説明

汚染遮断エアーゲート

【課題】構造が単純であるのに、建造物の出入口を通過する際、人や物に由来する汚染物を、非清浄エリアから清浄エリア内に持ち込ませない汚染遮断エアーゲートを提供する。
【解決手段】機体10中央に吸込口11をそれを挟んで対向エアー吹出口12及び一方向エアー吹出口13を設けた両側エアー吹出機14と、機体15中央に吸込口16を設けこれの片側に対向エアー吹出口17を設けた片側エアー吹出機18と、これらを繋ぐ天板19とからなり、両側及び片側エアー吹出機14及び18は、向かい合わせに出入口3に設置し、対向エアー吹出口12、17を非清浄エリア4側に、一方向エアー吹出口13を清浄エリア5側に位置させて、対向エアー吹出口12、17から水平方向エアーA1を吹き出し、一方向エアー吹出口13から水平方向エアーA2を吹き出して、非清浄エリア4から汚染物が清浄エリア5内に侵入するのを遮断することで、上記課題を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の出入口により清浄エリアと非清浄エリアとに区分され、その出入口に設置して非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断する汚染遮断エアーゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の出入口により清浄エリアと非清浄エリアとに区分されている場合、非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断する最も簡単な手段は、自動ドアをはじめとする扉を設けることである。しかしながら、人の出入りや物の流通の必要性から、扉を開けなければならず、その際、非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断することができない。このような場合でも、汚染物が清浄エリア内に侵入するのを防ぐため、従来から行われている手段は、出入口の上部にエアーカーテン装置を設けて、常時あるいは扉がある場合は扉が開いている時に、エアーカーテンを吹き下ろすようにすることである。
【0003】
この吹き下ろしたエアーカーテンによって、人や物にすでに付着している汚染物、あるいは人や物の移動に伴いそれらの後に発生する渦流により人や物にまとわりついている汚染物を、排除することが出来る。しかしながら、エアーカーテンと共に排除された汚染物は、床などに当たり分散し、その結果、エアーカーテンの遮断効果が大幅に低下することになってしまう。
【0004】
このような状況から、清浄エリアと非清浄エリアとの間にある出入口に、汚染物除去室を設け、この汚染物除去室は、入口と出口とがあり、入口から出口に至る壁面にノズルを設けると共に、入口及び出口の内方両側に90度湾曲したガイドベーンを複数枚設置してある。この汚染物除去室により、壁面のノズルから吹き出されたエアーは、壁面に沿い入口及び出口に向かい、ガイドベーンの間を通り面状の気流、すなわち、エアーカーテンとなり、入口及び出口にそれぞれ出来たエアーカーテンによって、非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断している(例えば、特開2003−74931号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2003−74931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のエアーカーテン利用の汚染物遮断方式は、入口から出口に至る壁面に設けたノズルから吹き出されたエアーが壁面に当たり、壁面に沿い入口及び出口の内方両側に複数枚設置してあるガイドベーンによって、方向転換してからエアーカーテンとなるものである。このため、エアーカーテンの風速が減衰しているから遮断効果が低下し、しかも、両方向からのエアーカーテンであるから、エアーカーテン同士が当たり乱流となって、人や物に付着している汚染物を飛散させるのに役立つが、汚染物を遮断する効果を期待することが困難となる。
【0007】
この汚染物を遮断するには、明細書に記載しているように、汚染物除去室の通路に孔開き板を敷いて吸込口を形成し、そこから強力に吸引しなければならないことになる。さらに、エアーカーテンを形成するため、多数のガイドベーンが必要となり、全体として大掛かりものとなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、構造が単純であるのに、建造物の出入口を通過する際、人や物に由来する汚染物を、非清浄エリアから清浄エリア内に持ち込ませないようにした汚染遮断エアーゲートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、請求項1記載の発明は、建造物の出入口に設置して非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断する汚染遮断エアーゲートであって、該汚染遮断エアーゲートは、機体の中央部に吸込口を設け且つ該吸込口の一端側に対向エアー吹出口を設けると共に他端側に一方向エアー吹出口を設けてなる両側エアー吹出機と、機体の中央部に吸込口を設け且つ該吸込口の一端側に対向エアー吹出口を設けてなる片側エアー吹出機と、これら両側エアー吹出機と片側エアー吹出機とを上面にて繋ぐ天板と、からなり、両側エアー吹出機と片側エアー吹出機とは、吸込口及び対向エアー吹出口を互いに向かい合わせに出入口に設置すると共に、双方の対向エアー吹出口を非清浄エリア側に位置させ、一方向エアー吹出口を清浄エリア側に位置させて、双方の対向エアー吹出口から水平方向エアーを吹き出すと共に、一方向エアー吹出口から水平方向エアーを吹き出して、非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断することを特徴とする汚染遮断エアーゲートである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記建造物の出入口における非清浄エリア側に扉を設置してある汚染遮断エアーゲートである。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、前記両側エアー吹出機の一方向エアー吹出口における吹き出し方向が、前記片側エアー吹出機の吸込口に向いている汚染遮断エアーゲートである。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記両側エアー吹出機及び前記片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方にエアーの一部を外部に出入りさせる外部出入口を設けてなる汚染遮断エアーゲートである。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記両側エアー吹出機及び前記片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方に消臭剤噴霧器を設けてなる汚染遮断エアーゲートである。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、前記両側エアー吹出機及び前記片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方に芳香剤噴霧器を設けてなる汚染遮断エアーゲートである。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、前記両側エアー吹出機の対向エアー吹出口側及び前記片側エアー吹出機に消臭剤噴霧器を設けると共に、前記一方向エアー吹出口側に芳香剤噴霧器を設けてなる汚染遮断エアーゲート。
【0016】
上記請求項1の発明による作用は次の通りである。すなわち、建造物の出入口に設置してある汚染遮断エアーゲート内を通り、非清浄エリアから清浄エリア内に人や物など(以下、単に「人など」という)が入る際、両側エアー吹出機及び片側エアー吹出機の対向エアー吹出口から水平方向エアーを吹き出して、人などに当たり且つ水平方向エアー同士も当たって乱流となり、人などにすでに付着している汚染物や、人などの移動に伴い発生する渦流によりまとわりついている汚染物を飛散させ、双方の両側及び片側エアー吹出機の中央部にある吸込口に水平方エアーと共に吸い込んで排除し、さらに、両側エアー吹出機の一方向エアー吹出口から水平方向エアーを吹き出しても、飛散している汚染物を片側エアー吹出機の中央部にある吸込口に水平方向エアーと共に吸い込んで排除する。一方、人などが汚染遮断エアーゲート内を清浄エリア側に進んでゆくと、両側エアー吹出機の一方向エアー吹出口から吹き出た水平方向エアーが人などに当たり、さらに人などに由来する汚染物を飛散させると共に、そのまま汚染物を片側エアー吹出機の吸込口に水平方向エアーと共に吸い込んで排除する。
【0017】
上記請求項2の発明による作用は、非清浄エリア側に扉があると、非清浄エリアから清浄エリアに汚染物が入る可能性は、扉が開いているときのみとなる。
【0018】
上記請求項3の発明による作用は、一方向エアー吹出口から吹き出た水平方向エアーは、片側エアー吹出機の中央部にある吸込口に向かうことになる。
【0019】
上記請求項4の発明による作用は、汚染物を含んだ水平方向エアーを、両側エアー吹出機及び片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方にある外部出入口からその一部を外部に排出したり、外部から清浄エアーを導入したりする。
【0020】
上記請求項5の発明による作用は、両側エアー吹出機及び片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方に設けた消臭剤噴霧器から消臭剤を噴霧し、水平方向エアー中の汚染物を消臭する。
【0021】
上記請求項6の発明による作用は、両側エアー吹出機及び片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方に設けた芳香剤噴霧器から芳香剤を噴霧し、水平方向エアーに香り付けする。
【0022】
上記請求項7の発明による作用は、両側エアー吹出機の対向エアー吹出口側及び片側エアー吹出機の対向エアー吹出口側から消臭剤を噴霧し、水平方向エアー中の汚染物を消臭し、しかるのち両側エアー吹出機の一方向エアー吹出口側から芳香剤を噴霧し、水平方向エアーに香り付けする。
【発明の効果】
【0023】
以上詳述したように、本発明によれば、以下のような効果がある。
請求項1記載の発明は、構造が単純であるのに係わらず、人などが建造物の出入口を通過する際、人などに由来する汚染物を、非清浄エリアから清浄エリア内に持ち込ませない効果がある。
【0024】
請求項2記載の発明は、上記の効果をなお一層顕著にする。
【0025】
請求項3記載の発明は、一方向エアー吹出口から吹き出た水平方向エアーの方向が、片側エアー吹出機の中央部にある吸込口にずれた分、上記の効果をなお一層顕著にする。
【0026】
請求項4記載の発明は、上記の効果に加えて、汚染物を含んだ水平方向エアーの一部を外部出入口から外部に排出したり、清浄エアーを導入したり出来るから、汚染物が蓄積することがない効果がある。
【0027】
請求項5記載の発明は、上記の効果に加えて、消臭剤により水平方向エアー中の汚染物の臭いを消すことができる効果がある。
【0029】
請求項6記載の発明は、上記の効果に加えて、芳香剤により水平方向エアー中の汚染物の臭いを緩和することができる効果がある。
【0030】
請求項7記載の発明は、上記の効果に加えて、消臭剤により水平方向エアー中の汚染物の臭いを消し、そのあと芳香剤により水平方向エアーに香り付けをすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態を示す汚染遮断エアーゲートを建造物の出入口に設置した状態の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す汚染遮断エアーゲートを建造物の出入口に設置した状態の平面図である。
【図3】図1の汚染遮断エアーゲートにおける両側エアー吹出機の正面図である。
【図4】図1の汚染遮断エアーゲートにおける片側エアー吹出機の正面図である。
【図5】図2の両側エアー吹出機の断面図である。
【図6】汚染遮断エアーゲートの使用状態を示すを正面図である。
【図7】汚染遮断エアーゲートの使用状態を示すを平面図である。
【図8】汚染遮断エアーゲートの使用状態を示すを平面図である。
【図9】汚染遮断エアーゲートの使用状態を示すを平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図において、汚染遮断エアーゲート1は、建造物2の出入口3に設置して、非清浄エリア4から汚染物が清浄エリア5内に侵入するのを遮断するものである。この汚染遮断エアーゲート1は、機体10の中央部に吸込口11を設け且つこの吸込口11の一端側に対向エアー吹出口12を設けると共に他端側に一方向エアー吹出口13を設けてなる両側エアー吹出機14と、機体15の中央部に吸込口16を設け且つこの吸込口16の一端側に対向エアー吹出口17を設けてなる片側エアー吹出機18と、これら両側エアー吹出機14と片側エアー吹出機18とを上面にて繋ぐ天板19と、からなり、両側エアー吹出機14と片側エアー吹出機18とは、吸込口11、16及び対向エアー吹出口12、17を互いに向かい合わせに出入口3に設置すると共に、双方の対向エアー吹出口12、17を非清浄エリア4側に位置させ、一方向エアー吹出口13を清浄エリア5側に位置させて、双方の対向エアー吹出口12、17から水平方向エアーA1を吹き出すと共に、一方向エアー吹出口13から水平方向エアーA2を吹き出して、非清浄エリア4から汚染物が清浄エリア5内に侵入するのを遮断するものである。
【0033】
前記建造物2の出入口3には、扉が有っても無くてもよいが、この例では扉として自動ドア6が設けられている。扉は手動でも良く特に限定がないが、通常自動ドア6である場合が多い。また、出入口3に自動ドア6などの扉が設けられている場合、扉が開く直前に汚染遮断エアーゲート1を作動させるようにしたり、あるいは常時作動させるようにしたり、いずれでも良い。この出入口3に自動ドア6などの扉が有れば、非清浄エリア4から汚染物が清浄エリア5内に侵入する機会が大幅に減って、好ましい状況を現出することが出来る。なお、図1中、7は建造物2の天井であり、8は床である。
【0034】
前記汚染遮断エアーゲート1の両側エアー吹出機14は、すでに述べたように、機体10の中央部に吸込口11を設け、且つこの吸込口11の一端側に対向エアー吹出口12を設けて、他端側に一方向エアー吹出口13を設けてなるものである。この機体10は、偏平な箱体をなし、その一側面の中央部に吸込口11が有り、その吸込口11は4ブロックに分割されている。さらに、吸込口11の一端側にある対向エアー吹出口12は、8ブロックに分割され、他端側にある一方向エアー吹出口13も8ブロックに分割されている。そして、4ブロックに分割されている吸込口11に対応して、ファン20が4台設けられ、さらに、8ブロックに分割されている対向エアー吹出口12及び一方向エアー吹出口13は、それぞれ2ブロックづつが上記1ブロックの吸込口11及び1台のファン20に対応している。
【0035】
前記機体10は、図5に示すように、ファン室21と通路22とに分かれ、ファン室21にはファン20が設置され、同じくファン室21にある吸込口11からファン室21に入ったエアーをファン20により通路22側に送り、この通路22で2方向に分かれて、対向エアー吹出口12に向かったエアーは、対向エアー側整流器23により整流されて対向する水平方向エアーA1となる。一方向エアー吹出口13に向かったエアーは、一方向エアー側整流器24により整流されて一方向の水平方向エアーa2となる。この一方向エアー側整流器24は、その軸方向が前記片側エアー吹出機18の吸込口16に向けられている。
【0036】
なお、前記両側エアー吹出機14のファン室21内には消臭剤噴霧器25、あるいは芳香剤噴霧器26が設置される。消臭剤噴霧器25から噴霧される消臭剤は、水平方向エアーA1、A2中の汚染物の臭いを消すものであり、芳香剤噴霧器26から噴霧される芳香剤は、水平方向エアーA1、A2に香りを付けるものであるから、互いに正反対の役割を担うものである。したがって、人などが非清浄エリア4から清浄エリア5内に入る際、人などに伴った汚染物の臭いをまず消臭剤により消し、しかるのち、芳香剤により香りを付けることになる。このため、消臭剤により汚染物の臭いを消したのち、芳香剤により香りを付ける場合は、通路22の対向エアー側通路22aに消臭剤噴霧器25を取り付け、通路22の一方向エアー側通路22bに芳香剤噴霧器26を取り付けるのがベターである。
【0037】
前記片側エアー吹出機18は、すでに述べた両側エアー吹出機14の一方向エアー吹出口13が無いだけで、他はほぼ同様であり、機体15の中央部に吸込口16を設け且つこの吸込口16の一端側に対向エアー吹出口17を設けてなるものである。この機体15は、その一側面の中央部に吸込口16が有り、その吸込口16は4ブロックに分割されている。さらに、吸込口16の一端側にある対向エアー吹出口17は、8ブロックに分割され、他端側は一方向エアー吹出口13が無く、板面になっている。そして、4ブロックに分割されている吸込口16に対応して、ファン20Aが2台設けられ、さらに8ブロックに分割されている対向エアー吹出口17は、4ブロックづつが上記2ブロックの吸込口16及び1台のファン20Aに対応している。
【0038】
片側エアー吹出機18の具体的な構造は、両側エアー吹出機14とほぼ同様であるが、一方向エアー吹出口13が無いため、ファン20Aが半分の2台となり、消臭剤噴霧器25のみがファン室あるいはファン室下流の通路に設けられることになる。
【0039】
前記ファン20及び20Aは、扉の有無に係わらず、人などが出入口3の開口部分を非清浄エリア4側から清浄エリア5側に通過する際、人などに由来する汚染物を飛散させ、吸込口11、16に水平方向エアーA1、A2と共に吸い込んで、非清浄エリア4から汚染物が清浄エリア5内に侵入するのを遮断するのに必要な、到達距離とエアー量とを付与する風量と風圧とがあれば、特に限定がない。
【0040】
なお、前記両側エアー吹出機14及び前記片側エアー吹出機18の少なくともいずれか一方にエアーの外部出入口27を設け、さらにその外部出入口27から換気口などにダクト30で接続してあると、その外部出入口27から汚染物を含んだエアーの一部を前記建造物2の外部に排出することができる。したがって、建造物2の出入口3に設置してある汚染遮断エアーゲート1内に、除去した汚染物が蓄積することがなくなる。この外部出入口27は常時開放されていても良いし、外部出入口27に弁などを設け、タイマーなどにより弁を開き、ある程度蓄積した汚染物を外部に出してもよい。さらに、汚染感知センサなどを設け、設定した汚染度に達したとき弁を開き蓄積した汚染物を外部に出してもよい。加えて、外部出入口27に「常時閉で、作動時開」の換気ファンを設けて、上記のタイマーや汚染感知センサなどにより、換気ファンを制御して、蓄積した汚染物を外部に出してもよい。逆に、外部出入口27と清浄エリア5とをダクト30で接続したり、前記建造物2の外部とダクト30で接続したりして、これらダクト30に導入ファンを据えれば、外部出入口27から清浄エアーを導入できて、除去汚染物の蓄積を緩和でき、最終的に前記消臭剤噴霧器25からの消臭剤により、汚染物の臭いを消すことができる。
【0041】
次に、上記構成になる汚染遮断エアーゲート1の作動状態を詳述する。
まず、図6に示すように、汚染遮断エアーゲート1のファン20及び20Aをオンし、消臭剤噴霧器25並びに芳香剤噴霧器26が設置されている場合は、これらをオンして噴霧状態にする。建造物2の出入口3に扉が有り、例えば、自動ドア6が設けられこの自動ドア6により、建造物2が清浄エリア5と非清浄エリア4とに区分されている場合、自動ドア6が開く直前に上記の汚染遮断エアーゲート1をオン状態にするのが最善であるが、これは常時オン状態にするのを排除するものではない。
【0042】
そして、図7に示すように、建造物2の出入口3を通って非清浄エリア4から清浄エリア5に人など28が移動しようとすると、まず自動ドア6が開き且つ汚染遮断エアーゲート1がオン状態になっているので、両側エアー吹出機14及び片側エアー吹出機18の対向エアー吹出口12及び17から水平方向エアーA1が吹き出ている。これらの水平方向エアーA1は人など28に当たり、且つ水平方向エアーA1同士も当たって乱流となり、人など28にすでに付着している汚染物や、人などの移動に伴い発生する渦流29によりまとわりついている汚染物を飛散させて、両側及び片側エアー吹出機14及び18の中央部にある吸込口11及び16にこれら水平方向エアーA1と共に吸い込んで排除する。
【0043】
さらに、図8に示すように、両側エアー吹出機14の一方向エアー吹出口13から吹き出た水平方向エアーA2によっても、飛散している汚染物を片側エアー吹出機18の中央部にある吸込口16に水平方向エアーA2と共に吸い込んで排除する。人など28が汚染遮断エアーゲート1内をさらに清浄エリア5側に進んでゆくと、両側エアー吹出機14の一方向エアー吹出口13から吹き出た水平方向エアーA2が人など28に当たり、さらに人など28に由来する汚染物を飛散させると共に、そのまま汚染物を片側エアー吹出機18の吸込口16に水平方向エアーA2と共に吸い込んで排除する。
【0044】
汚染遮断エアーゲート1が上記の状態を継続すると、汚染遮断エアーゲート1内に除去した汚染物が蓄積するから、外部出入口27が有ると汚染物を建造物2の外部に排除できて蓄積を防ぐことが出来、逆に、清浄エアーを導入することで、汚染物の蓄積を軽減することが出来る。さらに、図9に示すように、消臭剤噴霧器25並びに芳香剤噴霧器26が設置されている場合、水平方向エアーA1及びA2に消臭剤や芳香剤が噴霧されて、汚染物の臭いを消したり、汚染物の臭いを緩和したり、消臭後の水平方向エアーA2に香り付けをしたりすることが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更・追加、各請求項における他の組み合わせにかかるものも、適宜可能であることが理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の汚染遮断エアーゲートは、構造が単純にしたく、建造物の出入口を通過する際に、人や物に由来する汚染物を、非清浄エリアから清浄エリア内に持ち込ませないようにしたい場合に、利用可能性が極めて高くなる。
【符号の説明】
【0047】
1 汚染遮断エアーゲート
2 建造物
3 出入口
4 非清浄エリア
5 清浄エリア
10、15 機体
11、16 吸込口
12、17 対向エアー吹出口
13 一方向エアー吹出口
14 両側エアー吹出機
18 片側エアー吹出機
20、20A ファン
21 ファン室
22 通路
22a 対向エアー側通路
22b 一方向エアー側通路
23 対向エアー側整流器
24 一方向エアー側整流器
25 消臭剤噴霧器
26 芳香剤噴霧器
27 外部出入口
28 人など
29 渦流
30 ダクト
A1、A2 水平方向エアー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の出入口に設置して非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断する汚染遮断エアーゲートであって、該汚染遮断エアーゲートは、機体の中央部に吸込口を設け且つ該吸込口の一端側に対向エアー吹出口を設けると共に他端側に一方向エアー吹出口を設けてなる両側エアー吹出機と、機体の中央部に吸込口を設け且つ該吸込口の一端側に対向エアー吹出口を設けてなる片側エアー吹出機と、これら両側エアー吹出機と片側エアー吹出機とを上面にて繋ぐ天板と、からなり、両側エアー吹出機と片側エアー吹出機とは、吸込口及び対向エアー吹出口を互いに向かい合わせに出入口に設置すると共に、双方の対向エアー吹出口を非清浄エリア側に位置させ、一方向エアー吹出口を清浄エリア側に位置させて、双方の対向エアー吹出口から水平方向エアーを吹き出すと共に、一方向エアー吹出口から水平方向エアーを吹き出して、非清浄エリアから汚染物が清浄エリア内に侵入するのを遮断することを特徴とする汚染遮断エアーゲート。
【請求項2】
前記建造物の出入口における非清浄エリア側に扉を設置してある請求項1記載の汚染遮断エアーゲート。
【請求項3】
前記両側エアー吹出機の一方向エアー吹出口における吹き出し方向は、前記片側エアー吹出機の吸込口に向いている請求項1または2記載の汚染遮断エアーゲート。
【請求項4】
前記両側エアー吹出機及び前記片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方にエアーの一部を外部に出入りさせる外部出入口を設けてなる請求項1、2または3記載の汚染遮断エアーゲート。
【請求項5】
前記両側エアー吹出機及び前記片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方に消臭剤噴霧器を設けてなる請求項1、2、3または4記載の汚染遮断エアーゲート。
【請求項6】
前記両側エアー吹出機及び前記片側エアー吹出機の少なくともいずれか一方に芳香剤噴霧器を設けてなる請求項1、2、3または4記載の汚染遮断エアーゲート。
【請求項7】
前記両側エアー吹出機の対向エアー吹出口側及び前記片側エアー吹出機に消臭剤噴霧器を設けると共に、前記一方向エアー吹出口側に芳香剤噴霧器を設けてなる請求項1、2、3または4記載の汚染遮断エアーゲート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−149864(P2012−149864A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20199(P2011−20199)
【出願日】平成23年1月15日(2011.1.15)
【出願人】(000228028)株式会社トルネックス (25)