説明

決済処理システムおよび方法

【課題】カード会社からの支払請求時発注者を特定し、請求処理を容易にすること。
【解決手段】共同購買組織サーバ110は、加入者にカード番号を付与し、このカード番号を用いた取引に関して顧客システムに相当する加入者側処理を支援する。業者システム130は、発注された個別の取引を識別するための発注識別情報を生成する処理や発注された物品を納品した後カード会社に決済処理の要求を行う処理などを実行する。支払請求は発注した顧客にではなく共同購買組織に一括して送信される。この場合に利用明細も送られ共同購買組織は請求の明細を知ることができ、マッチングキーとして上述の発注識別情報を利用明細に含めることにより、別途納品時に物品に添付または共同購買組織サーバ110に送信された発注識別情報を含む納品書と突合をすることができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理システムおよび方法に関し、より詳細には共同購買組織を介した決済処理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、書籍や事務用品などを生活協同組合等の共同購買組織を介して購入する場合、共同購買組織の店舗ごとにカードを発行し、クレジット決済システムを活用して支払い処理などを支援している。このような技術としては、インターネットを介し複数の参加企業間の取引を実行させる企業間取引サイトと、参加企業間の取引に係るクレジットカード決済を支援する手段を具備する企業間決済支援センタと、参加企業間の取引に係るクレジットカード決済を実行するクレジットカード会社とを有し、クレジットカード入会申込データに基づいて発行された加盟店番号及びカード番号を各参加企業の取引用識別番号と関連付け、取引後に取引用識別番号を加盟店番号又はカード番号に変換しクレジットカード決済を実行するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような企業間取引においてクレジットカードを使用するシステムとしては、図2に示すようなパーチェシングカードシステムがある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−216058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなクレジットカードを用いた決済システムでは共同購買組織の店舗ごとにカードが発行されることが多く、複数の法人、個人が同一のカード番号を使用することとなるので、支払請求があったときでも発注者が特定できず共同購買組織のカード会社への支払いの後に、発注者を特定して請求処理することが困難な場合が少なくなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、共同購買組織から個人が特定できるよう発行されたカードおよび一意の発注番号を使用することにより、カード会社からの支払請求時発注者を特定し、請求処理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を受信すると、発注要求により行われる取引を識別する発注識別情報を生成する発注識別情報生成手段と、発注識別情報を表示して商品識別情報で識別される商品を納品するよう指示する納品指示手段と、発注識別情報と、カード情報と、発注要求に対応する納品を指示した業者を識別する業者識別情報とを含む業者識別情報で特定される業者の売り上げの、カード情報により特定されるカードによる決済処理要求を送信する決済要求送信手段とを含む業者装置と、購買支援装置から決済処理要求を受信すると、カード情報で特定されるカードの顧客の属する共同購買組織の共同購買装置に発注識別番号を含む支払請求を送信する請求送信手段と、受信した決済処理要求を送信した業者装置の業者に対応する支払処理をするよう支払指示を行う支払指示手段とを含む決済処理装置と、決済処理装置から支払請求を受信すると、受信した支払請求の支払処理を指示する請求支払処理手段と、発注識別情報で識別される発注に対応する納品が受領した場合、納品とともに表示された発注識別情報と、支払請求の明細とを出力する出力手段とを含む共同購買装置とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の決済処理システムにおいて、支払請求の明細は、発注識別情報と関連付けて出力されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の決済処理システムにおいて、共同購買装置は、発注識別情報をキーにして発注要求情報と支払請求の明細との突合処理を実行する突合処理手段をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の決済処理システムにおいて、共同購買装置は、カード情報により特定されるカードユーザに支払請求のうちカードユーザの使用した分についてカードユーザに個別支払の請求処理を実行する個別支払請求手段をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の決済処理システムにおいて、業者装置に発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を送信する発注要求手段と、個別支払の請求を要求する個別支払請求を受信すると受信した個別支払請求の処理を指示する請求処理手段とを含むユーザ端末をさらに備え、個別支払請求手段は、ユーザ端末にユーザ端末を使用するカードユーザに対する個別支払請求を送信することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、決済処理方法であって、業者装置において、発注識別情報生成手段により、発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を受信すると、発注要求により行われる取引を識別する発注識別情報を生成する発注識別情報生成ステップと、納品指示手段によって、発注識別情報を表示して商品識別情報で識別される商品を納品するよう指示する納品指示ステップと、決済要求送信手段により、発注識別情報と、カード情報と、発注要求に対応する納品を指示した業者を識別する業者識別情報とを含む業者識別情報で特定される業者の売り上げの、カード情報により特定されるカードによる決済処理要求を送信する決済要求送信ステップとを含む業者装置処理ステップと、決済処理装置において、請求送信手段により、購買支援装置から決済処理要求を受信すると、カード情報で特定されるカードの顧客の属する共同購買組織の共同購買装置に発注識別番号を含む支払請求を送信する請求送信ステップと、支払手段によって、受信した決済処理要求を送信した業者装置の業者に対応する支払処理をするよう支払指示を行う支払ステップとを含む決済処理ステップと、共同購買装置において、支払指示手段により決済処理装置から支払請求を受信すると、受信した支払請求の処理を指示する支払指示ステップと、出力手段により、発注識別情報で識別される発注に対応する納品が受領した場合、納品とともに表示された発注識別情報と、支払請求の明細とを出力する出力ステップとを含む共同購買処理ステップとを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の決済処理方法において、支払請求の明細は、発注識別情報と関連付けて出力されることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の決済処理方法において、共同購買処理ステップは、発注識別情報をキーにして発注要求情報と支払請求の明細との突合処理を実行する突合処理ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項6、7または8に記載の決済処理方法において、共同購買処理ステップは、カード情報により特定されるカードユーザに支払請求のうちカードユーザの使用した分についてカードユーザに個別支払の請求処理を実行する個別支払請求ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の決済処理方法において、ユーザ端末において、発注要求手段により、業者装置に発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を送信する発注要求ステップと、請求処理手段により、個別支払の請求を要求する個別支払請求を受信すると受信した個別支払請求の処理を指示する請求処理ステップとを含むユーザ端末処理ステップをさらに備え、個別支払請求ステップは、ユーザ端末にユーザ端末を使用するカードユーザに対する個別支払請求を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を受信すると、発注要求により行われる取引を識別する発注識別情報を生成する発注識別情報生成手段と、発注識別情報を表示して商品識別情報で識別される商品を納品するよう指示する納品指示手段と、発注識別情報と、カード情報と、発注要求に対応する納品を指示した業者を識別する業者識別情報とを含む業者識別情報で特定される業者の売り上げの、カード情報により特定されるカードによる決済処理要求を送信する決済要求送信手段とを含む業者装置と、購買支援装置から決済処理要求を受信すると、カード情報で特定されるカードの顧客の属する共同購買組織の共同購買装置に発注識別番号を含む支払請求を送信する請求送信手段と、受信した決済処理要求を送信した業者装置の業者に対応する支払処理をするよう支払指示を行う支払指示手段とを含む決済処理装置と、決済処理装置から支払請求を受信すると、受信した支払請求の支払処理を指示する請求支払処理手段と、発注識別情報で識別される発注に対応する納品が受領した場合、納品とともに表示された発注識別情報と、支払請求の明細とを出力する出力手段とを含む共同購買装置とを備えているので、共同購買組織から個人が特定できるよう発行されたカードおよび一意の発注番号を使用することにより、カード会社からの支払請求時発注者を特定し、請求処理を容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる第1実施形態のシステム全体を示すブロック図であり、処理の流れを示す図である。
【0018】
(本実施形態のシステム構成)
本実施形態の決済処理システムでは、大きく分けて共同購買組織サーバ110、顧客システム120、業者システム130および決済処理サーバ(カード会社)140がネットワークで接続されている。
【0019】
共同購買組織サーバ110は、様々な生活協同組合(生協)などの共同購買組織の本実施形態における処理を実行するサーバであり、本実施形態ではカード会社との契約に基づき、加入者にカード番号を付与し、このカード番号を用いた取引に関して顧客システムに相当する加入者側処理を支援する。カードは、例えば図7に示すようにカード会社から共同購買組織に発行が依頼され、例えば学校の職員、研究所の研究員あるいは法人の社員ごとに付与されるが、データの管理はカード会社で行うことも可能である。
【0020】
このようにして顧客が発注した結果、カード会社が業者に立替払いした金額が、共同購買組織に請求される。この請求は、決済処理サーバ140から共同購買組織サーバ110に送信され、カード会社に対して支払処理を行うとともに、別途、各顧客に発注され納品された物品についての支払請求を行う。顧客への支払請求は、顧客システムが電子化され端末により処理される場合は、顧客の端末に共同購買組織サーバ110から送信することができるが、電子化されていない場合は本技術分野で知られた、例えば請求書を発行して送るといった方法により行われる。さらに、業者から納品があった場合、納品される物品には納品書が添えられているが、共同購買組織サーバ110は、これに限られず例えば、業者システム130からの納品書データを直接受信するようにすることもできる。
【0021】
なお、図1においては、1つの共同購買組織サーバ110が示されているが、実行される機能を複数のサーバに分散させて全体として図1に示す共同購買組織サーバ110を実現することもできる。ここで、以上のシステムあるいはサーバは相互に何らかのネットワークにより接続されている。このネットワークにはインターネットを含むことができるが、一方で、専用回線により接続することもできるし、一部のやり取りをFAXやその他の従来の手続により行うこともできる。その他、接続のハードウェアあるいはソフトウェアについては特定の規格、製品を採用する必要はなく、本技術分野で知られたいずれの手法、構成によってもデータのやりとりが可能であれば本願発明の目的を達することができる。なお、本明細書でシステムは端末、サーバおよびデータベースのいずれかを含むものであるが、本願発明を実装するためにはこのようなものでなくても、データ通信、データ処理およびデータの管理が可能なものであれば、いずれの装置、機器を用いてもシステムを構成することができる。
【0022】
また、顧客システム120は、本実施形態の顧客、すなわち共同購買組織の加入者、例えば共同購買組織が大学の生協とすると生協の組合員である教職員や研究員などの処理を実装する部分であり、一般的には発注を行ったり、取引の照会を行ったりする端末を含めることができるが、本実施形態ではこのような端末を用いた処理に限られることなく、業者への発注や照会はFAXあるいは電話等で行うこともできる。顧客がこのような発注処理を行う場合は、共同購買組織から付与されたカード番号を用いて行われる。ここで、顧客システム120がFAXあるいは電話等で処理を行わない場合は、所定の端末およびデータベースを備えるが、端末は1台で処理を実行することもできるし、より多くの端末やデータベースに機能、データを分けて実装することもできる。
【0023】
業者システム130は、顧客に種々の商品を納入する業者側の処理を実装するものであり、通常のクレジットカードシステムにおいてはいわゆる加盟店装置あるいはシステムに相当する。本実施形態の業者システム130は、発注された個別の取引を識別するための発注識別情報を生成する処理や発注された物品を納品した後カード会社に決済処理の要求を行う処理などを実行するが、上述の顧客システム120と同様、図1に示すのとは異なる種々の形態で構成することができる。また、顧客システム120がFAXや電話で発注を行った場合、カード番号や発注内容は業者側のオペレータ等によりデータ化される等、種々の方法で業者システム130や決済処理サーバ140で用いられる形態でデータ化される。ここで、業者システム130は発注識別情報を生成するように説明されているが、これに限られず、発注識別情報は、予め定めたルールで自動的に生成することもできるし、共同購買組織等本実施形態のシステムを形成するいずれかのコンポーネントにより生成することができる。
【0024】
また、一般的には、共同購買組織は様々な業者と取引をしており、このような業者システム130は複数存在しているが、図1等では便宜上あるいは説明の都合上1つだけで例示させて説明するものとする。
【0025】
決済処理サーバ140は、本質的には通常のクレジットカードシステムあるいはパーチェシングカードシステムと同様の機能を備えている。例えば、通常のクレジットカード処理システム同様、加盟店に相当する業者システムの端末から決済処理サーバに売上情報が直接送信され、これに基づいて決済処理が行われる。決済処理サーバ140は、通常のクレジットカードシステムと同様に決済処理を行った取引について一定期間、例えば1ヶ月ごとにまとめて請求処理を行う。本実施形態では、支払請求は発注した顧客にではなく共同購買組織に一括して送信される。この場合に利用明細も送られ共同購買組織は請求の明細を知ることができるが、各顧客ごとの取引がどのようなものであったかという情報までは送信されないため、共同購買組織が各顧客に支払いを請求する場合、どの取引がどの支払いに相当するのか特定することができない。そこで、本実施形態では、マッチングキーとして上述の発注識別情報を利用明細に含めることにより、別途納品時に物品に添付または共同購買組織サーバ110に送信された発注識別情報を含む納品書と突合をすることができるように構成されている。この突合により決済処理サーバ140から送信された請求内容と発注内容とが関連付けられるので、各顧客に対する請求の根拠が明確となり支払いの請求が容易になる。この発注番号はその取引が終了するまで共通して用いられ、これにより取引が常に特定できることとなる。
【0026】
さらに、カード会社は上述の通り共同購買組織にカード発行を委託して、顧客ごと、例えば生協の会員ごとにカード番号を付与する。このような付与委託は、本技術分野で知られたいずれの方法で行うこともできるが、逆に委託を行わずに直接顧客に発行する方法を取ることもできる。
【0027】
(本実施形態のモジュール構成)
本システムの全体の構成は以上のようなものであるが、本実施形態の個別のシステムを構成する端末、サーバは少なくともネットワークに接続可能な通常のコンピュータの機能を有している必要がある。このようなハードウェアの条件の下、本実施形態の個別のシステムの処理の実行はソフトウェアプログラムがこのようなハードウェアにインストールされて行われる。各ソフトウェアは例えば図3ないし図6に示すようなモジュール構成で示すことができるが、これは単なる例示であり、各モジュールの機能をさらにいくつかのモジュールで分担したり、いくつかのモジュールの機能を統合したモジュールを想定したりすることができるのはいうまでもない。以下に、各個別システムのモジュール構成を説明するが、これらのモジュールが相互に連携を取って実行され、後述する本実施形態の処理が達成されるのである。
【0028】
なお、本実施形態では図4に示す顧客システム120および図5に示す業者システム130の処理は、各サーバまたは端末がソフトウェアによって処理するよう説明しているが、本願発明を実施するためにはこれに限られず、図3に示す共同購買組織サーバ110および図6に示す決済処理サーバ140以外の構成の一部または全部をこのようなソフトウェアの処理とせずに、共同購買組織サーバ110および決済処理サーバ140への情報の伝達をFAXやメール等の従来の通信手法により行うこともできる。この場合、図3に示す共同購買組織サーバ110の処理も一部異なる処理となるが、その点については個別に後述する。
【0029】
図3は、共同購買組織サーバ110のモジュール構成を示す図である。共同購買組織サーバ110には、種々の情報等を受信する情報受信部301、支払処理の指示等を送信するデータ送信部302、請求された支払い処理についての処理を実行する請求支払処理部303、および利用明細をマッチングキー、すなわち発注識別情報と関連付けて出力させ、納品書と突合を行うことができるようにする出力部304を備え、本実施形態の基本的な共同購買組織に関する処理を実行する。これに加え、業者サーバ130から納品書がデータとして送信される場合に、そのデータと決済処理サーバ140から送信された利用明細情報とをマッチングキーを用いて自動的に突合処理する突合処理部305、および顧客が顧客端末を使用して発注等を行っている場合に突合ができた顧客端末に個別に支払請求を行う個別支払請求部306なども備え、より効率的な処理を実行することができる。
【0030】
図4は、顧客が発注その他の処理をFAX等ではなく端末で電子的に行う場合の顧客システム120のモジュール構成を示す図である。図4においては、システムの中心にサーバ410を備え、これに接続された端末121、122からの指示により、本実施形態の主な処理をサーバ410が実行するように示されているが、これに限られることなく、端末121、122にサーバ410と同様の機能を持たせて各々単独で処理を実行するようにすることもできる。サーバ410、したがって顧客システムは、発注要求を実行する発注要求部401、および共同購買組織サーバ110から個別請求を受けて支払処理等を行う個別請求処理部402を本実施形態の基本機能を実行するモジュールとして備える。
【0031】
図5は、業者システム130のモジュール構成を示す図であり、顧客システム120のモジュール構成と同様、図に示す例ではシステムの主な処理はサーバにより行われるが、これに限られない。業者システム130は、本発明の基本処理を行うモジュールとして、顧客からの発注に基づき納品を指示する納品指示部501、納品した取引に関し決済処理サーバに発注識別情報と合わせて決済処理要求を送信する決済要求送信部502、発注された取引を識別するための発注識別情報を生成する発注識別情報生成部503および送受信部504を備える。
【0032】
図6は、決済処理サーバ140のモジュール構成を示す図であり、ハードウェア構成は上述の各個別システムと同様種々の形態をとることができる。また、決済処理サーバあるいはシステムは本技術分野で広く知られているものであり、様々な方式や付加機能を有するものが多く知られているため、ここでは、本実施形態の説明上必要と考えられる部分だけに絞って説明するが、必要であればこのような既に知られている技術を考慮して理解することもできる。決済処理サーバ140は、本実施形態で必要な基本処理を実行するモジュールとして、共同購買組織に請求書を発行したりする請求発行部601、業者に売り上げ情報に対応する支払指示等を行う支払処理部602および種々のデータ通信を行う送受信部603を備える。ここで、上述の通りクレジットカードあるいはパーチェシングカードによる決済処理においては、一般に請求書を発行するといった請求処理だけではなく、その後所定の口座から請求額を引き落としたり、振込を受け取ったり、場合によっては受け取り書を送信したりする処理により請求処理は完結する。本実施形態では、請求処理に伴う、あるいは引き続き必要となるこのような処理については特に説明しないが、本実施形態で請求処理と言った場合、これに伴う、あるいは引き続き必要な種々の本技術分野で知られた処理が行われるものとする。したがって、請求処理以外の処理を行うシステムも本発明の範囲に含まれるのはもちろん、そのような本実施形態で説明しない処理にここで言う請求処理がどのような形態で組み込まれていても、そのようなもの全体を指して請求処理と呼ぶことができるものとする。支払指示についても実際には振込処理やその他の送金処理が引き続いて行われるが、請求処理と同様に解釈するものとする。
【0033】
(本実施形態の処理)
以上、本実施形態の構成について説明したが、図1を参照して以上の構成を持つシステムを用いた本実施形態の処理を説明する。本実施形態では原則として図1に示す番号の順番に処理が行われるが、これはあくまで本実施形態のようなシステムの典型的な流れであって、常にこのような順序である必要はなく、一部順序を変更したり、一部の手順を入れ替えたり、異なる手順を加えることもできる。
【0034】
発注処理は、希望する品目、数量、金額を決定して行うが、顧客システム120では、このような情報とともに顧客ごとのカードのカード番号が指定されて発注がなされると、発注要求部401は業者端末130に発注要求を送信する(ステップ(1))。上述の通り、顧客システムで端末を使用しない場合、顧客は発注用紙に必要事項およびカード番号を記入してFAXしたり、電話により口頭で発注したりすることができる。このようにして発注が行われた場合、以下の業者システム130の処理では、まず発信情報のデータ化が行われる。
【0035】
発注要求を受信した業者システム130は、発注識別情報生成部503において発注識別情報が生成され、納品指示部501が発注要求に含まれる商品、数量などに基づいて納品の指示を行う。その結果、要求された商品が共同購買組織に、発注識別情報を含む納品書とともに納品され(ステップ(2))、その後顧客に納品される(ステップ(3))とともに、決済要求送信部502は、発注要求および納品状況に基づき、発注識別情報を含む決済処理要求を作成し決済処理サーバ140に送信するようにする(ステップ(4)および(5))。
【0036】
業者システム130が、決済処理サーバ140に売上情報を送信して決済処理を要求する、具体的には、情報受信部301において上記の各情報を受信すると、請求支払処理部303は、納品済みの売上情報を作成し、決済処理サーバ140に決済処理要求を送信する(ステップ(4))。この処理は、通常のパーチェシングカードあるいはクレジットカードのシステムと同様に、売上とともにほぼリアルタイムで送信されるか、または加盟店の都合に合わせて送信することができるが、ネットワークのトランザクションやシステムの環境、条件を考慮して月1回まとめて送信することもできる。ただし、これは任意のタイミングで行うことができ、月1回に限らず、複数回送信したり、都度送信したりすることもできる。
【0037】
決済処理要求を受信した決済処理サーバ140は、業者に振込通知を行って売上代金の振込を行う(ステップ(4))が、上述の通り種々の方法により送金処理が行われるので、本実施形態の例に限られることはない。同様に共同購買組織110に対しては請求書および利用明細送付等の請求処理(ステップ(6))、およびこれに基づく共同購買組織からの支払処理が行われるが、本発明を実装するために本実施形態と同じ処理をする必要がないことはいうまでもない。共同購買組織から支払われる手数料についてもまた同様である。各顧客はこのような手数料を支払わないですんだり、業者側が共同購買組織によるまとめ発注のインセンティブを受けたりすることもできる。したがって、業者および共同購買組織との種々の取引条件を格納しておくことにより、本技術分野で知られる様々な方法で請求、送金などの処理が可能となる。
【0038】
以上により、発注、納品、代金の支払いが完了すると、共同購買組織では発注した納品が確実にされたかどうかを確認して、顧客に個別支払請求を行う(ステップ(7))。本実施形態のシステムでは、業者システム130から納品書がデータで送信された場合は、決済処理サーバ140から受信した利用明細データと納品書データとの突合処理を発注識別情報をキーにして自動で行い、確実に納品されたことを確認して顧客システムに支払請求を送信する。支払請求が送信されると顧客は支払いを行う(ステップ(8))。
【0039】
一方、納品書がデータで送られない(納品時に紙で納品書が渡される)場合、共同購買組織サーバ110は、決済処理サーバ140から送信された利用明細を図8に示すようなフォーマットからなる紙で出力し、納品書と比較して突合を行う。この際、図8に示すように受信した利用明細はマッチングキーとして発注識別情報に関連付けられているので、発注識別情報でソートを行うことにより、納品書の発注識別情報とあわせて突合をより容易にすることができる。ソートの方法は本技術分野で知られたいずれの方法も使用することができるが、納品書との突合が容易になるような出力の仕方を工夫することにより、さらに突合をしやすくすることができる。
【0040】
このように、共同購買組織において自動的に突合処理を行うか、突合を容易にするように利用明細を出力させることにより、個別の支払請求先となる顧客は、確実に自分が発注して納品された商品の代金であることを認識することとなり、円滑に代金の支払いができるようになる。
【0041】
以上、本実施形態の特徴的な処理について説明したが、これにより共同購買組織から個人が特定できるよう発行されたカードおよび一意の発注番号を使用することにより、カード会社からの支払請求時発注者を特定し、請求処理を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明にかかる一実施形態のシステム全体の構成を示す図である。
【図2】従来のパーチェシングカードのシステム説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態の共同購買組織サーバのモジュール構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の顧客システムのモジュール構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態の業者システムのモジュール構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態の決済処理サーバのモジュール構成を示すブロック図である。
【図7】本発明にかかる一実施形態のクレジットカード付与および管理を説明するための図である。
【図8】本発明にかかる一実施形態の利用明細の出力例のフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
【0043】
110 共同購買組織サーバ
120 顧客システム
121、122 端末
130 業者システム
131、132 端末
133 データベース
140 決済処理サーバ
301 情報受信部
302 データ送信部
303 請求支払処理部
304 出力部
305 突合処理部
306 個別支払請求部
401 発注要求部
402 個別請求処理部
501 納品指示部
502 決済要求送信部
503 発注識別情報生成部
504 送受信部
601 請求発行部
602 支払処理部
603 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を受信すると、該発注要求により行われる取引を識別する発注識別情報を生成する発注識別情報生成手段と、前記発注識別情報を表示して前記商品識別情報で識別される商品を納品するよう指示する納品指示手段と、前記発注識別情報と、前記カード情報と、前記発注要求に対応する納品を指示した業者を識別する業者識別情報とを含む前記業者識別情報で特定される前記業者の売り上げの、前記カード情報により特定されるカードによる決済処理要求を送信する決済要求送信手段とを含む業者装置と、
前記購買支援装置から決済処理要求を受信すると、前記カード情報で特定されるカードの顧客の属する共同購買組織の共同購買装置に前記発注識別番号を含む支払請求を送信する請求送信手段と、前記受信した決済処理要求を送信した業者装置の業者に前記対応する支払処理をするよう支払指示を行う支払指示手段とを含む決済処理装置と、
前記決済処理装置から前記支払請求を受信すると、前記受信した支払請求の支払処理を指示する請求支払処理手段と、前記発注識別情報で識別される発注に対応する納品が受領した場合、該納品とともに表示された発注識別情報と、前記支払請求の明細とを出力する出力手段とを含む共同購買装置と
を備えたことを特徴とする決済処理システム。
【請求項2】
前記支払請求の明細は、前記発注識別情報と関連付けて出力されることを特徴とする請求項1に記載の決済処理システム。
【請求項3】
前記共同購買装置は、前記発注識別情報をキーにして前記発注要求情報と前記支払請求の明細との突合処理を実行する突合処理手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の決済処理システム。
【請求項4】
前記共同購買装置は、前記カード情報により特定されるカードユーザに前記支払請求のうち該カードユーザの使用した分について該カードユーザに個別支払の請求処理を実行する個別支払請求手段をさらに含むことを特徴とする請求項1、2または3に記載の決済処理システム。
【請求項5】
前記業者装置に発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を送信する発注要求手段と、個別支払の請求を要求する個別支払請求を受信すると当該受信した個別支払請求の処理を指示する請求処理手段とを含むユーザ端末をさらに備え、前記個別支払請求手段は、前記ユーザ端末に該ユーザ端末を使用するカードユーザに対する個別支払請求を送信することを特徴とする請求項4に記載の決済処理システム。
【請求項6】
業者装置において、発注識別情報生成手段により、発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を受信すると、該発注要求により行われる取引を識別する発注識別情報を生成する発注識別情報生成ステップと、納品指示手段によって、前記発注識別情報を表示して前記商品識別情報で識別される商品を納品するよう指示する納品指示ステップと、決済要求送信手段により、前記発注識別情報と、前記カード情報と、前記発注要求に対応する納品を指示した業者を識別する業者識別情報とを含む前記業者識別情報で特定される前記業者の売り上げの、前記カード情報により特定されるカードによる決済処理要求を送信する決済要求送信ステップとを含む業者装置処理ステップと、
決済処理装置において、請求送信手段により、前記購買支援装置から決済処理要求を受信すると、前記カード情報で特定されるカードの顧客の属する共同購買組織の共同購買装置に前記発注識別番号を含む支払請求を送信する請求送信ステップと、支払手段によって、前記受信した決済処理要求を送信した業者装置の業者に前記対応する支払処理をするよう支払指示を行う支払ステップとを含む決済処理ステップと、
共同購買装置において、支払指示手段により前記決済処理装置から前記支払請求を受信すると、前記受信した支払請求の処理を指示する支払指示ステップと、出力手段により、前記発注識別情報で識別される発注に対応する納品が受領した場合、該納品とともに表示された発注識別情報と、前記支払請求の明細とを出力する出力ステップとを含む共同購買処理ステップと
を備えたことを特徴とする決済処理方法。
【請求項7】
前記支払請求の明細は、前記発注識別情報と関連付けて出力されることを特徴とする請求項6に記載の決済処理方法。
【請求項8】
前記共同購買処理ステップは、前記発注識別情報をキーにして前記発注要求情報と前記支払請求の明細との突合処理を実行する突合処理ステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の決済処理方法。
【請求項9】
前記共同購買処理ステップは、前記カード情報により特定されるカードユーザに前記支払請求のうち該カードユーザの使用した分について該カードユーザに個別支払の請求処理を実行する個別支払請求ステップをさらに含むことを特徴とする請求項6、7または8に記載の決済処理方法。
【請求項10】
ユーザ端末において、発注要求手段により、前記業者装置に発注を要求する商品を識別する商品識別情報および決済に使用するカードを識別するカード情報を含む発注要求を送信する発注要求ステップと、請求処理手段により、個別支払の請求を要求する個別支払請求を受信すると当該受信した個別支払請求の処理を指示する請求処理ステップとを含むユーザ端末処理ステップをさらに備え、前記個別支払請求ステップは、前記ユーザ端末に該ユーザ端末を使用するカードユーザに対する個別支払請求を送信することを特徴とする請求項9に記載の決済処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−234571(P2008−234571A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76923(P2007−76923)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(594103301)三井住友カード株式会社 (39)