説明

氷蓄熱装置

【目的】 氷生成された氷を直ちに蓄熱水槽に水とともに運ぶ構成とすることで、氷と水との界面との氷結の発生を防ぎ、かつ製氷器の構造を小形化できる。
【構成】 水より比重の重い非水溶性冷媒22を収容しかつこの非水溶性冷媒の液面より上方に噴出ノズル26を配置した製氷器20と、この製氷器20に連通部32を介して連結された蓄熱水槽31と、製氷器20の冷媒液面22aより上方の部位と蓄熱水槽31とを連結する配管34とこの配管に配置した水ポンプ35を有する水循環装置と、製氷器20に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を噴出ノズルから製氷器に収容した水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクル29とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機等に使用される氷蓄熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】氷蓄熱装置を有する空気調和システムは、昼間に集中する冷房用電力需要を低減するために、安価な深夜電力を利用でき、かつ熱源機器容量の半減による契約電力を低減できるので、ビル空調や、地域冷暖房システム等の比較的大容量の空気調和システムへの適用が期待されている。氷蓄熱装置は、その氷の製造方法において、間接熱交換方式と直接熱交換方式に大別されており、間接熱交換方式では、製氷用伝熱管を用い、伝熱管の内側又は外側に低温の冷媒(フロン等)又は不凍液(通称ブライン)を流し、伝熱管の反対の壁面に氷を生成、着氷するようにしており、直接熱交換方式では、冷媒ガスを水中に直接吹き込むようにしている。
【0003】この直接熱交換方式は、冷凍機内の膨張弁を出た後の低温の冷媒を水槽の水中に吹き込み、冷媒が蒸発するときの潜熱で水を氷化するので、間接熱交換方式に比較して冷却液(冷媒)の温度を高くすることができ、したがって、冷凍機の成績係数が良好となり、また、水槽の中で冷媒と水の直接接触による熱交換なので水槽中に伝熱管等を配置する必要がなく氷の充填率(IPF)も良好となることは分かっている。しかし、直接熱交換方式では、冷媒蒸気中に混入した水分が膨張弁で凍結し、膨張弁の作動不良の原因となるため、蒸気通路に水分離器を付設する必要があり、また、圧縮機の潤滑油が水に混入し、蓄熱時に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】このような問題点を解消するために、たとえば、第24回日本伝熱シンポジウム講演論文集(1987年5月)の「冷媒の直接接触伝熱を利用する氷蓄熱装置の研究」に開示されているように、氷蓄熱を冷熱の移送系から隔離された密閉容器内で生成して蓄熱を行うようにした技術手段はあるが、この方法では、蓄熱タンクを密閉構造とする必要あり、また、氷の生成と貯蔵を1つのタンクで行わなければならず、タンクへの氷充填率が制限され、タンクの大型化やタンクを圧力容器として設計しなけれずならない。
【0005】上記問題点を解消するものとして、特開平1−244225号公報や特開平2−97845号公報に開示された技術手段は知られている。上記技術手段は、図12に示すように、製氷器1と蓄熱槽2を分離し、製氷器1に非水溶性高比重不凍液3を収容し、蓄熱槽2に水4を収容し、製氷器1の非水溶性高比重不凍液3の液面3aより上方の部位と蓄熱槽2の水面4aより上方の部位を配管5で連結し、製氷器1の液面3aより上方の部位と蓄熱槽2の底面とを配管6で連結し、この配管6の水循環ポンプ7より下流側で分岐した分岐管8を製氷器1の底面に連結し、製氷器1に設けた不凍液3を、冷凍機9、不凍液循環ポンプ10、および熱交換器11を備えた冷凍サイクル12で冷却し、蓄熱槽2の水を分岐管8を介して、製氷器1の冷却された不凍液中に噴出させ、水を冷却不凍液と直接接触させて氷を析出し、不凍液より軽い氷を不凍液の上側の水4まで浮上させ、析出浮上した氷13を配管5を介して、蓄熱槽2の水面4aより上方の位置に氷層14として貯えるようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記形式の技術手段では、非水溶性高比重不凍液とその上側に位置する水との間に温度差があり、非水溶性高比重不凍液と水との界面が氷結し、そのため、非水溶性高比重不凍液中で生成された氷が水中を上昇せず、また、氷内に非水溶性高比重不凍液を含んだ氷が生成されると、非水溶性高比重不凍液と水との界面に水に浮かない氷が溜まり、連続した製氷が妨げられ、また、非水溶性高比重不凍液と水との熱交換を効率よく行うには、非水溶性高比重不凍液貯溜部の高さを高くする必要があり、製氷器に収容される非水溶性高比重不凍液を多量必要とするという問題がある。
【0007】本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、非水溶性高比重不凍液の量を最小限として製氷器を小形化し、かつ、非水溶性高比重不凍液と水との熱交換を効率よく行うようにした氷蓄熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の氷蓄熱装置は、水より比重の重い非水溶性冷媒を収容しかつこの非水溶性冷媒の液面より上方に噴出ノズルを配置した製氷器と、この製氷器に連通部を介して連結された蓄熱水槽と、製氷器の冷媒液面より上方の部位と蓄熱水槽とを連結する配管とこの配管に配置した水ポンプを有する水循環装置と、製氷器に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を噴出ノズルから製氷器に収容した水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクルとを有して構成される。
【0009】また、本発明の氷蓄熱装置は、水より比重の重い非水溶性冷媒を収容した製氷器と、この製氷器に隣接配置された蓄熱水槽と、上記製氷器の蓄熱水槽の反対側で蓄熱水槽より高い位置に設けた水流落下槽と、この水流落下槽と蓄熱水槽を結び水流落下槽の水を層状として蓄熱水槽に導く傾斜流路部と、この傾斜流路部に形成した冷媒吹出し口と、製氷器に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を冷媒吹出し口から傾斜流路部を層状に流れる水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクルとを有して構成される。
【0010】さらに、本発明の氷蓄熱装置は、水より比重の重い非水溶性冷媒を収容しかつこの非水溶性冷媒の液面より上方に噴出ノズルを配置した製氷槽と、この製氷槽に隣接配置された蓄熱水槽と、製氷槽の内側上部に配置され析出浮上した氷を集めて蓄熱水槽に送り込むための集氷装置と、製氷槽に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を噴出ノズルから製氷槽に収容した水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクルとを有して構成される。
【0011】
【作用】本発明の氷蓄熱装置では、製氷器に設けた水より比重の重い非水溶性冷媒を、冷凍サイクルにより0℃以下の温度に冷却し、冷却した冷媒を製氷器の内部に配置した噴出ノズルより製氷器に収容された水に噴射することで、冷却冷媒を水に直接接触し、水より析出された氷を水中を浮上させ、浮上した氷を蓄熱水槽に貯えるようにする。
【0012】また、本発明の氷蓄熱装置では、製氷器に設けた水より比重の重い非水溶性冷媒を、冷凍サイクルにより0℃以下の温度に冷却し、冷却した冷媒を傾斜流路部に形成した冷媒吹出し口より噴き出すようにし、この冷媒吹出し口よりでる冷却冷媒を、傾斜流路部を層状に流れる水に直接噴射することで氷を析出し、析出した氷を、傾斜流路部を流れる水とともに蓄熱水槽に導き、氷を蓄熱水槽に貯えるようにする。
【0013】さらに、本発明の氷蓄熱装置では、製氷槽に設けた水より比重の重い非水溶性冷媒を、冷凍サイクルにより0℃以下の温度に冷却し、冷却した冷媒を製氷槽の内部に配置した噴出ノズルより製氷槽に収容された水に噴射することで、冷却冷媒を水に直接接触し、水より析出された氷を水中を浮上させ、浮上した氷を集氷装置に集め、集められた氷を、流れる水とともに蓄熱水槽に導き、氷を蓄熱水槽に貯えるようにする。
【0014】
【実施例】以下本発明の実施例を図面につき説明する。図1は本発明による氷蓄熱装置の全体構成を示し、この氷蓄熱装置の製氷器20の底部21には、水より比重の重い非水溶性冷媒22を収容する冷媒貯溜部23が形成されている。この冷媒貯溜部23は、製氷器20の側壁部24の下端まで上方に傾斜した傾斜面25で連なり、製氷器20の水中に噴出され、水中を降下する非水溶性冷媒22を、傾斜面25に落下させ、落下した冷媒22を、傾斜面25に沿って冷媒貯溜部23に導くようにしている。上記製氷器20の内部の冷媒液面22aより上方の位置に配置した噴出ノズル26は、図2および図3に示すように、製氷器20の側壁部24に隣接して水平方向に延びるように配置されている。ノズル部26aは、図4に示すように噴出ノズル26の長手方向に間隔を置いて複数配置されている。上記噴出ノズル26は、冷媒配管28により冷媒貯溜部23に連結され、この冷媒配管28に配置された冷凍サイクルを構成する冷凍機29および循環ポンプ30により、0℃以下の温度に冷却された冷媒22を噴出ノズル26のノズル部26aから斜め上方に向けて噴射する。
【0015】一方、上記製氷器20に隣接して配置した蓄熱水槽31は、水流の案内部を兼ねる連通部32を介して製氷器20に連結されている。上記蓄熱水槽31の側壁33の下部と製氷器20の噴出ノズル26より上方の部位とは配管34によって連結され、この配管34に設けた水循環ポンプ35により蓄熱水槽31に収容された水36を製氷器20に送るようにしている。
【0016】上記水より比重の重い非水溶性冷媒22としては、比重量が水の1.7〜1.8倍で、凝固点が−50℃程度のフロリナート液が選定される。フロリナート液は、無色・透明・無臭・不活性な液体で、完全にフッ素化された構造をしており、炭素原子Cとフッ素原子Fのみの結合である。このフロリナート液12は炭素原子Cとフッ素原子Fの結合数に応じて、沸点と凝固点(流動点と同じ)は異なるが、凝固点が−20℃以下のものがほとんどである。そして、比重量も0℃付近では1.7〜1.8kg/lで氷の2倍程度であり、水のフロリナートへの溶解性は、温度10℃で7.2ppm と少なく不溶と考えても問題がなく、水槽内に水とフロリナートを一緒に入れると、両者は完全に分離しフロリナートが底に沈殿し水がその上に浮くことになる。
【0017】しかして、蓄熱水槽31に収容された水36は、配管34を通り製氷器20に送られ、この製氷器20から連通部32を介して蓄熱水槽31に戻る循環路を形成し、製氷器20の底部21に設けた冷媒貯溜部23の冷媒22は、冷媒配管28を通り、冷媒配管28に配置した冷凍サイクルを構成する冷凍機29により0℃以下の温度に冷却され、冷却された冷媒22は、循環ポンプ30により強制流として噴出ノズル26に送られ、この噴出ノズル26のノズル部26から斜め上方に向けて噴射される。ノズル部26から噴射された冷却冷媒22は、製氷器20に収容された水と直接接触して熱交換され、冷却冷媒22に接触する水36は氷粒37となり水中を上昇し、水中を上昇した氷粒37は製氷器20の水とともに連通部32を介して蓄熱水槽31に戻り、蓄熱水槽31の水面に層状をなして貯えられる。この場合、生成された氷粒37はただちに蓄熱水槽31に運ばれるので、噴出ノズル26は噴出ノズル26のノズル部26aの周辺での氷粒37の再付着が防止され、ノズル部26aの噴出口が凍結して閉じてしまうことはない。また、水と熱交換された冷媒22は、水より比重の重い非水溶性を有するので、水と分離し、製氷器20の水中を降下し底部傾斜面25に落下し、落下した冷媒は底部傾斜面25に沿って流下して冷媒貯溜部23に戻されることになる。
【0018】図5は本発明の変形例を示し、この変形例では、蓄熱水槽31の底部と製氷器20の噴出ノズル26より下流側の部位とを配管40で連結し、この配管40に設けた水ポンプにより、噴出ノズル26付近に滞った氷塊37を溶かし、氷塊37を製氷器20の水とともに連通部32を介して蓄熱水槽31に戻すようにし、これにより、連続した製氷を妨げないようにするとともに、注ぎ込まれた水を冷媒22に接触させることで、冷媒の戻り温度を高め、熱交換をより効率よく行うようにする。
【0019】図6に示す氷蓄熱装置は、水より比重の重い非水溶性冷媒22を冷媒貯溜部23に収容した製氷器50とこの製氷器50に隣接配置した蓄熱水槽51を備え、製氷器50の一端側に設けた隔壁52は蓄熱水槽51の側壁より上方に位置している。製氷器50の他端側に設けた水流落下槽53は、上記隔壁52より相当高い位置にあり、この水流落下槽53と隔壁52との間には、水流落下槽51の水54を層状として落下させる傾斜流路部54が配設されている。この傾斜流路部54には、水の流れ方向に間隔を置いて複数の冷媒吹出し口55が形成されている。複数の冷媒吹出し口55のうちの最端側に位置する冷媒吹出し口55の上流側には冷媒流落槽56が、また下流側には冷媒回収槽57が配置されている。上記冷媒吹出し口55と冷媒貯溜部23は冷媒配管58により連結されている。冷媒配管58には、冷凍サイクルを構成する冷凍機29および循環ポンプ60が配置されている。冷凍機29は冷媒貯溜部23から冷媒配管58に導かれる冷媒を0℃以下の温度に冷却する。一方、上記蓄熱水槽51の底面には冷媒回収部61が形成されている。この冷媒回収部61は底面の最も低い位置にあり、側壁から冷媒回収部61まで傾斜面62で連なっている。この冷媒回収部61は、配管63およびポンプ64を介して冷媒貯溜部23に連結されている。また、蓄熱水槽51の底面の最も高い部位には開口65が形成されている。この開口65は配管66およびポンプ67を介して水流落下槽53に連結されている。
【0020】しかして、蓄熱水槽51に収容された水は、蓄熱水槽51の底面に設けた開口65から配管66を通り水流落下槽53に導かれ、この水流落下槽53から傾斜流路部54を層状として落下する。これと同時に、冷媒貯溜部23の冷媒22は、冷媒配管58を通り冷媒配管58に設けた冷凍機29により0℃以下の温度に冷却され、冷却された冷媒22は、循環ポンプ60により強制流として冷媒吹出し口55から層状として落下する水流に直接接触し水との間で熱交換され、冷却冷媒22に接触する水54は、氷塊(粒)57となり層状として落下する水流とともに隔壁52に当たり、水より軽い氷塊57は、この隔壁52を越える水とともに蓄熱水槽51に貯えられる。水より重い冷媒は、層状として落下する水流の下側を流れ、隔壁52に当たり逆流し、この隔壁52の近くに設けた冷媒回収槽57に回収され、この冷媒回収槽57から製氷器50の冷媒貯溜部23に戻される。また、隔壁52を越えた蓄熱水槽51に導かれた冷媒は、水より重いので、水中を降下し、底面に達し、底面の傾斜面62に沿って冷媒回収部61に至り、ここから配管63を介して冷媒貯溜部23に戻される。なお、蓄熱水槽51の底面に形成した傾斜面62をテフロン被膜でコーティングすると冷媒の回収が確実になる。
【0021】図7は図6の実施例の変形例を示し、この変形例では、傾斜流路部54は、図示しない作動装置により傾斜角度を水流の速さに応じて可変になっており、また、傾斜流路部54の上面の冷媒吹出し口55の間に半円状凸部または矩形状68を設けることで波型または階段状とし、水と冷媒の接触面積を増大することで熱交換効率の向上を図っている。また、傾斜流路部54にヒータ69を配置することで、冷媒の温度制御を図ることが可能となる。このように構成すると、析出した氷は、生成段階で流下するので、ノズル付近の着氷がなく、効率よく氷の充填ができる。
【0022】図8に示す氷蓄熱装置は、水より比重の重い非水溶性冷媒22を冷媒貯溜部70に収容した製氷槽71とこの製氷槽71に隣接配置した蓄熱水槽72を備え、この冷媒貯溜部70の下面は、製氷槽71の側壁の下端まで上方に傾斜した傾斜面73で連なり、製氷槽71の水中を降下する非水溶性冷媒22を傾斜面73に沿って冷媒貯溜部70に導くようにしている。また、製氷槽71の水中には、水平方向に延びるように噴出ノズル74,74が配置されている。これら2つの噴出ノズル74は、図9に示すように、製氷槽71の側壁に沿ってノズル部74aが対向するように平行配置されている。また、図9に示すように、製氷槽71の上部中央部には集氷装置75が蓄熱水槽72の方向に延びるように配置されている。この集氷装置75は、製氷槽71の水中において生成された氷結晶76を水とともに隣接配置した蓄熱水槽72に送り込む。この集氷装置75の上面に集氷流落溝を流れ方向に直交する方向に設けると、集氷効率が上りかつポンプ出力を低く設定できる。
【0023】一方、上記噴出ノズル74は、冷媒配管77により冷媒貯溜部70の底部に連結され、この冷媒配管77に配置された冷凍サイクルを構成する冷凍機29および循環ポンプ30により、冷媒貯溜部70の冷媒を0℃以下の温度に冷却し、冷却した冷媒22を噴出ノズル74のノズル部74aから水平方向に向けて噴射するようにしている。蓄熱水槽72の底面に形成された冷媒回収部78は、底面の最も低い位置にあり、側壁から冷媒回収部78まで傾斜面79で連なっている。この冷媒回収部78は、配管80およびポンプ81を介して冷媒貯溜部70に連結されている。また、蓄熱水槽51の底面の最も高い部位に形成された開口82は配管83およびポンプ84を介して循環水供給口85に連結されている。なお、図8で符号86は冷媒戻り管、87は生成された氷結晶76を効率よく蓄熱水槽72に送るための堰である。
【0024】しかして、製氷槽71に設けた冷媒貯溜部70の冷媒22は、冷媒配管77を通り、冷媒配管77に配置した冷凍サイクルを構成する冷凍機29により0℃以下の温度に冷却され、冷却された冷媒22は、循環ポンプ30により強制流として噴出ノズル74に送られ、この噴出ノズル74のノズル部74aから水平方向噴射される。ノズル部74aから噴射された冷却冷媒22は、製氷槽71の水と直接接触して熱交換され、冷却冷媒22に接触する水は氷塊(粒)76となる。この氷塊(粒)76は水より軽いので、図9に示すように水中を上昇し、水中を上昇した氷塊37は、集氷装置75に集められ、水とともに隣接配置した蓄熱水槽72に送られる。
【0025】一方、噴出ノズル74から噴射された冷却冷媒22は、水より比重の重い非水溶性を有するので、水と分離して水中を降下し、底部傾斜面73に落下し、底部傾斜面25に沿って流下して冷媒貯溜部70に戻される。また、集氷装置75に導かれた冷媒22は、堰87により受け止められ、冷媒戻り管86および底部傾斜面73を介して冷媒貯溜部70に戻される。
【0026】図10に示す本発明の変形例では、製氷槽71の外壁に設けた冷媒吹出し口90にヒータ91を設置することで、製氷槽71の内部の凍結を防止し、循環水供給口92の供給角度を斜め上方にすることで水の対流を高め、冷媒と水との接触を図るようにし、また、集氷装置93のチャンネル部94の断面形状を半円形ないしV形とすることで、浮上する氷塊(粒)76の着氷を防ぐようにしている。
【0027】図11に示す本発明の変形例では、製氷槽71に設けた集氷装置75と蓄熱水槽72とを傾斜角度5度ないし20度とした搬送ダクト100で連結することで、集められた氷塊76を、動力手段を利用することなく重力の作用で水とともに蓄熱水槽72に送り込む。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、冷却冷媒を製氷器の内部に配置した噴出ノズルより製氷器に収容された水に噴射することで氷を析出し、氷生成された氷を直ちに蓄熱水槽に水とともに運ぶ構成とすることで、氷と水との界面との氷結の発生を防ぎ、かつ製氷器の構造を小形化できる。また、冷媒吹出し口より冷却冷媒を傾斜流路部を層状に流れる水に直接噴射することで氷を析出し、析出した氷を、傾斜流路部を流れる水とともに蓄熱水槽に導く構成にすることで、製氷器の内部に氷が滞留することがなく、氷充填率が向上しかつ製氷器の構造を小形化できる。さらに、製氷槽の内部に集氷装置を配置し、この集氷装置により集め氷を、流れる水とともに蓄熱水槽に導く構成にすることで、製氷槽の内部に氷が滞留することがなく氷充填率が向上し、連続した製氷を行うことができ、かつ製氷槽の構造を小形化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による氷蓄熱装置の第一実施例を示す図。
【図2】同氷蓄熱装置の製氷器の断面図。
【図3】製氷器に設けた噴出ノズル部分の断面図。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図。
【図5】本発明による氷蓄熱装置の第一実施例の変形例を示す図。
【図6】本発明による氷蓄熱装置の第二実施例を示す図。
【図7】本発明による氷蓄熱装置の第一実施例の変形例を示す図。
【図8】本発明による氷蓄熱装置の第三実施例を示す図。
【図9】同氷蓄熱装置の製氷槽の断面図。
【図10】本発明による氷蓄熱装置の第三実施例の変形例を示す図。
【図11】本発明による氷蓄熱装置の第三実施例の変形例を示す図。
【図12】従来の氷蓄熱装置を示す図。
【符号の説明】
20 製氷器
22 冷媒
22a 冷媒液面
26 噴出ノズル
29 冷凍機
31 蓄熱水槽
32 連通部
34 配管
35 水ポンプ
50 製氷器
51 蓄熱水槽
53 水流落下槽
54 傾斜流路部
55 冷媒吹出し口
70 製氷槽
72 蓄熱水槽
74 噴出ノズル
75 集氷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】水より比重の重い非水溶性冷媒を収容しかつこの非水溶性冷媒の液面より上方に噴出ノズルを配置した製氷器と、この製氷器に連通部を介して連結された蓄熱水槽と、製氷器の冷媒液面より上方の部位と蓄熱水槽とを連結する配管とこの配管に配置した水ポンプを有する水循環装置と、製氷器に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を噴出ノズルから製氷器に収容した水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクルとを有する氷蓄熱装置。
【請求項2】水より比重の重い非水溶性冷媒を収容した製氷器と、この製氷器に隣接配置された蓄熱水槽と、上記製氷器の蓄熱水槽の反対側で蓄熱水槽より高い位置に設けた水流落下槽と、この水流落下槽と蓄熱水槽を結び水流落下槽の水を層状として蓄熱水槽に導く傾斜流路部と、この傾斜流路部に形成した冷媒吹出し口と、製氷器に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を冷媒吹出し口から傾斜流路部を層状に流れる水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクルとを有する氷蓄熱装置。
【請求項3】水より比重の重い非水溶性冷媒を収容しかつこの非水溶性冷媒の液面より上方に噴出ノズルを配置した製氷槽と、この製氷槽に隣接配置された蓄熱水槽と、製氷槽の内側上部に配置され析出浮上した氷を集めて蓄熱水槽に送り込むための集氷装置と、製氷槽に設けた冷媒を0℃以下の温度に冷却し冷却した冷媒を噴出ノズルから製氷槽に収容した水に直接噴射して氷を析出する冷凍サイクルとを有する氷蓄熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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