説明

汚れ除去装置

【課題】 煩雑な作業が不要になり、かつ、低コスト化および小型化ができる汚れ除去装置を提供することこと。
【解決手段】 揚送装置22によって上方に搬送される遊技球Bの搬送経路の一部を構成し、遊技球Bに付着した汚れを除去する汚れ除去装置30に、伸縮性を有する網目筒状体からなり、遊技球Bが通過する際に径方向に広がることにより、遊技球Bを搬送方向に並べて1個ずつ通過させることができる汚れ除去部35を設けた。また、汚れ除去部35の内部を通過する遊技球Bの搬送方向が略直線状になるように遊技球Bをガイドするガイド棒33を、汚れ除去部35の外周側に設けた。さらに、汚れ除去部35を上下に引き延ばすようにして、上下の端部が汚れ除去部35の上下の端部に連結され、内部に遊技球Bを通過させることのできる伸長用コイルばね36を、汚れ除去部35の外周側に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機における所定の下方部分から、揚送装置によって上方に搬送される遊技球の搬送経路の一部を構成し、遊技球に付着した汚れを除去する汚れ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ機においては、打球発射部から発射され入賞口やアウト口に入った遊技球は、下方の球集合部に一旦流下したのちに、揚送装置によって上方に搬送され、再度打球発射部に送られる。そして、遊技球は、揚送装置によって上方に搬送される際に、汚れ除去装置によって、汚れを除去される。このような汚れ除去装置として、ベルト方式の汚れ除去装置(特許文献1参照)や、ペレット方式の汚れ除去装置(特許文献2参照)がある。
【0003】
特許文献1に記載された汚れ除去装置(玉磨き揚送装置)は、搬送ベルトと、球磨き用の布ベルトとを対面させて配置し、搬送ベルトの作動により遊技球を上方に搬送する。その際に、布ベルトが搬送ベルトに強制的に押し上げられながら遊技球の表面に押し付けられてその汚れを拭き取るように構成されている。また、特許文献2に記載された汚れ除去装置(揚送研磨装置)は、水平に延びる横送り筒の端部から垂直に延びる揚送筒を連結して、横送り筒と揚送筒との内部にそれぞれモータの作動により回転する螺旋体を配置した構成をしている。そして、横送り筒と揚送筒との内部に遊技球と研磨ペレットとを入れて、両螺旋体を回転させることにより、遊技球をペレットで研磨しながら揚送筒内を上昇させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−7662号公報
【特許文献2】特開平7−136337号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、布ベルトの汚れた部分を移動させて汚れていない部分が遊技球に当たるようにする作業、使用済布ベルトの交換や洗濯などの作業、布ベルトの摩耗により発生する埃の除去作業などが必要になり、日々の作業が煩雑になったり、ランニングコストが高くなったりする。また、布ベルトの装着に不具合が生じて布ベルトが揚送装置の通常接触しない部分に接触すると、揚送装置の機能にも悪影響が出る。さらに、摩耗した布ベルトの廃棄や新規購入に専門業者を用いなければならないという規制もある。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明では、汚れたペレットの交換や洗浄などが必要になるため、複数のペレットを洗浄するための専用の洗浄機器が必要になったり、ランニングコストが高くなったりする。さらに、摩耗して小さくなったペレットの交換、廃棄および新規購入に専門業者を用いなければならないという規制もある。また、特許文献1,2に記載された汚れ除去装置は、ともに大型であるため、広い設置スペースが必要になるという問題もある。
【0007】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、煩雑な作業が不要になり、かつ、低コスト化および小型化ができる汚れ除去装置を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明に係る汚れ除去装置の構成上の特徴は、揚送装置(22)によって上方に搬送される遊技球(B)の搬送経路の一部を構成し、遊技球に付着した汚れを除去する汚れ除去装置(30)において、伸縮性を有する網目筒状体からなり、遊技球が通過する際に径方向に広がることにより、遊技球を搬送方向に並べて1個ずつ通過させることができる汚れ除去部(35)を備えたことにある。
【0009】
本発明に係る汚れ除去装置には、伸縮性を有する網目筒状体からなり、遊技球が通過する際に径方向に広がる汚れ除去部が備わっている。このため、揚送装置によって上方に搬送される遊技球は、汚れ除去部を押し広げるようにして汚れ除去部に接触しながら汚れ除去部内を上昇していく。その上昇の際に、遊技球の表面に付着した汚れは、汚れ除去部の網目によって擦り取られるようにして除去される。また、遊技球から除去された汚れは、そのまま落下していくか、汚れ除去部に付着する。そして、汚れ除去部に付着した汚れが、所定量を超えると、その汚れは、網目の空間部分から外部に押し出され落下していく。このため、汚れ除去部は、殆どメンテナンスなしで使用することができる。
【0010】
また、遊技球は、汚れ除去部内を、搬送方向に1個ずつ、すなわち1列になって通過するため、汚れ除去部は小さな部材で構成でき、これによって、汚れ除去装置全体を小型化できる。なお、汚れ除去部は、伸縮性を備えていることが必要であるが、この場合の伸縮性は、材料自体の伸縮性と、材料自体には伸縮性はないが網目構造にすることにより生じる伸縮性との一方または双方のどちらに起因するものでもよい。しかしながら、少なくとも、網目構造にすることにより生じる伸縮性を備えていることがより好ましい。
【0011】
本発明に係る汚れ除去装置の他の構成上の特徴は、汚れ除去部の内部を通過する遊技球の搬送方向が略直線状になるように遊技球をガイドするガイド部(33)を、汚れ除去部の外周側に設けたことにある。本発明によると、汚れ除去部が湾曲して遊技球の搬送方向が曲がりくねったものになることが防止され、遊技球の搬送が安定したものになる。
【0012】
本発明に係る汚れ除去装置のさらに他の構成上の特徴は、汚れ除去部を上下に引き延ばすようにして、上下の端部が汚れ除去部の上下の端部に連結され、内部に遊技球を通過させることのできる伸長用ばね部材(36)を、汚れ除去部の外周側に設けたことにある。本発明によると、伸長用ばね部材によって、汚れ除去部を遊技球の搬送方向に引き延ばすようにテンションが掛けられるため、汚れ除去部が遊技球に接触するときの圧力が大きくなる。これによって、遊技球の汚れがより効果的に除去される。
【0013】
本発明に係る汚れ除去装置のさらに他の構成上の特徴は、伸長用ばね部材の一端側に、伸長用ばね部材よりも弾性係数が小さく、内部に遊技球を通過させることができる調整用ばね部材(37)を配置して、伸長用ばね部材の一端と調整用ばね部材の一端との間に、内部に遊技球を通過させることができる略リング状の移動部材(34)を設け、さらに、伸長用ばね部材の他端と調整ばね部材の他端との間隔を一定にする長さ保持手段(31,32,33)を設けたことにある。
【0014】
本発明では、長さ保持手段によって一定の長さに規制される範囲に、伸長用ばね部材と、調整用ばね部材と、移動部材とを設置している。このため、汚れ除去部の内部に遊技球が位置して、汚れ除去部が径方向に広がることにより、汚れ除去部材が上下方向(軸方向)に収縮して、伸長用ばね部材が汚れ除去部材とともに収縮したときには、調整用ばね部材が伸長して全体の長さは一定に維持される。このため、汚れ除去部と伸長用ばね部材とが収縮したときに、その上下部分に隙間が生じて遊技球が搬送経路から飛び出してしまうといったことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る汚れ除去装置を備えたパチンコ機の内部を示した正面図である。
【図2】図1のパチンコ機の内部を示した背面図である。
【図3】揚送装置を示した斜視図である。
【図4】揚送装置を示した正面図である。
【図5】図4の5−5断面図である。
【図6】汚れ除去装置を示した斜視図である。
【図7】汚れ除去装置を示した正面図である。
【図8】汚れ除去装置を示した断面図である。
【図9】遊技球が汚れ除去装置内を上昇していく状態を示した斜視図である。
【図10】遊技球が汚れ除去装置内を上昇していく状態を示した正面図である。
【図11】遊技球が汚れ除去装置内を上昇していく状態を示した断面図である。
【図12】図7に示した汚れ除去装置の上部の拡大図である。
【図13】図10に示した汚れ除去装置の上部の拡大図である。
【図14】変形例に係るパンチンコ機に備わっている揚送装置の揚送部を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1および図2は、同実施形態に係る汚れ除去装置30(図2参照)を備えた封入式のパチンコ機10の概略を示している。図1は、パチンコ機10の正面を示し、図2は、パチンコ機10の裏面を示しており、以下、本明細書では、左右、前後および上下の方向は、図1に基づいて記載する。パチンコ機10は、矩形の外枠11と、外枠11に回転自在に取り付けられた内枠12と、内枠12に取り付けられた遊技盤13とを備えており、外枠11の前部には、ガラス板を備えた前扉(図示せず)が回転可能に取り付けられている。遊技盤13の中央には円形の遊技領域13aが形成され、遊技領域13aには、入賞口、アウト口14などが設けられている。また、前扉の前面下部に、操作ハンドルが設けられている。
【0017】
このパチンコ機10の内枠12の下部には裏面から表面にかけて揚送機構20が設けられており、汚れ除去装置30は、図2に示したように、揚送機構20に組み込まれている。揚送機構20は、内枠12の裏面に形成された集球樋21と、揚送装置22と、汚れ除去装置30と、内枠12の裏面から表面にかけて形成された球通路27とで構成されている。集球樋21は、内枠12の裏面で左側から右側に向かって(図2では左右が逆)やや下り傾斜になって延びる樋状の通路で構成されており、遊技領域13aの入賞口やアウト口14に入った遊技球B(図5参照)は、内枠12の裏面に移動してこの集球樋21の内部に落下する。そして、集球樋21に入った遊技球Bは、集球樋21の右下側の端部に向かって順次流れていく。
【0018】
集球樋21の右下側の端部には、揚送装置22が設置され、揚送装置22の上方に汚れ除去装置30が設置されている。揚送装置22と汚れ除去装置30とは、左下から右上に傾斜して延びるように直線状に配置されている。揚送装置22は、図3ないし図5に示したように、モータ23と揚送部24とで構成されている。モータ23は、回転軸23aを上方に突出させて配置されており、その上部に揚送部24が設置されている。揚送部24は、ケース部25とケース部25内に収容されたスクリュー26とで構成されている。
【0019】
ケース部25は、略左右に延びる縦断面形状が四角枠状の筒状部分と、前部(内枠12側)を開放して略上下に延びる横断面形状が略C字状の部分とからなる略L形の短い部材で構成されており、略C字状の部分の後部突出側部分からは横断面が半円状(C字状)の突出部がさらに後方に向かって突出している。そして、ケース部25の略左右に延びる部分の左端部(図4では右端部)に、集球樋21に連通する四角形の大きな開口25aが形成され、略上下に延びる部分の上端面の後部側(半円状の突出部)に、遊技球Bを1個通過させることのできる円形の球押出口25bが形成されている。この球押出口25bの下方に位置する半円状の突出部の内部に後述する球上昇路25cが形成されている。
【0020】
また、ケース部25における略上下に延びる部分の上端面の中央部よりもやや後方部分には、軸穴25dが形成され、底面における軸穴25dの下方部分には大きな切り欠き部25eが形成されている。この切り欠き部25eは、ケース部25の略上下に延びる部分の底面を開放することにより形成されている。そして、モータ23の回転軸23aは、切り欠き部25e内を通過してケース部25内に延びている。
【0021】
スクリュー26は、外周面に螺旋溝26aが形成された中空の棒状回転体で構成されており、下面に、モータ23の回転軸23aを挿入させて固定できる筒状固定穴部26bが形成され、上面にケース部25の軸穴25dに回転可能に支受される軸部26cが形成されている。このスクリュー26の螺旋溝26aとケース部25の半円状の突出部との間に球上昇路25cが形成されており、スクリュー26は、モータ23の作動により回転して、開口25aからケース部25内に入ってくる遊技球Bを球上昇路25cに沿って真っ直ぐに上昇させる。そして、上昇した遊技球Bは、球押出口25bからケース部25の外部に出て行く。
【0022】
汚れ除去装置30は、図6ないし図8に示したように、上下に間隔を保って配置された一対の保持板31,32、保持板31,32に掛け渡された3本のガイド棒33、3本のガイド棒33に移動自在に取り付けられた移動板34、保持板31と移動板34とに掛け渡された汚れ除去部35、汚れ除去部35の外周に配置されて保持板31と移動板34とに掛け渡された伸長用コイルばね36および保持板32と移動板34とに掛け渡された調整用コイルばね37で構成されている。保持板31,32は、同形同大のリング状の板で構成されており、中央にそれぞれケース部25の球押出口25bと同じ大きさの穴部31a,32aが形成されている。
【0023】
3本のガイド棒33は、それぞれ同じ直径の細長い棒で構成されており、各端部がそれぞれ一定間隔を保って保持板31,32における穴部31a,32aの外周側部分に固定されることにより、平行に配置されている。この保持板31,32と、3本のガイド棒33とで、本発明に係る長さ保持手段が構成される。また、保持板31は、穴部31aを球押出口25bに一致させて、ケース部25の上面に設置されている。移動板34は、保持板31,32よりも外径が小さいリング状の板で構成されており、中央に、穴部31a,32aと同じ大きさの穴部34aが形成され、穴部34aの周囲に、3本のガイド棒33と同じ間隔で、ガイド棒33を通すことができる3つの挿通穴34bが形成されている。移動板34は、挿通穴34bにそれぞれガイド棒33を通して、ガイド棒33に、移動可能に取り付けられている。
【0024】
汚れ除去部35は、樹脂材料をいわゆるラチス構造の網目からなる筒状に形成した構成をしており、下端部が保持板31の穴部31aの周縁部に固定され、上端部が移動板34の穴部34aの周縁部に固定されている。この汚れ除去部35は、径方向に伸縮でき、力が加わらないときには萎んだ細長い状態に維持されるが、内部に遊技球Bが通過する際には、1個の遊技球Bを通過させることができるまで径方向に広がる。そして、汚れ除去部35が、径方向に広がったときには、上下方向の長さは僅かに縮み、これによって、移動板34は、保持板31側に僅かに移動する。なお、汚れ除去部35の網目は、遊技球Bが通過できない大きさ、すなわち、網目が円形になったときにその直径が、遊技球Bの直径よりも小さくなるように形成されている。
【0025】
伸長用コイルばね36は、汚れ除去部35を囲むようにして汚れ除去部35の外周側に配置されており、下端部が保持板31の上面における穴部31aの近傍に固定され、上端部が移動板34の下面における穴部34aの近傍に固定されている。この伸長用コイルばね36は、移動板34を保持板31から遠ざけるように付勢して、汚れ除去部35を伸長させる。調整用コイルばね37は、伸長用コイルばね36よりも弾性係数が小さいばねで構成されており、下端部が移動板34の上面における穴部34aの近傍に固定され、上端部が保持板32の下面における穴部32aの近傍に固定されている。この調整用コイルばね37は、移動板34を保持板32から遠ざけるように付勢するとともに、遊技球Bの通路を構成する。
【0026】
このため、揚送装置22から順次複数の遊技球Bが送り出されると、図9ないし図11に示したように、複数の遊技球Bは、一列になって、保持板31の穴部31aから汚れ除去部35内に入り、移動板34の穴部34a、調整用コイルばね37の内部および保持板32の穴部32aを通過して、汚れ除去装置30の外部に出て行く。その際、遊技球Bは、汚れ除去部35を径方向に広げ、表面を汚れ除去部35の網目に擦り付けながら上方に移動していくようになり、これによって、遊技球Bの表面に付着する汚れは、汚れ除去部35の網目によって除去される。汚れ除去部35が径方向に広がることと、調整用コイルばね37の付勢力とによって、汚れ除去部35は、伸長用コイルばね36の付勢力に抗して上下方向に収縮し、移動板34は、僅かに、下方に移動する。図12に、調整用コイルばね37が収縮した状態を示し、図13に、調整用コイルばね37が伸長した状態を示している。
【0027】
球通路27は、内枠12の裏面における汚れ除去部35の上方から右側に延びる短い水平部27aと、水平部27aの右側端部から内枠12の表面に貫通する穴部27bと、内枠12の表面で、穴部27bから左側に向かってやや下方に傾斜して延びる傾斜部27cとで構成されている。そして、内枠12の表面における傾斜部27cの左端側に、打球装置40が設置されている。この打球装置40は、プランジャ式ソレノイド41、弾発部および球発射部などで構成されており、球発射部の上方には、打撃された遊技球Bを、遊技領域13a内に導くガイドレール42が設けられている。このため、汚れ除去部35の上方に送り出された遊技球Bは、球通路27を通過して、球発射部に送られ、打球装置40の作動により、遊技領域13a内に発射される。この打球装置40は操作ハンドルの回転操作により作動する。
【0028】
また、パチンコ機10には、入賞口やアウト口14に入った遊技球Bを検出するセンサが備わっている。そして、入賞口に入った遊技球Bに基づく景品球の数を加算したり、入賞口とアウト口14とに入った遊技球Bの数を減算したりする加減算装置や、加減算装置が算出した値を記憶する記憶装置およびその値を表示する数値表示装置によって、入賞に基づく景品球を払い出すことなく景品球の数を加算していくとともに、その数から使用した遊技球Bの数を減算して記憶し、その記憶した数の範囲内で遊技球Bを発射して遊技が行われる。
【0029】
このように構成されたパチンコ機10を使用する場合には、まず、揚送装置22の作動により、所定量の遊技球Bが、集球樋21から球通路27に向けて搬送される。その際、遊技球Bは、集球樋21を無整列の状態で流れ、ケース部25の開口25aからケース部25の下部に入っていく。そして、遊技球Bは、スクリュー26の下部に到達したところで、1個ずつスクリュー26の螺旋溝26aに入っていき、スクリュー26の回転によって、一列になって、球上昇路25c内を上昇していく。
【0030】
遊技球Bが、さらに上昇して、球上昇路25cの上端の球押出口25bを通過すると、遊技球Bは、汚れ除去装置30内に押し込まれ、前述したように、汚れ除去部35内を通過する間に、表面に付着した汚れが除去される。汚れ除去部35内を通過する遊技球Bは、スクリュー26の回転によって送られてくる後続の遊技球Bによって押され、順次一列になって、汚れ除去部35内を通過する。その際、複数の遊技球Bが内部に入った汚れ除去部35は、3本のガイド棒33によって、直線状態に維持される。汚れが除去され汚れ除去部35および調整用コイルばね37の内部を通過した遊技球Bは、球通路27の水平部27aと穴部27bを通って傾斜部27cに流れて行く。
【0031】
そして、所定量の遊技球Bが、球通路27内に溜まったところで、操作ハンドルを操作して、打球装置40を作動させることにより、球通路27から球発射部に送られる遊技球Bが1個ずつ遊技盤13の遊技領域13aに放出される。これによって、遊技球Bは、遊技領域13aの入賞口またはアウト口14に入る。入賞口に入った入賞球やアウト口14に入ったアウト球は、それぞれ所定の通路を通って集球樋21に落下する。また、加減算装置は、入賞口に入った入賞球をセンサが検出すると景品球の数を加算し、その値は、数値表示装置に表示される。その際、入賞口やアウト口14に入った遊技球Bの数は、減算される。
【0032】
すなわち、加減算装置は、センサの検出に応じて常時加減算を行っており、それによって算出された値は、数値表示装置に表示され、実物の景品球が払い出されることはない。このため、パチンコ機10内では、一定数の遊技球Bが循環するようになる。そして、遊技球Bは、汚れ除去装置30を通過するたびに表面に付着した汚れ、例えば、タバコの煙、油、埃などが除去される。また、汚れ除去部35に付いた汚れは、所定量溜まると、下方に落下するため、手入れは殆ど不要になり、落下した汚れを除去するために、パチンコ機10の内部を定期的に掃除すればすむ。
【0033】
このように、本実施形態に係る汚れ除去装置30には、伸縮性を有する網目筒状体からなり、遊技球Bが通過する際に径方向に広がる汚れ除去部35が備わっている。このため、揚送装置22によって上方に搬送される遊技球Bは、汚れ除去部35を押し広げるようにして汚れ除去部35に接触しながら汚れ除去部35内を上昇していく。その上昇の際に、遊技球Bの表面に付着した汚れは、汚れ除去部35の網目によって擦り取られるようにして除去される。また、遊技球Bから除去され汚れ除去部35に付着する汚れは、所定量を超えると網目の空間部分から外部に押し出され落下していく。このため、汚れ除去部35は、殆どメンテナンスなしで使用することができる。
【0034】
また、遊技球Bは、汚れ除去部35内を、1列になって通過するため、汚れ除去部35は小さな部材で構成でき、これによって、汚れ除去装置30全体を小型化できる。また、汚れ除去装置30には、汚れ除去部35の内部を通過する遊技球Bの搬送方向が略直線状になるように遊技球Bをガイドする3本のガイド棒33が備わっているため、汚れ除去部35が湾曲して遊技球Bの搬送方向が曲がりくねったものになることが防止され、遊技球Bの搬送が安定したものになる。
【0035】
さらに、汚れ除去装置30には、汚れ除去部35を上下に引き延ばす伸長用コイルばね36が備わっているため、汚れ除去部35が遊技球Bに接触するときの圧力が大きくなる。これによって、遊技球Bの汚れがより効果的に除去される。また、伸長用コイルばね36の一端側に、移動板34を介して調整用コイルばね37を設け、保持板31,32と3本のガイド棒33によって、伸長用コイルばね36と、調整用コイルばね36と、移動板34との合計長さが一定になるようにしている。このため、伸長用コイルばね36が汚れ除去部35とともに収縮したときには、調整用コイルばね36が伸長して全体の長さは一定に維持されるようになり、汚れ除去部35と伸長用コイルばね36とが収縮したときに、その上下部分に隙間が生じて遊技球Bが搬送経路から飛び出してしまうといったことを防止できる。
【0036】
また、図14は、前述した実施形態の変形例に係るパチンコ機に用いられる揚送装置の揚送部45を示している。この揚送装置は、揚送部45とモータ(図示せず)とで構成されており、揚送部45は、ケース部46とケース部46内に収容されたスプロケット47とで構成されている。ケース部46は、図14において、右側に配置された縦長の箱状部分と、その箱状部分の下部左からU字状になって左側に延びる管状部分とからなっている。そして、箱状部分の右側部の上部に開口46aが形成され、管状部分の上端(先端)に、遊技球Bを1個通過させることのできる球押出口46bが形成されている。
【0037】
ケース部46の箱状部分は、複数の遊技球Bを不整列で収容でき、その内部の下部にスプロケット47が軸48を中心に回転可能に設置されている。スプロケット47は、それぞれ3つの凹部47aが一定間隔で形成された一対の回転体を軸方向と周方向に位置をずらして一体に組み付けることにより構成されている。そして、スプロケット47と箱状部分の内面(図14の右側の内面)との間には、球下降路46cが形成されており、スプロケット47は、モータの作動により回転して、箱状部分内の遊技球Bを1個ずつ球下降路46cを下降させて管状部分に送る。管状部分に送られた遊技球Bは、一列になって球押出口46bに向かう。
【0038】
この揚送装置は、前述した揚送装置22に代えて、パチンコ機10に組み付けることができ、パチンコ機10に組み付けられたときに、開口46aは、集球樋21に連通し、球押出口46bは、保持板31の穴部31aに連通する。この変形例に係るパチンコ機によっても、前述したパチンコ機10と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
また、本発明に係る遊技球流下装置は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更することができる。例えば、前述した実施形態では、汚れ除去部35を、樹脂材料で構成しているが、これに限定するものではなく、汚れ除去部35は、金属材料や繊維材料で構成してもよい。また、汚れ除去部35を構成する材料は、材料自体は伸縮しないものであっても伸縮するものであってもよく、全体として径方向および上下方向に長さを変化できるものであればよい。さらに、汚れ除去部35の網目の大きさも粗目から微細な網目まで適宜変更することができる。この場合、汚れ除去部35の全体の網目の大きさを同じにしてもよいし、上流側から下流側、すなわち、下方から上方にいくにしたがって網目の大きさが小さくなるようにしてもよい。
【0040】
また、汚れ除去部35として、径方向に収縮して上下方向に伸長する弾性材を用いた場合には、伸長用コイルばね36を省略することができる。さらに、移動板34と伸長用コイルばね36、および移動板34と調整用コイルばね37は、それぞれ固定せずに当接させるだけでもよい。また、ガイド部として、ガイド棒33に代えて円筒状のものを用いてもよい。さらに、前述した実施形態では汚れ除去装置を封入式のパチンコ機の内部に組み込んでいるが、この汚れ除去装置は、従来の島設備に備わっている揚送装置に組み込むこともできる。また、本発明に係る汚れ除去装置のそれ以外の部分の構成についても本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…パチンコ機、22…揚送装置、30…汚れ除去装置、31,32…保持板、33…ガイド棒、34…移動板、35…汚れ除去部、36…伸長用コイルばね、37…調整用コイルばね、B…遊技球。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚送装置によって上方に搬送される遊技球の搬送経路の一部を構成し、前記遊技球に付着した汚れを除去する汚れ除去装置において、
伸縮性を有する網目筒状体からなり、前記遊技球が通過する際に径方向に広がることにより、前記遊技球を搬送方向に並べて1個ずつ通過させることができる汚れ除去部を備えたことを特徴とする汚れ除去装置。
【請求項2】
前記汚れ除去部の内部を通過する遊技球の搬送方向が略直線状になるように前記遊技球をガイドするガイド部を、前記汚れ除去部の外周側に設けた請求項1に記載の汚れ除去装置。
【請求項3】
前記汚れ除去部を上下に引き延ばすようにして、上下の端部が前記汚れ除去部の上下の端部に連結され、内部に前記遊技球を通過させることのできる伸長用ばね部材を、前記汚れ除去部の外周側に設けた請求項1または2に記載の汚れ除去装置。
【請求項4】
前記伸長用ばね部材の一端側に、前記伸長用ばね部材よりも弾性係数が小さく、内部に前記遊技球を通過させることができる調整用ばね部材を配置して、前記伸長用ばね部材の一端と前記調整用ばね部材の一端との間に、内部に前記遊技球を通過させることができる略リング状の移動部材を設け、さらに、前記伸長用ばね部材の他端と前記調整ばね部材の他端との間隔を一定にする長さ保持手段を設けた請求項3に記載の汚れ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−34552(P2013−34552A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171334(P2011−171334)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】