説明

油含有アジュバントと界面活性剤含有アジュバントとの間の干渉の減少

ワクチン組成物における脂肪アジュバントの含有は、ある抗原性成分、特に界面活性剤成分を含む抗原と障害を生じ得る。抗原および脂肪アジュバントを含む免疫原性組成物を調製するための方法は、界面活性剤の不存在下で実質的な抗原の精製を包含する。界面活性剤を避けることができない場合、以下:(i)界面活性剤を含む抗原成分、および(ii)脂肪アジュバント成分を組合わせられ、この脂肪アジュバントと界面活性剤の重量比が1000:1より小さい組成物を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書中に引用されるすべての文書は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、アジュバントワクチンを製造する分野にある。特に界面活性剤含有抗原に基づいたワクチンの製造の間に脂肪アジュバントを使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
ワクチン抗原に対する免疫応答を増強するためのアジュバントの使用は周知である(例えば、参考文献1および2(非特許文献1および非特許文献2)を参照のこと)。長年ヒト使用に関して認可されたアジュバントはアルミニウム塩のみであったが、MF59アジュバントおよびRC−529アジュバントを含むワクチンが、イタリア(ChironのFLUADTM製品)およびアルゼンチン(Berna BiotechのSUPERVAXTM製品)を含む種々の国々で認可されている。さらに後期のヒトの実験的使用におけるアジュバントとして、コレステロールおよびサポニンの混合物、ISCOM、MPLTM、AS04、ビロソーム、SBA4などが挙げられる。
【0004】
アルミニウム塩のいくつかの代替物の一般的特徴は、脂肪成分の存在である。例えば、MF59アジュバントは、スクアレン(1種の油)を含み、MPLTMは、ジグルコサミンバックボーンに結合された複数の脂肪酸鎖を有するモノホスホリルリピドAの脱アシル化形態を含む。
【0005】
本発明は、これら脂肪アジュバントと界面活性剤成分を含む抗原との間で生じ得る干渉の回避に関する。
【非特許文献1】Vaccine Adjuvants:Preparation Methods and Research Protocols、Methods in Molecular Medicineシリーズの第42巻、ISBN:1−59259−083−7、O’Hagan編
【非特許文献2】Vaccine Design:The Subunit and Adjubant Approach(Powell&Newman)、1995年、Plenum Press、ISBN:0−306−44867−X)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(本発明の要旨)
本発明者は、ワクチン組成物中の脂肪アジュバントが界面活性剤成分を含む抗原と不適合であり得ることを見出した。しかしながら多くの場合において、脂肪アジュバントと抗原/界面活性剤混合物とを組み合わせることが依然として所望され、そのようにすることで生じ得る障害を回避する方法を提供することが本発明の目的である。さらに不適合性が回避されるアジュバントと抗原を組み合わせるためのプロセスを提供することが目的である。
【0007】
代表的に界面活性剤を使用することにより精製される抗原を使用する場合、これら不適合性の問題を回避するために、本発明の第1の局面は、免疫原性組成物を調製するためのプロセスを提供し、ここで(a)この組成物は、抗原および脂肪アジュバントを含む;そして(b)この抗原は、界面活性剤の実質的な不在下で精製される。界面活性剤の使用を回避する代替経路によって抗原を精製することにより、脂肪アジュバントとのあらゆる不適合性を克服し得る。
【0008】
しかしながら、臨床的、歴史的または規制的理由のため、界面活性剤の使用なしに抗原を精製することもワクチンから界面活性剤を完全に取り除くことも不可能であり得る。この場合において、本発明は組成物中の油と界面活性剤の比を減少させることにより干渉を回避する。代表的なMF59/HBsAgワクチンは、4000:1(重量で)を超える油:界面活性剤比を有する、界面活性剤に比べ非常に過剰量の油を含む。本発明は、組成物中の脂肪アジュバントの量を最小限にすることを目的とし、第2の局面において本発明は、最大でも1000倍重量過剰な油を使用する。従って、本発明は、(i)界面活性剤を含む抗原成分と(ii)脂肪アジュバント成分とを組み合わせる工程を包含する免疫原性組成物を調製するためのプロセスを提供し、この脂肪アジュバントと界面活性剤の重量比が1000:1より小さい組成物を与える。同様に、本発明は、免疫原性組成物を提供し、ここで(a)この組成物は抗原成分および脂肪アジュバント成分含み;(b)この抗原成分は界面活性剤を含み;そして(c)この脂肪アジュバントと界面活性剤の重量比が1000:1より小さい。
【0009】
(脂肪アジュバント)
本発明の第1および第2の両方の局面は、脂肪アジュバント、すなわち脂肪分子を含むアジュバント成分を利用する。代表的な脂肪アジュバントは、代謝可能な油、脂肪酸および/または脂肪酸部分を含む分子を含む。
【0010】
2つの好ましい脂肪アジュバントは、「MF59」および「MPL」として公知のアジュバントである。「MF59」は、脂肪アジュバントである。なぜなら、代謝可能な油であるスクアレンを含むからである。「MPL」は脂肪アジュバントである。なぜなら、複数の脂肪酸鎖で置換された二糖類を含むからである。MF59に加え、他の水中油型乳剤アジュバントもまた使用され得る。
【0011】
従って、本発明の好ましい脂肪アジュバントとして、(a)水中油型乳剤(例えば、スクアレンおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(および必要に応じて、ソルビタントリオレアート)を含むサブミクロンの水中油型乳剤);および/または(b)3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートはまた、ポリソルベート80としても公知である。
【0012】
「MF59」および「MPL」に加え、本発明とともに使用され得る他の脂肪アジュバントとして:グルコサミニドホスフェート誘導体:N−アシル−プソイドジペプチド;「OM−174」として公知のEscherichia coliリピドA由来の可溶性アジュバント;ホスフェート含有非環式バックボーンに結合された脂質を含む化合物;および非環式合成リピドAアナログが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
MF59のような水中油型乳剤アジュバントが使用される場合、この乳剤が容積で総組成物の50%であるように、代表的に等容積の水性抗原組成物に添加される。3D−MPLアジュバントが使用される場合、代表的な用量は、25μg/mlと200μg/mlの間(例えば、50〜150μg/ml、75〜125μg/ml、90〜110μg/mlの範囲)または約100μg/mlである。通常、用量あたり25〜75μgの間の3D−MPL(例えば、45〜55μgの間)または用量あたり約50μgの3D−MPLが投与される。MF59のような乳剤アジュバントは、代表的には、抗原と別個の容器に提供され、使用時に即座に混合されるか、またはすでに抗原と混合され提供され得る。3D−MPLアジュバントは、代表的に末端の使用者への配布前に抗原とすでに混合されている。
【0014】
(MF59)
「MF59」アジュバントは、スクアレン、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)およびSpan 85(ソルビタントリオレアート)から形成された水中油型乳剤である。この乳剤は、微細流動化され、サブミクロンの小滴サイズを有する乳剤を与える。MF59の調製は、もともと参考文献3に記載され、この生成物は、Chiron Corporationにより製造され販売されている。さらなる詳細は、参考文献2の第10章、参考文献1の第12章および参考文献4〜6において見出され得る。MF59の組成は、容積で、5%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.5%Span 85である。重量に換算して、これらの割合は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%Span 85である。本発明の第2の局面において油:界面活性剤の比を計算する場合、その比は抗原の界面活性剤含有量に基づくため、MF59固体の界面活性剤含有量は考慮されない。
【0015】
MF59乳剤は、有利なことにクエン酸塩イオン(例えば、10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液)を含む。
【0016】
(他の水中油型乳剤)
MF59アジュバントの代替物として、他の水中油型乳剤が使用され得る。アジュバント乳剤は、代表的に少なくとも1種の油および少なくとも1種の界面活性剤を含み、この油および界面活性剤は生分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。この乳剤中の油小滴は、一般的に直径が5μmより小さく、代表的にはサブミクロンの直径を有する。小さい小滴サイズは、微細流動化装置を用いて達成され得、安定な乳剤を提供する。220nmより小さいサイズを有する小滴が、それらを濾過滅菌に供することができるので、好ましい。
【0017】
上記乳剤は、鉱油よりも動物(例えば、魚)または植物供給源からのような油を含み得る。植物油の供給源として、ナッツ類、種子類および穀物類が挙げられる。ピーナッツ油、ダイズ油、ココナッツ油およびオリーブ油が最も一般的に入手可能な代表的なナッツ油である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油が使用され得る。種子油として、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ油などが挙げられる。穀物群において、トウモロコシ油が最も容易に入手可能であるが、小麦、燕麦、ライ麦、イネ、テフ、トリチカレなどの他のシリアル穀物類の油もまた使用され得る。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素の脂肪酸エステルは、種子油内には天然に存在しないが、ナッツ油および種子油から出発した適切な物質の加水分解、分離およびエステル化により調製され得る。哺乳動物のミルク由来の脂肪および油は代謝可能であり、従って、本発明の実施において使用され得る。動物供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化および他の方法に関する手順は、当該分野において周知である。ほとんどの魚は、容易に回収され得る代謝可能な油を含む。例えば、タラの肝油、サメの肝油、および鯨ろうのようなクジラ油が代表的な種々の魚油であり、本明細書中において使用され得る。いくつかの分枝鎖油は、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、一般的にテルペノイドといわれる。サメの肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサンとして公知の分枝、不飽和テルペノイドを含み、本明細書において特に好ましい。スクアレンの飽和アナログであるスクアランもまた好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、市販の供給源から容易に入手可能であるか、または当該分野において公知の方法により得られ得る。他の好ましい油は、トコフェロール(以下参照)である。油の混合物が使用され得る。
【0018】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)により分類され得る。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenといわれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー(例えば、DOWFAXTM商標名で販売される直線状EO/POブロックコポリマー);エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の繰返し数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)に関心がある;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質;ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知)(例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30));およびソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知)(例えば、ソルビタントリオレアート(Span 85)およびソルビタンモノラウレート)を含む界面活性剤を用いて使用され得るが、これらに限定されない。乳剤中に含む好ましい界面活性剤は、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、Span 85(ソルビタントリオレアート)、レシチンおよびTriton X−100である。界面活性剤の混合物は、例えば、Tween 80/Span 85混合物またはTween 80/Triton−X100混合物が使用され得る。
【0019】
本発明に有用な水中油型乳剤アジュバントとして、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
−スクアレン、トコフェロールおよびTween 80の乳剤。この乳剤は、リン酸緩衝生理食塩水を含み得る。またSpan 85(例えば、1%で)および/またはレシチンも含み得る。これらの乳剤は、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロールおよび0.3〜3%Tween 80を有し得、より安定な乳剤を提供する場合、スクアレン:トコフェロールの重量比は、1以下が好ましい。そのような乳剤の1つは、2%溶液を与えるためにPBS中にTween 80を溶解し、次いでこの溶液90mlを(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mLのスクアレンの)混合物とともに混合し、次いでこの混合物を微細流動化することにより作製され得る。この生じた乳剤は、サブミクロンの油小滴(例えば、平均直径が100nmと250nmの間、好ましくは約180nm)を有し得る。
−スクアレン、トコフェロールおよびTriton界面活性剤(detergent)(例えば、Triton X−100)の乳剤。
−スクアレン、ポリソルベート80およびポロクサマー401(「PluronicTML121」)の乳剤。この乳剤は、リン酸緩衝化生理食塩水、pH7.4で処方され得る。この乳剤は、ムラミルジペプチドに有用な送達ビヒクルであり、「SAF−1」アジュバントにおいてトレオニル−MDPとともに使用される[7](0.05〜1% Thr−MDP、5%スクアレン、2.5%Pluronic L121および0.2%ポリソルベート80)。「AF」アジュバントの場合、Thr−MDPなしでもまた使用され得る[8](5%スクアレン、1.25%Pluronic L121および0.2%ポリソルベート80)。微細流動化が好ましい。
−0.5〜50%油、0.1〜10%リン脂質、および0.05〜5%非イオン性界面活性剤を有する乳剤。参考文献9に記載されるように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンである。サブミクロン小滴サイズが有利である。
−代謝不可能な油(例えば、軽油)および少なくとも一種の界面活性剤(例えば、レシチン、Tween 80またはSpan 80)のサブミクロン水中油型乳剤。付加物として、QuilAサポニン、コレステロール、サポニン−親油性物結合体(例えば、参考文献10に記載される、グルクロン酸のカルボキシル基を介して脱アシルサポニンに脂肪族アミンを付加することにより産生されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミドおよび/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンが挙げられ得る。
−サポニン(例えばQuilAまたはQS21)およびステロール(例えば、コレステロール)がらせん状のミセルとして会合される乳剤[11]。
【0020】
上記乳剤は、好ましくは、送達時、即時に抗原と混合される。従って、アジュバントおよび抗原は、代表的にパッケージされたワクチンまたは配布されたワクチンに別個に保たれ、使用時に最終処方物に準備される。この抗原は一般的に水性の形態であり、このワクチンは最終的に2つの液体の混合により調製される。混合のための2つの液体の容積比は、変更し得る(例えば、5:1と1:5の間で)が、一般的に約1:1である。
【0021】
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、εまたはζトコフェロールのいずれかが使用され得るが、α−トコフェロールが好ましい。このトコフェロールは、いくつかの形態をとり得る(例えば、異なる塩および/または異性体)。塩として、有機塩(例えば、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩など)が挙げられる。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方が使用され得る。好ましいα−トコフェロールはDL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。
【0022】
(3D−MPL)
3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL;また、3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAまたは3−O−脱アシル−4’−モノホスホリルリピドAと称される)は、公知のアジュバントである。この名前は、モノホスホリルリピドA中の還元末端グルコサミンの3位置が脱アシル化されることを示す。3D−MPLは、Salmonella minnesotaのヘプトース欠損(heptoseless)変異体から調製され、そして化学的にリピドAに類似しているが、酸に不安定なホスホリル基および塩基に不安定なアシル基を欠いている。それは、単球/マクロファージ系統の細胞を活性化し、そしてIL−1、IL−12、TNF−αおよびGM−CSFを含む数種のサイトカインの放出を刺激する。3D−MPLの調製は、最初は参考文献12に記載され、そしてその産物は、Corixa Corporationによって、商標名「MPL」の下で製造および販売されている。さらなる詳細は参考文献13〜16に見出され得る。
【0023】
3D−MPLは、それらのアシル化によって変動する(例えば、異なる長さであり得る3、4、5または6のアシル鎖を有する)関連分子の混合物の形態をとり得る。2つのグルコサミン(2−デオキシ−2−アミノ−グルコースとしても公知の)単糖は、それらの2位の炭素(すなわち、2位および2’位)でN−アシル化され、そしてまた3’位でO−アシル化されている。炭素2に結合する基は、式−NH−CO−CH−CR1’を有する。炭素2’に結合する基は、式−NH−CO−CH−CR2’を有する。炭素3’に結合する基は、式−O−CO−CH−CR3’を有する。代表的な構造は以下:
【0024】
【化2】

である。
【0025】
基R、RおよびRは各々独立して−(CH−CHである。nの値は、好ましく8〜16の間であり、より好ましくは9〜12の間であり、そして最も好ましくは10である。
【0026】
基R1’、R2’およびR3’は各々独立して:(a)−H;(b)−OH;または(c)−O−CO−Rであり得、ここでRは−Hまたは−(CH−CHのいずれかであり、ここでmの値は、好ましくは8〜16の間であり、そしてより好ましくは10、12または14である。2位では、mは好ましくは14である。2’位では、mは好ましくは10である。3’位では、mは好ましくは12である。基R1’、R2’およびR3’は従って好ましくはドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸由来の−O−アシル基である。
【0027】
1’、R2’およびR3’のすべてが−Hである場合、上記3D−MPLは3つのアシル鎖のみを有する(2、2’および3’位の各々に1つ)。R1’、R2’およびR3’のうち2つのみが−Hである場合、上記3D−MPLは4つのアシル鎖を有し得る。R1’、R2’およびR3’のうち1つのみが−Hである場合、上記3D−MPLは5つのアシル鎖を有し得る。R1’、R2’およびR3’のいずれもが−Hではない場合、上記3D−MPLは、6つのアシル鎖を有し得る。本発明に従って用いられる3D−MPLアジュバントは、3〜6つのアシル鎖を備えたこれらの形態の混合物であり得るが、この混合物中に6つのアシル鎖をもつ3D−MPLを含むことが好ましく、そして特に6つのアシル鎖形態が総3D−MPLの少なくとも10重量%、例えば、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上またはさらに多くを占めることが好ましい。6つのアシル鎖を備えた3D−MPLは、最もアジュバント活性な形態であることが見出された。
【0028】
従って、本発明の組成物に含めるために3D−MPLの最も好ましい形態は、
【0029】
【化3】

である。
【0030】
3D−MPLが混合物の形態で使用される場合、本発明の組成物中の3D−MPLの量または濃度に関する言及は、混合物中の合わせた3D−MPL種をいう。
【0031】
水性条件では、3D−MPLは、異なるサイズを備えた(例えば、直径<150nmまたは>500nmを備えた)ミセル凝集体または粒子を形成し得る。これらのいずれか、または両方は、本発明とともに使用され得、そしてより良好な粒子が通常のアッセイによって選択され得る。より小さな粒子(例えば、3D−MPLの透明な水性懸濁物を与えるに十分小さい)が、より優れた活性のため[17]、本発明に従う使用に好ましい。好ましい粒子は、220nmより小さい、より好ましくは200nmより小さい、150nmより小さい、あるいは120nmより小さい平均直径を有し、100nmより小さい平均直径を有しさえし得る。しかしながら、大部分の場合において、この平均直径は、50nmより小さくはない。これらの粒子は、濾過滅菌に適するほどに十分小さい。粒子直径は、通常の動的光散乱法の技法によって評価され得、平均粒子直径が明らかとなる。粒子がxnmの直径を有するといわれる場合、一般的にはおおよそこの平均の粒子の分布が存在するが、粒子の数で少なくとも50%(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、またはそれより多く)がx±25%の範囲内の直径を有する。
【0032】
3D−MPLはそれ自体でアジュバントとして使用され得るか、またはさらに1つ以上のアジュバント化合物と組み合わせて使用され得る。例えば、QS21サポニン[18]、QS21および水中油型乳剤[19]、リン酸アルミニウム[20]、水酸化アルミニウム[21]、またはサポニンおよびインターロイキン−12[22]と組み合わせて3D−MPLを使用することが公知である。
【0033】
特にHBsAgと使用するための好ましいアジュバント混合物は、3D−MPLおよびアルミニウム塩、好ましくはリン酸アルミニウムの混合物を含む。利点として、この3D−MPLはアルミニウム塩に吸着される。好ましくは、少なくとも50%(重量で)(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、またはそれより多く)の3D−MPLが吸着される。
【0034】
現在使用されるアルミニウムアジュバントは、代表的に「水酸化アルミニウム」アジュバントまたは「リン酸アルミニウム」アジュバントのいずれかをいう。しかしながらこれらは便宜上の名前である。なぜなら、いずれも存在している実際の化合物を正確に記載していないからである(例えば、参考文献2の第9章を参照のこと)。3D−MPLのような脂肪アジュバントとの組み合わせのために、本発明は、アジュバントとして一般的に使用される「水酸化物」または「リン酸塩」の塩のいずれかを使用し得る。
【0035】
「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、代表的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、これらは、通常、少なくとも部分的に結晶である。式AlO(OH)によって表され得るオキシ水酸化アルミニウムは、赤外(IR)分光学によって、特に、1070cm−1における吸収帯および3090〜3100cm−1における強力なショルダーの存在によって水酸化アルミニウムAl(OH)のようなその他のアルミニウム化合物と区別され得る[参考文献2の第9章]。
【0036】
「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、代表的には、ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、しばしば、少量の硫酸塩をまた含む。それらは沈殿によって得られ得、そして沈殿の間の反応条件および濃度は、この塩中のヒドロキシルからリン酸の置換への程度に影響する。ヒドロキシリン酸塩は、一般に、0.3〜0.99の間のPO/Alモル比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、厳密なAlPOからヒドロキシル基の存在によって区別され得る。例えば、3164cm−1におけるIRスペクトルバンド(例えば、200℃に加熱した場合)は、構造的ヒドロキシルの存在を示す[参考文献2の第9章]。
【0037】
リン酸アルミニウムアジュバントのPO/Al3+モル比は、一般に0.3〜1.2の間、好ましくは0.8〜1.2の間、そしてより好ましくは0.95±0.1である。このリン酸アルミニウムは、一般に、非晶質である(特にヒドロキシリン酸塩について)。代表的なアジュバントは、0.84〜0.92の間のPO/Alモル比を有する非晶質のヒドロキシリン酸アルミニウムであり、0.6mgAl3+/mlで含む。このリン酸アルミニウムは、一般に、粒子状である。この粒子の代表的な直径は、任意の抗原の吸着の後、0.5〜20μmの範囲(例えば、約5〜10μm)である。
【0038】
リン酸アルミニウムのPZCは、ヒドロキシルからリン酸への置換の程度に逆に相関し、そしてこの置換の程度は、沈殿によって塩を調製するために用いられる反応条件および反応物質の濃度に依存して変動し得る。PZCはまた、溶液中の遊離のリン酸イオンの濃度を変化することによるか(より多くのリン酸=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝液(PZCをより塩基性にする)のような緩衝液を添加することにより変更される。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、一般に、4.0〜7.0の間、より好ましくは5.0〜6.5の間、例えば、約5.7のPZCを有する。
【0039】
本発明の組成物を調製するために用いられるリン酸アルミニウム溶液は、緩衝剤を含み得る(例えば、リン酸塩またはヒスチジンまたはTris緩衝剤)が、常に必要なわけではない。このリン酸アルミニウム溶液は、好ましくは、無菌であり、そして発熱物質を含まない。このリン酸アルミニウム溶液は、遊離の水性リン酸イオンを含み得る(例えば、1.0〜20mMの間、好ましくは5〜15mMの間、そしてより好ましくは約10mMの濃度で存在する)。このリン酸アルミニウム溶液はまた、塩化ナトリウムを含み得る。塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは0.1〜100mg/mlの範囲(例えば、0.5〜50mg/ml、1〜20mg/ml、2〜10mg/ml)であり、そしてより好ましくは約3±1mg/mlである。NaClの存在は、抗原の吸着前のpHの正確な測定を容易にする。
【0040】
リン酸アルミニウムは、好ましくは3D−MPL(および必要に応じて抗原)が添加される水溶液の形態で使用される(NB:「溶液」として水性リン酸アルミニウムをいうことが標準的であるが、厳密な物理化学的観点から、この塩は、不溶性であり、懸濁液を形成する)。リン酸アルミニウムを必要とされる濃度に希釈し、3D−MPLおよび/または抗原の添加前に均質な溶液を確保することが好ましい。
【0041】
(N−アシル−プソイドジペプチド)
N−アシル−プソイドジペプチドアジュバントは、好ましくは中性の形態または荷電した形態で酸性基によってエステル化されるヒドロキシル基を含む。このアシル基は、プソイドジペプチドに脂肪特性を付与する。このアジュバントは、好ましくは式(I):
【0042】
【化4】

を有し、ここで、
は、2〜24個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖のカルボン酸から誘導されるアシル基であり、このカルボン酸は、非置換であるか、またはヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アシルチオ基および((C1〜24)アルキル)チオ基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され;
は、2〜24個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖のカルボン酸から誘導されるアシル基であり、このカルボン酸は、非置換であるか、またはヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アシルチオ基および((C1〜24)アルキル)チオ基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され;
Xは、中性の形態または荷電した形態のいずれかの水素原子あるいは酸性基であり;
Yは、中性の形態または荷電した形態のいずれかの水素原子あるいは酸性基であり;
Aは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基−NH−であり;
Bは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基−NH−であり;
mは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
pは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
qは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である
(ただし少なくとも1つの置換基XまたはYが中性の形態またはイオンの形態で酸性基を表す)。
【0043】
このアジュバントは、有機または無機塩基とともに酸または塩の形態のいずれかで使用され得る。
【0044】
治療的使用が意図される塩を形成する塩基として、主に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムのようなアルカリ金属塩基、アンモニウム塩;水酸化カルシウムまたは水酸化ストロンチウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩基;第一鉄の金属塩など;メチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、ベラトリルアミン、トリメトキシベンジルアミンのような第一級、第二級、第三級アミンから誘導されるような有機塩基;リシンおよびオルニチンまたはアミノ糖のような塩基性アミノ酸が挙げられる。治療的使用が意図されない塩基の例は、ブルシン、ストリキニン、アグマチン、ホマリン、グルコサミン、N−メチルグルコサミンまたはN−メチルモルホリンである。
【0045】
好ましい置換基XおよびYは:
カルボキシ[(C1〜5)アルキル]
CH−[(CHCOOH][(CHCOOH]、ここで:rは0、1,2,3、4または5であり;sは0、1,2,3、4または5である
ホスホノ[(C1〜5)アルキル]
ジヒドロキシホスホリルオキシ[(C1〜5)アルキル]
ジメトキシホスホリル
ホスホノ
ヒドロキシスルホニル
ヒドロキシスルホニル[(C1〜5)アルキル]
ヒドロキシスルホニルオキシ[(C1〜5)アルキル]
から選択される。
【0046】
置換基Xおよび/またはYが中性の形態で酸性基を示す場合、遊離カルボン酸、スルホン酸またはリン酸の形態が言及される。この酸性基が荷電した形態にある場合、カルボン酸塩、スルホン酸塩またはリン酸塩の形態が言及され、すなわち、有機塩基または無機塩基の添加により、好ましくは治療的使用が意図される。Xおよび/またはYがカルボキシアルキル基、アルケニルビスカルボン酸基、ヒドロキシスルホニル基、ヒドロキシスルホニルアルキル基、ヒドロキシスルホニル−オキシアルキル基、ホスホノアルキル基またはホスホリル−オキシアルキル基を示す場合、同様な考慮が適用される。
【0047】
m=1およびn=0である場合、アジュバントはセリンから誘導される。m=2およびn=0である場合、アジュバントはホモセリンから誘導される。m=3およびn=0である場合、ペンタホモセリン化合物が言及される。m=4およびn=0である場合、ヘキサホモセリン化合物が言及される。
【0048】
p=3およびq=1である場合、関心のある生成物は、シトルリン、オルニチンまたはアルギニン化合物であり得る。p=4およびq=1である場合、ホモアルギニンまたはリシン化合物が言及される。
【0049】
およびRは、異なる性質または同じ性質の種々のサイズの鎖を有する飽和または不飽和、分枝鎖または直鎖のアシル誘導体であり、これはアルキル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基およびアルキルチオ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を有する。
【0050】
そのようにアシル化し、置換した誘導体の例は、リシノレイル、1,2−ヒドロキシステアロイル、2−ヒドロキシ−3−メチル−ブチロイル、3−ヒドロキシ−2−アミノペンタノイル、パルミトイル、エライジル、エレオステアロイル、アラキドイル、アラキドニル、ガドレイル、ベヘニル、エルシル、8−メチルデカノイル、9−メチルデカノイル、ドコソヘキサエノイルまたはエイコサペンタノイルラジカルである。
【0051】
好ましいアジュバントは式(Ia)
【0052】
【化5】

を有し、ここでAおよびBは両方、酸素原子である。
【0053】
式(Ia)において、XおよびYは、好ましくは水素原子またはホスホノ基のいずれかである。
【0054】
式(Ia)の適切なアジュバントとして:
3−(3−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ)9−(3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ)4−オキソ−5−アザデカン−1,10−ジオール1,10−ジヒドロゲンホスフェートおよび有機塩基または無機塩基を用いて形成されるその付加塩
3−(3−ドデカノイルオキシ−テトラデカノイルアミノ)9−(3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ)4−オキソ−5−アザデカン−1,10−ジオール1,10−ビス(ジヒドロゲンホスフェート)および有機塩基または無機塩基を用いて形成されるその付加塩
3−(3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ)9−(3−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ)4−オキソ−5−アザデカン−1,10−ジオール1,10−ビス(ジヒドロゲンホスフェート)および有機塩基または無機塩基を用いて形成されるその付加塩
3−(3−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ)9−(3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ)4−オキソ−5−アザデカン−1,10−ジオール1−ジヒドロゲンホスフェートおよび有機塩基または無機塩基を用いて形成されるその付加塩
3−(3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ)9−(3−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ)4−オキソ−5−アザデカン−1,10−ジオール1−ジヒドロゲンホスフェートおよび有機塩基または無機塩基を用いて形成されるその付加塩
3−(3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ)9−(3−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ)4−オキソ−5−アザデカン−1,10−ジオール10−ジヒドロゲンホスフェートおよび有機塩基または無機塩基を用いて形成されるその付加塩
が挙げられる。
【0055】
式(I)のアジュバントを合成するための方法は、参考文献23に詳細を開示され、以下の工程を包含する方法が挙げられる:酸分解および加水分解を受けやすいブロッキング試薬によりジアミノ酸の(q+1)位およびω位においてアミン官能基をそれぞれ保護し;遊離カルボン酸官能基を還元剤と反応させ相当するアルコールを得;(q+1)位においてアミン官能基を脱保護し、次いで式ROHのカルボン酸官能性誘導体によってアシル化し、続いて水素化分解により末端のアミン官能基を遊離させ一般式IIのジアミノアルコールを得る:
【0056】
【化6】

このアミノアルコールは、不活性溶媒中ペプチド縮合試薬の存在下において、一般式III
【0057】
【化7】

のω−ヒドロキシ、ω−アミノまたはωチオアミノ酸化合物と一緒になって縮合され、式(IV):
【0058】
【化8】

のジペプチド化合物を提供し、必要な場合この末端遊離アルコール官能基は保護され得るか(例えば、アルキル基またはアシル基、あるいは任意の他の適した保護基)、そうでなければ、必要な場合カップリング試薬の存在下で置換され得る。この保護されたアルコールは、一般式Iの誘導体を得るために接触水素添加または他の脱保護処理に共され得る。
【0059】
式(II)のアジュバントを合成するための方法はまた、参考文献23に詳細に記載され、以下の工程を包含する方法が挙げられる:酸分解および加水分解を受けやすい保護試薬により式HN(CH)pCHNH(CHq+1COOHのジアミノ酸の(q+1)位およびω位においてアミン官能基をそれぞれ保護し;遊離カルボン酸官能基を還元剤と反応させ相当するアルコールを得、(q+1)位においてアミン官能基を脱保護し、次いで式ROHのカルボン酸官能性誘導体によってアシル化し、水素化分解により末端のアミン官能基を脱保護し、一般式IIのアミノアルコールを得る:このアミノアルコールは、不活性溶媒中ペプチド縮合試薬の存在下において、一般式IIIa:
【0060】
【化9】

のωヒドロキシアミノ酸官能性誘導体と一緒になって縮合される。ここでXは、式(RO)P−Oのジアルキルオキシ−またはジアリールオキシ−ホスホリルラジカルであり、式IVaのペプチド様化合物を与える:
【0061】
【化10】

ここでRは加水分解を受けやすいラジカルであり、所望される場合、他のアルコール官能性基は、必要であればカップリング試薬の存在下でリン酸化試薬によってリン酸化され得る。この保護されたアルコールは、一方では必要に応じてアシル基Rに存在するアルコール官能基を脱保護するために、他方ではリン酸基を遊離するために接触水素添加に供され得、次いで一般式V:
【0062】
【化11】

の誘導体を得るために、第2に必要に応じて存在するリン酸官能基を、水素化分解を介して脱保護し、そして必要に応じて有機塩基または無機塩基によって塩を形成するさらなる工程を実施する。
【0063】
アシルアミノ基のキラル中心の立体化学は、最初に使用したアミノ酸の立体配置によって決定される一方、アシルアミノ基の立体化学は、最初に使用した脂肪酸の立体配置に依存する。一方はL型またはD型立体配置を有するジアミノ酸から、あるいはラセミ体の性質のジアミノ酸から出発し得る。他方は、L型、D型立体配置またはラセミ混合物の水酸化アミノ酸から出発し得る。そのような立体異性体またはジアステレオ異性体のすべては、本発明の範囲内である。
【0064】
特に好ましいアジュバント、特にモノ−およびビス−リン酸化化合物は、「OM−294−MP」(式VI)および「OM−294−DP」(式VII)として公知の化合物:
【0065】
【化12】

である。
【0066】
(OM−174)
OM−174は、化学合成を通して得られ得、リピドA由来のトリアシルモチーフを保持する。参考文献24〜26に、より詳細に記載される。参考文献26は、OM−174の式を:
【0067】
【化13】

として与える。
【0068】
従って、OM−174は、天然のリピドAに見出されるように、1,4’−ビホスホリル化β(1→6)結合ジグルコサミンバックボーンを有する。OM−174は、ミセル性H構造物との集合体の形態で存在し得る。すなわち、脂質分子は、内側に向けられたアシル鎖を有する円柱表面にこれらのバックボーンとともに組み込まれ、その円柱自体は六角形に充たされている。三次相は存在し得ない。HII相もまた存在し得ない。
【0069】
(グルコサミニドホスフェート誘導体)
アミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)誘導体(例えば、RC−529[27、28])はアシル鎖のため、脂肪アジュバントである。一般的に、これらの誘導体以下の式:
【0070】
【化14】

を有し得[29]、ここで
Xは、アキシアル位またはエクアトリアル位のいずれかにおける酸素原子または硫黄原子を表わし;
Yは、酸素原子またはNH基を表わし;
「n」、「m」、「p」および「q」は、同じであるかまたは異なり、そして0〜6の整数であり;
同じであるかまたは異なり得るR、R、およびRは、1〜約20個の炭素原子を有する脂肪アシル残基であり、ここでR、R、またはRのうちの1つが必要に応じて水素であり;
およびRは、同じであるかまたは異なり、水素またはメチルであり;
およびRは、同じであるかまたは異なり、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ホスホノ、ホスホノオキシ、スルホ、スルホオキシ、アミノ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ホルミルまたはカルボキシならびにそのエステルおよびアミドであり;
およびRは、同じであるかまたは異なり、ホスホノまたは水素であり、好ましくはRおよび/またはRのうちの少なくとも1つはホスホノである。
【0071】
通常の脂肪アシル残基が結合される3’ステレオジエン中心の立体化学は、R体またはS体であるが、好ましくはR体である。RまたはRが結合される炭素原子の立体化学は、R体またはS体であり得る。すべての立体異性体、エナンチオマーおよびジアステレオマーの両方、およびそれらの混合物は、従属する発明の範囲内にあると考えられる。適したアジュバントは、これら化合物の塩を含む。
【0072】
好ましいAGP化合物は、「RC−529」
【0073】
【化15】

であり、これは参考文献30に記載されるとおりに調製され得る。
【0074】
(非環式合成リピドAアナログ)
本発明の組成物中にアジュバントとして使用され得るリピドAアナログは、ER−112022[31]、非環式バックボーンを介して連結されるリン脂質二量体:
【0075】
【化16】

である。
【0076】
ER−112022の各々の単量体単位は、間接的にホスフェートジエステル結合される3つの異なる脂肪基を含む。この脂肪基は、10炭素のエーテル鎖、エーテル鎖に結合される不飽和の12炭素アシルオキシ鎖、およびホスホジエステル近くに連結される14炭素のb−オキソ−アミド鎖を含む。従って、この化合物は、E.coli由来の天然に生じるリピドAに比べ、3つの異なる特性を有する:(i)ER−112022は、環式糖質のバックボーンがない;(ii)第2に、このホスフェートは、E.coliリピドAにおけるホスホエステルとは異なり、構造的バックボーンの範囲内に組み込まれるホスホジエステルである;そして(iii)この構造は、対称的である(非糖質のバックボーンにおいて6つの対称的構成される脂肪酸)。
【0077】
同様に有用な化合物として、参考文献32に定義されるように、式XIV、XVまたはXVIを有する化合物、あるいはそれらの塩:
【0078】
【化17】

が挙げられ、「ER803058」、「ER803732」、「ER804053」、「ER804058」、「ER804059」、「ER804442」、「ER804680」、「ER804764」、「ER803022」または「ER804057」のような、例えば
【0079】
【化18】

である。
【0080】
ホスフェート含有非環式バックボーンに連結される脂質を含む化合物はまた、アジュバントとして使用され得る(例えば、TLR4アンタゴニストE5564)[33、34]:
【0081】
【化19】

(界面活性剤)
本発明の第1の局面は、実質的に抗原精製の間に界面活性剤の使用を回避することであり、界面活性剤は本発明において使用される抗原成分内に見い出されない。しかしながら、第2の局面において、界面活性剤が使用されるが、脂肪アジュバントに比例した
調整されたレベルである。
【0082】
この界面活性剤は代表的に非イオン性界面活性剤、特にワクチン処方物においてすでに見い出されている界面活性剤である。有機界面活性剤が好ましい。これらは代表的にアルキレン酸化物(例えば、エチレン酸化物)と脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、アルキルアミンまたは少なくとも1つの活性水素原子を有する他の適した化合物とのとの反応生成物である。ほとんどの界面活性剤に関して、最も一般的なアルコール、アミンおよび酸は、C〜C18の範囲の長さの炭素鎖を有する。最も一般的なアルキルフェノールは、ノニルフェノールおよびオクチルフェノールである。界面活性剤含有ポリ(オキシエテン)残基が特に好ましい。
【0083】
例えば、本発明は:ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenといわれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー(例えば、DOWFAXTM商標名で販売される直線状EO/POブロックコポリマー);エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の繰返し数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)に関心がある;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知)(例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30));およびソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知)(例えば、ソルビタントリオレアート(Span 85)およびソルビタンモノラウレート)を含む界面活性剤を用いて使用され得るが、これらに限定されない。
【0084】
関心のある2つの具体的な界面活性剤は、Triton X−100およびポリソルベート20である。従って、本発明の第1の局面の好ましい実施形態は特に、実質的にこれら2つの非イオン性界面活性剤の使用を回避し、好ましくは実質的にいずれの非イオン性界面活性剤の使用も回避する。同様に、本発明の第2の局面の好ましい実施形態は、これら2つの非イオン性界面活性剤のうちの1つを含む抗原成分を使用する。
【0085】
本発明は特に、ポリソルベート20を用いる使用が適している。この界面活性剤は、ヒトへの投与に関する安全なプロフィールを確立し、ワクチン内に含まれる。
【0086】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)により分類され得る。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10のHLBを有し、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも16である。
【0087】
本発明の第2の局面において、患者に対して大用量の界面活性剤を投与することを回避するために、組成物中の界面活性剤の濃度は、50μg/ml以下(例えば、40μg/ml以下、35μg/ml以下、30μg/ml以下、25μg/ml以下、20μg/ml以下、15μg/ml以下、10μg/ml以下、5μg/ml以下など)であることが好ましい。20μg/ml以下の濃度が好ましい。
【0088】
(抗原)
本発明は、抗原の使用を含む。本発明は特に、代表的に界面活性剤を使用することにより精製される抗原を用いる使用に適している。これらの抗原は、代表的に親油性である。これらは通常、少なくとも1つの膜通過領域を含み、これはin vivoにおいて脂質二重層内の抗原を局在化するため(例えば、病原体の表面)に機能する。本発明は特に、ウイルス表面抗原を用いる使用に有用である。
【0089】
本発明の第2の局面において、抗原成分は界面活性剤を含む。抗原および界面活性剤の単純な混合物よりむしろ、抗原および界面活性剤が複合体の形態にあることが好ましい。抗原/界面活性剤複合体は、抗原を含む界面活性剤安定化リポソーム、およびニオソームを含み、これらは合成非イオン性の両親媒性化合物から形成されるベシクルである。好ましい抗原/界面活性剤複合体は、界面活性剤の存在下精製される粒子状のB型肝炎表面抗原である。参考文献35は、組み替えHBsAg粒子が、これらの精製の間に使用されたTween 20をどのように保持するか(100μgHBsAgあたり25μgTween 20まで)を記載する。
【0090】
本発明の第2の局面を用いる使用のための最も好ましい抗原は、従ってB型肝炎ウイルス(HBV)の表面抗原であり、実質的に球状の粒子(平均直径約20nm)の形態であり、リン脂質および非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)の両方を含有する脂質マトリックスを含む。非イオン性界面活性剤は、精製の間に粒子中に組み込まれ得る。
【0091】
しかしながら本発明の第1の局面に関して、HBsAgの好ましい形態は、HBsAgが非イオン性界面活性剤の使用なしに精製されるものであり、このHBsAg粒子はいずれの界面活性剤も組み込まないので脂肪アジュバントとの干渉を回避する。
【0092】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、ウイルス性肝炎を引き起こす公知の因子の1つである。HBVビリオンは、外部タンパク質被膜またはカプシドにより囲まれた内部コアからなり、このウイルス性コアはウイルス性ゲノムを含む。このカプシドの主要成分は、HBV表面抗原として公知のタンパク質、またはより一般的には、代表的に約24kDaの分子量を有する226個のアミノ酸ポリペプチドである「HBsAg」として公知のタンパク質である。既存のすべてのB型ワクチンは、HBsAgを含んでおり、この抗原が正常なワクチン被接種者に投与された場合、HBV感染を防ぐ抗HBsAg抗体の産生を刺激する。
【0093】
ワクチンの製造に関して、HBsAgは、2つの方法で作製され得る。大量のHBsAgは、HBV感染中肝臓で合成され、血流に放出されるので、第1の方法は、慢性B型肝炎の保有者の血漿から粒子の形態での抗原を精製する工程を包含する。第2の方法は、組換えDNA法により、タンパク質を発現させる工程を包含する。本発明の方法を用いて使用するためのHBsAgは、酵母で組換え発現される。適した酵母として、Saccharomyces(例えば、S.cerevisiae)、Pichia(例えば、P.pastoris)またはHanensula(例えば、H.polymorpha)宿主が挙げられる。代替物として抗原は、組換え哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、Bu3細胞など)、組換え昆虫細胞(例えば、バキュロウイルスベクターを使用する)、または組換え植物細胞に発現され得る。しかしながら、一般的に、酵母発現が使用される。
【0094】
酵母で発現されるHBsAgは、好ましくはグリコシル化されていない。天然のHBsAg(すなわち、血漿を精製した製品)と違って、酵母で発現されるHBsAgは、一般的にグリコシル化されておらず、本発明を用いる使用に関してはこれが最も好ましいHbsAgの形態である。なぜなら免疫原性が高く、血液製品の汚染の危険なしに調製され得るからである。酵母で発現される粒子は、天然のHBVビリオンには見い出されないホスファチジルイノシトールを含み得る。この粒子はまた、免疫系を刺激するために、非毒性量のLPSを含み得る[36]。
【0095】
HBsAgを精製するための多くの方法が、当該分野において公知である(参考文献37〜62を参照のこと)。これら種々のプロセスのうち、本発明の第1の局面は、非イオン性界面活性剤が使用されないプロセスを使用する。反対に、本発明の第2の局面は、精製の間、非イオン性界面活性剤を使用するので、界面活性剤は最終の粒子状HBsAg産物に組み込まれるようになる。組換え酵母細胞の分裂の間、精製開始時にポリソルベート20を使用することは、HBsAg粒子に界面活性剤を導入するために好ましい方法である。
【0096】
細胞分裂後のHBsAg精製のための好ましい方法として:限外濾過;サイズ排除クロマトグラフィー;陰イオン交換クロマトグラフィー;超遠心分離;脱塩;および滅菌濾過が挙げられる。溶解産物は、細胞分裂後沈殿され得(例えば、ポリエチレングリコールを用いて)、溶液中のHBsAgを残し、限外濾過をできるようにする。滅菌濾過の前後で、ホルムアルデヒドを用いて処理することによりHBsAg粒子を安定させることができる。次いで過剰のホルムアルデヒドは、限外濾過またはクロマトグラフィーにより除去され得る。さらに滅菌濾過が使用され得る。
【0097】
HBsAgは、好ましくはHBVサブタイプadw2由来である。
【0098】
「S」配列に加えて、表面抗原は、pre−S配列のすべてまたは一部(例えば、pre−S1および/またはpre−S2配列のすべてまたは一部)を含み得る。
【0099】
本発明を用いて使用され得る他のウイルス性表面抗原は、一般的にエンベロープウイルス由来のエンベロープ糖タンパク質である。本発明を用いて使用するためのウイルス表面抗原として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
−Retroviridaeタンパク質。Retroviridaeは、lentivirusesおよびspumavirusesを含む。関心のあるウイルスとして、HTLV−I、HTLV−II、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1およびHIV−2を含むHIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、チンパンジー泡沫状ウイルスおよびヒトスプマウイルスが挙げられる。
−Paramyxoviridae(例えば、Fタンパク)。Paramyxoviridaeは、(a)Paramyxovirinae(Paramyxoviruses、RubulavirusesおよびMorbillivirusesを含む)および(b)Pneumovirinae(Pneumovirusesを含む)を含む。関心のあるウイルスとして、パラインフルエンザウイルス(PIV)、ヒトパラミクソウイルス、牛疫ウイルス、小反すう動物病ウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、RSウイルス(RSV)、ニバーウイルス、ヘンドラウイルス、ウマ麻疹ウイルス(EMV)、リッサウイルスおよびメナングルウイルスが挙げられる。
−Filoviridaeタンパク質。Filoviridaeは、マルブルクウイルスおよびエボラウイルスを含む。
−Coronaviridaeタンパク質のスパイク糖タンパク質。Coronaviridaeは、coronavirusesおよびtorovirusesを含む。関心のあるウイルスとして、ヒトコロナウイルス(SARSコロナウイルスを含む)、トリ感染性気管支炎ウイルス、ネコ感染性腹膜炎ウイルス、ネズミ肝炎ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス、ブタ血液凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタ感染性胃腸炎ウイルス、およびベルヌ(Berne)ウイルスが挙げられる。
−Rhabdoviridaeタンパク質(例えば、Gタンパク質)。Rhabdoviridaeは、Rhabdoviruses、Vesiculoviruses、Lyssaviruses、Ephemeroviruses、CytorhabdovirusesおよびNucleorhabdovirusesを含む。関心のあるウイルスとして、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、モコラウイルス、ウシ一日熱ウイルスが挙げられる。
−Togaviridaeタンパク質。Togaviridaeは、AlphavirusesおよびRubivirusesを含む。関心のあるウイルスとして、シンドビスウイルス、東部および西部脳炎ウイルス、セムリキフォレストウイルス、風疹ウイルス、アウラウイルス、ババンキ(Babanki)ウイルス、バーマフォレストウイルスavis−A、ベバル(bebaru)ウイルス、バギークリーク(Buggy Creek)ウイルス、チクングニヤウイルス、エヴァグレースウイルス、フォートモーガンウイルス、ゲタウイルス、ハイランズJウイルス、キジラガッハ(Kyzylagach)ウイルス、マヤロ(Mayaro)ウイルス、ミデルビュルフウイルス、ムカンボウイルス、ヌズム(Ndumu)ウイルス、オケルボ(Ockelbo)ウイルス、オニョンニョンウイルス、ピクスナ(Pixuna)ウイルス、ロスリバーウイルス、サギヤマウイルス、ウナウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎、およびワタロア(Whataroa)ウイルスが挙げられる。
−Flaviviridaeのエンベロープ(「E」)糖タンパク質。Flaviviridaeは、Flaviviruses、PestivirusesおよびHepacivirusesを含む。関心のあるウイルスとして、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ウシ下痢ウイルス、およびダニ媒介脳炎(TBE)ウイルスが挙げられる。
−Bunyaviridaeタンパク質。Bunyaviridaeは、Bunyaviruses、Nairoviruses、Phleboviruses、HantavirusesおよびTospovirusesを含む。関心のあるウイルスとして、ブンヤウイルス、ブンヤムウェラウイルス、カルフォルニア脳炎ウイルス、La Crossウイルス、ハンターンウイルス、シンノンブルウイルス、クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、スナバエ熱シチリア人ウイルス、およびリフトバレー熱ウイルスが挙げられる。
−Arenaviridaeタンパク質。Arenaviridaeは、リンパ球性脈絡髄膜炎、イッピー(ippy)ウイルスおよびラッサウイルスを含む。
−Hepadnaviridaeタンパク質(HBsAgを含む)。Hepadnaviridaeは、orthohepadnavirusesおよびavihepadnavirusesを含む。ならびにヒトB型肝炎ウイルス、このウイルスファミリーは、リスB型肝炎ウイルス、ウッドチャックB型肝炎ウイルス、ヨウモウザルB型肝炎ウイルス、北極リスB型肝炎ウイルス、アヒルB型肝炎ウイルス、サギB型肝炎ウイルスおよびRossガチョウB型肝炎ウイルスを含む。
−Herpesviridaeタンパク質。Herpesviridaeは、Simplexviruses、Varicelloviruses、Roseoloviruses、Cytomegaloviruses、Muromegaloviruses、LymphocryptovirusesおよびRhadinovirusesが挙げられる。関心のあるウイルスとして、ヒトヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8)などを含む)が挙げられる。適した抗原は、糖タンパク質gB、gC、gDおよびgH(例えば、HSV中の)から選択され得る。HSV gD2が特に好ましい。
−Orthomyxoviridaeタンパク質。Orthomyxoviridaeとして、インフルエンザウイルスおよびトゴトウイルスが挙げられる。インフルエンザウイルス由来の抗原(インフルエンザA、BまたはCウイルス)が好ましく、表面抗原ヘムアグルチニン(HA)および/またはノイラミニダーゼ(NA)を含む。
【0100】
これらウイルス表面抗原は、代表的に界面活性剤を使用することにより精製され、この抗原成分は、特に脂質を含む粒子形態中に存在する場合、界面活性剤を含み得る。
【0101】
本発明はまた、ウイルス表面抗原および異種の抗原を含むハイブリッドタンパク質または融合タンパク質をベースにした粒子状抗原に有用である。例えば、HBsAg配列を異種性の抗原に融合させHBsAgの能力を利用し、粒子を組立てることが公知である。
【0102】
例えば、参考文献63は、サイズおよび密度の点で天然のHBsAg粒子に似ている(約25%の脂質組成および粒子あたり約100の含有量のgp120に一致する)、自発的に粒子を組立てるタンパク質を与えるHIV−1 gp120のHBsAgへの融合を報告する。このgp120は、この融合において天然の構造に折り込むことができ、その生物学的活性を維持した。同様に、HIV gp41エピトープは、HBsAgを用いて内部融合を作ることにより改善され、この融合タンパク質は、酵母において22nmのリポタンパク粒子を自己組立てした[64]。
【0103】
この手法はまた、マラリアワクチンにも使用される。参考文献65は、マラリアgp190抗原由来の61aaまでのエピトープをHBsAg配列に挿入し、発現したハイブリッド粒子は動物において抗gp190免疫応答を惹起したことを報告する。参考文献66は、HBsAgを有する融合タンパク質として発現されたスポロゾイド周囲タンパク質の4マー配列の16回の反復を有するタンパク質を報告する。参考文献67は、HBsAgに融合されたPfs16から構成されるウイルス様粒子の酵母における産生を報告する。参考文献68は、スポロゾイド周囲タンパク質がHBsAgに融合されるハイブリッド抗原を開示する。参考文献69は、20〜45nmサイズの免疫原性粒子を形成したP.vivaxのメロゾイト表面タンパク質1のC末端領域の融合を開示する。自己組立ての粒子形態においてマラリア抗原を提示するためのHBsAgの使用は、当該分野において周知である。
【0104】
従って、本発明は、ウイルス表面抗原および異種抗原を含むハイブリッド抗原を用いて使用され得る。この異種抗原は、ウイルス表面抗原配列に挿入され得るか、ウイルス表面抗原配列のN末端またはC末端に融合され得る。天然のウイルス表面抗原が粒子を組立て得(例えば、HBsAg)、挿入または融合はこの組立てを妨げない。
【0105】
これらハイブリッドタンパク質において、異種抗原は、バクテリア由来、真菌由来、寄生虫由来、ウイルス由来(しかし、定義上、異種抗原はHBsAgではない)などであり得る。ハイブリッドタンパク質において、完全な異種抗原を含むことは可能であるが、この抗原の抗原性フラグメントを含むことがより普通である。
【0106】
特にウイルス表面抗原がHBsAgである場合、異種抗原は、HIV、Plasmodium falciparum、Plasmodium vivax、Plasmodium malariaeまたはPlasmodium ovale由来であり得る。HBsAgハイブリッドを作製するための適切なHIV抗原は、エンベロープ糖タンパクgp120またはその抗原性フラグメントが挙げられる[63]。HBsAgハイブリッドを作製するのに適したP.falciparum抗原は、スポロゾイド周囲表面抗原(「CSP」)のサブユニットに基づき得(例えば、そのNANPモチーフの3と20の間の繰返しを含み得る(配列番号2))、そして/またはCSPのC末端領域を含み得る(しかし、代表的にはC末端から最後の12アミノ酸を含まない)。例えば、本発明は、「RTS」として公知の抗原を使用し得、これはP.falciparumのNF54または7G8単離物由来のCSPのC末端の大部分を含み(アミノ酸210〜398であり、19個のNANP繰返しおよびアミノ酸367〜390のT細胞エピトープ領域を含む)、HBsAgのpreS2の4アミノ酸によりHBsAgのN末端に融合される。酵母で発現される場合、タンパク質に加え脂質(主にリン脂質)を含むRTSは粒子を形成する。従って、RTSの配列は:(i)N末端のメチオニン残基;(ii)Met−Ala−Pro;(iii)P.falciparum 7G8由来のCSタンパク質のアミノ酸210〜398かまたはP.falciparum NF54由来のCSタンパク質のアミノ酸207〜395のいずれかに相当する189アミノ酸;(iv)ArgまたはGly;(v)B型肝炎pre−S2タンパク質由来のPro−Val−Thr−Asn;および(vi)HBsAgを含む。7G8単離物由来の完全長RTSは、参考文献70中に配列番号1として与えられる配列を有する(参考文献71の図5も参照のこと):
【0107】
【化20】

本ハイブリッドタンパク質は、配列番号1をコードする配列を用いて酵母で発現され得る。酵母に正常のHBsAgと共にハイブリッドタンパク質を共発現することが好ましい。この手法は、以前にRTSを用いて使用され、この共発現の産生物を「RTS,S」という。約1:4のRTS:S比が有用である。S.cerevisiae酵母における発現は、ハイブリッドタンパク質をコードする配列を有するプラスミドを使用することが好ましく、ここでこのプラスミドは:(1)このコード配列の発現を制御するためのグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子から上流プロモーター;および(2)このコード配列下流のARG3転写ターミネーターを含む。このプラスミドはまた、代表的に(3)LEU2選択マーカー;(4)2μプラスミド配列;および(5)Escherichia coliにおける機能的な複製起点を含む。
【0108】
RTS,Sは、他のマラリア抗原(例えば、トロンボスポンジン関連アノニマスタンパク(TRAP))と組合わせられ得る。RTS,Sとともに使用するための好ましい脂肪アジュバントは、水中油型乳剤、3d−MPLおよびQS−21サポニンが挙げられる。
【0109】
(脂肪アジュバントおよび界面活性剤比)
本発明の第2の局面において、組成物中の脂肪アジュバントと抗原の界面活性剤の重量比は、1000:1より少ない。
【0110】
MF59アジュバントに関して、重量比はスクアレンの量に基づいている。抗原成分中に0.1μg/ml界面活性剤を含む組成物において、スクアレン濃度は100μg/mlより少ない。抗原成分中に1μg/ml界面活性剤を含む組成物において、スクアレン濃度は1mg/mlより少ない。抗原成分中に10μg/ml界面活性剤を含む組成物において、スクアレン濃度は10mg/mlより少ないが、代表的なMF59アジュバント組成物(adjuvanted composition)中のスクアレン濃度は、43mg/ml(すなわち、4300:1)である。
【0111】
3D−MPLアジュバントに関して、重量比は3D−MPLの総量に基づいている(すなわち、存在するすべての異なるアシル形態を含む)。抗原成分中に0.1μg/ml界面活性剤を含む組成物において、3D−MPLの総濃度は、100μg/mlより少ない。抗原成分中に1μg/ml界面活性剤を含む組成物において、3D−MPLの総濃度は、1mg/mlより少ない。
【0112】
1000:1の比が最大である。アジュバント中の油と抗原中の界面活性剤との間の干渉の可能性をさらに減少させるために、この比は減少され得る。従って、この比は、500:1以下、400:1以下、300:1以下、200:1以下、100:1以下、50:1以下または25:1以下でさえあり得る。100:1以下の比で、抗原成分中に10μg/mlの界面活性剤を含む組成物は、1mg/ml以下の油含有量(例えば、スクアレンまたは3D−MPL含有量)を含む。25:1以下の比で、抗原成分中に10μg/mlの界面活性剤を含む組成物は、250μg/ml以下の油含有量(例えば、スクアレンまたは3D−MPL含有量)を含み;反対に、100μg/mlの3D−MPLを含む組成物は、抗原の一部として4μg/ml以上の界面活性剤を有する。
【0113】
この比は、好ましくは1.5:1より大きい(例えば、2:1以上、2.5:1以上、3:1以上、4:1以上、5:1以上またはそれ以上)。
【0114】
3D−MPLに関して、2.5:1と25:1の間の比が好ましく、より好ましくは2.5:1と10:1の間、なおより好ましくは2.5:1と5:1の間である。従って、抗原成分中に10μg/mlの界面活性剤を含む組成物は、25μg/ml〜250μg/mlの間、好ましくは25μg/ml〜100μg/mlの間、なおより好ましくは25μg/ml〜50μg/mlの間の3D−MPL含有量を有し;反対に100μg/mlの3D−MPLを含む組成物は、4μg/ml〜40μg/mlの間、好ましくは10μg/ml〜40μg/mlの間、なおより好ましくは20μg/ml〜40μg/mlの間の界面活性剤含有量を有する。
【0115】
(免疫原性組成物)
抗原および脂肪アジュバント(および、第2の局面において低レベルの界面活性剤)を含有することに加え、本発明の組成物は、以下により詳細に記載されるように、キャリア、アジュバント、賦形剤、緩衝液などを含有し得る。これらの非抗原性成分は、種々の供給源を有し得る。例えば、これらは、製造の間に使用される抗原またはアジュバント材料のうちの1つにおいて存在し得るか、または非抗原性成分とは別々に添加され得る。
【0116】
本発明の好ましい組成物は、1つ以上の薬学的キャリアおよび/または賦形剤を含有する。
【0117】
張度を制御するために、生理的塩(例えば、ナトリウム塩)を含有することが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、1mg/ml〜20mg/mlの間で存在し得る。
【0118】
組成物は、一般に200mOsm/kg〜400mOsm/kgの間、好ましくは240〜360mOsm/kgの間の重量オスモル濃度を有し、より好ましくは280〜320mOsm/kgの範囲内にある。重量オスモル濃度は、ワクチン接種により引き起こされる痛みに対して影響を有しないことが以前に報告されている[72]が、この範囲に重量オスモル濃度を維持することが、やはり好ましい。
【0119】
本発明の組成物は、1つ以上の緩衝液を含有し得る。代表的な緩衝液として:リン酸緩衝液;Tris緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液;またはクエン酸緩衝液が挙げられる。緩衝液は、代表的に5〜50mMの範囲で含有され、好ましくは5〜20mMの範囲である。
【0120】
本発明の組成物のpHは、一般的に5.0と7.5の間、より代表的には至適安定性のため5.0と6.0の間、または6.0と7.0の間である。それ故本発明のプロセスは、投薬容器にパッケージされる前のバルクワクチンのpHを調整する工程を包含し得る。ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドを含むワクチンは、トキソイドにおける(特にジフテリアトキソイドにおける)毒性の復帰変異のリスクを避けるために好ましくは6以上のpHを有し、従って、トキソイドおよびHBsAg抗原を含むワクチンは、好ましくは6.0と7.0の間のpHを有する。一価のHBsAgワクチンを含む他のワクチンに関して、6より小さいpHが受容され得る。
【0121】
本発明の組成物は、好ましくは、滅菌である。
【0122】
本発明の組成物は、好ましくは、非発熱性である(例えば、用量あたり1より小さいEU(エンドトキシン単位、標準測定)、そして好ましくは用量あたり0.1より小さいEUを含む)。
【0123】
本発明の組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。
【0124】
吸着されたHBsAgが使用される場合、最終のワクチン産物は、濁った外観をもつ懸濁液であり得る。この外観は、微生物汚染が容易に見えず、そのためこのワクチンは、好ましくは抗微生物薬剤を含むことを意味する。これは、このワクチンが複数用量容器にパッケージされる場合、特に重要である。含有物として好ましい保存剤は、2−フェノキシエタノールおよび/またはチメロサールである。しかし、たとえチロメサールが多くの既存のHBVワクチンに見出されても、本発明のプロセスの間に水銀の保存剤を用いないことが推奨される。しかし、安全性のために、最終組成物が約25ng/mlより少ない水銀を含むことが好ましい。より好ましくは、この最終的なワクチン産物は、検出可能なチメロサールを含まない。これは、一般に、本発明のプロセスにおいて抗原調製物の添加前に抗原調製物から水銀保存剤を除去するか、組成物を作製するために用いられる成分の調製の間にチメロサールの使用を避けることによって達成される。HBsAgは、HBsAg調製の間使用され得るチメロサールのような任意の水銀の保存剤を除去するために透析にかけられ得る(例えば、システインを用いて)[73、74]。
【0125】
製造の間に、所望の最終濃度を与えるための成分の希釈は、通常、WFI(注射用水)を用いて実施される。
【0126】
本発明の組成物中のリン酸アルミニウムの濃度は、Al3+によって表され、好ましくは、5mg/mlより少ない(例えば、4mg/ml以下、3mg/ml以下、2mg/ml以下、1mg/ml以下など)。
【0127】
本発明の組成物中のHBsAgの濃度は、好ましくは、100μg/mlより少ない(例えば、90μg/ml以下、80μg/ml以下、70μg/ml以下、65μg/ml以下、60μg/ml以下、55μg/ml以下、50μg/ml以下、45μg/ml以下、40μg/ml以下など)。約40μg/mlまたは約20μg/mlの濃度が代表的である。
【0128】
本発明の組成物は、好ましくは、患者に0.5ml用量で投与される。0.5ml用量に関して、通常の分散(例えば、0.5ml±0.05ml)を含むことが理解される。
【0129】
本発明は、個々の用量へのパッケージングに適したバルク材料を提供し得、次いで患者に投与するために分配され得る。上が言及される濃度は、最終的にパッケージされた用量の代表的な濃度であり、そのためバルクワクチン中の濃度はより高くてもよい(例えば、希釈によって最終濃度まで減少される)。
【0130】
本発明の組成物は、一般に、水性形態である。
【0131】
(本発明の組成物のパッケージング)
抗原とアジュバントを合わせた後、本発明のこのプロセスは、抽出する工程および0.5ml混合物サンプルを容器にパッケージする工程を包含し得る。複数回投与の状況に関して、複数回投薬量が抽出され1つの容器に一緒にパッケージされる。上が言及されるように、代替の取り決めにおいて、使用時に即座に混合するために、抗原およびアジュバントは別個にパッケージされる。
【0132】
本発明のプロセスは、使用のためにワクチンを容器にパッケージするさらなる工程を含み得る。適した容器として、バイアルおよび使い捨てシリンジ(好ましくは滅菌されたもの)が挙げられる。
【0133】
本発明の組成物が、バイアルにパッケージされる場合、これらは、好ましくは、ガラスまたはプラスチック材料から作製される。このバイアルは、好ましくは、上記組成物がバイアルに添加される前に滅菌され得る。ラテックス感受性患者にともなう問題を避けるために、バイアルは、好ましくは、ラテックスを含まないストッパーでシールされる。このバイアルは、単回用量のワクチンを含み得るか、またはそれは、2回以上の用量(「複数回用量」バイアル)、例えば、10回用量を含み得る。複数回用量バイアルを用いる場合、各用量は、厳密な無菌状態下で滅菌針およびシリンジで引き出されるべきであり、バイアル内容物を汚染することを避けるよう注意をする。好ましいバイアルは、色のないガラスから作製される。
【0134】
バイアルは、あらかじめ充填されたシリンジがキャップに挿入され得るように適したキャップ(例えば、Luerロック)を有し得、シリンジの内容物は、バイアル中に排出され得、バイアル中の内容物は、シリンジに戻され得る。バイアルからシリンジをはずした後、次いで針は患者に添えられ、組成物が投与され得る。このキャップは、好ましくは、シールまたはカバーの内側に位置され、このシールまたはカバーは、キャップが接触され得る前に取り除かれるはずである。
【0135】
上記組成物が、シリンジ中にパッケージされる場合、このシリンジは、通常、シリンジに取り付けられた針を有さないが、別個の針が組み立て、使用するためにシリンジとともに提供され得ることが好ましい。安全針が好ましい。1−インチ23−ゲージ、1−インチ25−ゲージおよび5/8−インチ25−ゲージの針が代表的である。シリンジには、その上に内容物のロット番号および使用期限日がプリントされ得る剥ぎ取りラベルが提供され得、記録保持を容易にする。このシリンジ中のプランジャーは、好ましくは、ストッパーを有し、プランジャーが吸引の間に偶発的に外れることを防ぐ。ブチルゴムプランジャーストッパーが好ましい。これらのシリンジは、ラテックスゴムキャップおよび/またはプランジャーを有し得る。使い捨てシリンジは、単回用量のワクチンを含む。このシリンジは、一般に、先端部キャップを有し、この先端部を針の取り付けの前にシールし、そしてこの先端部キャップは、好ましくはブチルゴムから作製される。このシリンジと針とが別個にパッケージされる場合、次いでこの針は、好ましくは、ブチルゴムシールドと合うように作られる。Greyブチルゴムが好ましい。好ましいシリンジは、商標名「Tip−Lok」TMの下で販売されるものである。
【0136】
ガラス容器(例えば、シリンジまたはバイアル)が用いられる場合、ソーダ石灰ガラス製よりもホウケイ酸ガラス製の容器を用いることが好ましい。
【0137】
組成物が容器中にパッケージされた後、この容器は、次いで、配布のために箱内、(例えば、段ボールの箱の内)に囲われ得、そしてこの箱は、ワクチンの詳細、例えば、その商標名、ワクチン中の抗原のリスト(例えば、「B型肝炎組換え体」など)、容器の説明(例えば、「使い捨て予備充填Tip−Lokシリンジ」または「10×0.5ml単回用量バイアル」)、その用量(例えば、「各々1回の0.5ml用量を含む」)、警告(例えば、「成人使用のみ」または「小児使用のみ」)、使用期限日、適応症(例えば、「腎不全を有する患者(血液透析前および血液透析患者を含む)のためのすべて公知のサブタイプにより引き起こされるB型肝炎ウイルス(HBV)に対する能動性免疫、15歳より上」など)、患者番号などでラベルされる。各箱は、2つ以上のパッケージされたワクチン、例えば、5または10のパッケージされたワクチン(特にバイアルについて)を含み得る。このワクチンがシリンジ中に含まれる場合、この箱は、シリンジの絵を示し得る。
【0138】
ワクチンは、ワクチンの詳細、例えば、投与のための指示書、ワクチン内の抗原の詳細などを含む印刷物とともに一緒に(例えば、同じ箱中に)パッケージされ得る。これらの指示書はまた、警告、例えば、ワクチン接種の後のアナフィラキシー反応の場合、直ちに利用できるようにアドレナリンの溶液を準備しておくことなどを含み得る。
【0139】
このパッケージされたワクチンは、好ましくは、2℃〜8℃の間で貯蔵される。それは、凍結されるべきではない。
【0140】
(処置およびワクチンの投与の方法)
本発明の組成物は、ヒト患者への投与に適しており、そして本発明は、患者における免疫応答を惹起する方法を提供し、本発明の組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0141】
本発明はまた、医薬における使用のための本発明の組成物を提供する。
【0142】
本発明はまた、患者への投与のための医薬の製造における(i)界面活性剤の不存在下において実質的に精製される抗原;および(ii)脂肪アジュバントの使用を提供する。
【0143】
本発明はまた、患者への投与のための医薬の製造における(i)界面活性剤を含む抗原成分、および(ii)脂肪アジュバントの使用を提供し、ここで(ii)のアジュバントと(i)の界面活性剤の重量比は1000:1より小さい。
【0144】
本発明の免疫原性組成物は、例えば本発明の使用および/またはB型肝炎ウイルス感染の処置に関して好ましくはワクチンである。本発明の組成物を受容している患者は、好ましくは第1の免疫から6週後に測定される血清抗HBsAg GM力価が500mIU/ml以上を有する。より好ましくは、12ヶ月後に測定されたときこの力価が500mIU/ml以上である。
【0145】
これら組成物は、既存のアジュバントワクチン(adjuvanted vaccine)(例えば、ENGERIX BTM製品)が無効である患者においてB型肝炎ウイルス感染に対する保護および/または処置に特に有用である。この組成物が特に適している患者のサブグループとして;免疫不全の患者;血液透析患者;血液透析前の患者;腎機能不全(renal insufficiency)を有する患者;腎不全(renal failure)を有する患者;血液透析を必要とする前の早期腎不全を有する患者;肝移植を待っている(例えば、順番待ちリスト上の)患者;末期の腎不全を有する患者;臓器移植(特に肝移植)を受けた患者(例えば、本発明のワクチンの第1の投薬前6ヶ月間に);B型肝炎免疫グロブリン(HBIg)処置を受容する患者(または受けた患者、例えば、本発明のワクチンの第1の投薬前6ヶ月間に);HLA DQ2ハプロタイプを有する患者[75];HLA DR3ハプロタイプを有する患者[75];HLA DR7ハプロタイプを有する患者[75];HLA対立遺伝子DQB10202を有する患者[76];HIVに感染した患者;慢性HBV保有者;最近輸血を受けた患者;免疫抑制薬を受容する患者;AIDSを患っている患者;腹水を有する患者;肝硬変を有する患者;脳症を有する患者;インターフェロン治療、特にifn−αを受容する患者;タバコを吸う患者;葉巻を吸う患者;30kg/m以上のボディマス指数を有する患者;HBsAgワクチンを受けたことがあるがセロコンバージョンしていない患者(例えば、標準的な最初の投薬スケジュール(例えば、ENGERIX BTMの3回投与)後、10mIU/mlより少ない血清抗HBsAg力価を有する)が挙げられる。
【0146】
これらの患者は、30ml/分より小さいクレアチニンクリアランス速度(通常の健常な範囲が男性において、約100〜140ml/分、女性において、約90〜130ml/分である)を有し得る。患者は、好ましくは少なくとも15歳(例えば15〜40歳の間、15〜60歳の間、40〜60歳の間、または60歳以上)である。55歳より上の患者は、いずれの内在する病気にも関わらず、有効に処置され得る。
【0147】
本発明の組成物は、例えば、三角筋への筋肉内注射により投与され得る。
【0148】
本発明の組成物が、アルミニウムベースのアジュバントを含む場合、成分の沈殿が貯蔵の間に生じ得る。それ故、この組成物は、患者への投与の前に振盪しなければならない。振盪された組成物は、不透明な白い懸濁液である。
【0149】
(本発明の好ましいプロセスおよびワクチン)
免疫原性組成物を調製するための好ましいプロセスは、(i)ポリソルベート20を含むHBsAg成分と(ii)リン酸アルミニウム塩に吸着される3D−MPLを含むアジュバント成分とを組み合わせる工程を包含し、3D−MPLとポリソルベート20の重量比が1000:1より小さい組成物を与える。
【0150】
好ましい免疫原性組成物は、(a)組成物がHBsAg、ポリソルベート20、3D−MPLおよびリン酸アルミニウムアジュバントを含み;そして(b)3D−MPLとポリソルベート20の重量比が1000:1より小さい免疫原性組成物である。3D−MPLおよびHBsAgは、好ましくはリン酸アルミニウムに吸着される。HBsAg濃度は、約40μg/mlである。3D−MPL濃度は、約100μg/mlである。Al3+濃度は、約1mg/mlである。
【0151】
本発明の別の好ましい組成物は、(i)S.cerevisiaeから精製されるHBsAg、および(ii)リン酸アルミニウムと3D−MPLとの混合物を含むアジュバントを含む。HBsAg濃度は、約40μg/mlである。3D−MPL濃度は、約100μg/mlである。Al3+濃度は、約1mg/mlである。HBsAgは、ポリソルベート20を含み、油:界面活性剤の重量比(すなわち、3D−MPL:ポリソルベート20の重量比)は、2.5:1と100:1の間、すなわちポリソルベート20は、1μg/mlと40μg/mlの間のレベル(すなわち、100μgHBsAgあたり2.5μgと100μgの間のポリソルベート20)で存在する。この比は、好ましくは2.5:1と25:1の間であり、すなわちポリソルベート20は4μg/mlと40μg/mlの間のレベルで存在する。3D−MPLおよびHBsAgは両方リン酸アルミニウムに吸着される。
【0152】
(一般)
用語「含む(comprising)」は、「含有する(including)」および「からなる」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、専らXからなり得るか、またはさらなる何かを含有し得る(例えば、X+Y)。
【0153】
用語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくても良い。必要である場合、語「実質的に」は、本発明の定義から省略され得る。
【0154】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0155】
詳細に述べられていなければ、2つ以上の成分を混合する工程を含むプロセスは、混合の任意の特定の順序を要求しない。それ故、成分は任意の順序で混合され得る。3つの成分が存在するとき、そのときは、2つの成分が互いと組み合わされ得、そして次にこの組み合わせが、第3の成分と組み合わされ得るなどである。上記のように、成分は製造中に混合され得るか、または使用時に即座に混合され得る。
【0156】
抗原がアジュバントに「吸着される」と記載される場合、少なくとも50%(重量で)の抗原が吸着されることが好ましい(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%またはそれ以上)。HBsAgは完全に吸着される、すなわち上清に検出されないことが好ましい。
【0157】
動物(および特にウシ)材料が細胞の培養に使用される場合、伝染性海綿状脳症(TSE)のない、および特にウシ海綿状脳症(BSE)のない供給源から取得しなければならない。
【0158】
ブチルゴムは、クロロブチルゴムおよびブロモブチルゴムを含む。
【0159】
イオン化可能な基は、明細書中の式に示される中性の形態で存在し得るか、または荷電した形態で存在し得る(例えば、pHに依存して)ことが理解される。従って、ホスフェート基は、−P−O−(OH)として示され得、この式は、単に代表的な中性ホスフェート基であり、他の荷電した形態は、本発明により包含される。同様に、糖環は、開いた形態または閉じた形態で存在し得、閉じた形態は、本明細書中の構造式で示されるが、開いた形態もまた、本発明により包含される。
【実施例】
【0160】
(本発明を実施するための様式)
3つの異なるHBsAg調製物を調べた:
・S.cerevisiae細胞に発現されたHBsAg、非イオン性界面活性剤を用いて精製される。
・Hanensula酵母細胞に発現されたHBsAg、非イオン性界面活性剤を用いて精製される。
・preS2配列を有するCHO細胞に発現されたHBsAg、界面活性剤の使用なしに精製される。
【0161】
2つの異なるアジュバントを調べた:
・水酸化アルミニウム(1mg/ml)
・クエン酸緩衝液中のMF59(13mM)。
【0162】
6つの処方物を調製し、各々は、20μg/ml HBsAg、0.15M NaClおよび0.01%メルチオレートを有する:
【0163】
【化21】

MF59は、霊長類において組み替えHBsAgに対する抗体応答を増強することが報告されている[77]。A〜Dの処方物を、ミドリザルを免疫するために使用した。6つの群のサルを0日目および28日目に筋肉内免疫した。0時間、次いで8週目まで2週ごとに採血を実施し、抗HBsAg力価(GMT)をELISAにより測定した。力価を1.0に基準化し、これは各群の14日目であり、基準化した結果は以下のとおりであった:
【0164】
【化22】

42日目と56日目の力価をみると、これらのデータは、CHO発現抗原に対してMF59がアルミニウムアジュバントより大いに著しく力価を増加したことを示す(42日目で160倍の増加対20倍の増加)が、この状態は、Hanensula発現抗原の逆である(42日目で85倍の増加対110倍の増加)。
【0165】
同様な実験を、処方物B、EおよびFを使用してヒヒで行った。GMT値を最初の注射から14日後で測定し、F群の値と比較して、以下のとおりであった:
【0166】
【化23】

ここで、アルミニウムアジュバントの代わりにMF59を使用することは、低GMT応答(EおよびF群と比較して)を導く一方で増加が期待される(B群および参考文献77)。
【0167】
処方物EおよびFを使用する最初の注射から28日後の抗HBsAg応答もまた、アカゲザル、ミドリザルおよびC3Hマウスで比較した(NB:マウスには60%HBsAg用量を与えた)。加えてGMT値を測定し、応答者の数もまた数えた(すなわち、10mIU/mlより大きい力価を示す動物)。F群に基準化した結果は以下のとおりであった:
【0168】
【化24】

それ故、マウスと対照的に、霊長類においてアジュバントとしてMF59を使用することは、S.cerevisiae発現HBsAgにおいてGMT値および応答者レベルの両方を実質的に減少させることになった。
【0169】
最終的に、処方物EおよびFを用いるブースター予防接種により生じるGMTの増加を、血清反応陽性のミドリザルで測定した。力価をブースター投与前、次いで再度28日後に測定し、力価における増加は以下のとおりであった:
【0170】
【化25】

同様に水酸化アルミニウムアジュバントより低倍量の増加を与え、MF59はブースター投与から28日後、低GMT値を与えた。
【0171】
それ故、全体的にMF59は、霊長類において酵母発現HBsAgに関してはアルミニウムアジュバントより悪いが、CHO発現HBsAgに関しては良好であるようだ。これらの結果は、(a)酵母から精製されたHBsAgにおける残留界面活性剤と(b)MF59アジュバントにおける過剰のスクアレン油の間の干渉により説明され得る。油として、スクアレンは、水性条件において界面活性剤の作用に左右され、逆もまた同じであり、抗原中の界面活性剤は、アジュバント中の油と不適合性であることが提案される。この不適合性は、界面活性剤(例えば、CHO発現材料として)を使用することなしにHBsAgを精製することによるか、油が確実に抗原中の界面活性剤と干渉するぐらい過量に存在しないようにすることによるいずれかで対処され得る。
【0172】
MF59−アジュバントHBsAg組成物において、ある容量のMF59は、ある容量の抗原溶液と合わせられる。従って100ml容量において、50ml MF59および50ml HBsAg溶液が存在する。この100mlは、MF59由来のスクアレン2.15gを含み、40μg/mlのHBsAg濃度で2mgのHBsAgを含む。100μg HBsAgあたり25μgのポリソルベート20濃度で[35]、100mlは、0.5mgポリソルベート20を含む。代表的なMF59アジュバントワクチンにおける油:界面活性剤比は、従って4300:1である。1000:1より小さくなるまで過剰の油を減少させることにより、アジュバント中の油と抗原中の界面活性剤の間の干渉を実質的に減らし得、従って、干渉を減少させる。
【0173】
本発明は、例系のみによって記載され、改変は、本発明の範囲および精神の中にあるままでもなされ得る。
【0174】
参考文献(その内容は、本明細書中に参考として援用される)
【0175】
【化26】

【0176】
【化27】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)界面活性剤を含む抗原成分と(ii)脂肪アジュバント成分とを組み合わせる工程を包含し、該脂肪アジュバントと該界面活性剤の重量比が1000:1より小さい組成物を与える、プロセス。
【請求項2】
免疫原性組成物であって、ここで(a)該組成物が、抗原成分および脂肪アジュバント成分を含み;(b)該抗原成分が界面活性剤を含み;そして(c)該脂肪アジュバントと該界面活性剤の重量比が1000:1より小さい、免疫原性組成物。
【請求項3】
前記脂肪アジュバントが代謝可能な油を含む、請求項1または2に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項4】
前記脂肪アジュバントがスクアレンおよびポリソルベート80のサブミクロン水中油型乳剤を含む、請求項3に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項5】
前記脂肪アジュバントが脂肪酸部分を含む分子を含む、請求項1または2に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項6】
前記脂肪アジュバントが3−脱アシル化モノホスホリルリピドA(「3D−MPL」)である、請求項5に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項7】
前記3D−MPLがアシル化により変化する分子の混合物である、請求項6に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項8】
前記脂肪アジュバントが
【化1】

を含む、請求項6または7に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項9】
前記3D−MPLが粒子の形態である、請求項6〜8のいずれか1つに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項10】
前記粒子が濾過滅菌され得る、請求項9に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項11】
前記3D−MPLがアルミニウム塩との組み合わせである、請求項6〜10のいずれか1項に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項12】
前記アルミニウム塩がリン酸アルミニウムである、請求項11に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項13】
前記3D−MPLがアルミニウム塩に吸着される請求項12に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタンエステルである、請求項1〜13のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項15】
前記エステルがポリソルベート20である、請求項14に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤の濃度が50μg/mL以下である、請求項14または15に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項17】
前記抗原がウイルス表面抗原である、請求項1〜16のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項18】
前記抗原が粒子状のB型肝炎表面抗原(「HBsAg」)であり、界面活性剤の存在下で精製される、請求項17に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項19】
前記HBsAgが酵母細胞で発現される、請求項18に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項20】
前記酵母がSaccharomyces cerevisiaeである、請求項19に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項21】
前記HBsAgが非グリコシル化され、そして/またはホスファチジルイノシトールを含む、請求項18〜20のいずれか1項に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項22】
前記HBsAgがB型肝炎ウイルスのサブタイプadw2由来である、請求項18〜21のいずれか1項に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項23】
前記抗原が、ウイルス表面抗原および異種抗原を含むハイブリッドタンパク質である、請求項1〜22のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項24】
前記ウイルス表面抗原がHBsAgであり、前記異種抗原がマラリア抗原である、請求項23に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項25】
前記ハイブリッドタンパク質がHBsAgおよびPlasmodium falciparumのスポロゾイド周囲タンパク質のフラグメントを含む、請求項24に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項26】
前記ハイブリッドタンパク質がPlasmodium falciparumのP.falciparumスポロゾイド周囲タンパク質のC末端部分、スポロゾイド周囲タンパク質の免疫優性領域の4つ以上の縦列反復およびHBsAgを含む、請求項25に記載のプロセスまたは組成物。
【請求項27】
前記脂肪アジュバントと前記界面活性剤の重量比が500:1より小さい、請求項1〜26のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項28】
前記脂肪アジュバントと前記界面活性剤の重量比が50:1より小さい、請求項1〜27のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項29】
前記脂肪アジュバントが3D−MPLであり、該脂肪アジュバントと前記界面活性剤の重量比が2.5:1と25:1の間である、請求項1〜28のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項30】
前記組成物が200mOsm/kgと400mOsm/kgの間の重量オスモル濃度を有する、請求項1〜29のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項31】
前記組成物がリン酸緩衝液を含む、請求項1〜30のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項32】
前記組成物が6.0と7.0の間のpHを有する、請求項1〜31のいずれかに記載のプロセスまたは組成物。
【請求項33】
患者に投与するための医薬の製造における(i)界面活性剤を含む抗原成分および(ii)脂肪アジュバントの使用であって、(ii)のアジュバントと(i)の界面活性剤の重量比が1000:1より小さい、使用。
【請求項34】
免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)ポリソルベート20を含むHBsAg成分と(ii)リン酸アルミニウム塩に吸着される3D−MPLを含むアジュバント成分とを組み合わせる工程を包含し、3D−MPLとポリソルベート20の重量比が1000:1より小さい組成物を与える、プロセス。
【請求項35】
免疫原性組成物であって、(a)該組成物がHBsAg、ポリソルベート20、3D−MPLおよびリン酸アルミニウムアジュバントを含み;そして(b)3D−MPLとポリソルベート20の比が1000:1より小さい、免疫原性組成物。
【請求項36】
免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(a)該組成物が抗原および脂肪アジュバントを含み;(b)該抗原が界面活性剤の不在下で実質的に精製される、プロセス。

【公表番号】特表2009−503051(P2009−503051A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524624(P2008−524624)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002581
【国際公開番号】WO2007/015167
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(507238285)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (35)
【Fターム(参考)】