説明

決済システム、外部装置、処理方法

【課題】SAMの機能を備えない安価な路側機を用いてETCカードを利用する車載器を備えた車両に対する決済処理を行う決済システムを提供する。
【解決手段】路側機2が、暗号化されたETCカード読取情報を車載器から無線信号により受信して、当該ETCカード読取情報を転送する。そして、外部装置3が、路側機2から通信ネットワークを介して受信したETCカード読取情報を復号するセキュアアプリケーションモジュールを有し、当該復号した結果に基づいてETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出して路側機へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETC(Electronic Toll Collection)カードを用いて決済処理を行うETCシステム、外部装置、処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の通行料を収受し課金を行うシステムとして、ETCカードを用いたシステムが利用されている。当該ETCカードを用いたシステムでは、ETCカードに記録されているカード番号などの秘匿性の高い情報を扱うため、高度な暗号処理を行って、無線通信により車載器と路側機の間で情報を送受信している。より具体的には、車両に搭載された車載器がETCカードから読み取った情報を高度に暗号化して無線送信する。そして、道路上に設置され車載器から無線送信された暗号化情報を受信する路側機が、その高度に暗号化された暗号化情報の復号処理を行う。なお、ETCカードを利用する関連技術が特許文献1、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3630059号公報
【特許文献2】特開2004−62468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなETCカードを用いるシステムでは高度な暗号処理およびその復号処理のためにSAM(セキュリティ・アクセス・モジュール)と呼ばれるハードウェアを搭載している。当該SAMはハードウェアによって暗号処理および復号処理を行うものであるが、ETCカードの情報の安全性を確保するために厳格に管理されており、特定の事業者以外はその利用を行うことが制限されている。そして、復号処理を行うことのできるSAMを備えた路側機などの装置は高価であり、また盗難防止のための措置に高度な技術および費用がかかることから、一般の事業者が復号処理を行うことの出来るSAMを備えた装置を利用することが困難となっている。
しかしながら、多くの事業者がETCカードを利用した料金決済を利用することのできるシステムが求められており、ETCカード読取情報の復号処理を行うことの出来るSAMを備えた装置の使用が一般に広く提供できることが望ましい。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる決済システム、外部装置、処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して、当該ETCカード読取情報を転送する路側機と、前記路側機から通信ネットワークを介して受信したETCカード読取情報を復号するセキュアアプリケーションモジュールを有し、当該復号した結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出して前記路側機へ送信する外部装置と、を備えることを特徴とする決済システムである。
【0007】
また本発明は、上述の決済システムにおいて、前記外部装置は、道路上に設置された複数の路側機と前記通信ネットワークを介して接続されたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述の決済システムにおいて、前記路側機は、前記カード特定情報を前記外部装置より受信するカード特定情報受信部と、決済用計算装置へ決済額算出要求を行い、その結果前記決済用計算装置より受信した決済額と前記カード特定情報とを対応付けて前記決済額を記憶する決済額管理部と、前記外部装置へ対応して前記決済額管理部の記憶するカード特定情報と決済額とを含む課金処理要求を前記外部装置へ送信する課金処理要求部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の決済システムにおいて、前記外部装置は前記課金処理要求の受信に基づいて、当該課金処理要求に含まれるカード特定情報と決済額とを読み取って、当該カード情報に対する決済額の課金処理を行う課金処理部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して当該ETCカード読取情報を転送する路側機より、通信ネットワークを介して前記ETCカード読取情報を受信する受信部と、前記ETCカード読取情報を復号する復号部と、当該ETCカード読取情報の復号結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出するカード特定情報算出部と、当該算出したカード特定情報を前記路側機へ送信するカード特定情報送信部と、を備えることを特徴とする外部装置である。
【0011】
また本発明は、上述の外部装置は、道路上に設置された複数の路側機と前記通信ネットワークを介して接続されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、決済システムの処理方法であって、路側機が、暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して、当該ETCカード読取情報を転送し、外部装置が、前記路側機から通信ネットワークを介して受信したETCカード読取情報を復号するセキュアアプリケーションモジュールを有し、当該復号した結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出して前記路側機へ送信することを特徴とする処理方法である。
【0013】
また本発明は、上述の処理方法において、前記外部装置は、道路上に設置された複数の路側機と前記通信ネットワークを介して接続されたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上述の処理方法において、前記路側機のカード特定情報受信部が、前記カード特定情報を前記外部装置より受信し、前記路側機の決済額管理部が、決済用計算装置へ決済額算出要求を行い、その結果前記決済用計算装置より受信した決済額と前記カード特定情報とを対応付けて前記決済額を記憶し、前記路側機の課金処理要求部が、前記外部装置へ対応して前記決済額管理部の記憶するカード特定情報と決済額とを含む課金処理要求を前記外部装置へ送信することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上述の処理方法において、前記外部装置の課金処理部が、前記課金処理要求の受信に基づいて、当該課金処理要求に含まれるカード特定情報と決済額とを読み取って、当該カード情報に対する決済額の課金処理を行うことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、路側機と通信ネットワークを介して接続された外部装置の処理方法であって、暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して当該ETCカード読取情報を転送する前記路側機より、通信ネットワークを介して前記ETCカード読取情報を受信し、前記ETCカード読取情報を復号し、当該ETCカード読取情報の復号結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出し、当該算出したカード特定情報を前記路側機へ送信することを特徴とする処理方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、路側機に備わっていた復号化用のSAMを、通信ネットワークを介して接続された外部装置に設けると共に、当該外部装置が複数の路側機と接続されるように構成した。これにより複数の路側機が通信ネットワークを介して外部装置と接続することで、SAMを備えない安価な路側機を所有する業者に対して、ETCカード読取情報を用いた決済のサービスを提供することが可能となる。つまり、SAMの機能を備えない安価な路側機を用いてETCカードを利用する車載器等の装置を備えた車両等に対する決済処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】決済システムの構成を示すブロック図である。
【図2】決済システム内の車載器と路側機の機能を示すブロック図である。
【図3】決済システム内の外部装置と決済用計算装置の機能を示すブロック図である。
【図4】決済システムの処理フローを示す第1の図である。
【図5】決済システムの処理フローを示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態による決済システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による決済システムの構成を示すブロック図である。
この図において、符号1は車載器である。当該車載器1は自家用車などの車両に搭載されており、ETCカードが挿入口に挿入できるような構成となっている。車載器1は、挿入口に挿入されたETCカードから情報を読み取り、当該読み取った情報(以下、ETCカード読取情報と呼ぶ)を暗号化して無線信号により車外の装置に送信し、またその応答として、車外の他の装置から課金処理結果等の情報を無線信号により受信する。
また、符号2は路側機である。当該路側機は道路脇や駐車場等の入り口や出口に設置され、車載器1と無線信号により通信を行うと共に、車載器1から受信した暗号化されたETCカード読取情報を、通信ネットワークを介して他の装置へ転送する。また路側機2は、決済額などの情報を一時的に記憶する装置である。
【0020】
また外部装置3は、路側機2から通信ネットワークを介して受信したETCカード読取情報を復号するSAM(セキュアアプリケーションモジュール)を有し、当該復号した結果に基づいてETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出して路側機2へ送信する装置である。
また決済用計算装置4は、路側機2から通信ネットワークを介して受信した情報を用いて決済額の算出を行う装置である。決済額としては、例えば駐車場の利用料金や、道路の通行料金などである。
【0021】
図2は同実施形態による決済システム内の車載器と路側機の機能を示すブロック図である。
この図で示すように、車載器1は挿入口に挿入されたETCカード10内のメモリに記録されているETCカード情報を読み取る読取部11と、ETCカード読取情報を暗号化するSAM(Secure Application Module)12と、車載器1の各処理部を制御する制御部13と、暗号化されたETCカード読取情報を無線信号により送信する無線通信部14とを備えている。
【0022】
また路側機2は、車載器1と無線信号により情報を送受信する無線通信部21と、各処理部を制御する制御部22と、決済額を管理する決済額管理部23と、課金処理要求の送信を行う課金処理要求部24、外部装置3や決済用計算装置4と有線の通信ネットワークを介して情報を送受信する有線通信部25と、処理に利用する各種情報を記憶する記憶部26と、を備えている。
【0023】
図3は同実施形態による決済システム内の外部装置と決済用計算装置の機能を示すブロック図である。
この図が示すように、外部装置3は、路側機2と通信する通信処理部31、外部装置3内の各処理部を制御する制御部32、路側機2より受信した暗号化されたETCカード読取情報を復号するSAM33、復号したETCカード読取情報を用いてカード特定情報を算出するカード特定情報算出部34、料金所サーバやカード会社サーバと通信して課金処理を行う課金処理部35と、処理に利用する各種情報を記憶する記憶部36と、を備えている。
また決済用計算装置4は、路側機2と通信する通信処理部41、および決済額を算出する決済額算出部42を備えている。
【0024】
ここで、本実施形態による決済システムは、図1〜図3で示すように路側機2に備わっていた復号化用のSAMを、通信ネットワークを介して接続された外部装置3に設けると共に、当該外部装置3が複数の路側機2と接続されるように構成した。これにより複数の路側機2が通信ネットワークを介して外部装置3と接続することで、SAMを備えない安価な路側機2を所有する業者に対して、ETCカード読取情報を用いた決済のサービスを提供することが可能となる。そして、復号化用のSAM33を備えた外部装置3を1箇所で管理することにより、高価で厳重なセキュリティ管理が必要であることにより特定の事業者以外が利用できなかった、ETCカード読取情報の復号化処理を行うことのできるSAM33を備えた外部装置3の使用を、一般の多くの事業者に提供することができる。
【0025】
図4は決済システムの処理フローを示す第1の図である。
図5は決済システムの処理フローを示す第2の図である。
次に、決済システムの処理フローについて説明する。
以下の例では、路側機2が駐車場の入口や出口に備えられており、決済用計算装置4が駐車場の利用料金(決済額)を算出する場合の例を用いて説明する。
まず車載器1にETCカードが挿入される。車載器1の搭載された車両が移動し、路側機2の備えられた駐車場に接近する。そして、車両が路側機2との通信可能エリアに進入すると、路側機2は車載器1とDSRC(Dedicated Short Range Communication)通信を行うとともに、路側機2の制御部13と車載器1制御部22の間において認証処理が行われる(ステップS101)。
【0026】
そして、認証処理が完了すると、車載器1のSAM12が読取部11を介してETCカード10のメモリから情報(ETCカード読取情報)を取得する(ステップS102)。SAM12はそのETCカード読取情報を暗号化し(ステップS103)、当該暗号化したETCカード読取情報を制御部13へ出力する。制御部13は、メモリ等に記録されている車両情報(ナンバープレート情報や車種等)や車載器情報を読み取って、当該車両情報や車載器情報と、暗号化されたETCカード読取情報とを無線通信部14へ出力する。そして無線通信部14は、DSRC通信により、車両情報や車載器情報と、暗号化されたETCカード読取情報を路側機2へ送信する(ステップS104)。
【0027】
次に路側機2の無線通信部21が、車載器1から送信された車両情報や車載器情報と、暗号化されたETCカード読取情報とを受信する。そして制御部22がそれらの情報を入力する。すると制御部22は暗号化されたETCカード読取情報を有線通信部25へ出力し、当該有線通信部25が、当該ETCカード読取情報を外部装置3へ転送する(ステップS105)。他方、制御部32は、受信した車両情報や車載器情報を一時的にメモリに記録する。
【0028】
次に外部装置3の通信処理部31が、路側機2から送信された、暗号化されたETCカード読取情報を受信して、制御部32が当該暗号化されたETCカード読取情報を取得する。そして制御部32は暗号化されたETCカード読取情報をSAM33へ出力する。SAM33は暗号化されたETCカード読取情報を復号してカード特定情報算出部34へ出力する(ステップS106)。カード特定情報算出部34はETCカード読取情報に基づいて、当該ETCカード読取情報を特定できるカード特定情報を算出する(ステップS107)。例えば所定の関数f(x,α)に、ETCカード読取情報に含まれるETCカード番号(x)と、固定値のパラメータ(α)を代入して、その結果をカード特定情報と算出する。カード特定情報算出部34は、ETCカード読取情報とカード特定情報を対応付けて記憶部36に記録する。
【0029】
そして、カード特定情報算出部34は、算出したカード特定情報を制御部32へ出力し、制御部32が通信処理部31を介してETCカード読取情報の送信元の路側機2へ、カード特定情報を送信するよう制御する。そして通信処理部31が、カード特定情報を送信すると(ステップS108)、ETCカード読取情報の送信元の路側機2の有線通信部25が当該カード特定情報を受信する。そして制御部22はそのカード特定情報を取得し、一時的にメモリに格納した車両情報や車載器情報と対応付けて記憶部26に記録し、取得したカード特定情報を含む決済額管理要求を決済額管理部23に対して出力する。
【0030】
路側機2の決済額管理部23は、決済額管理要求を入力すると、その情報からカード特定情報を読み取って、当該カード特定情報に対応付けられて記憶部26に記録されている車両情報や車載器情報を読み取る。そして決済額管理部23は、読み取った車両情報や車載器情報を決済用計算装置4へ送信するよう制御部22へ要求する。すると、制御部22は、決済額管理部23から入力した車両情報や車載器情報を含む決済額算出要求を、有線通信部25を介して決済用計算装置4へ送信する制御を行う(ステップS109)。またこのとき、決済額管理部23は制御部22に対し、カード特定情報を含んだ決済額算出要求を送信するように要求し、制御部22が、カード特定情報と車両情報や車載器情報との組合せを含む決済額算出要求を、有線通信部25を介して決済用計算装置4へ送信する制御を行うようにしてもよい。
【0031】
そして、決済用計算装置4は、車両情報や車載器情報を含む決済額算出要求、またはカード特定情報と車両情報や車載器情報との組合せを含む決済額算出要求を、通信処理部41にて受信する。なお決済用計算装置4が決済額を算出するにあたりカード特定情報を用いる場合には、路側機2はカード特定情報を含む決済額算出要求を、決済用計算装置4へ送信する。決済用計算装置4が決済額を算出するにあたりカード特定情報を用いない場合には、路側機2はカード特定情報を含まない決済額算出要求を、決済用計算装置4へ送信する。
【0032】
ここで、決済用計算装置4は駐車場の利用料金を決済額として算出する場合には、1台の車両について入口に設置されている路側機2と、出口に設置されている路側機2のそれぞれより、2回の決済額算出要求を受信する。従って、決済額算出部42は、今回受信した決済額算出要求が、1回目の決済額算出要求か2回目の決済額算出要求かを判定する(ステップS110)。具体的には、決済額算出部42は、過去に受信した決済額算出要求に含まれる情報を、その決済額算出要求の受信時刻にハードディスクやメモリ等の記憶部に記憶している。そして、決済額算出部42は、今回受信した決済額算出要求から車載器情報やカード特定情報を読み取って、過去に受信した決済額算出要求に含まれていた車載器情報やカード特定情報と一致するかを、自装置の記憶部に記憶されている情報と比較して判定する。
【0033】
そして、決済額算出部42は、自装置の記憶部に記憶されている情報の中に、今回受信した決済額算出要求に含まれる車載器情報やカード特定情報と一致する情報が存在しない場合には、今回受信した決済額算出要求を1回目の決済額算出要求と判定する。そして、決済額算出部42は、1回目の決済額算出要求に含まれる情報を、その受信時刻に対応付けて記憶部に記録する。そして、決済額算出部42は、1回目の決済額算出要求に対応して、処理完了を路側機2に通知する(ステップS111)。路側機2は処理完了を車載器1転送して、入口における車載器1と路側機2の通信が完了する。
【0034】
他方、決済額算出部42は、自装置の記憶部に記憶されている情報の中に、今回受信した決済額算出要求に含まれる車載器情報やカード特定情報と一致する情報が存在する場合には、今回受信した決済額算出要求を2回目の決済額算出要求と判定する。この場合、決済額算出部42は、1回目の決済額算出要求に対応付けられて記憶部に記録されている当該決済額算出要求の受信時刻を記憶部から読み取る。そして、決済額算出部42は、1回目の決済額算出要求の受信時刻と、今回受信した2回目の決済額算出要求の受信時刻との差を、駐車時間と算出する(ステップS112)。なお、決済額算出部42は、受信した決済額算出要求に含まれる車種情報に応じた決済額を算出するようにしてもよい。
【0035】
ここで、決済額算出部42は、例えば30分経過する度に増加する駐車料金を、30分間隔の駐車時間に対応付けて記憶部に記憶している。そして、決済額算出部42は、「算出した駐車時間÷30」の小数点以下を省略した整数に対応付けられた駐車料金を記憶部から読み取り、その駐車料金を決済額と特定する(ステップS113)。または、他の算出方法としては、決済額算出部42は、「算出した駐車時間÷30」の小数点以下を省略した整数に30分毎に加算される駐車料金を乗じて得た値を決済額と算出するようにしてもよい。そして、決済額算出部42は、算出した決済額を含む決済額算出結果を、決済額算出要求の送信元の路側機2へ通信処理部41を介して送信する(ステップS114)。
【0036】
次に、路側機2において決済額算出結果を受信すると、制御部22が、決済額算出要求に応じて受信した当該決済額算出結果に含まれる決済額を読み取り、決済額管理部23へ出力する。すると決済額管理部23は、決済額算出要求で送信した車載器識別情報や、カード特定情報に対応付けて、記憶部26に決済額を書き込む。すると、課金処理要求部24は、記憶部26に書き込まれた決済額と、その決済額に対応付けて記録されているカード特定情報を含む課金処理要求を生成し、当該課金処理要求を外部装置3に通知するよう制御部22に指示する。すると制御部22は、課金処理要求を有線通信部25を介して外部装置3へ送信する(ステップS115)。
【0037】
外部装置3は通信処理部31において課金処理要求を受信する。すると制御部32は当該課金処理要求の情報を課金処理部35に出力する。また課金処理部35は、課金処理要求から決済額とカード特定情報を読み取る。そして、課金処理部35は、読み取ったカード特定情報に対応付けられて記憶部36に記録されているETCカード読取情報を取得し、当該ETCカード読取情報と、課金処理要求から取得した決済額とを含む課金処理要求を生成する。そして、課金処理部35は、新たに生成した課金処理要求をカード会社サーバへ送信するよう、制御部32に指示する。そして、制御部32は課金処理要求をカード会社サーバへ送信する(ステップS116)。
【0038】
ここで、カード会社サーバにおいては、課金処理要求を受信し、当該課金処理要求に含まれるETCカード読取情報と決済額とを取得して、課金処理を行う。より具体的には、ETCカード読取情報からETCカード番号を得て、そのETCカード番号に対する決済額の課金の処理を行う。そして、課金処理完了通知を外部装置3へ送信する。外部装置3は、課金処理完了通知を受信すると(ステップS117)、制御部32はその課金処理完了通知を通信処理部31を介して路側機2へ送信する(ステップS118)。そして、路側機2の制御部22は、無線通信部21を介して車載器1に課金処理完了を送信する(ステップS119)。これにより、出口における路側機2と車載器1の通信が完了する。
【0039】
なお、上述の処理においては、路側機2が駐車場の入口や出口に設置され、決済システムが、駐車場の利用料金を決済するためのシステムである場合の例について説明した。しかしながら、当該決済システムの構成を、道路の通行料金の決済システムや、店舗での商品売買の決済を行う決済システムなどとして用いるようにしてもよい。この場合、決済システムは上述のステップS110のように1回目に受信した決済額算出要求と2回目に受信した決済額算出要求に基づいて、決済額を算出してもよいし、1回の決済額算出要求のみに基づいて決済額を算出してもよい。例えば車両種別に応じて決済額が定まる場合には、決済用計算装置4は車両種別に応じた決済額を記憶部から読み取って、その値を路側機2へ送信する。または、路側機2から決済用計算装置4に送信される決済額算出要求に購入商品種別が含まれ、その購入商品種別に基づいて、決済用計算装置4が決済額を算出するようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、決済システムの構成によれば、路側機2に備わっていた復号化用のSAMを、通信ネットワークを介して接続された外部装置3に設けると共に、当該外部装置3が複数の路側機2と接続されるように構成した。これにより複数の路側機2が通信ネットワークを介して外部装置3と接続することで、SAMを備えない安価な路側機2を所有する業者に対して、ETCカード読取情報を用いた決済のサービスを提供することが可能となる。つまり、複数の駐車場においては、SAMの機能を備えない安価な路側機2を用いてETCカードを利用する車載器1を備えた車両に対する駐車料金の決済を行うことが可能となる。
【0041】
そして、復号化用のSAM33を備えた外部装置3を1箇所で管理することにより、高価で厳重なセキュリティ管理が必要であることにより特定の事業者以外が利用できなかった、ETCカード読取情報の復号化処理を行うことのできるSAM33を備えた外部装置3の使用を、一般の多くの事業者に提供することができる。
【0042】
また、上述の決済システムにおける処理によれば、路側機2と外部装置3や、路側機2と決済用計算装置4の間では、ETCカード読取情報の代わりに、カード特定情報を送受信して、処理を行っている。従って、ETCカード読取情報が他者に読み取られる可能性を軽減できる。つまり、セキュリティを高めることができる。
【0043】
なお、上述の決済システムにおける各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0044】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
1・・・車載器
2・・・路側機
3・・・外部装置
4・・・決済用計算装置
11・・・読取部
12・・・SAM
13・・・制御部
14・・・無線通信部
21・・・無線通信部
22・・・制御部
23・・・決済額管理部
24・・・課金処理要求部
25・・・有線通信部
26・・・記憶部
31・・・通信処理部
32・・・制御部
33・・・SAM
34・・・カード特定情報算出部
35・・・課金処理部
36・・・記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して、当該ETCカード読取情報を転送する路側機と、
前記路側機から通信ネットワークを介して受信したETCカード読取情報を復号するセキュアアプリケーションモジュールを有し、当該復号した結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出して前記路側機へ送信する外部装置と、
を備えることを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記外部装置は、道路上に設置された複数の路側機と前記通信ネットワークを介して接続された
ことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記路側機は、
前記カード特定情報を前記外部装置より受信するカード特定情報受信部と、
決済用計算装置へ決済額算出要求を行い、その結果前記決済用計算装置より受信した決済額と前記カード特定情報とを対応付けて前記決済額を記憶する決済額管理部と、
前記外部装置へ対応して前記決済額管理部の記憶するカード特定情報と決済額とを含む課金処理要求を前記外部装置へ送信する課金処理要求部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記外部装置は前記課金処理要求の受信に基づいて、当該課金処理要求に含まれるカード特定情報と決済額とを読み取って、当該カード情報に対する決済額の課金処理を行う課金処理部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の決済システム。
【請求項5】
暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して当該ETCカード読取情報を転送する路側機より、通信ネットワークを介して前記ETCカード読取情報を受信する受信部と、
前記ETCカード読取情報を復号する復号部と、
当該ETCカード読取情報の復号結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出するカード特定情報算出部と、
当該算出したカード特定情報を前記路側機へ送信するカード特定情報送信部と、
を備えることを特徴とする外部装置。
【請求項6】
道路上に設置された複数の路側機と前記通信ネットワークを介して接続されることを特徴とする請求項5に記載の外部装置。
【請求項7】
決済システムの処理方法であって、
路側機が、暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して、当該ETCカード読取情報を転送し、
外部装置が、前記路側機から通信ネットワークを介して受信したETCカード読取情報を復号するセキュアアプリケーションモジュールを有し、当該復号した結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出して前記路側機へ送信する
ことを特徴とする処理方法。
【請求項8】
前記外部装置は、道路上に設置された複数の路側機と前記通信ネットワークを介して接続された
ことを特徴とする請求項7に記載の処理方法。
【請求項9】
前記路側機のカード特定情報受信部が、前記カード特定情報を前記外部装置より受信し、
前記路側機の決済額管理部が、決済用計算装置へ決済額算出要求を行い、その結果前記決済用計算装置より受信した決済額と前記カード特定情報とを対応付けて前記決済額を記憶し、
前記路側機の課金処理要求部が、前記外部装置へ対応して前記決済額管理部の記憶するカード特定情報と決済額とを含む課金処理要求を前記外部装置へ送信する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の処理方法。
【請求項10】
前記外部装置の課金処理部が、前記課金処理要求の受信に基づいて、当該課金処理要求に含まれるカード特定情報と決済額とを読み取って、当該カード情報に対する決済額の課金処理を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
路側機と通信ネットワークを介して接続された外部装置の処理方法であって、
暗号化されたETC(Electronic Toll Collection)カード読取情報を車載器から無線信号により受信して当該ETCカード読取情報を転送する前記路側機より、通信ネットワークを介して前記ETCカード読取情報を受信し、
前記ETCカード読取情報を復号し、
当該ETCカード読取情報の復号結果に基づいて前記ETCカード読取情報を特定するためのカード特定情報を算出し、
当該算出したカード特定情報を前記路側機へ送信する
ことを特徴とする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73336(P2013−73336A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210713(P2011−210713)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】