説明

河岸・渓岸の侵食速度予測方法

【課題】噴流実験により得られた噴流侵食速度から、対象となる河岸・渓岸の流水により生じる流水侵食速度を予測する。
【解決手段】事前に、各種試料について、ノズルからの所定の流速で噴流水を衝突させたときに形成される侵食孔の侵食深さを計測する噴流実験において、単位時間当たりの侵食深さである噴流侵食速度と時間との関係を求めた相関式と、実験水路の底面に試料を敷き詰めて所定の流速で流水させたときの侵食深さを計測する水路実験において、単位時間当たりの侵食深さである流水侵食速度と時間との関係を求めた相関式とを求めるとともに、これら両相関式に基づいて前記噴流侵食速度と前記流水侵食速度の関係式を導出しておき、対象となる河岸・渓岸の地山について、前記噴流実験により測定した噴流侵食速度を前記関係式に導入して、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河岸や渓岸の地山が流水によって侵食される侵食速度の予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、河川流によって河岸や渓岸の地山が侵食されて河川に土砂が流出し、川底や河口への堆積、土砂災害などの様々な問題が指摘されていた。
【0003】
このような河岸や渓岸侵食の対策として、従来より地山の侵食防止に関する技術が提案されている。例えば、下記特許文献1では、水辺等で用いるのに好適な緑化資材として、一般緑化資材に石炭灰等の第1資材を所定量混合したものに、消石灰等のアルカリ性物質の第2資材を所定量混合した緑化資材を、地山上に棚状あるいは格子状に吹き付けて流出防止柵を設置することにより、緑化資材の侵食防止性、保肥性、施工性等を改善して、地山の緑化並びに土砂の流出防止を図ることが記載されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、湖岸や水辺等の地山の侵食を防止することを目的として、良質土、炭、ピートモス等の基盤材料を50mmの厚さとなるように圧縮して基盤用土体を形成し、当該基盤用土体をネット状袋体に収納すると共に、所定間隔に縦横に逢着形成して緑化基盤体を構成し、当該緑化基盤体に沈水植物を植栽固定することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−136220号公報
【特許文献2】特開2003−328337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に記載される地山の侵食防止技術は、実際に河岸・渓岸に施工することにより地山の流出防止に効果的と思われるが、過度の対策施工を講じることは、膨大な対策費用が掛かるとともに、生態系への悪影響などの問題も生じ得る。そこで、対策が必要な場所を特定するために、将来の地山侵食の進行状況を予測する方法が望まれていた。
【0006】
このように河岸・渓岸侵食の予測は、河川・砂防計画を立案する上で、重要な課題となっている。ところが、現地での地山侵食に関するデータはほとんど無いため、河岸・渓岸の侵食量の影響に関しては、計画立案の際、数値計算や水理模型実験では無視している場合が多かった。この結果、河岸・渓岸侵食によって地山崩壊が発生し、新たな土砂生産および土砂氾濫の原因となっていた。
【0007】
近年では、粘着性土の渓岸侵食機構に支配的な渓岸構成材料の物性値等が徐々に明らかになりつつあるが、現地においては渓岸を構成する材料が粘着性を有している場合が多く、また、侵食を受けやすい構造(礫層、互層等)、植生が侵食速度に及ぼす影響等、依然として不明な点が多い。
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、上記問題点を解決するために、河岸・渓岸の侵食を予測する方法を提供するものであって、具体的には、噴流実験により得られた噴流侵食速度から、対象となる河岸・渓岸における流水侵食速度を推定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、事前に、各種試料について、ノズルから所定の流速で噴流水を衝突させたときに形成される侵食孔の侵食深さを計測する噴流実験において、単位時間当たりの侵食深さである噴流侵食速度と時間との関係を求めた相関式と、実験水路の底面に試料を敷き詰めて所定の流速で流水させたときの侵食深さを計測する水路実験において、単位時間当たりの侵食深さである流水侵食速度と時間との関係を求めた相関式とを求めるとともに、これら両相関式に基づいて前記噴流侵食速度と前記流水侵食速度の関係式を導出しておき、
対象となる河岸・渓岸の地山について、前記噴流実験により測定した噴流侵食速度を前記関係式に導入して、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度を推定することを特徴とする侵食速度予測方法が提供される。
【0010】
請求項2に係る本発明として、事前に、60%粒径d60、粘着力c、湿潤密度ρsの物性値を有する各種試料について、ノズルから平均流速ν、噴射時間tで前記試料に噴流水を衝突させたときに形成される侵食孔の侵食深さを計測する噴流実験において、単位時間当たりの侵食深さである噴流侵食速度Ejと時間との関係を求めた下式(12)により表される相関式と、
【0011】
【数12】

ここで、α1、β1:係数
実験水路の底面に前記試料を敷き詰めて摩擦速度u*、通水時間tで流水させたときの侵食深さを計測する水路実験において、単位時間当たりの侵食深さである流水侵食速度Eと時間との関係を求めた下式(16)により表される相関式と、
【0012】
【数16】

ここで、α2、β2:係数
を求めるとともに、これら両相関式に基づいて下式(18)に示される前記噴流侵食速度Ejと前記流水侵食速度Eの関係式を導出しておき、
対象となる河岸・渓岸の地山について、前記噴流実験により測定した噴流侵食速度Ejを前記関係式に導入して、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度Eを推定することを特徴とする侵食速度予測方法が提供される。
【数18】

ここで、α0、β0:係数
【0013】
上記請求項1、2記載の本発明においては、簡易な噴流実験から得られた噴流侵食速度を、事前に流水実験と水路実験との相関性から導いた相関式に適用することにより、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度が予測可能となる。
【0014】
請求項3に係る本発明として、前記噴射実験は、所定の噴射口径の噴射ノズルを用い、ノズル先端から試料までの噴射距離を一定に保持するとともに、ノズルからの平均流速を一定として、試料に水平に水を噴射したときに形成される侵食孔の試料表面からの深さである侵食深さδjを測定し、該侵食深さδjと噴射時間tとから、次式(1)により前記噴流侵食速度Ejを算出することを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の河岸・渓岸の侵食速度予測方法が提供される。
【0015】
【数1】

上記請求項3記載の本発明は、前記噴流実験の実験方法と、この実験による噴流侵食速度Ejの算出方法を示したものである。
【発明の効果】
【0016】
以上詳説のとおり本発明によれば、噴流実験により得られた噴流侵食速度から、対象となる河岸・渓岸の流水により生じる流水侵食速度を予測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係る河岸・渓岸の侵食速度予測方法は、図1に示されるように、事前に、各種試料について、ノズルからの平均流速νで噴流水を衝突させたときに形成される侵食孔の侵食深さを計測する噴流実験において、単位時間当たりの侵食深さである噴流侵食速度Ejと時間との関係を求めた相関式と、実験水路の底面に試料を敷き詰めて摩擦速度u*で流水させたときの侵食深さを計測する水路実験において、単位時間当たりの侵食深さである流水侵食速度Eと時間との関係を求めた後述する式(18)に示される相関式とを求めるとともに、これら両相関式に基づいて前記噴流侵食速度Ejと前記流水侵食速度Eの関係式を導出しておき、対象となる河岸・渓岸の地山について、前記噴流実験により測定した噴流侵食速度Ejを前記関係式に導入して、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度Eを推定するものである。
【0018】
前記相関式は、図2に示されるように、噴流実験による噴流侵食速度Ejと時間tとの関係式と、水路実験による流水侵食速度Eと時間tとの関係式とから、次元解析により求めることができる。以下、前記相関式の導出方法について詳述する。
【0019】
(噴流実験)
前記噴流実験の実験方法と実験結果について詳述する。噴流実験では、試料1として、表1に示されるものを使用した。
【0020】
【表1】

噴流実験では、図3に示されるように、市販の電動式噴霧器2の噴射口に口径1.2mmのノズル3を取付け、ノズル3先端から試料1までの噴射距離を50cm、ノズル3出口の平均流速を23.9m/s、噴射時間tを10秒、20秒、30秒として、試料1に水平に水を噴射したときに形成される侵食孔4の試料表面からの深さである侵食深さδjを測定し、該侵食深さδjと噴射時間tとから、次式(1)により噴流侵食速度Ejを算出する。
【数1】

【0021】
この結果、噴射時間tと噴流侵食速度Ejとの関係は、図4〜図6に示されるように、噴射時間の増加とともに、侵食速度は低下する傾向にある。これは、侵食の進行につれて、ノズル3からの噴流と侵食孔4内の戻り流との干渉が生じ、侵食孔4の底面に衝突する噴流の速度が減少するためと考えられる。
【0022】
現地の河岸・渓岸では、構成材料であるシルト等の粘着性材料に礫が混入している場合が多い。この場合、噴流を当てる場所によって侵食速度が大きく変化するので、注意を要する。具体的には、噴流で礫が移動することにより侵食速度が急激に増加したり、逆に礫が移動せずに侵食速度が低下する場合がある。このような場合には、実験中の侵食孔から流出する礫等の状況や、実験後の侵食孔の壁面の状況等を観察して評価し、礫の影響が明らかに認められる場合には、解析から除外する等の措置をとる。本噴流実験においては、試料No.2の実験結果に、礫の影響が認められたため、解析から除外した。
【0023】
また、試料No.9は、市販の粘土であり、含水比、密度、液性限界等の物性値については他の粘土(試料No.10〜13)とほぼ同じであるが、粘着力は試料中最大の32kN/m2であった。このような粘着力を有する地山は現場の河岸・渓岸では殆ど見られない数値であるため、解析から除外した。
【0024】
各試料について、噴流侵食速度Ejと噴射時間tとの関係を次式(2)で近似した。ここで、式(2)中a1、b1は、それぞれ係数である。
【数2】

【0025】
式(2)によって近似した各試料の係数b1は、試料No.2およびNo.9を除外した平均値が約-0.5で一定値となった。
【0026】
一方、係数a1は、砂とベントナイトとの混合材(試料No.14〜20:図6参照)について検討すると、図7に示されるように、ベントナイトの重量比RBに対して、次式(3)に示される関係にあることが明らかとなった。このことから、係数a1は粘着性土の湿潤密度ρs等の物理量により変化する量であると推測できる。
【数3】

【0027】
次に、粘着力cと噴流侵食速度Ejとの関係について考察する。ここで、前記粘着力cは、一般的な土質試験法である三軸圧縮試験によって得られた値である。
【0028】
粘着力cと噴流侵食速度Ej(噴射時間t=30秒)との関係を図8に示す。この結果から、粘着力cが増加すると噴流侵食速度Ejは減少する、また同程度の粘着力(10kN/m2)でも、砂とベントナイトの混合材(試料No.14〜18)の方がシルト(試料No.1、6、7)より噴流侵食速度Ejが約4倍速くなることが明らかとなった。このように、同程度の粘着力cを有していても試料によって噴流侵食速度Ejが大きく異なるため、試料の噴流侵食速度Ejは、粘着力c以外の物理量によっても変化すると言える。なお、上記の傾向は、噴射時間t=10秒、20秒の各測定結果においても同様であった。
【0029】
図8から、噴流侵食速度Ejと粘着力cの関係を式に表すと、次式(4)のような関係にある。
【数4】

【0030】
次に、60%粒径d60と噴流侵食速度Ejとの関係について考察する。前記粒径d60は、一般的な土質試験法であるふるい分け試験によって得られた値である。
【0031】
60%粒径d60と噴流侵食速度Ej(噴射時間t=30秒)との関係を図9に示す。この結果から、シルト(試料No.1、2、6、7:d60=0.035〜0.069mm)、粘土(試料No.9〜13:d60=0.008〜0.0106mm)、砂とベントナイトとの混合材(試料No.14〜18:d60=0.25mm)の測定結果に着目すると、粒径d60が大きい方が噴流侵食速度Ejが大きくなる傾向にある。これは、粘性土の粘着力は砂粒子間の空隙に入り込んだ粘土の粘性によって生じ、一般に粒径が大きくなると、空隙率が低下して空隙に入り込む粘土の量が減少し、粒子間の粘着力が小さくなって土砂の剥離が容易に生じて噴流侵食速度Ejが大きくなると考えられる。
【0032】
また、シルト(試料No.1、2、6、7)および砂とベントナイトとの混合材(試料No.14〜18)の測定結果を直線近似したものを同図中に点線で示す。この結果から、粘土(試料No.9〜13)は、前記近似線から上方(侵食速度が速い方)に外れているため、60%粒径d60の割合に比して侵食が速く進行する傾向にあると言える。これは、噴流による粘土の剥離が塊状に生じて侵食が進行しているためと考えられる。
【0033】
なお、上記の傾向は、噴射時間t=10秒、20秒の各測定結果においても同様であった。また、上記の噴流侵食速度Ejと60%粒径d60の関係を式に表すと、次式(5)のようになる。
【数5】

【0034】
(水路実験)
続いて、前記水路実験の実験方法と実験結果について詳述する。水路実験では、試料1として砂とベントナイトとの混合材(表1中試料No.14、17、18、20)を使用した。
水路実験では、図10に示されるように、幅50cm、勾配1/20の矩形断面水路5の底面に、幅10cm、長さ2m、深さ5cmのピット6を設け、該ピット6に試料1を敷き詰めた状態で、矩形水路上方から表2に示される各条件で、所定時間流水させた後、前記試料1の侵食深さを測定し、該侵食深さδと通水時間tとから、下式(6)により流水侵食速度Eを算出する。
【数6】

【表2】

【0035】
この結果、通水時間tと流水侵食速度Eとの関係は、図11、12に示されるように、ベントナイトの重量比RBが10%、20%、40%のいずれの場合も、通水時間tの増加によって、流水侵食速度Eは直線的に減少している。これは、侵食の進行に伴い、ピット6に敷き詰めた試料1の表面が水路底面よりも低くなって、掃流力が低下したためと考えられる。自然堆積河岸の実験においても、同様に側面の侵食が進み、ヒサシ状となって崩壊する河岸侵食の進行過程において、ヒサシの下の流速は侵食と共に減速され侵食速度が低下することが知られている。
【0036】
図11、12の流水侵食速度Eと通水時間tとの関係は、次式(7)のような近似式で表すことができる。ここで、式(7)において、a2、b2はそれぞれ係数である。
【数7】

【0037】
次に、上式(7)の係数a2、b2に影響する物理因子について検討する。前記係数a2は、図13に示されるように、摩擦速度u*に対して相関性があり、摩擦速度u*の増加に伴って増加する傾向にある。この関係を式に表すと次式(8)のようになる。なお、摩擦速度u*とは、重力加速度g、水深h、水路勾配i=1/20とするとu*=(ghi)1/2から得られ、流量に関係した量である。
【数8】

【0038】
一方、係数b2は、図14に示されるように、ベントナイトの重量比RBに対して相関性があり、ベントナイトの重量比RBの増加に伴って増加する傾向にある。この関係を式に表すと次式(9)のようになる。
【数9】

以上の検討結果から、水路実験における流水侵食速度Eは、摩擦速度u*およびベントナイトの重量比RBなどの物理量にも関与した値であると言える。
【0039】
(相関式の導出)
次に、前記噴流実験および水路実験により得られた各関係式から、次元解析によって侵食速度を推定する相関式を導出する。以下その方法について詳述する。
【0040】
まず、噴流実験による侵食速度と時間との関係について説明する。前述の通り、噴流による噴流侵食速度Ejに関与する物理量は、上式(1)〜式(5)にも示される通り、噴射時間t、噴流のノズル出口における平均流速ν、60%粒径d60、粘着力c、湿潤密度ρsと考えられ、これらの間に次式(10)のような関数関係が成立するとする。
【0041】
【数10】

上式(10)から無次元項を用いて変形すると、次式(11)が得られる。
【0042】
【数11】

上式(11)の左辺前項を無次元侵食速度yj、同後項を無次元時間xjとすると、噴流実験の結果は、図15に示されるように整理され、この一般近似式は、次式(12)のように表される。
【0043】
【数12】

ここで、α1、β1:係数
また、図15から、上式(12)の係数α1、β1を算出した近似式は、次式(13)のように表される。
【0044】
【数13】

次に、水路実験による侵食速度と時間との関係について考察する。前述の通り、水流による流水侵食速度Eに関与する物理量は、通水時間t、摩擦速度u*、60%粒径d60、粘着力c、湿潤密度ρsと考えられ、これらの間に次式(14)のような関数関係が成立するとする。
【0045】
【数14】

上式(14)から無次元項を用いて変形すると、次式(15)が得られる。
【数15】

【0046】
上式(15)の左辺前項を無次元侵食速度y、同後項を無次元時間xとした噴流実験の結果は、図16に示されるように整理され、この一般近似式は、次式(16)のように表される。
【0047】
【数16】

ここで、α2、β2:係数
また、図16から、上式(16)の係数α2、β2を算出した近似式は、次式(17)のように表される。
【0048】
【数17】

以上の結果から、噴流実験による噴流侵食速度Ejと、水路実験による流水侵食速度Eとの関係式を求めると、一般近似式は式(12)および式(16)から次式(18)のように、近似式は式(13)および式(17)から次式(19)のように示される。
【0049】
【数18】

ここで、α0、β0:係数
【0050】
【数19】

上式(19)により、噴流実験によって噴流侵食速度Ejを求めれば、河岸・渓岸の流水侵食速度Eが推定可能となる。これにより、噴流実験により得られた噴流侵食速度から、流水により生じる河岸・渓岸の流水侵食速度を予測することが可能となり、将来の河川・砂防計画に貢献することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る侵食速度予測方法の流れ図である。
【図2】相関式の導出方法の流れ図である。
【図3】噴流実験の実験装置概略図である。
【図4】現地の地山を試料とした噴流実験の噴射時間と侵食速度との関係を示すグラフである。
【図5】粘土を試料とした噴流実験の噴射時間と侵食速度との関係を示すグラフである。
【図6】砂とベントナイトとの混合材を試料とした噴流実験の噴射時間と侵食速度との関係を示すグラフである。
【図7】砂とベントナイトとの混合材を試料とした噴流実験におけるベントナイトの重量比RBと式(2)の係数a1との関係を示すグラフである。
【図8】噴流実験における粘着力cと噴流侵食速度Ejとの関係を示すグラフである。
【図9】噴流実験における60%粒径d60と噴流侵食速度Ejとの関係を示すグラフである。
【図10】水路実験の実験装置概略図である。
【図11】水路実験における通水時間tと流水侵食速度Eとの関係を示すグラフ(その1)である。
【図12】水路実験における通水時間tと流水侵食速度Eとの関係を示すグラフ(その2)である。
【図13】水路実験における摩擦速度u*と式(7)の係数a2との関係を示すグラフである。
【図14】水路実験におけるベントナイトの重量比RBと式(7)の係数b2との関係を示すグラフである。
【図15】噴流実験における無次元時間xjと無次元侵食速度yjとの関係を示すグラフである。
【図16】水路実験における無次元時間xと無次元侵食速度yとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1…試料、2…噴霧器、3…ノズル、4…侵食孔、5…水路、6…ピット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に、各種試料について、ノズルから所定の流速で噴流水を衝突させたときに形成される侵食孔の侵食深さを計測する噴流実験において、単位時間当たりの侵食深さである噴流侵食速度と時間との関係を求めた相関式と、実験水路の底面に試料を敷き詰めて所定の流速で流水させたときの侵食深さを計測する水路実験において、単位時間当たりの侵食深さである流水侵食速度と時間との関係を求めた相関式とを求めるとともに、これら両相関式に基づいて前記噴流侵食速度と前記流水侵食速度の関係式を導出しておき、
対象となる河岸・渓岸の地山について、前記噴流実験により測定した噴流侵食速度を前記関係式に導入して、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度を推定することを特徴とする河岸・渓岸の侵食速度予測方法。
【請求項2】
事前に、60%粒径d60、粘着力c、湿潤密度ρsの物性値を有する各種試料について、ノズルから平均流速ν、噴射時間tで前記試料に噴流水を衝突させたときに形成される侵食孔の侵食深さを計測する噴流実験において、単位時間当たりの侵食深さである噴流侵食速度Ejと時間tとの関係を求めた下式(12)により表される相関式と、
【数12】

ここで、α1、β1:係数
実験水路の底面に前記試料を敷き詰めて摩擦速度u*、通水時間tで流水させたときの侵食深さを計測する水路実験において、単位時間当たりの侵食深さである流水侵食速度Eと時間tとの関係を求めた下式(16)により表される相関式と、
【数16】

ここで、α2、β2:係数
を求めるとともに、これら両相関式に基づいて下式(18)に示される前記噴流侵食速度Ejと前記流水侵食速度Eの関係式を導出しておき、
対象となる河岸・渓岸の地山について、前記噴流実験により測定した噴流侵食速度Ejを前記関係式に導入して、対象となる河岸・渓岸の地山の流水侵食速度Eを推定することを特徴とする河岸・渓岸の侵食速度予測方法。
【数18】

ここで、α0、β0:係数
【請求項3】
前記噴射実験は、所定の噴射口径の噴射ノズルを用い、ノズル先端から試料までの噴射距離を一定に保持するとともに、ノズルからの平均流速を一定として、試料に水平に水を噴射したときに形成される侵食孔の試料表面からの深さである侵食深さδjを測定し、該侵食深さδjと噴射時間tとから、次式(1)により前記噴流侵食速度Ejを算出することを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の河岸・渓岸の侵食速度予測方法。
【数1】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−224505(P2007−224505A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43618(P2006−43618)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(504338829)財団法人建設技術研究所 (7)