永久磁石式回転電機
【課題】軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得る。
【解決手段】軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子10と、回転子10の内周側に空隙30をもって配置され、固定子鉄心21および固定子鉄心21に設けられた固定子巻線22を有する固定子20と、を備え、回転子10の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。
【解決手段】軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子10と、回転子10の内周側に空隙30をもって配置され、固定子鉄心21および固定子鉄心21に設けられた固定子巻線22を有する固定子20と、を備え、回転子10の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば風力発電に用いられる永久磁石式回転電機であって、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、永久磁石式回転電機は、複数の永久磁石が取り付けられた回転子と、回転子と空隙をもって配置され、固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子とを備えている。なお、回転子が固定子の外周側に配置されたものをアウターロータ型といい、回転子が固定子の内周側に配置されたものをインナーロータ型という。
【0003】
このような永久磁石式回転電機では、固定子電流による発熱の他に、回転子の回転駆動により、永久磁石内で渦電流が発生する。永久磁石に渦電流が流れると、永久磁石が発熱して、永久磁石の不可逆減磁が発生する恐れがある。なお、回転子の軸方向中央部で最も熱の逃げが悪く、回転駆動中に軸方向中央部の磁石温度が最も高くなる。
【0004】
そこで、永久磁石が回転子の周方向に複数配置され、かつ各永久磁石が回転子の軸方向に延設された永久磁石式回転電機であって、各永久磁石を回転子の軸方向に沿った複数箇所で分割するとともに、分割した永久磁石のうち、高保磁力磁石を回転子の中央部に配置し、低保磁力磁石を回転子の両端部に配置した永久磁石式回転電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、高保磁力磁石を用いる代わりに、低保磁力磁石に対して、ディスプロシウムやテルビウムといった重希土類元素を粒界に集中的に拡散させることにより、永久磁石の保磁力を局所的に向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−213516号公報
【特許文献2】特開2009−165349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1、2に記載された永久磁石式回転電機では、軸方向の一方向から通風冷却される場合について、何等考慮されていない。すなわち、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機では、特許文献1、2に記載されたものとは、温度分布が異なる。
【0008】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機では、主に固定子巻線電流による発熱が通風により冷却されるが、風上側の温度と比較して風下側の温度が高くなる。そのため、アウターロータ型の永久磁石式回転電機では、固定子の熱伸びによって、風上側の固定子外径と比較して風下側の固定子外径が大きくなる。すなわち、回転子と固定子との間に設けられた空隙が、風上側よりも風下側で小さくなる。
【0009】
このように、アウターロータ型では、回転子と固定子との間の空隙が、風上側と風下側とで変化すると、風上側の磁束密度よりも風下側の磁束密度の方が高くなる。このとき、回転子において、この磁束密度の平均方向、すなわち通風方向に電磁力が発生する。軸方向に電磁力が働くと、軸受けの損傷等が生じる恐れがあり、永久磁石式回転電機の信頼性を損ねるという問題がある。なお、軸方向の電磁力の影響は、装置が大型になるほど顕著になる。
【0010】
また、インナーロータ型の永久磁石式回転電機では、風上側の温度と比較して風下側の温度が高くなると、アウター側固定子の熱伸びにより風下側の空隙が広がる。さらに、風下側の永久磁石の温度が高くなるため、残留磁束密度(磁力)が低くなる。このとき、風上側の磁束密度よりも風下側の磁束密度の方が高くなることで、通風方向とは逆方向に電磁力が発生する。軸方向に電磁力が働くと、上記と同様に軸受けの損傷等が生じる恐れがあり、永久磁石式回転電機の信頼性を損ねるという問題がある。
【0011】
また、アウターロータ型の永久磁石式回転電機においても、インナーロータ型の永久磁石式回転電機においても、風上側よりも風下側の温度が高い場合には、風下側の永久磁石の温度により、永久磁石の不可逆減磁が発生する恐れがあり、やはり永久磁石式回転電機の信頼性を損ねるという問題がある。
【0012】
なお、最も温度が高くなる風下側の永久磁石に合わせて、すべての永久磁石を高保磁力磁石とすると、一般に、永久磁石の残留磁束密度が弱くなるので、永久磁石式回転電機の効率が低下する。さらに、高保磁力磁石は、重希土類元素を多く含むので、省レアアースの観点からも、すべての永久磁石を高保磁力磁石とすることは望ましくない。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されているものである。
【0015】
また、この発明に係る永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側または外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されているものである。
【0016】
また、この発明に係る永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されているものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る永久磁石式回転電機によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
また、この発明に係る永久磁石式回転電機によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側または外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
また、この発明に係る永久磁石式回転電機によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る永久磁石式回転電機を示す別の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る永久磁石式回転電機の回転子を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態6に係る永久磁石式回転電機の回転子を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態7に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態8に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態8に係る永久磁石式回転電機を示す別の断面図である。
【図11】この発明の実施の形態9に係る永久磁石式回転電機を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る永久磁石式回転電機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0020】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図1において、この永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向(図の右側)から通風冷却されるアウターロータ型のものであり、回転自在に配置された回転子10と、回転子10の内周側に空隙30をもって配置された固定子20とを備えている。
【0021】
回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。固定子20は、固定子鉄心21と、固定子鉄心21に設けられたスロットに巻かれた固定子巻線22とを有している。この永久磁石式回転電機は、永久磁石の起磁力と固定子巻線22の電流による起磁力とにより、回転動力を与えるか、または固定子巻線22に発電電力を供給する。
【0022】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。具体的には、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30が、風上側の空隙30よりも広くなるように、風下側の永久磁石12d、12eが永久磁石12a〜12cの外周側に配置されている。なお、風下側の永久磁石12d、12eを外周側に配置する代わりに、風下側に向けて空隙30が広くなるような傾斜した形状を有する複数の永久磁石を、回転子鉄心11の周方向に取り付けてもよい。
【0023】
固定子鉄心21に巻かれた固定子巻線22に電流が流れ、発熱すると、風上側の温度よりも風下側の温度が高くなり、冷時(回転子10の停止時)と比較して固定子鉄心21が熱伸びによって径方向に大きくなる。この熱伸びによって、回転子10と固定子20との間に設けられた空隙30が、風上側よりも風下側で小さくなる。
【0024】
そこで、風下側の永久磁石12d、12eを永久磁石12a〜12cの外周側に配置し、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30を、風上側の空隙30よりも広くとることにより、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。なお、この永久磁石式回転電機を含め、以下の各実施の形態に示す永久磁石式回転電機は、ギアレスの永久磁石式風力発電機に適用することができる。
【0025】
以上のように、実施の形態1によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時における風下側の回転子と固定子との間の空隙が、風上側の空隙よりも広くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0026】
なお、上記実施の形態1では、風下側の永久磁石12d、12eが外周側に配置され、永久磁石12a〜12eが2段の空隙30をとる構成を示した。しかしながら、これに限定されず、図2に示されるように、永久磁石12a〜12eが多段の空隙30をとる構成としてもよい。図2において、永久磁石12cが永久磁石12a、12bの外周側に配置され、永久磁石12d、12eが、永久磁石12cの外周側に配置されている。固定子鉄心21の熱伸びは、軸方向の温度勾配に起因するので、この温度勾配に合わせて空隙30を多段に変化させることにより、さらに空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0027】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る永久磁石式回転電機の回転子10を示す構成図である。図3において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12gとを有している。
【0028】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。具体的には、回転子10において、風下側の永久磁石12gの周方向長さが、風上側の永久磁石12a〜12fの周方向長さよりも短くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。また、周方向長さの短い永久磁石が、永久磁石12gのみの1段でなく、多段に構成されてもよい。
【0029】
風下側の永久磁石12gの周方向長さが、風上側の永久磁石12a〜12fの周方向長さよりも短くなるように構成することにより、固定子鉄心21が熱伸びによって径方向に大きくなり、回転子10と固定子20との間に設けられた空隙30が風下側で小さくなった場合であっても、磁力が軸方向に均一化され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0030】
以上のように、実施の形態2によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側の永久磁石の周方向長さが、風上側の永久磁石の周方向長さよりも短くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0031】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図4において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0032】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、風下側の永久磁石12eの保磁力が、風上側の永久磁石12a〜12dの保磁力よりも大きくなるように構成されている。具体的には、風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石が取り付けられ、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石が取り付けられている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。また、高保磁力磁石が、永久磁石12eのみの1段でなく、例えば軸方向の中央から風上側を風上側磁石、風下側を風下側磁石として、軸方向に多段に構成されてもよい。
【0033】
風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石を取り付け、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石を取り付けることにより、風下側の永久磁石12eの不可逆減磁に対して、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。また、風上側の永久磁石12a〜12dは、残留磁束密度(磁力)が風下側の永久磁石12eよりも強くなるので、永久磁石式回転電機の効率の低下を最小限に抑制することができる。
【0034】
以上のように、実施の形態3によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側に高保磁力磁石が取り付けられ、風上側に低保磁力磁石が取り付けられ、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0035】
実施の形態4.
図5は、この発明の実施の形態4に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図5において、この永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向(図の右側)から通風冷却されるインナーロータ型のものであり、回転自在に配置された回転子10と、回転子10の外周側に空隙30をもって配置された固定子20とを備えている。
【0036】
回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。固定子20は、固定子鉄心21と、固定子鉄心21に設けられたスロットに巻かれた固定子巻線22とを有している。この永久磁石式回転電機は、永久磁石の起磁力と固定子巻線22の電流による起磁力とにより、回転動力を与えるか、または固定子巻線22に発電電力を供給する。
【0037】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、風下側の永久磁石12eの保磁力が、風上側の永久磁石12a〜12dの保磁力よりも大きくなるように構成されている。具体的には、風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石が取り付けられ、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石が取り付けられている。なお、高保磁力磁石が、永久磁石12eのみの1段でなく、例えば軸方向の中央から風上側を風上側磁石、風下側を風下側磁石として、軸方向に多段に構成されてもよい。
【0038】
風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石を取り付け、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石を取り付けることにより、風下側の永久磁石12eの不可逆減磁に対して、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。また、風上側の永久磁石12a〜12dは、残留磁束密度(磁力)が風下側の永久磁石12eよりも強くなるので、永久磁石式回転電機の効率の低下を最小限に抑制することができる。
【0039】
以上のように、実施の形態4によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側に高保磁力磁石が取り付けられ、風上側に低保磁力磁石が取り付けられ、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態3、4では、風下側の永久磁石12eの保磁力を、風上側の永久磁石12a〜12dの保磁力よりも大きくするために、風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石を取り付け、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石を取り付けると説明した。ここで、高保磁力磁石と低保磁力磁石とは、同種の永久磁石であって、高保磁力磁石は、低保磁力磁石に重希土類元素を粒界に集中的に拡散させた永久磁石であってもよい。
【0041】
また、このとき、重希土類元素を粒界に集中的に拡散させた永久磁石が、永久磁石12eのみの1段でなく、例えば軸方向の中央から風上側を風上側磁石、風下側を風下側磁石として、軸方向に多段に構成されてもよい。また、軸方向に同種の永久磁石を用いなくてもよい。
【0042】
これにより、上記実施の形態3、4と同様に、風下側の永久磁石12eの不可逆減磁に対して、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。また、重希土類元素を粒界に集中的に拡散させることにより、保磁力を高めたので、残留磁束密度(磁力)の低下はなく、永久磁石式回転電機の効率の低下を生じることはない。
【0043】
実施の形態5.
図6は、この発明の実施の形態5に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図6において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0044】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時(冷時)に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。具体的には、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30が、風上側の空隙30よりも狭くなるように、風下側の永久磁石12d、12eが永久磁石12a〜12cの外周側に配置されている。
【0045】
また、風下側の永久磁石12d、12eは、風上側より高い保持力を有する高保磁力磁石であってもかまわない。なお、風下側の永久磁石12d、12eを外周側に配置する代わりに、風下側に向けて空隙30が狭くなるような傾斜した形状を有する複数の永久磁石を、回転子鉄心11の周方向に取り付けてもよい。なお、その他の構成は、上述した実施の形態4と同様なので、説明を省略する。
【0046】
上述した不可逆減磁が発生しなくても、永久磁石は、温度が高いほど残留磁束密度(磁力)が弱くなる特性を有する。そのため、インナーロータ型の永久磁石式回転電機では、温度の高い風下側の空隙磁束密度が、風上側よりも低下する。また、風下側の永久磁石12d、12eを高保磁力磁石とした場合も、風上側の永久磁石よりも、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が弱くなる。さらに、固定子20の熱伸びで固定子20が外周側に膨らむと、温度の高い風下側で空隙が広くなることがある。これにより、空隙磁束密度が軸方向にアンバランスとなり、通風方向とは逆方向に電磁力が発生する。
【0047】
そこで、風下側の永久磁石12d、12eを永久磁石12a〜12cの外周側に配置し、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30を、風上側の空隙30よりも狭くすることにより、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が温度による影響を受けて、または高保磁力磁石を用いることにより低下した場合であっても、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0048】
以上のように、実施の形態5によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時における風上側の回転子と固定子との間の空隙が、風下側の空隙よりも広くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態5では、風下側の永久磁石12d、12eが外周側に配置され、永久磁石12a〜12eが2段の空隙30をとる構成を示した。しかしながら、これに限定されず、永久磁石12a〜12eが多段の空隙30をとる構成としてもよい。
【0050】
実施の形態6.
図7は、この発明の実施の形態6に係る永久磁石式回転電機の回転子10を示す構成図である。図7において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12dとを有している。
【0051】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時(冷時)に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。具体的には、回転子10において、風上側の永久磁石12aの周方向長さが、風下側の永久磁石12b〜12dの周方向長さよりも短くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態5と同様なので、説明を省略する。また、周方向長さの短い永久磁石が、永久磁石12aのみの1段でなく、多段に構成されてもよい。
【0052】
風上側の永久磁石12aの周方向長さが、風下側の永久磁石12b〜12dの周方向長さよりも短くなるように構成することにより、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が温度による影響を受けて、または高保磁力磁石を用いることにより低下した場合であっても、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0053】
以上のように、実施の形態6によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風上側の永久磁石の周方向長さが、風下側の永久磁石の周方向長さよりも短くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0054】
実施の形態7.
図8は、この発明の実施の形態7に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図8において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0055】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時(冷時)に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。具体的には、回転子10において、風上側の永久磁石12aの厚みが、風下側の永久磁石12b〜12eの厚みよりも薄くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態4と同様なので、説明を省略する。また、厚みの薄い永久磁石が、永久磁石12aのみの1段でなく、多段に構成されてもよい。
【0056】
風上側の永久磁石12aの厚みが、風下側の永久磁石12b〜12eの厚みよりも薄くなるように構成することにより、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が温度による影響を受けて、または高保磁力磁石を用いることにより低下した場合であっても、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。また、風上側では風下側よりも温度が低くなるので、永久磁石12aの厚みを薄くしても、不可逆減磁の心配が少なく、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0057】
以上のように、実施の形態7によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風上側の永久磁石の厚みが、風下側の永久磁石の厚みよりも薄くされ、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態7の構成をアウターロータ型の永久磁石式回転電機に適用した場合、風上側の永久磁石を薄くしても、熱伸びによる影響を回避することはできないが、不可逆減磁の観点からは、温度が低い風上側の永久磁石を薄くすることにより、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0059】
実施の形態8.
図9は、この発明の実施の形態8に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図9において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0060】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、風下側の永久磁石12d、12eの軸方向長さが、風上側の永久磁石12a〜12cの軸方向長さよりも短くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。また、軸方向長さの短い永久磁石が、永久磁石12d、12eの2段でなく、多段に構成されてもよい。
【0061】
永久磁石に希土類焼結磁石を用いた場合、永久磁石自身が導電性を有するので、固定子20からの高調波磁束による渦電流が永久磁石に流れる。永久磁石は、この渦電流によって発熱する。軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機では、風上側の永久磁石よりも風下側の永久磁石の発熱を抑制することが重要であり、渦電流による発熱も、風下側で防止する必要がある。
【0062】
ここで、永久磁石の軸方向長さが短いほど、高調波磁束量に対する渦電流回路のインピーダンスが増加するので、永久磁石に発生する渦電流は、減少する。しかしながら、すべての永久磁石の軸方向長さを短くすると、永久磁石式回転電機の工作が複雑になる恐れがある。
【0063】
そこで、風下側の永久磁石12d、12eの軸方向長さを、風上側の永久磁石12a〜12cの軸方向長さよりも短くなるように構成することにより、風下側の永久磁石12d、12eの発熱量を風上側の永久磁石12a〜12cの発熱量よりも低減させ、風下側の温度上昇を緩和することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態8によれば、回転子において、風下側の永久磁石の軸方向長さが、風上側の永久磁石の軸方向長さよりも短くされている。これにより、高温側の渦電流損失を軽減し、風下側の温度上昇を緩和することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態8では、永久磁石式回転電機がアウターロータ型のものである場合について示したが、これに限定されず、図10に示されるように、上記実施の形態8の構成をアウターロータ型の永久磁石式回転電機に適用してもよい。この場合も、上記実施の形態8と同様の効果を得ることができる。
【0066】
実施の形態9.
図11は、この発明の実施の形態9に係る永久磁石式回転電機の回転子10を示す構成図である。図11において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12dとを有している。
【0067】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12dが、軸方向に直線状に配置されるのではなく、永久磁石12a〜12dに対して、周方向に段ごとにスキューが施されており、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とが、互いに異なるように構成されている。
【0068】
一般的に、スキューを施すことにより、コギングトルク等のトルク脈動を軽減することができる。このとき、軸方向のすべての永久磁石の残留磁束密度が等しければ、図11に示されたような段スキューの場合(図11では、2段で、かつ中央付近で折り返すVスキューを示している)、極数Np、スキューする段数Nd、固定子スロット数Nsとし、NpとNsとの最小公倍数をNとすると、段スキュー角度は、機械角で360/N/Ndで示される。
【0069】
しかしながら、軸方向の一方向から通風冷却され、軸方向に温度分布が生じる場合(軸方向に残留磁束密度が変化する場合)、または上記実施の形態1〜8で示したような、軸方向に風上側と風下側とで永久磁石の種類が異なったり、周方向長さ、軸方向長さもしくは厚みが異なり軸方向に残留磁束密度が異なったりしている場合には、軸方向のすべての永久磁石の残留磁束密度が等しいとして示される通常のスキュー(360/N/Nd)では、コギングトルクを効果的に低減することが困難となる。
【0070】
そこで、回転子10において、永久磁石12a〜12dに対して、周方向に段ごとにスキューを施し、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とを互いに異なるように変化させることにより、コギングトルクを効果的に低減することができる。
【0071】
以上のように、実施の形態9によれば、回転子において、軸方向に複数に分割された永久磁石が、軸方向に直線状に配置されるのではなく、永久磁石に対してスキューが施されており、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とが、互いに異なるように構成されている。これにより、コギングトルクを効果的に低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0072】
なお、上記実施の形態9では、図11において、風上側2段、風下側2段の段スキューを構成する例を示しているが、多段であっても同様の効果を得ることができる。また、上記実施の形態9では、永久磁石式回転電機がインナーロータ型のものである場合について示したが、これに限定されず、上記実施の形態9の構成をアウターロータ型の永久磁石式回転電機に適用した場合も、上記実施の形態8と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 回転子、11 回転子鉄心、12a〜12g 永久磁石、20 固定子、21 固定子鉄心、22 固定子巻線、30 空隙。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば風力発電に用いられる永久磁石式回転電機であって、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、永久磁石式回転電機は、複数の永久磁石が取り付けられた回転子と、回転子と空隙をもって配置され、固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子とを備えている。なお、回転子が固定子の外周側に配置されたものをアウターロータ型といい、回転子が固定子の内周側に配置されたものをインナーロータ型という。
【0003】
このような永久磁石式回転電機では、固定子電流による発熱の他に、回転子の回転駆動により、永久磁石内で渦電流が発生する。永久磁石に渦電流が流れると、永久磁石が発熱して、永久磁石の不可逆減磁が発生する恐れがある。なお、回転子の軸方向中央部で最も熱の逃げが悪く、回転駆動中に軸方向中央部の磁石温度が最も高くなる。
【0004】
そこで、永久磁石が回転子の周方向に複数配置され、かつ各永久磁石が回転子の軸方向に延設された永久磁石式回転電機であって、各永久磁石を回転子の軸方向に沿った複数箇所で分割するとともに、分割した永久磁石のうち、高保磁力磁石を回転子の中央部に配置し、低保磁力磁石を回転子の両端部に配置した永久磁石式回転電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、高保磁力磁石を用いる代わりに、低保磁力磁石に対して、ディスプロシウムやテルビウムといった重希土類元素を粒界に集中的に拡散させることにより、永久磁石の保磁力を局所的に向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−213516号公報
【特許文献2】特開2009−165349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1、2に記載された永久磁石式回転電機では、軸方向の一方向から通風冷却される場合について、何等考慮されていない。すなわち、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機では、特許文献1、2に記載されたものとは、温度分布が異なる。
【0008】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機では、主に固定子巻線電流による発熱が通風により冷却されるが、風上側の温度と比較して風下側の温度が高くなる。そのため、アウターロータ型の永久磁石式回転電機では、固定子の熱伸びによって、風上側の固定子外径と比較して風下側の固定子外径が大きくなる。すなわち、回転子と固定子との間に設けられた空隙が、風上側よりも風下側で小さくなる。
【0009】
このように、アウターロータ型では、回転子と固定子との間の空隙が、風上側と風下側とで変化すると、風上側の磁束密度よりも風下側の磁束密度の方が高くなる。このとき、回転子において、この磁束密度の平均方向、すなわち通風方向に電磁力が発生する。軸方向に電磁力が働くと、軸受けの損傷等が生じる恐れがあり、永久磁石式回転電機の信頼性を損ねるという問題がある。なお、軸方向の電磁力の影響は、装置が大型になるほど顕著になる。
【0010】
また、インナーロータ型の永久磁石式回転電機では、風上側の温度と比較して風下側の温度が高くなると、アウター側固定子の熱伸びにより風下側の空隙が広がる。さらに、風下側の永久磁石の温度が高くなるため、残留磁束密度(磁力)が低くなる。このとき、風上側の磁束密度よりも風下側の磁束密度の方が高くなることで、通風方向とは逆方向に電磁力が発生する。軸方向に電磁力が働くと、上記と同様に軸受けの損傷等が生じる恐れがあり、永久磁石式回転電機の信頼性を損ねるという問題がある。
【0011】
また、アウターロータ型の永久磁石式回転電機においても、インナーロータ型の永久磁石式回転電機においても、風上側よりも風下側の温度が高い場合には、風下側の永久磁石の温度により、永久磁石の不可逆減磁が発生する恐れがあり、やはり永久磁石式回転電機の信頼性を損ねるという問題がある。
【0012】
なお、最も温度が高くなる風下側の永久磁石に合わせて、すべての永久磁石を高保磁力磁石とすると、一般に、永久磁石の残留磁束密度が弱くなるので、永久磁石式回転電機の効率が低下する。さらに、高保磁力磁石は、重希土類元素を多く含むので、省レアアースの観点からも、すべての永久磁石を高保磁力磁石とすることは望ましくない。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されているものである。
【0015】
また、この発明に係る永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側または外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されているものである。
【0016】
また、この発明に係る永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されているものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る永久磁石式回転電機によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
また、この発明に係る永久磁石式回転電機によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側または外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
また、この発明に係る永久磁石式回転電機によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向および軸方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る永久磁石式回転電機を示す別の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る永久磁石式回転電機の回転子を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態6に係る永久磁石式回転電機の回転子を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態7に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態8に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態8に係る永久磁石式回転電機を示す別の断面図である。
【図11】この発明の実施の形態9に係る永久磁石式回転電機を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る永久磁石式回転電機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0020】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図1において、この永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向(図の右側)から通風冷却されるアウターロータ型のものであり、回転自在に配置された回転子10と、回転子10の内周側に空隙30をもって配置された固定子20とを備えている。
【0021】
回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。固定子20は、固定子鉄心21と、固定子鉄心21に設けられたスロットに巻かれた固定子巻線22とを有している。この永久磁石式回転電機は、永久磁石の起磁力と固定子巻線22の電流による起磁力とにより、回転動力を与えるか、または固定子巻線22に発電電力を供給する。
【0022】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。具体的には、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30が、風上側の空隙30よりも広くなるように、風下側の永久磁石12d、12eが永久磁石12a〜12cの外周側に配置されている。なお、風下側の永久磁石12d、12eを外周側に配置する代わりに、風下側に向けて空隙30が広くなるような傾斜した形状を有する複数の永久磁石を、回転子鉄心11の周方向に取り付けてもよい。
【0023】
固定子鉄心21に巻かれた固定子巻線22に電流が流れ、発熱すると、風上側の温度よりも風下側の温度が高くなり、冷時(回転子10の停止時)と比較して固定子鉄心21が熱伸びによって径方向に大きくなる。この熱伸びによって、回転子10と固定子20との間に設けられた空隙30が、風上側よりも風下側で小さくなる。
【0024】
そこで、風下側の永久磁石12d、12eを永久磁石12a〜12cの外周側に配置し、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30を、風上側の空隙30よりも広くとることにより、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。なお、この永久磁石式回転電機を含め、以下の各実施の形態に示す永久磁石式回転電機は、ギアレスの永久磁石式風力発電機に適用することができる。
【0025】
以上のように、実施の形態1によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時における風下側の回転子と固定子との間の空隙が、風上側の空隙よりも広くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0026】
なお、上記実施の形態1では、風下側の永久磁石12d、12eが外周側に配置され、永久磁石12a〜12eが2段の空隙30をとる構成を示した。しかしながら、これに限定されず、図2に示されるように、永久磁石12a〜12eが多段の空隙30をとる構成としてもよい。図2において、永久磁石12cが永久磁石12a、12bの外周側に配置され、永久磁石12d、12eが、永久磁石12cの外周側に配置されている。固定子鉄心21の熱伸びは、軸方向の温度勾配に起因するので、この温度勾配に合わせて空隙30を多段に変化させることにより、さらに空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0027】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る永久磁石式回転電機の回転子10を示す構成図である。図3において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12gとを有している。
【0028】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。具体的には、回転子10において、風下側の永久磁石12gの周方向長さが、風上側の永久磁石12a〜12fの周方向長さよりも短くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。また、周方向長さの短い永久磁石が、永久磁石12gのみの1段でなく、多段に構成されてもよい。
【0029】
風下側の永久磁石12gの周方向長さが、風上側の永久磁石12a〜12fの周方向長さよりも短くなるように構成することにより、固定子鉄心21が熱伸びによって径方向に大きくなり、回転子10と固定子20との間に設けられた空隙30が風下側で小さくなった場合であっても、磁力が軸方向に均一化され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0030】
以上のように、実施の形態2によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側の永久磁石の周方向長さが、風上側の永久磁石の周方向長さよりも短くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0031】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図4において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0032】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、風下側の永久磁石12eの保磁力が、風上側の永久磁石12a〜12dの保磁力よりも大きくなるように構成されている。具体的には、風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石が取り付けられ、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石が取り付けられている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。また、高保磁力磁石が、永久磁石12eのみの1段でなく、例えば軸方向の中央から風上側を風上側磁石、風下側を風下側磁石として、軸方向に多段に構成されてもよい。
【0033】
風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石を取り付け、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石を取り付けることにより、風下側の永久磁石12eの不可逆減磁に対して、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。また、風上側の永久磁石12a〜12dは、残留磁束密度(磁力)が風下側の永久磁石12eよりも強くなるので、永久磁石式回転電機の効率の低下を最小限に抑制することができる。
【0034】
以上のように、実施の形態3によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側に高保磁力磁石が取り付けられ、風上側に低保磁力磁石が取り付けられ、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0035】
実施の形態4.
図5は、この発明の実施の形態4に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図5において、この永久磁石式回転電機は、軸方向の一方向(図の右側)から通風冷却されるインナーロータ型のものであり、回転自在に配置された回転子10と、回転子10の外周側に空隙30をもって配置された固定子20とを備えている。
【0036】
回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。固定子20は、固定子鉄心21と、固定子鉄心21に設けられたスロットに巻かれた固定子巻線22とを有している。この永久磁石式回転電機は、永久磁石の起磁力と固定子巻線22の電流による起磁力とにより、回転動力を与えるか、または固定子巻線22に発電電力を供給する。
【0037】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、風下側の永久磁石12eの保磁力が、風上側の永久磁石12a〜12dの保磁力よりも大きくなるように構成されている。具体的には、風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石が取り付けられ、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石が取り付けられている。なお、高保磁力磁石が、永久磁石12eのみの1段でなく、例えば軸方向の中央から風上側を風上側磁石、風下側を風下側磁石として、軸方向に多段に構成されてもよい。
【0038】
風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石を取り付け、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石を取り付けることにより、風下側の永久磁石12eの不可逆減磁に対して、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。また、風上側の永久磁石12a〜12dは、残留磁束密度(磁力)が風下側の永久磁石12eよりも強くなるので、永久磁石式回転電機の効率の低下を最小限に抑制することができる。
【0039】
以上のように、実施の形態4によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風下側に高保磁力磁石が取り付けられ、風上側に低保磁力磁石が取り付けられ、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態3、4では、風下側の永久磁石12eの保磁力を、風上側の永久磁石12a〜12dの保磁力よりも大きくするために、風下側の永久磁石12eとして高保磁力磁石を取り付け、風上側の永久磁石12a〜12dとして低保磁力磁石を取り付けると説明した。ここで、高保磁力磁石と低保磁力磁石とは、同種の永久磁石であって、高保磁力磁石は、低保磁力磁石に重希土類元素を粒界に集中的に拡散させた永久磁石であってもよい。
【0041】
また、このとき、重希土類元素を粒界に集中的に拡散させた永久磁石が、永久磁石12eのみの1段でなく、例えば軸方向の中央から風上側を風上側磁石、風下側を風下側磁石として、軸方向に多段に構成されてもよい。また、軸方向に同種の永久磁石を用いなくてもよい。
【0042】
これにより、上記実施の形態3、4と同様に、風下側の永久磁石12eの不可逆減磁に対して、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。また、重希土類元素を粒界に集中的に拡散させることにより、保磁力を高めたので、残留磁束密度(磁力)の低下はなく、永久磁石式回転電機の効率の低下を生じることはない。
【0043】
実施の形態5.
図6は、この発明の実施の形態5に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図6において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0044】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時(冷時)に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。具体的には、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30が、風上側の空隙30よりも狭くなるように、風下側の永久磁石12d、12eが永久磁石12a〜12cの外周側に配置されている。
【0045】
また、風下側の永久磁石12d、12eは、風上側より高い保持力を有する高保磁力磁石であってもかまわない。なお、風下側の永久磁石12d、12eを外周側に配置する代わりに、風下側に向けて空隙30が狭くなるような傾斜した形状を有する複数の永久磁石を、回転子鉄心11の周方向に取り付けてもよい。なお、その他の構成は、上述した実施の形態4と同様なので、説明を省略する。
【0046】
上述した不可逆減磁が発生しなくても、永久磁石は、温度が高いほど残留磁束密度(磁力)が弱くなる特性を有する。そのため、インナーロータ型の永久磁石式回転電機では、温度の高い風下側の空隙磁束密度が、風上側よりも低下する。また、風下側の永久磁石12d、12eを高保磁力磁石とした場合も、風上側の永久磁石よりも、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が弱くなる。さらに、固定子20の熱伸びで固定子20が外周側に膨らむと、温度の高い風下側で空隙が広くなることがある。これにより、空隙磁束密度が軸方向にアンバランスとなり、通風方向とは逆方向に電磁力が発生する。
【0047】
そこで、風下側の永久磁石12d、12eを永久磁石12a〜12cの外周側に配置し、回転子10の停止時における風下側の回転子10と固定子20との間の空隙30を、風上側の空隙30よりも狭くすることにより、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が温度による影響を受けて、または高保磁力磁石を用いることにより低下した場合であっても、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0048】
以上のように、実施の形態5によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子の停止時における風上側の回転子と固定子との間の空隙が、風下側の空隙よりも広くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態5では、風下側の永久磁石12d、12eが外周側に配置され、永久磁石12a〜12eが2段の空隙30をとる構成を示した。しかしながら、これに限定されず、永久磁石12a〜12eが多段の空隙30をとる構成としてもよい。
【0050】
実施の形態6.
図7は、この発明の実施の形態6に係る永久磁石式回転電機の回転子10を示す構成図である。図7において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12dとを有している。
【0051】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時(冷時)に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。具体的には、回転子10において、風上側の永久磁石12aの周方向長さが、風下側の永久磁石12b〜12dの周方向長さよりも短くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態5と同様なので、説明を省略する。また、周方向長さの短い永久磁石が、永久磁石12aのみの1段でなく、多段に構成されてもよい。
【0052】
風上側の永久磁石12aの周方向長さが、風下側の永久磁石12b〜12dの周方向長さよりも短くなるように構成することにより、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が温度による影響を受けて、または高保磁力磁石を用いることにより低下した場合であっても、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。
【0053】
以上のように、実施の形態6によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風上側の永久磁石の周方向長さが、風下側の永久磁石の周方向長さよりも短くされ、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。これにより、空隙磁束密度の軸方向アンバランスを軽減し、軸方向の電磁力を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0054】
実施の形態7.
図8は、この発明の実施の形態7に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図8において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0055】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10の停止時(冷時)に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている。具体的には、回転子10において、風上側の永久磁石12aの厚みが、風下側の永久磁石12b〜12eの厚みよりも薄くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態4と同様なので、説明を省略する。また、厚みの薄い永久磁石が、永久磁石12aのみの1段でなく、多段に構成されてもよい。
【0056】
風上側の永久磁石12aの厚みが、風下側の永久磁石12b〜12eの厚みよりも薄くなるように構成することにより、風下側の永久磁石の残留磁束密度(磁力)が温度による影響を受けて、または高保磁力磁石を用いることにより低下した場合であっても、空隙30の不均一が是正され、空隙磁束密度の軸方向アンバランスが軽減されて、軸方向の電磁力が低減される。また、風上側では風下側よりも温度が低くなるので、永久磁石12aの厚みを薄くしても、不可逆減磁の心配が少なく、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0057】
以上のように、実施の形態7によれば、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、回転子において、風上側の永久磁石の厚みが、風下側の永久磁石の厚みよりも薄くされ、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている。これにより、軸方向に温度が高くなる永久磁石の熱減磁を低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態7の構成をアウターロータ型の永久磁石式回転電機に適用した場合、風上側の永久磁石を薄くしても、熱伸びによる影響を回避することはできないが、不可逆減磁の観点からは、温度が低い風上側の永久磁石を薄くすることにより、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0059】
実施の形態8.
図9は、この発明の実施の形態8に係る永久磁石式回転電機を示す断面図である。図9において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12eとを有している。
【0060】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、風下側の永久磁石12d、12eの軸方向長さが、風上側の永久磁石12a〜12cの軸方向長さよりも短くなるように構成されている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。また、軸方向長さの短い永久磁石が、永久磁石12d、12eの2段でなく、多段に構成されてもよい。
【0061】
永久磁石に希土類焼結磁石を用いた場合、永久磁石自身が導電性を有するので、固定子20からの高調波磁束による渦電流が永久磁石に流れる。永久磁石は、この渦電流によって発熱する。軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機では、風上側の永久磁石よりも風下側の永久磁石の発熱を抑制することが重要であり、渦電流による発熱も、風下側で防止する必要がある。
【0062】
ここで、永久磁石の軸方向長さが短いほど、高調波磁束量に対する渦電流回路のインピーダンスが増加するので、永久磁石に発生する渦電流は、減少する。しかしながら、すべての永久磁石の軸方向長さを短くすると、永久磁石式回転電機の工作が複雑になる恐れがある。
【0063】
そこで、風下側の永久磁石12d、12eの軸方向長さを、風上側の永久磁石12a〜12cの軸方向長さよりも短くなるように構成することにより、風下側の永久磁石12d、12eの発熱量を風上側の永久磁石12a〜12cの発熱量よりも低減させ、風下側の温度上昇を緩和することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態8によれば、回転子において、風下側の永久磁石の軸方向長さが、風上側の永久磁石の軸方向長さよりも短くされている。これにより、高温側の渦電流損失を軽減し、風下側の温度上昇を緩和することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態8では、永久磁石式回転電機がアウターロータ型のものである場合について示したが、これに限定されず、図10に示されるように、上記実施の形態8の構成をアウターロータ型の永久磁石式回転電機に適用してもよい。この場合も、上記実施の形態8と同様の効果を得ることができる。
【0066】
実施の形態9.
図11は、この発明の実施の形態9に係る永久磁石式回転電機の回転子10を示す構成図である。図11において、回転子10は、回転子鉄心11と、複数の永久磁石が回転子鉄心11の周方向に取り付けられ、この複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12dとを有している。
【0067】
ここで、この永久磁石式回転電機は、回転子10において、軸方向に複数に分割された永久磁石12a〜12dが、軸方向に直線状に配置されるのではなく、永久磁石12a〜12dに対して、周方向に段ごとにスキューが施されており、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とが、互いに異なるように構成されている。
【0068】
一般的に、スキューを施すことにより、コギングトルク等のトルク脈動を軽減することができる。このとき、軸方向のすべての永久磁石の残留磁束密度が等しければ、図11に示されたような段スキューの場合(図11では、2段で、かつ中央付近で折り返すVスキューを示している)、極数Np、スキューする段数Nd、固定子スロット数Nsとし、NpとNsとの最小公倍数をNとすると、段スキュー角度は、機械角で360/N/Ndで示される。
【0069】
しかしながら、軸方向の一方向から通風冷却され、軸方向に温度分布が生じる場合(軸方向に残留磁束密度が変化する場合)、または上記実施の形態1〜8で示したような、軸方向に風上側と風下側とで永久磁石の種類が異なったり、周方向長さ、軸方向長さもしくは厚みが異なり軸方向に残留磁束密度が異なったりしている場合には、軸方向のすべての永久磁石の残留磁束密度が等しいとして示される通常のスキュー(360/N/Nd)では、コギングトルクを効果的に低減することが困難となる。
【0070】
そこで、回転子10において、永久磁石12a〜12dに対して、周方向に段ごとにスキューを施し、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とを互いに異なるように変化させることにより、コギングトルクを効果的に低減することができる。
【0071】
以上のように、実施の形態9によれば、回転子において、軸方向に複数に分割された永久磁石が、軸方向に直線状に配置されるのではなく、永久磁石に対してスキューが施されており、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とが、互いに異なるように構成されている。これにより、コギングトルクを効果的に低減することができる。
そのため、軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機において、軸方向の温度分布に起因して信頼性を損ねる現象を緩和し、信頼性の高い永久磁石式回転電機を得ることができる。また、全体的な磁石使用量を低減することができる。
【0072】
なお、上記実施の形態9では、図11において、風上側2段、風下側2段の段スキューを構成する例を示しているが、多段であっても同様の効果を得ることができる。また、上記実施の形態9では、永久磁石式回転電機がインナーロータ型のものである場合について示したが、これに限定されず、上記実施の形態9の構成をアウターロータ型の永久磁石式回転電機に適用した場合も、上記実施の形態8と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 回転子、11 回転子鉄心、12a〜12g 永久磁石、20 固定子、21 固定子鉄心、22 固定子巻線、30 空隙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、
複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、
前記回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および前記固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項2】
前記回転子の停止時における風下側の前記回転子と前記固定子との間の空隙が、風上側の空隙よりも広い
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項3】
前記回転子において、風下側の永久磁石の周方向長さが、風上側の永久磁石の周方向長さよりも短い
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項4】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、
複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、前記複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、
前記回転子の内周側または外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および前記固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記回転子において、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項5】
前記回転子において、風下側に高保磁力磁石が取り付けられ、風上側に低保磁力磁石が取り付けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項6】
前記高保磁力磁石は、前記低保磁力磁石に重希土類元素を粒界に集中的に拡散させた永久磁石である
ことを特徴とする請求項5に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項7】
前記回転子において、風上側の永久磁石の厚みが、風下側の永久磁石の厚みよりも薄い
ことを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項8】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、
複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、
前記回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および前記固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項9】
前記回転子の停止時における風上側の前記回転子と前記固定子との間の空隙が、風下側の空隙よりも広い
ことを特徴とする請求項8に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項10】
前記回転子において、風上側の永久磁石の周方向長さが、風下側の永久磁石の周方向長さよりも短い
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項11】
前記回転子において、風下側の永久磁石の軸方向長さが、風上側の永久磁石の軸方向長さよりも短い
ことを特徴とする請求項1から請求項10までの何れか1項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項12】
前記回転子において、前記複数の永久磁石の各々は、軸方向に複数に分割され、分割された永久磁石に対してスキューが施されており、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とが、互いに異なる
ことを特徴とする請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項1】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、
複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、
前記回転子の内周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および前記固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも低くなるように構成されている
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項2】
前記回転子の停止時における風下側の前記回転子と前記固定子との間の空隙が、風上側の空隙よりも広い
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項3】
前記回転子において、風下側の永久磁石の周方向長さが、風上側の永久磁石の周方向長さよりも短い
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項4】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、
複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、前記複数の永久磁石の各々が軸方向に複数に分割され、回転自在に配置された回転子と、
前記回転子の内周側または外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および前記固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記回転子において、風下側の永久磁石の保磁力が、風上側の永久磁石の保磁力よりも大きくなるように構成されている
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項5】
前記回転子において、風下側に高保磁力磁石が取り付けられ、風上側に低保磁力磁石が取り付けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項6】
前記高保磁力磁石は、前記低保磁力磁石に重希土類元素を粒界に集中的に拡散させた永久磁石である
ことを特徴とする請求項5に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項7】
前記回転子において、風上側の永久磁石の厚みが、風下側の永久磁石の厚みよりも薄い
ことを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項8】
軸方向の一方向から通風冷却される永久磁石式回転電機であって、
複数の永久磁石が周方向に取り付けられ、回転自在に配置された回転子と、
前記回転子の外周側に空隙をもって配置され、固定子鉄心および前記固定子鉄心に設けられた固定子巻線を有する固定子と、を備え、
前記回転子の停止時に、風下側の磁束密度が、風上側の磁束密度よりも高くなるように構成されている
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項9】
前記回転子の停止時における風上側の前記回転子と前記固定子との間の空隙が、風下側の空隙よりも広い
ことを特徴とする請求項8に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項10】
前記回転子において、風上側の永久磁石の周方向長さが、風下側の永久磁石の周方向長さよりも短い
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項11】
前記回転子において、風下側の永久磁石の軸方向長さが、風上側の永久磁石の軸方向長さよりも短い
ことを特徴とする請求項1から請求項10までの何れか1項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項12】
前記回転子において、前記複数の永久磁石の各々は、軸方向に複数に分割され、分割された永久磁石に対してスキューが施されており、風上側のスキュー角度と風下側のスキュー角度とが、互いに異なる
ことを特徴とする請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の永久磁石式回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−235645(P2012−235645A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103610(P2011−103610)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】
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