説明

沈砂池の集砂装置

【課題】低コストな構造で、かつ低動力にて効率的に集砂できるようにした沈砂池の集砂装置を提供すること。
【解決手段】揚砂ポンプ5の砂吸込口51を配設した集砂ピット11に向かって低くなるよう傾斜した池底12の形状を備えた沈砂池1の底部に向かって水を噴射するように集砂ノズル2を配設した沈砂池の集砂装置において、集砂ノズル2を、水面上に配設するとともに、噴射水が沈砂池1の側壁14と池底12とが接する隅角部10の近傍域に到達するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈砂池の集砂装置に関し、特に、沈砂池の底部に向かって水を噴射するように配設した集砂ノズルと、沈砂池の傾斜する池底に形成した集砂ピットとの組み合わせにより、沈砂池内に導入され、重力にて沈殿する汚水中の固形物、例えば、汚砂を池底の集砂ピット内に低動力にて集砂し、効率的に排出するようにした沈砂池の集砂装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場、ポンプ場等に設置される汚水池、沈砂池等(本明細書において、総称して「沈砂池」という。)においては、該沈砂池内に導入される汚水に含まれる固形物、例えば、汚砂は自然重力を利用して池底に沈殿、沈積させ、この沈砂を池底に設置した砂溜ピットに集めて大きな揚砂ポンプにて吸い上げ排出するようにしている。
また、ほぼ水平に近い池底に沈殿する汚砂を砂溜ピット内に流動集砂するために、池底或いは池底近傍に多数のジェットノズルを、そのノズル孔を砂溜ピットに向かうようにして配設し、このジェットノズルを順次切り替えて高圧ポンプから供給されるジェット水を噴射するようにしている。
【0003】
しかしながら、このジェットノズルより高圧のジェット水を噴射することで沈殿した汚砂は、そのジェット水の噴射水圧にて砂溜ピット側に向かって移動するも、比較的に軽い沈砂は再び舞い上がるようになり、集砂率が低下するとともに、ジェットノズルが特殊なものとなり高価であり、さらには池底形状も段や畝を設けるなど複雑な土木形状とする必要があり、工事費も嵩むという問題があった。
【0004】
また、ジェットノズルを池底或いは池底近傍に配設することから、このジェットノズル本体及びこれにジェット水を供給する給水管を池底或いは池底近傍に配設する必要があるので、汚水に含まれるごみ等がこれらのノズルや配管に引っかかったり、汚水中の石の衝突等にて破損したりすることがあるので、これを防止するために保護カバーを設ける必要があり、さらにはジェットノズルへのジェット水の供給を高圧にて行う必要があるので、給水ポンプは必然的に高圧となる。このため、イニシャルコスト、ランニングコストが多大となるという問題があった。
【0005】
また、下水処理場、ポンプ場等に沈砂池が複数配備される場合、各沈砂池毎にそれぞれ1台の集砂装置を必要とし、イニシャルコストが大きくなり、また定期的に各沈砂池毎にメンテナンスが必要になるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の沈砂池の集砂装置の有する問題点に鑑み、低コストな構造で、かつ低動力にて効率的に集砂できるようにした沈砂池の集砂装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の沈砂池の集砂装置は、揚砂ポンプの砂吸込口を配設した集砂ピットに向かって低くなるよう傾斜した池底の形状を備えた沈砂池の底部に向かって水を噴射するように集砂ノズルを配設した沈砂池の集砂装置において、集砂ノズルを、水面上に配設するとともに、噴射水が沈砂池の側壁と池底とが接する隅角部の近傍域に到達するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、沈砂池を矩形とし、池底の長手方向に沿い、かつ集砂ピットに導かれるよう傾斜した集砂トラフを形成することができる。
【0009】
また、沈砂池内を長手方向に沿って複数のゾーンに区画し、かつ各ゾーン毎に配設する集砂ノズルに、それぞれバルブを介して1台の給水ポンプに接続することができる。
【0010】
また、沈砂池内を複数に区画したゾーンの1つに集砂ピットを配設することができる。
【0011】
また、集砂ノズル及びこれに接続する配管を、沈砂池底より上方位置に配設することができる。
【0012】
また、沈砂池内を長手方向に沿って複数に区画した各ゾーンに、集砂ノズルと揚砂ポンプの吸込口を備えた集砂ピットとを備え、かつ各ゾーンの池底形状を集砂ピットに向かって傾斜するように形成することができる。
【0013】
また、各ゾーン毎の集砂ピット内に備えた揚砂ポンプの吸込口を、1台の揚砂ポンプにそれぞれバルブを介して接続し、バルブの切り替えにて、ゾーン毎に順次揚砂するようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の沈砂池の集砂装置によれば、揚砂ポンプの砂吸込口を配設した集砂ピットに向かって低くなるよう傾斜した池底の形状を備えた沈砂池の底部に向かって水を噴射するように集砂ノズルを配設した沈砂池の集砂装置において、集砂ノズルを、水面上に配設するとともに、噴射水が沈砂池の側壁と池底とが接する隅角部の近傍域に到達するようにすることにより、沈砂池内に導入され、重力にて沈殿する汚水中の固形物である汚砂を、池底に形成した集砂ピット内に低動力にて効率的に集砂することができる。特に、沈砂池の側壁下部の隅角部の近傍域に堆積しやすい汚砂を噴射水にて池底に沿って移送して集砂トラフ内に効果的に集砂することができる。
【0015】
また、沈砂池を矩形とし、池底の長手方向に沿い、かつ集砂ピットに導かれるよう傾斜して集砂トラフを形成することにより、重力にて沈殿する汚砂が池底のどの位置においても集砂トラフを経ることにより確実にすべて集砂ピットに集めることができる。
【0016】
また、沈砂池内を長手方向に沿って複数のゾーンに区画し、かつ各ゾーン毎に配設する集砂ノズルにそれぞれバルブを介して1台の給水ポンプに接続することにより、バルブの切り替えにて、順次ゾーン毎に給水することができるので、大きな沈砂池であっても各ゾーン毎の集砂が低動力にて確実に、効果的に行うことができ、さらには給水ポンプに大きな能力を要することがないので、イニシャル及びランニングコストを低く抑えることができる。
【0017】
また、沈砂池内を複数に区画したゾーンの1つに集砂ピットを配設することにより、大きな沈砂池であっても各ゾーン毎の沈殿汚砂を1つの集砂ピットに集めて効率的に揚砂排出することができる。
【0018】
また、集砂ノズル及びこれに接続する配管を、沈砂池底より上方位置に配設することにより、集砂ノズルや配管にごみが引っかかることもなく、メンテナンスが簡易となり、またその破損を未然に防止することができる。
【0019】
また、沈砂池内を長手方向に沿って複数に区画した各ゾーンに、集砂ノズルと池底に揚砂ポンプの吸込口を備えた集砂ピットとを備え、かつ各ゾーンの池底形状を集砂ピットに向かって傾斜するように形成することにより、ゾーン毎の集砂と揚砂とを行えるので、大きな沈砂池に或いは既設池に増設した場合にも簡易に適用することができる。
【0020】
また、各ゾーン毎の集砂ピット内に備えた揚砂ポンプの吸込口を、1台の揚砂ポンプにそれぞれバルブを介して接続し、バルブの切り替えにて、ゾーン毎に順次揚砂するようにすることにより、揚砂ポンプに大きな能力を要することがないので、小揚力の揚砂ポンプでも大きな沈砂池の揚砂を効率的に、低動力で稼働することができ、またイニシャル及びランニングコストを低く抑えられ、かつ排出が1カ所となるので洗浄などの後工程が簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の沈砂池の集砂装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図3に、本発明の沈砂池の集砂装置の第1実施例を示す。
第1実施例の沈砂池の集砂装置は、図1〜図3に示すように、ポンプ場、下水処理場等に配設される所要形状(図示の実施例では矩形としたが、これは限定されるものではない。)と大きさを備えた沈砂池1の池底12の形状を、底部の所定位置に配設した集砂ピット11に向かって低くなるよう傾斜した傾斜底とするとともに、この池底12に、必要に応じて、沈砂池1の幅方向の中央位置でその長手方向に沿って集砂トラフ13を形成し、この集砂トラフ13の一部に、該集砂トラフ13よりも深くなるようにして集砂ピット11を形成し、さらに、この沈砂池1の側壁14の内面で、水位レベルWL(集砂時の水位レベルWL1(本実施例においては、傾斜した池底12が露出するレベル))よりも上方位置、すなわち、水面上に、集砂ノズル2を配設し、この集砂ノズル2に集砂用給水配管3を介して集砂用水を供給するための給水ポンプ4を接続するとともに、集砂ピット11内に集めた砂を揚砂するようにした揚砂ポンプ5の砂吸込口51を配設して構成する。
この場合、集砂ノズル2だけでなく、これに配管する集砂用給水配管3も底面或いは水位レベルWLより上方に配設することで、集砂ノズル2や集砂用給水配管3へのごみの絡みつきを未然に防止することができる。
ここで、集砂ノズル2は、集砂時の水位レベルWL1よりも上方位置である限りにおいて、必ずしも常に通常の水位レベルWLよりも上方位置にある必要はなく、水位レベルWLよりも下方位置にあって、集砂を行う場合のみ、例えば、揚砂ポンプ5を運転する(このとき、後述の集砂ノズル2bからの噴射水により集砂ピット11内に集められ堆積する汚砂を攪拌するようにして、揚砂ポンプ5が閉塞することを防止するようにする。)ことによって水位を低下させて、集砂時の水位レベルWL1よりも上方位置の水面上に位置するようにすることもでき、このような配設状態を排除するものでない。
【0023】
集砂ノズル2は、特に限定されるものではないが、例えば、図1に示すように、沈砂池内をその長手方向に所定間隔で複数のゾーンa,b,c,d,e(図示の実施例では5ゾーンとしたがこれは限定されるものではない。)に分け、この各ゾーンa,b,c,d,e毎に各集砂ノズル2a,2b,2c,2d,2eを側壁14の内面に沿って配設するものとする。
ここで、ゾーンbは、集砂ピット11を含むため、このゾーンbに配設する集砂ノズル2bは、他の集砂ノズル2a,2c,2d,2eよりも低位置に配設するようにする。なお、このため、集砂ノズル2bは、水位レベルWL、さらには、集砂時の水位レベルWL1よりも下方位置に配設することもできる。
【0024】
なお、この各ゾーンの集砂ノズル2a,2b,2c,2d,2eには、それぞれバルブ3a,3b,3c,3d,3eを備えた分岐配管31,32,33,34,35を介して集砂用給水配管3に接続し、この集砂用給水配管3に給水ポンプ4を接続するものとし、これにより1台の給水ポンプ4にて各バルブ3a,3b,3c,3d,3eの切り替えで、各ゾーンに配設する集砂ノズル2a,2b,2c,2d,2eへ順次、或いは選択的に給水できるようにする。
このように1台の給水ポンプ4に切り替え可能とした各バルブを介して各ゾーンの集砂ノズル2a,2b,2c,2d,2eと接続することで、給水能力に限度あるポンプにても、言い換えれば小さな給水能力しかないポンプにても大きな沈砂池1の集砂を効率的に行うことができるものとなる。
【0025】
集砂ノズル2は、図3(c)に示すように、集砂ノズル2より噴射される水が、沈砂池1の側壁14の内面に沿う噴射水Xとなるように配設し、これによって、集砂ノズル2からの噴射水が沈砂池1の側壁14と池底12とが接する隅角部10の近傍域に到達するようにする。
これにより、沈砂池1内に導入される汚水中の比較的軽量な汚砂やごみ等が沈砂池1のの側壁14の内面に付着しても、集砂ノズル2より噴射される噴射水によって除去することができるとともに、沈砂池1の側壁14と池底12とが接する隅角部10の近傍域を含む池底12に堆積する汚砂を、集砂ピット11に向けて強制的に移送することができる。
なお、沈砂池1の池底12の形状は、池底12に堆積する汚砂を集砂ピット11に向けて移送しやすいように、集砂ピット11(又は集砂トラフ13)に向けて低くなるように傾斜した傾斜底とするが、この勾配θは、1/100程度以上に設定することが好ましい。
なお、集砂ノズルは、水面上に配設する集砂ノズル2のほか、集砂トラフ13を設ける場合には、集砂トラフ13に堆積する汚砂を、集砂ピット11に強制的に移送するための集砂ノズル(図示省略)を設けることもできる。
【0026】
また、集砂ピット11内に配設する揚砂ポンプ5の砂吸込口51は、集砂ピット11内に集められる汚砂(集砂)を、集砂ピット11内の汚水と共に吸い上げられるよう下向きに配設し、該砂吸込口51と、特に限定されるものではないが、例えば、池水面上に配設する揚砂ポンプ5とを揚砂配管52を介して接続し、該揚砂ポンプ5の駆動にて砂吸込口51より集砂ピット内集砂を吸引して揚砂排出配管53を経て池外部へ排出するようにするとともに、この揚砂配管52及び/又は揚砂排出配管53にはバルブ54を接続する。
【0027】
なお、集砂ピット11は、本実施例においては、沈砂池内を長手方向に所定間隔で形成するゾーンa,b,c,d,eのうちのいずれか1つ、特に限定されるものではないが、例えば、ゾーンbにおいて、集砂トラフ13の一部を深く形成して集砂ピット11に構成するようにしている。
そして、この集砂ピット11を備えたゾーンbに配設する集砂ノズル2bの位置は、他のゾーンa,c,d,eに配設する集砂ノズル2a,2c,2d,2eの配置位置よりも低く設定し、これにより集砂ノズル2bを集砂ピット11内に集められ堆積する汚砂を攪拌するようにして砂吸込口51により吸込をより確実に行うようにする。
【0028】
なお、沈砂池1の一端側には流入ゲートG1を、他端側には流出ゲートG2を、それぞれ配設し、集砂装置を運転するとき、運転開始前にて流入ゲートG1及び流出ゲートG2を閉鎖し、汚水の流通を停止するようにする。
また、流入ゲートG1の下流側には除塵機Jを配設して沈砂池1内に導入する汚水に含まれるごみ(し渣)等を予め除去するようにする。
また、本実施例のように、揚砂ポンプ5の下流側に配管される揚砂排出配管53の先端には沈砂洗浄槽Tを配設して揚砂排出配管53より排出される揚砂を該沈砂洗浄槽T内に一時的に貯留した後、沈砂洗浄機Wを経て洗浄し、さらに沈砂搬出機Cを経て沈砂ホッパーHへ搬出するように構成することも可能であるが、処理場の運転形態により、これ以外の設備構成とすることもできる。
【0029】
次に、この沈砂池の集砂装置の第1実施例における作用について説明する。
まず、流入ゲートG1及び流出ゲートG2を開いた状態では、砂池1内に汚水が導入されるが、このとき除塵機Jを駆動することで流入してくる汚水に含まれるごみ(し渣)は除去される。
そして、降雨後の場合のように、沈砂池1内に所定量の沈砂が堆積したときに、集砂を行う。
集砂は、まず、流入ゲートG1及び流出ゲートG2を閉鎖し、汚水の流通を停止した後、給水ポンプ4を駆動するようにする。このとき、揚砂ポンプ5は停止している。
そして、バルブ3bのみを開き、他のバルブ3a,3c,3d,3eを閉じておくことで、給水ポンプ4からの洗浄水は集砂用給水配管3を経て集砂ノズル2bのみに給水され、これにより、集砂ピット11内を攪拌する。
次いで、給水ポンプ4の駆動にて集砂ノズル2bからの噴射水の噴流により集砂ピット11内を攪拌しつつ、揚砂ポンプ5を駆動すると集砂ピット11内の沈砂は砂吸込口51より吸い込まれて揚砂されることとなる。なお、この揚砂時には沈砂洗浄機W、沈砂搬出機Cも駆動しておくものとする。
この場合、集砂ノズル2bからの噴射水の水量は、揚砂ポンプ5により揚水される水量よりも少なく設定するようにし、これにより、水位レベルWLを、集砂時の水位レベルWL1(本実施例においては、傾斜した池底12が露出するレベル)まで低下させるようにする。
これにより、集砂ノズル2が、通常は、水位レベルWLよりも下方位置にある場合でも、水面上に位置するようにすることができる。
【0030】
このように揚砂ポンプ5を所定時間駆動した後、給水ポンプ4及び揚砂ポンプ5を継続して駆動しつつ、バルブ3bに加え、バルブ3aも開くことで、同時に2つの集砂ノズル2a,2bより洗浄水が噴射されるようになり、ゾーンbより上流側のゾーンa内においては集砂ノズル2aからの噴射水にてゾーンa内の池底、特に、側壁14と池底12とが接する隅角部10に堆積することなく側壁下部より池底に沿って移送され集砂トラフ13内に集められるようになって沈降する。この集砂トラフ13内に沈降した汚砂は集砂トラフ内底の傾斜面に沿って集砂ピット11内に導かれ、集砂ノズル2bからの噴射水の噴流により攪拌されつつ、砂吸込口51より吸い込まれて揚砂配管52、揚砂ポンプ5、揚砂排出配管53を経て揚砂される。
なお、ゾーンb内に配設された集砂ノズル2bは、揚砂ポンプ5及び揚砂配管52、揚砂排出配管53の閉塞を防ぐため、バルブ3bを常に開弁して噴射水を噴流しておくものとする。
この場合、集砂ノズル2a,2bからの噴射水の水量と、揚砂ポンプ5により揚水される水量とを一致させることにより、集砂時の水位レベルWL1を一定にした状態に保持することができる(以下の場合も同様)。
【0031】
このようにしてゾーンa内の沈砂が集砂ピット11内に集められ、揚砂ポンプ5の駆動にて揚砂された後、次にバルブを切り替える。すなわち、バルブ3aを閉じ、バルブ3cを開くようにするとゾーンcに配設された集砂ノズル2cより噴射水が噴射されることにより、ゾーンc内の沈降汚砂はゾーンa内において生じた同じ現象にて、すなわち、ゾーンc内の噴射水にてゾーンc内の側壁14と池底12とが接する隅角部10に堆積することなく側壁下部より池底に沿って移送され集砂トラフ内に集められ、この集砂トラフ内に沈降集砂された汚砂は該集砂トラフ内底の傾斜面に沿って集砂ピット11内に導かれ、集砂ノズル2bからの噴射水の噴流により攪拌されつつ、砂吸込口51より吸い込まれて揚砂配管52、揚砂ポンプ5、揚砂排出配管53を経て揚砂される。
【0032】
次に、ゾーンc内の揚砂が完了するとバルブを切り替えてバルブ3cを閉じ、バルブ3dを開くようにするとゾーンdに配設された集砂ノズル2dより噴射水が噴射されることにより、ゾーンd内の沈降汚砂はゾーンa、c内において生じた同じ現象により同様にして揚砂される。このように、バルブの切り替えにて順次ゾーン内の集砂、揚砂を行うことで沈砂池1内の汚水も同時に排出され、順次池内の水位は低下していく。
そして、最終のゾーンe内の集砂及び揚砂が完了すると、給水ポンプ4を停止してすべてのバルブ3a,3b,3c,3d,3eを閉じ、揚砂ポンプ5のみを駆動するようにすると、集砂ピット11内の残量汚水と共に揚砂も行われ、最終的にほぼすべての沈砂池1内の汚水、集砂を排出することができ、集砂ピット11内の集砂が完了し、揚砂ポンプ5を停止する。
なお、集砂の順序は、本実施例に記載した順序に限定されず、例えば、ゾーンaとゾーンc,d,eとの順序を逆にすることもできる。
【0033】
この揚砂ポンプ5が停止した後、予め設定した時間、沈砂洗浄機W、沈砂搬出機Cを駆動してすべての揚砂を排出できるようにする。
そして、沈砂池1内に導入した汚水の集砂がすべて完了すると、次に流入ゲートG1、さらには、流出ゲートG2を開いて汚水を再び導入し、同じ作動を繰り返して行うようにし、連続的に汚水の集砂を行うようにする。
【実施例2】
【0034】
図4〜図5に、本発明の沈砂池の集砂装置の第2実施例を示す。
この沈砂池の集砂装置は、1つの沈砂池1内をその長手方向に複数のゾーン(これは特に限定されるものではないが、図示の実施例においては3つのゾーン)に分けることは、第1実施例と同じであるが、各ゾーンa,b,cには集砂トラフを省略して、各ゾーンa,b,cの底部を傾斜した池底とし、この傾斜池底の低い位置に集砂ピット11をそれぞれ配設するとともに、各集砂ピット内に砂吸込口51を配設するようにする。
そして、各ゾーンa,b,cに配設する集砂ピット内の砂吸込口51には、それぞれ分岐揚砂配管52a,52b,52cを介して1台の揚砂ポンプ5に接続するとともに、各分岐揚砂配管52a,52b,52cにはそれぞれバルブ54a,54b,54cを配設する。
なお、揚砂ポンプ5の吐出側に1本の揚砂排出配管53を接続することは第1実施例と同じであるが、各ゾーンにおいて集められた砂を排出するには、バルブ54a,54b,54cを切り替えて、順次或いは選択的に各ゾーン毎に砂吸込口51と揚砂ポンプ5とを接続して揚砂、排出するようにする。
【0035】
また、各ゾーンa,b,cには、池底位置より上方位置にそれぞれ集砂ノズル2a,2b,2cを配設するとともに、各集砂ノズル2a,2b,2cにバルブ3a,3b,3cを備えた分岐配管31,32,33を介して集砂用給水配管3に接続し、この集砂用給水配管3に給水ポンプ4を接続するもので、この構成は第1実施例と同じである。
これにより、1台の給水ポンプ4にて各バルブ3a,3b,3cの切り替えで、各ゾーンに配設する集砂ノズル2a,2b,2cへ順次、或いは選択的に給水できるようにする。
【0036】
次に、この沈砂池の集砂装置の第2実施例の作用について説明する。
流出ゲートG2を閉じ、流入ゲートG1を開くことで矩形の沈砂池1内に所定量の汚水を導入した後、流入ゲートG1を閉じ、揚砂ポンプ5を停止した状態で、給水ポンプ4を駆動する。
次にバルブ3aの開により流入ゲートG1に近い最初のゾーンa内の集砂ノズル2aへ給水して噴射水を噴射するとともに、バルブ54a(バルブ54b,54cを閉じておく。)を開いてゾーンaの内底の集砂ピットから沈砂を砂吸込口51を経て揚砂ポンプ5にて揚砂、排出する。そして、ゾーンa内の集砂ピットから沈砂が排出されると、次にバルブを切り替えて、バルブ3a及びバルブ54aを閉じ、代わりにバルブ3b及びバルブ54bを開くようにして、ゾーンb内の沈砂を揚砂、排出する。
このように、順次バルブを切り替え、ゾーンaからゾーンcまでの揚砂を完了する。
なお、1つのゾーンにおいて揚砂している場合は、他のゾーンにおけるバルブを閉じるようにすることで、容量の小さな1台の給水ポンプ及び揚砂ポンプを用いて効率的に集砂及び揚砂を行うことができる。
なお、この第2実施例においても、揚砂時には沈砂洗浄機W及び沈砂搬出機Cを駆動しておくものである。
【0037】
また、この第2実施例においては、1つの沈砂池1内をその長手方向に1列に複数の、これは特に限定されるものではないが、例えば、3つのゾーンに分けているが、これを図7に示す実施例のように、沈砂池1の長さが短く、かつその幅方向が大きい場合などにおいては、沈砂池1の長手方向に2〜3ゾーンに、幅方向に2列となるようにして配列配置することも可能である。
また、この図7においては、ゾーン内に配設する集砂ノズル、砂吸込口及びそれらへの配管、バルブ等の図示を省略しているが、図4〜図6に示すように配設されている。
【0038】
以上、本発明の沈砂池の集砂装置について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の沈砂池の集砂装置は、低コストな構造で、かつ低動力にて効率的に集砂できることから、沈砂池における集砂の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の沈砂池の集砂装置の第1実施例を示す正面縦断面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同側面縦断面図で、(a)は図2のA−A断面図、(b)図2のB−B断面図、(c)は集砂ノズルからの噴射水の噴射状態を示す説明図である。
【図4】本発明の沈砂池の集砂装置の第2実施例を示す正面縦断面図である。
【図5】同平面図である。
【図6】同変形実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 沈砂池
10 隅角部
11 集砂ピット
12 池底
13 集砂トラフ
14 側壁
2 集砂ノズル
2a〜2e 集砂ノズル
3 集砂用給水配管
3a〜3e バルブ
31〜35 分岐配管
4 給水ポンプ
5 揚砂ポンプ
51 砂吸込口
52a〜52c 分岐揚砂配管
53 揚砂排出配管
54a〜54c バルブ
a,b,c,d,e ゾーン
X 噴射水
C 沈砂搬出機
G1 流入ゲート
G2 流出ゲート
H 沈砂ホッパー
J 除塵機
T 沈砂洗浄槽
W 沈砂洗浄機
WL 水位レベル
WL1 水位レベル(集砂時)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚砂ポンプの砂吸込口を配設した集砂ピットに向かって低くなるよう傾斜した池底の形状を備えた沈砂池の底部に向かって水を噴射するように集砂ノズルを配設した沈砂池の集砂装置において、集砂ノズルを、水面上に配設するとともに、噴射水が沈砂池の側壁と池底とが接する隅角部の近傍域に到達するようにしたことを特徴とする沈砂池の集砂装置。
【請求項2】
沈砂池を矩形とし、池底の長手方向に沿い、かつ集砂ピットに導かれるよう傾斜した集砂トラフを形成したことを特徴とする請求項1記載の沈砂池の集砂装置。
【請求項3】
沈砂池内を長手方向に沿って複数のゾーンに区画し、かつ各ゾーン毎に配設する集砂ノズルに、それぞれバルブを介して1台の給水ポンプに接続したことを特徴とする請求項1又は2記載の沈砂池の集砂装置。
【請求項4】
沈砂池内を複数に区画したゾーンの1つに集砂ピットを配設したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の沈砂池の集砂装置。
【請求項5】
集砂ノズル及びこれに接続する配管を、沈砂池底より上方位置に配設したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の沈砂池の集砂装置。
【請求項6】
沈砂池内を長手方向に沿って複数に区画した各ゾーンに、集砂ノズルと揚砂ポンプの吸込口を備えた集砂ピットとを備え、かつ各ゾーンの池底形状を集砂ピットに向かって傾斜するように形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の沈砂池の集砂装置。
【請求項7】
各ゾーン毎の集砂ピット内に備えた揚砂ポンプの吸込口を、1台の揚砂ポンプにそれぞれバルブを介して接続し、バルブの切り替えにて、ゾーン毎に順次揚砂するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の沈砂池の集砂装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−126145(P2008−126145A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314305(P2006−314305)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)