熱コイル(h) において、蓄熱槽(i) に蓄えられた氷によって更に冷却される。伝熱コイル(h) を流出した液冷媒は、電子膨張弁(e2)で減圧され、膨張して気液二相冷媒となる。この二相冷媒は室内熱交換器(f) において蒸発して室内空気を冷却し、圧縮機(c) に戻る。従って、蓄熱槽(i) に蓄えられた氷が保有する冷熱の分だけ、圧縮機(c) の電気入力が減少し、電力のピークカット等が達成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来は、蓄熱運転における氷の生成量について特別な制御を行っていなかったため、負荷の小さな中間期等では、蓄熱利用量が減少するので結果的に過剰な蓄熱を行っていた。そのため、電力の無駄な消費があった。一方、一時的に負荷が非常に大きくなった場合には、蓄熱量が不足する場合があった。つまり、外気条件等の環境に柔軟に対応した蓄熱量制御がなされていなかったため、蓄熱量の過不足が生じることがあった。
【0007】また、スタティック方式の装置では、以下の問題があった。すなわち、負荷の小さな中間期等には、蓄熱利用運転が終了しても伝熱コイルの周りに氷が残留し、その後の蓄熱運転において、残留氷に起因する伝熱管へのストレスが発生することがあった。そのため、伝熱管の信頼性が低下していた。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、残留蓄熱量を考慮することによって蓄熱生成量の過不足をなくし、蓄熱の効率的利用を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、残留蓄熱量に応じて、蓄熱生成量を適宜調整することとした。
【0010】具体的には、請求項1に記載の発明は、水または氷を貯留する蓄熱槽(16)と、冷媒を圧縮する圧縮機(11,12) と、冷媒を凝縮または蒸発させる熱源側熱交換器(14)と、冷媒を減圧する減圧機構(23,18) と、冷媒を蒸発または凝縮させる利用側熱交換器(19)と、冷媒と水または氷とを熱交換させる蓄熱熱交換器(17)とが設けられた冷媒回路(3) とを備え、上記圧縮機(11,12) からの冷媒を上記熱源側熱交換器(14)で凝縮させ、上記減圧機構(23)で減圧し、上記蓄熱熱交換器(17)で蒸発させて、上記蓄熱槽(16)に氷を生成する蓄熱運転と、該圧縮機(11,12) からの冷媒を少なくとも該蓄熱熱交換器(17)で冷却し、減圧機構(18)で減圧し、上記利用側熱交換器(19)で蒸発させて、該蓄熱槽(16)の氷から冷熱を回収する蓄熱利用運転とを交互に実行する氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)の残留蓄熱量を推定し、該残留蓄熱量に基づいて蓄熱運転時における蓄熱生成量を変更する蓄熱量制御手段(90) を備え、上記蓄熱量制御手段(90)は、蓄熱運転を蓄熱槽(16)の水位が所定の目標水位になるまで行うように設定されている一方、残留蓄熱量に基づいて上記目標水位を変更することとしたものである。
【0011】上記発明特定事項により、蓄熱利用運転時における氷蓄熱の消費量が小さい場合には、残留蓄熱量が多くなる。そのため、蓄熱量制御手段(90) により、蓄熱運転時における蓄熱生成量が少なめに変更される。一方、蓄熱利用運転時における氷蓄熱の消費量が大きい場合には、残留蓄熱量が少なくなる。そのため、蓄熱量制御手段(90) により、蓄熱運転時における蓄熱生成量が多めに変更される。その結果、蓄熱槽(16)に生成される氷蓄熱が適正量に調整され、次回の蓄熱利用運転時には、蓄熱は過不足なく消費されることになる。
【0012】この際、残留蓄熱量が多い場合には、目標水位が相対的に低く変更され、蓄熱生成量が少なくなる。逆に、残留蓄熱量が少ない場合には、目標水位が相対的に高く変更され、蓄熱生成量が多くなる。その結果、残留蓄熱量に応じた蓄熱生成が行われ、蓄熱量が適正化される。
【0013】請求項に記載の発明は、請求項に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)内の水の温度を検出する水温センサー(82)と、蓄熱槽(16)の水位を検出する水位検出手段(31)とが設けられている一方、蓄熱量制御手段(90)は、上記水温センサー(82)からの情報を受け取り、予め設定した標準水位に対する補正量を上記蓄熱槽(16)の水温に基づいて決定する補正係数決定手段(84)と、上記補正係数決定手段(84)からの情報を受け取り、上記標準水位と上記補正量とから目標水位を決定する目標水位決定手段(95)と、上記水位検出手段(31)が計測した水位が上記目標水位になると蓄熱運転を終了させる運転終了判定手段(87)とを備えていることとしたものである。
【0014】上記発明特定事項により、水温センサー(82)は蓄熱槽(16)内の水の温度を検出し、当該温度の情報を補正係数決定手段(84)に伝達する。補正係数決定手段(84)は、当該温度情報に基づき、標準水位に対する補正量を決定し、補正量の情報を蓄熱時間決定手段(85)に伝達する。蓄熱時間決定部(85)は、当該補正量情報に基づき、蓄熱運転の目標水位を決定する。運転終了判定手段(87)は、水位検出手段(31)が検出した水位と上記目標水位とを比較し、当該水位が目標水位に達したときに蓄熱運転を終了させる。このように、残留蓄熱量に応じて目標水位が適宜変更され、蓄熱運転の適正化が図られる。
【0015】請求項に記載の発明は、請求項に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、外気温度を検出する外気温センサー(81)が設けられている一方、補正係数決定手段(84)は、上記外気温センサー(81)からの情報を受け取り、水温センサー(82)の検出水温と前回の蓄熱利用運転時における外気の最高温度とに基づいて補正量を決定することとしたものである。
【0016】上記発明特定事項により、残留蓄熱量に加えて外気温度条件をも考慮したうえで目標水位が変更されるので、蓄熱生成量がより精密に設定されることになる。
【0017】請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱熱交換器(17)は、蓄熱槽(16)に貯留された水に浸漬されるように設けられた伝熱コイル(17)から成り、蓄熱運転時には、圧縮機(11,12) からの冷媒を熱源側熱交換器(14)で凝縮させ、減圧機構(23)で減圧し、上記伝熱コイル(17)で蒸発させることとしたものである。
【0018】上記発明特定事項により、蓄熱運転時には、圧縮機(11,12) から吐出された冷媒は、熱源側熱交換器(14)で凝縮し、減圧機構(23)で減圧し、伝熱コイル(17)で蒸発する。その結果、蓄熱槽(16)に貯留された水が伝熱コイル(17)の周りから氷化され、当該蓄熱槽(16)に氷が生成されて冷熱が蓄えられる。つまり、いわゆるスタティック方式の氷蓄熱が行われる。蓄熱生成量の適正化が行われるので、伝熱コイル(17)の周りに氷が残留することがなく、伝熱コイル(17)へのストレスの発生が防止される。従って、伝熱コイル(17)の破損の可能性が極めて低いため、装置の信頼性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】<参考例1参考例1に係る空気調和装置(1) は、冷蓄熱運転開始時における蓄熱槽(16)内の水の温度に基づいて潜熱蓄熱運転の目標運転時間を変更し、運転時間が目標運転時間になったときに潜熱蓄熱運転を終了するものである。
【0021】−空気調和装置(1) の構成−図1に示すように、空気調和装置(1) は、室外ユニット(101) 、氷蓄熱ユニット(102) 及び室内ユニット(103),(103),…を備え、それらが冷媒配管を介して接続されることにより、冷媒回路(3) が形成されている。冷媒回路(3) は、主回路(30)、室内側回路(50)及び蓄熱利用回路(60)を備えている。
【0022】主回路(30)は、蓄熱槽(16)に氷を生成する際に冷媒が循環する回路であって、並列に設けられた第1圧縮機(11)及び第2圧縮機(12)、四路切換弁(13)、熱源側熱交換器たる室外熱交換器(14)、第1電子膨張弁(15)、受液器(21)、第1電磁弁(SV1) 、減圧機構たる第2電子膨張弁(23)、蓄熱槽(16)に貯留された水に浸漬された伝熱コイル(17)、双方向電磁弁(26)、上記四路切換弁(13)、及びアキュムレータ(22)が順に接続されて構成されている。伝熱コイル(17)は、本発明でいうところの蓄熱熱交換器を構成している。
【0023】室内側回路(50)は、室内の冷房または暖房を目的として室外ユニット(101) に冷媒を供給するための回路であり、一端(51)が主回路(30)における第1電磁弁(SV1) と第2電子膨張弁(23)との間に接続され、他端(52)が双方向電磁弁(26)と四路切換弁(13)との間に接続されている。室内側回路(50)には、一端(51)から順に、室内電子膨張弁(18),(18),…及び室内熱交換器(19),(19),…が設けられている。
【0024】蓄熱利用回路(60)は、氷から冷熱を回収する際に冷媒が流通する回路であり、上流端(61)が主回路(30)における受液器(21)と第1電磁弁(SV1) との間に接続され、下流端(62)が伝熱コイル(17)と双方向電磁弁(26)との間に接続されている。蓄熱利用回路(60)には、上流端(61)から順に、第2電磁弁(SV2) 及び第1逆止弁(CV1) が設けられている。
【0025】主回路(30)の圧縮機(11),(12) 、四路切換弁(13)、室外熱交換器(14)、第1電子膨張弁(15)、受液器(21)、及びアキュムレータ(22)は、室外に設置された室外ユニット(101) に収納されている。さらに、室外ユニット(101) には、室外熱交換器(14)に空気を供給する室外ファン(24),(24) が設けられている。
【0026】主回路(30)の第1電磁弁(SV1) 、第2電子膨張弁(23)、伝熱コイル(17)、蓄熱槽(16)、及び蓄熱利用回路(60)は、氷蓄熱ユニット(102) に収納されている。また、氷蓄熱ユニット(102) には、後述する蓄熱量制御を実行する蓄熱量制御手段たるコントローラ(80)が設けられている。
【0027】室内側回路(50)の室内電子膨張弁(18)及び室内熱交換器(19)は、各室内ユニット(103) に収納されている。また、室内ユニット(103),(103),… には、室内熱交換器(19),(19),… に空気を供給する室内ファン(25),(25) が設けられている。
【0028】圧縮機(11),(12) と四路切換弁(13)との間には、圧縮機(11),(12) からの吐出ガスの圧力、つまり高圧を検出する高圧圧力センサー(27)が設けられている。一方、圧縮機(11),(12) とアキュムレータ(22)との間には、圧縮機(11),(12) の吸入ガスの圧力、つまり低圧を検出する低圧圧力センサー(28)が設けられている。
【0029】氷蓄熱ユニット(102) には、外気の温度を検出する外気温センサー(81)と、蓄熱槽(16)に取り付けられ、蓄熱槽(16)内の水の温度を検出する水温センサー(82)とが設けられている。
【0030】次に、コントローラ(80)の構成を説明する。図2に示すように、コントローラ(80)は、温度記憶部(83)、補正係数決定部(84)、潜熱蓄熱時間決定部(85)、運転判定部(88)、タイマー(86)、及び運転終了判定部(87)を備えている。温度記憶部(83)は、外気温センサー(81)から外気温の情報を受け、昼間の外気の最高温度を記憶する。補正係数決定部(84)は、温度記憶部(83)から昼間最高温度の情報を受け取るとともに、水温センサー(82)から冷蓄熱運転開始時における水温の情報を受け取り、予め定めたテーブル等に基づいて、これら温度情報から後述する補正係数を決定する補正係数決定手段を構成している。潜熱蓄熱時間決定部(85)は、環境に応じて潜熱蓄熱運転(製氷運転)の時間を決定する部分であり、予め設定した一定の標準運転時間に対して上記補正係数を乗ずることにより、潜熱蓄熱運転の運転時間を決定する蓄熱時間決定手段を構成している。運転判定部(88)は、運転状態が潜熱蓄熱運転または顕熱蓄熱運転のいずれかであるかを判定する。ここで、潜熱蓄熱運転(製氷運転)とは、伝熱コイル(17)において冷媒を蒸発させる冷蓄熱運転のうち、実際に蓄熱槽(16)内に氷を生成する運転をいう。一方、顕熱蓄熱運転とは、蓄熱槽(16)内の水を顕熱変化させる運転をいう。タイマー(86)は、潜熱蓄熱運転の運転時間を計測するタイマー手段を構成している。運転終了判定部(87)は、潜熱蓄熱時間決定部(85)から潜熱蓄熱運転時間の情報を受け取り、タイマー(86)から受け取る運転時間と当該潜熱蓄熱運転時間とを比較し、運転時間が当該潜熱蓄熱運転時間になると冷蓄熱運転を終了させる運転終了判定手段を構成している。
【0031】以上が空気調和装置(1) の主要な構成部分であるが、本空気調和装置(1) は、更に以下のような補助的構成部分を備えている。
【0032】室外ユニット(101) においては、第1圧縮機(11)の吐出側に、油分離器(201)が設けられている。この油分離器(201) と第1圧縮機(11)の吸入側との間には、キャピラリーチューブ(CP1) を備えた油戻し管(202) が設けられている。第1圧縮機(11)と第2圧縮機(12)との間には、キャピラリーチューブ(CP2) を備えた均圧管(203) が設けられている。主回路(30)における第1電子膨張弁(15)と受液器(21)との間からは、電磁弁(SV4),(SV4) 及びキャピラリーチューブ(CP3),(CP3)を備えた補助回路(204),(204) が、各圧縮機(11),(12) に接続されている。受液器(21)と圧縮機(11),(12) の吐出側配管との間には、逆止弁(CV2) を備えたガス配管(205) が設けられている。このガス配管(205) には、電磁弁(SV5) が設けられてアキュムレータ(22)の上流側配管に接続されている配管(206) が接続されている。
【0033】氷蓄熱ユニット(102) においては、キャピラリーチューブ(CP4) 及び逆止弁(CV3) を備えた補助回路(207) が、一端が第2電子膨張弁(23)と伝熱コイル(17)との間に接続され、他端が双方向電磁弁(26)と室内側回路(50)の接続端(52)との間に接続されている。また、上流端が室内側回路(50)の接続端(51)と第2電子膨張弁(23)との間に接続され、下流端が蓄熱利用回路(60)の上流端(61)と第2電磁弁(SV2) との間に接続された補助回路(208) が設けられている。この補助回路(208) には、上流端から下流端へ向かう方向の冷媒流れのみを許容する逆止弁(CV4)が設けられている。
【0034】また、冷媒回路(3) には、複数のフィルタ(F),(F),…が適宜設けられている。
【0035】第1圧縮機(11)及び第2圧縮機(12)の吐出側配管には、それぞれ高圧圧力開閉器(29),(29) が設けられている。
【0036】−空気調和装置(1) の動作−次に、空気調和装置(1) の動作を説明する。本空気調和装置(1) は、四路切換弁(13)の状態を切り換えることにより、冷蓄熱運転の他に、冷房運転または暖房運転を選択的に実行することができる。ここでは、まず冷蓄熱運転を説明し、その後に、蓄熱を利用した冷房運転(蓄熱利用冷房運転)について説明する。
【0037】(冷蓄熱運転)
冷蓄熱運転は、例えば夜間の安価な電気を用いて、蓄熱槽(16)に蓄熱材としての氷を生成する運転である。まず、冷媒回路(3) における冷媒の循環動作を説明し、その後にコントローラ(80)による蓄熱量制御について説明する。
【0038】本運転にあっては、四路切換弁(13)は、図3R>3に示す実線側に設定される。第1電子膨張弁(15)は全開状態に設定される一方、第2電子膨張弁(23)は運転状態に応じて所定開度に制御される。第1電磁弁(SV1) 及び双方向電磁弁(26)は開状態に設定され、第2電磁弁(SV2) は閉状態に設定される。
【0039】冷媒は、図3に実線矢印で示すように循環する。なお、図3においては、冷媒の循環経路を太線で強調して示している。
【0040】すなわち、圧縮機(11),(12) から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁(13)を通過した後、室外熱交換器(14)に流入する。ガス冷媒は、室外熱交換器(14)において室外空気と熱交換を行って凝縮し、受液器(21)を経た後、室外ユニット(101) から氷蓄熱ユニット(102) に流入し、第2電子膨張弁(23)で減圧され、膨張して二相冷媒となる。この二相冷媒は、伝熱コイル(17)において蒸発する。この際、蓄熱槽(16)の水を冷却し、この水を氷化する。つまり、伝熱コイル(17)の周りに氷を生成する。そして、伝熱コイル(17)を流出した低圧の冷媒は、再び室外ユニット(101) に戻り、四路切換弁(13)及びアキュムレータ(22)を通過した後、圧縮機(11),(12) に吸入される。
【0041】次に、図2及び図4を参照しながら、コントローラ(80)による蓄熱量制御を説明する。
【0042】まず、ステップST1 において冷蓄熱運転が開始され、ステップST2 〜ステップST4 において、目標運転時間T1の決定が行われる。
【0043】すなわち、ステップST2 において、温度記憶部(83)から昼間最高気温Tamaxの情報を受け取った補正係数決定部(84)が、予め設定された関数式やテーブル等に基づいて、昼間最高気温による補正係数Ktを決定する。例えば、図5に示すように、昼間最高気温Tamax が一定範囲A1のときには、Tamax と補正係数Ktが比例関係を有し、Tamax が一定範囲A1よりも大きな一定範囲A2のときには、補正係数Ktが一定となるように設定する。
【0044】次に、ステップST3 において、補正係数決定部(84)により、残留蓄熱量に基づく補正係数Kgの決定が行われる。補正係数Kgは、前日の運転状態を踏まえた上で必要な蓄熱量を補正するための係数である。従って、この補正係数Kgを導入することは、前日の運転状態を学習した上でその後の運転状態を決定することに相当する。従って、補正係数Kgはコントローラ(80)の学習機能による補正係数であるということができる。
【0045】具体的には、学習機能による補正係数Kgは、冷蓄熱運転開始時における蓄熱槽(16)の水温Tw0に基づいて決定される。例えば、図6に示すような関係に基づいて決定される。すなわち、水温Tw0が5℃未満のときは補正係数Kgは0.8で一定とし、水温Tw0が5℃以上10℃未満のときは、補正係数Kgは0.8から1.0まで水温Tw0の増加に伴って比例して増加することとし、水温Tw0が10℃以上15℃未満のときは、補正係数Kgは1.0で一定とし、水温Tw0が15℃以上20℃未満のときは、補正係数Kgは1.0から1.1まで水温Tw0の増加に伴って比例して増加することとしている。
【0046】そして、ステップST3 において補正係数Kgが定められた後は、ステップST4に進んで、潜熱蓄熱時間決定部(85)が目標運転時間T1を決定する。目標運転時間T1は、蓄熱槽(16)内に実際に氷が生成される運転、すなわち潜熱蓄熱運転の設定時間である。この目標運転時間T1は、予め設定された一定の標準時間T0に上記補正係数Kt及びKgを乗じることによって定められる。すなわち、T1=Kt・Kg・T0である。
【0047】その後、ステップST5 に進み、冷凍能力が一定となるように伝熱コイル(17)における冷媒の蒸発温度Teを制御する。つまり、能力一定制御を実行する。
【0048】そして、ステップST6 に移り、運転状態の判定を行う。具体的には、ステップST6 では、運転判定部(88)が水温センサー(82)から蓄熱槽(16)の水温Twの情報を受け取り、この水温Twが0℃か否かを判定する。水温Twが0℃であれば、実際に蓄熱槽(16)内に氷が生成されていると判断して、運転状態が潜熱蓄熱運転であると判定し、ステップST8 に進む。一方、運転状態が水温Twが0℃でない場合には、運転状態は顕熱蓄熱運転であると判定し、ステップST5 に戻る。
【0049】ステップST7 においては、運転判定部(88)からタイマー(86)に潜熱蓄熱運転が開始された旨の情報が伝達され、タイマー(86)が潜熱蓄熱運転時間Tnの計測を開始する。
【0050】その後、ステップST8 に進み、運転終了判定部(87)が、タイマー(86)から受け取った潜熱蓄熱運転時間Tnと、潜熱蓄熱時間決定部(85)から受け取った目標運転時間T1との大小関係を比較する。その結果、潜熱蓄熱運転時間Tnが目標運転時間T1よりも大きいときは、ステップST9 に進んで、冷蓄熱運転を終了する。一方、潜熱蓄熱運転時間Tnが目標運転時間T1以下のときは、ステップST5に戻り、再びステップST5 以降の処理を実行する。
【0051】(蓄熱利用冷房運転)
蓄熱利用冷房運転は、例えば昼間時のような電力需要のピーク時に、蓄熱槽(16)の氷を冷熱源として利用して、室内の冷房を行う運転である。
【0052】四路切換弁(13)は、図7に示す実線側に設定される。第1電子膨張弁(15)及び第2電子膨張弁(23)は全開状態に設定され、室内電子膨張弁(18),(18),…は運転状態に応じて所定開度に制御される。第1電磁弁(SV1) 及び双方向電磁弁(26)は閉状態に設定され、第2電磁弁(SV2) は開状態に設定される。
【0053】冷媒は、図7に実線矢印で示すように循環する。なお、図7においても、冷媒の循環経路を太線で表している。
【0054】すなわち、圧縮機(11),(12) から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁(13)を経て室外熱交換器(14)に流入し、室外熱交換器(14)において室外空気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器(14)を流出した冷媒は、受液器(21)を通過した後、氷蓄熱ユニット(102) の伝熱コイル(17)に流入する。この冷媒は、伝熱コイル(17)において、蓄熱槽(16)に蓄えられた氷によって冷却され、蓄えられていた冷熱を回収する。伝熱コイル(17)を流出した冷媒は、第2電子膨張弁(23)を通過し、各室内ユニット(103),(103),…に流入する。各室内ユニット(103) において、冷媒は室内電子膨張弁(18)によって減圧され、低温の気液二相冷媒となって室内熱交換器(19)に流入する。室内熱交換器(19)に流入した冷媒は、室内空気と熱交換を行い、蒸発して室内空気を冷却する。室内熱交換器(19)を流出した冷媒は、室外ユニット(101) の四路切換弁(13)及びアキュムレータ(22)を通過し、圧縮機(11),(12) に吸入される。
【0055】−空気調和装置(1) の効果−本空気調和装置(1) によれば、コントローラ(80)の学習機能により、冷蓄熱運転開始時の水温Tw0に基づいて、目標運転時間T1を適宜変更することとしている。
【0056】一般に、冷蓄熱運転における蓄熱生成量と、その後の蓄熱利用冷房運転において消費される蓄熱消費量とは、外気条件等の要因により絶えず変動するものである。本空気調和装置(1) では、冷蓄熱運転開始時に、水温Tw0を計測することにより残留蓄熱量を推定している。残留蓄熱量を推定することは、前日の蓄熱生成量と蓄熱消費量との大小関係を推定していることを意味する。従って、本空気調和装置(1) は、前回の蓄熱生成量と蓄熱消費量との関係、つまり前回の蓄熱量が適正か否かを判断したうえで、冷蓄熱運転の運転時間を設定していることになる。その結果、前回の蓄熱量が適正な場合は蓄熱量を前回とほぼ同等とし、前回の蓄熱量が不足気味の場合は蓄熱量を前回よりも増大させ、前回の蓄熱量が過剰気味の場合は蓄熱量を前回よりも減少させることになる。
【0057】従って、昼間の利用量に見合った量の蓄熱を精度よく蓄えることが可能となる。そのため、蓄熱の余剰や不足が回避され、冷蓄熱運転及び蓄熱利用冷房運転の効率を高めることができる。
【0058】また、伝熱コイル(17)の周りに氷が残留しないので、残留氷に起因する伝熱コイル(17)のストレスが発生せず、伝熱コイル(17)の破損を確実に防止することができる。従って、装置の信頼性を向上させることができる。
【0059】<実施形態>本発明の実施形態に係る空気調和装置は、潜熱蓄熱運転を運転時間に基づいて調整するのではなく、蓄熱槽(16)の水位を基準にして調整するものである。つまり、冷蓄熱運転開始時における蓄熱槽(16)の水の温度に基づいて蓄熱槽(16)の目標水位を変更し、実際の水位が目標水位になったときに潜熱蓄熱運転を終了するものである。
【0060】実施形態に係る空気調和装置の構成は、コントローラ(90)を除いて、参考例1の空気調和装置(1) と同様である。ただし、実施形態の空気調和装置では、蓄熱槽(16)に水位検出手段である水位計(31)が設けられている。
【0061】図8に示すように、本実施形態に係るコントローラ(90)は、参考例1と同様に、温度記憶部(83)、補正係数決定部(84)、運転判定部(88)、及び運転終了判定部(87)を備えるとともに、目標水位決定部(95)を備えている。そして、補正係数決定部(84)は、参考例1とは異なり、標準水位に対する補正量を決定し、運転終了判定部(87)は、水位が標準水位になると冷蓄熱運転を終了する。また、目標水位決定部(95)は、標準水位と補正係数決定部(84)の補正量とから目標水位を決定する目標水位決定手段を構成している。
【0062】冷蓄熱運転及び蓄熱利用冷房運転における冷媒の循環動作は参考例1と同様なので、それらの説明は省略する。ここでは、冷蓄熱運転における蓄熱量制御のみを説明する。
【0063】図9に示すように、まず、ステップST11において冷蓄熱運転が開始され、ステップST12〜ステップST14において、目標水位L1の決定が行われる。
【0064】すなわち、ステップST12において、温度記憶部(83)から昼間最高気温Tamaxの情報を受け取った補正係数決定部(84)が、予め設定された関数式やテーブル等に基づいて、昼間最高気温による補正係数Ktを決定する。
【0065】次に、ステップST13において、補正係数決定部(84)により、残存する蓄熱量に基づく補正係数Kg、すなわち、学習機能による補正係数Kgの決定が行われる。具体的には、参考例1と同様に、冷蓄熱運転開始時における蓄熱槽(16)の水温Tw0に基づき、予め設定された関係式やテーブル等に従って決定される。
【0066】そして、ステップST14に進み、目標水位決定部(95)が目標水位L1を決定する。蓄熱槽(16)の水位は、氷の量に応じて変動する。つまり、水は氷化すると体積が膨張するため、生成された氷の量が多いほど水位は上昇する。従って、水位と製氷量との間には相関関係があるので、水位は蓄熱槽(16)内に生成される氷の量、すなわち蓄熱量を示す。そのため、目標水位L1は、冷蓄熱運転によって蓄えるべき蓄熱量を表すことになる。具体的には、目標水位L1は、予め設定した一定の標準水位L0に対して、上記補正係数Kt及びKgを乗じることによって定められる。すなわち、L1=Kt・Kg・L0である。
【0067】その後、ステップST15に進み、蒸発温度Teを調節することによって、能力一定制御が行われる。
【0068】そして、ステップST16に進み、運転状態が潜熱蓄熱運転か否かを判定する運転判定が行われる。判定方法は、参考例1のステップST6 と同様である。
【0069】ステップST16において運転状態が潜熱蓄熱運転であると判定されると、ステップST17に進み、運転終了判定部(87)により、実際の水位Lnが目標水位L1よりも大きいか否かが判定される。その結果、実際の水位Lnが目標水位L1よりも大きいときは、ステップST18に進んで冷蓄熱運転を終了する。一方、実際の水位Lnが目標水位L1以下のときは、ステップST15に戻り、再びステップST15以降の処理を実行する。
【0070】従って、本空気調和装置においても、コントローラ(90)の学習機能により、前日の蓄熱消費量及び残留蓄熱量を推定し、目標水位L1を適宜変更することとしている。そのため、昼間の蓄熱の利用量に見合った量の蓄熱を精度よく生成及び貯留することが可能となる。従って、蓄熱の余剰や不足が回避され、冷蓄熱運転及び冷蓄熱利用運転を効率よく実行することができる。
【0071】また、伝熱コイル(17)の破損を確実に防止することができ、装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0072】<その他の実施形態>上記実施形態1は、蓄熱槽(16)内に設けられた伝熱コイル(17)の周りに氷を生成するいわゆるスタティック方式の氷蓄熱式冷凍装置であったが、本発明の適用対象はこれらに限定されるものではない。例えば、いったん過冷却水を生成し、その後にその過冷却状態を解消することによって、蓄熱槽にスラリー状の氷を生成及び貯留するいわゆるダイナミック方式の氷蓄熱式冷凍装置であってもよい。
【0073】なお、本発明でいうところの冷凍装置は広い意味での冷凍装置であり、上記実施形態1のような空気調和装置に限らず、狭義の冷凍装置や冷蔵装置等をも含むものである。
【0074】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、蓄熱量制御手段が残留蓄熱量を推定し、当該残留蓄熱量に基づいて蓄熱生成量を適宜変更するので、蓄熱量が外気条件等に応じて適正量に保たれ、蓄熱の過不足が解消される。残留蓄熱量に基づいて蓄熱運転における蓄熱槽の目標水位を変更するので、簡易かつ具体的な方法により、蓄熱生成量を適宜変更することが可能となる。
【0075】特に、請求項に記載の発明によれば、外気温度条件をも考慮したうえで蓄熱運転における蓄熱槽の目標水位を変更するので、蓄熱生成量をより適切に変更することが可能となる。
【0076】請求項に記載の発明によれば、いわゆるスタティック方式の装置において、蓄熱の過不足をなくすことができる。また、伝熱コイルの周りに残留氷が発生しないので、伝熱コイルへのストレスの発生を回避することができ、その破損を確実に防止することができる。そのため、装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気調和装置の冷媒回路図である。
【図2】参考例1に係るコントローラの構成図である。
【図3】冷蓄熱運転時の冷媒循環を示す冷媒回路図である。
【図4】参考例1に係る蓄熱量制御のフローチャートである。
【図5】昼間最高気温Tamax と補正係数Ktとの関係を示す図である。
【図6】冷蓄熱運転開始時の水温Tw0と学習機能による補正係数Kgとの関係を示す図である。
【図7】蓄熱利用冷房運転時の冷媒循環を示す冷媒回路図である。
【図8】実施形態に係るコントローラの構成図である。
【図9】実施形態に係る蓄熱量制御のフローチャートである。
【図10】従来の空気調和装置の冷媒回路図である。
【符号の説明】
(1) 空気調和装置
(3) 冷媒回路
(11),(12) 圧縮機
(13) 四路切換弁
(14) 室外熱交換器
(16) 蓄熱槽
(17) 伝熱コイル
(18) 室内電子膨張弁
(19) 室内熱交換器
(23) 第2電子膨張弁
(80) コントローラ
(81) 外気温センサー
(82) 水温センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水または氷を貯留する蓄熱槽(16)と、冷媒を圧縮する圧縮機(11,12) と、冷媒を凝縮または蒸発させる熱源側熱交換器(14)と、冷媒を減圧する減圧機構(23,18) と、冷媒を蒸発または凝縮させる利用側熱交換器(19)と、冷媒と水または氷とを熱交換させる蓄熱熱交換器(17)とが設けられた冷媒回路(3) とを備え、上記圧縮機(11,12) からの冷媒を上記熱源側熱交換器(14)で凝縮させ、上記減圧機構(23)で減圧し、上記蓄熱熱交換器(17)で蒸発させて、上記蓄熱槽(16)に氷を生成する蓄熱運転と、該圧縮機(11,12) からの冷媒を少なくとも該蓄熱熱交換器(17)で冷却し、減圧機構(18)で減圧し、上記利用側熱交換器(19)で蒸発させて、該蓄熱槽(16)の氷から冷熱を回収する蓄熱利用運転とを交互に実行する氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)の残留蓄熱量を推定し、該残留蓄熱量に基づいて蓄熱運転時における蓄熱生成量を変更する蓄熱量制御手段(90) を備え、上記蓄熱量制御手段(90)は、蓄熱運転を蓄熱槽(16)の水位が所定の目標水位になるまで行うように設定されている一方、残留蓄熱量に基づいて上記目標水位を変更することを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項2】 請求項に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)内の水の温度を検出する水温センサー(82)と、蓄熱槽(16)の水位を検出する水位検出手段(31)とが設けられている一方、蓄熱量制御手段(90)は、上記水温センサー(82)からの情報を受け取り、予め設定した標準水位に対する補正量を上記蓄熱槽(16)の水温に基づいて決定する補正係数決定手段(84)と、上記補正係数決定手段(84)からの情報を受け取り、上記標準水位と上記補正量とから目標水位を決定する目標水位決定手段(95)と、上記水位検出手段(31)が計測した水位が上記目標水位になると蓄熱運転を終了させる運転終了判定手段(87)とを備えていることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項3】 請求項に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、外気温度を検出する外気温センサー(81)が設けられている一方、補正係数決定手段(84)は、上記外気温センサー(81)からの情報を受け取り、水温センサー(82)の検出水温と前回の蓄熱利用運転時における外気の最高温度とに基づいて補正量を決定することを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一つに記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱熱交換器(17)は、蓄熱槽(16)に貯留された水に浸漬されるように設けられた伝熱コイル(17)から成り、蓄熱運転時には、圧縮機(11,12) からの冷媒を熱源側熱交換器(14)で凝縮させ、減圧機構(23)で減圧し、上記伝熱コイル(17)で蒸発させることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【特許番号】特許第3164037号(P3164037)
【登録日】平成13年3月2日(2001.3.2)
【発行日】平成13年5月8日(2001.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−300662
【出願日】平成9年10月31日(1997.10.31)
【公開番号】特開平11−132533
【公開日】平成11年5月21日(1999.5.21)
【審査請求日】平成11年8月31日(1999.8.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【参考文献】
【文献】特開 平2−272247(JP,A)
【文献】特開 昭60−8644(JP,A)
【文献】特開 平6−235557(JP,A)
【文献】特開 平5−223315(JP,A)
【文献】特開 平7−301438(JP,A)